
ハリー・ポッター映画に登場した建物などを簡単に組み立てられるペーパーモデルブックです(紙工作の絵本で、仕掛け絵本ではありません)。
これ一冊で、なんと22個のペーパーモデルを作ることが出来て、自分の部屋に「ハリー・ポッター」のミニチュア世界が出現してしまうという魔法のような本です☆
ペーパーモデルの台紙だけでなく、「ホグワーツ魔法学校」や「秘密の部屋」といった組み立てモデルごとに、映画の場面写真や撮影秘話を収録したストーリーもついているので、神秘的な「ハリー・ポッター」の世界に浸りきることが出来ますし、モデルを作り終えた後も、本が空っぽにならずに読める部分が残ることにもなります(笑)。
組み立てることができる22個のペーパーモデルは、以下の通りです。
1)ホグワーツ魔法学校
2)秘密の部屋
3)大広間
4)ダンブルドアの校長室
5)グリフィンドール寮の談話室
6)クィディッチ競技場
7)禁じられた森
8)暴れ柳
9)ハグリッドの小屋、
10)9と3/4番線
11)ホグワーツ特急
12)漏れ鍋
13)オリバンダーの店
14)グリンゴッツ魔法銀行
15)ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ
16)プリベット通り
17)隠れ穴
18)ハニーデュークス
19)叫びの屋敷
20)魔法省
21)アズカバン刑務所
22)リトル・ハングルトンの墓地
*
本はリングファイルになっていて、最初に撮影秘話の本、続いてペーパーモデル本になっています。
ペーパーモデル本を開くと、最初に作り方の全体説明があり、続いて「ホグワーツ魔法学校」や「秘密の部屋」など、ペーパーモデルごとの組み立て説明書があります。この説明書は切り離せるようになっているので、必要なら切り離して使うこともできます(ただし裏面が他のモデルの説明書になっていますが……)。モデル数がとても多いので、誰かと分担して組み立てるときには、こんなふうに切り離せると便利だと思います。
説明書の後は、切り抜いて組み立てられるペーパーモデル用紙が始まります。綺麗に着色されていて、ミシン目と折り線もすでに入れられているので、ページから切り離して、説明書通りに組み立てれば、簡単に素敵なペーパーモデルの魔法学校などが出来き上がり☆ 素晴らしい! まさにハリー・ポッターの映画のようなクラシックな色彩の神秘的な世界がどんどん生まれていきます。(なお表紙のモデルは、「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」と「ホグワーツ魔法学校」です)。
しかも組み立てモデルの台紙の角には、この建物が何なのかを説明するためのカードがついているので、切り取って二つ折りにして、ペーパーモデルに沿えて展示するなど便利に使えます(ちゃんとモデルの写真もあるので、バラバラになったとしても、どのモデルの説明カードだったかが分かるようになっています……親切ですね!)。
さらにペーパーモデル本の裏表紙の裏には、大きなポケットがついているので、モデル製作中の部品を入れるなど、これも便利に使えると思います。本を閉じるゴムバンドも付いています。
『ハリー・ポッター ペーパーモデルブック』……お家にハリー・ポッターの世界を出現させられる、本当に魔法のような本でした☆ みなさんも、ぜひ作って(眺めて)みてください☆
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水の性質や生命の起源、地球や月の起源から、月の水探査の歴史と成果、水資源の観測方法と現在進行中の水探査など、これからの探査計画をQ&A形式でわかりやすく解説してくれる本です。
本書のサブタイトルが「水探査から始まる宇宙大航海」とあるように、水は私たちにとって最も身近で、なくてはならないものです。生命を維持するには有機物の溶媒となる液体が必要で、地球の場合は、その役割を水が果たしています。また水はさまざまな物質を溶かすことが出来るので、いろいろなものが水に吸収され運搬されることで、自然界の大循環がつくり出されている……私たちの美しい地球が豊かな生命で満ちているのは、まさに「水」のおかげですね!
ところで地球が形成されたときに、その大量の水はどこからもたらされたのか? について本書では……
「太陽系の形成時(原始太陽系)において、太陽に近い宇宙空間では温度が高くなり水は気体(水蒸気)として存在しますが、太陽から遠くなると氷になります。その境をスノーライン(あるいはアイスライン)と呼んでいます。スノーラインの内側にある物質は乾燥して揮発性物質が欠乏した岩石惑星(地球型惑星)になり、一方、スノーラインの外側では大量の氷や揮発性物質(水・アンモニア・メタンなどの氷)を含む大きな原子惑星が形成されます。(中略)
地球が生まれる初期の地球付近では、水を含め揮発性の物質は欠乏していました。しかし、木星が形成される時期になると、巨大な木星の重力攪乱の影響を受けて状況が大きく変化しました。すなわち、木星近傍にあった氷の微惑星が、その重力攪乱を受けて隕石となって地球に大量に降り注ぎました。もともと水のない地球でしたが、こうして豊かな水の惑星地球が生まれたのです。」
……と教えてくれます(本書には、もっと詳しい解説があります)。地球の水は、なんと木星の誕生と関係していたんですね!
「宇宙の水探査」では、最近は「月」に注目が集まっていますが、それは、アポロ計画で月から回収した火山性ガラスの中から、初めて月マントルに由来する固有水が発見されたことがきっかけになっているようです。
そして月の水の供給源として考えられているものには……
1)月の内部からの火山活動による揮発性物質の供給
2)水などの揮発性物質を多く含む始原的な隕石による供給
3)彗星の衝突による供給
4)太陽風由来の水素と月面酸化物との化学生成
……などがあり、また月面に存在する水を測定する有力な方法には……
1)中性子による分光法
2)近赤外線領域の月面からの反射光を使った分光法
……などがあるようです。
本書では月について、「月の1日は、満月から次の満月(29.5日)」とか、「15日の昼で熱せられた月面の温度は100度を超え、逆に15日冷え続ける夜には―150度を下回る」とか、「月の明暗は高低差ではなく、その場所を構成する岩石の種類の違いによるもの(暗い部分はマントルが部分的に再溶融したマグマの噴出(玄武岩)。明るい部分は斜長石と考えられている)」などを知ることができました……そうだったんだ……月の明暗は「高度」の違いかと思っていました……。
これからの月の水探査計画は、米国が中心になって進めている国際的な「アルテミス計画(有人の月飛行計画)」が中心になっていくようです(日本も参加しています)。本書では、この計画についても詳しく知ることが出来て、興味津々でした。
例えばアルテミス計画の「ゲートウェイ」。これはサイズがISSの7分の1程度。深宇宙で人間と探査活動を支援するための月軌道の基地で、月を周回しながら継続的に人間の月面活動を支援するそうです。しかもそれだけでなく、将来には、火星へと進展するミッションモデルとしての役割を果たし、人を火星などの深宇宙に送る重要な中継基地となる(火星探査機を寄港させて物資や燃料を供給する)……うーん、未来感がありますね☆
月は、その特異な環境も資源として期待できるようです。(低重力や大気・磁場のない環境を地上の実験室で再現するのは困難なので)
そして月面の有人拠点の候補として、月の地下空洞(縦穴)があげられているようです。これはマグマの流れ道だった空洞の天井が隕石衝突などで崩れ落ちて形成されたと考えられているもので、ここに拠点を置く利点としては、温度差が比較的少ない、宇宙から降り注ぐ微小隕石の影響が小さい(大気がないので微小隕石は途中で燃え尽きずに落下してくる)、放射線を遮蔽する効果もある、などがあげられていました。地球の原始時代もヒトは洞窟を利用していましたが……月の原始時代の幕開けも、もしかしたら同じような場所で始まるのかもしれません(笑)。
本書では、火星や系外惑星など、さらに遠い場所での水や生命探査についても解説されていました。
『宇宙の水を求めて-水探査から始まる宇宙大航海』……月や太陽系内の天体、さらに系外惑星など宇宙での水探査についてだけでなく、水の性質や生命の起源などまで説明してくれる本で、とても参考になりました。宇宙に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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私たちの想像をはるかに超えたスケールで起こるさまざまな太陽現象、知っているようで知らない宇宙の姿を、太陽研究の第一人者の柴田さんが紹介してくれる本で、2016年に刊行した単行本『とんでもなくおもしろい宇宙』を新書化したものだそうです。
2024年5月、太陽大フレア(太陽面爆発)の連続発生が約10年ぶりに起き、カナダやアメリカ北部はもとより、日本各地でもオーロラが見えたことは記憶に新しいと思います。このような太陽活動は、人間の活動に次のような影響を与えるそうです。
・人工衛星が制御不能になる
・船や航空機の位置情報に誤差や途絶が生じ、航行システムが阻害される
・電気製品が破損
・停電
・宇宙飛行士や、航空機の乗員乗客は高レベルの放射線にさらされる
・低緯度でもオーロラが見える
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……オーロラ綺麗☆と単純に喜んではいられませんね……。
太陽では、次のような現象が起きているそうです。
「太陽が放つ膨大なエネルギーを生んでいるのは、中心部の「コア」で起こっている「核融合反応」です。(中略)
太陽のコアで起こっている核融合反応とは、軽い原子同士がくっついて、より重い原子になる反応のことで、太陽では水素の核融合反応が起きています。水素原子四つがくっつくことでヘリウムになります。(中略)
太陽は質量比で約73.8%が水素、残りのほとんどがヘリウムです。(中略)
太陽の場合、中心の温度は1580万度にも達し、その上、自らの重さによる加圧で高い密度になっているので、核融合に最適な環境がおのずとでき上がっています。」
……そして太陽はたまに大フレアを起こして、地球に、磁気嵐による停電などを引き起こしてしまうのです。
「磁気嵐というのは文字通り強力な磁気の嵐で、地球の磁場を変動させてしまいます。太陽フレアから飛び出した大量のプラズマが地球磁気圏に衝突・侵入すると、地球磁気圏や電離層に大電流が流れます。そのため地球の磁場が激しく変動し、そのことで伝導体に電流が流れてしまうのです。」
また太陽には「黒点」がありますが、ここは他の場所より2000度も低いそうです。その理由は、黒点が「強い磁場」だから、のようです。磁場には磁力があり、磁力があると、あたりにあるプラズマと相互作用します。電気が通ると、その周辺のプラズマは力を受け、内部からのエネルギーを輸送してくれる対流が妨げられてエネルギーが来なくなり、必然的に温度が下がって色が黒く見えようになる、ということでした。
この他にも太陽の「プラージュ」とか、「ダーク・フィラメント(フィラメント)」とか、「プロミネンス」とか、さまざまな現象について知ることが出来ました。
また月や金星、火星、土星などについても、さまざまな解説があります。Google Earthの火星版、Google Marsがあったんですね。
初耳だったのは、『明月記(平安時代末期から鎌倉時代初期の貴族・藤原定家の日記)』に、1054年の超新星爆発の観察記録があったという話。
20世紀の初めころ、かに星雲が秒速1000kmという猛スピードで膨張していることに気づいた天文学者が、大きさから逆算して1000年ほど前に爆発したと推定。その頃の古文書を探しましたが、欧米の古文書には記録がなく、中国と日本に1054年の客星の記録があったそうです。日本の古文書、明月記には「1054年に客星出現。明るさ歳星(木星)のごとし」と書かれていたそうで……これが超新星爆発の記録だったんですね! そんな凄いことが1000年ほど前に起こっていたなんて……驚きでした。
『太陽の脅威と人類の未来』……太陽や太陽系のことを詳しく紹介してくれる本で、とても興味津々でした。科学や宇宙が好きな方は、ぜひ読んでみてください☆
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日本はどこで世界に遅れを取ることになったのか。そのなかでも活かすべき日本の宇宙技術の強みとは。そして、これから学ぶべきイーロン・マスクさんの「狂気」とは……気鋭の科学ジャーナリストの松浦さんが、「科学技術立国」日本の現状と、復活への処方箋を教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 技術開発と実用化の主体は官から民へ
第2章 衛星技術の発展がもたらす革新
第3章 イーロン・マスク、宇宙事業を変革する異端児
第4章 日本宇宙開発体制改革10年の蹉跌
第5章 日本の宇宙開発はこれからどこに向かうべきか
*
「第2章 衛星技術の発展がもたらす革新」によると……
「アメリカのボーイング、ノースロップ・グラマンに代表される米官需で安定した収益を得ている大手航空宇宙産業、それに欧州全体が政策的に支援して対抗するアリアンスペースに代表される欧州宇宙産業、スペースシャトルから始まったアメリカ政府の宇宙ベンチャー育成策とそこから飛び出したOSCのような新興宇宙企業、冷戦終結とソ連崩壊に伴って西側の市場経済に流出した旧ソ連の宇宙技術――20世紀末の時点で、この4つが世界の宇宙産業を形成していた。」
……そして、その後の2000年代から2010年代にかけては、世界ではさまざまなスペースベンチャーが勃興しました。例えばイーロン・マスクさんが興したスペースXは、大胆不敵な発想で「ファルコン9」の開発と商業利用に成功します。その背景には、ソ連崩壊とスペースシャトル計画に端を発する、アメリカをはじめ諸外国で起きた、宇宙開発を「官から民」へチェンジする流れがありました。
そして興味津々だったのが、「第3章 イーロン・マスク、宇宙事業を変革する異端児」。ここでは火星移民構想という「狂気」にとりつかれたマスクさん率いるスペースXの快進撃が、詳しく紹介されるのです。狂気というか……情熱的ながらも非常に合理的なやり方で、多くの「失敗」経験をも活かした超スピード開発を行っているようです。この方法でマスクさんは、「ファルコン9ロケット」だけでなく、通信衛星コンステレーションのスターリンクも成功に導いています。次のように書いてありました。
「(前略)スペースXは、リスクは織り込んだ上で、簡素な実験機から開発を始め、失敗しても短期間で改良してまた試験を行い、結果を受けてまた改良し、必要に応じてロケットの仕様や将来のロードマップも変更してしまうというやり方で、第1段を回収再利用するファルコン9を管制させ、超巨大打ち上げ機スターシップをものにしつつある。」
……凄いですね。
そして、スペースXが快進撃を続けるなか、日本は何をしていたかと言うと……
なんと「第4章 日本宇宙開発体制改革10年の蹉跌」には、
「スペースXがアグレッシブな技術開発で今までに存在しなかった新たな宇宙機を開発し、その技術力で世界の宇宙開発シーンをぐいぐいと変革しはじめた。まさにそのタイミングで、日本は「これまでの日本は技術偏重だった。これからは宇宙利用だ」と、体制改革と権力闘争に時間を費やし、新たな技術開発を抑圧してしまったのである。」
……という状況であることが書いてありました……。
それでも「第5章 日本の宇宙開発はこれからどこに向かうべきか」には、それなりに明るい未来展望も……
・「日本の民間宇宙活動は2000年代後半から徐々に活発化した。かつてはNASDAや宇宙研、航空宇宙技術研究所といった、国の機関と取引のある大企業のみが宇宙分野の仕事をしていたが、キューブサットのような大学衛星、さらには大学での小型ロケット研究が盛り上がったことから、2000年代後半からそれらの教育を受けた者、および大企業や大学で長年経験を積んで退職したシニアが宇宙分野で起業する例が相次いだ。」
・「宇宙基本法が国に法整備を義務付けたことで、内閣府・宇宙政策委員会が、ステークホルダーからの意見を十分に採り入れて法整備に向けて動く基盤ができあがった。」
・「日本もまた、アメリカを追う形で2024年から「宇宙戦略基金」という補助金計画をスタートさせた。「宇宙関連市場の拡大」「宇宙を利用した地球規模・社会課題解決への貢献」「宇宙における知の探究活動の深化・基盤技術力の強化」という3つの目標を掲げ、基礎研究から実用化に至るまでの幅広い分野に、今後10年間で1兆円の補助金を支出するというものだ。」
*
ところで現在、日本の衛星技術は、次の二つで世界から立ち遅れているようです。
1)完全電化衛星の技術:静止衛星の搭載するスラスターに燃費の良い電気推進を採用するという技術。
2)フルデジタル通信ペイロード:トランスポンダ―やアンテナの完全デジタル化。すべてソフトウェアで処理するので、新しいソフトウェアを通信することで、軌道上で通信機器の仕様を需要の状況に合わせて変更することが可能になる。
……この「フルデジタル通信ペイロード」は重要な技術なので、ぜひ挽回していただきたいと思います。
この章には、スペースXと日本の宇宙開発との対比の中で、次のような意見も書いてありました。
「失敗を恐れないことは、特に日本においては大切だ。過去の日本の宇宙開発は、失敗が発生するたびに主にマスメディアから叩かれてきた結果、必要以上に失敗を忌避する習慣が根付いてしまった。(中略)失敗は次の成功に向けた知見を積み重ねることだ、という意識を持つ必要がある。」
……まさに、その通りだと思います。自分自身のことを考えても、うまくいったときよりも、失敗したときの方が、それを必死でリカバリしようと努力することで、結果的に、より深い知識と技術を得ることが出来ました。失敗経験は人間を強く成長させてくれるものだし、そもそも失敗を恐れてばかりいては、成長はできないとすら思います。
とりわけ宇宙開発は「未知」への挑戦が多いので、積極的に「小さな失敗」を織り込んで前進していこうとする態度が重要だと痛感させられました。
さて、平和憲法のもと「防衛力」中心の安全保障戦略をとっている日本にとって、測位衛星、地球観測衛星、偵察衛星、気象衛星、通信衛星などが重要であることはもちろん、通信の安定性(安全保障)のためにも自前の通信衛星コンステレーションも保有すべきではないかと思います。日本の宇宙開発に期待したいと思います。
『日本の宇宙開発最前線』……宇宙開発の歴史を振り返りつつ、現在、宇宙開発の牽引役となっているスペースXの合理性を分析した上で、日本の宇宙開発行政の問題点と、今後をどうしていくべきかを探っている本で、とても参考になりました。未来の技術や宇宙に興味のある方は、ぜひ読んでみてください☆
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重力とは何か? アインシュタイン方程式とは? そして宇宙のはじまりはどのように考えられているのか? ……宇宙の誕生に迫る宇宙論を分かりやすく解説してくれた上で、「ナノグラブ」によって行われた「パルサー」を用いた宇宙空間の精密観測「パルサータイミング法」と今後の観測計画を教えてくれます。15年以上にもわたる「パルサー・タイミング・アレイ」による観測の結果から、謎の超長波長の重力波「ナノヘルツ重力波」の正体に迫っていく本で、主な内容は次の通りです。
序章 ナノヘルツ重力波の衝撃
謎の重力波とパルサー・タイミング・アレイ
1章 重力とはなにか……空間そして時間の歪み
コラムメジャーリーグ投手の放つ重力波
2章 重力波望遠鏡……宇宙を見る新しい目
3章 連星パルサーの謎……電波天文学と中性子星
コラム 重力波に縦波成分は存在するのか?
4章 宇宙誕生の痕跡とは……インフレーション理論と原始背景重力波
5章 巨大ブラックホールの謎……宇宙の歴史を探る
コラム 「特異点定理」の数理
6章 超波長重力波を捉えるには……パルサータイミング法と宇宙の謎
7章 もう一つの重力波観測……位置天文学で見える宇宙
8章 宇宙のはじまりを見る……超長波重力波の正体と未来の宇宙観測
*
2023年、世界に衝撃を与えた国際研究チーム「ナノグラブ」の報告は、ある重力波の存在を捉えたというものでした。
発見された重力波は、ナノヘルツ、つまり数年もの非常に長い周期の超長波長の重力波。そして、この観測プロジェクトで使われた手法は、「パルサー・タイミング法」。「パルサー・タイミング・アレイ」は、パルサーを「検出器を広範囲に並べたもの=アレイ」に見立てて観測するというもので、電波星ともいわれる「パルサー」から送られてくる電波を観測することで、宇宙の空間の歪みを検出するという手法が、この「パルサー・タイミング法」だそうです。
本書は、この「ナノヘルツ重力波」がメインテーマですが、それを理解するための基礎知識として、「重力」や「パルサー」などについても、丁寧に分かりやすく解説してくれるので、とても勉強になりました。
例えば「1章 重力とはなにか」では、ケプラーの法則の他、アインシュタインの一般相対性理論についても解説してもらえます。そのごく一部を紹介すると次のような感じ。
・アインシュタインは万有引力が空間の曲がりによるものだと考えた
・「一般相対性理論によれば、天体の質量によって周りの時空は曲がっています。そのため、そこには直線は存在しません。光さえ真っ直ぐ進むことはできないのです。」
・「一般相対性理論によれば、先ほどの連星パルサーの周りの時空は曲がっています。そして、連星をなす2個の天体は互いの周りを公転するため、その時空の曲がり具合は時間変動します。これにより重力波が生じます。
そして、重力波が遠くへ広がるにつれて、エネルギーが外に運び出されます。この結果、連星パルサーの持つエネルギーは少しずつ減少します。エネルギーが減少する連星は、星どうしの距離が短くなります。つまり、1回公転するのにかかる時間(公転周期)が減少するのです。」
*
……こんな感じで、「重力波」や「パルサー・タイミング法」につながっていく宇宙論の基礎知識を解説してくれるのです。
個人的にとても参考になったのが、「3章 連星パルサーの謎」の「パルサー=中性子星」の解説。
質量が太陽の10~30倍くらいまでの恒星の超新星爆発では、恒星の物質すべてが外側に吹き飛ぶのではなく、中心部分が圧縮されて固いコアが形成されると考えられ、このコアとして残される部分が中性子星なのだとか。そして……
「(前略)原子は、中心に正の電荷をもつ原子核があり、その周りを負の電荷をもつ電子が回っています。ところが、重力によって強力に圧縮された結果、その中心部の密度が原子核の密度ぐらいになると、もはや電子が原子核の周りを自由に移動できなくなります。そして、電子と陽子が反応して、中性子に変換されます。そのため、中性子星には、通常の電子は存在しません。また、このときの反応で、中性子以外に作り出されるのが、ニュートリノです。」
……なるほど。中性子星はこんな風にできていたんですね。
そして電波パルスの周期が正確なのは、パルサーの自転が安定しているためだそうです(中性子の巨大な塊である中性子星は、その内部の物質分布がほとんど変化しないため、慣性モーメントが一定のままだから)。
そして「6章 超波長重力波を捉えるには」から、いよいよパルサータイミング法で宇宙の謎を探る方法が詳しく紹介されていきます。
「重力波」は本当に微細な変化を捉えなければならないので、観測に入ってしまう、たくさんのノイズをどう排除しているのかなー、というのが疑問だったのですが、この章でその答えを教えてもらえました。
観測電波にかかるノイズには、地球の大気(主に水蒸気)や、宇宙空間の中性水素(通常は水素分子の形)など、多くのノイズがあるそうです。
でも中性水素による遅れと、重力波による遅れには、大きな違いがあり、重力波による遅れは「万物の遅れ」ですが、中性水素による遅れは「電波の波長に依存する」ので、ある程度の補正ができるそうです。……なるほど、確かに。ただし重力波以外にも「観測データに共通のノイズ」があり、例えば、観測に使用する電波望遠鏡のノイズなどについても補正が必要なようですが……(もちろん、この他にも多くのノイズがあります)。
さらに「7章 もう一つの重力波観測」では、天体の位置を測量する天文学の最新情報を知ることができました。
『宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学』……宇宙の誕生に迫る宇宙論と、観測の最前線を分かりやすく解説してくれる本で、とても勉強になりました。科学や宇宙が好きな方はぜひ読んでみてください☆
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「長い老い」を豊かに過ごすために知っておきたい最新知識を教えてくれる本で、2023~2024年にかけて信濃毎日新聞科学面で連載した「老化と寿命の謎を探る」をまとめて、一部加筆したものだそうです。
ヒトの最長寿は122歳で、哺乳類はホッキョククジラの211歳なのだとか。でも「寿命は最初はなかった」ようです。単細胞原核生物である大腸菌のようなバクテリアは、餌と収容空間がある限り増殖し続け、これ以上は増殖不能というかたちでの死には至らない……生物の体の構造が複雑化するうちに「寿命」が必要になったのでしょうか?
この本では、「若返りをするクラゲ、再生するプラナリア」のような不思議な生きものや、長寿で知られるニシオンデンザメの不思議な生態についても知ることが出来ました。
「(前略)長寿で知られるニシオンデンザメの体温は0度ほどで、代謝量はきわめて低い。さらに体長は最大6メートルで、およそ4メートルで性成熟するという巨体。性成熟までに約150年もかかり、寿命も400年に及ぶことも、代謝量の見地から納得できる。」
……ニシオンデンザメは長寿というよりも、時間の経過スピードが私たちと違う生き物のようにも思えますね……。
老化には次の12の特徴があるそうです(本書ではもっと詳しく解説されています)。
1)ゲノムの不安定化
2)テロメアの短縮
3)エピジェネティクス変化
4)タンパク質恒常性の喪失
5)オートファジー機能低下
6)栄養感知の制御不全
7)ミトコンドリア機能不全
8)細胞老化
9)幹細胞の疲弊
10)細胞間情報伝達の変調
11)慢性炎症
12)腸内細菌叢の破綻
*
そして気になる「細胞老化を防ぐ生活」については、肥満に注意する、喫煙をしない、飲酒はほどほどに、紫外線を過度に浴びない、過度の精神的ストレスを避ける、適度な運動が大切だが過度な運動はよくない、十分な睡眠を取る、コミュニケーションも大切……などのアドバイスがありました。
さて老化に関しては、最近「フレイル」という言葉をよく聞きますが、フレイルとは、歳を重ねることによって身体機能や認知・精神機能などが低下する現象だそうです。
そしてその予防のポイントは、栄養、運動、社会参加が三つの柱なのだとか。
栄養面では、筋肉低下を防ぐためタンパク質をしっかり摂る、胃の健康のためのビタミンD摂取、さらに肉、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品、緑黄色野菜、海藻類、芋、果物、油の10種類を使った料理を毎日食べることが理想のようです。
また運動では、有酸素運動に加えて、筋力をアップさせる筋トレの導入が必要なのだとか。
老化に伴って起こりやすくなる腰痛、肩こり、関節の痛みなどの運動器疾患になったときは、なんと「痛み・しびれを怖がらす、体を動かして治すのが基本」だそうです。なぜなら運動は組織の血行を良くするし、筋肉・骨・関節の劣化を防ぐだけでなく、筋肉を動かすと、さまざまな機能を持つマイオカインと呼ばれる生理活性物質が体中に分泌されるから……やっぱり、毎日こまめに運動しないといけませんね!
この他にも「認知症リスク低減」のためのガイドラインとして、身体活動、禁煙、栄養、認知トレーニング、社会活動、体重管理、高血圧管理、糖尿病管理、脂質異常症管理、うつ病への対応、難聴の管理なども書いてありました。
『老化と寿命の謎』……老化を引き起こす活性酸素や、「細胞分裂の回数券」のテロメア、代謝と有害物除去を担う「オートファジー」、筋肉が衰えるサルコペニアなど、老化に関する最新の知識の解説も、たくさん読むことができました。
最も気になる「老化予防」へのアドバイスは、一般的な健康生活へのアドバイスとあまり変わらないような気がしましたが……一般的な健康にいい習慣は、やっぱり老化予防にもなるんですね☆ 老化や寿命について知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
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「読書系インフルエンサー」としてブログやX(旧Twitter)などで幅広く、誰でもできる自分に合った読書術を紹介している「ぶっくま」さんが、読書が苦手な人でもできるよう、読書初心者から中級者向けの読書法を教えてくれる本です。
「CHAPTER 01 読書に対する考え方」には、次のように書いてありました。
「(前略)読書を人生でよりよくしたいなら、本で得た知識により「行動」「思考」「習慣」を変えていく必要があります。」
……確かにそうですね!
「CHAPTER 02 「知る」を最大化する本の選び方」では、どんな本を読んでいいのかが分からない人のために、一般的なビジネスパーソン向けの読書のジャンルマップがありました。そのごく一部を紹介すると次のような感じ。
・何が悩みかわからない→仕事術を広く扱っている本
・問題解決ができない→論理思考力、水平思考力
・人間関係を改善したい→心理学、聞き方、話し方、伝え方、小説 など
……この他、「時間がない」「行動できない」「健康的な生活を送る」などの悩みや目的別に、それぞれ対応する本のジャンルが書いてありましたが……要するに、その悩みの解決や目的に合った本を選ぼうということのようです。
そして「学びを最大化する7つの本の選び方」としては……
1)名著・ロングセラー
2)解説本やマンガ版
3)ランキング
4)読書家のおすすめ
5)ちょいムズ本
6)反対意見や常識破壊
7)直感
……から選ぼう、とのことで、読書初心者にはまず「名著・ロングセラー」、「解説本やマンガ版」など、この番号の上位の方から選ぶと失敗しないと勧められています。
これ、とても良いアドバイスだと思います。「名著・ロングセラー」は大勢の人が読んできているので「読みやすさ」と「読む価値」が高いものが多いですし、自己啓発書に多い「解説本やマンガ版」は、例えば「仕事術」とか「問題解決法」とかの難しい内容を、できるだけ分かりやすくなるよう図解やマンガで教えてくれるので、最初に概要を学ぶときに、ぴったりだからです。
私としては、読書はしたいけど何を読んだらいいか迷っている人には、一度、近くの公立図書館に行ってみることをお勧めします。たいていの図書館は、入るとすぐに新着本や、図書館員のお勧めテーマの本が並んでいるので、まずそこで気になる本があるかどうかを確かめましょう。そして図書館全体を歩いてみましょう。すごく多数の本がジャンル別に並んでいるので、その背表紙を眺めながら歩いて、気になる本を探すのです。
図書館には児童書コーナーがあり、たくさんの「子ども向けの解説本」も置いてあります。読書が苦手な方は、「子ども向けの解説本」から始めるのも良いと思います。小学生高学年から中学生向けの解説本には、大人向けの本を分かりやすく書き直したものもあるので、自分の知りたいジャンルの本に、子ども向けの解説本があるかもしれません。私が読んだ経験では、子ども向けの解説本でも、内容は大人向けとほとんど変わらないものが多かったと思います(むしろ説明が分かりやすくて、役に立ったことも多かったです)。
公立図書館は無料で借りられることが多いので、失敗を恐れず、とにかく借りて1冊読んでみましょう。
……ちょっと脱線してしまいました。えーと、本書に戻って……
「CHAPTER 03 「知る」を最大化する本の読み方」では、「効率読書」「探究読書」「具体抽象読書」の3つの読み方を教えてくれます。
「効率読書」は、「短時間で読む方法」で、その具体的手順は……
1)読む目的、目標を設定する
2)まえがき、目次、あとがきでざっくり全体像を把握する
3)目次から目的に合った箇所に線を引く
4)重要そうな部分だけ線を引き、付箋を貼っていく
5)結論から逆算して読み、気づきをメモする
6)付箋の箇所を再読する
7)アクションプラン、感想をアウトプットする
*
また「探求読書」は、「学びを最大化する読書法」で、その具体的手順は次の通りです(もちろん本書では、それぞれに、もっと詳しい説明があります)。
1)読む目的、目標を決める
2)まえがきと目次から全体像と構成を頭に入れる
3)1章ごとに「深く読み込み」、メモと付箋を繰り返す
4)付箋の箇所とメモを再読する
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さらに「CHAPTER 04 「知る」を最大化するアウトプットの仕方」では、「読書ノートをつける」、「学びを実践する」、「人に説明する」、「書評アプリを使用する」、「SNSやブログで発信する」、「学んだ内容を思い出す・想起」、「知識ナレッジを積み上げる」などのアウトプットの方法を教えてくれました。
『「知る」を最大化する本の使い方』……読書が好きな私にとっては、斬新な読書法はとくにありませんでしたが、一般的な読書法を幅広く網羅して、とくに読書初心者向けに配慮した内容だったと思います。図解も多く、章ごとに「まとめ」もあるので、この本自体、読みやすい構成になっています。
この他にも「「知る」を最大化する読書の続け方」や、自己啓発・習慣術の本、思考法の本などのジャンルごとのお勧め書籍の名前(本の表紙付)の紹介もあるので、何を読んだらいいのか迷っている人は、まず、ここから選ぶこともできると思います。ぜひ、読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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「生成AIを誰もが使う時代だからこそ、「正しい情報の探し方」をあらためて学びたい」……レファレンス・ガイダンスのプロが、インターネット&AI時代の調べ方を総合的に教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 情報収集をする前に
第1章まとめ
第1章ブックリスト
第2章 情報の集め方
第2章まとめ
第2章ブックリスト
第3章 図書館を使いこなす
第3章のまとめ
第3章ブックリスト
第4章 情報を吟味する
第4章まとめ
第4章ブックリスト
第5章 情報のまとめ方
第5章まとめ
第5章ブックリスト
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「調べ方」についてテーマごとに解説してくれるとともに、各章ごとに終わりのページに「まとめ」があり、さらに深く学びたい人のための参考図書の「ブックリスト」もついています。
なおタイトルには「AI時代の調べ方の教科書」とありますが、生成AIなどを使っての情報の探し方の解説は特になかったと思います。そういう意味では、ごく普通の「図書館の他、インターネットも利用した情報の探し方・調べ方」を教えてくれる本だと思います。
さて、「第1章 情報収集をする前に」では、「情報収集する前に調査の計画を立てる」ことが大切だということのほか、次のようなことも書いてありました。
・情報収集をするときには、仮の結論(仮説)から必要な情報を割り出す
・文章の型を使って探す情報を言語化する
・探す情報を言語化できたら、単語レベルに分解し、情報収集のテーマとなる言葉(キーワード)を探す)
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続く「第2章 情報の集め方」では、まず、リサーチ・ナビ(国立国会図書館)とWikipediaで、探す資料にあたりをつけると良いそうです。
そして「資料の種類によって探し方が異なる」ということで、各資料を調べやすいデータベースの紹介もありました。その一部を紹介すると次のような感じです。
・本(参考図書、図書):
蔵書検索(OPAC)、
出版書誌データベースBook、
Google Book Search、
日本の古書屋 など
・雑誌記事:
国立国会図書館サーチ、
有料データベース(MagazinePlus、ざっさくプラス、Web OYA-bunko)など
・論文:
CiNii Research、
Google Scholar など
・特定分野:
法学(D1-Law.com:有料)、
科学技術系&医学(JDreamIII:有料)、
医学(医中誌Web:有料)、
企業情報(eol、EDINET、日経テレコン)、
政府の公開情報(e-Gov)、
政府統計データ(e-Stat)など
・新聞記事:
朝日新聞クロスリサーチ、
日経テレコン(日本経済新聞)、
ヨミダス(読売新聞)、
毎索(毎日新聞) など
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「第3章 図書館を使いこなす」では、「調べ方を調べることが出来る図書館のサービス」として、リサーチ・ナビやパスファインダーを利用することや、図書館での調査事例を見ることができる「レファレンス協同データベース」や、東京都立図書館のレファレンス事例検索などが紹介されていました。
さらに「第4章 情報を吟味する」では、情報の探し方だけでなく、情報の信頼性の見極め方まで解説されていました。
例えば「情報の信頼性の見極め方(基本編)」では、次の5つの基準が示されています。
基準1 情報の加工度(一次情報が望ましい)
基準2 原著との比較
基準3 参考文献リスト
基準4 ロジックの正しさ
基準5 他の情報との比較
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この他にも、次のような解説がありました(ごく一部の抜粋紹介です)。
・結論だけでなく、結論に至るまでの論証プロセスを吟味する
・事実を調査するときには、複数の情報源をチェックする
・統計データを見るときは、全数調査か標本調査かに注意する
・標本調査は、母集団とサンプルサイズに注目する
・統計の数字を見るときはグラフも見る
・医療情報を見るときには、どのようなエビデンスに基づいて結論が導かれているかを確認する
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「第5章 情報のまとめ方」で意外だったのは、「情報は整理しない」と書いてあったことでしたが……これは「検索できる状態でストックしておく」という意味で、Google Keepなどを使うと良いそうです。なるほど、「情報の整理」にはすごく時間がかかるので、この方が合理的ですね!
『大学図書館司書が教える AI時代の調べ方の教科書』……インターネットのおかげで情報収集作業は昔よりずっと簡単になったのに、莫大な量の情報から質の高い情報を得ることは、いっそう困難になっている現在、必要な情報をどうやって探すのか、その情報は正しいのか、そもそも何を探せばいいのか……について、総合的に解説してくれる本でした。
「情報収集の基本的な技法や情報リテラシー」を身につけたいと思っている方は、ぜひ読んでみてください。
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26年間 N響第1コンサートマスターを務めた「マロ」こと篠崎史紀さんが、自らの音楽人生を語ってくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 ウィーンが「音楽の流儀」を教えてくれた
16歳、目の前に積まれた100万円でヨーロッパに
ヴァイオリン教師の楽譜をこっそり盗んでは練習する日々
路上演奏で腕試し
イヴリー・ギトリスとの出会い
第2章 ウィーンで身につけたマロ流妄想力
「モルダウ」と「新世界」の妄想的背景
芸を極めるには妄想力を育てよ
ウィーンをより理解するためのワルツのレッスン
第3章 北九州が「人生の流儀」を育んでくれた
故郷、小倉はイタリアの港町?
ヴァイオリンを弾くのは歯磨きと同じ
動物園の象の檻の前でヴァイオリンを披露
第4章 N響が「コンサートマスターの流儀」を確立させてくれた
指揮者から本音を聞きだすコンマスは007?
サヴァリッシュとの思い出と堀さんの思い
フェドセーエフを救った「くるみ割り人形」
第5章 偉大なマエストロたちが音楽の流儀を教えてくれた
シャルル・デュトワ
ウラディーミル・アシュケナージ
アンドレ・プレヴィン
パーヴォ・ヤルヴィ
ファビオ・ルイージ
ヴォルフガング・サヴァリッシュ
ヘルベルト・ブロムシュテット
ロリン・マゼール
ロジャー・ノリントン
トゥガン・ソヒエフ
ネッロ・サンティ
ワレリー・ゲルギエフ
第6章 いま、日本の音楽界に、そして故郷に伝えたい思い
自分が憧れていたジュニアオーケストラを作る
指導者にも子どもたちにも必要な精神、「守破離」
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日曜のNHK教育TVのクラシック音楽番組(N響定期公演など)が好きで、毎週楽しく視聴しているのですが、そこで長年第1コンサートマスターを務めていただけでなく、音楽番組の解説などでも見ることが多かった篠崎さんについては、「指揮者や団員全員に気配りができる、いるだけで安心できる素晴らしいコンサートマスター」という印象が強かったのですが……意外なほどお茶目で破天荒なところもあったんだなーと、ちょっと驚きながら(たまには笑いながら)楽しくどんどん読めました。
北九州で篠崎バイオリンスクールを主宰しているご両親からヴァイオリンを習い、3歳でヴァイオリンを始め、中学生で大人のアマチュア・オーケストラ(北九州交響楽団)に入団、高校時代はすでにそのコンサートマスターを務めていたという、まさに音楽エリートではあるのですが、高校生の頃、ウィーンに音楽留学したときの話には、とても驚かされました。
篠崎さんは高校2年生の春、父親から目の前に100万円をポンと置かれ、こう言われたそうです。
「おまえ、海外に行ってみたいだろう。これを持って遊びに行ってこい。」
そこで自らいろいろ調べて、夏休みにザルツブルクで音楽講習会を受けるツアーに参加することに。高校2年の夏休みに渡欧して、各国を周った後、オーストリアのザルツブルクでヴァイオリンの講習を受けたのです。
この時、講習を受けるために泊まっていた宿舎の修道院を出ると、毎朝話しかけてくるおじいさんがいて、言葉が分からないまま会話していたそうですが、あるときドイツ語が分かる友人にその言葉を訳してもらったら、「音楽には何かがある。それは人間の理解を超えている」という意味だったそうで……実はそのおじいさんはナチスの強制収容所から帰還したユダヤ人で、音楽のおかげで生き延びることができたそうです……これがタイトル『音楽が人智を超える瞬間』につながっているのです。
その後、篠崎さんは高校卒業後、ウィーン市立音楽院に入学するのですが、言葉がわからなくても、どんどん会話をしてしまう彼のパワー(能力)がとにかく凄いのでした……。
そして篠崎さんのお父さんの教育方針も素晴らしいのです。お父さんの持論は……
「いいか。欠点は知っていればいい。大人になっても直るものじゃない。一生直らない。だけど、どんな短所なのかを知ってないといけないし、自分で気を付けてないといけない。それとは別に長所がある。長所は自分で伸ばしていかないといけないし、自分の長所を知っているとそのスピードは光の速度より速くなる。伸びて伸びて、その長所が短所と言われているものをパカっとくるむと、個性という名前になる。だから悪いところは直さなくていい。いいところを伸ばして、あとは好きにしろ。」
……だそうですが、これ、私もずっと覚えていたい言葉になりました……。
この本には、篠崎さんを育ててくれた恩師たちや、素晴らしい演奏家・指揮者との交流、さらには友人たちとの交流エピソードがたくさん紹介されているのですが、どれもとても温かいもので、N響コンサートマスターだった篠崎さんの卓越した「人間関係力」を知ることが出来ます。
とりわけウィーンでの学生時代からの友人・桑田さんが、体調を崩して入退院を繰り返すようになったとき、「俺は本当にだめかもしれない。でも演奏会はやりたい」という彼の希望を叶えるために、みんなを集めて演奏会を開催したエピソードには、それに関わってくれた大勢の音楽家たちも含めて、温かい人の周囲には、温かい人が集まって来るのだなーと……じーんとさせられました。
篠崎さんは若いころから、後進を育てることにも力を入れていたようで、N響に入る前年(1996)には、「東京ジュニアオーケストラソサエティ」を立ち上げています。ここでは……
「暗記させることや、正解への近道を教えることではなく、考えさせ、飛び越えさせ、飛躍していく子どもたちを見守る。守破離こそが指導者が心に刻むべき言葉だ。」
……と、「守(まもらなければならない基本を学ぶ)、破(教えられたものを自ら破る)、離(新しい自分をつくって独り立ちする)」の重要性を説いています。
また若手育成を目的としたN響アカデミーもスタートさせていて、これは……
「オーディションで選抜された受講生のレッスンは楽団員が持ち回りで担当している。楽団員の隣で弾き、リハーサル、ゲネプロ、演奏会を見学して、オーケストラで演奏するためのさまざまなノウハウを学ぶ。」
……これは若手演奏家にとって、とても有意義な機会になりますね!
最近は、日曜のNHK教育TVのクラシック音楽番組でも、指揮者によるリハーサル風景や、楽団員による高校生などへのレッスンが、短時間放映されることがあって、ただの音楽好きの日曜演奏家にとっても、とても勉強になります(今後も、よろしくお願いします☆)。
『音楽が人智を超える瞬間』……N響第1コンサートマスターで知られる篠崎さんの音楽人生を垣間見ることが出来る本で、群馬交響楽団やN響のコンサートマスターになったきっかけや、有名な指揮者、音楽家たちとの交流など、音楽を職業にする人にとって、参考になる情報が満載です。音楽が好きな方は、ぜひ読んでみてください☆
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つねに死と向き合い、自身の善悪の概念を試され、複雑で予測不可能なER(緊急治療室)の現場。ニューヨークのERに勤める若き救急医が、率直な想いを巧みな構成で描くノンフィクションで、内容は次の通りです。
まえがき
プロローグ 新型コロナウイルス
第1部
第1章 死を告げるもの
第2章 医学の学位と子犬の対決
第3章 命を救う行為の猛烈な勢い
第4章 オーケストラとひとりの観客
第5章 必死に手がかりを探して
第6章 生きる基準を再設定する
第7章 銃で撃たれた傷、フォークを飲み込む人、そして真実
第8章 「緊急治療室で扱うことはすべて緊急事態ではないのか?」
第9章 基本原則が揺らぐこともある
第10章 明らかに枠を外れた章
第2部
第11章 がんだった咳
第12章 ついに序章が始まった
第13章 お役所的な要求の不条理
第14章 死因――不明
第15章 知識は力か、無知こそ幸いか
第16章 死亡した患者に許可を求める方法について
第17章 「救急室で目にしたいちばんありえないことは?」
第18章 宝くじ
エピローグ
謝辞
監修者あとがき
原注
*
この本は、コロナウイルスのパンデミック発生時のER(救命救急室)の現場から始まります。そこで起こっていたのは、どのように治療していいのかすら分かっていない新しい感染症、次々訪れて来る患者たち、ひっ迫する医薬品や衛生用品……絶望的な状況のなか、医療従事者が自らや家族を危険にさらしつつも奮闘する毎日が描かれていきます。
コロナウイルスの時に日本がそうであったように、アメリカでもマスク等が大幅に不足し、医療従事者にさえ行き渡らない状況だったようです。しまいにはマスク不足に対処するため、使用済みマスクをできるだけ安全に使い回す方法まで編み出していたようです。新型コロナウイルスは物の表面では72時間しか生存できないと推定されたので、使用済みマスクを数日間置いておけば、ウイルスが寿命を全うして自然死するはずだから、四枚のマスクをローテーションで使える……使用後に日時が経ったマスクの方がむしろ安全だという発想は、一般人にはなかなか思いつかないものですが……アメリカでも、こんなにも大変な状況だったんですね。しかも帰宅する時には、家のものを汚染しないよう、細心の注意を払わなければなりません……。
こんな状況でも、医師たちは新しい感染症に、前線で対応しながら治療法を模索していたようです。次のように書いてありました。
・「自分たちの経験を持ち寄ることで、ひとりでは気づけなかったはずのパターンを集団の力で見つけることができた。息を切らしている患者にどのタイミングで挿管すればいいのか、人工呼吸器をどういう設定にすれば生存の可能性を最大限に高められるか、悪化する危険性が最も高いのはどのような人か。個人的な興味に基づく所見として書き留めた物事が、のちのこの病気の確立した知識になっていくのを目にした。」
・「シアトル、ロサンゼルス、ヒューストン、デンヴァー、そしてニューヨークのほぼすべての行政区に属する救急医たちが、絶え間なく会話を続けることで、パンデミックの最前線に立っていた。わたしたち自身が最良の情報源であることを自覚していた。」
・「実は、仕事をこれほどむずかしくしたのは、正しい行動方針が存在しない状況にあることを知りながら、とにかくそれを追求しなければならないことだった。」
*
……新型コロナウイルスでは、さまざまな問題が頻発しましたが、よく考えると、これは以前からあった問題が顕在化したものだとも書いてありました。
「新型コロナウイルス感染症は建物を解体する鉄球ではなく、拡大鏡だった。アメリカの医療を壊したのではなく、以前から壊れていることを暴いたのだ。」
なおこのパンデミックではなんと……
「パンデミック発生から十二カ月が過ぎるまでに、三千六百人以上のアメリカの医療関係者が新型コロナウイルス感染症で死亡した。」
……医療従事者たちは、本当に大変な状況のなかで治療してくれていたんですね……。
そして「第1部」は、ER(救命救急室)に、急死した女性が運ばれてくるシーンから始まります。女性は明らかに絶望的な状況にありますが、彼女の家族(夫)が来るまで、病院では緊急検査や蘇生の試みが次々に行われていきます。この女性は三十分の間脈がなく、回復する望みはありませんが、いつ亡くなったかどうかを決めるのは、意外に曖昧なようでした。次のように書いてありました。
「(前略)つまり結局のところ、この死者が実際にはいつ亡くなり、回復の見込みが完全になくなったという疑問に対し、明確な答えはないということだ。」
この後も、救命救急室(ER)では、どんなに手をつくしても治療できない患者や、経済的・社会的な問題を抱えた患者など、さまざまな問題事例に対処してきたことが、次々と紹介されていきます。
・「(前略)現代医学は驚くほど進歩していると同時に、頑ななまでに石器時代的でもある。文字通り新しい心臓を与えることはできるかもしれないが、体力を奪う慢性的な腰痛に対してはほとんどどうすることもできない。」
・「(前略)人生には、完璧な解決策や“正しい”行動指針がないこともある。しばしば未知の物事に囲まれながらも、行動を起こさなくてはならない。正しい行動が存在しない、きびしい事態に直面するのが日常だ。」
……そして若き救急医は、この章の冒頭でERに到着した、死亡女性の夫に、手を尽くした甲斐もなく女性が死亡したことを告げます。こんなときでも、遺族が悲しみにくれる暇もないまま、死亡にともなう事務手続きが始まり、回復の見込みもなかった死亡者に行われた医療行為への費用の請求もなされることに、対応した若き救急医は、やましさにも似た心苦しさを覚えるのでした。
続く「第2部」では、アメリカの医療制度や死亡に伴う手続きに内在する問題や、ガンの告知問題(患者に知らせまいとする家族と、本人に知らせないまま治療を進めていいのかについて悩む医師)などの問題が、さらに深堀りされていきます。
ここでは再び、先ほど急死した女性のエピソードの続きが始まります。死亡に関する書類の記入項目に必要だったため、若き救急医は検査値を再び詳しく調べ、彼女の直接の死因が実は子宮外妊娠だったことに気づきます。そのことを、また女性の夫に知らせなければならないのです……。
この本は、ERの現場には、日々とてつもなく心を揺さぶられるシーンが訪れ、医療従事者たちは、死の衝撃を感じないふりをしていても、実際には影響を受けずにはいられない(医療従事者には精神疾患や自殺者なども多い)ことを教えてくれます。
「エピローグ」には、著者のナーヴィさんが、医師として救急対応をしながら感じる「やましさ」について、次のように書いてありました。
・「(前略)最も生々しい人間のありかたに間近に接していながら、まともな解決策もなく、すっきりとした区切りもなしに歩み去るしかないというやましさ。
本書は、そういうやましさを覚えた多くの瞬間に対処しようと試みた結果だ。」
・「(前略)私にとって、本書で探求したアイデアやテーマは、さらに大きな何かへ向かうための出発点にすぎなかった。あなたにとっても同じであってほしい。わたしの未解決のジレンマや答えのない問いに、いくらかの不快感を覚えてほしいと願っている。この不快感が、人生にとって最も重要な問い――途方もなく重要でありながら目をそむけてしまいがちな問いについて考えるきっかけになればと願っている。そういう問がどんな旅へと導き、どんな結論に達するとしても、あなたもわたしたちの不快な経験を認識し、そのニュアンスと機微を歓迎し、その不確かさを味わえるようになってほしいと思う。」
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『コード・グレー――救命救急医がみた医療の限界と不確実性』……このノンフィクションでは、現場で起こるさまざまな問題に、悩みつつも誠意をもって対応し続ける救命救急医の日常をリアルに知ることが出来ました。医療現場ほどドラマチックではありませんが、他の仕事現場でも、同じような葛藤を感じることは多々あるのではないかと思います。
「(前略)人生には、完璧な解決策や“正しい”行動指針がないこともある。しばしば未知の物事に囲まれながらも、行動を起こさなくてはならない。正しい行動が存在しない、きびしい事態に直面するのが日常だ。」
……きびしい事態の中でも、常に「より良い解決策」を模索して行動し続けていくことが重要なのではないでしょうか。
救命救急医の日常を知ることが出来ただけでなく、いろいろなことを考えさせてくれるノンフィクションでした。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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