・一方で、AIの道具やAIエージェントの費用を、会社全体でまとめて把握できている会社は29%にとどまった。AIの費用が増えることに備え、予算の計画や管理の仕組みをすでに整えている会社は14%だった
・会社で使ってよいとされているAIの道具は、Microsoft Copilotが66%で最も多く、ChatGPTが46%、Google Geminiが33%、Claudeが14%と続いた
サイボウズは、「大企業におけるAI活用実態調査」の第2弾として、AIの費用、ガバナンス(使い方の決まり)、業務のデータの使い方についての結果を公開しました。
AIエージェントのように、仕事を任せる使い方が広がると、AIの費用は使った量に応じて増えていきます。投資を増やす会社が多い一方で、その費用をきちんと把握できているのかが、今回の調査で見えてきました。
この記事では、サイボウズの調査で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、調査の対象です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 従業員1,000人以上の企業・団体(情報通信業を除く)の、経営者、またはIT・情報システム・DXの仕事をしている人 |
| 回収数 | 551社 |
| 方法 | インターネットでの調査(調査の実施はインテージ) |
| 時期 | 2026年7月6日〜9日 |
第1弾では、AIを全社で進めている会社が60%、一部の部門で使っている会社が25%で、9割を超える大企業がAIの活用に手をつけていると報告されていました。
次に、費用の結果です。
・今後3年でAIへの投資を「大幅に増やす」が23%、「やや増やす」が47%で、合わせて70%
・AIの費用の把握は、「部門やプロジェクトごとには分かるが、会社全体では分からない」が32%で最も多く、会社全体でまとめて把握できているのは29%
・AIの費用が増えることへの備えは、「検討・準備中」が44%で最も多く、「予算の計画や管理の仕組みをすでに整えている」は14%
・AIの予算の位置づけは、「ITやDXの予算の一部」が53%で最も多かった
ここで、データの使い方の結果を見ておきます。
・社内の業務のデータを、何らかの形でAIに使えている会社は57%。一方で「使いたいが整備や連携ができていない」も25%
・業務のデータが「共有できる形で一部はたまっているが、Excelや個人のパソコンにも多く残っている」会社が55%で最も多かった
・主な業務のシステムとAIをつないでいる会社は11%にとどまった
・AIの使い方の決まりを「作って運用している」会社は51%
ここからは、調査の結果をもとにした僕の見方です。
今回の調査で見えてきたのは、AIの費用の「性質」の変化だと考えています。
これまで、AIの費用は、1人あたり月いくらの道具代として、ITの予算の中で扱われてきました。AIエージェントのように、AIが長い時間働く使い方では、費用は使った量に応じて増えていきます。部門ごとに道具を入れていくと、会社全体でいくら使っているのかが見えなくなります。投資を増やす前に、費用を見える形にしておくことが大事になりそうです。
最近のClaude Enterpriseの管理の機能のように、AIの会社の側も、使える金額の上限を決める仕組みを用意し始めています。
いくつものAIの道具を契約している個人事業主にとっても、毎月どの道具にいくら払っているかを、一度表にまとめておくと、使っていない契約や使いすぎに気づきやすくなります。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・対象は従業員1,000人以上の大企業。中小企業や個人の傾向とは違うかもしれない
・調査の時期は2026年7月。その後に出た新しい道具や料金の変化は入っていない
・第3弾(AIエージェントの活用実態編)は、2026年10月28日に公開される予定と案内されている
サイボウズの調査では、大企業の70%が今後3年でAIへの投資を増やすと答えた一方、AIの費用を会社全体でまとめて把握できている会社は29%にとどまりました。業務のデータも、Excelや個人のパソコンに多く残っています。
AIの費用が、決まった道具代から、使った分だけ増える経費に変わり、その管理が追いついていない、というのがいちばん大きな学びです。
AIを使っている人は、会社でも個人でも、まずどの道具にいくら払っているかを1つの表にまとめておくのがよさそうです。
出典
・サイボウズ「大企業におけるAI活用実態調査(コスト・ガバナンス・データ活用編)」(2026年10月14日) https://cybozu.co.jp/it-foresight/research-whitepapers/2026-10-ai-research/
]]>・物理では、素粒子の強い力を表す理論(量子色力学)などが、数学的に厳密に存在することを示したとする。その一部は、数学の7つの懸賞問題「ミレニアム問題」の1つに関わる
・数学と計算機科学の結果は、証明を機械で確かめる仕組み「Lean」でも確かめた。今後は外部の専門家のグループが、結果を確かめ、説明していく。OpenAIは、この発見で学問上の功績は求めないとしている
OpenAIは2026年10月26日、AIによる3つの新しい発見を発表しました。
AIが数学の問題を解いた、というニュースはこれまでにもありました。ただ今回は、何十年も専門家が取り組んできた分野の中心的な問題に関わるものです。同時にOpenAIは、AIが出した結果を、学問の世界がどう受け止め、確かめていくかという「公開のしかた」も、新しく試すとしています。
この記事では、OpenAIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。なお、ここで紹介するのはOpenAIの発表の内容で、専門家による確認はこれからです。
まずは、OpenAIが発表した結果です。
| 分野 | OpenAIが発表した内容 | 確かめの状況 |
|---|---|---|
| 数学 | 1991年に示された「局所平滑化予想」をすべての次元で証明。これにより「掛谷予想」と「スタインの制限予想」もすべての次元で解けるとしている | AIの証明の文章と、Leanでの証明を公開 |
| 計算機科学 | 多くの研究の前提にされてきた「指数時間仮説」が成り立たないことを示した | Leanで確かめ、AIの証明の文章とLeanでの証明を公開 |
| 物理 | 量子色力学や、素粒子の標準模型をまとめた理論が、数学的に厳密に存在することを示したとする。途中で、ミレニアム問題の1つに関わる「ヤン=ミルズ理論」の存在も示したとしている | 外部のグループが確かめる。資料の公開はグループの判断に任せる |
数学の結果は2026年10月18日、計算機科学の結果は10月16日に、AIが出したとしています。物理の結果は、9月に出したとしています。
次に、公開のしかたです。
OpenAIは、AIが出した原稿は「研究の生のデータ」のようなもので、それを学問の理解に変えるには専門家の力が要るとしています。そこで外部の専門家に相談し、3つの分野で違う進め方をとりました。
・数学:AIの出力をそのまま公開し、研究者が自由に読み解けるようにする
・計算機科学:指数時間仮説を最初に提案した研究者らを含むグループが、結果を確かめて説明する。AIの出力も公開する
・物理:2004年のノーベル物理学賞を受けたデイヴィッド・グロス氏らのグループが確かめ、資料をいつ公開するかもグループに任せる
外部のグループとの協力では、秘密を守る約束を求めない、OpenAIは学問上の功績を求めない、参加は自主的で報酬はない、といった決まりを示しています。
ここで、受け止め方の注意を見ておきます。
・どの結果も、学問の世界での確認はこれから。OpenAIも、どの公開のしかたがいちばん役に立つかは分からないとしている
・計算機科学の結果について、OpenAIは、より速い計算の方法を見つけ、実際の役に立てるには、さらに多くの研究が要るとしている
・計算機科学のグループの求めに応じて、OpenAIは結果の生のデータを公開し、この結果の意味を話し合う会議の費用を出すとしている
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の発表で注目したいのは、AIが出した結果の「確かめ方」だと考えています。
AIが、専門家が何十年も解けなかった問題に答えを出す時代になると、次に大事になるのは、その答えが正しいかを人が確かめ、意味を理解することです。OpenAIが、機械で確かめる仕組み(Lean)を使い、外部の専門家に確認を任せているのは、そのためです。
ふだんの仕事でも同じことが言えます。AIに出してもらった資料や分析は、それ自体がゴールではなく、人が確かめて使うための材料です。AIが賢くなるほど、「どう確かめるか」を決めておくことが大事になります。
調べものや資料づくりにAIを使っている個人事業主にとっても、AIの答えを受け取ったら、数字や出典を確かめる手順を決めておくことが、これからますます大事になりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・紹介したのは、OpenAIの発表の内容。専門家による確認が終わるまでは、「解けた」と言い切れない
・数学や物理の結果が、すぐに私たちの仕事や暮らしに役立つわけではない
・続報は、OpenAIや各グループの公式の発表で確かめる
OpenAIは、自社のAIが、局所平滑化予想の証明、指数時間仮説の否定、量子色力学の存在の証明という、3つの分野の大きな結果を出したと発表しました。数学と計算機科学の結果はLeanで確かめ、今後は外部の専門家のグループが確かめていきます。
AIが、人の専門家が長年取り組んできた問題に答えを出し、それを人が確かめる、という研究の新しい形が始まった、というのがいちばん大きな変化です。
ふだんの仕事でも、AIの答えを確かめる手順を、今のうちに決めておくのがよさそうです。
出典
・OpenAI「Working with academic communities to build scientific understanding」(2026年10月26日) https://openai.com/index/building-scientific-understanding-with-academic-communities/
]]>・Oracleの製品にも、OpenAIのモデルを組み込む。プログラムの弱点を探す「Oracle AI Security Mesh」、小さな会社向けにChatGPT BusinessとCodexをまとめた「Oracle AI SMB Bundle」などを用意する
・米国のOracleの顧客は、OpenAIのAPI、Codex、ChatGPT WorkをOracleのマーケットプレイスから、いつもの購買の手続きで買えるようになった
OpenAIは2026年10月27日、Oracleとの提携を広げると発表しました。
Oracleは、会社の会計や購買、人事などを支える業務のソフトを提供している会社です。こうしたソフトは、使い方を覚えるのに時間がかかり、知りたい数字がどの画面にあるかを探すだけでも手間がかかります。今回の提携は、そうした業務のソフトの情報に、ChatGPTの会話からたどり着けるようにするものです。
この記事では、OpenAIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、提携の中心です。
OpenAIの発表によると、Oracleは「Oracle AI Workspace」を開発しています。
・ChatGPTの中で、やりたいことを言葉で伝え、必要な情報を見つけ、会社が認めた業務の手続きを1か所で済ませられるようにする
・たとえば、新しく財務のチームに入った人が、ChatGPTを使って、費用を調べ、購買の判断の経緯を理解し、月末の締めまでに残っている作業を洗い出す、といった使い方を想定している
・財務、購買、計画のアプリの情報をまとめて見られるようにしつつ、会社ごとの権限と承認の決まりの中で使う
Oracle自身も、すでにChatGPTを13万人、Codexを9万5,000人以上が使っていると報告しています。採用のチームでは、2〜4日かかっていた市場の調べものが、ChatGPT Workで15〜20分の準備で済むようになったそうです。
次に、Oracleが発表した新しい製品です。
| 製品 | 中身 |
|---|---|
| Oracle AI Security Mesh | OpenAIのサイバー向けのモデルを使って、アプリや基盤の弱点を見つけて直すのを手伝う。試験の環境はOracleが管理する |
| Oracle AI SMB Bundle | 小さな会社向けに、ChatGPT BusinessとCodex、Oracleのアプリ、Oracleのクラウドの利用枠をまとめる |
| Oracle App Composer | CodexなどのAIでアプリを作り、会社が認めたOracleのデータや業務の流れにつないで、社内で共有する |
ここで、買い方の変化を見ておきます。
米国のOracleの顧客は、OpenAIのAPI、Codex、ChatGPT Workを、Oracleのマーケットプレイスから、いつもの購買の手続きと、使える条件を満たしたOracleの利用枠で買えるようになりました。
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の提携で変わるのは、会社の業務のソフトへの「たどり着き方」だと考えています。
会計や購買のソフトは、画面が多く、どこに何があるかを知っている人に頼りがちでした。ChatGPTの会話から、権限の範囲で必要な数字や手続きにたどり着けるようになれば、詳しい人に聞かなくても、新しく入った人が自分で調べられます。
OpenAIは、Google CloudやUberとの提携に続いて、会社がふだん使っている場所の中にChatGPTを置く動きを広げています。
会計のソフトを使って帳簿をつけている個人事業主にとっても、いずれ「今月の経費はどこで増えた?」と聞くだけで答えが返ってくる形が、身近な会計のソフトにも広がっていきそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・Oracle AI Workspaceは、まだ開発中。いつ、どの国で使えるようになるかは、発表に書かれていない
・マーケットプレイスでの購入は、今は米国のOracleの顧客向け
・会社のデータをAIから扱う場合は、権限と承認の決まりを先に整える
OpenAIとOracleは提携を広げ、OracleのアプリとデータをChatGPTの中から使える「Oracle AI Workspace」の開発や、OpenAIのモデルを使った新しい製品を発表しました。米国では、OpenAIの製品をOracleのマーケットプレイスから買えるようになりました。
会社の業務のソフトが、使い方を覚えるものから、AIに聞けば必要な情報にたどり着けるものに変わり始めた、というのがいちばん大きな変化です。
Oracleのソフトを使っている会社は、まずどの業務の情報をAIから見られるようにしたいかと、その権限の範囲を決めておくのがよさそうです。
出典
・OpenAI「OpenAI expands partnership with Oracle to bring its apps to ChatGPT」(2026年10月27日) https://openai.com/index/oracle-apps-in-chatgpt/
]]>朝から晩まで追われるように働き、休みの日も気が休まらない。
このしんどさがいつまで続くのかと思うと、もう辞めたいという気持ちが浮かんでくる。
そんなふうに、仕事の苦しさに押しつぶされそうになることはありませんか?
仕事が苦しいときは、その苦しさの「区切り」を見つけることで、耐えられる大きさになります。
なぜなら、仕事の苦しさを大きくしているのは、今のつらさそのものより、「これがずっと続く」という思いだから。
実はこの考え方、約1850年前のローマ皇帝マルクス・アウレリウスが、自分のために日記に書き残したもの。
皇帝は、苦しみは耐えられないものでも、終わりのないものでもない、その区切りを心にとめておけ、と書いていました。
その言葉が、苦しい毎日を乗り切るための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
この記事を読めば、苦しさに押しつぶされず、自分を守りながら毎日を乗り切れるようになります。

仕事が苦しいと感じるのは、それだけ毎日、精いっぱい働いているからです。
手を抜いていれば、ここまで苦しくなることはありません。
ただ、苦しさを何倍にも大きくしているのは、今のつらさだけではありません。
「この苦しさは、いつまでも続く」という思いが、今のつらさに、先のつらさまで重ねてしまっているのです。
ここでは、仕事の苦しさが、どんどん大きく感じられてしまう理由を見ていきます。
苦しいとき、頭の中ではこんなことが起きています。
・今日も明日も、来月も、この忙しさが続くのだろう
・この仕事を続けるかぎり、楽になる日は来ないだろう
・何年たっても、同じ毎日を繰り返すのだろう
今日の苦しさは、今日の分だけのはずです。
それなのに、先の苦しさまで先取りして背負ってしまうから、とても耐えられないように感じてしまうのです。
苦しいときは、何がいちばん苦しいのかが、はっきりしないことも多いものです。
・仕事の量が多いのか
・人間関係がつらいのか
・責任の重さが負担なのか
正体がわからない苦しさは、どこまでも大きく見えます。
どこから手をつければいいかもわからないので、ただ耐えるしかないように感じてしまうのです。
では、仕事の苦しさと、どう向き合えばいいのか。
そのヒントを、約1850年前のローマ皇帝が、自分の日記に書き残しています。

マルクス・アウレリウスは、161年から180年までローマ帝国を治めた皇帝です。
皇帝は、長い戦争を指揮しながら、自分自身も体の不調に苦しんでいたと伝えられています。
苦しい日々の中で、皇帝は、苦しみとの向き合い方を、日記に繰り返し書いていました。
ここでは、皇帝が日記に書き残した、苦しみについての言葉を紹介します。
マルクス・アウレリウスは、『自省録』第7巻に、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 苦しみは、耐えられないものでも、終わりのないものでもない。その区切りを心にとめ、想像で何かを付け加えなければ。
皇帝がここで大切にしているのは、2つのことです。
1つは、苦しみには区切りがあると知ること。
もう1つは、想像で、苦しみを実際より大きくしないことです。
「ずっと続く」と思う苦しさは、想像で付け加えたものです。
実際の苦しさには、必ずどこかに区切りがあるのです。
皇帝は、同じ第7巻の別の節で、こうも書いています(訳は筆者によるもの)。
> 長く続く苦しみは、耐えられるものだ。
長く続いているということは、ここまで耐えてこられたということです。
今日まで続けてこられたあなたには、それだけの力がある。
皇帝の言葉は、そう教えてくれているようにも読めます。
ここからは、皇帝の考え方を、仕事が苦しいときに使える手順にして紹介していきます。

仕事の苦しさを小さくするために必要なのは、歯を食いしばって耐え続けることではありません。
苦しさの正体と、その区切りを見つけて、耐えられる大きさに切り分けることです。
区切りが見えれば、「ずっと続く」という思いから抜け出し、今日の分だけに向き合えるようになります。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
まず、仕事の何がいちばん苦しいのかを、具体的に書き出します。
・月末の締め日の前は、毎日夜遅くまで残業になる
・上司からの急な頼まれごとが、毎日のようにある
・大きな案件の責任を、1人で背負っている
「仕事が苦しい」を、できるだけ細かく分けて書きます。
書き出すと、ぼんやりしていた苦しさの正体が見えてきます。
次に、書き出した苦しさの1つひとつに、区切りを書きます。
・月末の残業 → 締め日が過ぎれば、いったん落ち着く
・急な頼まれごと → 今の大きな案件が終われば、減るはず
・責任の重さ → 来年の春に、担当の見直しがある
すべての苦しさに、はっきりした区切りが見つかるとはかぎりません。
それでも、「いつまで」「どこまで」を考えてみることが、皇帝の言う「区切りを心にとめる」ことです。
区切りが見つからない苦しさは、1人で抱えずに、誰かに相談します。
・上司に、仕事の量を見直してもらえないか相談する
・同僚に、手伝ってもらえることがないか聞いてみる
・社内の人事の窓口に、働き方を相談してみる
区切りが見えない苦しさは、自分の力だけでは区切れないものかもしれません。
誰かの手を借りることで、区切りを作れることもあるのです。
最後に、毎日、今日の分の苦しさだけに向き合うと決めます。
・明日の仕事のことは、明日の朝に考える
・1日が終わったら、「今日の分は終わった」と声に出して区切る
・休みの日は、仕事の連絡を見ない時間を作る
1日ごとに区切りをつけていけば、苦しさを先まで背負わずにすみます。
今日の分だけなら、きっと耐えられる大きさのはずです。

苦しさの区切りを見つけても、どうしても苦しさが軽くならないこともあります。
そんなときは、苦しさに耐え続けることより、自分を守ることを優先してください。
皇帝は、苦しみに向き合う中でも、自分の心の守り方について書いています。
ここでは、自分を守るための、皇帝の考え方を紹介します。
マルクス・アウレリウスは、『自省録』第7巻で、苦しみについて、こうも書いています。
苦しみがあっても、それは恥ずべきことではない。
苦しみがあっても、自分の心の中心まで、悪くされることはない、と。
苦しい思いをしていることは、恥ずかしいことではありません。
そして、どれだけ仕事が苦しくても、あなたの心の中心まで、仕事に明け渡す必要はないのです。
区切りが見えないまま苦しさが続くなら、働き方を変えることも、自分を守るための大切な選択です。
休むこと、相談すること、場所を変えること。
どれを選んでも、それは苦しさに負けたことではなく、自分の心を守ったということなのです。

最後に、この記事のポイントをまとめます。
仕事の苦しさが大きくなるのは、「これがずっと続く」と思ってしまうから
今の苦しさに、先の苦しさまで重ねてしまうと、とても耐えられないように感じます。
苦しさの正体がぼんやりしていると、どこまでも大きく見えてしまいます。
ローマ皇帝は「苦しみは、耐えられないものでも、終わりのないものでもない」と書いた
苦しみには区切りがあると知り、想像で苦しみを大きくしない。
長く続く苦しみは、耐えられるものだ、とも皇帝は書いています。
何が苦しいのかを書き出し、区切りを見つけて、見えないものは相談する
何がいちばん苦しいのかを書き出す。
それぞれの苦しさの区切りを書く。
区切りが見えない苦しさは、誰かに相談する。
今日の分だけに向き合い、1日の終わりに区切りをつける。
仕事が苦しいと感じるのは、それだけ毎日、精いっぱい働いてきたからです。
あなたが、苦しさに押しつぶされることなく、自分を守りながら進んでいけることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


『自省録』を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、マルクス・アウレリウスの『自省録』に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
決まった時間に出社し、会社の都合で働き方が決まる毎日に、息苦しさを感じている。
でも、安定した収入や身分を手放すのは怖くて、なかなか踏み出せない。
そんなふうに、正社員を辞めたい気持ちと不安のあいだで揺れることはありませんか?
正社員を辞めたいときは、いきなり断ち切るのではなく、「結び目をほどくように」少しずつ準備することで、後悔せずに次へ進めます。
なぜなら、正社員を辞めることの不安の多くは、今の暮らしを一度にすべて手放すことへの怖さから生まれているから。
実はこの考え方、約2000年前のローマの哲学者セネカが、忙しい仕事から離れたいと願う友人に宛てた手紙に書き残したもの。
セネカは、もつれた結び目は、断ち切るよりも、ほどくほうがよい、と友人にすすめていました。
その言葉が、正社員を辞めるかどうかを考えるための大きなヒントになります。
この記事を読むとわかること
この記事を読めば、正社員を辞めるかどうかを、勢いではなく、自分で納得して決められるようになります。

正社員を辞めたいと思うのは、働き方や生き方を、真剣に見つめ直しているからです。
会社に合わせる働き方ではなく、自分に合った働き方をしたい、という気持ちは自然なものです。
ただ、正社員を辞めるとなると、手放すものも大きくなります。
収入、社会保険、周りからの信用。
それらを一度にすべて手放すことを考えると、怖くて踏み出せなくなってしまうのです。
ここでは、正社員を辞めたいのに、踏み出せない理由を見ていきます。
正社員として働いていると、気づかないうちに、多くのものを受け取っています。
・毎月決まった給料と、ボーナス
・会社が半分払ってくれる、健康保険や年金
・住宅ローンを組むときなどの、社会的な信用
辞めたい気持ちが強くなるほど、こうしたものの大きさが、改めて見えてきます。
手放すものが大きいからこそ、踏み出すのが怖くなるのです。
正社員を辞めたいと考えるとき、多くの人は、こんなふうに考えます。
・今すぐ辞めるか、このままずっと続けるか
・辞めたら、もう後戻りはできない
・辞めるなら、すべてを捨てる覚悟が必要だ
選べる道が2つしかないと思うと、どちらを選んでも大きな決断になります。
だから、なかなか決められずに、時間だけが過ぎていってしまうのです。
では、正社員を辞めたい気持ちと、どう向き合えばいいのか。
そのヒントを、約2000年前のローマの哲学者セネカが、友人への手紙に書き残しています。

セネカは、約2000年前のローマで活躍した哲学者です。
皇帝ネロの教育係を務め、政治の世界にも深く関わっていました。
そのセネカが、晩年に友人ルキリウスに宛てて書いた手紙が、『倫理書簡集』としてまとめられています。
ルキリウスは、重要な役職につく忙しい人で、仕事から離れて自分の時間を持ちたいと願っていました。
ここでは、仕事から離れたいと願う友人に、セネカが伝えた言葉を紹介します。
セネカは、第22書簡の中で、友人にこう書いています(訳は筆者によるもの)。
> あなたは、おだやかな道をとるべきだ。自分でうまく結べなかった結び目は、断ち切るよりも、ほどくほうがいい。ただし、ほかにほどく方法がなければ、断ち切ってもかまわない。
セネカは、仕事から離れることそのものには、賛成していました。
ただ、そのやり方は、一気に断ち切るのではなく、少しずつほどいていくのがよい、とすすめたのです。
そして、どうしてもほどけないときは、思い切って断ち切ってもよい、とも添えています。
宙ぶらりんのまま、いつまでも迷い続けるよりは、そのほうがいいというのです。
セネカは、『心の平静について』第4章でも、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> ときには退かなければならないこともある。だが、退くときは、ゆっくりと、一歩ずつ退くべきだ。
退くことは、悪いことではありません。
ただ、慌てて逃げ出すように退くのではなく、自分のペースで、一歩ずつ退く。
それが、セネカの考える、賢い退き方だったのです。
ここからは、セネカの考え方を、正社員を辞めたいときに使える手順にして紹介していきます。

正社員を辞めたい気持ちと向き合うために必要なのは、勢いで辞表を出すことでも、気持ちを押し殺して続けることでもありません。
今の暮らしと会社とのつながりを、結び目をほどくように、1つずつ確かめながら準備していくことです。
ほどきながら進めば、辞めるにしても、続けるにしても、後悔の少ない選び方ができます。
それでは、4つの手順に分けて紹介します。
まず、正社員を辞めたい理由を、具体的に書き出します。
・毎日決まった時間に出社するのがつらい
・会社の都合で、異動や転勤が決まるのが嫌だ
・自分の力を、別の形で試してみたい
理由がはっきりすると、「正社員そのもの」が嫌なのか、「今の会社」が嫌なのかが見えてきます。
今の会社が理由なら、正社員のまま会社を変えるという道もあります。
次に、正社員だからこそ受け取っているものを書き出します。
・毎月の給料とボーナスの額
・会社が負担している、健康保険や年金の分
・有給休暇や、会社の福利厚生
辞めたあとに、これらをどうするかを考えるための準備です。
手放すものがはっきりすれば、何を準備すればいいかも見えてきます。
辞める前に、少しずつ準備を進めます。
・生活費の半年分ほどを、貯めておく
・辞めたあとの働き方を、休日や空き時間で小さく試してみる
・辞めたあとの健康保険や年金の手続きを、調べておく
セネカの言う「結び目をほどく」です。
1つずつほどいていけば、辞めるときに手放すものの怖さは、少しずつ小さくなっていきます。
準備がある程度進んだところで、改めて、辞めるかどうかを決めます。
・準備が整い、次の働き方の見通しも立った → 時期を決めて、辞める準備に入る
・準備するうちに、今の会社でも変えられることが見えた → 働き方を変えながら続ける
・どうしても今がつらく、待てない → 心と体を守るために、早めに決断する
セネカが言うように、ほどけないときは断ち切ってもかまいません。
大切なのは、勢いではなく、自分で確かめたうえで決めることです。

正社員を辞めるかどうかを考えるときは、自分にどんな働き方が合っているのかを知ることも大切です。
辞めることは、ゴールではなく、自分に合う働き方を選ぶための手段だからです。
セネカは、『心の平静について』の中で、自分に合う生き方を選ぶことの大切さについても書いています。
ここでは、自分に合う働き方を知るための、セネカの考え方を紹介します。
セネカは、『心の平静について』第7章で、こう書いています(訳は筆者によるもの)。
> 自分の性質が、活発に動くことに向いているのか、静かに考えをめぐらすことに向いているのかを見極め、合っているほうを選ばなければならない。
人には、それぞれ向いている働き方があります。
大勢の人と関わりながら動くのが合う人もいれば、1人で落ち着いて取り組むのが合う人もいます。
正社員を辞めたいと思うのは、今の働き方が、自分の性質に合っていないからかもしれません。
自分の性質を見極めることが、正社員を続けるか辞めるかを決める、いちばんの手がかりになるのです。

最後に、この記事のポイントをまとめます。
正社員を辞めたいのに踏み出せないのは、今の暮らしを一度に手放すのが怖いから
正社員だからこそ受け取っているものは、思っている以上に多いものです。
「辞めるか、続けるか」の2つしかないと思うと、決断がとても重くなってしまいます。
セネカは「結び目は、断ち切るよりほどくほうがいい」と書いた
仕事から離れることには賛成しながらも、一気に断ち切るのではなく、少しずつほどくようにすすめた。
退くときは、ゆっくりと、一歩ずつ退くべきだ、ともセネカは書いています。
辞めたい理由と受け取っているものを書き出し、ほどけるものから準備する
正社員を辞めたい理由を書き出す。
正社員だから受け取っているものを書き出す。
辞める前に、ほどけるものから1つずつほどいていく。
ほどき終えたところで、辞めるかどうかを決める。
正社員を辞めたいと思うのは、自分に合う働き方を真剣に探しているからです。
あなたが、焦らず一歩ずつ準備を進め、納得のいく働き方を選べることを、心から応援しています。
同じように仕事に悩むときに役立つ記事です。


セネカの手紙を読んでみたいあなたへ
この記事で紹介した言葉は、セネカが友人ルキリウスに宛てた手紙(『倫理書簡集』)に収められています。
日本語訳は、訳者の違う2冊があります。
参考文献
・認定を受けた非営利団体のTeamとEnterpriseのプランには、追加の料金なしで自動で入る。最初に、団体がどこに何の記録を置いているかをClaudeに整理させ、ほかのスキルはその地図を読んで動く
・Claudeを使う非営利団体は2万5,000を超え、その75%以上は、Claudeの利用者が10人に満たない小さな団体。こうした小さな団体への効果が最も大きいとしている
Anthropicは2026年10月26日、非営利団体向けの「Claude for Nonprofits」を広げ、新しいプラグインを公開しました。
非営利団体は、少ない人数で、寄付集め、広報、採用、報告書づくりなど、たくさんの仕事を回しています。Anthropicは、料金の安さだけでなく、AIを使いこなす人が足りないこと、非営利団体の仕事に合った道具が少ないことが壁になっていたと説明しています。
この記事では、Anthropicの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、プラグインの中身です。
Anthropicの発表によると、非営利団体が特に急ぎだと話した3つの分野から始めています。
| 分野 | 手伝えること |
|---|---|
| チームを広げる | 人手に合った広報の計画、団体らしい言葉での文章の下書き、出す前の見直し。求人の文と面接の手引き、新しい人の最初の90日の計画。理事会に足りない力の洗い出しと、候補者への連絡の下書き |
| 責任を持って使い始める | 寄付者の情報や助成金の書類、お金の記録、決まりがどこにあるかの地図づくり。「これにClaudeを使ってよいか」を、団体のAIの決まりにもとづいて答える |
| 寄付を集める | 寄付者や財団、企業の調べもの(出典つき)。助成の募集要項の読み解き。申請書と報告書の下書き。寄付者との打ち合わせの前の資料と、お礼の文 |
次に、これまでの取り組みです。
・2025年12月に「Claude for Nonprofits」を始め、最大75%の割引などを用意した
・今は2万5,000を超える非営利団体がClaudeを使い、その75%以上は、Claudeの利用者が10人未満の小さな団体
・Teamのプランを2人から使えるようにし、Claude Codeも追加の料金なしで含めた
・9月には、低・中所得の国の認定を受けた非営利団体向けに、約90%の割引を始めた(Teamのプランが1人あたり月3ドル)
ここで、安全の扱いを見ておきます。
非営利団体は、支援する人の大切な情報を預かっています。
・管理者が、だれが使えるか、どのコネクタを使えるかを決められる
・初期設定では、団体のデータをモデルの学習に使わない
・データの扱いと、団体のAIの使い方の決まりの作り方を学べる教材を、新しく用意した
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回のプラグインで注目したいのは、AIの「使い始め方」だと考えています。
このプラグインは、最初に、団体がどこに何の記録を置いているかをClaudeに整理させ、ほかのスキルはすべて、その地図を読んでから動きます。毎回「この資料はここにある」と説明しなくて済むようにする工夫です。また、「これにAIを使ってよいか」を団体の決まりにもとづいて答えさせる機能もあります。道具の性能より先に、情報の置き場所と使ってよい範囲を決めておく、という順番は、非営利団体でなくても参考になります。
少ない人数で多くの仕事を回している個人事業主にとっても、AIに仕事を頼む前に、「資料の置き場所」と「AIに任せてよい仕事」を書き出して渡しておくと、毎回の説明が減りそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・プラグインが自動で入るのは、認定を受けた非営利団体のTeamとEnterpriseのプラン
・日本の非営利団体が割引やプラグインの対象になるかは、Claudeの料金のページで確かめる
・支援する人の個人情報を扱うときは、団体の決まりと管理者の設定を先に整える
Anthropicは、非営利団体向けの「Claude for Nonprofits」のプラグインを公開しました。約30の団体と一緒に作り、寄付集め、広報、採用、理事会の準備を手伝います。認定を受けた団体のTeamとEnterpriseのプランには、追加の料金なしで自動で入ります。
AIを使いこなす近道が、道具の性能より先に「情報の地図」と「使ってよい範囲」を決めることだと、具体的な形で示された、というのがいちばん大きな学びです。
AIを仕事に入れるなら、まず資料の置き場所と、任せてよい仕事の範囲を書き出しておくのがよさそうです。
出典
・Anthropic「Expanding Claude for Nonprofits」(2026年10月26日) https://claude.com/resources/articles/expanding-claude-for-nonprofits
]]>・プログラム作りの試験(Terminal-Bench 4.0)では65.7%で、GPT-6 Astra(58.2%)を上回り、Claude Opus 5.5(66.4%)にわずかに届かなかった。事実の誤りの割合も、前のK3の23.4%から8.3%に下がったとしている
・重みを公開するにあたり、サイバー攻撃に使われうる学習データを見つけて取り除き、攻撃の力を最先端の非公開のモデルより低くおさえたとしている
中国のMoonshot AIは、AIモデル「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。
AIのモデルには、中身を公開せずにサービスとして提供するものと、中身(重み)を公開してだれでも手元で動かせるようにするものがあります。Kimiは後者で、公開されたモデルの中でも最高の水準をねらっています。一方で、中身を公開すると、悪い使い方も止められません。Moonshot AIは今回、その点への対策も詳しく説明しています。
この記事では、Moonshot AIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、モデルの中身です。
Moonshot AIの発表によると、次のとおりです。
・前のモデル「Kimi K3」に、さらに多くの追加の学習を重ねたモデル。一度に扱える量は100万トークン
・ゲームの開発の道具(Unity、Unreal Engine、Godot)と組み合わせて、ゲームやWebの体験を作れる
・図面や写真から3Dのモデルを作る力が強い。Kimi.aiとアプリでは、3Dのモデルを作って、3Dプリンター向けに書き出せる「3D Make」を始めた
・金融の資料の分析や、財務のモデルづくりの力も上げた
・2〜3倍速く動く「Kimi K3.1 Pro Highspeed」も同時に出した
次に、試験の結果です。
| 試験 | Kimi K3.1 Pro | 比べた相手 |
|---|---|---|
| プログラム作り(Terminal-Bench 4.0) | 65.7% | GPT-6 Astra 58.2%、Claude Opus 5.5 66.4% |
| 図面から3Dを作る(BenchCAD・道具あり) | 92.7% | Claude Opus 5.5 96.2%、GPT-6 Astra 95.9% |
| 事実の誤り(社内の難しい試験) | 8.3% | 前のK3 23.4% |
事実の誤りの数字は、わざと難しい質問を集めた試験での結果で、ふだん使うときの誤りの割合を表すものではないとしています。
ここで、安全への対策を見ておきます。
・開発の途中で、学習を重ねるほど、プログラムの弱点を探す力が伸びていくことに気づいた。調べると、ふつうの学習データや練習の課題の中に、サイバー攻撃に関わる内容が混ざっていた
・そうしたデータを見つけて取り除き、使い道の広さは保ちつつ、悪用の危険を下げた
・重みを公開するモデルが、サイバー攻撃の力で最先端を広げないことを方針にしている。K3.1 Proの攻撃の力は、最先端の非公開のモデルより低いとしている
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の発表で変わるのは、AIの「持ち方の選択」だと考えています。
これまで、最先端に近い性能のAIを使うには、OpenAIやAnthropic、Googleのサービスに頼むのが中心でした。重みが公開されれば、十分な設備がある会社は、自社のコンピューターの中でこの水準のAIを動かせるようになります。外に出せない情報を扱う会社には、選択肢が増えることになります。
重みを公開するかどうかの考え方は、オープンウェイトとはの記事でも説明しています。
一方で、Kimi.aiやアプリ、APIのように、Moonshot AIのサービスとして使う場合は、データの扱いを自分で確かめる必要があります。
AIの使い道を考えている個人事業主にとっては、3Dのモデルや金融の資料づくりのような、得意分野がはっきりしたAIが増えていることを知っておくと、道具の選び方が広がりそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・重みの公開は「11月4日までに」の予定。公開されるまでは、手元で動かすことはできない
・Kimi.aiやアプリ、APIを使うときは、入力した情報がどこで、どう扱われるかを、利用規約とプライバシーの説明で確かめる。お客様の情報や社外に出せない情報は入れない
・試験の数字は、Moonshot AIが発表したもの。自分の仕事で使えるかは、試して確かめる
中国のMoonshot AIは、プログラム作りや3D、金融の調べものに強い「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。試験の一部でGPT-6 Astraを上回り、重みは11月4日までに公開する予定です。公開に向けて、サイバー攻撃に使われうるデータを取り除いたとしています。
最先端に迫る性能のAIを、中身ごと手元に持てる選択肢が増えてきた、というのがいちばん大きな変化です。
使うなら、サービスとして使うときは入れる情報を選び、手元で動かすなら重みの公開を待って、設備と使い道を確かめるのがよさそうです。
出典
・Moonshot AI「Kimi K3.1 Pro Tech Blog: Advancing Open Intelligence」 https://www.kimi.ai/blog/kimi-k3-1-pro
]]>・2025年1〜3月から2026年7〜9月までの、3か月ごとのデータ。教材づくり、マーケティングの文章づくり、プログラム作り、仕事のデータの分析など、どの活動にChatGPTが使われているかが分かる
・毎回データがそろう74か国では、最も多い10の活動が仕事のメッセージに占める割合が、2025年1〜3月の56.0%から2026年7〜9月の51.1%に下がった。国ごとに得意な使い道が分かれてきたとしている
OpenAIは2026年10月26日、ChatGPTの仕事での使われ方をまとめたデータを、研究者向けに公開しました。
AIが仕事をどう変えているのかは、多くの人が知りたいことですが、実際に何に使われているかのデータは多くありませんでした。今回のデータは、ChatGPTへの仕事のメッセージを、職業の世界で広く使われる「仕事の活動」の分類にあてはめたものです。
この記事では、OpenAIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、データの中身です。
OpenAIの発表によると、次のとおりです。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 対象 | 約100か国の、個人向けのChatGPTのプランでの仕事のメッセージ(法人向けのプランとCodexは含まない) |
| 分け方 | 米国の職業の情報の仕組み「O*NET」の、165種類の「仕事の活動」(Intermediate Work Activities) |
| 期間 | 2025年1〜3月から2026年7〜9月まで、3か月ごと |
| 使い方 | 国ごとの違いや、時期による変化を調べ、ほかの経済の指標と組み合わせられる |
次に、分かったことです。
・毎回データがそろう74か国では、最も多い10の活動が、仕事のメッセージに占める割合は、2025年1〜3月の平均56.0%から、2026年7〜9月には51.1%に下がった
・OpenAIは、時間がたつにつれて、国ごとに得意な使い道が分かれ、違う国が違う種類の仕事に使うようになったとしている
・その理由は、国ごとの仕事の中身の違いや、AIの道具の使いやすさの違いかもしれないが、それを調べるのはこれからの研究の課題だとしている
また、米国の仕事全体の活動と比べると、ChatGPTの使われ方とは大きく違いました。米国の仕事の約43%は、物を運ぶ、車を運転する、といった、今回の分類に入らない活動が占めているためです。
ここで、プライバシーの扱いを見ておきます。
・研究者が一人ひとりの会話を読むことはない。個人を特定できる情報を取り除いたあと、自動の仕組みでメッセージを分類する
・公開するのは、まとめた数字だけ。人数の少ない集まりの結果は出さず、個々のメッセージが分からないよう、統計の手法で数字にわずかなゆらぎを加えている
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回のデータで見えてきたのは、AIの使い道の「広がり方」だと考えています。
ChatGPTが出たばかりのころは、文章づくりや調べもののような、決まった使い方が中心でした。今回のデータでは、上位10の使い道への集中が少しずつ下がり、国ごとに違う仕事に使われるようになっています。AIが、だれもが同じように使う道具から、それぞれの仕事に合わせて使い道が分かれる道具になってきた、ということです。
自分の仕事でAIをどう使うかは、ほかの人の使い方をまねるだけでなく、自分の仕事の中身から考える時代になってきました。
1人で仕事を回している個人事業主にとっても、「みんなが使っている用途」より、自分の仕事で時間がかかっている作業から、AIの使い道を探すほうが効果が出やすそうです。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・対象は、個人向けのプランでの仕事のメッセージ。会社で使う法人向けのプランやCodexは含まれていない
・データは研究者向けで、国ごとの違いの理由までは示していない
・日本のデータを見たいときは、公開されたデータの中で確かめる
OpenAIは、ChatGPTが仕事でどう使われているかを、約100か国、165種類の仕事の活動に分けたデータを公開しました。上位10の使い道が占める割合は下がり、国ごとに違う仕事に使われるようになってきています。
AIの使い道が、みんなが同じように使う段階から、仕事ごとに分かれていく段階に入ってきた、というのがいちばん大きな変化です。
AIの使い方に迷ったら、ほかの人のまねより、まず自分の仕事でいちばん時間を取られている作業を書き出してみるのがよさそうです。
出典
・OpenAI「ChatGPT’s expanding world of work」(2026年10月26日) https://openai.com/index/chatgpt-expanding-world-of-work/
]]>・背景には、GmailやフォトをGoogle検索の「AIモード」などにつないで、自分に合わせた答えを返す「パーソナルインテリジェンス」がある。つなぐと、メールや写真から得た要約や抜粋、推測が、広告の表示にも使われることがある
・つなぐかどうかは自分で選べ、いつでも外せる。ただし、外しても検索サービスの履歴に残ったデータは消えず、AIの学習を含むサービスの改善に使われ続けることがあるとしている
Googleは2026年10月16日、プライバシーポリシーを改定しました。日本語版のポリシーも、同じ日付で改定されています。
GoogleはこれまでGmail、Googleドライブ、Googleフォトの中身をもとに、その人向けの広告(パーソナライズド広告)を出すことはないと書いてきました。今回の改定で、この約束に例外があることがはっきり書かれました。きっかけは、メールや写真を踏まえてAIが答える新しい機能です。
この記事では、Googleのポリシーとヘルプで分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、ポリシーの文言の変化です。
2026年10月16日から効力を持つGoogleのプライバシーポリシー(日本語版)には、次のように書かれています。
・ドライブ、Gmail、Googleフォトのコンテンツに基づいてパーソナライズド広告を表示することはありません(ただし、これらのサービスのデータの利用を、パーソナライズド広告をサポートするその他のGoogleサービスに許可した場合を除きます)
・人種、宗教、性的指向、健康状態など、機密性の高いカテゴリに基づいてカスタマイズされた広告を表示することはない、という方針は変わらない
次に、背景の機能です。
Google検索のヘルプによると、検索サービスに、Gmailやカレンダー(Workspaceのアプリ)、Googleフォトをつなぐと、AIモードや「マップに相談」が、メールや写真から得た情報を踏まえて答えるようになります。たとえば、新しいレストランのおすすめを聞くと、過去のレストランの予約の情報を使って答える、といった使い方です。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 広告との関係 | 広告が、Gmailの受信トレイやフォトのライブラリそのものに直接もとづいて出ることはない。ただし、検索サービスがメールや写真から得た要約、抜粋、推測は、広告の表示にも使われることがある |
| AIの学習 | つないだアプリのデータは、生成AIのモデルの学習など、Googleのサービスの改善に使われることがある |
| つなぐかどうか | 自分で選べ、いつでも外せる。つながなくても、AIモードや「マップに相談」は使える |
| 外したあと | 外しても、検索サービスの履歴からデータは消えない。履歴は activity.google.com で管理・削除できる |
ここで、設定の場所を見ておきます。
Google検索のヘルプによると、パソコンでは次の場所で確かめられます。
1. Googleアカウントの「検索サービスのカスタマイズ」を開く
2. 「パーソナライズされたおすすめ表示」の中の「追加のパーソナルインテリジェンス」→「接続済みのコンテンツアプリ」を開く
3. 「Google Workspace」と「Googleフォト」が接続になっているかを確かめる。外したいときは、ここで接続を解除する
ヘルプは、検索サービスの設定を今まさに更新中で、画面が説明と違う場合があるとも断っています。
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回の改定で変わるのは、AIにつなぐデータの「選び方」だと考えています。
メールや写真をAIにつなげば、予約や予定を踏まえた答えが返ってきて、確かに便利です。一方で、つないだデータから得た要約や推測は、広告にも、AIの学習にも使われることがあると、Googleははっきり書きました。AIを自分に合わせて賢くするほど、自分のデータがどこで使われるかも広がります。便利さと引きかえに何を渡しているのかを、一度確かめておく価値があります。
ただし、Googleは、つなぐかどうかを選べること、機密性の高い分野の広告は出さないことも明記しています。
仕事のメールを個人のGmailで受けている個人事業主にとっては、お客様とのやり取りが入った受信トレイを検索のAIにつないでいないか、設定を一度確かめておくと安心です。
あわせて、知っておきたいこともあります。
・接続を外しても、検索サービスの履歴に残ったデータは消えない。消したいときは、activity.google.com で履歴を管理する
・カレンダーとの接続は、今は米国の英語でだけ使える。フォトとの接続は、一部の地域では使えない
・仕事や学校のWorkspaceのアカウントには、別の決まりや管理者の設定が当てはまる
Googleは、プライバシーポリシーを改定し、GmailやGoogleフォトのデータの利用をほかのサービスに許可した場合は、パーソナライズド広告に使われることがあると明記しました。メールや写真を踏まえて答える検索のAIの機能が背景にあり、つなぐかどうかは自分で選べます。
AIを自分に合わせて便利にするほど、自分のデータが使われる範囲も広がる、ということが、ポリシーの文言ではっきりした、というのがいちばん大きな変化です。
まずは、Googleアカウントの「接続済みのコンテンツアプリ」を開いて、何がつながっているかを確かめておくのがよさそうです。
出典
・Google「プライバシー ポリシー」(2026年10月16日発効・日本語版) https://policies.google.com/privacy?hl=ja
・Google 検索ヘルプ「Google コンテンツ アプリを接続して、パーソナライズされた検索サービス エクスペリエンスを実現する」 https://support.google.com/websearch/answer/16859283?hl=ja
]]>・APIの標準の料金は、前のGPT-5.6 TerraやGPT-6.1 Solの半分。入力100万トークンあたり1ドル、出力5ドル。ChatGPT WorkとCodexでは、同じ使える量でより多くの仕事をこなせる
・ChatGPTのPlus、Pro、Enterprise、Eduの利用者は、ChatGPT WorkとCodexで今日から使える。間違いを誘う質問での誤りの割合は、低い推論の設定で53.6%から16.7%に下がった
OpenAIは2026年10月26日、新しいモデル「GPT-6.1 Terra」を発表しました。
AIに仕事を任せるとき、毎日たくさんくり返す作業ほど、速さと料金が大事になります。届いた請求書を読んで会計のソフトに入れるような作業です。GPT-6.1 Terraは、こうした量の多い仕事向けに、速さと性能と料金のつり合いを新しくしたモデルです。
この記事では、OpenAIの発表で分かったことを整理したうえで、ふだんの仕事がどう変わるのかを考えます。
まずは、GPT-6.1 Terraが得意なことです。
OpenAIの発表によると、次のとおりです。
・提案書の下書き、技術的な図面の読み取り、書類の記入、動画の編集など、ふだんの仕事を埋めるコミュニケーションとパソコンの作業が得意
・建築の図面から3Dのモデルを作る、といった仕事の試験(Agents’ Last Exam)で、前のGPT-5.6 Terraより15ポイント高く、費用は約3分の1だった
・GPT-6 AstraやGPT-6.1 Solより3倍以上速く仕事を終える
・プログラム作りの試験(Terminal-Bench 4.0)では50.3%を解き、GPT-5.6 Terraの21.5%の2倍を超えた。ただし、最も難しいプログラム作りには、GPT-6.1 SolやGPT-6 Astraのほうが向くとしている
OpenAIは、最も高い推論の設定では、AnthropicのClaude Opus 5.5より1つの仕事あたりの費用が約9分の1になるとも説明しています。
次に、答えの正しさです。
OpenAIは今年、AIがもっともらしい間違いを言う問題(ハルシネーション)を減らすことに力を入れてきたとしています。間違いを誘う質問を集めた社内の試験では、次のように下がりました。
| 推論の設定 | GPT-5.6 Terraからの変化 | GPT-6.1 Terra |
|---|---|---|
| 低い設定 | 53.6%から、約37ポイント減 | 16.7% |
| 最も高い設定 | 18ポイント減 | 4.3% |
最も高い設定では、GPT-6 AstraやGPT-6.1 Solとほぼ同じ水準になったとしています。
ここで、使える人と料金を見ておきます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| ChatGPTで使える人 | Plus、Pro、Enterprise、Eduの利用者(ChatGPT WorkとCodexで、今日から) |
| 開発者向け | OpenAIのAPIで「gpt-6.1-terra」として使える |
| APIの料金(100万トークンあたり) | 入力1ドル、くり返し使う入力0.05ドル、出力5ドル |
APIの標準の料金は、GPT-5.6 TerraやGPT-6.1 Solの半分です。ChatGPT WorkとCodexでは、同じ使える量で、GPT-5.6 Terraより多く、GPT-6.1 SolやGPT-6 Astraよりかなり多くの仕事をこなせるとしています。
ここからは、公式の情報をもとにした僕の見方です。
今回のモデルで変わるのは、AIに任せる作業の「選び方」だと考えています。
これまで、パソコン操作のように手間のかかる仕事をAIに任せると、使える量をすぐに使い切ったり、費用がかさんだりしがちでした。GPT-6.1 Terraは、料金を半分にしたうえで、画像の読み取りやパソコン操作の力を上げ、間違いも減らしています。請求書の入力や書類の記入のような、毎日くり返す作業は速く安いTerraに、難しい設計や判断は上のモデルに、と分けて任せやすくなります。
OpenAIのDecisions APIも、判断だけを安く速く返すしくみでした。仕事に合わせてモデルを使い分ける流れが、はっきりしてきています。
請求書や見積もりの処理を1人でこなしている個人事業主にとっても、ChatGPT Workで、書類を読んで表にまとめる作業から任せてみる価値がありそうです。
使う前に、確かめておきたいこともあります。
・ChatGPTで使えるのは、ChatGPT WorkとCodexの中。ふつうのチャットで選べるかは、発表に書かれていない
・性能や費用の数字は、OpenAIが行った試験の結果。自分の仕事で試して確かめる
・間違いは減っても、なくなったわけではない。数字や宛先は自分で確かめる
OpenAIは、GPT-6.1 Terraを発表しました。APIの料金はGPT-6.1 Solの半分で、図面の読み取りやパソコン操作が得意になり、間違いも大きく減りました。ChatGPTのPlus以上の利用者は、ChatGPT WorkとCodexで今日から使えます。
AIに任せられる仕事が、難しい少数の仕事から、毎日くり返す量の多い作業にまで、費用の面でも広がってきた、というのがいちばん大きな変化です。
Plus以上を使っている人は、まず請求書や書類の入力のような、毎日くり返す作業を1つ選んで、ChatGPT Workで試してみるのがよさそうです。
出典
・OpenAI「Introducing GPT-6.1 Terra」(2026年10月26日) https://openai.com/index/introducing-gpt-6-1-terra/
・OpenAI Deployment Safety Hub「Addendum to GPT-6 Astra System Card: GPT-6.1 Terra」(2026年10月26日) https://deploymentsafety.openai.com/gpt-6-1-terra
]]>