
京都市北区平野宮本町。
式内社・平野神社の周辺には、小学校もあり、閑静な住宅街が広がっています。
2026年8月某日。その一角にひっそりと建つ「天津神社(あまつじんじゃ)」を参拝しました。天津神社には鳥居がないため、一瞬見逃しそうになりましたが、平野神社のある北の方角から吹く心地よい風に誘われるように、たどり着くことができました。
天津神社で由緒を訪ねたところ、「明治期に初代宮司がこの地に創建したとされるものの、創建時期や経緯を示す明確な史料は残っていない」とのことでした。
今回、天津神社を訪れたのは、神話でも天地開闢のときに高天原に出現し、万物生成化育の根源となった造化三神(ぞうかさんしん)をご祭神としてお祀りしていると知ったから。
2022年に古事記編纂1300年を迎え、多くの人たちが古来日本に伝わる神話について学ぶ機会を与えられ、造化三神の認知も高まってきているはずです。しかし、実際に造化三神を祀っている神社を探してみると、これが意外と少なく、特に関西圏ではとても珍しいことでもあります。
造化三神とは、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・高御産巣日神(たかみむすびのかみ)・神産巣日神(かみむすびのかみ)という三柱の神さまのことで、天津神社では総称して「天津大神」と呼ばれています。そして、『古事記』には、「産霊に資りて成り出ずる」とあり、人の生・老・病・死・吉区・吉縁・商才・学業・生産・芸術等々のすべてを、人々に分け隔てなく守護してくださる神さまであることが記されています。
取材中も、そのご神威に触れたいと訪れる参拝者の方々と遭遇する筆者でしたが、天津神社を知るためには、どうしても先に押さえておきたい「古代みくじ」の存在がありました。

天津神社には、メディアでも取り上げられているほど有名な「おみくじ」があります。
拝殿に上がらせていただくと、「美くじ」と書かれた木箱が目に留まりました。
「美くじ」とは、不思議な力を持ち、カリスマ的な人気があったという初代宮司が、信徒のために竹に漆で書いたという神託おみくじ。その評判が広がり、昭和初期頃までは京都以外の地からも多くの参拝者が訪れていたというのです。しかし、初代宮司がお亡くなりになると、次第に参拝者の数が減り、おみくじの噂も消えていくことになりました。
しかし、数年前。「美くじ」は、再び脚光を浴びることになります。
そのきっかけは、あるタレントさんがメディアで語った「美くじ」による体験談でした。
「美くじ」を引くときに大事なことは、必ず神さまに聞きたいことを決めてから、質問するような形で引くこと。
その質問に答えてくれるかのような言葉が書かれた竹串が飛び出してくるので、「まるで神様と会話をしているよう」という感想を持つ人もいるのだそう。早速、筆者も「今の仕事は、この先どうなりますか?」と聞こうと決めて、おみくじを引かせてもらうことにしました。
後からわかったことですが、先述のタレントさんも、「今、やっている仕事はどうなりますか?」と、筆者と同じことを聞いたのだそう。しかし、その言葉を受けても真摯に受け止めず、その結果ひと月後に仕事を失うような失敗をしてしまったというのです…。
「美くじ」は、「まるで神様にすべてを見透かされているかのような言葉が出てくる」と、噂が広がったのです。どこか高をくくっているような人にとっては、心を抉られるような痛みをともなう言葉、目を背けたくなるような厳しい言葉が書かれた竹串を引いてしまうのかもしれません。
ちなみに、筆者が引いた竹串には、表に「しつかりせんとやりそくる」、裏に「こころおさめがたらん」という言葉がありました。
その言葉と向き合うのか、それとも逃げてしまうのか。
まさに試されているような、自分を奮い立たせてくれるようなおみくじだと感じました。


引いたおみくじの言葉は、ただ運だめしをするのではなく、ちゃんと活かしてこそ「神託」になる。
先述したタレントさんは、仕事を失った後も天津神社に足を運び、解決法を聞きながら何度もおみくじを引き続けたそうで、その後見事に復帰を果たされたそうです。
筆者も、「美くじ」の言葉を受け止め、かつ「引いて、終わり」にしないため、竹串に記されていた言葉を専用の用紙に書き留めていくことにします。
そこに、現在の宮司さんが突如現れ、幸運にも「美くじ」の言葉の意味を教えていただくことができました。
ちなみに、宮司さんのもとには、日々たくさんの相談者の方が訪れているため、お会いできることも珍しい…いわゆる「レア」な存在とのこと! この日は、ご縁があって遭遇できたようで、これこそ神さまの計らいなのかもしれません。
筆者が引いたそのおみくじは、宮司さんの解釈によれば、
「浮足立つことなく、優先順位を決めて、しっかりと地に足を踏みしめて覚悟を決めること。そうでなければ失敗する」とのこと。……怖い! それは、まさに普段から自分自身が口にしている、自分に感じている課題そのものだったのです。
おみくじや占いの結果を「怖い」と言って避ける人もいます。でも、その「避ける」という弱さこそが、失敗を招く要因であり、なかなか成功に到達できない理由なのかもしれません。愛のある叱咤激励を受けることが少なくなった昨今、まさにこんな時代だからこそ知ってほしい「美くじ」でした。
余談ですが、「美くじ」のインパクトに刺激を受け、「今すぐ状況を変えたいから、おみくじをもう一度引いてみよう」と、邪なことを考えた筆者でしたが……。
「必ず、(次のおみくじを引くまで)一カ月以上は空けてください」と教えてくれたのは、天津神社の神官長さん。
これまで、何度もおみくじを引く人たちを見てきたそうですが、その人が変わろうとせず、いつまでも状況が変わらないうちは、不思議なことに何度引いても同じおみくじが出るそうです……、本当に神さまに見透かされているよう(笑)
今の自分や状況を本気で変えたいという方に、激推ししたい「美くじ」でした。
※この記事は、取材時(2026年8月)の情報です。
お参りの際は、事前にお問い合わせいただくか、公式HPをご確認ください。
| 御祭神 | 造化三神 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ) 高御産巣日神(たかみむすびのかみ) 神産巣日神(かみむすびのかみ) 天照皇大神(てんしょうこうだいじん)ほか八百万の神々 |
| 末社 | 光明稲荷神社 |
| 鎮座地 | 京都府京都市北区平野宮本町89 |
| 電話 | 075-462-0344 |
| HP | https://amatsu-jinja.jp/ |
| 参拝可能日 | 随時 |
| 参拝時間 | 9:00~12:00、13:00~16:00 |
| 参拝料金 | なし |
| 社務所 | 有 お守り・ご朱印 |
| ご祈願 | 厄払い・年賀(歳祝)・交通安全・病気平癒・家内安全・商売繁盛・心願成就・神恩感謝 良縁成就・地鎮祭・災難消滅・福徳円満・家庭円満・安産・子宝天授・悪霊退散 障害退散・社運隆昌・入試合格・学業向上・神恩感謝・お宮参り・七五三参り・御日供 |
| 御神楽奉納 | 不可 |
| 結婚式 | 不可 |
| ペット同伴 | 不可 |
| 行事 | 毎週日曜 御祈祷 毎月第3日曜 月並会 |
| 崇敬会 | 有(無二の会) 入会条件:特になし |
2026年1月より放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。主人公の豊臣秀長が注目を集める中、城主として秀長公が過ごしたという郡山城があった奈良県も盛り上がっています。
歴史好き&大河ドラマのファンとしては見逃せない!
ということで、「あん・はな」もオープン日である3月2日に大和郡山市へ向かいました!
大河ドラマの魅力と世界観を体感!
「豊臣兄弟! 大和郡山 大河ドラマ館」が開設されたのは、郡山城跡近くにあるDMG MORI やまと郡山城ホール1階展示室。ホールの入口を入り、奥に進みます。

「豊臣兄弟! 大和郡山 大河ドラマ館」の入口からは、番組のポスター画像が大きく展示されているのが見えて、一気に期待感が高まります。館内に入ると、「プロローグ」から「エピローグ」まで、まるで一冊の本を読んでいるような流れで楽しむことができるような構成になっていました。

「プロローグ」にある主演・仲野太賀さんによるウエルカムメッセージ映像から始まり、そこから各登場人物の紹介パネル・小道具や衣装の展示などを順に楽しむことができます。特に、小道具コーナーでは、実際に放送された中から物語のキーとなる小道具も登場するので、大河ドラマファンにはたまりません。そして、最後は「エピローグ」では来館者がメッセージを書いて残せるコーナーも設置されているので、大河ドラマの世界観を体験できるだけでなく、自分もその一員になった気分で楽しむことができました。

歴史ファンも楽しめる秀長公の魅力!
大河ドラマをもっと楽しむために、主人公である豊臣秀長のことをもっと知りたい!
館内では、大河ドラマの魅力だけではなく、秀長公の魅力に迫る展示もあり、楽しみながら学ぶことができるスポットも。例えば、特集パネルの展示では、歴史の専門家が解き明かす秀長公の知られざる「スゴさ」が解説されています。
秀長公の魅力を感じたところで、さらに大河ドラマに登場する小一郎(秀長)の見方も変わってくるかもしれません。
登場人物紹介パネルはもちろん、4Kシアターのコーナーでは、キャストの独自インタビューを見ることもできるので、秀長公について学んだ後で見直すのもおすすめです。

秀長公ゆかりの地が全国各地にある中で、奈良・大和郡山と秀長公のご縁を感じることができるのも、今回の展示のみどころだと思います。郡山歴史展示ゾーンをはじめ、先程も紹介した4Kシアターでは、秀長公ゆかりの地でもある史跡などを紹介しています。もちろん、神社仏閣も登場するので、チェックしてみてください。
秀長公も愛した「大和郡山」の魅力に迫る!
「やまと郡山秀長物産館 大和大納言」には、ここでしか楽しめないグッズが揃っています。

お土産品はもちろん、限定のご朱印帳・ご城印帳などもあったので、それらを持って近隣の神社仏閣を巡るのも楽しみのひとつ。これから春を迎え、さらに美しい風景が楽しめる大和郡山の町に行くなら今です。お見逃しなく!
「豊臣兄弟! 大和郡山 大河ドラマ館」
場所:DMG MORI やまと郡山城ホール 1階 展示室
期間:2026年3月2日(月)~2027年1月22日(金)
時間:10:00~17:00(最終入場16:30)
休館日:年末年始 2026年12月28日(月)~2027年1月4日(月)
※施設の点検日など、主催者の都合により開館日・時間が予告なく変更になる場合があります。
入館料:大人600円、小人(小中学生)300円
※転載等の無断使用は禁止。
]]>家に眠っている着物の帯が、御朱印帳として生まれ変わります!

帯は、「あん・はな」店舗で回収した帯。
どの帯も、皆様のご厚意から無償で回収させてもらっている大切な帯。
それらの帯が縁を結び、さまざまな人と神仏とのご縁を結びます。
出来上がった縁帯ご朱印帳は、「あん・はな」店舗で販売中(1冊3,850円 税込)。
帯特有の風合いと豪華な刺繍や柄が、持っているだけで豊かさを与えてくれそうな価値あるご朱印帳に仕上げています。
このご朱印帳は、売上から100円を「伝統・文化支援基金」として活用し、現在はご朱印の活用・存続を意識した活動に使わせていただいています。
さらに、全国の神社やお寺で授与していただけるよう、現在ご協力いただける神社やお寺を募集しています。委託販売もできるので、在庫を抱えていただく心配はありません。
たくさんのご厚意があって実現し、様々な縁を結んでいく「縁帯ご朱印帳」。
帯をリサイクルして活用するだけではなく、中には環境に優しいヨシ紙を使用しています。
未来に「ご朱印」と「帯」の文化を残したい。
そんな想いから生まれた、神社やお寺を応援し、さらに環境問題にも配慮した、古くても新しいスタイルのご朱印帳です。
商品・販売に関するお問い合わせは、「あん・はな」まで。
2024年10月に誕生した、神社仏閣情報ショップあん・はなの新拠点。
メインは事務所、1階に商品も並べています。
テーマは、変わらず「神社仏閣が、もっと気になる、好きになる!」。
神社仏閣に関係する書籍をはじめ、参拝がもっと楽しくなる雑貨や、
「もっと勉強したくなる!」という心の刺激を与えることで豊かさが育まれる、
そんな学びの種になるようなお店を目指しています!
1号店であった「駅前店」は2024年1月に閉店。
高畑ベースは、3号店となります。


★神社仏閣情報ショップ「あん・はな」 奈良高畑ベース
〒630-8301
奈良県奈良市高畑町644-14 リーフ高畑3号
営業日:不定休
※営業日・時間は、SNS(Twitter・facebook)でお知らせしています。
※ご来店希望の方には、予約制で対応しております。お問い合わせください。

是非、ご来店ください!
]]>

「神社仏閣が、もっと気になる、好きになる!」をテーマにしたお店。
その2号店として誕生したのが、生駒山参道店(通称:参道店)です。
生駒聖天でおなじみの、宝山寺さんの参道にあります!
営業日は、宝山寺(歓喜天さま)のご縁日 1日・16日 その他不定休となります。
参道店には、お参りに来られる方が多く、
天然石の原石を多数扱っていることから、子どもたちの来店も多いお店です。
そのため、天然石300円コーナーや、テーマに合ったカプセルトイが購入できるガチャマシンを設置しています。
また、古物商の決まりに則り、古本の買取、ご朱印帳(未使用に限る)の買取も行っています。
本はもちろん、買い取ったご朱印帳は、「ご朱印SDGsマーケット」として販売しています。
さらに、不要になった帯を回収する「絵帯(えにしおび)プロジェクト」では、
帯を再利用し、植物のヨシを使ったリサイクル紙を使用したご朱印帳を企画・販売。
そのほか、はぎれを使用したヘアゴムなども販売しています。
その売上の一部を使い、神社さんやお寺さんの活動に使っていただけるような取り組みをしています。

16日は「参道和楽市」と題し、「縁帯プロジェクト」を通じて寄せられた着物や小物の販売を行い、その売上を参道の活動に寄付。このような活動が、どこまで神社やお寺の活動の応援になるのか、どのような仕組みが有効なのかを、実店舗を通して独自調査することを、あん・はな実店舗の目的としています。

お参りのついでに、お立ち寄りください。
〒630-0266
奈良県生駒市門前町16-7
古物商(奈良県公安委員会:641020000890号)
]]>大切な人がこの世を去ることになった時、あなたに何ができるか。
少し前から別れが訪れることを知っていたケースもあれば、突然別れで心の準備ができないまま故人を見送らなければいけないケースもある。
葬儀業界には、納棺師(のうかんし)と湯灌師(ゆかんし)という職業がある。
それぞれの職業に規定はないため、ここでは「ご遺体を棺に納める納棺作業をする納棺師」、「ご遺体を入浴させることで故人様をなるべく生前に近い状態に整える湯灌師」と区別して考えていくことにする。湯灌師は、入浴の後の着替えやメイク、エンバーミング等も担当し、そのまま棺にご遺体を納めるところまで行うため、その違いはわかりにくい。しかし、どちらも故人様のご遺体を整える、お見送りには欠かせない存在である。
そんな葬儀業界で、「エンゼルケアビューティ美還師®」【以下、美還師(びかんし)】として新たな価値を提供したいと挑戦を始めた人がいる。
大阪で美容室を2店舗展開していた、美容師の福島輝代さんだ。
福島さん「美還師を簡単に説明すると、亡くなった方のご遺体にヘアメイクを施すことで、ご家族・ご友人の方が故人様をお見送りする、大切なご葬儀のお手伝いをさせていただく仕事です。」
美還師も、納棺師や湯灌師と同じく、故人様のご遺体を美しく整え、見送りのお手伝いをする仕事である。しかし、納棺師や湯灌師と違う点がある。
まずは、美還師の仕事には、美容師免許が必要であること。
ご遺体であっても、故人様の髪を切って整える仕事は、免許が必要なのだという。
そして、もう一つ。美還師は、人と関わることの大切さ、生前からの関わりあいがいかに大切かを教えてくれる職業ではないかと、「あん・はな」は感じる。
そもそも、故人様の身を整えることに、どのような意味があるのか。
ありそうでなかった美還師という仕事が、これまで存在してこなかった理由とは?
福島さんの活動から、大切な人を見送る「葬儀」の新たな価値観について、改めて考えていきたい。

福島さんが美還師の活動をスタートしたのは、2022年のこと。
美還師を志すきっかけとなったのは、大切なお父様との別れだったという。
福島さん「約3ヶ月間の闘病を終えて、いよいよ父とお別れをする時が来ました。闘病中は、身だしなみを気にすることもできず、もちろん髪も伸びて乱れた状態でした。父の体を綺麗にしていただき、棺に入れることになったのですが、どうしても伸びてしまった髪が気になり、髪は整えてもらえないのかと聞きました。」
髪を切るのは、ご遺体であっても美容免許がなければできない。そのことを知った福島さんは、自分に髪を切らせてほしいと頼んだという。
福島さん「私は美容師なので、父の髪を切ることができました。しかし、それができないご遺族は、故人様の髪を整えることができないまま、お見送りをするのかという疑問が生まれました。後でわかったことですが、中には免許を持っていないけど、髪が伸びているからと髪をハサミでザクザクと切られることもあると聞きました。そうなると、髪を切る技術ではなく、作業です。自分に置き換えて考えたら、例え亡くなった後でも、それは嫌だと思いました。大事な父の遺体を目の前にして、私は美容師としてしっかり父の髪を整えたい、綺麗にしてあげたいと思いました。その時、スイッチが入ったのです。」
悲しみの中、お父様のご遺体と向き合い、これまで培ってきた技術で髪を整える福島さん。散髪が終わり、改めて髪を綺麗に整えたお父様のご遺体と向き合った時、自分の中で衝撃にも似た安らぎの瞬間があったという。
福島さん「美しく整ったお父さんの表情が、本当にパーっと明るく見えて。それを見て、私自身も何かがストンと落ちたというか、力が抜けたというか…安心感にも近い感覚でしょうか。さらに、その父の姿を見た母をはじめ、集まってくれた親戚の人たちの暗かった表情が、まるで連鎖するように一気にパーっと明るくなっていたのです。あれは、きっと一生忘れることのない経験だと思います。」
最近は、『終活』の一つとして、故人様が生前に自分の葬儀を準備しておくケースもあると聞く。福島さんは、見送る側の気持ちにも寄り添える仕事がしたいと考えた。
福島さん「父の葬儀で、お葬式をするのは故人様のためだけではなく、見送る立場になる家族・友人のためでもあるのだと気づかされました。そして、美しく整った父を見送る人たちの心も晴れていくような状況を目の当たりにした時、今の私にできることを見つけたような気がしました。今、思い返せば本当に不思議なのですが、病床にいた頃に父はずっと、私の『髪を切る』という仕事について話していました。普段は、そんなことを言わない人だったので、何故そこに興味があるのだろうと思っていたのですが、まさか最期にこのような形で見送らせてもらえるなんて、こんな気づきを与えてくれるなんて思いもしませんでした。この経験は、父からのギフトだと思っています。」

お父様との別れを経験し、美容師として故人の髪を整える仕事ができないかと考えるようになった福島さん。その思いを抱きながらも、カタチにならない日々が続いた。
福島さん「『これを仕事にしたい!』という思いはあるものの、美容室の経営もあったので、なかなか前に進まない日々を過ごしていました。周囲に話せば面白いと言ってくれるし、他の美容師に相談しても『そういう仕事をしたいと思っていた』と言ってくれる人もいるのに、実際に行動できる人はいませんでした。私も、その一人だったのです。それだけ、葬儀業界のハードルは高かったのです。」
前に進めずにいた福島さんに、転機が訪れる。
コロナ禍の影響もあり、経営していた美容院を急に閉店しなければいけなくなったのだ。
福島さん「コロナ禍の影響で、既に1店舗にしていたお店も閉めることになりました。それも突然で、急にお店を続けられなくなってしまって…。でも、お店を閉めるしかなくなったことで、自分がやりたい仕事を実現するしかないという、決心もできました。」
お店を閉店し、葬儀業界の実態と湯灌師の仕事を学ぶため、福島さんは葬儀会社で湯灌師として働くことを決意する。そこは、福島さんが想像していたよりも衝撃的な世界だった。
福島さん「毎日、たくさんのご遺体が運ばれてきます。そのご遺体を綺麗にさせていただき、棺に入れて、ご家族にお渡しして。その流れが、次々とやってくるんです。向き合うのではなく、捌くという感覚は、技術の仕事ではなく、作業だと感じたのです。故人様の髪をハサミでザクザクと切る方がいるという話を疑っていましたが、納得してしまいました。」
それでも、たくさんのご遺体と向き合ってきた福島さん。
そこで学んだことは、とても大きかったという。
福島さん「やっぱり、生きている人の髪を整えるのと、ご遺体の髪を整えるのは違います。例えば、髪を洗うのでも、生きている人はいかに気持ちよくしてあげられるかを考えます。でも、ご遺体の場合は、とにかく優しく、ゆっくりと、傷つけないように。このような違いを学べたことは大きく、やっぱり美容師とはまた違う、美還師としての仕事を確立させなければと思いました。そして、ご遺体を綺麗に洗う湯灌師さんの仕事に対しても、とても大変だけど尊い仕事であると再認識しました。」
日々、様々なご遺体と向き合う中で、さまざまな別れがあることも学んだ。
ご遺体のヘアケアをすることは、様々なご遺体と向き合わなければいけないということであり、きっと生きている人の髪を整えるよりも過酷な現実とも向き合わなければいけないケースもあるはずだ。その覚悟とは、どうすればできるものなのか。
福島さんには、そんな覚悟を決める『スイッチ』があるのだという。
福島さん「ご病気の方もいれば、事故で亡くなられた方、中には既に原型を留めないご遺体となって運ばれてくることもあり、驚くような状態のご遺体と対面しなければいけないこともあります。それでも、やっぱりそこは生きている人の髪を切っていた時と同じで、『綺麗にしてあげたい』というスイッチが入り、そこからは美容師の仕事をさせていただくだけです。私にとって、自分の技術によって目の前の人が美しくなり、それを喜んでくれる人がいることが一番嬉しいことです。綺麗になった人も、その人の美しい姿を見た周囲の人も、何かしらの感動スイッチが入る。そんな、心が動く連鎖を生みだすのは、美の力。これは、亡くなられた方でも同じだと思っています。」

湯灌師としての修行を終え、本格的に美還師としての活動を始めた福島さん。
正式名称も、「エンゼルケアビューティ美還師®」と決まり、現在は『ミライのカタチ』として活動を続けている。福島さんをはじめ、多くの美容師たちが持っていた故人様も『綺麗にしたい』という思いが、やっとカタチになったのだ。現在、既に予約も入ってきているという。
福島さん「『自分が亡くなった時にお願いします』『自分の家族を綺麗にしてあげてください』など、予約していただいた方の理由やご要望は様々です。まだスタートしたばかりで、どのような需要があるのかはわかりません。ただ、大切にしたいのは、美還師の仕事は作業ではなく、自分が持つ技術でご遺族の心を少しでも晴らすお手伝いをすることです。ご遺体を綺麗に整えることで、それを見送る人たちが前に進むためのスイッチを少しでも早く入れられるよう、そのお手伝いができればと思っています。」
現在『ミライのカタチ』では、施設やご自宅を回る「出張訪問美容」という形でカット・カラー・パーマ・顔そりやトリートメントなど、美容師としてのサービスを提供しながら、美還師の活動とその普及に努めている。
福島さん「湯灌師との違いは、まさにここだと思います。私たちは、生前からお客様と関わることができるのです。もし、その方が亡くなっても、生前から持っていた『綺麗になりたい』という思いを引き継ぐことができます。そして、その思いを実現することで、ご遺族の背中を押してあげることができる仕事だと思っています。最近は、湯灌師さんの仕事が減っていると聞きました。でも、湯灌師の仕事も必要で、今後は連携していけたらいいなと考えています。」
湯灌師の仕事が減少している背景には、昨今の介護事情があるのだろう。施設はもちろん、家族が介護をしている場合、亡くなる直前までお風呂に入れたり、体を綺麗にしてくれる人がいるため、亡くなった後に体を清めることに価値を感じなくなっている人が増えているのかもしれない。
大切な人との別れをサポートしてくれる2つの仕事。
湯灌師の仕事を「体を洗い清めること」と考えれば、美還師の仕事は「美しく整えて思いを繋ぐこと」なのかもしれない。
「美」は、必要なことではないかもしれないが、プラスされることで必ず誰かの心を動かす。
それができる美還師は、まさに「エンゼル=天使」の名に相応しい。
福島さんに、今後の目標を聞いた。
福島さん「美還師のニーズは、今後も増えると思います。同業者で『自分もやりたい』と言ってくれる人もいて、それだけ故人様を綺麗に整えることの意味を感じている美容師がいるのだと実感しました。これまで、美還師のような仕事が存在しなかったのは、そこに踏み込む人が、まだいなかっただけのことだと思います。それだけ大変なことを始めたと自覚していますが、それでもやっぱりこの仕事をやっていきたいです。今後は、一緒に美還師として働いてくれる仲間を増やすために、その教育とビジネスの仕組みづくりを確立していきます。」
美容師が自分の技術に誇りを持ち、その技術によってご遺族の心を少しでも晴らすお手伝いをする仕事。 1日1日を大切に前に進みながら生きている人たちに伝えたい、「美」がもたらす原動力。それこそ、故人となった人たちが、これからも生きる私たちに伝えたいメッセージなのかもしれない。
※「エンゼルケアビューティ美還師®」「ミライのカタチ」に関するお問い合わせは、
「あん・はな」(info@an-hana.com)まで。
応援したくなる「推し神」を見つけるための講座です。
そこで、以前から店舗にいらっしゃるお客様にちょこちょこお話してきた、
あん・はな的「推し神」の見つけ方を、マンツーマンでお伝えします。
店舗に来て、
「おすすめのパワースポットはどこですか?」
「ご利益をいただける神様は?」というご質問をいただくことが多いです。
その都度、「簡単には答えられません」と伝えてきた理由を、講座としてお届けします。
90分という短い時間になりますが、
少しでも「元気になった!」「考えただけで楽しい!」「ワクワクする!」と言っていただけたらうれしいです。


2023年がスタートしました。
今年は、どんな一年になるのでしょうか。
今年、神社やお寺にお参りに行くのであれば、弘法大師・空海さまに注目です!
なぜならば、2023年は弘法大師・空海さまが生誕して1250年にあたる年のだとか。
各地で、さまざまな催しや企画が開催されるようですが、空海さまにアンテナを伸ばしてお参りしてみると、いつもとは違う発見ができるかもしれません。
今回は、そんな知っているようで知らない、弘法大師・空海さまについてまとめてみます。

まずは、空海さまがどんな人なのかについて見ていきましょう。
空海さまは、真言宗の開祖であり、諡号(死後に賜る名)を弘法大師(こうぼうだいし)といいます。
俗名を佐伯(さえき)、幼名は真魚( 眞魚、まお)、
「空海」というのは、修行した後に名乗るようになった名です。
昔の僧侶ということはわかっているけど、空海はいつの時代の人なのか。
伝承では、774年に生まれた平安時代初期の僧侶であると伝わっています。
ちなみに、誕生日は6月15日であると真言宗では伝わっていますが、実際には不詳だという説も。
そして、2023年が生誕1250年の年にあたるということで、今年注目を集めています。
聖人としての印象しかないのですが、しっかり人の子として育ってきた空海さま。
生まれは讃岐(現在の香川県)であるという説が残っているそうです。
父は官人である佐伯 田公(さえき の たぎみ)。
母は、飛鳥時代に天武天皇に仕え、壬申の乱でも活躍したという安斗 智徳(あと の ちとこ)の娘であり、名前は不詳とされつつも「玉依御前」という説も。
また、安斗 智徳の子である儒学者・阿刀 大足(あと の おおたり)から論語をはじめとする学問を学び、その後大学寮に入ります。しかし、その勉強だけでは飽き足らず、19歳頃から山林で修行に入るようになったと伝わっています。
お坊さんのイメージしかない空海さまですが、なんと意外にも家庭環境に恵まれたサラブレッドだったようです。

山岳修行を経て、得度したのは20代になってからとされていますが、
これもいろいろな説があるようです。
その説の一つが、なんと20代ではなく31歳の時に東大寺戒壇院で得度したというもの。
この年、空海さまは遣唐使の留学生として唐に渡っています。
そして、この時同じく船団として唐に渡ったのが、天台宗の開祖である最澄さまだといわれています。
唐に到着した空海さまは、長安にて密教を学ぶのに必要な言葉や知識を学んだ後、青龍寺の恵果阿闍梨から密教の奥義について学びます。
恵果和尚さまは、空海さまを一目見て「十分に修行を積んでいる僧である」と見抜き、すぐに奥義の伝授を開始し、空海さまは約半年間の師事を受けたといいます。日頃から、しっかり努力することが大事だと思い知らされるエピソードですね…。
空海さまは、それにより遍照金剛(へんじょうこんごう)の灌頂名を授かります。
「この世の一切を遍く照らす最上の者」という意味です。
その後、33歳で帰国した空海さまは真言宗を確立していくことになるのです。

日本へ戻った空海さまは810年(弘仁元年)、嵯峨天皇から真言宗開創の許しを得ます。
そして、修行の場として賜ったのが高野山です。
さらに、823年(弘仁14年)には、嵯峨天皇から京都の東寺も賜ることになりました。
その後もアクティブに活動をする空海さま。
学びの重要性を説き、教育施設「綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)」を設立。
また、悩み苦しむ人々の救いになるようにと、ご利益を与える「四国八十八カ所」の開創にも尽力しました。
空海さまの功績の全ては、なかなか簡単に書けるものではありません。
現在も、全国各地でその功績を示す軌跡の数々を見ることができます。
中には、弘法大師は何人もいたのではないかという説も囁かれるほどです。
実際は、どうだったのでしょうか…。
弘法大師・空海という名が、それだけ多くの人々を救ってきた証なのかもしれません。
さまざまな功績を残した空海さまは、835(承和2年)に62歳で高野山に入定したと伝わっています。
今でも、空海さまは高野山にて、世の平和を願っているといわれています。
ここまで、弘法大師・空海さまの一生を追いかけてみました。
知っているようで知らない弘法大師さまの物語。
気になるエピソードは、まだまだ山のようにあります。
その物語の一つひとつがミステリアスで神秘的。
生誕1250年を迎える今年、その軌跡を辿ってみてはいかがでしょうか?

あけましておめでとうございます!
2023年がいよいよスタートしました。
皆さんは、初詣に行きましたか?
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策もかねて、数年前から初詣の参拝者が減少傾向にあり、今年も分散参拝を推奨する神社・お寺が多い中で、昨年に比べて参拝者が増えたという場所も多かったのではないでしょうか。
2023年の初詣、「あん・はな」では、分散参拝を推奨していました。
そのため、12/31に御礼参りをさせていただき、1/1の参拝を避け、1/2から初詣をスタート。
まずは、近所の氏神様にご挨拶をして、そこからご縁のある神社・お寺へのお参りを続けています。
元旦は、お参りを避けて、車の状態や人の流れがどのような状況か様子だけ見ようと近くまで行きましたが、想像以上の混雑だったと感じました。
分散参拝を推奨しながらも、「やっぱり日本人は『元旦に初詣したい!』と思っている人が多い、とても信仰深い国なんだなぁ」と、少し感激してしました。
さて、そんな中で初詣をスタートしましたが、各所で見かけた初詣の風景。
人間ウォッチングが趣味の「あん・はな」としては見逃せない、気になる展開も多々ありました。
気になる参拝者を「おまいりすと」として観察し続ける「あん・はな」がお届けする、初詣で実際に目撃した「おまいりすと」の実態とは?

最初の参拝者は、賽銭箱の前にて目撃。
それは、男女2名でのお参りでした。
はじめに男性がお賽銭を賽銭箱に向けてポーンッと投げ、その後に鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼で参拝を終了しました。その後、女性も同じようにお参りをしようとしていたのですが、お賽銭を投げることに躊躇していたようでした。
…どうしたのかな?
参拝の作法は、神社やお寺によって様々ですが、一礼をしてお賽銭を賽銭箱に入れさせていただき、鈴を鳴らして心身を清め、二礼二拍手一礼が基本のスタイルかと思います。
お賽銭は、投げて入れるところもありますが、「安全のために投げずに入れる」「神様にお金を投げつけないで」と推奨しているところもあります。
「お金を投げ入れる音で、神様や仏様に自分が来たことを知らせる」という人もいますが、神様に気づいてもらうために鈴を鳴らすのでもいいですし、お寺であれば仏様に気づいてもらうための方法として、蝋燭やお線香に火をつけるのも一つです。
先程の男女の話に戻ります。
女性は、お賽銭を何度も投げようとするのですが、その度に躊躇してやめようとしています。
きっと、お賽銭を投げることに抵抗があるのだろうと思っていたのですが、その次の瞬間でした。
「え?これ、入らなかったらどうするの?」
賽銭箱から離れた場所に立ち、そこから投げてお賽銭を入れると思っているようで、一緒にいた男性に質問をしています。
「入らなかったら、入らないで仕方がないよ」と、男性。
…お参りしているの一人だけなので、賽銭箱の近くまで行って、確実に賽銭箱にお金を入れてください。そう声をかけようとしましたが、やめました。
輪投げじゃないんだから、遠くから投げて、入らなかったらそれでいいってことはないです。
お社の前にここから入ってはいけないという線が引いているわけではなく、小さな摂社での出来事だったので、もちろん輪投げのようなルールもありません。
「あ、知らないんだ…」と、素直に思いました。
お賽銭は、社殿から離れた場所から、投げて入れないといけないと思っていたんですね。
彼女が、来年には誰かに教わっていることを願って、そのためにも普段から神社やお寺にお参りに行ってほしいなと思いました。

初詣は、いつも以上に家族で参拝することが多いように思います。
初詣の時こそ、一緒にお参りする子ども達に、日本の信仰・伝統・文化の魅力を伝えるチャンスでもあります。できれば、大人が正しい情報と、礼節・品格を持ってお参りをすることで、その姿を見た子ども達が自然に興味を持てるようになったらいいですね!
親が手を合わせる姿を見て、自然に手を合わせて祈る子どもたち。
その姿に、ちょっと感動していた時でした。近くで、ちょっとした騒ぎが起こります。
どうも、違う家族の子ども達が騒いでいるよう。
「こんな時こそ、親に注意してほしいなぁ」と思った時でした。
よく見れば、騒いでいるのは子どもと、その子のお父さん…。
初詣に向けて、綺麗に整備された境内に砂埃が舞っています。
そして、参拝している人からわずか2メートルくらい離れた距離で繰り広げられる、熱い戦い…。
そう、境内でプロレスごっこが始まったのです。
「ギャーッ!」と、何度も聞こえる騒ぎ声。
取っ組み合って暴れる親子の足跡で、境内はすっかり荒れてしまっております。
境内、特に各社殿の前は、神様の通り道にもなる聖域です。
確かに、神社やお寺の境内で、子どもたちが遊べる環境は素敵です。
しかし、境内の中でも良い場所と悪い場所があり、その時の周囲の状況もあると思うのです…
聖域は心を落ち着かせ、静かにお参りする場所であること、子ども達に教えるチャンスなのに…
それを見て、大笑いしているお母さん。
とても、楽しそうな家族の光景だったのです。
きっと、家族で初詣して、楽しいんだと思います。その楽しい気持ちが伝わってくるくらい、はしゃいでいて、きっとこれを公園で見かけたら、とても微笑ましい光景なんです。
しかし、できれば大人が場所と状況を見て、そこがどんな場所で、今境内にいる人たちがここで何をしているのかを、しっかりと子ども達に教えてほしいなと思いました。
特に、今は新型コロナウイルスの感染防止対策などもあり、神社やお寺も、いつも以上に気を使って対応してくれています。できれば神様・仏様の姿は見えなくても、この子たちには周囲で迷惑そうな表情をしている人たちには気づける大人になってほしいと、願わずにはいられませんでした。

最後にご紹介するのは、ここまでご紹介したお賽銭と家族連れのどちらにも関わる参拝者です。
たくさんの人が、社殿の前にある賽銭箱にお賽銭を入れて参拝します。
賽銭箱にお賽銭を入れ、二礼二拍手一礼をした後に、隣にいた親子の会話が耳に入ってきました。
その親子は、小さな女の子とお父さんでした。
娘「お父さん、お賽銭はいくらいれたらいいの?」
父「たくさんお金を入れないとダメだけど、たくさんは入れられないから」
そう言って、小銭を渡しています。
娘「たくさん入れたほうがいいの?」
父「うん、神様はたくさんお金を入れる人しか相手にしてくれないんだよ」
と、小銭を渡すお父さん。
…絶句。
しかも、たくさんお金を入れるならまだしも、だから少ししか入れないなんて…。
いろいろな考え方があるのは、悪くないと思うのです。
でも、お賽銭のことを、そんなふうに子どもに教えるなんて!
一瞬、怒りを感じましたが、すぐにこう思いました。
「過去に何かあったのだろうか…」
信じる力は、希望になります。子ども達に希望を与えるのは、大人の仕事。
それでも、子どもに対して、このように教えたくなる何かがあったのかもしれません。
お賽銭は、志。もちろん、無理はしてほしくありません。
ただ、無理をして入れる必要がありませんが、自分の幸運への誓いも込めて、今自分が簡単に出せる額ではなく、少し気持ちを乗せる程度の額をお賽銭として入れてみてはどうでしょうか。
例えば、5円を入れるなら10円、10円を入れるなら50円、50円を入れるなら100円、100円を入れるなら500円、小銭よりもお札を…と、少しずつパワーアップさせていく、そんなお賽銭の入れ方を「あん・はな」では推奨しています。
お賽銭の金額は、少し楽しむくらいの気持ちで考えてみてください。
「●●円を入れないと、神様は相手にしてくれない」など考えず、子どもたちが持つ「信じる気持ち」を決して奪わないでほしいと思った、初詣での光景でした。
ここまで初詣で見かけた参拝者の様子をお伝えしてきました。
これらは、実際に初詣で「あん・はな」ライターが見た光景です。
初詣は、普段は神社やお寺にお参りをしないという人もたくさんお参りに来ています。
そのため、いつも以上にいろいろな人が集まる場所にもなります。
そんな中で、できればあまり厳しく言いたくない参拝のマナー。
それでも、周囲の迷惑になったり、子ども達に間違ったことを教えるようなことは避けたいですよね。
「知らなかった」で済まされないことも多い参拝マナー。
初詣は、普段お参りをしない人たちが、神社やお寺でのマナーを学べる絶好の機会でもあります。
「知らないから仕方がない」ではなく、一人ひとりが正しくお参りすることで、
周囲の人たちから「あ、格好いいな!」「真似したいな!」と思ってもらえるのが理想なのかもしれません。
「あん・はな」では、参拝を楽しみながら開運も引き寄せる「参拝上級者」を推奨していますが、次は境内で見かけた素敵な参拝者をご紹介できるよう、2023年も「おまいりすと」として取材を続けたいと思います!
]]>奈良県北葛城郡
真宗佛光寺派 正楽山心光寺 大山 賢亮氏

奈良県北葛城郡にある真宗佛光寺派 正楽山心光寺。
ここで、新たな取り組みが始まろうとしている。
大学在学中から空き寺問題にも取り組み、独自の調査で研究発表をしたことがあるという心光寺の副住職・大山氏。卒業後、自身も僧侶として働きながら、空き寺問題解決に向けて試行錯誤を繰り返し、仏教の未来を考える『未来のお坊さんの会』の発足を決めたという。
大山氏「宗派や派閥を気にせず、これからの未来に向けて意見交換できる場になればと考えました。もちろん、人生経験が豊富なベテランの方からも意見をお伺いしたいと思っています。今回、若い僧侶だけで集まる会を発足したいと思ったのは、浄土真宗が大切にしている葬儀・法要において、ご遺族の方に寄り添い、長いお付き合いができる僧侶を一人でも増やしたいと思ったからです。この先10年、20年とご遺族と関係性を築いていけるのは、これからを担う若い世代の僧侶であり、私も含めて若い僧侶が成長できる機会と場所が必要だと思いました。」
浄土真宗のお寺で住職となるには、そのほとんどが世襲制だという。
そのため、現在住職として活動している多くの方は、60代、70代と高齢化しているのが現状だ。経験豊富なお坊さんは安心感がある一方で、今後も法要を頼み続けることができるのかという不安を感じるのは、葬儀・法要を依頼する側にとって重要なことである。最近は、葬儀だけの関係としてお寺との縁が切れてしまうケースが増えており、深刻な檀家不足はお寺を維持するための課題にもなっている。
大山氏「『未来のお坊さんの会』で募集しているのは、20代はもちろん30代、40代の僧侶です。仏教の教えを未来に残していくために、私たちに何ができるのかを、一緒に考えていきたいと思っています。若い住職が増えることで、ご先祖様を敬う供養や法要を通した仏教の教えについて、若い人にも興味を持っていただけるようになったらと思っています。」

『未来のお坊さんの会』では、若い僧侶の教育・意見交換を行いながら、ご遺族に満足していただける葬儀・法要の仕組みづくりにも取り組んでいるという。
葬儀や法要は、亡くなった方のために執り行われるが、その根底にあるものは、見送る人たちの心を救うためのものでもあったはずだ。
葬儀が終われば、基本的には二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日(四十九日)と法要が続く。檀家であれば、そのお寺の住職に頼めばいいが、葬儀会社に葬儀を依頼した場合、その後の法要を誰に頼めばいいのかわからないという人も少なくない。
大山氏「私は、檀家様からの葬儀の依頼のほかに、葬儀会社からの依頼で葬儀に行くこともありますが、その際にご遺族から『法要もお願いできますか?』と頼まれることが多いです。僧侶は、葬儀を通して『このお坊さんに法要も頼みたい』と思っていただけるような葬儀を執り行なうことが大前提です。では、そのために何ができるのか。お経は、出来て当たり前です。ただ、その後の法話や振る舞いによって人間的な魅力を持つ僧侶であるかを、ご遺族の方は見ているのではないでしょうか。」
『未来のお坊さんの会』では、僧侶の教育と意見交換ができる環境を整え、一人ひとりが人間性も高めあえるような場にしたいと考えているという。
大山氏「『未来のお坊さんの会』では、ご遺族に『法要も頼みたい』『このお坊さんなら、他の方にもご紹介できる!』と思っていただけるよう、積極的に経験を積むことで、僧侶一人ひとりがさらに学びを深めていける機会を増やしたいと思っています。ご遺族に満足していただける葬儀を行うことが第一ですが、さらに加えさせていただけるとするならば、葬儀や法要は、私たち僧侶がさらに成長するための研鑽の場でもあり、実際に住職として活動したいと考えている法務員の経験の場にもなればと考えています。私自身も、家族と一緒にお寺を運営しておりますので、他のお寺で働く同性代の方と接する機会を増やし、様々な意見やアイデアを共有しながら切磋琢磨できる環境があればと思いました。
繰り返しになりますが、葬儀・法要に行く僧侶にとって必要なのは、それらの資格に加えて人間性だと思っています。相手に興味を持ち、しっかりと話を聞くことができるか、相手に話をする技術、人を惹きつける力も必要だと思います。実は、ここが資格を取るよりも難しいところであり、私たちが日々研鑽を積まなければいけない部分だと思っています。」

浄土真宗の住職になるには、教師資格が必要だ。しかし、教師資格を持っていても、世襲制のために住職になれないケースもあると聞く。現在、住職不在のお寺も増えており、複数のお寺を一人の住職が兼務するケースも増えているそうだ。
大山氏「現実的な話になりますが、空き寺に入り、そこで住職として活動しても、生活できるだけの報酬がなければ、僧侶は生活ができません。空き寺に入る前に、法務員として誠実に葬儀・法要のお務めする中で、ご遺族から『このお坊さんと、今後もお付き合いがしたい』と思っていただくことができれば、お寺としてではなく、一人の僧侶として檀家さんを増やすことができると思います。その積み重ねが、安心して空き寺に入っていただける準備になるのではないかと考えています。将来的には、そのような方に、空き寺をご紹介する仕組みも構築していけたらと思っています。」
空き寺が減ることで、私たちの生活にも変化があるのかもしれない。例えば、葬儀・法要だけではなく、日頃から相談できるお坊さんが身近にいてくれることは、日々の安心感にも繋がる。
大山氏「お寺は、昔から精神的な救いの場として存在していたと思いますが、現代では、そこまでの距離感で、お寺と檀家様が接することは難しくなっています。その原因の一つとして、住職の高齢化もあると思います。どんな組織や企業でもあることだと思いますが、経営者と社員の年齢差、それによる価値観のギャップを埋めることは簡単ではありません。悩む若者が増えているという今だからこそ、若い住職が相談相手として存在するお寺が増えてもいいと、私は思っています。」
日本では高齢化出産も増えており、若くしてご家族との別れを経験し、急に「遺族」となった若者が慌てるケースも少なくないそうだ。
大山氏「深い悲しみの中で通夜や葬儀の準備をする。さらに、葬儀が終われば、そこから何度も法要があります。満足できるお見送りをしたい、供養がしたいと思うのであれば、これまで以上にご遺族とお寺がしっかり関係性を築いていくことが求められる時代が来ていると思います。そこから、お墓の問題や日常生活での悩み事まで、何かあれば気軽に相談していただける環境があれば、それが一番理想なのではないでしょうか。」
実際、「気軽にお寺に行ってものなのか」という疑問を持っている人も少なくない。その点について、お寺側はどう考えているのだろうか。
大山氏「私は、檀家様でなくても、もし気になるようであれば一度お寺にお問合せいただくのがいいかと思います。お寺によって、対応は違うと思います。特に浄土真宗は、お守りの授与や御朱印の対応といったことをしていないお寺が多いですが、それでも浄土真宗にできることがあると思っています。ある学者の方が、『本堂にいるだけでいいのが浄土真宗だ』と言っていました。その方の言葉を借りるとすれば、本堂にお越しいただき、自分自身を落ち着かせるためにも、心を一度休ませてみるだけでもいいと思います。相談をしていただいても、明確な答えは出せないかもしれませんが、気づきを与え、気持ちを切り替えていただくことができるかもしれないからです。住職が常駐できるお寺は、それができるんですね。生きにくさを感じやすい今だからこそ、もっと仏教を身近に感じてほしいです。」
仏教をもっと身近に感じることで、安心と心の豊かさを感じてほしい。そのためにも、空き寺問題を一つでも解消したい。その未来に向かって、『未来のお坊さんの会』が発足されたのだ。
大山氏「地道な活動になるかもしれませんが、檀家離れや空き寺問題の解消にも繋がると信じて活動をスタートしました。若い我々にできることがあるなら、全力で取り組んでいきたいと思っています。私は、お寺で生まれ、お寺で育ちました。お寺がなくなってしまうことは、本当に寂しいです。廃寺になったと聞くたびに、何かいい形で存続できることはないのかと考えてきましたが、正直その明確な答えは、まだ見つかっていません。だからこそ、僧侶同士で意見を交換し、切磋琢磨しながら成長を続けるためにも、一歩ずつ前に進んでいけたらと思っています。違う宗派の僧侶同士が集まって意見交換などができたら、新しい可能性が生まれるかもしれませんね。」
最後に、仏教の教えが救う未来について、若者へのメッセージを聞いてみた。
大山氏「悩むことは、悪いことではありません。そして、仏教の教えには、人生の困難を乗り越えるための方法がたくさんあります。その中から、正解を決めるのは、自分自身です。僧侶は、仏教の教えの中に、どのような考え方があるのかを説法として伝えるだけで、一方的に考えを押し付けるようなことをしてはいけないと考えています。結局は、一人ひとりがどんな経験をしたかによって、辿り着く正解が違うからです。そして、相手に経験を求める僧侶が、経験不足では話になりません。そのためにも、我々も若いうちから行動していきたいと考えています。
僧侶が手を組み、道を拓いていくことで、こんなお坊さんたちがいるのだと世間の方にも知っていただき、少しでも若い世代の方が仏教に興味を持っていただけたらと思っています。」
『未来のお坊さんの会』にご興味のある方は、下記にお問い合わせください。
お問合せ:真宗佛光寺派 正楽山心光寺 担当:大山 賢亮氏
Mail:kento828@icloud.com
| 宗派 | 真宗佛光寺派 |
| ご本尊 | 阿弥陀如来 |
| 所在地 | 奈良県北葛城郡広陵町大字古寺370番地 |
| HP | https://dev-bridge.jp/shinkouji/ |
| お葬式 | 可 |
| 法要の受付 | 可 |