
世界の国々のなかで、ひときわ思い入れのある国があります。 それは、アフガニスタンです。 大学生のころ、隣国のイランに留学していたとき、アフガニスタンの人たちと出会う機会がありました。特に仲がよかったのは、同じ学生寮に住む、文学を学ぶ大学院生の友達でした。自分より少し年上で、ハザラ族である彼女は顔立ちが日本人とそっくり。一緒に散歩をしたり、買い物へ行ったり、夕食を食べたり、慣れない生活に悪戦苦闘する私を、いつも励ましてくれました。 自分の...
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世界の国々のなかで、ひときわ思い入れのある国があります。
それは、アフガニスタンです。
大学生のころ、隣国のイランに留学していたとき、アフガニスタンの人たちと出会う機会がありました。特に仲がよかったのは、同じ学生寮に住む、文学を学ぶ大学院生の友達でした。自分より少し年上で、ハザラ族である彼女は顔立ちが日本人とそっくり。一緒に散歩をしたり、買い物へ行ったり、夕食を食べたり、慣れない生活に悪戦苦闘する私を、いつも励ましてくれました。
自分の国で起こっていること、移住した先での生活や差別、個人ではどうしようもない困難や理不尽に、ときどきひどく憂鬱になりながら、それでも目の前の現実を引き受ける姿が心に焼き付いています。ごはんを食べたり、散歩をしたりしながら彼女が話してくれたこと、それは私が人道支援に関わる原点になりました。

友人とテヘランの公園で
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)に入って、様々な方々や機関と連携し、緊急の食糧支援や越冬支援など、アフガニスタンへの支援を担当することはわたしの大きな喜びでした。WVJでは寒さや飢えなど喫緊のニーズを満たす緊急支援だけでなく、持続可能な農地の回復を目指した水路の再建事業や、困難な地域での出産を支える助産師の育成など、中長期的視野で国やコミュニティの再建に資する事業も実施してきました。
「アフガニスタンの子どもたちが生き延びるだけではなく、より豊かな人生を生きていくための支援をもっと届けていきたい」。今はアフガニスタン復興の通過点であり、地道な努力の先にきっと目指す未来が開ける。そう、確かな希望をもって支援に携わっていました。

コミュニティの人たちと協力して行った水路整備の様子
しかし、アフガニスタンは今、最悪の人道危機に直面しています。
長年にわたる紛争の影響に加え、混迷する政治や不安定な経済状況の中で、国民の半数は日々の食事や物資が十分に賄えないほど困窮しています*1。さらに、洪水や干ばつ、地震などの自然災害や気候変動の影響による被害も頻発し、すでに脆弱な環境で暮らしている人々の生活を追い詰めています。
メディア等で取り上げられることも少なく、日本にいる私たちの目には届きにくいですが、世界の様々な地域で頻発する紛争や自然災害のかげで、アフガニスタンの人々の生活はますます厳しさを増し、改善の兆しが見えない日々が続いています。
このような複合的な危機は、子どもたちの生活にも大きな影を落としています。現在、子どもたちの多くが教育を受けられていません。また、13歳以上の女の子は学校に行くことができません。女の子だけでなく、貧困により多くの男の子が、困窮した家計を助けるため働かなくてはならず、教育を受けられていません*2。アフガニスタンの識字率は37.3%(女性が22.6%、男性が52.1%、2022年時点) *3で、読み書きができる人は人口の4割にも満たず、また女性においては5人に1人しかいません。
*1 Afghanistan Humanitarian Needs and Response Plan 2025 (December 2024) | OCHA p.3
*2 Humanitarian Action, https://humanitarianaction.info/plan/1185/article/education, 2024
*3 UNESCO, Community-based Literacy and Complementary Learning Possibilities,
https://www.unesco.org/en/fieldoffice/kabul/expertise/education/literacy-learning-possibilities#:~:text=The%20literacy%20rate%20of%20Afghanistan,Literacy%20and%20Skills%2Dbased%20Literacy.
現状のまま、多くの人たちが教育の機会を失うことは、子どもたちが読み書きや計算といった、生きていくための基礎となる力を身につけることができないだけでなく、人生を健やかに、豊かに生きる力を育むことを阻み、ひいては国全体の発展への大きな壁となりえます。また、教育を中断した子どもたちは、教育の機会を喪失するだけでなく、児童労働や児童婚などのリスクにさらされているのです。
WVの事業地の一つ、ゴール州は、アフガニスタンの中でも取り残され困窮している地域の一つです。山がちな地理的特徴により、人道支援が届きにくい地域でもあります。
行政が混乱し国際社会の支援も減少する中、女子・男子の双方で、初等教育も受けられていない子どもが増えています。学習に適した、安全で安心して学べる環境の不足が著しく、ゴール州の多くの地域で校舎のある学校が不足しており、子どもたちは野外で授業を行ったり、地域の空きスペースを間借りしたりして、学んでいます。
地域の人たちは、子どもたちに何とか快適に学べる教室や、トイレや水飲み場を備えた学校を作ってあげたいという想いがありますが、村そのものが貧困状態にあり難しい状況です。それでも人々は、「教育こそが未来を作る」と信じています。
わたしたちは、このゴール州で、アフガニスタンの子どもたちに学校を届けるマイルストーン・プロジェクトを立ち上げました。多くのチャレンジがある今だから、多くの課題があるこの土地で、今まさに混乱の中を生きる子どもたちの学びを支えたい、その想いからです。

事業予定地の風景。急峻な山々に囲まれています

支援対象校(予定)の女の子たち

既存の校舎がなく、地域の建物を間借りして学んでいます
マイルストーン・プロジェクトではこれまでも、イラクやシリアなどの紛争影響国を含めた国々で、学校の建設や修繕など行い、子どもたちが安全に、安心して学ぶことができる学習環境の整備を行ってきました。アフガニスタンは、政治的にも社会的にも多くの困難があり、日々の支援活動にも柔軟で忍耐強い対応が求められています。それでも、だからこそ、壁を乗り越え、アフガニスタンの子どもたちに、学校と学ぶ喜びを届けたい。遠い日本から、「みんなの健やかな成長と学びを願っているよ」というエールを届けたい。そのような想いで、現地スタッフとともに事業実施に向け準備をしています。
事業予定地は今、雪に覆われています。
雪がとけ、春が来る頃、この地で学校の建設が始まることを、子どもたちも、コミュニティの人たちも、心待ちにしています。

事業予定地の子どもたち
関連ページ
・現在募集中のマイルストーン・プロジェクト
・遺贈、遺産や相続財産などのご寄付
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私は、ワールド・ビジョンでアフリカ地域の支援事業を担当している。 今年を振り返ると、エスワティニとルワンダに事業視察に訪れた。 そして、私は密かに考えていたことがある。 それはアフリカで王子様を探すことだ。 といっても、私はアフリカへ未来のパートナーを探しに行ったのではない。 一体それはどういうことか、今日はみなさまにお伝えしたい。 私の大切な本 私には、大切にしている本がある。 それは『星の王子様』だ。 『星の王子様』は、世界で多くの...
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私は、ワールド・ビジョンでアフリカ地域の支援事業を担当している。
今年を振り返ると、エスワティニとルワンダに事業視察に訪れた。
そして、私は密かに考えていたことがある。
それはアフリカで王子様を探すことだ。
といっても、私はアフリカへ未来のパートナーを探しに行ったのではない。
一体それはどういうことか、今日はみなさまにお伝えしたい。
私には、大切にしている本がある。
それは『星の王子様』だ。

サン=テグジュペリによって書かれた『星の王子様』
『星の王子様』は、世界で多くの方に読まれている作品のひとつで、読む時々によっていろいろな気づきがある。
物語は、アフリカで不時着したパイロットが王子様と出会うところから始まる。
王子様が地球にたどり着く前に行った星々で出会った人々のお話や、自分が大切にしていた一本のバラのお話を通して、人生の中で見落とされがちな教訓や愛情の大切さを、パイロットとの会話の中で伝えている奥の深い読み物である。
最終的に王子様は、自分の星に帰ることになり、パイロットは、せっかく仲良くなった王子様が帰ってしまうことをとても悲しく思う。
そんな時に、「空を見てよ、あの星のどこかで笑っているから(意訳)」と王子様は言う。
それがこの作品で有名な、「大切なものは目に見えない」という言葉につながる描写のひとつでもあるようだ。
そして王子様が星に帰ってしまった後、パイロットは、「もしアフリカの星空の下で、地球に戻ってきた彼(王子様)を見かけたら教えてください(意訳)」と最後の1ページで語りかけ、物語が終わる。

ルワンダの空。星が出てくるのを待っている時。
それ故、私はアフリカに行くたびに王子様がどこかにいるんじゃないかと、ファンタジーとはわかっていながらもついつい思い出してしまったりする。笑
しかし、現地で子どもたちと会うと、本の中で王子様が教えてくれたように、人生の中に隠された教訓や愛情を彼らから学ぶことがよくある。
まさに、子どもたちは私にとっての「星の王子様」そのものだ。
子どもたちは、困難な生活の中でも、純粋な心で笑い、ともに過ごす時間を大切にし、日頃忘れがちな「本当に大切なこと」を見つめる力が宿っているように感じる。

ルワンダの子どもたち
その一方で、過酷な現実を目の当たりにし、もっと何かできる力が自分にあればと思う。
もちろんひとりで成し遂げられることではないため、皆さまと思いをともにできたら、と心から願っている。
これまですでに多くの方々が思いをともにし、支援の輪が広がり、少しずつ子どもたちの生活を変え、未来を明るくしている。
その思いに感謝し、その輪がさらに広がることを願って
︎︎支援事業第1部
且田 真理

エスワティニの支援地域の女の子たちと筆者
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バングラデシュに赴任してちょうど1年が経った今年7月。本当は、よく通っているカフェに行って、色々と振り返って物思いにでもふけろうと考えていました。しかしちょうどその時、政府とデモ隊の衝突が激化した結果、約2週間外出が禁止され、インターネットが遮断され、仕事ができない状況に陥りました。結局当時の首相が国外逃避し、暫定政権が立ち上がる形で幕を閉じましたが、その間ニュースを見ながら、現地の人たちと話しながら、国中で希望と不安が複雑に入り混じる...
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バングラデシュに赴任してちょうど1年が経った今年7月。本当は、よく通っているカフェに行って、色々と振り返って物思いにでもふけろうと考えていました。しかしちょうどその時、政府とデモ隊の衝突が激化した結果、約2週間外出が禁止され、インターネットが遮断され、仕事ができない状況に陥りました。結局当時の首相が国外逃避し、暫定政権が立ち上がる形で幕を閉じましたが、その間ニュースを見ながら、現地の人たちと話しながら、国中で希望と不安が複雑に入り混じる様子を目の当たりにしました。
そんな渦中、以前駐在していたカンボジアの上司から安否確認を兼ねて、次のようなメッセージが届きました。
「As silver lining.」
このメッセージの意味は後ほど。
「他人や物事を〇〇だと勝手に決めつけてはいけない」
学校や家庭で、聞いたことがあるフレーズだと思います。私も、心の中で「あの人はこういう人間なんだ」と決めつけて、あとから違う側面を知って反省したことが山ほどあります。「決めつけてはいけない」と言うのは簡単だけど、何度も繰り返してしまうのを見ると、それが人間の性(さが)なのでしょうか…。
でも一方で、ある意味「絶対にこうだ/こうあるべきだ」と強い信念を持って、時には盲目的にまでなりながら物事を決めつけることも、人間あるのではないかと思ったりします。

学生時代に訪れたメキシコで友人たちと
とても楽観的な考えに思えますが、いつだったか「全ての人は良い人だ」と決めつけることにしました。「全ての人には良い心がある」の方がより正確かもしれません。国内外の色んな人と関わり、直近ではカンボジア、バングラデシュと駐在地を渡り歩きながら、一見気難しく見えても、どれだけ立場や境遇が違っても、相手に関心をもって誠意を見せて接していると、ふと「人間らしい一面」や「良い心」が垣間見える瞬間が何度もありました。
その時に感じた不思議な高揚感が原動力となり、今もそうした瞬間を追求しながら、「全ての人には良い心がある」ことを証明(?)すべく、心の中で勝手にサンプル収集を続けています(人生1回分では不十分かも…)

担当事業で建設した給水ポイント
再び話は変わりますが、NGOの海外駐在の仕事、プロマネ(プロジェクト・マネジャー)の仕事がどんなものか聞かれるたびに、なかなか一言で答えづらくて悩んでいます。
私が担当する事業では、バングラデシュのコックスバザール県ラム郡という場所で、村落レベルでの水衛生環境の改善を目指しています。コミュニティと学校で井戸やトイレ、排水溝などを建設し、住民たちがそれを維持・管理できる体制を構築し、宗教リーダーや教師、女性、子どもたちと、異なる住民グループへの啓発活動と働きかけを通じて、コミュニティ全体で適切な水衛生に関する知識と行動が普及するよう取り組んでいます。
これらの活動を円滑に進めるために必要な業務、例えば活動計画に基づく進捗確認と調整、予算の管理、地域関係者との関係構築、事業に関連するイベントへの出席、報告書を含む各種書類の作成、現地スタッフのマネジメント…と、色んなことをしています。その中でも、特に最近意外なやりがいを覚えているのが「スピーチ」です。

支援地域で「世界手洗いの日」の啓発活動の際にスピーチする筆者
プロマネという立場上、ミーティング、研修、現地視察と、何かある度に政府関係者とともに人前に立たされ、一言、二言コメントするよう求められることが多々あります。
スピーチの内容は、参加者への挨拶、ドナー国(私の事業の場合は日本)に対する感謝、活動テーマに関する話、住民に対する激励などで、中には活動とあまり関係のない個人的なアジェンダを話す人もいます。ある程度の流れは決まっているものの、具体的な内容についてはそれぞれが好き勝手に言える機会です。余談ですが、カンボジア駐在時代には、啓発活動の中で1時間もスピーチをした政府関係者もいました(何度か目を閉じてしまったことはここだけの秘密…)
事業スタッフにはいつも「現場では君たちがしっかり活動してくれるから、プロマネである自分の仕事はスピーチだけだ」と冗談半分で言いますが、半分は本気でそう思っています。
でも、初めてスピーチを頼まれた時は正直困惑しました。「こんな仕事があるなんて、聞いていない。何でもない自分が政府のエラい人たちと並んで何を語るんだ…」と。元々人見知りで、大勢の前で話す際に足が震えるほど緊張する性格だったので、余計にです。ただ、それをやっていくうちに「これが現場での自分の存在意義かもしれない」とまで思うようになりました。

バングラデシュに赴任して最初の支援地域視察時の様子
計画に沿って活動や予算を実施・管理することは、プロマネの責任における最重要事項です。しかし、実際には毎日現場で手足を動かしてくれるスタッフがいる分、相当な専門的知見がない限りは、私自身が直接的な変化をもたらすというよりは、事業チームに対する全体的なサポートや指導、関係者をコーディネートすることが主な役割です。それでも、自分が現場レベルで直接影響を及ぼす領域があるとしたら、それはこの事業の責任者として大きなビジョンを示し続けることではないか、と考えるようになりました。
ワールド・ビジョンがどのような理念・ミッションをもって働いているのか、この事業を実施した先にはどのような光景が待っているのか、そのために各々に何ができるのか、関係者間でどのように連携できるのか、そもそも外国から来た自分がどういう人間で何を考えてここで駐在しているのか。そうした大きな考えを言葉や姿勢でアウトプットすることで、地域の人々が少しでも前向きに活動に参加できるよう励まし、政府関係者には「この人たちと協力すれば、地域に良い変化がもたらされるかもしれない」と思ってもらい、事業スタッフにはこの団体・事業で働く意義とプライドを感じてほしい。
全く境遇の違う自分の言葉(しかも母語ではない英語で話し、現地語に訳されて伝わる言葉)がどこまで現地の人々に響くか分かりませんが、冒頭の「全ての人には良い心がある」という信念に何度も立ち返りながら、前向きに取り組めているのかもしれません。

事業で建設した学校トイレを政府関係者が訪問した際の様子
例えば、政府関係者たちとのミーティングの中で、「なぜ自分が管轄する〇〇村は事業対象に含まれていないんだ。そこにだってニーズがあるんだぞ!」と少し感情的に話す人がいます。その人の気持ちもある程度は理解でき、対象村の選定プロセスを説明したところで納得してもらえないことが多いので、いつも頭を悩ませるコメントです。
「そんなこと言ったって、事業というのは予算が決まっていて、こっちも色んな制約の中で悩みながら決めているんだよ」と、その場しのぎの返事をすることもできると思います。
でもその気持ちをグッとこらえて、自分自身も、この人たちも、もっと大きなビジョンを見て協働できればという願いを込めて、その時はこう答えました。
「我々の事業にも制約がある点、事業責任者として大変申し訳ないと思っている。でも、みなさんと一緒にこの地域全体で長く続くような良いインパクトを残したいと思っているし、子どもたちが健やかに育ち、それぞれの夢を叶えられるような環境作りに少しでも寄与したい、という強い願いはみなさんと同じだと思う。この事業が一度に多くを変えることはできないかもしれないけど、この3年間で良い事例を作れるよう一生懸命努めるので、それをどうやって地域で広げていけるか、ぜひみなさんと意見交換しながら考えていきたい。だから、今後も我々の事業に関心をもって参加して、その都度フィードバックをくれたら嬉しい」
後から振り返って、何か仰々しいことを言っているなーと自分でも思います…。何回言っても納得しない人たちも、もちろん中にはいます。でも、悩みながらも誠意を込めて話した言葉が、一部の関係者には着実に伝わっている感触があります。支援地域を視察した時に、住民の前で我々の事業を良く紹介してくれるようになったり、政府側での承認プロセスをスムーズに進めてくれたり、お茶に誘ってくれて家族の話をシェアしてくれたり。そういう姿を見ながら、たかがスピーチ、されどスピーチ、という思いで、自分がどのような言葉を発するべきか日頃から考えるようになりました。

学びのワークショップ時に撮った事業チームの集合写真
「誠意を持って関わる」ことで前向きに参加してくれるようになったのは、政府関係者だけではありません。
今年の4月、政府職員や地域住民、事業関係者など約100人を招待し、事業1年目を振り返る「学びのワークショップ」を実施しました。この1年間、何カ所で水衛生施設を建設し、どんな内容の研修や活動を実施したのか。その結果、どのような変化が生まれ、残された課題に対しては今後どう取り組むべきか。実際に活動に参加した人たちは、どう感じているのか。そうした点を、プレゼンや意見交換、グループワークを通じて確かめ合いました。

事業活動からの学びをシェアする女子学生
その中で、住民たちから聞いた次の言葉が心に残りました。
「これまで経済的困窮から子どもたちが学校を中退し、トイレを設置する余裕もなく、たびたび屋外で排泄していた。でもある日、事業活動に参加するようになり、衛生的な家庭環境を整える重要性に気づいた。そこから毎日少額のお金を貯蓄し、数カ月かけて自宅にトイレを設置した。今では、以前のように下痢症などの病気にかかり、治療費を捻出することも減った。自宅にトイレがあることで、社会的な尊厳を得られたと感じている」
「以前は、自分たちの声(voice)を伝える場所がなかった。でも、今はワールド・ビジョンが自分たちの声を聞きに来て、その声に応えようとしてくれている」
実は事業開始当初、「収入が少なく食に困っているのに、なぜ水衛生の事業なんだ?」という住民の声を聞きました。今もまだ劇的に生活が変わった訳ではないものの、上の言葉を聞いて、住民たちが厳しい生活の中でも我々を信頼し、参加し続けてくれたんだな、と嬉しい気持ちでした。それと同時に、「尊厳を得られた」、「声を聞いてもらえた」という言葉が、とても尊く感じられました。「水衛生環境を改善する」という文字通りの目標以上に、自分たちが今ここにいる意義について、改めて考えさせられるきっかけとなりました。

支援地域の子どもたち。仲睦まじい様子を見て、思わず後ろ姿をパシャリ。
冒頭のカンボジア時代の上司から届いたメッセージ。
「As silver lining.」
英語の慣用句で「雲の隙間から見える空の明るい部分のように、逆境の中にも希望の光があるはずだ」という意味。
状況が変わってどうすれば良いかわからない時、物事がうまくいかない時、小さなことで動揺したり、不満を言ったり、他人を責めたりと、意識しないとどこまでもネガティブになれるものだと思います。もちろん状況が自分にとって好ましくない事実は、すぐにはどうしようもないかもしれません。でもだからこそ、時には意図的にでも小さな希望を大きな未来に抱くことが、前向きに物事に取り組み続けるカギなのではないか。そして、私自身が支援地域の住民やスタッフと関わりながら希望を再発見し続けているように、それは一人ではなく色々な人たちとの繋がりを通じて可能なのではないか。今年1年間、特にここ数カ月間を振り返って、そう考えています。
内容がカタすぎて、このまま終わるのがちょっと嫌なので…最後に一言。
どこまでも続く長~い海岸線(125㎞!)を歩いてみたい方、ちょっとした冒険(?)をしてみたい方。ぜひバングラデシュのコックスバザールに足を運んでみてはいかがでしょうか?良いリフレッシュになりますよ~:-)

治安が落ちついた2024年8月、コックスバザールのビーチで撮影した空
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9月21日は「国際平和デー」。すべての国、すべての人々にとって共通の理想である国際平和を記念、推進していく日として、国連によって制定されました。 しかし、現在の世界を見ると、紛争は終わるどころか、拡大・深刻化し、多くの人々が恐怖の中を生きています。そして、その中でも最も弱い立場に置かれているのが、子どもたちです。 現在ワールド・ビジョン・シリア危機対応事務所で働く渡邉裕子(わたなべひろこ)スタッフは、長きにわたり難民・避難民の子どもたち...
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9月21日は「国際平和デー」。すべての国、すべての人々にとって共通の理想である国際平和を記念、推進していく日として、国連によって制定されました。
しかし、現在の世界を見ると、紛争は終わるどころか、拡大・深刻化し、多くの人々が恐怖の中を生きています。そして、その中でも最も弱い立場に置かれているのが、子どもたちです。
現在ワールド・ビジョン・シリア危機対応事務所で働く渡邉裕子(わたなべひろこ)スタッフは、長きにわたり難民・避難民の子どもたちに寄り添ってきました。今回のブログでは、シリアでの支援活動の様子や渡邉スタッフの思いを、インタビュー形式でお届けします。

WVシリアのスタッフと筆者(右)
2011年3月に発生したシリア危機は500万人もの人々がシリアを後にし、700万人の人々が国内での避難生活を強いられるなど、少なくとも1,200万人の人々に影響を与えています。13年もの間、想像を絶するような劣悪な環境の中、一日一日を生き延びる、そういった生活を送っています。
渡邊スタッフは、2015年春から2019年夏まではヨルダン国内にいるシリア難民やヨルダン人の子どもたちの支援を、2019年8月からはシリア国内支援を担当しています。
この2019年は、特に紛争が激化した年でした。2019年12月だけでも100万人の人々が家を追われ、新たな避難を強いられる事態となりました。その後2020年3月には停戦合意が結ばれたものの、散発的な紛争が続いています。2023年2月にはトルコ・シリア大地震が発生。不安定な状況で暮らす人々が、さらにぜい弱な立場に追いやられています。
渡邉スタッフにこれまでの働き、シリアの状況、そしてこれからのシリアへの思いを聞きました。

給水の順番待ちをする国内避難民キャンプの子どもたち
* * * * * * * * * * * * * * *
—入団して間もなく緊急人道支援のスタッフとしてヨルダンに派遣され、10年になろうとしています。なかなか平和は遠く歯がゆいですが、今、どんな風に感じていますか?
「正直、これだけ危機が長引くとは思っていませんでした。支援の必要はまだまだたくさんあり、できるだけ長く支援を続けることができたらいいなと思っています。今は世界のあちこちで危機が起こっているため他の地域や団体に移っていくスタッフも多く、10年経って残っている外国人スタッフは私だけです。でも、日本人である私が同じ事務所に長くいることが、現地のスタッフにとって『見捨てられていない、忘れられていない』という心の拠り所になるかもしれないと感じています」
— どんな10年でしたか?
「あっという間でしたね。特にシリア国内支援の担当になってからは、子どもたちを取り巻く状況がより厳しく危険も多いので、精一杯対応しているうちに一日が過ぎていく感じです。それだけ緊急性が高いということです。また2023年の地震発生時は、今まさに困っている人にどう支援できるか、そればかりを考える日々でした。シリア北西部では、建物が倒壊しても十分に重機があるわけではなく、わずかにあったとしても燃料が尽き、倒壊した建物の下に人がいることが分かっていても救助できない。あるいは隣国のトルコも被災していて道路が寸断していて救援物資が届かないなど…現場からたくさんの悲痛な声を聞きました。被害状況が伝わってくる中で、立ち止まる間もなく動き続けました」

シリア北西部は1万軒の建物が全半壊しました。もともと紛争の影響で地震前から脆弱な状態にあった建物に、地震が追い打ちをかけました。

地震発生後の緊急支援で暖房用の燃料を配布しようとしているスタッフ
— シリアの国内、人々はどのような暮らしをしていますか?
「2015年ごろからコロナ禍にかけて周辺国との国境が閉鎖され、それ以降国外に出ることが難しくなりました。国外に逃れたくてもそうできなかった人たちがいます。シリア国内で避難している国内避難民の数は約720万人と言われており、国外に逃れたシリア難民約500万人よりさらに数が多いのです。そうした国内避難民の方は北部に多く住んでいます。国内避難民の中には、凍死者が出るほど寒い冬を、国内避難民キャンプの中の非常に粗末なテントで過ごしている人たちもいます。日本の多くの方々は“キャンプ”に、自然の中でのレジャーなど、楽しいイメージを抱くと思います。でも、私は“キャンプ”という言葉を聞くと、悲しい気持ちになるんですよね。緊急人道支援者あるあるかもしれません。
シリアにいる人たちは紛争の悪化にも怯えながら過ごさなければなりません。そうなると学校は休校となり、子どもたちは家の周りで過ごさざるを得なくなります。近くで面倒を見られるおとなが十分にいない中で、これは子どもの保護の観点から大きなリスクとなります。特に震災後、少なくない数の子どもたちが、肉親や友達、親しい人を亡くしたり、離別を経験したりして、心理的な傷を負っています。人々が貧困状態に陥って物乞いをする姿や、女性や子どもへの暴力を目撃することも、子どもの心に深刻なダメージを与えています」

国内避難民キャンプの子どもたち

自分のテントの前に座る男性
— 現在のシリアの教育事情について教えてください
「私が今見ているシリア北部では、そもそも学校に行っていない子どもたちが多くいます(* シリア北西部のイドリブ県では69%の子どもが不就学状態)。国内避難民の多い地域ですので、頻繁な移動を繰り返しているうちに勉強をあきらめてしまう。また移動した先に学校がないこと、学校が遠くて徒歩で通学できない、交通機関を使って通学するお金がない、学校への道のりが危険、紛争のため学習環境が整っていないといったことが理由です。
学校に通うことのできている子どもたちでも、安心して学校に通えているとは言えません。学校・教室数の不足、学校設備の不備、先生への給与未払い(*イドリブ県の教員の22%には給与が支払われていない)など、最低限の学習環境が担保できない状況にあります。現在支援しているシリア北部は、税金を徴収して公共サービスを行える状況ではないため、どの学校も資金不足です。ボランティアで教えている先生もいると聞いていますが、生活が成り立たないのではないでしょうか…。
現在行っているジャパン・プラットフォーム(JPF)の事業では、2校の学校を支援していますが、この2校については先生のお給料、子どもの文房具、水道光熱費などの管理費などをJPFからの助成金と、ワールド・ビジョン・ジャパンのご支援者の募金で賄っています」

屋根も壁もない校舎で学ぶ子どもたちと先生
— 学校設備の問題にはどういうものがありますか?
「まず、破壊や故障した後修理されずに放置され、使用できるトイレがない学校がたくさんあります。そのため、学校の外の草むらなどで済ませることがありますが、子どもにとってこれは不安を感じることです。女の子の場合は特に厳しく、そのような学校に通わせたくないと考える親も多く、教育を諦めてしまう原因になっています。女の子だけでなく、身体に障害を持つ子どもたちにとっても大きな問題です。石鹸や手洗い場などの衛生設備も不足しており、この地域では2022年以降慢性的にコレラが流行しています。
また、冬の寒さも本当に厳しいです。暖房用の燃料が不足していますし、教室は壁や窓が破壊されるなどして、ほとんど外と同じような状態です。子どもたちは寒さに震えて勉強どころではなくなります。そのため、学校の出席率は冬になると極端に下がってしまいます」
— 子どもたちにとって大切な学校が破壊される理由は何ですか?
「紛争で無差別に爆撃されることによって学校も破壊され、多くの校舎が修復できずに放置されています。実は学校を修復するのも一筋縄ではいきません。私たちワールド・ビジョンのような支援団体は学校を直し、子どもたちが通える場にしたいと思いますが、避難してきた方が住みかとして使用している場合もあります。話し合いを重ねて別の場所に移転してもらうことが必要です」

破壊された校舎(地震前に撮影)

寒い冬、暖を取る人々
— 渡邉スタッフが考える教育の重要性とは何ですか?
「今学校にいる子どもたちが教育を続けられること、中断させないことを何より大切に考えています。一度学校教育が中断されてしまうと、学校に戻らなくなる可能性が高くなり、児童労働や児童婚のリスクが高まります。
スタッフが子どもたちにインタビューすると、みんな夢を語ってくれます。多くの子は「エンジニアになりたい」と言います。国の復興に役立ちたいと思うからです。それを支援してあげなければ復興の道が閉ざされてしまいます。
だから子どもたちを学校に行かせてあげたい。教育の機会のない子どもがいないようにしたい。先生への支援や、学校施設の補修への支援も本当に必要です」
— 渡邉スタッフ自身の夢はありますか?
「シリアの難民、国内避難民の人たちがいつか本当に故郷に帰れる状況になったときに、帰還を支援する働きがしたいです。故郷に帰った後の生活再建の支援もしたいと願っています。国内にとどまった人、他国から帰ってくる人、まだ帰れない人と、立場に様々な違いがあり、公平で適切な復興支援がなければ、平和が定着しない可能性もあります。私は2002年、アフガニスタンで支援を行ったことがありますが、その経験からも人々の不公平感が新たな紛争の種にならないように、十分留意をしながら課題に対応していかなければならないと感じています。息の長い支援が必要です。平和は一直線に訪れるわけではなく、良い状態と悪い状態を行ったり来たりしながらゆっくりと訪れるのかもしれません」
かつてはアラブ文化の中心地で、美しく豊かだったシリア。いつかその姿を再び見ることができるように、私たちも現地の必要に応え、子どもたちが少しでも健やかに育つことができるような支援を届け続けていきたいと思います。

シリアの子どもたち
* * * * * * * * * * * * * * *
ワールド・ビジョン・ジャパンは、難民・国内避難民の子どもたちの学びの環境の整備、教育の質の向上、心のケアなどの支援を行うために、【難民支援のための募金】へのご協力をお願いしています。
皆さまのご寄付で、厳しい避難生活の中でも子どもたちが学びを続け、未来の可能性を広げることができます。ご協力をお願いいたします。
・世界の難民危機と子どもたち
・3分でわかるシリア ~シリアって、どんな国?~
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2024年5月某日。ダッカは夜9時。ワールド・ビジョンの活動を視察する目的で、初めてバングラデシュを訪れた私は、10日間の滞在を終え空港に向かうホテルのシャトルバスの助手席で、旅の達成感を覚えていた。 「新しく建設されたバイパスを通るよ。お陰でスイスイだからね!」 ホテル出発前、運転手が自国の発展について誇らしげに語っていた通り、比較的スムーズに進んでいたシャトルバスも、空港近くなると渋滞のため速度は急に遅くなり、やがて止まった。 「ま...
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2024年5月某日。ダッカは夜9時。ワールド・ビジョンの活動を視察する目的で、初めてバングラデシュを訪れた私は、10日間の滞在を終え空港に向かうホテルのシャトルバスの助手席で、旅の達成感を覚えていた。

ニュージーランドと日本のキリスト教会の牧師とともにバングラデシュを訪問しました(右端が筆者)
「新しく建設されたバイパスを通るよ。お陰でスイスイだからね!」
ホテル出発前、運転手が自国の発展について誇らしげに語っていた通り、比較的スムーズに進んでいたシャトルバスも、空港近くなると渋滞のため速度は急に遅くなり、やがて止まった。
「またしばらくかかりそうだな」
背もたれに寄りかかってボーっと道路を眺めていると、分離帯に一人たたずむ少年の姿が目に入る。向こう側に渡ろうとしているように見えた。渋滞中のこちら側とは違い、反対車線は、スピードを出している車も多い。
「渡ったら危ないよ。何しているの」
ヒヤヒヤして眺めていると、少年と目が合った。
下の方からバナナを持ち上げて、私に向かってニヤッとした。
分離帯の少年とのこの一瞬の出会いは、私にこの先の人生の中で折に触れて思い出す、大切な原体験になる予感がした。
「心が引き裂かれなかったら、どうしよう」
時は戻って、日本を出発する前、私の心には大きな不安があった。

バングラデシュの地域事務所に掲示されていたボブ・ピアスの写真と祈りの言葉
「神の心を引き裂くもので、私の心を引き裂いてください」
20年程前、牧師の卵たちと机を並べて勉強していた際、とある支援団体主催の企画ツアーでミャンマーの孤児院を訪れた。子どもたちの笑顔に心を洗われた一方で、孤児院に残される子どもたちがいる現実への痛みが原体験となり、世界や社会の課題の研究に関心を持つようになった。
「少しでも実践の場に近いところで」。研究生活がひと段落した時、そう思って、ワールド・ビジョンの扉をたたいた。それから6年。支援地域の訪問は初めて。
20年前の自分と違って、心を動かされなかったら。自分が変わってしまっていたら。自分自身の人生の使命を考え直すことになったら。出発前、大袈裟かもしれないが、そんな不安な気持ちでいた。
しかし、私の不安は杞憂に終わった。旅を通して、たくさんの心が引き裂かれるような場面があった。
例えば、ワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップの支援が始まって1年程経った村を訪れたときのことだ。
チャイルド・スポンサーシップは、約15年かけて、子どもたちを取り巻く環境を改善し、子どもたちが貧困の状態から抜け出せるように支援する活動だ。事業を開始する前、約1年かけて支援ニーズの調査や、事業計画策定を行う(いわゆる、アセスメントのフェーズ)。事業開始後の数年は、支援地の人々と信頼関係を築きながら活動を進める。
村の人々が集まり、コミュニティのファシリテーターが、村のニーズを説明してくれた。

南部地域に位置するこの村は、洪水・サイクロン・干ばつなどの気候の変化に影響を受けやすく、計画性をもった収入設計が立てにくいという。子どもたちを十分に食べさせることができず、栄養不良が課題だ。生活水は池。海岸に近く、塩分が多い。当然、衛生面からも飲み水には適さない。ファシリテーターがこれらの説明をする間、村の人々が、次々に口を挟む。私たちの痛みを知ってくれ、と言わんばかりだ。
群衆の中に、淡いピンク色のシャツを着て静かに立っている少年がいた。目に障害があることは、すぐに分かった。
村には、栄養不足が主な原因となり、障害を持って生まれる子どもたちが多いという。貧困という厳しい状況の中で、彼らはさらに過酷な生活を強いられている。
このような状況に出会ったとき、「あなたが存在するのなら、なぜこのような不公平をゆるすのですか」と神に嘆きをぶつける自分がいる。事業により支援活動が進めば、子どもたちを取り巻く環境は改善するだろう。そこに希望はある。しかし、私は、それ以上の希望を必要としていた。
あちらこちらから切実な痛みの叫びを飛ばす群衆の中にたたずむ少年のシャツの淡いピンク色。それが何ともチグハグな気がして、言葉にならない心の渇きを覚えていた。
支援活動の成果以上の希望とは何だろうか。
その問いの答えの兆しは、次の日に見つかった。
村を訪問した次の日、「Chosen Party」が開催された。Chosen[チョーズン]では、子どもたちが自分のチャイルド・スポンサーを選ぶ。貧困にある子どもたちには選択する機会がほとんどない。自分には未来を選ぶ力がある。それを知ることで子どもたち自身が変わる。その瞬間に関わることから始まるチャイルドとの交流を通して、チャイルド・スポンサーの人生も変わる。そんなコンセプトだ。

ワールド・ビジョンは、70年以上、貧困の問題に取り組んできた。しかし、貧困は、深刻化・複雑化し、子どもたちを苦しめている。ワールド・ビジョンにしかできない方法で、そんな子どもたちを支援できないか。Chosen[チョーズン]は、そう願った結果与えられたアイデアだと思っている。この日、ニュージーランドでChosen[チョーズン]に参加したチャイルド・スポンサーが、チャイルドに選ばれる。そのChosen Partyの会場にいた。
会場に着くと、チャイルド・スポンサーの写真が、こちらを見て前方に並んでいる。待っていると、子どもたちが到着する。すると、牧師でありアーティストでもある日本の参加者による演奏が始まった。
子どもたちが音楽に合わせて踊る。お母さんに抱き付き、泣きじゃくって離れなかった子どもが、お母さんの手を離れて、自ら子どもたちの輪の中に入っていく。

この地域の責任を持っているワールド・ビジョン・バングラデシュのスタッフも歌う。責任者として着任したばかりだそうだ。ニュージーランドと日本から12名のゲストを招く。前の週には40度を超える熱波が襲っていた。雨が降ったら、プランBに切り替えなければならない。何とか計画通りに進めたい。前日の彼女は、不安による緊張からか、非常にピリピリしているように見えた。その彼女が、楽しそうに歌い踊る子どもたちの姿を見ながら、はち切れんばかりの笑顔で、調子を合わせている。
楽しそうに踊る子どもたちの目線に合わせて写真を撮るため、ひざを立ててしゃがんだ格好で、ふと、横を見ると、子どもたちに選ばれるのを待っている、たくさんのニュージーランドの家族の写真が目に入った。

その時、私が探し求めていた、支援活動の成果以上に必要としていた希望とは何かが分かった。
それは、「祈り」だ。
子どもたちの最も身近で我が子の幸せを願う、父・母の祈り。何らかのきっかけで、人生のこの時点で、子どもたちのために収入の一部を捧げようと決めたチャイルド・スポンサーの祈り。文化・社会的制限のある中で、集められた寄付を最大限に有効活用し、子どもたちとチャイルド・スポンサーを繋ごうと励む、ワールド・ビジョン・バングラデシュのスタッフの祈り。
会場には、子どもたちが得る「自分の意志で選ぶ」体験が最後の機会にならないよう、これから何度も人生の選択をしていってほしいと期待し、それを支えたいと願う、それぞれの祈りがあった。
「愛には形がない。しかし、その愛に形を与えているのが、ワールド・ビジョン・バングラデシュのスタッフの皆さんの働きだと感じた。貧困という厳しい状況の中でも、神が子どもたちを愛することをけっしてやめていないことを、私たちの代わりに行動をもって示してくださってありがとうございます」
視察を終え、スタッフへのフィードバックの時間で、日本からの参加者の一人がこう結んで、スタッフを励ました。祈りの言葉のようにも思えた。視察を通して、バングラデシュで積まれた祈りが日本の私たちに繋がった瞬間だった。
ワールド・ビジョンの活動には、世界中からの祈りが詰まっている。そのようにして繋がれていく祈りは、困難な状況下で子どもたち自身が希望を持てないときであっても、子どもたちを支えていく。そして、この希望は、日本にいる私が活動を続けていくための希望でもある。

ワールド・ビジョンが支援する子どもたちとともに(オレンジ色のキャップをかぶっているのが筆者)
希望を見つけた。その達成感を味わっていた私に向かって、車の行き交う道の真ん中でニヤッと笑った少年の顔が忘れられない。
「バナナを売るためにこの分離帯に立ってるんだよ。そんなことも分からないのかい」
もちろん、少年が本当に口にした言葉ではない。しかし、少年はそう言って、私に何かを伝えたかったと思えてならないのだ。
「希望を見つけられて良かったね。でも、僕はこの分離帯でバナナを売り続けるんだ。さあ、君は、この問題とどう向き合うっていうんだい?」
二度と会うことはないだろうこの分離帯の少年は、空港へと走り去っていくシャトルバスに乗っている私に、そう問いかけていたのではないか。この少年は、いつバナナ売りを止めることができるだろう。そのために、誰が手を差し伸べることができるというのだろう。
20年前のミャンマーでの原体験と同様、バングラデシュでの経験もまた、私に新たな問いを残した。それも、すぐには答えを見つけられそうにない問いだ。
4月に来日したワールド・ビジョン総裁のアンドリュー・モーリーは「困難な課題に取り組むために、あなたの信仰はあなたをどのように支えているか」と問いかけた。
そのときワールド・ビジョン・ジャパン事務局長の木内が答えた言葉が、今、胸に響く。
…Although it is difficult, or maybe, because it is difficult, I need to do this… because God’s plan is really beyond our imagination
難しいかもしれないが、いや、難しいからこそ、私はやる必要がある。…なぜなら、そのようにして取り組んだ先に、私の想像を遥かに越える結果が待っている。
難しいかもしれないが、いや、難しいからこそ、私はやる必要がある。…なぜなら、そのようにして取り組んだ先に、私の想像を遥かに越える結果が待っている。
ワールド・ビジョンの活動を通して繋がれていく祈りに希望を置きながら、与えられた大きな問いに向き合い続けたい。

「将来は大学の教員になりたい」と夢を語った少年と筆者
サポートサービス部 教会コーディネート
長下部 穣
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長下部スタッフとともにバングラデシュを訪問した、クリスチャンアーティストで牧師の長沢崇史さんにご協力いただき、スペシャルライブを開催します!

・開催日時:8月24日(土) 13:00-14:30
・会場:聖書キリスト教会・東京教会 (江古田)
・参加費:無料
長沢さんがバングラデシュの支援地域を訪問した時の映像紹介や、子どもたちに出会って生まれた新曲「夢を語ろう」の初披露もあります。
詳細・お申し込みはこちら
【長下部スタッフの過去のブログ】
・ご存知ですか?クリスマスツリーを飾る「モール」の意味
・世界の子どもたちに想いを馳せて
・恐れの時代に、希望を届ける
・研究の道からNGOへ~ミャンマーの旅で芽生えた想い~
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皆さま、ムラホ~!(ルワンダ語でこんにちは!) 突然ですが、今から10秒で、①宝箱 と ②その中に入っていたら嬉しいもの を想像してみてください! ※心理テストではございません(^^; チクタクチクタク. . . . .チーン! 皆さまがどのような宝箱とその中身を思い描かれたのか、とても気になります! 私の脳内で思い浮かんだのは、 キラキラ輝く宝石! 金貨! 宝箱の中身はいつも眩しく光輝いている! そんなイメージはないでしょうか? ちな...
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皆さま、ムラホ~!(ルワンダ語でこんにちは!)

2024年6月ルワンダを訪問。支援地域の子どもたちと(中央が筆者)
突然ですが、今から10秒で、①宝箱 と ②その中に入っていたら嬉しいもの を想像してみてください! ※心理テストではございません(^^;
チクタクチクタク. . . . .チーン!
皆さまがどのような宝箱とその中身を思い描かれたのか、とても気になります!
私の脳内で思い浮かんだのは、
キラキラ輝く宝石! 金貨!
宝箱の中身はいつも眩しく光輝いている!
そんなイメージはないでしょうか?
ちなみに私は、最近きれいに焼ける卵焼き器が欲しくてそれも追加で浮かんできました笑
さて、「もし宝箱が目の前に置いてあったとして、何が入っていたら嬉しいでしょうか?」
そんな妄想膨らむ夢のある「もしも話」は、案外万国共通でめちゃくちゃ盛り上がったりします。事業地までの長い移動時間に真面目な仕事の話や家族の話などもするのですが、さすがに1日中朝から晩までかつ今回は3週間も一緒にいたので正直ネタ切れになってしまうんですよね。そんなときに持ってこいなのが「もしも話」なんです。
今回はスタッフだけでなく、事業地で出会ったチャイルド・スポンサーシップを通して支援を受けている子ども、「チャイルド」たちとも「もしも話」で花を咲かせてきました。かわいい回答、なるほどと考えさせられる回答を、皆さまにもお伝えしたいと思います。
出会ったチャイルドたちは、ルワンダのキラムルジ地域、グヴィザ地域に住んでいます。この2つの地域では、約15年にわたってチャイルド・スポンサーの皆さまからの温かいご支援により、コミュニティに支援を届けています。

グヴィザ地域の小学校を訪問時、ふと気づくと子どもたちが大集合していました!
住民の方や子どもたちのイキイキした笑顔から、支援が行き届き、多くの方が貧困から抜け出す知識を得て、より幸せな毎日を送ることができていることを実感し、とても嬉しくなりました。チャイルドたちの笑顔のために、いつも応援くださっている皆さま、本当にありがとうございます。
では、ここからは、興味深い4人のチャイルドたちの回答を、いろんな思いを巡らせて読んでもらえたらと思います。
注: あくまで楽しい「もしも話」であることをご了承ねがいます。
お題:「もし宝箱が目の前に置いてあったとして、何が入っていたら嬉しい?」
宝箱の中に入っていたら嬉しいもの:「お金」
理由:キガリでお家を建てて家族と仲良く暮らすんだ!
サミュエルくんの家庭は、サミュエルくんが幼いときにお父さんが家を出て行ってしまい、お母さんと小さなサミュエルくんは大変な思いをしていました。両親が喧嘩する姿や、お金がなく困っているお母さんの姿を目にし、学校での成績もさがってしまっていました。しかし、ワールド・ビジョンがサミュエルくんのお父さんとお母さんにワークショップを行い、再び一緒に住むことになり、今では家族で仲良く暮らしています。心の安定からサミュエルくんは学校での成績がよくなったと話してくれました。その後、サミュエルくんには新しい弟も誕生し、次の目標は、「もっと素敵なお家に住んで、家族で幸せになりたい!だからキガリ(首都)ってなんかカッコいいでしょ? そこに家を建ててみんなで楽しく暮らしたいんだ!」と話してくれました。ご両親がうるうると涙目をされていましたが、聞いている私もつられてもらい泣きしそうでした。

宝箱の中に入っていたら嬉しいもの:「サッカースキル」
理由:理由はうまく話せないの!
シャイなリンダちゃんは、短い私の滞在時間に多くを話すのは難しかったようですが、とても芯のある印象でした。家庭では、貧しいことが原因で心に余裕がなくなってしまったお父さんとお母さんが喧嘩をする日々で、リンダちゃんは心苦しい思いをしていたそうです。その後、お父さんとお母さんはワールド・ビジョンの研修に参加し、今では野菜の栽培方法や市場への販売方法を知り、生計を立てられるようになりました。リンダちゃんは、現在は小学5年生として学校に通っており、「将来は人を支えたい。夢は医者です」と決意を感じるような声柄で話してくれました。そして、現在ハマっているのがサッカーとのこと。なんとリンダちゃんが住む街ではサッカー選手が多く輩出される地域らしく、サッカーが盛り上がっているそうです。ちなみにサッカーが好きな理由は、「運動すると体が楽になる! 健康だしね!」となんともすでにお医者さんの卵らしい言葉で答えてくれました! 将来が楽しみです。

宝箱の中に入っていたら嬉しいもの: 「お金」
理由: ビジネスを学ぶ上での自己投資に使いたい!
ルワンダでは、政府の奨学金を借りて大学に行くためには、高校の最終学年で行われる試験を終了してから約1年程度審査の期間があるそうです。現在は最終試験を控えているエマニュエルくん。試験後の審査期間を無駄にせず、少しでも自分の知識を向上させたいということで、ビジネスを学びたいと話してくれました。将来はジャーナリストを目指しており、その勉強と家族の仕事のどちらの知識も増やしたいと意欲的に話してくれました。大学生活への期待と将来に向けて着実に歩んで行っている様子にとても心打たれました!(実は最近のルワンダの子どもたちに人気の職業はジャーナリストだそうです! がんばれエマニュエルくん!)

宝箱の中に入っていたら嬉しいもの:「愛」
理由:これからも愛し、愛され続けて生きていきたい!

話を聞かせてくれたジョンくん(右端)
ジョンくんは幼いころにお父さんを亡くし、それ以来十分な食事も取ることができず、小学2年生の時に学校を中退せざるを得なくなってしまいました。そんなときにワールド・ビジョンの支援が開始することになり、お母さんはワールド・ビジョンの実施する研修に通い、今では家畜や野菜を育て、販売し、生計を立てています。幼少時代の貧しく、辛い生活を送っていた時にワールド・ビジョンのスタッフやボランティアが何度も生活や健康を気にかけて訪問してくれたこと、そして何よりもチャイルド・スポンサーの方から何回も手紙をもらったことで「愛」を感じ、自分の存在価値にも気づけたと話してくれました。そんなジョンくんは「これからも愛を持って生きたい! 自分自身を向上させて家族を支えていきたいんだ」と話してくれました。
宝箱の中に入っていたら嬉しいもの:「知識」
理由:知識は宝!

ジョンくんとお母さん
「もしも話、最高じゃない! 明るい未来を考える良いきっかけね! 私も答えていい?」と最後にノリノリでお母さんも話してくれました。
ジョンくんのお母さんは、夫を亡くし、一人でジョンくん(長男)と3人の子どもを育ててきました。そんなお母さんが宝箱の中に入っていたら嬉しいものは、ズバリ「知識」。
「ワールド・ビジョンからたくさん教えてもらった知識(菜園の方法や貧困から抜け出すための心の持ち方など)を周りのコミュニティの人にももっと伝えたいし、世界でいまもなお大変な思いをしている人がいたらぜひ教えてあげたいんです。そして何よりも、あなたが日本から来てくれてよかった! 日本からの支援が私たちのコミュニティに行き届いており、その変化をぜひ見て欲しかったの!」と話してくださいました。
いかがでしたでしょうか? 本来であればこの言葉を、私ではなくいつも温かいご支援をしてくださっている皆さまに直接お伝えしたいのですが、このように現地の方からの溢れんばかりの心の底からの感謝をこのブログを通して皆さまにもお伝えできればと思います。本当にいつもありがとうございます。
このように何か「モノ」が欲しいと話したチャイルドはひとりもおらず、「モノ(=卵焼き器)」が欲しかったのは唯一私のみで、なんとも浅はかな考えであり、少し恥ずかしい気持ちになりました。しかし、帰国後に久しぶりの温泉でぼ~っと疲れを癒しながら、チャイルドたちの話を思い出し、自分が本当に欲しいものは何かを改めて見つめなおしました。
そして、私の宝箱の中身は変わりました。それは、お金でも名誉でも、もちろん玉子焼き器でもなく「一人でも多い理解者(仲間)と信頼」です。
幸いにもワールド・ビジョンに入団し、同じ志を持つ仲間と一緒に自分がやりたいことに全力で取り組むことができ、純粋に毎日がとっても楽しいです! 私にはいろんな仲間がおり、一緒に働く仲間、私たちの活動を支えてくださる仲間、現地にもたくさんの仲間がいます。
時間を取ってこのブログを読んでくださっている皆さまも(大変おこがましいですが)私にとっては大切な仲間です。
今後も「世界の子どもたちを救う、未来を救う」という目標にむけて、一人でも多くの仲間ともに歩んで行けたらと思っています!!
ムラコゼ!(ルワンダ語でありがとう!)

ルワンダの頼もしい同僚とともに「ムラコゼ(ありがとう)!」
【且田スタッフ登壇イベント 録画動画のご案内】
2024年7月18日、且田スタッフがインスタライブに登壇。学生時代に1年間ルワンダに留学していた高尾スタッフと、ルワンダのあるあるや出張先でのエピソードなど、若手スタッフならではの視点でざっくばらんにお話しました。ぜひ録画動画をご覧ください!
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バングラデシュの観光地、コックスバザールから車で2時間ほど南下すると、ミャンマー避難民のためのキャンプが現れます。丘陵を切り崩し山肌があらわになった小高い場所に、竹やトタン、強化ビニールなどで建てられた家が所狭しと並んでいます。 初めてこのキャンプに足を踏み入れた際、ちょっと小高くなったところから全体を見渡したのですが、この荒涼とした景色が、見える限りどこまでも続くことに圧倒されたことを思い出します。ここは約100万人の人が住む、世界最...
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バングラデシュの観光地、コックスバザールから車で2時間ほど南下すると、ミャンマー避難民のためのキャンプが現れます。丘陵を切り崩し山肌があらわになった小高い場所に、竹やトタン、強化ビニールなどで建てられた家が所狭しと並んでいます。

ミャンマー避難民のためのキャンプ
初めてこのキャンプに足を踏み入れた際、ちょっと小高くなったところから全体を見渡したのですが、この荒涼とした景色が、見える限りどこまでも続くことに圧倒されたことを思い出します。ここは約100万人の人が住む、世界最大級のメガキャンプです。
ロヒンギャは何世代にもわたりミャンマーで暮らしてきた人々ですが、政府は自国民として認めていません※。そのため、国民としての権利が認められず、そのことが軍や住民同士の武力による衝突の原因となってきました。衝突のたびに、多くのロヒンギャが住み慣れた家を追われました。ミャンマー国内だけでなく、国境を接する隣国バングラデシュの難民キャンプに避難する人も多くいます。過去に何度かこの軍や住民同士の武力衝突、それに伴ったロヒンギャの移動がありました。しかし今回、2017年の衝突では70万人を超える人々が国境を越え、7年を経た今も97万人を超える人々がバングラデシュ国内にとどまっています。
※ロヒンギャは現在のバングラデシュ・チッタゴン地域の方言に近いロヒンギャ独自の言語文化を持つ民族です。ミャンマーのラカイン州に多く居住し、ミャンマーとバングラデシュの双方から不法移民とみなされ、事実上の無国籍状態にあります。保護責任を持つ国がなく、人道支援が不可欠です。
ワールド・ビジョンはこの衝突の後、2018年からキャンプとキャンプに隣接したホストコミュニティで「ジェンダーに基づいた暴力」の対策事業を実施しています。

「ジェンダーに基づいた暴力」の対策事業の啓発プログラムに参加した女の子たち
今年度は7期目の事業となり、2024年1月から12月の予定で実施しています。事業担当である私はこれまで2回、2月と5月に現地を訪問しました。今回(5月の訪問)では、キャンプで女の子を対象とした啓発研修をモニタリングしたのですが、「みんな同じコミュニティからきているの?」と聞いたところ「違う」とのこと。「この子たちはブロックBで、私たちはブロックAなの」と2-3人の女の子たちがピトッとくっつきあいながら、「私たち仲良しなのよねー」という感じで、にっこり顔を見合わせて答えてくれました。

ロヒンギャの女の子を対象とした研修の様子(中央が筆者)
その様子を見て、楽しそうだな・・と嬉しい気持ちになりながら、私も子どもの頃、ゴム飛びをしたり、交換日記をしたり楽しかったなと自分の子ども時代を思いました。
日本やほかの地域開発の支援地から行くと、避難民キャンプの環境はかなり非日常的に見え、その過酷さにも圧倒されるのですが、何度か通っているうちに、少しずつそこで生活する避難民の人たちの日常が見えてきます。そうすると、そこには普通の日常もあって、住んでいる人たちには楽しいひと時もある様子が少しずつ見えてきます。

難民キャンプ内の敷地で縄跳びをして遊ぶ女の子
私たちの活動で建設したWomen and Girls Safe Space (WGSS: 女性と女の子のためのスペース)は、日中、活動参加者の女性たちに開放しているのですが、時間があるとそこに来て、部屋に座ってコーランを読むのが日課になっていると話してくれた女性もいました。その女性は、ミャンマーで大きな家に住んで、土地を耕し、豊かな生活をしていたらしいのですが、大きな部屋に座って窓から入る風を感じながらコーランを読むのが大好きな時間だったとのこと。WGSSの部屋でコーランを読んでいると、ミャンマーの生活を思い出すと言って、早く故郷に帰りたいと話してくれました。
世界中に多々ある避難民キャンプの中でも、ミャンマー避難民を対象としたこのキャンプはバングラデシュ政府がロヒンギャの人々を受け入れておらず、今後受け入れる計画もないという点で、特異なケースとなっています。アフリカなどにある避難民キャンプでは、政府の方針の中に避難民の受け入れが明記されており、そのため支援団体は長期的な視野をもって、避難民支援を計画することができます。
しかし、バングラデシュ政府から受け入れの方針が出ない以上、私たちNGOや国連機関などの支援団体は、ミャンマー避難民への支援を長期的な視野で計画することができません。そしてその長期的視点(サステイナビリティ)なしには、私たち支援団体が政府資金をもって引き続き支援を続けるのは難しいのが現状です。
キャンプ内の支援がどんどん減り、治安も悪くなっている状況も聞きました。家父長的な価値観の根強いロヒンギャのコミュニティにおいて、ただでさえ行動規制が多い女性や女の子たちは外出もより困難になっています。そして外出ができなければ、WGSSでの活動に参加したり、例えばコーランを読みに来たりすることも難しくなるだろうというのは想像に難くありません。

両親と5人の兄弟と難民キャンプで暮らすサラミちゃん(黄色い服の女の子)
キャンプ内で出会った女性や女の子たちのささやかな日常を守りたい。
そのために、何ができるか。
現状をしっかり把握しつつ、小さくとも今、私たちにできるアクションを起こし続けていかなければとの決意をあらたにしてキャンプを後にしました。
* * * * * * * * * * * * * * *
ワールド・ビジョン・ジャパンは、難民・国内避難民の子どもたちの学びの環境の整備、教育の質の向上、心のケアなどの支援を行うために、【難民支援のための募金】へのご協力をお願いしています。皆さまのご寄付で、厳しい避難生活の中でも子どもたちが学びを続け、未来の可能性を広げることができます。
・ロヒンギャ問題について考えよう
・難民支援募金|寄付を通してロヒンギャ難民やシリア難民を助けよう
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2023年5月からボランティア・コーディネーターとしてボランティアの皆さんと活動しています、今村 郁子です。 ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)には、事務所ボランティア、在宅翻訳ボランティアの方が活動に参加してくださっています。 例えば、このブログを読んでくださっているチャイルド・スポンサーの皆さまのお手元には、チャイルドからの手紙が届けられることがあるかと思います。その手紙は、現地事務所からWVJ事務所に届き、手紙の仕分け→並べ替...
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2023年5月からボランティア・コーディネーターとしてボランティアの皆さんと活動しています、今村 郁子です。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)には、事務所ボランティア、在宅翻訳ボランティアの方が活動に参加してくださっています。
例えば、このブログを読んでくださっているチャイルド・スポンサーの皆さまのお手元には、チャイルドからの手紙が届けられることがあるかと思います。その手紙は、現地事務所からWVJ事務所に届き、手紙の仕分け→並べ替え→登録→翻訳前準備→翻訳→翻訳後チェック・印刷→発送前最終チェック→発送の工程を通ります。これらを丁寧に正確にそして手際よく進めてくださっているのがボランティアの皆さんです。

手紙ボランティアチーム&ボランティアの皆さんと(前列の左から3人目が筆者)
手紙交流以外でも、たくさんの働きをボランティアの皆さんに支えていただいていますが、そのようなボランティアの皆さんに、年1回スタッフから感謝をお伝えする時がボランティア感謝会です。
2020年新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためボランティア室が閉室となり、その年の春、予定していたボランティア感謝会も幻に終わりました。ボランティア室の働きは、コロナ禍も限定的に活動を継続していましたが、本格的な再開は2023年9月でした。昨年ボランティア室が再開し、ボランティアの皆さんに戻ってきていただいたことは私たちスタッフにとって感無量の出来事でした。
そして、今年5月25日(土)、ボランティア13名とご家族の方1名、スタッフ11名でボランティア感謝会を開催しました!コロナ前最後のボランティア感謝会は2019年春でしたから、実に5年ぶりのボランティア感謝会でした。

ティータイム&交流タイム(右端が筆者)
会では、支援地域に関するクイズ、エチオピアの事業報告、ボランティア活動報告、感謝会に参加できなかったスタッフからの感謝メッセージを動画(こちらもからご覧いただけます)で見ていただくなどのプログラムがあり、また、ティータイムではテーブルごとに話に花が咲き、たくさんの笑顔と笑いがありました。

ティータイム&交流タイムはそれぞれのテーブルで話に花が咲きました
最後は恒例の「”何か”はきっとできる」 感謝会バージョンソングをスタッフが歌いました。「”何か”はきっとできる」は元WVJスタッフが作詞作曲した歌で、WVJスタッフが大切にしている曲です。その曲には「感謝会バージョン」の歌詞があるのですが、5年ぶりの感謝会バージョンソングに、スタッフも胸に熱いものがこみ上げてきました。
会が終わり、ボランティアの皆さんが輝くような笑顔で事務所を後にする様子を見ながら、感謝会が開催できたことに安堵と喜びの気持ちでいっぱいになりました。

最後に全員で記念撮影をしました
後日、普段は在宅翻訳ボランティアとして手紙翻訳をしてくださっている方からお礼のメールをいただきました。その中にこのように記されていました。
「5年ぶりに皆さまと在宅ボランティア、事務所ボランティアの皆さまにお会いできて、本当に幸せでした。(中略)長年ボランティアをされている方々も穏やかで優しい笑顔をされていて、皆さまのお働きのお陰で、私も入れていただけて、本当に幸せだなと思います。皆さまに活力をいただきました。(中略)スタッフの皆さまのご健康とお幸せをお祈り申し上げます。 そして戦争が一刻も早く終わり、子どもたちの命、権利が守られて、子どもたちが元気でのびのびと成長して、夢を描ける世界になりますように!」
日々、テレビやインターネット等からたくさんの情報が入ってきます。残念ながら楽しい情報よりも心が痛むような辛い情報の方が多いように思います。紛争、貧困、災害、そのような情報に触れるときに、自分の無力さを感じ、むなしい気持ちになることもあります。
私たち一人ひとりにできることは小さくても、自分にできることをやろう、その先にきっと子どもたちの夢が叶い、希望を持てる未来があるはずだと信じて、ともに歩んでくださるボランティアの皆さんがいらっしゃることは、私たちにとってなんと大きな存在なのかと思わされます。
これからもボランティアの皆さんとともにワールド・ビジョンの働きを続けていきたいと心を新たにしたボランティア感謝会でした。
※動画に出てくる「プレゼント」の実物は、ボランティア感謝会の会場に登場! サプライズでプレゼントをお渡ししました。

サプライズプレゼントはルワンダからスタッフが持ち帰ったもの
マーケティング第2部 支援者サポート課
今村 郁子
・チャイルド・スポンサーシップとは
・チャイルドへの手紙の書き方
・ボランティアとして協力する(翻訳ボランティア募集中!)
・笑顔が集まるボランティア室 ~雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケナイボランティアさん紹介~
・WVJイメージソング「”何か”はきっとできる」音楽の力でつながろう!
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ワールド・ビジョンに入って初めて担当したのは、シリア危機によって難民となったシリア人の子どもたち、そして受け入れ地域のヨルダン人の子どもたちへの支援事業でした。特に教育支援はとても思い入れのある事業で、子どもたちにもらった、活動中の絵や工作を今も大切に持っています。 2014年から約7年間にわたって、募金やジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成により、難民支援、とりわけ教育支援を保護者やコミュニティ、学校やヨルダンの教育局などと連携...
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ワールド・ビジョンに入って初めて担当したのは、シリア危機によって難民となったシリア人の子どもたち、そして受け入れ地域のヨルダン人の子どもたちへの支援事業でした。特に教育支援はとても思い入れのある事業で、子どもたちにもらった、活動中の絵や工作を今も大切に持っています。
2014年から約7年間にわたって、募金やジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成により、難民支援、とりわけ教育支援を保護者やコミュニティ、学校やヨルダンの教育局などと連携しながら継続できたことは本当に貴重な機会であったと感じています。この事業が継続していく中で、当時のチームの間では「本当に質の高い活動を提供できているのか、事業の成果を客観的に評価してよりよい事業にしたい、学びと教訓を抽出し、ほかの難民支援にも活かしたい」という想いがありました。

補習授業の様子
そんな想いから、緊急期の教育専門家である小松太郎先生との協働が始まったのは2018年。事業調査・評価にはじまり、活動への助言指導、調査結果を学会などで共同発表するなど、様々な協働をさせていただきました。今回、共同調査の結果をまとめた論文が学術誌に掲載されました。調査研究、論文の内容については上智大学からもプレスリリースされています。論文の執筆にあたっても、様々なご指導・ご助言をいただき導いてくださった小松先生には感謝に堪えません。

補習授業の教員たちの話を聞く小松先生
小松先生とのこれまでの協働:
・上智大学との共同調査
・学会での共同発表
論文では、学力測定やアンケート、インタビューを含む調査結果より、補習授業を通じたヨルダン人児童との交流により、シリア難民の子どもたちがより安心して学校で過ごせるようになったこと、両国籍の子どもたちのコミュニケーションが促進されたこと、安心して学べる補習授業の学習空間や補習教員による双方向的な学習方法によって、学力や学習意欲が向上したことなどが示されました。
現地スタッフや関係者とともに工夫と改善を重ねながら実施した事業が、難民の子どもたちの学びの継続に効果があったと明確に示されたことは、実務者である私たちにとっても大きな喜びと自信につながりました。現在もヨルダンの教育支援に携わる、長年事業をともにしてきた現地のスタッフ、そして事業を率いてきた歴代のプロジェクトマネージャーたちが新型コロナウイルス感染症による影響で困難極まりない時期も含め、きめ細やかに関係者と調整を行い尽力してくれたことに深く感謝しています。

ヨルダンの教育支援に携わる現地スタッフと当時のプロジェクトマネージャー渡邉(左から筆者、ルブナ、渡邉、アラー)
論文では、小松先生によるインタビューやアンケート調査の結果や、また同じく上智大学のガラーウィンジ山本研究員のシリア難民家庭訪問調査から得られた結果なども踏まえ、今後の指針として「難民の学習継続のためには、人道支援機関が長期的なビジョンのもとで教育支援に関与する必要がある」という示唆が与えられました。
ウクライナ、ガザ、スーダンなど世界各地での相次ぐ紛争の発生・激化・長期化に伴い、シリア危機やシリア難民についてメディアを通して知る機会は少なくなりました。一方で紛争地域から難民や避難民として家を追われる人たちは後を絶ちません。
一時的な緊急支援に終わらず、危機発生の段階から、難民として逃れた人たちと、不安定で流動的な状況をともに乗り越える、そして安心して暮らす未来を思い描けるようになるまで、ともに協働する覚悟とビジョンが支援者である私たちに求められています。今回小松先生や山本研究員と論文をまとめていきながら、よりよい支援を届けることだけでなく、現地政府や関係者を巻き込むこと、そして国内外のさまざまなアクターにも息の長い協働を求めていくこともNGOの重要な役割だと改めて認識しました。
そのためにも、事業成果を第三者に客観的に検証してもらい、事業効果の正当性を確認する、そして明らかになった成果や学び、示唆を、ほかの支援機関や政府など難民支援関わるアクター、そして活動を応援してくださる方々と共有するというサイクルが必要だと感じています。
難民の子どもたちのこと、そして彼らが抱えている課題に対して、より多くの人に知ってもらうことで、効果的な支援を拡張し、自分たちだけでは成しえない変革、難民の子どもたちが安心して学び、将来を生き生きと思い描ける未来への変革へとつなげたい。
そんなビジョンを心に描きながら、日々の支援事業を進めていきたいと思わされています。

事業地の子どもたちと筆者
関連リンク
・難民の子どもたちへの教育支援とその効果について学術誌に掲載されました
・【6/13(木)イベント開催】紛争下で子どもたちはどう学ぶか ~シリア避難民ルシャドさんを迎えて~
・【シリア危機】子どもたちはかつてないぜい弱な立場に置かれています
・歴代担当者が振り返る、シリア難民とヨルダン人の子どもたちへの教育支援
・緊急時および長期化する危機下の教育 E ニュース
・3分でわかるヨルダン ~ヨルダンって、どんな国?~
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ワールド・ビジョン・ジャパンは、現在約5万人のチャイルド・スポンサーの方にご支援いただいています。しかし、この数字の背景に、もっとたくさんの方がいらっしゃることをご存知でしょうか。企業や教会、そして、教育機関で支援をしてくださっている方々がいらっしゃるのです。 私が担当をさせていただいている「グローバル教育」では、幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校・大学・大学院と幅広い年齢層を対象に世界に目を向ける機会をお届けしています。今回は特にチ...
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ワールド・ビジョン・ジャパンは、現在約5万人のチャイルド・スポンサーの方にご支援いただいています。しかし、この数字の背景に、もっとたくさんの方がいらっしゃることをご存知でしょうか。企業や教会、そして、教育機関で支援をしてくださっている方々がいらっしゃるのです。
私が担当をさせていただいている「グローバル教育」では、幼稚園・保育園・小学校・中学校・高校・大学・大学院と幅広い年齢層を対象に世界に目を向ける機会をお届けしています。今回は特にチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている教育機関の皆さまの取り組みをご紹介したいと思います。現在 33 の教育機関からチャイルド・スポンサーシップのご支援をいただいており(2024 年 4 月現在)、支援金の集め方などはそれぞれ異なります。さらに、「難民支援募金」や「能登半島地震緊急支援募金」など募金のご協力をしてくださっている教育機関は、教会学校や塾などを含めると 189 団体にのぼります。各教育機関の園児・児童・生徒数はそれぞれ異なりますが、本当に多くの方が教育機関を通して支援に参加してくださっていることを心から感謝しています。

三鷹小鳩幼稚園さまで「ケニアに住むチャリちゃん」のお話をする筆者
2002 年からチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている三鷹小鳩幼稚園の園長先生に支援を始めてくださったきっかけや、どのようにチャイルド・スポンサーシップの支援金を集めてくださっているのかお話を伺いました。
松本:まずは、チャイルド・スポンサーシップの支援を始めてくださったきっかけを教えてください。
園長先生:きっかけはテレビ CM でした。「1 日あたり 150 円、ペットボトル 1 本分のご支援で子どもたちの未来が変わります」という内容で、とてもインパクトがありました。世界には、食料や水の不足、貧困や教育環境の問題、児童婚など、様々な問題があります。残念ながら、生まれてくる子どもたちの将来が約束されていない状態がたくさんあり、このままではいけないと思っています。どこの国の子どもであっても、子どもたちは大切な存在であり、健康に大きく育っていってほしいというのが私の願いです。困難な状況に生きる子どもたちのために、できることは少ないですが、少しでも何かやっていこうと思っています。
松本:三鷹小鳩幼稚園さまでは、どのようにチャイルド・スポンサーシップの支援金を集めてくださっているのですか。
園長先生: 三鷹小鳩幼稚園は創立 67 年を迎えておりますが、開園当時は大変経営も苦しい時でもありました。そんな時にたくさんの方々に支えていただき今日を迎えております。二代目園長及川美穂子はそのときの感謝の気持ちを大切に持ち続け、自分たちにも何か社会のお役に立つことはないかと考え、月に一度「梅干しふりかけ弁当」の日を設け、おかず代を日々の生活に苦しんでいる世界の子どもたちに献金することを保護者の方々に提案し、賛同を得て今日まで「難民献金の日」として継続しております。「チャイルド・スポンサーシップ」も前記の趣旨に倣って始めました。
松本:園児さんの成長にどのような意味があるでしょうか。
園長先生:子どもたちが困っている人へ手を差し伸べる気持ちを積み重ねていって、何十年後かに、どこかで何かにつながればいいなと思っています。幼児期は記憶に残らない時代だからこそ、身体で覚えていくような知恵の積み重ねをしています。知る機会、考える機会を繰り返して、この時期に目には見えない無形の財産を積み上げているのです。それを大切に、真剣にやらなければ、子どもたちがおとなになってつくる社会がよいものにはならないのではないかと思います。ワールド・ビジョン・ジャパンの方が幼稚園でお話をしてくださった日の午後に年中の子どもが園庭で外遊びをしていた時に砂場の泥水を見て「チャリちゃん(お話の中に出てきた子)は、こんな水をのんでいるんだね」とつぶやく姿があったと担任から報告がありました。子どもたちは話を聞いて理解し、人のことを思いやれる気持ちであふれていることを実感しました。
松本:続いて保護者の方にもお話を伺います。「梅干しふりかけ弁当の日」をどのように感じておられますか。
保護者:最初は子どもがお腹を空かせてしまうのではないか心配でした。でも、子どもが幼稚園で食べ物がなくて困っているお友達のお話を聞き、家に帰ってきて、そのことを話してくれるようになり、とても大切な取り組みだと思うようになりました。今は、お弁当を用意する時に、ご飯だけをお弁当箱に詰めて、このおかずの分を食料不足の子どもたちに届けてあげたいという気持ちで参加しています。そして、我が子がお腹を空かせているのに、あげられるものが何もないという状況は、同じ子を持つ親として、心に痛みを感じます。悲しさ、くやしさ、不安や絶望、言葉にできない思いがあるのではないかと想像します。「梅干しふりかけ弁当」は、そんな親御さんへの応援の気持ちも込めています。
松本:お子さんはどのような反応ですか。
保護者:支援のことは、まだ難しくて理解できていない部分もあるかもしれませんが、食べ物がなくて困っているお友達がいるということはわかっているようです。小さな年齢の頃から困っている人を助ける、自分の持っているものを分け合うという気持ちを持ってくれるといいなと思います。好き嫌いをせずに食べ物を大切にしようということも話しています。また、子どもが幼稚園でシリアとトルコで地震が起きた話を聞いた日に家で「しりあで、じしんがあって、いえがこわれたおともだちがいるんだって」と話してくれた時には驚きました。自分以外のお友達を大切にする気持ちを育むことにつながっていると思います。
松本:園児の皆さん、「ケニアに住むチャリちゃん」のお話を聞いた感想を教えてください。
園児さん:
・タンクをもってみて、すごいおもかった
・水がないって、たいへんなんだな
・チャリちゃんがかわいそうだったけど、(貯水)タンクができて、うれしそうで、よかった
・きれいな水で、病気にならなくなって、よかった
・水は思っていたより大事だなと思った
園長先生、保護者の方、園児の皆さん、インタビューのご協力をありがとうございました。お話を伺い、教育機関としてチャイルド・スポンサーシップの支援をしてくださっている皆さまの想いを知ることができました。ひとつの教育機関に在籍される園児・児童・生徒の皆さま、先生方、そして保護者の方々、多くの方が世界の子どもたちへ思いを寄せてチャイルド・スポンサーシップに参加してくださっていることに改めて心から感謝いたします。園長先生のお話にあったように、子どもたちが知る機会、考える機会を積み重ねていけるよう「グローバル教育」の取り組みに励んでいきたいと思います。

お話を伺った三鷹小鳩幼稚園園長大山さま
マーケティング第1部 コミュニケーション課 グローバル教育担当
松本謡子
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松本スタッフの過去のブログ:
・サマースクールで届けたい、もうひとつのメッセージ
・グローバル教育レポート:サマースクール参加者の「その後」
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