2024年度第2号(通巻第2号)の電子ジャーナルを発刊いたしました。
]]>巻頭言
阪西 洋一
寄稿
川上 和真「地域医療の累積的満足を形成するプロセスの解明
―構造方程式モデリングを用いた徳島医療圏の考察―」
立花 晃 「日本六古窯におけるコロナ禍の乗り越えとしての
地域レジリエンスへの取り組みに関する考察
~丹波篠山モデルと常滑モデルの比較考察を中心に~」
増本 貴士「コンテンツツーリズムによる「食」での地域振興の可能性」
]]>巻頭言
中島晋
提言
大元尚弘「高齢者の「多世代居住型住宅」の研究
-疑似家族住宅の可能性について-」
阪西洋一「不動産情報交換プラットフォームがもたらす取引コストの低下」
増本貴士「我が国における再生可能エネルギーの普及拡大に向けての一考察」
コラム
久保田昌宏「製造企業の「情報」に対するトランザクションコストに関する考察」
林浩一「社会経済学におけるフロー理論の発展可能性
-ポジティブ心理学と現象学的視点から-」
カイヨワは、遊びをできうる限り、合理的、理論的に考えようとしました。
そこで、遊びは無数に存在しますが、ほぼ、次の4に、カテゴライズできるといいます。
その4つとは、「競争と、偶然と、模擬と、めまい」です。
競争は、アゴン(Agon)といいます。もっとも典型的なものは、スポーツです。競い合うから楽しいのです。しかし、いつも勝ったり、いつも負ける場合は、まさに試合にはなりません。
つぎに、偶然は、アレア(Alea)といいます。さきの競争の結果であったり、条件でもありますが、運、不運が遊びには必要なのです。
さらに、模擬は、ミミクリー(Mimicry)といいます。一言でいえば、何か、だれかの物まねをすることです。子供は、ままごとや、大人の仕事の物まねをします。または、コスプレなどもこの範疇に入ります。様々な芸事も、まずは師匠の物まねからはいります。
最後に、めまいは、イリンクス(Ilinx)といいます。
こどもは、つねに動き回っています。走ったり、飛び跳ねたり、すべったり、回転したりします。身体を激しく動かすこと、または制御することが、楽しいのでしょう。大人でも、車でスピードを出したりすると、ここちよい感覚に陥ることがあります。
遊びのなかには、この4つの要素がすべて入っていることもありますが、少なくとも、このどれかが入っていると、カイヨワは論じます。
現代社会においては、遊びがいちだい大産業に発展しています。
そのときに、他社よりも優れた遊びを開発するためには、ここにあげた遊びの本質を理解して、それを具現化する必要があります。
いいかえると、遊びのステージと遊びのプログラムの最適化です。
最高の遊び、エンターテイメントを、提供する企業は、遊びの社会経済の勝者になるでしょう。
]]>ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』の第一章を簡潔に解説してみます。
様々な出来事や現象をすこしでも、学問的に考えようとすると、その言葉や概念の定義が必要となります。
では、定義とは、なんでしょうか。
「デジタル大辞泉」では、「物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明瞭に限定すること」であるといいます。
また、「論理学で、概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること」といいます。
2番目の概念のほうが、学術的なので、そちらをさらに解説します。
内包とは、その概念のもっとも中心となる意味や特性のことといえます。それに対して、外延は、どこまでがその概念に属するかの境界を定めることといえます。
経営学の用語では、ドメインと近似した概念といえます。
直接的には、範囲や領土のことですが、商品や事業では、その広がりや範疇を示しているといえます。
このドメインの策定は、企業の事業や商品戦略の基礎をなします。
このドメインは、もっとも広いものからもっとも狭いものまであります。
定義の言葉に戻すと、最広義、狭義、最狭義などのように、定義づけの範囲を任意に確定させます。
さて、定義の話を、遊びの定義のほうに、もっていきます。
ロジェ・カイヨワの『遊びと人間』の第1章で、遊びを定義づけています。
第一は、「自由な活動」であることです。誰からも強制されない活動であるといいます。
第二は、「隔離された活動」であるといいます。時間と空間に制約があるものといえます。
第三が、「未確定の活動」です。結論が最初からわかるようなものではないということです。
第四が、「非生産的活動」です。勝ち負けで財は移転しても、物はあらたに生み出さないものといいます。
第五が、「規則のある活動」です。ある程度の規則が内在しているということです。
第六が、「虚構の活動」です。日常との対比において、仮想の現実であるといいます。
具体的な内容は、第二章で述べられています。
ここでは、遊びの定義というよりは、むしろ、遊びが成立するための条件のようなものです。
本文でも述べられていますが、なんらかの定義によって、すべての事象が整理され、含みみ込まれることは、社会科学では、むつかしいでしょう。
また、社会で生起する事象は、つねに動き続けているので、それにあわせて定義も変化することもおおいにあるといえます。
]]>電子ジャーナル2022年第1号(通巻第9号)を発行しました。
今回のテーマは「第4の波」です!
巻頭言
近勝彦
提言
大元尚弘「高齢者の「課題解決型住まい」の研究」
寄稿
阪西洋一「中小不動産業者の業態分析」
増本貴士「AIによるパッケージデザインの予測とその意義」
コラム
久保田昌宏「「地方創生」における新たなエコシステムを考える」
長谷川友紀「国内電機機器産業の企業価値と開発投資に関する一考察」
Kouichi Hayashi 「Economic analysis of NFT art」
鈴木康宏「投資判断とコスト」
この費用には、土地や建物などの固定資本や、原材料や光熱費や労賃などすべてが含まれます。これを定式化することは、簡単ではありませんが、企業はそれぞれの費用をどうにかして管理していることも事実です。
ここでは、AIによる故障診断プログラムの費用を考えてみたいと思います。
このシステムを開発するときに、まずもって重要なことは、故障が時間の推移によってどのように変化するのかを見極めることです。言い換えると、どのような近似関数として、故障率を考えるかということです。
なぜなら、貴重な生産資源である工具や生産機械が故障すると、その生産性は落ち、修理または取り換えとして多額の費用がかかるからです。
そこで、いろいろな関連論文を読んでみると、故障推移(ここでは、故障を摩耗、変形、損傷などすべてを含む概念としています)は、多くのパターンがあることが分かりました。
たとえば、工具の場合の摩耗は、だいたい指数関数的に増加します。ただし、素材や活用状態や環境状況によって、その変化や曲線の位置は大きく変わります。
それに対して、複合的な製品の故障率は、バスタブのような形状として一般的に想定されています。
さらには、今度、お話しするロジスティック曲線のような摩耗劣化のパターンもあります。
そのなかで、もっとも多くのパターンは、前回お話しした、ロジット曲線のような形状です。まさに、逆S字型曲線です。
ただし、その故障個所が複数存在する場合、その故障原因は複合的であり複雑系であるといえます。
まさに、AIによる故障診断が奏功する問題であると考えられます。
ここで、AI診断ソフトウエアを開発して、企業の利潤がどのようになるかに関する方程式を簡潔に書いてみます。
π= TR – TC ・・・・・・・・・①
(π:利潤 TR : 総収入 TC : 総費用)
π= TR – TC(Cg + Ca) ・・・・・②
(Cg:一般生産費用 Ca:AI費用)
ここで、一般式は①ですが、それに、AIに関する費用を入れたものが、②式です。
ここで、AI投資(Ca)によって、その費用増分以上に、Cg(一般生産費用)が低下すれば、利潤は増大します。AIの投資が利潤拡大に寄与するように、AI投資は行われるべきことが分かります。
それらを図示したものが図表1です。
横軸に、生産量(q)をとり、縦軸に価格(p)をとっています。
青い直線が、収入線(TR線)です(ここでは、完全競争市場における価格が一定という場合を想定しています)。
それに対して、下に凸のオレンジの線は、AI投入前の費用関数で、緑の線は、投入後に総費用が低下した場合の曲線です。
これによって、利潤曲線(上に凸の線)は、赤い線から紫の線に上方移動しています。すなわち、利潤が拡大したことを示しています。
ここの議論では、故障に対する費用問題を取り上げましたが、AIはあらゆる企業費用の低下に貢献すると考えられます。

今後は、それぞれの費用の削減のメカニズムをまた書いていきます。
]]>ところが、ミクロ経済学では、費用関数は、きわめて簡素に想定され、定義されています。
標準的なテキストでは、総費用は、固定費用と可変費用(変動費用)の和とします(当コラムミクロ経済学第37回参照)。
また、短期費用概念と長期費用概念に分け、前者は、固定費が変わらない状況をいい、後者は、固定費用も変化し、変動費化した場合を考えます。
ここでも、必ずしもミクロ経済学のロジックを取らず、いわば、AI的な費用関数を考えてみたいと思います。
ただし、ミクロ経済学における費用関数の形状は、逆S字を取ると想定することが大半です。これは、生産の初期段階では、費用はむしろ効率的となり(限界費用が逓減する)、その後、費用は非効率的になるとみるからです(限界費用が逓増するとみます)。かならず、そうなるかどうかは、企業が属している産業や業態、および個別企業の都合でいろいろなことが考えられますが、一般的には、逆S字型の曲線とみることはもっともらしいといえます。
この逆S字型に近似している関数は、ロジット関数とみることができます。
この関数を簡略に説明すると、確率Pで生起する現象Aにたいして、Aが生起する確率と生起しない確率の比(オッズとよぶ)を、対数にとったものです。
数式で表すと、
f(p) = log (p / (1 – p))
となります。
この関数をPython言語で描画すると、図表1のようになります。
この場合、Pが0に漸近すると、-∞となり、Pが1に漸近すると、+∞となることを意味しています。Pが0.5のときには、ロジット値は、0となります。
これはあくまでも理念モデルですが、逆S字型関数の本質は表れています。

今回は「AI新時代を生き抜く」をテーマに投稿をお寄せいただきました。
巻頭言
中村芳信「AI時代を生き抜く」
寄稿
増本貴士「AIを活用した教育・防災・ビジネスのデザイン~その2~」
コラム
阪西洋一「YouTubeとSNSとのGT集計比較」
鈴木康宏「景気回復とDX投資」
下記よりダウンロードください。
]]>ここでは、R.T.ラストの『カスタマーエクイティ』(ダイヤモンド社、2001)の3つのドライバーを考えてみたいと思います。
「カスタマーエクイティ(Customer Equity)」とは、顧客価値(資産)のことで、どのようにすれば、この顧客価値、すなわち、顧客需要が高まるのかを考えるものであり、広い意味のブランド論からみたものです。
これは、「バリューエクイティ(Value Equity: VE)」と「ブランドエクイティ(Brand Equity: BE)」と「リテンションエクイティ(Retention Equity: RE)」で構成されるといいます。
そのVEは、さらに、「品質」と「価格」と「利便性」のサブドライバーから構成されているとみます。これは、コトラーの製品の中核や実体の一部をなすといえます。
これに対して、BEは、VEと関係しながら製品(商品)やサービスの価値を高めるものをいいます。このサブドライバーは、「顧客のブランド認知」と「ブランドに対する顧客の態度」と「ブランド倫理に対する顧客の認識」から構成されます。具体的には、コミュニケーション・ミックス、メディア、特別なイベント、プライバシー方針や環境への配慮などがあげられます。
REは、製品やサービスではなく、企業と顧客との関係性やつながりを指します。具体的には、ロイヤリティ・プログラムやアフィニティ・プログラムやコミュティ形成などです。いまでは、SNSなどを通じた顧客との一体感や共感を生み出すような仕掛けといいかえることもできます。
この考え方も、この何回かの記述からすると、お察しがつくと思いますが、VEとBEとREがつみ重なれば、需要関数は上方に移行することになります。
また、価値を高める要因であるメインドライバーやサブドライバーが決定できれば、それは、変数化でき、さらには、方程式化ができるということです。
それをPythonで、シミュレーションすれば、予測が可能となります。何を改善し、何を変更する必要があるのかが分かります。
ただし、今回みてきたいくつかの理論だけでも、視点や理論構成は変わっていることが分かります。どのような財を扱うのか、どのような人に適合するのかは、まさに、様々な移行錯誤が必要です。
その意味でも、理論枠組みとそのシミュレーションおよびプログラム化は、一体で考える必要があると考えられます。
さらには、そのような複雑な価値構成の分析にはAIを使うことが今後は必須かと考えます。
]]>彼によると、製品の構成要因は、3つの層でできているという『マーケティング原理』(コトラー&アームストロング)。
その第一層は、「製品の中核」であり、これは、製品の基本的中核的価値と考えられる。携帯電話でいえば、通信(コミュニケーション)が行えるということです。昨今でいえば、メールが行われることかもしれない。
第二層は、「製品の実体」です。これを構成する要因としては、「機能」「性能」「品質」「デザイン」「ブランド」などです。携帯電話の例でいえば、通話の品質やバッテリーの性能や写真の画像や携帯自体の形状などです。勿論、ブランド名はきわめて大きな購入決定要因といえよう。購入者は、それらから、様々な価値を得ているといえよう。
第三層は、「製品の付随機能」です。この中には、「配達」や「据え付け」や「アフターサービス」や「品質保証」などが含まれます。
ここで、リアルショップとネットショップとの関係をここでみてみたい。
ネットショップでは、第一と第二の要因(便益)は、かわらないといえますが、第三の点は、リアルショップのほうに分があるように考えられる。勿論、ネットでも配達はしてくれますし、保証もしてくれますが、据え付け時に、利用の仕方やマニュアルの丁寧な解説もすることもできます。また、故障した時もすぐに対応してくれるなどの点では、ECよりもリアルショップの方が優れているといえます。さらには、故障診断やクリーニングなどもやっていただければ、さらに付随的価値は高まるといえよう。 これからいえることは、ECは現在急拡大中ではありますが、リアルショップが第三要因を高められれば、リアルショップも生き残りの可能性が高まるといえよう 。


ちょっと考えてみると、AI経済学という分野(学問)があるわけでもなく、ミクロ経済学的にアプローチをしなければならないわけでもありません。
このコラムでは、AIが個別企業や組織、ひいては国家経済に対して正の影響をいかに多く生み出せるのかを考えることなので、様々な経済・経営学の知見を総合的に導入してみたいと考えます。
そこで、前回の需要関数をここでは、経営学のなかのブランド論、より正確にいえば、D・アーカーの3つの便益論から考えてみたいと思います。
彼の3つの便益とは、ひとつは「機能的便益」、2つめは「情緒的便益」、3つめが「自己表現的便益」です。最後の便益(要因)は、顕示的便益とも、誇示的便益と呼ばれるものです。
このような3つめの便益の議論は、100年以上前に、T・ベブレンによって主張されました。
確かに、腕時計一つをとってみても、時を知るためならば、1000円のデジタル時計で用が足せますが、ひとに見せびらかすために(それだけではないでしょうが)、100万円の高級腕時計をはめる人もいます。ざっと1000倍以上の金額を払っているといえます。
そこで、このアーカーの3つの便益論にもとづいてシミュレーションをしたのが、図表1です。
もっとも需要曲線の低位なものは、ここでは青色の線で、機能的便益を示し、中位の線(オレンジ色の線)は、情緒的便益を示し、最上位が、自己表現的便益が加わった線(緑色の線)として描いています。
このように、人々の便益が単純に加算的であるのか、どの程度の移行を示すのか、さらには、財の種類やブランドによっても異なるのではないかなどの疑問が考えられます。
これらは実証してみなければ何とも言えませんが、実証するプロトタイプとしてはありそうな図式です。
これに関しては、かつてのゼミ生が実証しているので、のちに、実証分析もお示ししたいと思います。
