キャリア開発ワークショップ・CDWは、じっくりと自分のペースで自分のキャリアを考える場、51時間の内的な旅です。
昨年に引き続き、今年も、高尾(東京)にあるJA全国教育センターをお借りして開催します。
高尾までは東京駅からJR中央線で約1時間10分。少し距離はありますが、古くから修験道の霊山とされた高尾山の麓にあるこのセンターは、本当に静かな樹々に囲まれたところにあり、散策や思索にうってつけです。
このワークショップの特長
〇自分の考え、思いを確認するプロセス~自己カウンセリングの旅
キャリアカウンセリングの流れを意識した分析シートに記入するなかで、自分で自身にこれまでとこれからを丁寧に、静かに問いかけてみます。全体の構成はこちら
〇キャリアカウンセラーとともに
期間中に、参加者はどなたでもキャリアカウンセリングを利用することができるようになっています。一人だけでは心もとないとき、キャリアカウンセラーがサポートしてくれます。
〇グループであること
ワークショップというとグループでテーマについて検討したり、何か作品を作るようなイメージがありますが、このワークショップの基本的に個人作業(ワーク)です。自分のキャリアですから、自分自身のことをきちんと確認することが大切だからです。ただ、一人ひとりの旅ではありますが、そのプロセスを同行する仲間がその場にいるのは、キャリアカウンセラーがいることとはまた別の安心感があります。休憩時間や情報交換会などの場などで交わされる会話が思いもしない気づきを与えてくれることもあります。良いくらいの距離感があるグループでの2泊3日です
日時:2018年11月23日(金曜日、勤労感謝の日)13時~25日(日曜日)16時
場所:JA全国教育センター(最寄り駅 JR中央線または京王線 高尾)
ファシリテーター:秋場隆、小野田博之
参加費:90,000円(教材費、宿泊費=個室2泊及び食事6回分、消費税を含みます)
3つめの理由。
それは、ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)。
この舌をかんでしまいそうな効果。
Future Sarchでお聞きになった方も多いのではないかと思います。
Wikiを頼るなら、「人は達成できなかった事柄や中断している事柄のほうを、達成できた事柄よりもよく覚えているという現象」です。
キャリアを考えるというのは、そう簡単に答えの出るものではありません。考える範囲は広いですし、時間の面でもかなり先にことまで考えることになります。2泊3日のプロセスの中で、いろいろな分析に取り組みますが、その一つ一つがけっこう重い話だったりするので、ずっと宙ぶらりんなままな感じなのです。
その感じで眠る。まさにツァイガルニック効果が現れるに適した状況なのです。
さて、そこで2泊3日である理由が出てくるわけです。
まず眠るとき。これが自宅だったりすると、家に帰るまでの間に、モヤモヤとしたものがなくなってしまうのですよ。忘れるというのもあるでしょうし、「ま、そんなこと考えてもしょうがないか」と考えるのをあきらめてしまうこともあるでしょう。
そもそも宙ぶらりんにしておくのは心地よくないので、とっとと今までの思考パターンに当てはめてしまうということにもなりかねません。
そして起きるとき。かろうじて眠っている間にうつらうつらと考えて、「あぁ、こういうことかもしれない」と思って目覚めたとしても、そこに余りにリアルな現実世界があったらどうでしょうか?
「あ、子供のお弁当をつくらなくちゃ」とか「今日は洗濯できるかな? 天気はどうだろう」とか、そういうことを考えているうちに忘れてしまいそうです。せっかく思いついたのに。
特に女性の皆様はおうちのことがあるので宿泊参加はできないと仰います。
むしろ、そういう方にこそ参加してほしいのに。
(というわけで、今回、うまく開催できたら、来年辺りは託児つき1泊2日を指向的にやってみたいと思ってはいるのです。でも、ハードル高いですから、まずは通常版を軌道に乗せるところから)
北宋の詩人、欧陽脩は「帰田録」の中で、文章を作るなら三上、つまり馬上・枕上・厠上といったそうです。枕上とはまさに寝床に入っているとき。
他のところで説明したいと思っていますが、自分のキャリアを考えるとは、自分の仕事人生の物語り、ナラティブをつくるということでもあります。まさに物語、文章を作るのですから、眠リに付く、眠る、起きる、というところも大切にしたいのですよ。
ところで、余談ですが、じつはFuture Sarchとキャリア開発ワークショップ・CDWには共通するところが多いと思っています。2泊3日であるところだけではなく、
流れが、過去から現在へ、現在から将来へとなっていること
自分だけでなく、関係者のことも考慮に入れていること
対話の中で自分にとって実現したい将来を明確にしようとしているところ・・・・・・
ちょっと強引すぎるでしょうか?
ファシリテーターが、何らかの正解を示すのではなく、グループプロセスの中で参加者が自律的に将来像を描くような構成になっているというところは、本当によく似ているな、と思うのですよ
もちろん、CDWくらいは個人のこと、Futre Searchはコミュニティのことと、その規模感は違うのですけれどもね
2つめの理由です
それは夕食後の過ごし方にあります。
夕食後は分析作業などは予定されていません。
あるのは自由参加のキャリアカウンセリングと情報交換会、そして自己学習です。
自己学習の時間は、1人になってそこまでのプロセスを振り返ってみる時間です。
キャリアカウンセリングはカウンセラーと2人でいろいろと考えてみる時間です。
そして情報交換会は、他の参加者とさまざまな話をする時間です。
キャリア開発ワークショップ・CDWは、かつて厚生労働省のキャリアコンサルタント5万人育成計画の中で実施された「キャリアコンサルティング養成講座」(日本語としてちょっと変なんですけど、それはまぁご愛敬ということで)の一環として各地の職業訓練施設などで4日間の日程で採り上げられました。その時の科目は「グループカウンセリング」でした。
そう、キャリア開発ワークショップ・CDWは自分で自分のキャリアを考えるという個人作業がほとんどなのですけれど、これをグループとして実施するというところにもう一つの特徴があるのです。
グループといっても、みんなでわいわいとグループワークやグループディスカッションをするというわけではありません。そうした時間もなくはないのですが、2泊3日の長い時間を、ともに考えて過ごす、というグループなのです。
ともに考える、考える中で思いついたこと、気がついたことを、休憩時間や食事の時間に、自分の気持ちを大切にしながら話してみる。あるいは、ほかの人が話しているのを、聞かせてもらう。そうした相互作用の中で、セッションの時間内にはない緩やかな気付き、緩やかな思考の展開があるのです。
情報交換会では、場を設定することでさらにそれを促進しようとしています。
場を設定するといっても、そこで何かのアクティビティをするわけではありません。自由な話し合いの中でお互いに気づいたり、気づかせてしまったりということが起こるのです。
そして、2泊3日あると情報交換会も2回になります。
1日目と、2日目ではまったく雰囲気が違います。
1日目はどちらかというと、名刺交換を皮切りに、どんな仕事をしているのか、なぜ参加したのか、趣味は? といったような外的なことがほとんどです。
ここでそうしたことが一旦持ち出されるので、その後は、働いていて感じたこと、生きていて感じたこと、つまり働きがいや生きがい、働く目的や生きる目的といった話が安心してできるようになります。
そうした話をしたあとのですので2日目の会話はとても落ち着いたものになります。休憩時間の会話も、そこまでに考えたことを話し合ったりする場面も出てきます。
そして2日目の情報交換会は、そこでまの自己理解を踏まえた、深い話になることがほとんどです。
1日目、2日目と経過するなかでこうした変化が現れるのです。
時間を経過するからこそ現れる現象ともいえるでしょう。
カリキュラムを詰め詰めにすれば、もちろん、通いの2日間でも実施できます。
でもやらない。それはなぜなんでしょうか?
いくつか理由があります。
一つは、俗世間からちょっと距離を置いてみようではありませんか、ということ。
自分のキャリアを考えるのがCDWですが、もちろん、自分だけの話では終わらないのです。
会社のこと、家族のこと・・・・・・そうしたことと無縁ではありません。切り離して考えるといっても切り離せないですし、なにより、切り離して考えることに意味がありません。だって、CDWの時間が終わったら、元の世界に戻るのですから。元の世界で暮らしていくのですから。
それでも、物理的に距離を置くことは、客観視することを助けます。
目の前に、いつもの状況がないだけでも、考える時に自由度が増します。
ご夫婦で参加される方もいらっしゃいます。
シングル二つではなくて、ツインにできませんか? というお問い合わせもいただきます。
この場合、できるだけシングルをお勧めします。とくに女性の方の方が、いつものようにパートナーに世話を焼く場面が出てきてしまうからです。
実際、別の部屋にされた方からは、「自分のことを考える時間が取れて、それもじっくりと邪魔をされずに考えることが出来てよかったです」という感想をいただくことがほとんどです。
仲が悪いわけではないのです。でも、一緒にいると、どうしても考えてあげたくなってしまうようなのです。
でも部屋が別だと、そのタイミングは大きく減るのです。
このように、物理的に環境が異なるだけでも、プロセスに大きく影響するのです。
キャリアに関するワークショップや研修では、ほとんどの場合、書く作業を伴います。しかし、「書いた後でグループをつくって話し合うために書く」ような位置付けになっているというところも少なくありません。たとえ、そのようにカリキュラム設定をしているわけではなくても、その後でグループで話し合うことが前提とされていれば、参加者としてはそれを意識せずにはいられませんから、結果として「話す準備をするために書く」ことになってしまいます。
しかしCDWでは、書くことそのものに意味があると考えています。CDWの中で話し合うセッションは皆無ではありませんが、ごくごく限定的です(企業内実施の場合はその企業におけるニーズもありますから、この限りではありません)。書くことで自分の内面、心の内、頭の中が整理されるからです。
考えているだけ、思っているだけでは、同じプロセスを何度も何度も繰り返したどってしまい、結果的にそれが思い込みのようになり、自分自身に対する呪縛となってしまいかねません。意志を固めてやり抜くと言う段階であればそれは意味のあることかもしれませんが、モヤモヤとした状態、どうしたものかとあれやこれや考えている状態には向いていないのではないでしょうか?
書いているとき…書くことによるカタルシスのようなものもありますし、書いているなかで次の言葉、次のフレーズが出てくることがあります。また、書いた内容は自身で客観的に見ることができます。こうすることで、モヤモヤとしていたものが整理されてきます。
そうか、結局自分はこう考えていたんだ、これが大切だったんだ、こうしたかったんだ、ということがはっきりしてきます
今朝ほど見つけたこの記事「手を動かし、書く瞑想をしよう」。どうも近しいことを仰っているように感じています。
キーボードよりも手書き。この記事では脳波を取り上げています。確かにそういう感じがします(脳波がそうなっているかどうかはわかりませんが)。少なくとも、ディスプレーで見る文字や図は、紙の上に自分の手で書いた文字や図とはやはり異質な感じです。慣れているかどうか、というのもあるかもしれません。
しかしどうでしょうか? 書いてみたことを俯瞰してみる、鳥の目で見るためには、紙に書いたものが机の上に広がっている状態の方が適しているのではないでしょうか? リニアな思考には電子機器は向いているかもしれませんが、パラレルな思考には紙の方が向いているように思います。
そんな思考プロセスを体験できるのもキャリア開発ワークショップ・CDWの特長の一つと言えるでしょう
※キャリア開発ワークショップ・CDWはNPO日本キャリア・カウンセリング研究会が商標を管理しています
※Photo by Angelina Litvin on Unsplash
選択肢とその判断根拠となる情報が準備されているのであればサイエンスに基づいて考えることもできますが、キャリアは未来志向ですから、そもそもすべての選択肢を準備することはできません。できるのは現時点で分かる範囲の選択肢です。ましてや、それぞれについて検討するための情報となると、揃えるだけでも大変。しかも、この情報はあくまでも「これまでの話」、つまり過去のものです。将来もそうであるとの保証はありません。結果的によりどころとなるのは真/善/美、アートからのアプローチなしには行き詰まってしまいます。
さらに大切なのは、この真/善/美が、自分にとってのものであると同時に、自分に関係する第三者、そして社会にとっての真/善/美でなければ、サステナブルではなくなってしまうということです。
この本自体は経営という観点からのお話でしたが、キャリア開発という観点でも大いに示唆のある本ではないかと思います。
追記
アートという観点からキャリアを考えようとするとき、自分にとっての真/善/美は何か、ということに目を向けるわけですが、これは内的キャリアと重なるところは当然多いでしょう。
そして、これにめをむけるには、やはり相応の環境(物理的環境と心理的環境)は欠かせません。キャリア開発ワークショップはそれを提供する場とも言えます。