テネシーの静かで平和そうな町ソマートンに入った汽車から男女のカップルと1人の男が降り立った。新婚そうそうのスティーブ・マンダイン(リー・メイジャーズ)とその妻ネラ(バーバラ・ハーシー)と、黒人青年ソニー・ボーイ(ヤフェット・コットー)だ。スティーブは、この町で弁護士をしている伯父オーマン・ヘジパス(リー・J・コップ)の仕事の手伝いをするためにやてきたのだった。一方、ソニーは早速2人の白人警官ウイリー・ジョー(アンソニー・ザーブ)とスタンレー・バンパスから職務尋問されたが、卑屈な態度で町に友達がいるからと答えた。
その頃、オーマンは、葬儀屋を営む黒人L・B・ジョーンズ(ロスコー・リー・ブラウン)から弁護の依頼を受けていた。ジョーンズが、妻のエマ(ローラ・ファラナ)が警官ウイリーと不貞な関係を結んだ事を理由に離婚請求をしていたが、エマの方でこれを拒否したため弁護を依頼してきたのだ。エマの情夫ウイリーは悪徳警官だった。今日も黒人を挙動不審で逮捕した時、夫を助けてやるからと妻に襲いかかり犯してしまった。エマはそんなウイリーの子を宿していたが、その事を夫に話してしまったとウイリーに告げると彼はエマを激しくなぐりつけ、何とか夫のジョーンズに離婚請求を思いとどまらせようといった。
一方、ソニーは、黒人用のスナックを経営しているママ・ラボーンの所に身を寄せて復讐のチャンスを狙っていた。その相手は警官のスタンレー・バンパスで、ソニーが13歳の時、彼に乱暴された事が今でも脳裏に焼き付いて離れなかった。そしてジョーンズのボディガードとしてベニーと共に雇われる事になった。これを知ったウイリーはスタンレーと共謀してベニーを逮捕し、彼を受け出したいのなら直接留置場までくるようにとジョーンズに通達した。2人の思惑通り、高級車で留置場に向かうジョーンズをパトロールカーに連れ込み、町はずれまで連れて行った。ジョーンズは身の危険を感じ車から飛び出したが、その瞬間、ウイリーの拳銃が火を吹いた。スタンレーはジョーンズの死体を起重機にふら下げ、その場を立ち去った。ジョーンズの死体が発見されたという知らせを聞いたソニーが駆けつけた。彼は尊敬する人の死体を静かに横たえた。その頃、オーマンは市長の事務所で、町の首脳人と事件を話し合っていたが、そこに現われたウイリーが罪を告白した。しかし、オーマンはそのままウイリーを見逃し、家に帰してしまった。一方、スタンレーは畑で刈り取り機に乗って仕事をしているところを怒りに燃えたソニーに襲われ、刈り取り機にのみ込まれて死んだ。その頃、ソニーを同じ汽車でこの町にやってきたスティーブとネラは、オーマンの偽善に大きく失望して町を去るために汽車に乗り込んだ。
]]>人気のないウインター・ガーデン劇場の舞台、ジーグフェルド一座の名優、ファニー・ブライス(バーブラ・ストライサンド)は、1人で座っていた。彼女の頭には過ぎさった日のことが次々と思いめぐった。--
ファニーは、スターを夢みる一介の踊り子だった。彼女はいつも失敗ばかりで、コーラスからもはずされてしまったが観客にはこの失敗が大いに受け、劇場主キーニーは今までよりも高給で彼女を雇い入れねばならなかった。そんな彼女を、踊り子の間では人気のあるギャンブラーのニック(オマー・シャリフ)は引き抜こうとしたが、彼女は断った。が、ファニーの胸には、ニックが強くやきついた。
ファニーのショウは各方面で話題となり、彼女は、ジーグフェルド一座のコメディアン・シンガーとして雇われることになった。ここでも彼女は大喝采を博した。彼女の前に再びニックが現れた。そして2人は、お互いに好き合っていたことに気がついた。だが、2人が再び会えたのは1年も経ってからのことで、ショウの一座が興行に行った先に、ギャンブル狂のニックが競馬に来ていた時のことであった。この再会は、2人を結婚にまで導いた。娘も生まれ、ファニーには幸せな日が続いた。だが、ニックの仕事がうまくゆかなくなり、ファニーは再び舞台での仕事を望んだが、ニックは反対だった。しかし、金もなくなり、ニックはばくちで失敗、彼女はまた舞台に立つことになった。人々はニックのことを、ミスター・ブライスと呼ぶようになった。この言葉にニックの自尊心は傷つき、彼はギャンブルにおぼれ、ついには獄につながれる身となった。
--舞台の上で思いにふけるファニーに、付人が時間を知らせにきた。今日はニックの出獄の日である。化粧室でメークアップする鏡の中にニックの姿が映った。ファニーはとびついていった。だがニックは「別れるのが、一番良さそうだね」と静かに言った。昔ニックがくれた青い宝石を握りしめ、ファニーは、舞台への廊下を進んでいった。
]]>シャルル・ボネ(ヒュー・グリフィス)は美術の愛好家であり収集家である。また美術品を美術館に寄附する篤志家でもある。さらに時々はコレクションの一部を競売に出す。彼のいうところによると、それらの美術品は彼の父が買い集めた遺品だというが、誰もコレクションを見た人はいない。実をいえば、ボネは偽作の天才なのだ。ブローニュの森の近くにある彼の大邸宅内には、秘密のアトリエがあって、彼は自ら偽作をしているのだ。
彼には1人娘のニコル(オードリー・ヘップバーン)があるが、彼女は父親の仕事を止めさせようと、いつも胸を痛めている。パリ一の美術商ド・ソルネ(シャルル・ボワイエ)は、得意客のボネが、どうしてあんなにコレクションがあるのか、いつも不思議に思っていた。もしかするとあの傑作はニセモノでは……というわけで、私立探偵シモン・デルモット(ピーター・オトゥール)に万事を頼んだ。ところがヘマなシモンはニコルに見つかり、苦しまぎれに自分は泥棒だ、といったが、何故かニコルは彼を警察に引き渡さなかった。ボネが所有している美術品中の逸品はチェリーニのビーナスだが、彼はそれを美術館に出品するという。しかし、もし偽作だと分かったら大変と、ニコルはシモンに頼んでまんまと盗み出してしまった。
ここにリーランド(イーライ・ウォラック)というアメリカの美術収集家がいた。彼はビーナス欲しさに政略結婚を考え、ニコルと婚約を結んだ。そしてド・ソルネのあっせんでシモンと会見したが、シモンは3つの条件を出した。第1は売価が100万ドル、第2はすぐに国外へ持ち出すこと、第3はニコルとの婚約を取り消すことー。ビーナスさえ手に入ればと、リーランドはすぐにこの条件を承知。うまく100万ドルをせしめたシモンは、いつしか恋仲になったニコルと駆け落ちしてしまった。
]]>銀行に勤めるフレディー(テレンス・スタンプ)は、蝶を集めることに熱中していた。その蝶をクロロフォルムで殺すとき、何もかも忘れてしまうという変わった男だった。ある時、フレディーは賭けで大金を手に入れた。彼は郊外に家を買い、調度品を揃えた。そして美術学校に通う魅力的なミランダ(サマンサ・エッガー)という娘を誘拐し、強制的に同棲生活を送ることを計画、実行した。
奇妙な生活だった。ミランダが欲しがるものは何でも買い与えた。だが決して監視の目はゆるめない。同時に彼女の方はたえず逃げる機会をうかがった。手を縛られて散歩した時も、ある夜に予期せぬ来客があった時も通報する機会をもう少しのところで失ってしまった。激しい雨の夜、ミランダはフレディーをシャベルで殴り、逃走を試みた。彼は血まみれになりながらも、ミランダを芝生の上でひきずり回した。病院で手当てを受けたフレディーが帰ってくると、ミランダは肺炎を起こして重体だった。そして死んだ……。
翌日は快晴。フレディは車をゆっくり走らせた。前を行く娘にじっと視線を向けていた。その娘は病院で彼の傷の手当てをした若いチャーミングな看護婦だった。
]]>カレン・ライト(オードリー・ヘップバーン)とマーサ・ドビー(シャーリー・マクレーン)は学生時代からの親友であり、共同で寄宿学校を経営していた。父兄からの信望も厚く、カレンの2年越しの恋人はこの地方の有力者ティルフォード夫人の甥である医者のジョー・カーディン(ジェームズ・ガーナー)だった。しかしカレンが婚約に踏み切った時、なぜかマーサは重い微笑で答えただけだった。
ティルフォード夫人の孫娘メリーは病的なほどのわがまま娘で、学校でのしくじりに家へ逃げ帰り、そのまま学校へ戻りたくないばかりに祖母に訴えた。「カレンとマーサは同性愛なの!」と。噂はたちまち広まり、驚いた父兄たちは子供を引き取ってしまった。カレンとマーサはティルフォード夫人を訪問し名誉棄損で訴えたが潔白を証明することができないばかりか、かえって2人は町中の噂と嘲笑の中に身をさらさなければならなくなった。
噂の2人は無人の学校にひっそりと暮らしていたが、ジョーですらかすかな疑いを持っていることを知ったカレンは婚約を解消してしまった。マーサはそれを知って心が激しく揺れるのを覚えるのだった。やがて孫娘メリーの嘘を知ったティルフォード夫人が謝罪に来た。カレンは久しぶりに空の青さをしみじみとした思いで仰いだが、ふとそこにいないマーサに気づき不安にかられて名を呼んだ。2階にかけ上がったカレンが見たのは、暗く閉ざされた部屋の中で自らの生命を絶ったマーサの姿だった。カレンはただ1人で野辺の送りを済ませ、今はもう見知らぬ人ばかりの町ででもあるかのように、後もふり向かずに去って行くのだった。
]]>西暦1世紀の初め、ユダヤがローマ帝国の支配下にあった頃の話。ユダヤの都エルサレムにローマ駐屯軍の新将校が着任した。メッセラ(スティーブン・ボイド)である。彼はこの地の豪族の息子ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)と幼な友達だった。しかし、メッセラは立身出世主義者となっており、ベン・ハーと今は相いれなかった。ある事件からベン・ハーの一家がローマへの反逆罪に問われた時、メッセラは無罪の口添えをこわれたが、拒否した。ために、ベン・ハーの母と妹は地下牢に入れられ、ベン・ハー自身は奴隷としてローマ軍船へ送られた。途中、砂漠で渇に倒れようとした時、飲み水を恵んでくれた人があった。ベン・ハーはこの人を忘れなかった。
ローマ艦隊が海賊船団と戦った際、奴隷であったベン・ハーは司令官アリアスの命を救った。彼はアリアスの養子に迎えられたが、ユダヤの地に帰った。そこでハー家の財宝を守っていたサイモニデスとその娘エスター(ハイヤ・ハラリート)にめぐり合った。エスターは、ライの谷へ送られていくベン・ハーの母と妹に出会っていたが、彼女らの願いで2人は地下牢で死んだと告げた。ベン・ハーは2人の仇を討つことを誓い、大戦車競争に出場し、メッセラを破った。重傷を負ったメッセラは母と妹はライの谷にいるとベン・ハーに言った。早速彼は母と妹を迎えた。途中、十字架を負って刑場に向かうキリストを見送った。砂漠で水を恵んでくれた人だ。今度はバン・ハーが1杯の水を捧げた。その行列を見守った母と妹は、病いが奇蹟的にいえるのだった。
]]>1870年代のテキサス州サンラファエルに、東部から1人の紳士ジェームズ・マッケイ(グレゴリー・ペック)が、有力者テリル少佐の1人娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためにやってきた。出迎えた牧童頭のスチーヴ・リーチ(チャールトン・ヘストン)は彼に何となく敵意を示した。スチーヴは主人の娘を恋していたのだ。途中まで許婚者を迎えたパットは、スチーヴを先に帰してジェームズと父の牧場に向かったが、途中で酒に酔ったハナシー家の息子パックたちに、悪戯をうけた。しかしジェームズは彼らを相手にしなかった。
パットの父テリル少佐は大地主ルファス・ハナシーとこの地の勢力を二分し、争っていた。2人が共に目をつけている水源のある土地ビッグ・マディを、町の学校教師でパットの親友ジュリー・マラゴン(ジーン・シモンズ)が所有していた。彼女は一方が水源を独占すれば必ず争いが起こるところから、どちらにも土地を売ろうとしなかった。少佐は娘の婿にされた乱暴に対して、ハナシーの集落を襲い、息子たちにリンチを加えて復讐した。そんな少佐の態度にジェームズは相いれないものを感じた。
彼は争いの元になっている土地ビッグ・マディを見て、女主人ジュリーに会い、中立の立場で誰にでも水を与え、自分でこの地に牧場を経営したいと申し出て彼女と売約契約をかわした。一方血気にはやるパットと父の大佐には、慎重なジェームズの態度が不満だった。水源地ビッグ・マディを手に入れて大佐に対抗するため、ハナシーはジュリーを監禁する挙に出た。ジェームズはメキシコ人牧童の案内で単身本拠にのりこみ、水源は自由にすると明言してジュリーを助け出そうとした。ハナシーの息子バックは、ジュリーに対する横恋慕からジェームズと決闘したが、卑怯な振舞いから父に射殺された。少佐とスチーヴの一隊がのりこんできて乱戦が始まった。そして、1対1で対決した大佐とハナシーは、相撃ちで共に死んだ。憎悪による対立と暴力の時代は終わった。今はジュリーの腕をとって、ジェームズは新しい我が家ビッグ・マディに、新生活を始めるため馬首を進めた。
]]>1862年、南北戦争のアメリカ。クェーカー教の牧師ジェス・バードウェル(ゲイリー・クーパー)は妻のエリザ(ドロシー・マクガイア)と3人の子供、ジョッシ、マティ、小柄なジェスと北インディアナ州で平和に暮らしていた。その日ジェスは一家を馬車に乗せ日曜集会に行くところだったが、親友サムと、その息子ガードの馬に追い抜かれるや口惜しさの余り、これと競争した。当時のクェーカー教とは、どんな誘惑にも毅然としていたものだが、ジェスはその誘惑に負けたのである。集会には北軍の少佐が出席していて、クェーカー教徒も南軍と戦うべきだと説いた。若いジョッシは、この言葉に大きな衝撃を受けクェーカー教徒して良心の呵責を感じた。
やがて祭りの市が開かれバードウェル一家も出かけた。そこでマティとガードは互いに愛し合うようになるが、ジョッシは友人の喧嘩に巻き込まれ最初の暴力を振るった。父親のジェスもエリザに知らせずオルガンを買い込んでしまった。祭りがすんでジェスとジョッシは旅に出、寡婦のハズペスの農場を訪れた。ジェスは、そこで自分ののろい馬とハズペスの速い馬とを取り換えたが農場に滞在中、南軍の兵士が農場を襲撃、それをハズペス一家が見事撃退する事件が起きた。これを見たジョッシは再び強い衝撃を受けた。
家に戻ったジェスは新しい馬でサムの馬を負かして有頂天になった。ところが、平和主義のクェーカー教徒としての自分の立場を悩み続けていたジョッシが地方義勇兵に応募すると固い決心を語り驚かした。エリザは落胆するが、ジェスは息子の言葉は無理もないと思った。やがてジョッシは戦いに参加、1人の兵士を殺すが自らも負傷する。独り戻った馬によって、これを知ったジェスは息子への愛情から遂に銃をとり、必要とあれば戦う決心もして出かけた。途中、南軍の奇襲隊に撃たれ瀕死のサムを発見した彼は奇襲隊員を追って銃口の先に捉えた。しかし彼は突然人を殺すことはできぬと覚って敵を逃してやった。間もなく負傷の息子を発見しジェスは家に戻った。不逞の襲撃者も他の地方に去った。バードウェル一家に再び春が訪れ、マティとガードには明るい未来が輝いていた。
]]>インディアナポリス郊外に住む中流サラリーマン家庭のヒリアード一家は主人のダン(フレドリック・マーチ)と妻のエリナー(マーサ・スコット)、娘のシンディに幼い息子のラルフ(リチャード・アイアー)の4人ぐらし。シンディにはチャックという恋人がいた。
ある朝、ダンとシンディが仕事へ、ラルフが学校へと出かけた後、エリナーひとりの家に、3人の脱獄囚が押し入って来た。グレン(ハンフリー・ボガート)と弟のハル(デューウィ・マーティン)、仲間のサム(ロバート・ミドルトン)の3人であった。彼等はピッツバーグにいるグレンの情婦モリーが高とびの金を届けてくるまで、この家に隠れていようというのだった。
ジェス・バード警部(アーサー・ケネディ)指揮の下に捜査網をはった警察だが、3人の行方は一向につかめなかった。何も知らない家族が次々と帰宅し、そのまま人質にされた。グレンは、金が届くまで家族のものに何事もなかったようにふるまうよう強要し、翌日、ダンもシンディも何事もないように勤めに出かけなければならなくなった。しかし家に人質をとられているので何もできない。3人が此処に来る時に盗んで乗ってきた自動車がダンの家の車庫にあるのを見つけた、出入りの廃品回収屋のパタースンはサムに殺されてしまった。グレンが必要以上に危険を冒していると思ったハルは、兄に逆らって自分だけ先に逃げたが、警官に見つかり、射殺された。ハルの持っていたピストルがダンのものであることが判り、警察はヒリアード家を密かに包囲した。事情を知ったチャックは電話でシンディを誘い出し救出に成功した。危機を覚ったグレンは一家を連れて逃げようとしたが、ダンの機転により、サムは外へ追い出されて射殺され、エリナーとラルフは脱出に成功した。形勢が逆転したグレンは、降伏したように見せかけて逃亡を試みるが、彼もまた機銃の弾幕の中に倒れたのだった。
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