肥満や糖尿病のある人に対する支援やサポートでは、「思いやり(コンパッション)」も必要という声明が発表された。
肥満やメタボの多くは、食事や運動などの生活スタイルの改善により、内臓脂肪がたまるのを防ぎ改善できることが分かっている。
しかし、肥満症や2型糖尿病の背景には、遺伝(体質)によるものと、環境によるものの両方があり、生育や発達での要因、社会的な要因、ストレスなどがさまざまに影響しており、個人の努力だけで対応できないケースが少なくないとしている。
男性はアルコール、女性は過食で、ストレスに対処しようとする傾向があることも示されている。ストレスを上手に管理することも必要だ。
肥満や2型糖尿病のある人に対する支援やサポートでは、科学的なエビデンスにもとづき、食事や運動などの生活スタイルの改善を促す介入が必要となる。
そのときには、薬物療法などを行っているかにかかわらず、「思いやり(コンパッション)」もまた必要になるという声明を、米国ライフスタイル医学会(ACLM)が発表した。
ACLMによると、肥満や肥満症を改善するための介入の柱になるのは、次の6項目の生活スタイルの改善だ。
▼ 運動や身体活動を習慣として行う ▼ 全粒穀物や植物性食品の摂取を増やす
▼ 十分な睡眠をとり休養をとる ▼ ストレスを管理する
▼ 活発な社会的な交流を維持する ▼ 危険なアルコールや薬物などを避ける
声明では、「肥満や体重増加を促したり悪化させる要因が、家庭環境や社会環境にある人や、生活環境や遺伝的要因の影響の強い人もいて、人によってその背景は異なります。したがって、肥満改善のための指導や治療のアプローチは個別化する必要があります」としている。
「生活スタイルの改善により、肥満の解消につながることは多いのですが、肥満は複雑な多因子疾患であり、患者さんによっては、そうした介入を超えたアプローチが必要になることもあります」と述べている。
フィンランド保健福祉研究所(THL)による別の研究では、肥満を予防・治療するためには、肥満のある人のストレス管理を改善することも重要であることが示された。
肥満のある人のストレスを緩和し、長期的・短期的に体重増加を抑えるために効果的なのは、食事とアルコールの摂取のあり方にアプローチすることだという。
「ストレスに関連して、食事やアルコールの摂取が不健康になることが、体重に長期的な影響をもたらしている可能性があります」と、同研究所とヘルシンキ大学保健福祉研究所のエレナ ローゼンクビスト氏は言う。
「早い段階でそれらに対応し、適切なストレス管理方法を開発するが、肥満を予防・改善するための重要な手段となると考えられます」としている。
ただし、男性と女性ではストレスへの対処法が異なる傾向があることに、注意する必要があるとしている。
男性は、ストレスを解消するために、アルコールに頼ることが多い。アルコールの過剰な摂取は、アルコール中年期以降の体重増加を加速させる原因になっている。
「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適度なアルコールは健康に良いことを示した研究もあるが、アルコールの重大な健康リスクを示した研究も多い。
アルコールにはストレス解消や、人間関係を円滑にするなどメリットがある一方で、過剰な飲酒は確実に体にダメージをもたらし、肥満や2型糖尿病のリスクを高める。
一方、女性では過食が多くみられるという。女性のほぼ半数(41~55%)は、成人期に何らかの摂食障害を経験したことがあり、ストレス解消の手段として、男性よりも食事に向かう傾向がみられるという。
「とくに女性に対しては、体重を減らすように課せられる文化的なプレッシャーが強い傾向があり、食べることでストレスを解消している女性にとって、そのことがより困難にしています」と、ローゼンクビスト氏は指摘している。
研究グループは、フィンランドのコホート研究に参加した22歳、32歳、42歳、52歳の男女計5,621人を対象に、30年間追跡して調査した。
日本肥満学会が、昨年発表した「肥満症診療ガイドライン2022」では、肥満に対する「スティグマ(誤解や偏見)」を解消し、肥満症のある人の福祉を向上するために、社会的な取り組みが必要とされている。
日本人は欧米人に比べ、極端な肥満は少なく、軽度の肥満が多い。
しかし、わずかに太っただけでも、2型糖尿病や脂質異常症、心筋梗塞、脳卒中、腎臓病などの発症率は高くなることが知られている。
ガイドラインでは、肥満に対する保健指導などでは、肥満の原因は必要以上に食習慣などの個人の生活上の要因に帰せられている傾向がみられるとしている。さらに、「自己管理能力が低いから肥満になる」といった偏見も少なくない。
たしかに肥満やメタボの多くは、食事や運動などの生活スタイルの改善により、内臓脂肪がたまるのを防ぎ改善できることが分かっている。
しかし、肥満と肥満症の背景には、遺伝(体質)によるものと、環境によるものの両方があり、生育や発達での要因、社会的な要因などがさまざまに影響しており、個人の努力だけで対応できないケースも少なくない。
「スティグマ」とは、特定の事象や属性をもった個人や集団に対する、間違った認識や根拠のない認識にもとづく差別や偏見のこと。
同学会では、「肥満には、社会的スティグマに加え、肥満を自分自身の責任と考える個人的スティグマもあり、医療者と患者のあいだに治療の認識の差がある」と指摘。
こうした肥満に対するスティグマは、心理的負担や社会的不利益をもたらすだけでなく、「自己管理の問題であって、医療を受ける対象ではない」といった誤った理解を引き起こし、適切な治療の機会が奪われるのにつながるとしている。
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「減量プログラム」を取り組んだ結果、いったん体重を減らしてやせても、その後にリバウンドして、体重をある程度増やしてしまう人も多い。
こうした減量後に体重が戻るパターンの人であっても、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを減少する効果をえられると、米国心臓学会(AHA)が発表した。
「いったん体重を減らした人でも、その後にリバウンドしてしまうことは少なくありません。そのことが、減量のためのサポートを提供するうえで障壁になっています」と、研究者は述べている。
「しかし、過体重や肥満の悩みを抱える人々が減量に取り組むことは、2型糖尿病や心血管疾患のリスクを軽減するための効果的な方法であることは確かです。減量は無駄にはなりません」としている。
肥満や過体重の人は、高コレステロールや高血圧になりやすいことが知られている。これらは心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを高める要因となる。
肥満は、血糖値を下げるインスリンの効果を発揮できなくなるインスリン抵抗性も促進しやすい。インスリン抵抗性があると、2型糖尿病のリスクが上昇する。
米国心臓学会(AHA)によると、米国だけでも過体重や肥満が原因で、2020年に240万人が死亡している。肥満は世界的に、社会的な問題になっている。
そこで、英国のオックスフォード大学は、健康的な食事や運動・身体活動の増加など、生活スタイルや行動の変容を促す「減量行動プログラム」を開発した。
プログラムは、肥満や過体重の人が体重を減らし、健康的な体重を維持できるよう工夫されている。しかし、いったん体重を減らしてやせても、その後にリバウンドして、体重をある程度増やしてしまう人も多い。
こうした減量後に体重が戻る体重変化のパターンの人であっても、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを減少する効果的はあり続けることが、同大学の研究で明らかになった。
「減量に取り組んでいる患者さんや、肥満症や糖尿病の治療を行っている医師の多くは、いったん体重を減らしても、その後にリバウンドしてしまうことが多いので、減量の取り組みはあまり意味がないと考えてしまいがちです」と、オックスフォード大学プライマリケア健康科学科のスーザン ジェブ教授は言う。
「しかし、減量プログラムに参加して体重を減らすのに成功した人は、その後数年にわたり心血管疾患のリスクの減少効果を得られることが明らかになりました。減量に取り組むことは、長期的には無駄にはなりません」としている。
研究グループは、124件の国際的な科学的研究を評価し、集中的な減量行動プログラムの参加した患者と、プログラムに参加しなかった患者との、心血管疾患と2型糖尿病の危険因子を比較した。
対象となった参加者の数は5万人以上で、平均年齢は51歳で、体格指数(BMI)の平均は33で、肥満と判定されていた。
平均28ヵ月の追跡調査が行われ、参加者は食事療法や運動療法に取り組み、その方法は対面による個別指導やグループ指導、スマホのアプリや電話などによるオンライン指導、さらには金銭的インセンティブを設定したものなどさまざまだった。
その結果、プログラムの参加者は平均して体重を2~5kg減らし、年間に0.12~0.32kg減らした。集中的な減量行動プログラムに参加した患者は、参加しなかった患者に比べ、体重をより減らし、心血管疾患や2型糖尿病の危険因子が減少したことが明らかになった。さらに、プログラムが終了した後も、その効果は数年にわたり続くことも分かった。
減量行動プログラムに参加した患者では、次のような効果が示された。
▼ 収縮期(最高)血圧値が、1年後に平均して1.5mmHg低下し、5年後にも0.4mmHg低下。
▼ 1~2ヵ月の血糖値の平均が反映されるHbA1c値が、1年後も5年後も0.26%低下。
▼ 善玉として知られているHDLコレステロールと、総コレステロールの比率も改善。
いくつかの研究では、減量プログラムが終了した人は、たとえその後に体重をある程度戻してしまったとしても、心血管疾患や2型糖尿病のリスクはやはり低下することが示されている。
「今回の調査結果は、減量プログラムが心血管疾患の危険因子を減らし、発症リスクを低下するのに効果的であることをあらためて示すものです」と、ジェブ教授は指摘している。
「確かに、いったん体重を減らした人でも、その後にリバウンドしてしまうことは少なくありません。
しかし、過体重や肥満の悩みを抱える人々が減量に取り組むことは、2型糖尿病や心血管疾患のリスクを軽減するための効果的な方法であることは確かです」としている。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会的孤立を感じている人が増えている。
孤独は2型糖尿病のリスクも上昇させる。孤独感が長引くとストレスになりやすい。
ストレスを解消する効果的な方法を、早く見つけることが必要だ。
孤独によるストレスを解消するのに役立つ方法をご紹介する。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会的孤立を感じている人は増えている。ある調査によると、孤独を感じている米国人は3人に1人以上に上り、その数は増加している。
すべての人がソーシャルディスタンシング(社会的距離をとること)を求められ、周囲の人と約2メートルの距離をとり、食料品店や美術館など、不特定多数の人が出入りする場所に足を運ぶ頻度も減らしている。
このようなストレスが高まっている時期に、社会的に孤立した状況におかれると、多くの人は不安をつのらせ、メンタルヘルスにマイナスの影響があらわれるおそれがある。
孤立していると感じる期間が長くなればなるほど、メンタルヘルスに及ぼす悪影響は大きくなる。孤独感は、不安やストレス、認知機能の低下を引き起こす。
心の健康を保つためには、ビデオチャットなどのテクノロジーを利用して交流を保ったり、運動をしたり、できる限り外に出て自然にふれたり、マインドフルネスを試してみるのが効果的だ。
孤独を感じていることが健康にもたらす影響について関心が高まっている。これまでの研究で、社会との交流を失い孤立を感じている人は、心臓病や脳卒中のリスクが高いことが示されているが、英国のキングス カレッジ ロンドンの研究によると、孤独は2型糖尿病のリスクも上昇させる。
「孤立の影響に関するこれまでの研究の多くは、他者とコミュニケーションをとるのが難しくなった人たちに目を向けてきました」と、同大学精神医学・心理学・神経科学研究所(IoPPN)のルース ハケット氏は言う。
「今回の研究では、本人が孤独を感じているかどうかに焦点をあてました。その結果、人間関係で感じている孤独は、その後の2型糖尿病の発症に影響することが分かりました」。
研究者は、2002~2017年に50歳以上の4,112人の男女を対象に実施された「英国加齢縦断研究」のデータを分析した。その結果、孤独を感じている人は、糖尿病の発症リスクが1.4倍以上に上昇していた。
「孤独感が長引くと、毎日の生活でストレスになります。そのストレスがもたらす負の影響が、2型糖尿病の発症につながっている可能性があります。ストレスを解消する効果的な方法を、早く見つけることが必要です」と、ハケット氏は指摘している。
コロナ禍では、ビデオチャットなどのテクノロジーを利用して、親しい人たちと連絡をとり続けている人が多い。これは、社会的孤立から心の健康を守るのに役立つ重要な方法のひとつだ。
「孤立は多くの場合、孤独感や不安、ときには抑うつ状態などのマイナスの影響をもたらします」と、米マサチューセッツ大学老年学部のジェフリー バー教授は言う。
「孤立により、精神的に追い込まれるだけでなく、身体的にも悪影響があらわれます。心臓病や脳卒中、認知症のリスクが30%上昇するという調査報告もあります」。
79歳のバーバラ ストッパーさんは、6年前に夫を亡くした。以前は、カードゲームや昼食会の集まりで、コミュニティの人々とのつながりを維持していたが、コロナ禍でそれも難しくなった。
ストッパーさんは、新型コロナが拡大した期間に、ビデオチャットを利用して子供たちと連絡をとり続けた。彼女は、インターネットを使用して、カードゲームのネットワークを広げ、オンラインで新しいプレーヤーと出会い、仮想トーナメントに参加することにも挑戦した。
ストッパーさんは新型コロナの予防ワクチンの接種をすでに受けているが、対面での接触にはまだ制限がある。「大変な時期だと思いますが、子供たちのことを思い浮かべると、気持ちがやわらぎます」と話している。
運動にストレスを軽減する効果があることは、多くの研究で裏付けられている。運動をすると、エンドルフィン(幸福感をもたらす化学物質)の分泌が促され、逆にコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンの分泌は少なくなる。
米シダーズ サイナイ医療センターのアリソン メイズ氏らは、ロサンゼルス近郊の図書館やレクリエーションセンターなど9ヵ所の施設で、地元のコミュニティグループと提携し、50歳以上の人々を対象とした、運動と健康管理の教室を開催した。
教室には52~104歳の男女382人が参加し、2型糖尿病などの慢性疾患や、関節炎などを改善することに着目したエクササイズに取り組んだ。6ヵ月コースを終了したころには、参加者の孤独感は6.9%減少し、社会的つながりが3.3%改善していた。
参加者のほとんどで、グループで運動に参加することは好評だった。運動教室は現在も継続されており、オンラインでの開催も計画しているという
自然とふれあうこと、屋外に出て太陽の光を浴び、緑の多い場所を歩くことで、気分を改善でき、ストレスを軽減する効果を期待できるという研究が、相次いで発表されている。
自然とふれあい、体を動かすことで、うつや不安、孤独感などのメンタルヘルスを改善できる。糖尿病のコントロールも良くなり、心身の健康増進を期待できる。
筑波大学が働く人を対象に行った研究で、森林での散策や緑地での散歩の頻度が⾼いほど、ストレス対処⼒が向上することが明らかになった。
自然にふれることで、リラックス時に高まる副交感神経活動が亢進し、不安との関連が指摘されている脳前頭前野活動が鎮静化する効果を得られることも分かってきた。
自然の豊かな場所にいる時間は長いほど良く、ウォーキングなどの運動を含めるとさらに効果的だ。でも、その余裕がないときでも、たった20分間を静かに過ごすだけでも、ストレスを軽減する効果を期待できる。
「マインドフルネス」が、ストレス管理に役立つメンタルトレーニングとして期待されている。
マインドフルネスを簡潔にあらわすと「今、ここで起きていることを、ありのまま感じて、受け止めること」。自分の体や心の状態を意識することで、ストレスがあっても、否定的な感情にとらわれることなく、平静を保てるようになるという。
マインドフルネスは、日本の禅や瞑想をベースにしたメンタルトレーニングとして米国で発達した。マインドフルネスを日本語に訳すと「気付くこと」「意識すること」という意味になる。
米カーネギーメロン大学は、マインドフルネス瞑想が、高齢者の孤独感を軽減するという研究を発表した。研究には、マインドフルネス瞑想に興味をもっている、55~85歳の成人40人が参加した。
参加者は、8週間のマインドフルネスにもとづくストレス軽減プログラムに取り組み、毎週2時間のミーティングで呼吸法など、日常にマインドフルネスを取入れる方法を学び、自宅でも毎日30分間の瞑想をした。
その結果、マインドフルネスに取り組んだ人は、炎症を誘発する遺伝子の発現が減少し、体内で炎症が起きたときなどに上昇するC反応性タンパク(CRP)が低下していた。
「スポーツジムで筋肉を鍛えられるのと同じように、心を鍛えることは可能です。瞑想のトレーニングが高齢者の心の健康を改善するための効果的である可能性があります」と、同大学の心理学部のデビッド クレスウェル氏は述べている。
グループで運動に取り組むと孤独や社会的孤立を減らすことができる
シダーズ サイナイ医療センターが公開しているビデオ
仕事などで毎日が忙しく、十分に咀嚼せず、食物を早く飲み込み、食事のスピードが速いという人は多い。しかし、早食いは体に悪影響をもたらすので注意が必要だ。 食べ方を工夫すれば、食後の血糖上昇を抑えられる。早食いが原因で肥満になったり、血糖変動が大きくなり糖尿病リスクが上昇するという研究が発表されている。
食品の摂り方によって、食後の血糖上昇を抑えられることが分かっている。主食の炭水化物を食べる前に、食物繊維が豊富に含まれる野菜や、タンパク質を含む肉や魚などの主菜を先に食べることで、食後血糖の上昇を抑えやすくなる。
さらには、咀嚼(よく噛むこと)の大切さも注目されている。咀嚼には、食物を噛み砕き、胃腸での消化・吸収を助ける働きがあるが、それ以外にも「満腹中枢」を刺激し、食欲を抑える効果もあり、食事療法や肥満対策に役立つことが分かってきた。
咀嚼力と血糖コントロールの関係を調べた研究では、咀嚼力が低下すると、血糖コントロールを乱しやすくなることが分かった。つまり、野菜など食物繊維の多い食材を主食より先に食べ、よく噛んで咀嚼することで、食後の高血糖を抑えやすくなる。
早食いをすると肥満や2型糖尿病のリスクが上昇するのは、脳の満腹中枢が関係しているからだ。満腹中枢は、脳の視床下部にある器官のひとつで、摂取した食物に反応して体に満腹感を知らせる。
食べ物を摂取すると血液中のブドウ糖(血糖)の量が増加し、血糖値が上昇する。満腹中枢がこれを感知し、「これ以上食べる必要ない」と体に伝える。もしも満腹中枢が正常に機能しないと、どれだけ食べても満腹感を得られなくなる。
満腹中枢が血糖値の上昇を感知するまでに約15~20分かかるとされている。食べ過ぎを改善するためには、早食いをしないで、15分以上かけて食事をするのが望ましい。
九州大学が2型糖尿病の日本人約6万人を対象とした研究で、食事の速度が肥満やBMIに影響することが示された。速く食べる人ほどBMIや腹囲が上昇しやすいという
研究は、九州大学大学院医学研究院の福田治久氏らによるもので、医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」のオンライン版に発表された。
研究チームは、調査期間中に2型糖尿病と診断された日本人5万9,717人を対象に、食べる速度と体重の増減との関連を調べた。日本医療データセンター(JMDC)が作成した健康保険組合の実施した健康診断のデータベースを利用した。
解析した結果、食べる速度が速い人は全体の37.6%、普通の人は55.4%、ゆっくりの人は6.9%であることが判明した。
BMI(体格指数)は身長と体重から算出され、体重が適正範囲内かどうかを判断する際に用いられる。BMIが25以上の肥満の割合は、食べる速度が速い人では44.8%、普通の人では29.6%、ゆっくりの人では21.5%で、食べる速度がゆっくりであるほど肥満の割合は少なくなることが明らかになった。
食べる速度はウエスト周囲径にも影響する。ウエスト周囲径の平均は、食べる速度が速い人では86.8cm、普通の人では82.8cm、ゆっくりの人では80.1cmで、食べる速度がゆっくりであるほど、お腹周りも引き締まることが分かった。
また、国立循環器病研究センターの研究によると、咀嚼機能の指標のひとつとなる「最大咬合力」が低下すると、心筋梗塞や脳卒中などを発症するリスクが上昇する。
研究グループは、大阪府吹田市の市民を対象としたコホート研究である「吹田研究」に参加した、50~79歳の男女1,547人を対象に調査した。
その結果、最大咬合力が低い人は高い人に比べ、循環器病を新たに発症する割合が高かった。最大咬合力がもっとも高い人に比べ、低い人では心血管疾患(CVD)を発症するリスクが4倍以上に上昇した。
つまり、咀嚼機能が低いと、将来に循環器病を発症するリスクが上昇する可能性がある。いつまでもよく噛めるように心がけることが大切だ。
ハーバード公衆衛生大学院によると、1回の食事にかける時間が少ないと、短時間に吸収しやすい食品を選びがちになる。吸収の早い食品は食後の血糖値を上げやすい。
ゆっくり食べることで、食事の血糖上昇を抑えられ、血糖変動が小さくなり、1~2ヵ月の血糖の平均をあらわすHbA1cが低下する。体重も減少させることができる。
ゆっくり食べるために、1回の食事に費やす時間を増やす必要がある。下記の工夫をすると、自然に噛む回数を増やせて、ゆっくりと食事ができる。
多くの人はひと口で噛む回数は量によって変わらないという調査結果がある。ひと口の量を減らせば、噛む回数を増やせる。
忙しい毎日、時間に追われると、つい早食いになってしまいがちだ。スケジュールを調整し、食事の時間を十分にとれば、噛む回数を増やせる。
テレビやスマートフォンを見たり、パソコンの前で仕事をしながらの食事は、食べることに集中できなくなるだけでなく、食べ過ぎにもつながる。 食べるときにはスマートフォンの電源を消し、なるべく食べることに集中する。楽しみながら食事をすることで、ゆっくりと食べられるようになる。
ひと口の噛む回数をいきなり増やすのは大変なので、まずは5回増やしてみる。慣れてきたら少しずつ増やしていく。
ゴボウやレンコンなどの根菜類や、きのこ、コンニャク、海藻類、ナッツ類(アーモンド、クルミ)など、食物繊維が豊富に含まれ、噛み応えのある食品を副菜に取り入れる。
食材を一口大に切ると、飲み込める大きさになるまで噛むようになるので、自然に噛む回数も増える。みじん切りや千切りよりは、乱切りなどのように大きめに切ったほうが良い。
薄味にすると、食材本来の味を味わおうとして、よく噛むようになる。
ファストフードやレストランなどでの外食は、1回の食事量が多く、食べ過ぎにつながりやすく、しかも多くは栄養価も低い。食事にかけられる時間も少なくなる傾向がある。家で家族といっしょに時間をかけて食べるのが理想的。
A simple meal plan of ‘eating vegetables before carbohydrate’ was more effective for achieving glycemic control than an exchange-based meal plan in Japanese patients with type 2 diabetes(Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition 2011年6月)
Effects of changes in eating speed on obesity in patients with diabetes: a secondary analysis of longitudinal health check-up data(British Medical Journal 2018年2月12日)
A lower maximum bite force is a risk factor for developing cardiovascular disease: The Suita study. Scientific Reports(Scientific Reports 2021年4月7日)
Food and Diet Beyond Willpower: Diet Quality and Quantity Matter(ハーバード公衆衛生大学院)
「低炭水化物ダイエット」が、体重減少や糖代謝の改善の効果があるという研究が報告されている。
効果があるという研究が、海外で報告されて以来、糖尿病の食事療法でも注目されてきた。
しかし、日本人を対象に「低炭水化物ダイエット」の効果を調べた研究は少なかった。
このほど、日本人9万人超を17年間追跡した大規模調査で、「炭水化物は少な過ぎても、多過ぎても、死亡リスクは上昇する」という意外な結果が示された。
ただし、「植物性食品にもとづく低炭水化物ダイエット」であると、健康への好ましい影響があらわれることも示された。
「低炭水化物ダイエット」は近年、体重減少や糖代謝の改善などがあるとして、その健康効果が注目されている。
血糖値を上げやすいのは、すぐエネルギーになりやすいごはんやパン、砂糖などの、炭水化物の多い食物とされている。「低炭水化物ダイエット」は、その炭水化物を制限する食事スタイルで、炭水化物の摂取比率や摂取量を低く抑えるのが特徴となる。
炭水化物の制限が、肥満の改善の効果があるという研究が報告されて以来、糖尿病の食事療法でも、炭水化物制限の効果は注目されてきた。
「低炭水化物ダイエット」について、これまで米国では多く研究が行われているが、日本からの報告は少なく、脂質やタンパク質の摂取源について検討した研究はなかった。
そこで研究グループは、今回の研究で、「低炭水化物ダイエットスコア」を作成し、その後の死亡と死因別について検討した。さらに、脂質とタンパク質の摂取源が、動物性または植物性であるかによって、どのような影響があるかを検討した。
「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
研究はJPHC研究の一環として行われたもので、国立国際医療研究センターや国立がん研究センターなどの研究グループによるもの。研究成果は、科学誌「Clinical Nutrition」に掲載された。
調査は、1995年と1998年に、岩手、秋田、長野、沖縄、東京、茨城、新潟、高知、長崎、大阪の11保健所管内に在住し、食事アンケートに回答した45~74歳の男女9万3,654人を対象に行われた。
研究グループは、食事調査アンケートの結果を用いて、1日のエネルギー摂取量を推定し、炭水化物、脂質、タンパク質からのエネルギー摂取の割合をそれぞれ計算した。
次に、炭水化物からのエネルギー摂取の割合が高いほど小さな得点を与え(10~0点)、脂質とタンパク質は多いほど高い得点を与え(0~10点)、それらを合計して「低炭水化物ダイエットスコア」とした。このスコアが高いほど、炭水化物の摂取量が比較的少なく、脂質やタンパク質の摂取量が多いことを意味する。
「低炭水化物ダイエットスコア」が低い順に並べて、人数が均等となるよう5グループに分け、スコアがもっとも低いグループを基準として、その他のグループのその後の全死亡、循環器疾患やがんによる死亡リスクを調べた。
その際、年齢、性別、地域、体格、喫煙・飲酒習慣、余暇の身体活動、高血圧・糖尿病・高コレステロール血症の既往、職業、エネルギー、コーヒーや緑茶の摂取量については、その影響を取り除いた。
関連情報
16.9年間(中央値)の追跡期間中に、1万3,179人が死亡した。死亡の原因別では、がんが5,246人、循環器疾患が3,450人、心疾患が1,811人、脳卒中が1,358人だった。
「低炭水化物ダイエットスコア」の各グループの、炭水化物からのエネルギー摂取の割合の平均値は、スコアがもっとも低いグループで65%、もっとも高いグループで43%だった。
解析した結果、「低炭水化物ダイエットスコア」は、低くても高くても死亡のリスクが高いというU字型の関連がみられた。死亡の原因別にみたところ、循環器疾患と心疾患で、同様のU字型の関連がみられた。
次に、脂質とタンパク質の摂取源を、動物性食品と植物性食品に分けて検討した結果、動物性食品にもとづく「低炭水化物ダイエットスコア」と死亡リスクとの関連はU字型であるのに対し、植物性食品にもとづく「低炭水化物ダイエットスコア」は値が高いほど死亡リスクが減少するという関連があることが分かった。
植物性食品にもとづく低炭水化物ダイエットスコアと死因別リスク
今回の研究では、日本人では、炭水化物の摂取量に対する脂質やタンパク質の摂取量が少ない場合と多い場合のいずれも、死亡リスクが高まることが明らかになった。
また、脂質やタンパク質の摂取源が、動物性食品か、植物性食品かによって、死亡リスクとの関連が異なることが分かった。
研究結果から、炭水化物の摂取量を減らして、脂質やタンパク質の摂取量を増やす場合には、死亡(とくに循環器疾患死亡)のリスクを低減する観点からは、脂質・タンパク質は主に植物性食品から摂取するのが望ましいことが示唆された。
「炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素は、たとえば、炭水化物の摂取が少なければ、タンパク質や脂質の摂取が多くなるため、全体のバランスとして考える必要がありますと、研究グループは述べている。
「低炭水化物ダイエットでは、とくに動物性食品から脂質やタンパク質を多く摂取した場合、健康への好ましくない影響も報告されています」。
このように、米国の研究では、「低炭水化物ダイエットスコア」が高いほど死亡リスクが高いという結果も報告されているが、今回の日本人を対象とした調査は、U字型の関連が示されるという結果になった。
研究グループはこの理由として、「米国と日本では、炭水化物や脂質、タンパク質の摂取源が異なることが考えられます。米国では、炭水化物の摂取源が炭酸飲料やソーダ、ケーキなどですが、日本では主に米からです」と述べている。
「脂質やタンパク質の摂取源となる動物性食品では、米国が主に肉類であるのに対し、日本では、魚介類の摂取量が多いことも考えられます。また、炭水化物の摂取量を極端に減らすと、その主な摂取源である穀類に含まれる食物繊維など、生活習慣病の予防に寄与する有益な栄養素の摂取が減り、病気のリスクが高まるかもしれません」している。

「低炭水化物ダイエット」の効果や安全性については、世界中で相反する結果が報告されている。「低炭水化物ダイエットは効果がある」とした研究も多いが、「安易に行うのは勧められない」とした研究もある。
「低炭水化物ダイエット」は、脂肪を抑えて摂取カロリーをコントロールする「低脂肪ダイエット」に比べ、決して有利ではないという研究も発表されている。
日本糖尿病学会は、「炭水化物の摂取量と糖尿病の発症率との関係については、一定の見解が得られていません」として、「食事療法の効果は、さまざまな栄養素の相互の関係において評価すべきものであって、特定の栄養素の効果のみを抽出するのは困難です」という見解を示している。
また同学会は、「食物繊維は糖尿病の状態を改善するのに有効です」として、「炭水化物の摂取量にかかわらず、食物繊維を1日に20g以上摂ること」を推奨している。
なお、研究グループは今回の研究について、炭水化物について、食物繊維やビタミンなどを多く含む玄米や全粒粉については検討していないことを限界点としてあげている。
また、エネルギーに対する炭水化物からのエネルギー摂取の割合の平均値は、スコアがもっとも低いグループで65%、スコアがもっとも高いグループで43%だったが、この範囲を超えた場合(たとえば、炭水化物の摂取がかなり少ない食事)の健康影響については、さらなる研究が必要としている。
多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Low carbohydrate diet and all cause and cause-specific mortality(Clinical Nutrition 2020年9月23日)
日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言~糖尿病における食事療法の現状と課題~(日本糖尿病学会 2013年3月18日)
]]>糖尿病、腎臓病、高血圧。これら3つは、数千万人の米国人が直面する健康上の脅威だ。それにもかかわらず、普段その脅威を身近なものだと考える人はほとんどいない。
これらの疾患に対する有望な新しい薬が登場しつつある中、まずは患者自身が病識をしっかり持つことが、それらの新薬の恩恵にあずかる前提になる。
米疾病対策センター(CDC)によると、3,400万人以上、つまり米国人の10.5%が糖尿病を患っている。そのほとんどは2型糖尿病だ。
米スタンフォード大学医学部の腎臓学の准教授であるVivek Bhalla氏は、「糖尿病は小血管に障害を与え、その結果、腎臓病や高血圧を引き起こすことがある」と話す。さらに、米国心臓協会(AHA)の腎臓領域の評議会長を務めていた同氏は、「これらの関係は、悪循環を形成する可能性がある」と警告を発している。
糖尿病は腎臓の血液濾過効率を低下させるとともに、高血圧を招く。そして高血圧は、「火に油を注ぐように腎臓病を加速させる」と同氏は語る。
結果として、心臓と腎臓が互いに影響を及ぼし合って病状を悪化させる「心腎連関」を引き起こし、その根源である高血圧をさらに悪化させるという。しかもこの悪循環は、目に見えないかたちで進行する。
「2型糖尿病患者の多くは診断さえされておらず、糖尿病になってから最初の約5年間は、必要な薬物療法が行われないまま経過している。一方の高血圧も『サイレントキラー(静かな殺し屋)』として悪名が高い。そして腎臓病も、末期になるまでほぼ症状が現れない」と、同氏は解説する。
CDCによると、糖尿病と診断された米国成人のうち、推定で37%が慢性腎臓病を発症している。また米国腎臓財団は、2型糖尿病患者の最大40%が最終的に腎不全に至ると推計している。
一方、比較的新しい糖尿病用薬は、これらの問題を改善する可能性がある。SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬と呼ばれるタイプの薬剤だ。
「Circulation」9月号に発表されたAHA科学声明の筆頭著者であるJanani Rangaswami氏は、これらの薬剤による治療を「画期的な治療法」と記している。これら両剤は、心血管系のトラブルが原因の死亡を減らすという、複数の研究結果に支持されたエビデンスが存在する。
前出のBhalla氏もAHAの科学声明の執筆陣の1人だ。同氏は、この2剤に副作用があることを認めながらも、「全ての腎臓内科医が、これらの薬の使用を検討しているのではないか」と語っている。
しかし、これらの薬剤をどの診療科の医師が処方するのかという問題もある。「複数の疾患を持ち、複数の診療科で治療を受けている患者が最適な治療を受けられるようにするために、医師同士のコミュニケーションが不可欠だ」と同氏は強調する。
医師同士のコミュニケーションの問題を、患者サイドで解決する方法を提案するのは、米国腎臓財団と米国糖尿病学会(ADA)、そしてAHAでボランティア活動をしているJane DeMeis氏だ。
同氏は、「患者は自分自身の”ヘルスケア委員長”になる必要がある」と話す。そして、いつも接している複数の医師の中から1人を擁護者として選び、その医師に治療法の調整役になってもらうと良い」と述べている。
[American Heart Association News 2020年11月4日]
]]>新型コロナウイルス感染症の影響で、それまで当たり前だった日常が大きく変化し、自宅で過ごす時間が多くなった人も多く、「コロナうつ」「コロナ疲れ」「コロナストレス」などといった言葉に代表されるような不調群が増加している。
そこで近畿大学は、季節や体調にあった身近な食材を献立に取り入れた「薬膳レシピ」により、心身の不調の解消と健やかな身体づくりを支援するプロジェクトを開始した。
薬膳とは、季節や食べる人の体調に合わせ、食材や生薬(漢方薬の原料)などを組み合わせた料理のこと。薬膳の「膳」は食事の意味で、基本としているのは”食養生”という考え方だ。「誤った食事は健康不調を引き起こし、正しい食事により改善できる」というものだ。

出典:近畿大学、2020年
「薬膳レシピ」では、季節の不調に合わせて、11月~4月まで毎月ひとつの薬膳食材にフォーカスし、近畿大学農学部食品栄養学科の管理栄養士である明神千穂氏が監修したレシピを作り方とともに紹介する。レシピは、特設サイトで公開される。
「私たちの身体は食べたものからしかできません。これまでの1回1回の食事の積み重ねで、今の私たちの身体は作られています」と、明神氏は言う。
「薬膳といっても、その材料を見れば、ふだん食べている食事に使われている食品がほとんどです。違うのは、その食品の力を、西洋医学としての栄養でみるか、東洋医学としての栄養で見るかです」。
「毎日の食事で摂取している食物にどのような特性があるのかを理解し、上手に生活の中に取り入れれば、日々の健康や病気の予防・治療・疲労回復につながります。食事で心や身体の不調を改善して、日々の生活を豊かにしていただきたいという思いから、誰でも簡単に作れる、薬膳レシピをご紹介します」。
新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト 特設サイト
おうちでカンタン 薬膳レシピ


「新型コロナウイルス感染症による影響は、感染による呼吸器症状といった直接的な症状だけでなく、感染や社会変動への不安といった周辺症状によっても我々に大きな影響を及ぼしています」と、監修を行った近畿大学東洋医学研究所の所長・教授である武田卓氏は言う。
「今回のプロジェクトは、このような東洋医学のなかの薬膳を活用し、新型コロナウイルス感染症による心身への影響の緩和を支援することを目的に実施しています」。
「薬膳レシピ」は、同大学が取り組んでいる「”オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として実施するもの。
同プロジェクトは、世界で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症について、医学から芸術までの研究分野を網羅する総合大学などの力を結集し、全教職員から関連研究や支援活動の企画提案を募って全学横断で実施しているもの。
これまで72件の企画提案が採択され、約1億3,000万円の研究費をかけて実施しているという。
「薬膳レシピ」の特設サイトを運営しているわたし漢方は、LINEで身体の悩みを薬剤師に相談すると、自分にあった漢方薬を自宅に配送してくれるオンライン漢方相談サービスを展開している。
近畿大学と同社は双方の強みを生かし、新型コロナウイルス感染症の軽症患者向けの栄養調査や漢方治療や食養生指導のシステム確立などの研究開発を行うことを予定している。
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糖尿病の進行は非常に緩やかなので、多少糖尿気味だといわれても放置する人が多いようです。そして気がついた時には様々な合併症を発症していて後悔するのです。
視覚障害による「身障者手帳」交付を受けた人の内、糖尿病性網膜症によるものが2,986人(18.3%)にのぼりました。
糖尿病と目に何の因果関係があるのかと、不思議に思われるかもしれません。
糖尿病になると血液内の糖分が異常に増えた状態が続きます。
ですから細い血管がまずダメージを受けることになります。糖尿病は血管の病気とも言えるのです。
目の奥にある網膜はカメラのフイルムにあたる部分です。
網膜は光の強さや色を感じ取り、その情報を脳に送ります。
網膜にはたくさんの毛細血管が張り巡らされており、毛細血管が至るところでコブのようにふくれあがります。
この段階では視力低下を自覚することはほとんどありませんが、網膜症がすすむと網膜の毛細血管がふさがってしまいます。血管がふさがると網膜が酸素不足になります。
それを解消しようと新しい血管がつくられますが、この新しい血管はもろく出血を起こしやすいのです。
糖尿病の3大合併症の中で最も深刻なのが、目に起こる網膜症です。
なぜかというと、網膜症は失明の原因になるからです。
成人してからの失明原因の第1位は、この糖尿病性網膜症です。
糖尿病とわかって6年以上たつと、50%以上の患者さんに網膜症が起こってくるとさえいわれています。

網膜症とは、カメラのフィルムの役目をする網膜が痛んでしまった結果起こります。
網膜は、光や色を感じ、それを脳に伝える役割をもっていますが、そこには細かい血管(細小血管)が無数に張り巡らさせています。
糖尿病では、血液が高血糖のため糖分を多く含み粘性が強いため、この細小血管をつまらせたり、血管壁に負担をかけ細小血管症を起こします。
そのため、網膜の酸素や栄養が不足してしまい、眼底出血や硝子体出血などの症状を示す網膜症が起こります。
糖尿病による白内障は、体内に糖分が増えるため、カメラのレンズにあたる水晶体に糖分が蓄積され、白く濁ってくるものです。
一般に白内障のほとんどが老人性白内障ですが、糖尿病のある場合は早めに白内障がでてきます。
多くは水晶体を取り出して、プラスチック製の眼内レンズを入れることでよくなりますが、重症の場合にはこの手術さえできなくなります。
網膜症の末期的段階に、ときに発病する血管新生緑内障は、糖尿病網膜症が原因となった場合、一般にいう緑内障とは違ったプロセスで発病します。
糖尿病網膜症が重症になると、虹彩というカメラの絞りにあたる役割をする部分に、新生血管という正常では存在しない血管ができます。
虹彩の周囲は、眼の中を潤すよう常に水が流れる構造になっているのですが、この新生血管のために水の出口である隅角がつまってしまいます。
このため、眼の中の圧力(眼圧)が高くなり、視神経が圧迫されて視力が低下し、ついには失明してしまいます。
| 段 階 | 自覚症状 | 治療法 | |
|---|---|---|---|
| 単純性網膜症 | 細小血管がつまってコブができることがあり、眼底検査をすると点状の出血が見られる。 | 全くなし | 血糖コントロールを適切に行うことによって、自然に消えていく場合がある |
| 前増殖性網膜症 | さらに進行すると、網膜の血管が詰まって血液が流れない場所が出来てくる。それを補うために、新生血管を作り出す準備を始め、静脈が腫れ上がったり、異常な形の血管が見られるようになる。 | ほとんどないが、黄斑部に浮腫が起こると、著しい視力低下 | 血糖コントロールの改善とともにレーザー光凝固を行う |
| 増殖性網膜症 | 網膜は酸素不足の状態になり、その酸素不足を補うために、もろくて破れやすい新生血管が出来てくる。やがてこれが硝子体に入り込んで、ここで衝撃を受けたり血圧が急に上がると、もろい血管が破れて眼底出血、あるいは硝子体出血などと呼ばれる大出血を起こしてしまう。 | 視力の低下網膜剥離失明することなどがある | レーザー光凝固術を行うこともあるが、硝子体出血や網膜剥離の状態には硝子体手術が行われる |
レーザー光凝固とは
一定の部分の網膜の細胞を焼いて、新生血管を予防したり、できてしまった新生血管を焼き潰す治療法。
このように糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が見られない病気です。
自覚症状が出るころはすでに3段階まで進行していることになります。
最近では、レーザー光凝固装置の改良が進み、硝子体手術も発達したため、不幸にして高度の視力障害になってしまった眼にも、有効な治療が可能になってきました。しかしながら、糖尿病の場合、網膜症を起こさないことが大切です。そのためには、糖尿病治療の基礎となる食事療法、運動療法に真剣に取り組み、血糖値のコントロールを良好に管理することが第一です。
糖尿病網膜症は、かなり進行するまで自覚症状が見られない病気です。
糖尿病とわかったら直ちに眼科で診てもらうことが最も重要です。眼底検査をすると、網膜症になる前でも、網膜の血液の流れ方に少しでも異常があればわかります。
一般に、糖尿病を患っている期間が長いほど、網膜症を合併する可能性も高くなるといわれます。
糖尿病と診断されたら、視力に変化がなくても、眼に異常を感じなくても、1年に一度くらいは眼科で診てもらいましょう。
大出血までいかなくても出血を繰り返せば網膜剥離を起こして失明する場合もあります。
血糖コントロールをしっかり行わないと6~10年で約半数の糖尿病患者が網膜症にかかると言われています。
網膜症以外にも糖尿病による目の障害としては白内障や緑内障があります。
失明にまで至ってしまうともう二度と光は見られません。
統計によると日本では1,000人の糖尿病患者のうち3人(0.3%)が失明していることになります。
この数字、多いと見ますか?少ないと見ますか?

網膜症は糖尿病患者から光を奪います。
失明は不幸なこととはいえ、直接命に関わる病気ではありません。
しかし糖尿病性腎症は死の危険を伴う怖い合併症です。糖尿病発症後10年以上経つと腎臓に障害が起こりやすくなります。
発症後20年以内に「依存型」患者の40%が腎不全を起こします。
「非依存型」はそれより割合が低くなりますが、決して侮れない数字です。
現在日本で腎不全のため新たに人工透析を受け始める人の30%は糖尿病患者です。
医薬品の副作用で肝臓病になるなど、病院の薬や対応にも大きな問題があります。
糖尿病の研究をしている研究会のセミナーで聞いた話です。
もともとインシュリンの出が悪いのが糖尿病ですが、もっとインシュリンを出すようにする薬があります。
この薬は、インシュリンを出したくても出せずに苦しんでいる人の体を、更に強いる薬です。
この薬を飲み続けていると結局、最後には疲れ果てて一滴のインシュリンも絞り出せなくなってしまいます。
治療のための薬であるはずなのに、本当に恐ろしい話ですね。
実際に医療に携わっている医者の中にも、現在の糖尿病の治療に疑問を持っている人が大勢いらっしゃいます。
何故なら大勢の糖尿病患者が通院し、治療を受けているにも関わらず合併症に苦しみ病気の進行を食い止めることが難しいという事実があるからです。
食事に気をつけるのも、運動を心がけるのも、薬を飲むのも、血糖値を下げるのも全て「合併症を防ぐ」ためです。
血糖値を下げることは大切ですが、糖尿病治療の最大の目的は合併症を防ぐことです。
糖尿病でも合併症で苦しむことがなければいいわけです。
大勢の人たちの話を聞くと、血糖値や長期血糖の話が多く出ます。それは、今のところ、血糖値を下げる以外に合併症を防ぐ道が他にはないのです。
糖尿病には、神経障害という合併症があります。
末梢神経に障害が起こることで、発汗作用をつかさどる自律神経も障害を起こすため、暑くても汗が出ない症状となります。
またその反対に暑くないのに汗が出ることもあるようです。
痛みはとくに眠りにつく時に感じるようですが、これは末梢神経障害の「冷え」から一歩進んだ症状です。
例えば、指を輪ゴムできつく縛ってみてください。
最初は指先が冷たくなりますが、そのうちに痺れが始まり、ピリピリと痛みが生じます。
この状態を長時間放置しておくと、やがて指先は腐って落ちてしまいます。
いわゆる「壊疽(エソ)」と言われる症状です。
糖尿病の末梢神経障害も同様の格好で進行します。
最初は冷え、ついで痺れて、そして痛みが始まります。
痛み、やがて眠れないほどに強く激しいものになります。
その後に訪れるのが足のエソ状態で、「エソが進行したために足を切断した」という話をみなさんも聞いたことがあるはずです。
合併症は足からはじまります。
糖尿病の発病と同時に、常に合併症の怖さがつきまとう生活が始まってしまいます。
本当に恐ろしいですね。
血行不良になると健康な人に比較すると驚くほどに強く冷えを感じるようになります。
そのために、夜、ふとんに入っても足が冷たくてなかなか眠れません。
私はよく夫の足をさすってあげました。私と同じことをしていらっしゃる方も世の中には多いことと思います。
母親が糖尿病で亡くなり、自らも発病したという女性の話をご紹介しましょう。
彼女は自分も母親のように糖尿病になるのではと恐れていましたが、体質遺伝から、やはり発病してしまいました。
現在、発病から二十年余りが経ちましたが、その間ずっと病院に通い、今では一日二回、インシュリン注射を行っています。
私が彼女にお会いしたのは夏の盛りのとても暑い日でしたが、その時彼女は私に〝自分は暑い日でも汗をかいたことがない〟と言いました。
みなさん、もうお分かりでしょう。
糖尿病は血管の病気とも言われるように、糖尿病を発病すると血管に異常が始まります。
その異常とは「細い血管から詰まり始め、症状は徐々に太い血管へ進む」というものです。
ですから、動脈硬化の進行が健康な人よりも早く、その結果、血流が悪くなり、新陳代謝が衰えます。
彼女は「暑い日に汗が出ないのは辛い」と話していましたが、疲れやすく、長い時間歩くことができません。
彼女の場合、一番の苦痛は足の痛みでした。
針を刺されるような痛みが両足全体にあるそうです。
これでは思うように外出も出来ません。
足の痛みで苦しむご主人を、奥さんが眠らないで介護をして、ずっと足をさすってあげるそうですが、つい眠気に負けた奥さんがウトウトすると、ご主人は奥さんを蹴るそうです。
こんなことが毎晩繰り返されていると思うだけで私は胸がキリキリと痛みます。
ある日、その老夫婦のお宅を訪ねたことがあります。
北風の吹く寒い季節の訪問でしたが、部屋に案内されて驚きました。
老人の両手両足は分厚い手袋と足袋で覆われています。
その上、手袋と足袋の中には携帯用のカイロが入っていました。
随分と酷い冷えを感じているようでした。
私が、「そうすると少しは楽ですか?」そう尋ねると、「いや、いくら暖めても駄目だ。とくに夜は辛い。痛みで眠れない」と老人は嘆きました。
老人は二十一年前に糖尿病だと分かったそうですが、病気になった後も生活習慣を改めようとせず、医者から「気をつけるように」と何度も注意をされたそうですが、やはり気にもとめなかったようです。
その結果が今の状態だと悔んでいましたが、まさに「後の祭り」となってしまったのです。
痛みで眠れない夜は「神経ブロックの注射」をするそうですが、それも今ではあまり効果がないようです。こうなると、まるで苦しみと闘うだけの日々です。
合併症が進行すると気力も体力も奪われ、何をすることもできません。
ただ、悪くなるのをじっと待つだけです。
この病が本人だけでなく、家族も大変に辛い病気であることを、つくづく思い知らされます。
糖尿病の薬には食物の消化を緩やかにしたり、消化を妨げて血糖が上がるのを防ぐ薬があります。
たぶん、みなさんの中にはその薬を飲まれている人がおられると思われますし、私の夫も医者に勧められたことがあります。
医者は「この薬は副作用で肝臓を悪くすることがある。
そのために肝機能の検査をしながらでなければ服用できませんよ」と言いました。
その言葉で主人はその薬を飲むことを中止しました。自分で違う方法で血糖値を下げようと努力しました。
しかし、私の友人は薬の副作用で肝臓を悪くした結果入院することになりました。
病状は相当にひどく、処方しつづけた医者の無責任さに無性に腹立たしさを感じました。
友人は糖尿病よりも肝臓の病気で苦しんでいるわけですから、やはり残念でなりません。
こうなる前に薬を変えたり、インシュリンにするなどの方法があったはずです。
彼は治療で悩み副作用で困る日々が続いていました。
このように、本人に合わない薬を処方されるケースが、糖尿病には多々あります。
自分自身に何が合っているのか、よくよく考えていく必要があると強く感じます。
「眼底出血」によって糖尿病が見つかった友人がいます。
以前から足が痺れたり、疲れやすかったり、身体がだるい日々が続いていたそうですが、糖尿病のことを知らない友人は、そんな赤信号に気づきませんでした。
「このくらいは何でもない…」と、たかを括っていました。
眼底出血を起こし手術をしてからは、夜の車の運転ができなくなった上に、昼間の仕事にも無理がきかなくなり、とうとう仕事を辞めてしまいました。
その後、療養を続けて9.9だった長期血糖値を8カ月かけて4.9にまで下げることに成功しましたが、それでも合併症の進行は抑えることはできませんでした。
友人はもともと血圧が高かったのですが、さらに高くなり、人工透析をしなければいけない状態になりました。
合併症がある段階まで進むと止めることは非常に難しくなります。これが糖尿病の怖さです。
この方もまた、糖尿病の恐ろしさを再認識する例です。
合併症が進行し、失明寸前になっている彼女のお母さんは、目の手術を何度も繰り返していますが、それにも関わらず今はほとんど見えなくなっているそうです。
外出も難しく、毎日家の中で過ごしており、夜は足が痛んで眠れないようです。
娘さんをはじめ、ご家族みんながお母さんを心配されていますが、糖尿病もここまで悪化するとどうすることもできません。
ひどい合併症を引き起こす前に、少しでもその進行を遅らせることが必要です。
おじさんの口癖は、「俺の糖尿病はたいしたことない」。
糖尿病の自覚も低かったため、食事制限もあまりしていませんでした。
それどころか、無謀にも串焼きを40本も食べたことがあったようです。
顔色も良く元気そうで、不自由なく毎日暮らしていました。
ところが、ある日の朝、起きると目が見えなくなっていましたのです。
それは突然やってきました。
目が見えなくからは家の中の暮らしが始まり、外出することもなくなり、当然運動量もできなくなり、とうとう三年後には他界しました。
自分は健康だと思っていた人が、突然に目に障害が起こると、気力が失せ、生きることすら難しくなるのです。
糖尿病が原因の失明は、多くの場合は病院で治療を受けていない人が経験しています。
眼科に通院していれば失明をすることはないと言われています。
糖尿病は、目の他に腎臓と神経が侵されます。
これを糖尿病の三大合併症と言います。
重い合併症が目と腎臓と神経にどうして起こるのか、その原因が解明されてきています。
目と腎臓、神経には「アルドース還元酵素」という酵素が他の部分より多く分泌されているそうです。
重い合併症は、この酵素が多くあるところに起こることが医学の進歩の結果、分かってきました。
逆に、アルドース還元酵素の働きを抑えれば、合併症を防ぎやすいことも分かってきました。
因果関係を明らかにすることで、その対策もできるようになってくるのです。
気の緩みから再び飲酒、長期血糖値はアッという間に上昇を
合併症は全身に起こります。
糖尿病は血管の病気ですが、血管は全身にまで行きわたっているので、合併症はじわじわと身体のあちらこちらを侵し、生命までも危うくさせる危険性を持っています。
合併症は糖尿病を発病すると数年以内には、自覚がなくても身体のどこかの神経を侵し始めます。
夫は糖尿病宣告から、合併症が恐ろしく嫌な食事制限を始め、お酒の制限などをしたことで、しばらくの間は血糖値も6パーセント台を維持し、お医者様にも良好だと言われる状態が続いていました。また、本人の自覚により、気をつけ始めたことの影響が大きかったです。
お医者様から処方された薬も飲んでいませんでした。しかし、知らぬ間にストレスが溜まっていたのでしょう。
夫は我慢していたお酒に再び手を出してしまいました。
飲んだらよくないと思いつつ、ふとした気の緩みから、少しぐらいならとお酒に手を出してしまいました。
お酒の種類によってはという方もいますが、問題はカロリーですから、何を飲んでも飲み過ぎれば全く同じことです。
お酒のダメなところは、徐々にその飲む量が増えて行くことにあります。
お酒を飲み始めた後は、すぐに量も増え、ビールを中心に毎日1.5リットルぐらい飲むようになりました。
すると落ち着いていた長期血糖は7パーセント台になり、すぐに8パーセント台へと、アッという間に上昇してしまいました。
再びお酒に手を伸ばしてから、いつかはそのときが来るのではないかと怯えて暮らしていましたが、とうとうその日がやってきたのです。
それは突然やってきました。
就寝のために入った布団の中で、夫は自分の足先が冷たいことに気づきました。
「とうとう来たか…。」
氷を飲み込むような何とも言えない不快感をその時に覚えたと夫は言います。
いつか合併症の症状が出るのではないかという不安は常に頭の片隅にありましたが、それはやはり大きなショックだったようです。
悔やんでも悔やみきれない気持ちだったのでしょう。とても落ち込んだ様子でした。
足が冷えるのは典型的な合併症の始まりです。
血の巡りが悪くなるために、足の爪先が冷たくなります。
糖尿病は血管の病気といわれるように、全身の血管が詰まり始めます。
神経にも栄養が行かなくなり、神経にも異常をきたすことがあります。
悪化すると生爪をはがしても痛みを感じなくなります。靴底のビンのかけらを踏み付けたままで長時間歩き続けて大出血したという話を聞いたこともあります。
合併症の恐ろしさに怯えていたにも関わらず、また飲み始めたお酒によって、合併症に襲われた夫は、飲酒を止める以外に道はないと覚悟を決めました。
動脈硬化の原因は、高血糖のほかに、高血圧や高脂血症などがありますが、糖尿病の人はこれらの病気を併発することが多く、動脈硬化がより進行しやすくなっています。
動脈硬化は、糖尿病のもう一つの合併症です。この動脈硬化が原因となって脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすことになります。
脳梗塞を起こす約半数の人に、また心筋梗塞の人約3分の1に糖尿病があるといわれています。


糖尿病にかかると主に、網膜症や神経障害、腎症などいわゆる三大合併症というものが心配されますが、糖尿病にかかるとそれ以外にもいろいろな病気にかかることが少なくありません。
動脈硬化の原因は、高血糖のほかに、高血圧や高脂血症などがありますが、糖尿病の人はこれらの病気を併発することが多く、動脈硬化がより進行しやすくなっています。
動脈硬化は、糖尿病のもう一つの合併症です。
この動脈硬化が原因となって脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こすことになります。
脳梗塞を起こす約半数の人に、また心筋梗塞の人約3分の1に糖尿病があるといわれています。
糖尿病の治療をしないでいたり、不適切な治療を長く続けていたりしますと、骨や関節にも合併症が起こります。
すなわち、骨や関節の病気に糖尿病が、いわば追い風の役割を果たして悪い影響を及ぼしているのです。
糖尿病に合併する骨や関節の病気は、骨自体のカルシウムが減少して、薄くもろくなる「骨減少症」、手の関節が動きにくくなる「バネ指」、痛みもなく骨折を起こす「シャルコー関節」などがあげられます。
糖尿病の人は、肺炎や膀胱炎、腎盂炎(じんうえん)、皮膚炎、歯肉炎、あるいは風邪といった、感染症にかかりやすいことが知られています。
これは血糖コントロールの悪化によって身体の免疫系の機能が低下し、最近やウィルスが身体に入ってしまうためです。
また、感染症が急速に重症化することも多く、回復には時間がかかります。
そして感染症にかかると血糖値が普段以上に上昇するので、コントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響が出てきます。
高血圧の患者数は国内で300万人といわれ、まさに国民病と言えます。
同じように糖尿病も、予備軍を含めると1,400万人に上る病気です。
そして、糖尿病の人は血圧が高くなりやすく、40~60%が高血圧を併せ持っています。
糖尿病も高血圧も、どちらも症状のないまま進行し、さまざまな合併症を引き起こします。
直接死につながる可能性があり、日本人の死因の上位を占める脳卒中や心筋梗塞などの怖い病気も、糖尿病や高血圧が相互に影響しあって動脈硬化が進行した結果、発症します。
また、高血圧により、糖尿病性腎症が急速に進んでしまいます。
血液中の「尿酸値」が高い状態を高尿酸血症といいます。
高尿酸血症は、遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質があり、それにさまざまな生活慣習が加わることで発病します。
尿酸値があがりやすい生活慣習とは、過食やアルコールの飲み過ぎ、運動不足、それによる肥満、精神的ストレスなどです。
これらは糖尿病を招く習慣と、ほぼ同じような内容です。
事実、糖尿病の人は尿酸値が高い人が多く、また、高尿酸血症の人は糖尿病になりやすいのです。
自覚症状は全くありませんが、治療せずにいると、痛風発作が起きたり、さまざまな合併症が発症・進行します。
高尿酸血症は糖尿病と同じで、放置していた場合の合併症が怖い病気だということです。
主 な合併症に、腎臓障害、尿路結石、動脈硬化などがあります。
糖尿病との関係では、特に動脈硬化が問題となります。
足の抹消神経障害については、様々な人から色々な症状の話を聞きました。
例えば女性の方で、「素足でいるのに、まるでストッキングを履いているようだ」とか、「ジンジンする」とか、「足の中に虫がいるようだ」という症状です。
また、痛みの話も色々と耳にします。痛みは夜になると強くなり、とくに安静時に痛みが増してくるようです。
そのために眠りたいのに眠れないという辛い夜を過ごさなければなりません。
自律神経障害はそれを患っている本人にとって非常に辛く悲しいものです。
一番辛いのは「便意や尿意を感じないために失禁してしまう」ことです。
大人がこの障害のために職場で失禁したという、胸が痛くなるような話を聞いたことがあります。
また、胃腸や心臓の働きが悪くなるという症状が現れる場合もあります。
医薬品の副作用で肝臓病になるなど、病院の薬や対応にも大きな問題があります。
糖尿病の研究をしている研究会のセミナーで聞いた話です。
もともとインシュリンの出が悪いのが糖尿病ですが、もっとインシュリンを出すようにする薬があります。
この薬は、インシュリンを出したくても出せずに苦しんでいる人の体を、更に強いる薬です。
この薬を飲み続けていると結局、最後には疲れ果てて一滴のインシュリンも絞り出せなくなってしまいます。
治療のための薬であるはずなのに、本当に恐ろしい話ですね。
実際に医療に携わっている医者の中にも、現在の糖尿病の治療に疑問を持っている人が大勢いらっしゃいます。
何故なら大勢の糖尿病患者が通院し、治療を受けているにも関わらず合併症に苦しみ病気の進行を食い止めることが難しいという事実があるからです。
食事に気をつけるのも、運動を心がけるのも、薬を飲むのも、血糖値を下げるのも全て「合併症を防ぐ」ためです。
血糖値を下げることは大切ですが、糖尿病治療の最大の目的は合併症を防ぐことです。
糖尿病でも合併症で苦しむことがなければいいわけです。
大勢の人たちの話を聞くと、血糖値や長期血糖の話が多く出ます。それは、今のところ、血糖値を下げる以外に合併症を防ぐ道が他にはないのです。

食品交換表を利用し、指示エネルギーを守った上で、高血圧や高脂血症の方は特に、塩分や脂肪分の摂りすぎに注意しましょう。
運動は糖尿病の治療に欠かせません。同時に血圧を下げ、血行を良くし、ストレス解消に効果があり、そして何より肥満を防止して、動脈硬化の危険因子の多くを改善する、とても重要な意味があります。
喫煙は血管を収縮させて高血圧を起こしたり、血管の壁を傷つけて動脈硬化を招く、重大な危険因子です。飲酒は適量なら高血圧や動脈硬化によいといわれています。
しかし、糖尿病や高脂血症には悪いので、糖尿病の人が動脈硬化防止のためにお酒を飲むというのは間違っています。
日常生活の中で感じるストレスも血圧や血糖を上げる要因となりますので、なにかしらストレスを発散する方法を見つけるようにしましょう。
これらの病気にはそれぞれ共通点がありますので、危険因子をひとつずつ減らしていけば病気を防ぐことができます。
逆に何かひとつでも病気があればそこからいろいろな病気を併発することを忘れないようにしましょう。
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糖尿病にかかって10年以上経過している人で、糖尿病のコントロールが悪く、高血糖状態が長い間続いていると、腎臓の糸球体の毛細血管に障害が起きてきます。
そのため腎機能が低下して、尿の中にタンパクが出てきたり、高血圧やむくみなど腎炎と似た症状が起こります。
進行すると、腎不全から尿毒素となり透析が必要になります。

腎臓の中にある糸球体は、血液中の老廃物を尿中に排泄するろ過器の働きをしています。
糖尿病で高血糖状態が続くと、糸球体を構成している細かい血管が動脈硬化をおこして固くなり、糸球体の組織の目が粗くなって、ろ過機能が低下します。
するとタンパク質が糸球体の網の目を通り抜けてタンパク尿が出たり、尿を作る働きが低下して老廃物が排泄されなくなり、体内にたまる糖尿病腎症になります。
糖尿病性腎症は自覚症状が無く、検査でタンパク尿が出たときにはすでに発病しており、いったん発病すると腎症を完治することは出来ません。
しかし最近では尿中の微量なアルブミンを調べて、ごく初期の腎症を発見する検査が行われるようになりました。
早期発見して厳しく糖尿病をコントロールすれば腎症の発見を抑えることが出来るので、糖尿病の人は定期的に検査を受けることが大切です。

腎臓の中にある糸球体は、血液中の老廃物を尿中に排泄するろ過器の働きをしています。
糖尿病で高血糖状態が続くと、糸球体を構成している細かい血管が動脈硬化をおこして固くなり、糸球体の組織の目が粗くなって、ろ過機能が低下します。
するとタンパク質が糸球体の網の目を通り抜けてタンパク尿が出たり、尿を作る働きが低下して老廃物が排泄されなくなり、体内にたまる糖尿病腎症になります。
糖尿病性腎症は自覚症状が無く、検査でタンパク尿が出たときにはすでに発病しており、いったん発病すると腎症を完治することは出来ません。
しかし最近では尿中の微量なアルブミンを調べて、ごく初期の腎症を発見する検査が行われるようになりました。
早期発見して厳しく糖尿病をコントロールすれば腎症の発見を抑えることが出来るので、糖尿病の人は定期的に検査を受けることが大切です。
一方腎臓は病気がなくても、肺や心臓など他の臓器と同様、年齢と共に機能が弱ってきますが、これに加えて、過食、高タンパク食、高塩分食が腎機能低下を助長する因子として知られています。いずれも食事さえきちんと対応していれば防げることなのです。
太り過ぎや塩辛いもの、肉などのタンパク質の摂りすぎに、日頃から注意しましょう。
また、加齢による腎機能の低下は、50歳を過ぎると、性差別があらわれることが分かっています。
女性の緩やかな低下に比べて、男性では機能の低下が強く見られます。
言い換えれば、それだけ、男性の方が腎障害にかかりやすい傾向にあるとも言えます。
同様に、家族に腎症の人がいれば、遺伝的なものや、環境、食事などの習慣が似ているなどの理由で、腎症にかかりやすい傾向があるので、気をつけてください。
糖尿病の合併症は、自覚症状のないまま進行するので、腎症の場合、症状の一つであるむくみに気づくころには、すでに腎症は透析導入が視野に入るところまで進んでしまっています。
また、腎症を併発すると、糖尿病に対する食事管理に加えて、腎臓障害に配慮した塩分、タンパク質の摂取制限が、腎症の進行段階に応じてむずかしくなり、食事療法がいっそう難しくなっていきます。
自覚症状がなくても、血糖コントロールをよくし、定期的に尿検査を受けたり、塩分やタンパクの摂り過ぎに注意した食事にするなど腎臓にやさしい生活を実行することが、糖尿病による腎臓障害を予防するうえで大変重要です。

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すなわち、骨や関節の病気に糖尿病が、いわば追い風の役割を果たして悪い影響を及ぼしているのです。糖尿病に合併する骨や関節の病気は、骨自体のカルシウムが減少して、薄くもろくなる「骨減少症」、手の関節が動きにくくなる「バネ指」、痛みもなく骨折を起こす「シャルコー関節」などがあげられます。
