そもそも僕がアイドリッシュセブンにハマったのは楽曲が良かったからという点が最も大きい。10代の頃から音楽が好きで、国内・国外問わず色々な音楽を聴いている中で、ゲーム・アニメ関連の音楽に触れる機会はなかった。生活している中で聞こえてくるそれらの音楽は僕の趣味とは合わず自分から聴こうとは特に思わなかったからだ。
そんな中、妻がアイドリッシュセブンを始めたので、僕もなんとなく妻のiPhoneを借りてプレイしてみた。初めて聴いたモンジェネはこれまで僕が抱いていたゲーム音楽のイメージと全く違った。楽曲としての完成度が高く、普通にアイドルの曲じゃんと驚いた。
僕はズブズブとアイナナにのめり込んでいきTRIGGERの名盤「REGALITY」、ŹOOĻ の「Poisonous Gangster」と「LOOK AT…」によって、僕の中にまだ薄っすらと残っていた偏見は木っ端微塵に砕かれ、粉状になったそれらは風に吹かれて飛んで消えた。答えは風だけが知っている。
それからは新曲がリリースされる度に、次はどんな曲が来るのかと楽しみにし、国内だけでなく海外のトレンドも取り入れた曲達に驚き、その感動をブログに書いたりした。そのブログをたくさんのマネージャーの方々が読んでくださり、リアクションを頂けたことは本当に嬉しかった。
せっかく10周年なんだから、この10年でリリースされた曲の中から個人的に好きな曲を10曲選んでみようと思った。選考基準は本当に自分が好きで感動した曲。やっぱりモンジェネは外せないよね!を言い出すと、30秒で重要な曲だけで10曲埋まってしまうので、文脈も関係なく、グループのバランスも関係なく、ただ楽曲として僕が好きなもの。それだけを基準に選んでみた。
それでも10曲を選ぶのは難しかった。全グループ・ユニット・ソロから選んでいるので10曲では足りない。苦しかった。辛かった。なぜこの作業をしているのだろうと思った。頭の中にずっとアイナナの楽曲がぐるぐるしていた。楽しみにしていたART-SCHOOLの25周年トリビュート盤を聴くのは後回しにした。と、うめきながら選んだのが以下の10曲。ランキングではなく順不同で書いています。
IDOLiSH7というグループには人の心に刺さる楽曲が沢山あり、それらは聴き手の感情をかき混ぜて訳がわからないけど胸をいっぱいにさせる。悲しいわけではなく、ただ前向きなだけでもなく、生きている中でのどうしようもなさ、全部を受け入れて生きていく。そんな気持ちにさせてくれるのが彼らの音楽だ。数ある代表曲の中でもナナツイロREALiZEは特に人を鼓舞する力があると僕は感じている。
未来に自分がどうなりたいのかを考えるのは大切だけど、そればかりを考えると希望よりも不安が大きくのしかかってくる事がある。
そろそろさ 未来じゃなくて 今日に夢中になれ!
未来は今日の積み重ねでしか存在しない。今日という日の大切さ。いつも先の事ばかりを気にしてしまう僕は、この曲に何度も救われた気がする。好き過ぎてドラムの一打目で涙ぐむ。
劇場版アイドリッシュセブンで初めてこの曲のパフォーマンスを目の当たりにした時、何が起こっているのかが全く理解できなかった。スクリーンいっぱいに広がる黒とピンクのコントラストの強いギラついたビジュアル。これまで築き上げてきたTRIGGERのラグジュアリーなイメージとは違う印象。どこかトレンディな雰囲気を持つこの曲に僕は圧倒的な新しさを感じた。名曲というものはすぐには分からない、なぜならリスナーのこれまでの知識や感性には収まらないものだから。
当時すでに国内外の音楽シーンではオルタナ復権やY2Kなど、90sリバイバルが始まっていたが「BEAUTIFUL PRAYER」のような曲は聴いた事がなかった。80年代後半から90年代初期のバブル期、その享楽的な空気感を取り入れながらもTRIGGERならではの品性を感じさせるこの曲は、日本でしか生まれ得ない超オリジナルな90sリバイバルという稀有な曲だと僕は思っている。
常に新しいスタイルを提示しながらも楽曲のクオリティを落とさない。Re:valeの音楽制作への向き合い方はアイドルという域を超えて常にヒットソングを生み出す一流のミュージシャンと言った方が近いのかもしれない。そんな彼らが初めてグループのルーツであるバンドというスタイルに徹底的に向き合ったのが「ミライノーツを奏でて」ではないだろうか。シンプルかつ繊細なバンドアンサンブルで紡がれるサウンドは曲の良さを際立たせる。
喪失から始まった現体制のRe:valeだが、彼らにはいつだって音楽があった。特に千にとっては音楽があるから生きてこれたと言っても過言ではないだろう。行く先に迷いそうになった時、道標になってくれるような楽曲。ギターのフレージングに千のバンドキッズだった頃の名残が見えて堪らない気持ちになる。
初めて聴いた時には本当に驚いた。シングルのカップリングとは思えない程の名曲でこれは両サイドA面シングルなのでは?と謎に得をした気分になった。タイトル曲の「DiSCOVER THE FUTURE」は既にアニナナで何度も聴いていた事もあって、当時は「Everyday Yeah!」ばかりを繰り返し聴いていた。
リリース時はコロナ禍だった事もあり、それまで当たり前だった日常生活の尊さを誰もが感じていた気がする。そんな時代のムードを絶妙にすくいあげて「Yeah!」というたった一言に希望を込める表現。プロとして文字を扱う作詞家のセンスと力量に感動したことを覚えている。今聴いてもあの奇妙だった時期のことを思い出して、僕の中には一つの時代の象徴として心に残っている名曲。
この曲がストリーミングに入ってすぐに聴こうとしたのだが、僕にはフルで聴くことができなかった。ラテン調のイントロから始まる曲は何度も展開をする。最初はTRIGGERはやはり良いと思いながら聴き、Bメロで落ち着かせる展開をして、うむTRIGGERは完璧ですね、と聴き続けると曲は盛り上がり、サビはあまり歌わないのかと思ったらそれはブリッジであり、龍之介の「心変わりはオレじゃだめ?」というフレーズと共に本当のサビで盛り上がりは最高潮、僕はヘッドフォンを思い切り外した。致死量を超えていた。
笑いながらも若干引いている妻の視線を背中越しに感じながら、再度試みるもやはりサビで無理だった。こんな最高な曲あるのかよ。その後、何度か試みてやっとの思いでフルバージョンを聴くものの、ずっと顔面がニヤつき、体は悶え、傍からみるその姿はさぞ気持ち悪かったことだろう。自分でもここ10年で最も自分が気色の悪い存在になった瞬間だと自負している。この恋は不可抗力 止めらんないさ、とはよく言ったものだ。
僕はRe:valeのバンドとして曲がとても好きらしい。「ミライノーツを奏でて」を聴いた時にも感じたことだが、やはり千はバンドが好きなんだと思う。DTMで作られるポップソングが主流になっている中で、なぜわざわざバンドをやるのか。それは全ての演奏者の感情を一つに集約することでしか生まれない“何か”があるからに他ならない。これまで様々なジャンルの音楽を取り入れてきた千だからこそ、その“何か”の尊さを誰よりも理解しているのだろう。
「Re:flect U」で生演奏で披露されたこの曲を聴いた時に、Re:valeにとってこのスタイルがルーツなんだろうと感じて胸がいっぱいになった。それぞれの楽器のフレーズが絡み合いバンド独自のグルーブを生み出す。サビでリズムがハーフになるエモマナー。ロックバンドとしてのツボを全て押さえている。「Start Rec」というタイトルの通り、彼らの原点であり新しい始まりの為に必要な曲だったんだと僕は解釈している。
アイドリッシュセブン第3部の予告PVを初めて観た時のことを覚えている。第1部、第2部では辛いことや苦しいことがありながらもビジュアルは明るいアイドルだった。それに比べて暗くシリアスなビジュアル。全員が口にする言葉はどれも陰鬱なものばかり。そんなビデオで流れる曲が雰囲気と相まって物凄く格好良かった。これまでの楽曲とは明らかに別のフェーズに入ったと感じた。それが「In the meantime」の印象だった。
第3部の配信が始まり物語は進むが最初はŹOOĻの印象が悪く、あの曲がŹOOĻの楽曲だったらどんな感情で聴けばいいんだとずっとヤキモキしていた(拮抗のクォーターからは、君たちも大変だったんだねと号泣しながら手のひらを返した)
結果的にTRIGGERの楽曲だった「In the meantime」は何度聴いたか分からないくらい繰り返した。イントロのピアノとAメロの深いリバーブだけでも永遠に聴ける。今でもアイドリッシュセブンという作品にとってのエポックメイキング的な曲だったと個人的に思っている。
未だに何度聴いても何故こんなに好きなのか具体的に言えないのだけど、とにかく大好きな曲。アイナナの楽曲の中でも特にサウンドにデザイン性を感じる。音のバランスや抜き差し、耳馴染みの良い音色は何度聴いても心地よく、その上で揺蕩うように歌われるメロディ。はっきりと分かりやすいキャッチーさではなく、身体から自然に生まれてくるようなメロディは聴けば聴くほど心に馴染む。本当に天才的だと感じた。
友達との日常会話のような気軽さから始まる歌詞は、世界や時代の話も含めて大きく拡張していく。ところどころに散りばめられた言葉遊びのようなフレーズ。自問自答のようでありながら、コミュニケーションについての詩だと僕は思っている。自分の気持ちは口に出さなければ相手には伝わらない。自己責任論が強い今の社会で本当に一番大切なのは、他者を否定することではなく相手と繋がろうとすることではないか。その為に大切なのは相手を慮る気持ちとコミュニケーションを取ろうとする少しの勇気。それだけで世界は変わるんだとこの曲は教えてくれる。傑作。
名曲を作るべくして本当に作ってしまった名曲。桜春樹の遺作という物語上、最も重要な物凄く高いハードルを見事に超え、誰をも納得させた素晴らしい曲。どこまでも広がっていきそうな展開に驚かされ、紡がれるメロディはずっと美しく、陸と天ふたりの切実な歌声が胸をかき乱す。曲の終盤、陸と天が交互に歌うパートはRADIOHEADの「Let Down」を彷彿とさせて、いつ聴いても感情が揺さぶられて泣く。
歌詞はこれまでのアイドリッシュセブンの中では明らかに異質だと感じた。意図的に使われる言葉の強さ。それは作中の楽曲で今まで避けられていたもの。歌われるのは他者との関係性。アイドリッシュセブンは人間讃歌の物語だと言われるが、それは人と人との繋がりに他ならない。曲のクライマックスで二人は希望(めいたもの)に行き着くが最後まで問いかけ続ける。簡単に結論を出して終わらないその姿勢にリアリズムを感じ、その誠実さにとても感動した。
名曲を作るべくして本当に作ってしまった名曲その2。アイドリッシュセブンの歴史の中でも特に大きかった出来事の一つムビナナ。そのムビナナのテーマ曲でもあり、16人のアイドル全員で歌うに相応しく壮大な楽曲。初めて映画館でこのパフォーマンスを観た時には感動による涙なのかスクリーンが神々しすぎたのか分からないが発光していた気がする。アイドリッシュセブンという物語の一つのクライマックスに相応しい祝祭の曲だと思った。
ムビナナの公開からほんの2年で世界は更に無茶苦茶になってしまった。差別も偏見も溢れるこの世界は昔から変わらないのかもしれないし、もしかしたら加速しているのかもしれない。ほんの少しでも他者の気持ちを考えられれば、それだけで変化するものはあるはずだ。彼らが歌う「世界」それはやはり個人単位から始まるものではないのか。
このブログでも何度も書いたが、人を思い、繋がることで世界は存在する。人間にはそれができると信じる。アイドリッシュセブンの本質である「人間讃歌」というテーマを見事に表した最高傑作と言っても過言ではないと僕は思っている。
10年間でリリースされた曲から10曲だけ選ぶのは思っていた以上に大変だった。最初にも書いたように、文脈もグループバランスなど忖度はなし!好きな曲を選ぶだけ!だから簡単に決まるはず!と思っていたが、全くそんなことはなく意外と悩んだ。文脈は関係なしと言いつつも、曲によってはどうしてもバックグラウンドに物語が乗ってくるので完全に切り離せたのか自信がない。
どうせなので、ギリギリ10曲には選ばなかった曲を並べてみると以下の通り。
No Sacrifice
ŹOOĻの曲の中で一番好き。エモーショナル。
Encounter Love Song
最高にキャッチーで好き。心が躍る。
PLACES
上質なTRIGGERの良さが詰まっている。
FIRE
筋力で全てを解決するような勢いがとても良い。
THE POLiCY
オプナナの映像が神がかっていた。
Riskyな彼女
インディっぽさを最も感じてとても好き。
Endless
ソロ曲シリーズの中で一番好き。名曲。
10周年の記念日で、僕がアイナナを知ってから8年も経っている事に改めて驚いた。正直に言えばストーリー第6部が終わってからはアプリへのログインも減っていた。でも、そんな中でも新曲がリリースされればチェックをしている。それはアイドリッシュセブンの音楽が好きだし、アイドリッシュセブンの音楽でしか得られないものがあるからだと思う。だから、これからもきっと彼らの音楽を聴き続けるだろう。心を震わせるために。
]]>全国の映画館にて上映されたライブ映像は、その圧倒的な映像クオリティとステージ演出、アイドルたちの素晴らしいパフォーマンスによって一つの伝説を生み出した。
その分、2023年は楽曲リリースが控えめだったように感じる。正直、少し寂しさを感じていた中、年末のBLACK or WHITEにて発表された楽曲は4グループ共、驚く程ハイクオリティかつグループカラーを突き詰めたかのような名曲揃いだった。
これこそがアイドリッシュセブン!と感動した気持ちのまま各楽曲のレビューを書いてみようと思った。
2020年代にリリースされる楽曲としてはあまりにもストレートな「FIRE」というタイトルにまず面食らった。しかし、その気持ちはいざ曲を聴くことで納得。この曲はモダンメタルとアニソンが力強く肩を組み合っているような姿を思い起こさせる。
メタルやハードロックは古来よりアニソンと非常に親和性が高かった。少年心を熱くするのに必要なのはハードなサウンドとスピード感と戦いだけだ。それら全てを内包したこの曲が「FIRE」と名付けられるのは必然だろう。
イントロからハイスピードで繰り広げられる高密度な音の塊。肝になるのはやはりモダンメタル特有の、まるで呪力を帯びたエレキギターで鳴らされているかのような禍々しさすら感じるディストーションサウンドだろう。
全ての空間を埋め尽くすかのように鳴らされる音の洪水が途切れたかと思うと、音割れギリギリで鳴り響くサブベースと重たいビートに乗る狗丸トウマのラップ。この男のスキルはもう誰にも止められない。
雪崩れ込むように歌われるサビのメロディは驚くほどにキャッチー。J-POPと融合する前のアニソンのように、シンプルなメロディは一聴したら耳から離れない。この曲を聴いた男子小学生が登下校中に口ずさむ様子すら想像できる。
後半の展開も、ラップパートのフロウにシンクロするようなキックの連打や、ヒステリックでスリリングなギターソロの速弾き。終始、良い意味でやりたい放題なこの楽曲でŹOOĻ は日本のBring Me The Horizonとなった。
Re:valeは絶対王者という称号と共にこの国のアイドルシーンを牽引してきた。そう、二人はいつだって観客の前に立つ主役だった。そんな彼らは新曲の「compass」で主役は君達だとスポットライトを我々オーディエンスへ向けた。
それはサウンドのバランスからも伝わってくる。一般的なアイドルソングのようにボーカルを強調したミックスでなく、トラックとボーカルが拮抗、むしろトラックの方がメインとも言える音量バランス。
様々なジャンルの楽曲を生み出してきたRe:valeのディスコグラフィの中でも、ここまでクラブサウンドに寄ったのは初めてじゃないだろうか。程よく落ち着いたBPMも、キックとスネアを強調したリズムもフロアを踊らせる為のものに感じる。
かつて80年代の終わりにTHE STONE ROSESが主役はオーディエンスだと、ステージを暗くしてライブを行っていたが、この楽曲を聴くとRe:valeがそんなライブをするのも似合うかもしれない思ってしまう。それは彼らがアイドルとしてのエンターテインメントを突き詰めた先に辿り着いた一つの可能性。
Re:valeが手にしているコンパスは常に次の地平を目指す。トップアイドルとして成功を手にした後も、彼らはアーティストとしていつだって新しい挑戦をしているのだろう。きっと二人の表現はこれからも変化し続ける。
2022年のBLACK or WHITEで王者となったIDOLiSH7が披露したのは、彼らの魅力がこれでもかと詰まったポップソング。王者になった事による慢心など全く感じさせず、相変わらず僕らの近くにいるIDOLiSH7だった。
アップテンポなバンドサウンドと心を鷲掴みにするメロディラインは、逢坂壮五が作曲に携わるようになってからIDOLiSH7が手にした新しい強みだろう。MEZZO”の楽曲に感じる焦燥感はなく、程よく力の抜けた軽快なサウンドと少し心を締め付けるような切なさ。これは彼の作家としての成長に他ならない。
IDOLiSH7は日常を歌うのが本当に似合う。特別な日じゃなくても、毎日に潜むちょっとした幸福の尊さを彼らは思い出させてくれる。日々の辛いことや苦しいことには誰もが向き合う。心の暗部を見つめすぎて疲れてしまうこともあるだろう。そんな時でもこの「Encounter Love Song」を聴くと、小さくても輝き続ける光のようなものがあることを思い出させてくれる。
自分だけではどうにもならない世の中のままならなさを考えたり、どうにかしないとと焦ることもある。でも、それと同時に、君に会いたいという気持ちや恋に落ちる事の尊さは確実にある。それはもちろん、人に恋をするということに限らない。自分にとって大切な作品や、猫かもしれないし、それは人によって違う。でもそれらは全て愛と呼べるんじゃないだろうか。
そんな恋に落ちる多幸感と、どうしようもなく切なくなる感情をこの曲は見事に音楽で表現している。真っ直ぐな気持ちを歌うIDOLiSH7の楽曲がやっぱり好きだと改めて思い出した。
2023年TRIGGERが披露した「BEAUTIFUL PRAYER」はこれまでの彼らの道程を全て飲み込んだ集大成的な名曲だった。聴く度にこれはTRIGGERの最高到達点であって、これを超える楽曲は今後出ないのではと思ったりもした。ただ、そんな思いは杞憂に終わった。
BLACK or WHITEで発表した「KISS IN THE MUSIC」は彼らがデビュー時から提示してきたラグジュアリーでセクシーな世界観を突き詰めたような楽曲だった。「BEAUTIFUL PRAYER」が90年代の夜だったとすれば、これはより現代の夜を感じさせる。そこには華美な印象は無く、上質さの中にどこか退廃的な空気を感じさせる。TRIGGERは時代の空気を掴むのがうまい。いや、彼らが時代の空気を作っているのかもしれない。
ここ数年、欧米でのトレンドの一つであるラテンミュージック。イントロのギターとハンドクラップで生み出されるラテンのノリでこの曲は幕を開ける。
一般的なJ-POPのようなAメロ・Bメロ・サビではなく、より丁寧にこの曲は構成されている。イントロの跳ねるようなビート、一度落としてからのサビへ向かうビルドアップ。そのじっくりと焦らすような展開があるからこそ、サビの「KISS IN THE MUSIC」というフレーズの爆発的な高揚感を生み出している。
途中に入るニュージャックスウィング的なビートや、楽曲終盤のキックの抜き方など、豊富なアイデアや抜群にうまい緩急の付け方にハイレベルな音楽性を感じる。三人のボーカルの絡み合いと力強い四つ打ちのビートでしか生まれないTRIGGERだけのグルーヴがあるのではないかとすら思う。
これは偶然なのかもしれないが「BEAUTIFUL PRAYER」にも「KISS IN THE MUSIC」にもどこか岡村靖幸のエッセンスを感じる。日本の音楽シーンの中でも孤高の存在の一人である岡村靖幸が、現在のTRIGGERのリファレンスになっているというのはとても興味深い。すでにアイドルとしての枠組みを抜け出している彼らが、より孤高を極める姿を見ていたいと思った。
今回、各グループがリリースした楽曲を繰り返し聴いて、BLACK or WHITEの為に書かれた曲は本気度が違うと改めて感じた。それぞれのグループに方向性の違いがあるのが彼らの良さなのだが、各グループが自分たちの道を突き詰めているようだった。
激しさとスピード感に振り切ったŹOOĻ 、自分たちの音楽性をさらに広げたRe:vale、ファンの気持ちに寄り添うIDOLiSH7、アーティスト性を突き詰めたTRIGGER。それぞれが自分たちの強みを理解し、よりレベルの高いパフォーマンスを披露する。これこそがブラホワと感慨深くなった。
様々な状況や、どんな気持ちの時でも、音楽は心を救ってくれる。ほんの少しだけでも楽にしてくれる。僕はそう思っている。NO MUSIC NO LIFEなんて大それたことを言うつもりはないけど、音楽や芸術が人生の助けになるのは事実だと思う。そして、彼らの楽曲にはその力があると僕は信じている。
]]>そもそも僕は普段、海外の音楽ばかり聴いている。別に日本の楽曲が悪いと思っている訳ではなく単純に好みの問題だ。日本語の曲を聴く際もどちらかというと、海外シーンからの影響があるものを聴いている事が多い。そんな中で、なぜかアイドリッシュセブンの楽曲はずっと好きだ。
アイドリッシュセブンに登場する各グループの音楽の傾向としては、海外志向というよりも明らかにドメスティックな音楽だと思う。そういった面だけで言えば、個人的に好んで聴く音楽ではなかったはずだ。にも関わらず、僕は彼らの音楽を聴いている。時には涙しながら。
うむむ、何故だろう。本来なら「好きだからさっ!」と理由はそれだけでよいはずなのに無駄に頭を捻って出た答えは、彼らの楽曲が王道だからだった。
世の中には沢山のアイドルグループが存在する。例えば00年代以降のアイドルブームにしても如何に斬新なリファレンスを持ってきてアイドルに歌わせるかに力点が置かれていたように感じる。それは実際に面白いし悪い訳ではないが、僕はあまりそこには乗れなかった。
そもそも太陽星座・月星座共に牡羊座だからなのか、本気で王道を進もうとするものに惹きつけられるところが僕にはあるらしい。だからか、コミックソング的なものにどこか距離を置きたくなってしまう。
過去にはSMAPが「Hey Hey おおきに毎度あり」と歌い、僕は子供心に変な曲だなと思ったものだが、今聴けば完全にニュージャックスウィングじゃないか。めちゃくちゃ格好良い。だから今は好き。勝手な人間だ。
アイドリッシュセブンに登場するアイドルグループはグループ毎に楽曲のカラーが違うが、基本的にコミカルな要素は限りなく少ない。
強いて言えばシャッフルユニットで歌われた「男子タルモノ!〜MATSURI〜」くらいだろうか。いわゆる電波ソングを思わせる超高速BPMのハイテンションな楽曲。むしろ、その辺りのシーンを元ネタにしているんだろう。アイドリッシュセブン全体からしても、かなり異色な楽曲だと思う。
それよりも久々にこの曲のタイトルを目にしたら、現代的にはかなりギリギリなジェンダー観がストレートに出ていて、リリース当時はそんなこと思いもしなかったのに世界はどんどん変わっていくなと思った。良くも悪くも。
とは言っても「男子タルモノ!〜MATSURI〜」はそのタイトル通り、ゼロアリーナのこけら落としというハレの日の為に作られたスペシャルなお祭りソングなので、色々な意味でイレギュラーなのは間違いない。
少なくともそれぞれのグループがリリースする曲、そしてソロ曲においてコミカルな路線へ向かった楽曲はない。それどころか、どの楽曲もリリースされた時代の音楽シーンと程よい距離感を保ちながら、王道の楽曲として作られたものばかりだった。
王道を作るのは一番難しい。その時代の流行りを取り入れすぎても、数年後には風化してしまい最も古いものとなってしまう。コミカルでキャッチーな楽曲には、瞬発力はあるのかもしれないが、その瞬間にだけ消費され、寂しさだけを残して消え去ってしまう宿命も持ち合わせている。
そもそも王道とはなんだろう。時代の移り変わりに左右されない耐久力を持ち、不特定多数の人へとリーチするパワーを持つもの。それはきっと計算や戦略でどうこうできるものでは無い。作り手の作品に対する圧倒的な情熱と愛情。少なくともそれは王道を生み出すことに最低限必要な要素なんだと思う。
例えば、マーケティングの力で時代に上手く乗り、勢いで爆発的に流行した曲があったとしても、「ナナツイロREALiZE」のどうしようもなく感情を動かされる魅力には敵わない。その二つには圧倒的に超えられない壁のようなものがあるんじゃないだろうか。と僕は思っている。
安易な方向へ流されずに、ずっと愛情を持ってファンへ名曲を、美しい物語を、驚きを届けたい。そんな気持ちが滲み出ているから、アイドリッシュセブンのことをずっと追ってしまう。
アイドリッシュセブンが向かっている王道は、いかに資本を増やすのかが重要な現代の価値観とは別の価値観を生み出すヒントになり得る気すらしている。その道はきっと厳しい。岡本太郎が言うところの「危険な道」を選んでいるのではないだろうか。無意識なのか、結果的に新しい時代を切り開く為に。
IDOLiSH7が「MONSTER GENERATiON」を歌ったその日から、彼らはこの時代を駆け抜け続けている。この8年間で音楽シーンはもちろん、世界すらも大きく変わった。そんな中でずっとアイドリッシュセブンはブレずに王道を進み続ける。ずっと誠実に。ずっと真っ直ぐ。僕はそれに憧れずにいられない。だから彼らの歌う王道の音楽は心を揺さぶる。
と、色々考えていたら良くわからない方向に行った。
ノイズは消せ。YAOTOME IN MY HEADが言う。ノイズを消し、自分の心の奥に問いかける。なぜ自分はアイドリッシュセブンの楽曲が好きなのか。余計なものはいらない。魂に問いかける。すると答えが浮かび上がる。そうか、わかった。
「好きだからさっ!」
僕はアイドリッシュセブンの楽曲が好きだから聴いている。答えはそれだけだった。それだけだったが、それが何よりも大切なんだろう。音楽だから。
彼らがDon’t stop the music!と歌い続ける限り、僕はきっと彼らの音楽を聴き続ける。
これまでのように、これからも。
]]>これまでに全く体験したことの無いスケールのライブが果たしてどんなものになるのか全く予想のつかない中、楽しみと緊張感を胸にライブビューイング会場へと足を運んだ。
事前に注意事項等のアナウンスがあり、スクリーンには会場の様子が映し出される。色とりどりのペンライトが輝く中、今回のライブのテーマソングとも言える「PiECES OF THE WORLD」をモチーフとした楽曲が流れ、ライブは幕を開けた。
トップバッターは昨年末のBLACK or WHITE LIVESHOWDOWNで優勝を果たしたIDOLiSH7。ファンの誰もが特別な思いを抱くであろう代表曲「MONSTER GENERATiON」は1曲目に相応しい。メンバー全員が傘を手に持ったポップな演出が新鮮だ。閉じられた傘は雨上がりの象徴。これらから始まる虹のようなライブを楽しんでというアイドルからのメッセージにも感じる。
MCを挟んで2曲目はファンにとってもメンバーにとっても大切な曲「RESTART POiNTER」センター陸の歌い出しを優しく見守る和泉一織。一時的にセンターを引き受けていた彼だけが持つ、この曲に対する想いはきっとずっと消えないんだろう。
IDOLiSH7の次に登場したのはŹOOĻ 。まず披露されたのは、デンマークのレッフェスで現地の音楽ファンからも評価を得た「ZONE OF OVERLAP」トラップ以降のビートメイキングに、ハードなギターを載せたサウンドが会場を盛り上げる。溶鉱炉をイメージした映像の演出に否が応でも心が熱くなる。
2曲目は、2年前のブラホワで歌われた「Bang!Bang!Bang!」強烈にアッパーなダンスビートは彼らの勢いをこれでもかと加速させていく。デビュー当時はアンチヒーロー的な印象の強かった彼らだが、上記したレッフェス以降に手に入れたエモーションで、胸に響くパフォーマンスを見せつけてくれる。
3グループ目はTRIGGER。一時期、謂れのないゴシップによってメジャーシーンを追われた彼らがMOPの舞台で復帰への道を切り開いた楽曲「DAYBREAK INTERLUDE」イントロと共に階段を降りてくる姿にはトップアイドルとしての風格がある。最早お馴染みになったそれぞれが披露するハイレベルなソロダンス。MVで見ていた以上に力強い八乙女楽のダンスを見ると、男性ファンの多さにも納得する。
次の楽曲は「Last Dimension」ミュージカル用の楽曲として発表されたエレクトロニックな楽曲だが、今回はなんと、しっとりとしたシンフォニックなアレンジで歌われた。一時期、ゼロの偽物が世間を騒がしていた際には、過去のアイドルではなく現代の自分たちを見ろという姿勢を貫いたTRIGGER。確かな実力と圧倒的な表現力、そしてTRIGGERとしてのプライドがあるからこそ彼らの自信は揺るがない。
最後に登場するのはRe:vale。4グループの中でも最年長であり、絶対王者と呼ばれる彼らは最後の登場に相応しい。映画「Mission」の主題歌でもあり、ファンの中でも根強い人気を誇る「NO DOUBT」で幕を開けるショータイム。しっかりとしたスキルに加えて、積み上げられた経験を駆使した余裕のあるパフォーマンス。BLACK or WHITE LIVESHOWDOWNで王座を奪われたとはいえ彼らは王者だった。
2曲目は、Re:valeのディスコグラフィの中でもトップクラスに華やかな「Re-raise」ビッグバンド的なこの曲は、彼らが一流のエンターテイナーだということを証明している。ゴージャスな演出にも全く嫌味がなく、ものすごく上質なショーを見ているような感覚になる。ラストはRe:valeのライブでは外せない赤色のソファ。この2人は座るだけで本当に絵になる。
映像による今回出演している4グループ16人の紹介から始まる後半戦。観客席から登場する演出で驚かせたのはIDOLiSH7のメンバー達だ。サプライズに会場のテンションも上がる。そんな中で披露されたのは新曲「NiGHTFALL」スケールの大きさと、美しいメロディをもつこの曲は、今の彼らだからこそ歌えるのだろう。デビューからの沢山の経験が彼らをここまで大きくした。それをずっと見守ってきたファンは万感の思いに浸ったのではないだろうか。
続くŹOOĻも「STRONGER & STRONGER」を初披露。ミドルテンポでキャッチーなこんな楽曲を彼らが歌うとはデビュー当時には誰も想像できなかっただろう。沢山の痛みや喜びが、彼らを成長させたのは想像に難しくない。メロディアスでメロウなこの曲は彼らの新境地でもあり、彼ら自身のパーソナルな面が実は色濃く出ているのかもしれない。
Re:valeが聴かせてくれた新曲「Journey」は優しいポップソング。様々なジャンルの楽曲を生み出す千の作品の中でも、彼の作曲能力の高さを最も表しているのがこういった楽曲なんじゃないだろうか。流行のサウンドや、インパクトのある展開に頼らなくても普遍的なポップスを書ける事が、作家として最も優れた能力だと改めて思い知らされる。
最後に登場したTRIGGERは、バキバキなダンスチューン「BEAUTIFUL PRAYER」をパフォーマンス。これまでの彼らのディスコグラフィにはありそうでなかった楽曲だ。クールな印象ではなく、彼らが本来もつ情熱的な面とダンストラックを融合したこの曲で、会場は最高潮に盛り上がる。ダンス・ボーカル共に、彼らのスキルの高さが遺憾無く発揮されたこの曲が、今後の彼らの幅を更に広げるかもしれない。
TRIGGERのパフォーマンスに興奮してカラカラになった喉を潤そうと、水の入ったボトルに伸ばした手が止まった。このイントロは「Incomplete Ruler」TRIGGERが主演を果たしたミュージカル「ゼロ」のクライマックスを飾る名曲。ゲネプロ時に七瀬陸が九条天のデュエットの相手を務めていたとファンの中では有名な話だったが、まさか公式に彼ら2人のパフォーマンスを目にできるとは思いもしなかった。
作詞者の痛みすら感じさせる内省的な歌詞と、切なくも力強く美しいメロディ。近年ポップシーンで発表された楽曲の中でも屈指の名曲が2人によって紡がれる。この二人の声の相性は本当に素晴らしい。ラスト掛け合いのように交互に力強く歌われるパートに思わず涙腺が緩んだ。
切ない表情をしてステージを去る天。一人残された陸に向かって鳴り響くのは「TOMORROW EViDENCE」のイントロ。背景のスクリーンが開き、そこに待っていたのはIDOLiSH7のメンバー達。ミュージカル「ゼロ」で描かれたのはゼロの孤独だったが陸は一人じゃない。仲間がいる。彼が孤独になることは無いはずだ。彼は愛されていて、それを理解している。
多幸感に溢れたステージ。紡がれるメロディと明日を願う歌詞。力強い間奏で他の3グループが登場し出演者全員が揃う。この上なく輝くステージ。16人で歌われる「幸せになろう!みんな!」というメッセージ。感動は最高潮に達していた。
16人によるMCを挟んで、本編最後に披露されたのは今回のライブのために書かれた「Pieces of The World」地球への、世界への愛を祈るような楽曲。トップアイドル16人による一糸乱れぬ圧巻のパフォーマンス。アイドルというカルチャーはただの偶像なんかではない。アイドルにしか出来ない、アイドルだからこそ伝えられる想いやメッセージがあるんじゃないだろうか。それをこの16人と「Pieces of The World」というアンセムが証明してくれた気がした。この曲は僕たちの時代の「We are the world」にもなり得る。
アンコールで歌われたのは、16人での「Welcome, Future World!!!」旅として表現されていたこのライブが終着点である「世界への祈り」に辿り着いた後に、まだ旅は終わらないと披露されるのは未来への願い。たとえどんな困難な時代でも、彼らは未来への希望を歌い続けてくれる。だからこそ「Welcome, Future World!!!」という楽曲は飛び切り明るいことに意味がある。
今回のライブ「BEYOND THE PERiOD」は各グループのパフォーマンスも、16人集結してのパフォーマンスも一瞬も目を離せない瞬間の連続だった。TRIGGERのMCで、奇跡の連続で存在しているのが今の地球であり今この瞬間だと話していたが、まさにこのライブ自体が奇跡の連続そのものだった。奇跡は運頼みなんかじゃなくて、自分たちの行動で起こすものだとアイドル達は証明してくれた。
彼らが教えてくれた大切な事を僕は忘れない。彼らの願いに答えられるのは、きっと僕たち自身の想いと行動だけなのではないだろうか。次は、僕達が返す番だ。
・・・
劇場版アイドリッシュセブンをライブ形式でやると年明けに知って呆気に取られた。というよりも、どんなものになるのか全く想像ができなかった。待望だった劇場版がライブ?映画館でライブ?頭上にクエスチョンマークが10羽は飛んだ。凄い!という思い以上に混乱の方が若干上回っていた。少なくともその位、僕にとっては未知のものだった。
結果的に今作「BEYOND THE PiRIOD」は全く新しい体験を僕に与えてくれた。体験として新しすぎて、一瞬これは何を観ているんだろう?と最初に思ったりもした。この体験に近いものを強いて挙げるとすれば、昨年から大ヒットして未だにロングランしている「THE FIRST SLAM DUNK」だと思う。
3Dと手書きを融合した革新的なアニメーション表現。原作直撃世代としてはたまらない山王戦+宮城リョータを軸に置くことで深みの増したストーリーラインなど、ヒットの理由は沢山あると思う。そして、僕が最も新しいと感じたのが、アニメーション映画でありながら実際のスポーツの試合を見ているような体験だった。それに近い感覚を今回の劇場版アイドリッシュセブンでは感じた。
レインボーアリーナで行われているライブをライブビューイングで観ているという状態。会場にはお客さんが実際に沢山いてアイドルを応援している。実際のステージがあって、アイドル達はそこでパフォーマンスを行なっている。それを撮影したものを観ている。幾重にも重なったレイヤーの上にある体験。それはとても新鮮だった。
元々アニメに明るいわけではないので一概にはいえないが、「THE FIRST SLAM DUNK」と並んで今作は、アニメーション作品として物凄く新しいことをやっているんじゃないだろうか。ハイレベルな技術と、アイドリッシュセブンチームが持っているアイドルの創出という想いへの情熱が生み出した体験型エンターテインメント。それらが高いレベルで組み合わさって初めて生み出された今作こそが、本当に奇跡みたいなものなんだと改めて思った。
最終的に僕が受け取ったものは、もっと人を幸せにする仕事をしたいという気持ちだった。こんな気持ちを与えてくれる作品はそんなに沢山あるわけではない。とても貴重だと思う。制作チームから受け取った情熱を大切にしたい。
ありがとうアイドリッシュセブン。
]]>2022年も沢山の良質な楽曲がリリースされた。それぞれのグループイメージをより突き詰めたものから、新たな一面を見せてくれるものまで、幅広いバリエーションの楽曲で我々マネージャーをずっと盛り上げ続けてくれる熱意には感謝しかない。
いよいよ直前に迫った新ブラホワに向けて、今年披露された楽曲の中でも、特に個人的に印象に残った7曲を挙げてみようと思った。どの楽曲も甲乙つけ難いクオリティのものばかりだったので、最終的にはほとんど好みの話になってしまうのだが、そこは十人十色という言葉に甘えさせていただき、これが僕にとっての今年の7曲です!と変に強気に書き出してみた。
アイドリッシュセブン第5部のプロモーション映像でも使われた楽曲。ピアノを基調としたイントロからずっと淡く続く切なさ。これまでのIDOLiSH7には歌えなかったであろう名曲。グループ結成時に出会った彼らが、いずれ訪れるかもしれない別れを意識することで初めて抱いた不安。ずっとこのままでいたい気持ちと、変化していくことを受け入れるまでの感情のグラデーションが美しいメロディで紡がれる。
安定したビートで丁寧に歌われるAメロから、一転して変拍子になるBメロで表現されるのは彼らの葛藤。そんな迷いを振り払うように力強い陸の歌声を受けて展開するサビでは、新しい世界への希望を思わせるような開放感。本当にドラマチックな展開だ。
ずっと切なさをまとったこの楽曲は極端にしっとりしたテイストになってもおかしく無かったと思う。それをここまで見事なポップソングへ昇華させているのは、力強い音を鳴らすドラムとベースによるリズムが大きのではないだろうか。特に、静かな時にはメロディアスな旋律を響かせ、盛り上げるときには圧倒的なグルーヴを生み出しているベースは重要だ。
この曲を聴くだけで、これからも彼らは大丈夫だろうという想いを持てた。
今や絶対王者として君臨しているRe:valeが自分たちの原点へ立ち返るために作ったような歌。「ココロ、ハレ晴レ」で千の産み出した楽曲に百が歌詞をつける事で、彼らは一つの完成形に到達したのかもしれない。そんな今だからこそ、バンドとして活動していた過去のRe:valeに向き合い、現在のRe:valeとして新たに進むために必要な楽曲だったのだろう。
曲の始まりから繰り返される単音引きのギターフレーズは、初めて音楽へ向かい合った時の初期衝動を静かに表現しているようだ。サビでリズムがハーフになるエモマナー。90年代のUSエモシーンから脈々と受け継がれる展開に感情が高ぶる。隙間を生かしたギターアルペジオ、複雑なリズムを叩くドラム、効果的に使われるピアノ、何よりも緩急をつける展開によって生まれるストーリー。
様々な楽曲を生み出すことができる今の千だからこそ作れる完璧なバンドサウンド。インディーズバンドだったRe:valeはもういない。そしてRe:valeの二人が過去に足を取られることはもう無い。そんな力強いメッセージがこの「Start Rec」という曲には込められていると感じた。
これまでヒップホップやトラップ、ラウドロックを取り入れてきたŹOOĻ。この楽曲ではK-POP的なサウンドを新たな武器として手に入れた。シンプルに誰が聴いても格好良いと思える曲はなかなか作れるものではないと思うのだが「No Sacrifice」は見事にそれをやってのけた。
体を揺らさずにはいられないアッパーなリズム、スキルフルながらも楽曲を壊すような取り入れ方をしないラップ、これだけアグレッシブな楽曲なのにキャッチーなメロディに心を鷲掴まれる。音数をやたらと増やして派手にするわけでなく、効果的に使われるシンセのフレーズや、印象的な「Nah nah nah..」というコーラスなど全ての要素に無駄のない完璧なセンス。
これまでもアイドリッシュセブンには様々なダンストラックがあったが、基本的にはドメスティックな印象の楽曲がどうしても多かった。そんな中でこの「No Sacrifice」は海外のシーンでも通用しそうなポテンシャルを感じた。これはŹOOĻの大きな強みかもしれない。間違いないく棗巳波という作家の音楽的素養によってなせるものだろうし、偉大な音楽家・桜春樹が残した大きな遺産の一つだと思う。
アイドルとして、表現者として、圧倒的な実力を誇るTRIGGERによるスタイリッシュな楽曲。跳ねるリズムに、まるでナイル・ロジャースのようなカッティングギター、そしてパワフルかつファンキーなベース。音楽としてのオーセンティックな力に、現代的なアレンジが加えられ、とても個性的でハイレベルだった。
東京国際音楽芸術祭にて「願いはShine On The Sea」をソロで歌って以来、本来持っていたポテンシャルを惜しみなく発揮できるようになった十龍之介のエモーショナルなボーカル。プロフェッショナルな姿勢をデビュー当時から完璧に貫き続ける九条天のパフォーマンス力。そしてTRIGGERのリーダーとして安定しながらも、表現力豊かな八乙女楽の存在感。この完璧なトライアングルでないと歌えない楽曲だろう。
不本意なスキャンダルによって一度はインディーズとしての活動を余儀なくされた彼らだが、古巣である八乙女事務所に戻ってからは一回りも二回りも大きな存在となった。今のTRIGGERは誰にも止めることは出来ない。
ミニマルなビートと、深みのある低音を響かせるベース。Opusに収録されていた「Everything is up us」を更に突き詰めたような名曲。広い空間を表現するようにデザインされた音のバランス、所狭しと散りばめられたカラフルな音色による遊び心、トラックだけでも楽曲として成立しそうだ。
最も衝撃を受けたのはサビでの歌パートの抜き方。バックトラックと歌を完璧に融合させた音楽としての完成度の高さ。これまで最も王道なアイドルソングを歌ってきた彼らが、アイドリッシュセブン史上最高に実験的な楽曲を、記念日という大切なタイミングでリリースしたことの意味は大きい。彼らはアイドルとしての楽曲を一つ上のレベルへ押し上げた。
個人的にはこの曲の歌詞が2022年で最も好きだったかもしれない。混沌と不安が広がる年に真っ直ぐ歌われるのは愛。人との繋がり、コミュニケーションの歌。誰も一人では生きていけない。だけど人と繋がろうとするのには少しの怖さがある。それでも繋がろうとする気持ちをそっと後押ししてくれる歌。きっと世界中の様々な問題の根底にあるものはディスコミュニケーションで、それは昔から変わらない。それが顕著に現れた今の時代だからこそ、虹の糸電話で繋がり合うことが大切なんだろう。
ミュージカル「ゼロ」にて八乙女楽と十龍之介の二人よって披露されたゼロのカバー。現代的にバキバキのダンスナンバーとしてリメイクされたこの曲は彼ら二人が歌うからこその魅力に溢れている。
左右に振り分けられたアコースティックギターの音色が印象的なイントロは緊張感を生み出す。空間を生かしたトラックに乗せて歌い出されるアレンジに、名曲「In the meantime」を思い出した。高速BPMで展開していくトラックは徹底的にアグレッシブながらも、音色の選び方から配置、全てに共通して品性を感じる。
J-POP的コード進行や共感を得られる歌詞で聴かせる曲じゃなく、とにかく彼ら二人のパフォーマンスを魅せるための楽曲。それでいてメロディには耳に残るキャッチーさがある。TRIGGERとして歌われそうな曲でありながら、どこか新しいスタイル。それによって浮き彫りになるのは九条天という存在。TIRIGGERという完璧なトライアングルがある一方で、このデュオは最高にスタイリッシュだった。TRIGGERにはまだまだ可能性が残されていることを改めて感じられた。
間違いなくアイドリッシュセブン史上、屈指の名曲。
この曲を聴いて思い起こされたのは、やはり桜春樹という作家は稀代のメロディメーカーだったという事だ。キャッチーな曲の表現として「全編サビのよう」という言い回しがあるが、それとはまた次元が違う楽曲だと感じた。現在、聴く事ができる中でもサビを含め4つのパートがあるが、その全てに各パートに相応しい最高のメロディが書かれている。
ドラマの始まりを思わせる天による導入、寂しさや不安がそっと心に入り込んでくるような陸の歌声。徐々に高ぶる感情を爆発させるように曲は盛り上がっていき、辿り着いたサビではこれまでのアイドリッシュセブンには無かった壮大な世界観が歌われる。どこをとってもこれ以外にないと言えるほどの完成度。
ゼロ本人が作詞したという歌詞も印象的だった。「願いがもたらす絶望」というハッとさせられる歌い出しから終始描かれるのは、人との繋がりを求める願い。孤独を知るからこそ人と繋がりたいと思うのが人間の本質なのかもしれない。希望を感じさせる曲でありながら、その一方でずっと、どうしようもない寂しさが漂っている。だからこそ、この曲はデュエットで歌われる意味があるし、コールアンドレスポンスで会場と一体となることでゼロ自身が救われるのだと思う。
2022年はこれまでで最も絶望した一年かもしれない。国内外で大きな事件が起こり、世界中で不安が拡大し続けている。国単位から個人単位まで相変わらず分断は広がっている。そんな中でも個人的に何よりも大きかったのは、ずっと一緒に暮らしていた大切な愛猫が亡くなった事だった。
絶望と悲しみばかりの日々の中で、好きだった音楽もあまり聴けず、心から感情が動かされることもなかった。僕にとってここまでの喪失感を味わったのは初めてだったんだと思う。
少し時間が経ち、夏に読んだアイドリッシュセブン第5部に感動した。何よりも好きだったのは救済の物語だったことだ。どうしようもない喪失感を抱き続けた人間が救われる話。そのきっかけになるのが「Incomplete Ruler」という人との繋がりを願う歌。人の想いは循環して誰かを救う。当たり前のことかもしれないけど、普段の生活の中でそれを信じることはなかなか難しい。
それでも、そういった想いや気持ちがないと今の世界を生きていくのはあまりにも厳しすぎる。と僕は思ってしまう。もしかしたら、それは過剰なロマンティシズムなのかもしれないけど。それでも新自由主義的な価値観にはどうしても乗り切れないし、僕がずっと好きだったものは音楽や映画など、わけがわからないけど感情を揺さぶられるものだった。
アイドリッシュセブンの物語や音楽には、間違いなくそういった力がある。だからこそ僕のような門外漢だった人間にもこんなに響くのだと思う。
ストーリー第6部でアイドリッシュセブンは一つの結末を迎えると言われているが、実際それがどういったものかはまだ分からない。少なくともこれで全て終わりということではないだろう。勝手なことを言っているのかもしれないけど、僕はまだまだ彼らの物語を見ていたいし、感情を揺さぶってくれるような楽曲を聴いていたい。
アイドリッシュセブンはきっと終わらない。
それにやっぱり、世界は悪くないのかも、と僕はまだ言っていたい。
妻とショッピングモールへ行った帰りに、ファミレスで夕飯を済ませ車に戻る途中、道路へ目を向けると妙に車が混んでいた。よく見ると道路にまだよちよち歩きの子猫がいる。「あ、子猫」と思っていると、横にいた妻が急いで猫に向かった。僕はオロオロと後を追うだけだった。
車の隙をついて子猫を拾う。一台の車から降りてきてくれた男性が、預かりましょうか?と声をかけてくれた。なぜか分からないけど僕たちはその申し入れを「いえ、大丈夫です。」と断った。
とりあえず車に戻り、周りに親猫がいないか探し回った。茂みや道路、目につくところを一通り見てみたが猫は見当たらない。車に戻ると子猫は助手席の足元にある隙間から、ボンネットの中へ入ってしまっていた。僕は生まれて初めてロードサービスに電話をした。
ロードサービスの人が来るまでの間に、これからどうすればいいのかを調べた。僕たちは子猫のことを何も知らなかったから。何を食べさせればいいのか。弱っているのか。ちゃんと生きられるのか。そんなことを話したり、調べたりしているうちに子猫は自分から出てきた。子猫は本当に小さかった。
僕たちは帰路についた。家に着いた時は夜中。いつもの部屋に子猫がいるのは不思議な感覚だった。灯りの下で見る猫の顔は目ヤニなどでぐちゃぐちゃで、これまで頑張って生きてたのかなと思った。翌日連れて行った動物病院の先生には生後3ヶ月くらいだと言われた。
僕たちは動物と暮らせないアパートに住んでいたので、誰か引き取ってくれそうな人はいないかと友達に聞くことにした。子猫の行く先が見つかるくらいまでは一緒にいよう。と、思っていたはずなのに、数日子猫と過ごすうちに僕たちは子猫と離れられなくなっていた。僕たちは子猫と一緒に暮らすことにした。そして、子猫をみよ子と名付けた。
猫のことを何も知らない僕たちは、何が必要なのか、どうやって育てればいいのか、何を食べさせたらいいのか、とにかくなんでも聞いたり調べたりした。分からないことばかりで大変だったけど、みよ子との生活は、それまで感じたことのない幸福感を僕たちに与えてくれた。
みよ子とは色々な時間を一緒に過ごした。
みよ子と出会った翌年、2011年の3月には東日本大震災があった。当時、僕たちの住んでいた埼玉も大きく揺れ、これまで体験したことのない恐怖を感じた。地震の直後、電話も通じず妻とみよ子が心配だった僕は、当時勤めていた職場から車で帰った。信号機は停電で消えていて、ラジオからはルイ・アームストロングの「What a beautiful world」が流れていた。アパートに着くと、玄関の外ではみよ子を抱いた妻が待っていた。二人とも怯えていた。
僕の実家の愛知県まで高速道路を使って一緒に帰ったこともあった。留守番させるのも、ペットホテルに預けるのも可哀想で一緒に帰ることにした。車の音をずっと警戒していたみよ子は、僕の実家に着いた後も、知らない場所を怖がりずっと隠れていた。可哀想なことをしてしまったと後悔した。僕はずっと愚かだった。
みよ子は外で生まれ育った事もあって猫風邪を患っていて、免疫力が落ちると症状がでた。目の周りはずっと目ヤニやカサブタ。みよ子は繊細で、すぐにアレルギー症状がでた。花粉やハウスダストや柔軟剤などの化学物質で、鼻水を出し、くしゃみをしていた。他にもお尻から虫が出たこともあった。
みよ子を避妊する時はずっと悩んだ。必要だと分かってはいても、人間の勝手でみよ子の生殖機能を奪うことにどうしても納得ができなかった。みよ子との生活は、これまで感じたことのない不条理や理不尽に向き合うきっかけを沢山与えてくれた。
僕たちは何度も引っ越しをした。みよ子と出会った時に暮らしていたアパート以降はずっと、動物と暮らせる物件を選んで。環境を変えることは僕たちにはその都度、必要だったんだと思うが、みよ子にとっては大きなストレスだったんだろうと思う。
それでもみよ子は、いつも僕たちを笑わせて幸福にしてくれた。僕たちが喧嘩をすれば空気を和らげてくれた。ご飯が欲しい時はお皿の前に座って無言で待機。もらえない時には、お皿を台から落とす。それでも出ないとずっと大声で鳴き続けた。
みよ子のお尻の辺りを撫でると、どんどんお尻が上がって真顔でじっとこっちを見てきた。誰からも三毛柄と毛並みの綺麗さを褒められたし、お腹の毛がふわふわで、そこに顔を埋めるとなぜか蒸しパンみたいな匂いがして幸せだった。
みよ子の額の柄はセンター分けで、いつも真顔で、たまに人間みたいな表情で、少しクロロ・ルシルフルに似ていて、世界で一番可愛くて、とにかく本当に最高だった。
2022年の1月14日にみよ子は旅立った。
2020年の秋頃からあまり体調が良くなさそうで、それからずっと病院通いが続いていた。その頃にも主治医の先生から可能性があると聞いてはいたものの、2021年9月にCT検査で悪性リンパ腫と診断されるまで、僕はそれを信じないように、見ないようにしていたんだと思う。僕は後悔ばかりしている。
悪性リンパ腫には、抗がん剤治療がちゃんと効果が出ることが多いと先生に言ってもらい、治療を始めることにした。僕たちにはみよ子の意志を聞くことはできなかった。みよ子はずっと頑張っていた。治療だってずっと苦しかったんだと思う。そんな時でも、僕たちが気落ちした時にはすり寄ってきてくれた。みよ子はずっと優しかった。
みよ子が最後の時を迎える数日前から、ご飯をあまり食べられなくなり、その時が近いんだと考えざるを得なくなった。病院でも、家族にも友達にも太ってると言われてたみよ子は、凄く痩せてしまっていた。そんな時でも撫でればゴロゴロ喉を鳴らして僕たちを安心させようとしてくれた。
もう本当に最後かもしれない日、みよ子の近くで出来るだけ起きていようと思っていたのに耐えられず眠ってしまった。翌朝、ガタっという物音で目を覚ますと、ぐったりしていたみよ子が大きな声で2回鳴いた。妻は慌ててベッドから起きてきた。みよ子はそのまま僕たちが見守る中、息を引き取った。最後にお別れをしてくれたんだと僕たちは思っている。
11年一緒に過ごしたみよ子がいなくなって、もう半年が経った。みよ子のいない生活なんて想像もできなかったし、無理だと思っていたのに生活は続いていく。世界は考えもしないような最悪なことばかりが起こって、そういった物事にいちいち傷つきながらも、食べて、寝て、仕事をして、ただぼんやりと生きている感じがする。僕は後悔ばかりしている。
この喪失感を乗り越えられる気がしないし、乗り越える必要があるのかもよく分からない。猫と暮らすつもりなんてなかった僕たちは、偶然みよ子と出会って、一緒に暮らして、その時間は本当に本当に幸せだった。もしいつかまた、みよ子に会えるのなら、その日が待ち遠しい。
きっと僕はこれからもずっと、みよ子に会いたい。
]]>新型コロナウィルスの広がりもあり有観客公演の判断が難しい中、ライブは本当に行われるのか、直前まで全然状況が分からない妙な緊張感があった。配信での鑑賞を選択した僕は、画面に映る会場いっぱいに集まったマネージャーの姿をぼんやりと見ながら不思議な心持ちだった。
会場が暗くなりオープニング映像とBGMが流れる。それぞれのメンバーがモニターに映し出され、流れるように始まった1曲目は「DiSCOVER THE FUTURE」
ステージに現れた7人の姿を、笑顔を見た時に、あまり感じたことのない感動を覚えた。安心感を得たような、希望を見たような、そこで踊る7人は真っ直ぐに未来を見つめていた。
これから先、どうなるのかが分からない世界に対し、未来は自分たちで見つけに行こうと宣言するこの曲ほど、今回のオープニングにふさわしい曲はなかっただろう。彼らの真っ白な衣装はこれから何者にだってなれると表しているようだった。
次に披露されたのは「Perfection Gimmick」和泉一織センターで披露されるこの曲で、会場の雰囲気は一気に変わる。いつもより少し大人な表情を見せるIDOLiSH7。最早定番となった間奏の振り付けで会場を盛り上げる。
2日目は曲が変わり、2曲目にして早くもIDOLiSH7屈指の名曲「RESTART POiNTER」公演初日にセンター交代時代の楽曲、2日目に七瀬陸センター復活の曲を披露するという見事な演出。
「RESTART POiNTER」と言えば、ライブでもクライマックスになるくらいの代表曲に違いない。そんな重要な曲を両日やらないという選択ができるほど今のIDOLiSH7の楽曲は充実している。事実、「RESTART POiNTER」が披露されなかった初日公演に物足りなさは微塵も感じなかった。
・・・
MCを挟んでの新曲「Boys & Girls」は会場一体となってのハンドクラップで盛り上がる。ライブのボルテージを上げるのに打って付けの楽曲だ。
その熱気のまま歌われる「Dancing∞BEAT!!」でメンバー全員がトロッコに乗り客席の近くまで向かう。マスクをし歓声を上げられない状態でも、ペンライトやうちわでメンバーへの気持ちを伝える客席。それに全身で答えるメンバー達。声がなくても伝えられるものは沢山ある。
中盤、壮五のソロで歌われる「ふと隣 見ると仲間がいるんだ」というパート。会場を手で指し示す彼の姿を見た時、メンバー自身がマネージャーの事を仲間だと思っているんだと胸が熱くなった。
「Dancing∞BEAT!!」が終わるとそのまま聞こえてきたのは「THANK YOU FOR YOUR EVERYTHING!」まさかのメドレー形式。この2曲の繋がりは間違いなく盛り上がる。
センターステージへ戻り、メドレーのまま披露されたのは「NATSU☆しようぜ!」彼らにとって色々な想いが詰まっているこの曲を7人だけで歌える日が来るとは。アップテンポで夏の陽気そのままの「NATSU☆しようぜ!」に感動することがあるとは思いもしなかった。
2日目に「NATSU☆しようぜ!」の代わりに披露されたのは「PARTY TIME TOGETHER」のホリデーバージョン。年末に聴いて心を奪われた見事なアレンジの楽曲。これが聴けるとは思ってもいなかったので、本当に素敵なサプライズだった。
少し落ち着いた雰囲気で披露された「ハツコイリズム」で会場の雰囲気はガラリと一変する。しっかりと丁寧に、そして感情を込めて歌われる美しいメロディ。元気で明るいアイドルだった彼らが、今ではこんな顔も見せるのかと感慨深くなった。
ARによる光の演出と、エレクトリックなダンスビートから自然な流れで披露されたのは「THE POLiCY」楽曲・演出・映像・レーザー・ライティング、そして歌。全てがハイレベルに組み合わさったこの曲は、今回のライブの中でもハイライトの一つじゃないだろうか。7人それぞれが思うままに感情を込めて歌う姿。これこそがアイドルであり、アーティストなんだろう。最後、伸びやかに歌う陸の声がどこまでも届いて欲しい。
・・・
IDOLiSH7らしい楽しげなMC後に披露されたのは「NAGISA Night Temperature」軽やかな曲にぴったりのキャッチーな振り付けで会場の一体感は増していく。
曲が終わりステージが暗転、ライトアップされるとステージにはMEZZO”の2人。歌われるのは「未来絵」逢坂壮五が作曲という新たな表現を手に入れてから、ライブで披露される初めてのバンドサウンド。相変わらずこの2人のボーカルの安定感・感情表現は凄い。曲の終盤、メインステージへ歩きながら「一緒にいこう」という歌詞とともに顔を見合わせた時の表情から、彼らの関係性が伝わってくる。
メインステージで披露された2曲目は壮五にとっても環にとっても大切な曲であろう「Forever Note」これまでのMEZZO”の印象を大きく変えたエポックメイキングな曲。いつかこの曲をステージで歌う環を観たいと思っていた願いが叶った。
壮五にとっては初めて作曲した曲、環にとっては大切なパートナーが自分のやりたい事を見つけた曲。環が壮五の目を見ながら力強く歌う「一人じゃないんだよ」という歌詞に胸がいっぱいになった。
次は一織と陸による「解決ミステリー」MEZZO”のシリアスな雰囲気から会場は一転してサーカスのような楽しげな雰囲気に。陸の天真爛漫さと一織のクールなスタイル。この二人のコントラストがあるからこそ生まれる幸福な空間。歌うのを忘れるほど楽しそうにステップを踏む陸。それを見守る一織。会場は圧倒的な多幸感に包まれた。
3組目のユニット曲「My Friend」は大らかで優しい曲。ステージを動き回らなくても、アイコンタクトを取りながら三人で並んで歌うだけで十分気持ちが伝わってくる。声の出しづらい三月を自然にサポートする大和とナギ。お互いを助け合うのは彼らにとっては当たり前のことなんだろう。その姿はそのまま「My Friend」という楽曲にぴったりで、それはどんな演出よりも特別で感動的だった。
7人がステージに集まり披露されたのは最新アルバムからの新曲「Everything is up to us」これまでのIDOLiSH7からは想像も出来なかったスケールの大きな曲。ラテン風のギターや、ポストトラップなど欧米のトレンドにも目配せした挑戦的なトラック。そこで歌われるテーマは世界、そして未来へ向けての願い。彼らはもう時代を駆けてくのではなく、時代を引っ張っていく時なのかもしれない。
ピアノ、そして弦楽器隊を加えて披露されたのは「Sakura Message」IDOLiSH7史上屈指の名バラード曲が、生演奏を加えることで、より美しく繊細に表現される。メンバー7人それぞれの気持ちがしっかりと歌に乗り、伝わってくる。彼らのライブ史上、最も感動的だったかもしれない今回の「Sakura Message」は桜色の景色と共に記憶に残る。本当に大きなステージが似合う曲だと改めて感じた。
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生演奏された桜春樹への追悼曲がしっとりと会場を包んだ後、ステージは一気に冬の景色を描く。この光景とエレクトロなビートですぐに伝わる「Mr.AFFECTiON」今回のライブで最も楽しみにしていた楽曲の一つ。MV衣装そのままの姿のメンバーが階段状のステージに座っているだけで絵になる。ARで表現される極寒の風景と、エモーショナルな歌声。目の前に広がるのは「Mr.AFFECTiON」の世界観そのままだった。
その後、歌われるのはブラホワ繋がりでの「MEMORiES MELODiES」初めてのブラホワで披露された大切な曲。この曲の前向きなエネルギーを目の当たりにすると、ポジティブな喜びと共にライブも終盤だと教えられたようで、少し切ない不思議な感情を抱く。
2日目に披露された「Viva! Fantastic Life!!!!!!!」では、初日とは全く違う情熱と色気を表現。この曲は本当にライブ映えする。何度も映像でこの曲のライブパフォーマンスを観たが、観る度にIDOLiSH7の表現力の幅広さに驚かされる。
ライブ本編は一気にフィナーレへ向かう。彼らのディスコグラフィーでも屈指の名曲「ナナツイロREALiZE」のイントロが鳴った瞬間に込み上げてくるものがあった。ステージカメラがメンバーそれぞれの笑顔を捉える。カメラが進む先にあるのはスポットライトをバックに立つ7人のシルエット、その後ろに広がるカラフルな光の海。全員で作るこの景色が本当に答えなんだろう。
未来なんて何があるのか分からない。僕たちは今できることを精一杯やるだけだ。何かや誰かを批判することは簡単だけど、そこで新しいものは生まれるのだろうか。そんなネガティブな気持ちを消してしまうほどの光と笑顔がステージには溢れている。それだけでいいじゃないか。関係ないのかもしれないけど、そんな事をふと思った。
本編の最後は「WiSH VOYAGE」彼らが歌うのはいつだって希望への歌だ。そこが今どんな世界でも、希望への旅は今すぐ始められる。それにはまず自分が一歩を踏み出すことから。何が正解かなんて誰にも分からない。だから壁にぶち当たった時には笑ってしまえばいい。
悩みだって苦しみだって、全てを受け入れた上でステージに立つ彼らを見ていると、希望というのは自分で描き、手に入れるものなんだと教えられる。それが難しい事も彼らは知っている。だから僕たちも何回だって歩き始めればいいんじゃないだろうか。本編最後、ステージに真っ直ぐ立つ7人を見た時、涙が溢れそうになった。
・・・
アンコール1曲目に披露されたのは「Everyday Yeah!」日常への愛しさを歌った優しい楽曲。今回のライブを楽しみにして、日々の生活を営んできた全員を受け入れる大きな歌。やっぱりライブは日常ではないし、特別な日なんだと思う。その特別な日があるから人は頑張れる。特別はずっと続かないから特別だし、終われば日常が始まる。だからこそ陸は2日目に「明日もまた いいことがありますように!」と祈った。
アンコール2曲目に披露されたのはまさかの新曲「WONDER LiGHT」YOASOBIのAyaseが作曲したというこの曲は、IDOLiSH7の更に新しい表情を見せてくれた。ネオンや夜の街が似合いそうなトラックに、特徴的だけどキャッチーなメロディが乗る。しっかりとした音源で聴ける日が待ち遠しい。
メンバーそれぞれから今回のライブへの想いを伝えてくれる挨拶があり、最後に披露された曲は「MONSTER GENERATiON」はじまりの曲で、初めての単独公演を締め括る。9人の観客の前で初めてライブをした彼らは、さいたまスーパーアリーナをいっぱいに埋められるほどの存在になった。
これまで何度も聴いてきた“モンジェネ”もいつもより特別に聴こえる。「どんな景色を掴めるだろう」と歌っていた彼らの前に広がる景色は、想像していたものより大きかっただろうか。
この光景を止めてはいけないし、これからもっと大きな光に包まれる世界へ、きっと彼らは向かっていく。どんな時でも、IDOLiSH7は未来へ進む大切さを知っている。最後に「未来はこの手の中に」と歌う陸の姿を見て、きっと大丈夫だと確信した。
・・・
今回のライブは会場だけでなく、各地の映画館でのライブビューイングや、配信でも参加することができた。配信はアーカイブで1週間の視聴が可能だった。時間も空間もあらゆる次元を越える。これこそがLIVE BEYOND Op.7と名付けられた今回のライブだったのだろう。
僕はREUNIONのライブ後に書いた感想記事で、百の「体中に、精一杯、銀紙貼っ付けて、星のフリしてんだ」という言葉を引用して、必死に輝いている姿はアイドルそのものだった。と書いた。
アイドルのフリを必死にしているという固定概念が心の中に無意識にあったのかもしれない。でも今回のライブで楽しそうにステージに立つ7人の姿はアイドル以外の何者でもなかった。それは必死にフリをしているわけじゃなく、自然とそこにいる。少なくとも僕にはアイドルにしか見えなかった。
最後にオフマイクで彼らが伝えてくれる「ありがとう」そこに込められた沢山の想い。声では答えられないけど、精一杯の拍手と光でそれに応える客席。この美しい光景がずっと続いて欲しいと思った。
]]>待望だったTRIGGERの2ndアルバム「VARIANT」がリリースされた。アイドリッシュセブンに登場する4グループの中でも初めての2ndアルバム。それがTRIGGERという事だけでも胸が熱くなる。彼らには先陣を切る姿がよく似合う。
前回のアルバムがリリースされてからシングルや配信限定曲など、かなりの楽曲が発売されていた事もあり、既存曲6曲+新曲2曲という構成。初めにその内容を知った時には少し物足りないかもと思ったが、いざアルバムを一通り聴くとそれが全くの間違いだった事がわかった。
8曲30分というコンパクトなボリュームだからこそ、完璧な流れが作られている。この曲数・曲順で構成されているからこそ、既存曲の輝きが増している。「VALIANT」から「Heavenly Visitor」の流れで心が熱くならないリスナーはいないだろう。
曲数が多いのは聴き手としては嬉しい事かもしれない。だけど、それによってアルバムの完成度・スタイルが崩れてしまうのはTRIGGERの美学に削ぐわない。現在のTRIGGER、そしてこれからのTRIGGERが濃密に凝縮されている奇跡的な作品。それがこの「VARIANT」だろう。
既存曲の高いクオリティに加えて、今回収録された新曲「VALIANT」「バラツユ」は楽曲として素晴らしいだけでなく、TRIGGERの新しい一面、これからの指針となるかのような名曲だった。
「バラツユ」は90年代からJ-POPシーンに脈々と流れるR&Bの流れを汲んだ楽曲。もちろん当時からのテイストそのままな訳はなく、トラップ以降のリズムトラックやCメロでのエフェクト処理されたボーカル(心に刺さる)など、しっかりと今の音楽シーンに対応。
過去には八乙女楽のソロ「幸せでいて」という名曲があったが、3人で歌うバラードは意外にも初めて。3人の誠実さが素直に表現されたR&B。僕は、タイトルを初めて聞いた時に「Ballad to you」だと勘違いしたが、これはTRIGGERからファンへ向けた特別なバラードなのだろう。
視聴段階で名曲の予感がしていた「VALIANT」は予想の遥か先を行く楽曲だった。ピアノの美しさが印象的なインスト曲「The dawn ~Sword of VARIANT~」から、壮大なトラックと天の歌唱で始まる「VALIANT」
TRIGGERの気高さ、誇りをそのまま音楽にしたような歌唱が終わるとドープなベースラインが鼓膜を刺激する。ベースの上に聞えるのは彼らが初めて披露するラップ。「幕があがる時」のフロウが最高に格好いい。ここだけで何回でも繰り返し聴ける。ほぼベースとラップのみのストイックなサウンドに心が震える。
「We are TRIGGER」という3人の力強い宣言から音色が増え、そのままトラップ曲として進むかと思うと、ウワモノのシンセがスカやレゲエを思わせるように裏拍を刻む。こんな楽曲は聴いたことがない。新鮮さに驚いているうちに気がつけばピアノが美しいBメロ。一曲の中で異なるパートを次々と展開させるTRAVIS SCOTTの名盤「ASTROWORLD」を思い起こさせる。
J-POPシーンでもトラップ的なサウンドは当たり前のように取り入れられ、最早それ自体はアーティストのシグネチャーになり得ない。そんな中でTRIGGERは既に別の地平を目指している様に感じた。もっと新しいサウンドを。
サビではざらついたディストーションギターが鳴り、三人が高らかにメロディを歌い上げる。ビートが重く進み、あっという間にサビは終わる。あまりに潔い展開。サビをいかに聴かせるかに重点を置いたJ-POPとは根本的に考え方が違っている。
と色々と書いてみたものの、どうしてもしっくりこない。書けば書くほど陳腐な気がする。僕はこの曲を到底理解できていない。素人があれこれ書こうとしたところで、この斬新な音楽を言葉で表すことなど到底できない。
SOPHIEやArcaを思わせるノイジーで刺激的なサウンド。どこか感じるダンスホールレゲエのエッセンス。無理矢理リファレンスを挙げる事にもはや意味を感じない。カテゴライズなんて出来ないし、そもそもする必要も無い。とにかく革新的なサウンドが鳴り、曲は次々と展開し、リスナーの胸に突き刺さる。僕はそこに感動する。この新しいサウンドに。
個人的な見解として今作は「REGALITY」以降の彼らの総括と、これからの未来へ向かう宣言だと受け取った。彼らの積み上げてきたTRIGGERのスタイルはそのままに、次のステップへと進む力強い宣言。「バラツユ」の優しさでファンを優しく包み込み「VALIANT」の革新性でファンを新しい世界へ導く。
変わらない為に変わり続ける
この歌詞に集約されている。TRIGGERはこれからも自分達である為に変化していく。その為に見据えているのは世界という舞台かもしれない。「VALIANT」は明らかにJ-POPの枠に収まりきらない楽曲だ。世界で戦う為に得た革新性に満ちたサウンド。BTSの次にグラミーの舞台に立つアジア人アーティストはTRIGGERかもしれない。ついそんな事を想像してしまう。
「SECRET NIGHT」で「醒めない夢を一緒に」と歌っていた彼らが「VALIANT」で「醒めない夢を共に」とまた歌う。TRIGGERが描く夢はまだ終わらない。彼らが描く夢は、僕たちが想像していたものより遥かに大きいのかもしれない。
]]>IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻによるドラマ「ダンスマカブル」主題歌を歌うのはTIRGGER。久しぶりの彼らの新曲はこれまでのTRIGGERの魅力と共に、新たな一面も見ることが出来る名曲だった。
この楽曲が、これまでのTRIGGERのディスコグラフィーの中でも際立って大きなスケール感を持っているのはドラマ主題歌という事もあるだろうが、間違いなく彼らの成長も関係しているだろう。自分たちの事を歌うようだった「SECRET NIGHT」「DIAMOND FUSION」の頃よりも視線はより未来に向いている。
まるで荒廃した世界の真ん中で鳴るかのようなピアノのアルペジオからゆっくりと曲は始まる。ピアノの下では16分でルートを刻むベースが緊張感を持たせながらも曲の始まりを盛り上げる。
曲全体の基盤となるのはEDM。10年代に世界中に広まったパーティーを盛り上げるような派手なEDMとは真逆、シリアスにしっかりと作品世界を表現するダンスビート。深いリバーブやフィルター、細かなエフェクトの使い方で丁寧に構築されたサウンドスケープは、彼らの代表曲の一つ「In the meantime」を思い出させ、それだけで感情は揺さぶられる。ここぞという時にこだわりの詰まった曲をリリースするのが彼ららしい。
丁寧に始まる歌は曲の展開と共に次第に熱を帯びていく。高らかに鳴り響くコーラスは壮大な世界観をより強く表現している。感情を込めて歌われる「何が正義なんて答えよりも 君のためにそう負けないさ」という力強い言葉。サビへ向かってビルドアップ的に盛り上がるクラップとキックのバランスが気持ち良い。
サビに入るとこれまでの幽玄な印象を与えるサウンドから一転して、潰れるくらいに歪ませたディストーションギターがノイジーに響く破壊的なサウンドへと変貌する。まるでありったけの気持ちをギターの音に乗せたようなハードな音。音楽は歌だけじゃなく、音にも感情を込められる事を証明している。だから音楽は、芸術は尊い。
サウンドの随所に工夫が込められたトラックにも関わらず、スノッブな印象にならないのはドメスティックで耳馴染みが良くキャッチーなメロディのおかげだろう。どれだけ刺激的な存在であったとしてもTRIGGERはアイドルだ。様々なクリエイターが彼らの為に最高な楽曲を、衣装を、ステージを準備する。そして彼らは最前線でアイドルとして歌って踊る。
例えどんなに生きづらい時代であっても、世界が荒れ果てていても、真っ直ぐに明日への希望を歌えるのがTRIGGERというアイドルなんだろう。これまで、彼らの歌、言葉、そして生き様に刺激を受け何度も救われてきた。
この「My Precious World」という楽曲にも彼らの姿勢がしっかりと込められている。あくまでドラマ主題歌という位置付けではあるが、その歌詞から読み取れるのはドラマの世界観だけでなく、今の世の中に生きる僕たちに向けられたものでもある。例え自らがどんな状況であってもTRIGGERの三人はこの世界を愛している。そして道を切り開いていく。そんな彼らから僕たちが受け取れるものは数え切れないほどあるだろう。
この曲はTRIGGERから世界へ、そして明日へ向けられた希望そのものだ。どんな立場にいる人に対しても、彼らは等しく慈しみの心を持って対峙する。それは愛そのものではないだろうか。人によって世界は構成される。人に、世界に対するラブレターのような曲。だからこそ「My Precious World」は心に突き刺さる。
僕は彼らのように真っ直ぐ世界を愛せているのだろうか。例え今それが出来ないとしても、これからはもっと世界を愛したいと思った。
]]>リリースが延期になっていたIDOLiSH7のシングル「DiSCOVER THE FUTURE」のカップリングとして収録された新曲「Everyday Yeah!」やっと聴くことができたこの曲は、多くの人が予想していたであろう元気なサマーチューンではなく、何気ない僕たちの毎日にそっと寄り添ってくれる優しい歌だった。
インディーロック風な軽やかなギターストロークで曲は幕を開ける。彼らの新しい魅力である美しいコーラスワークで彩られるイントロ。陸の優しい歌声から浮かび上がる情景は特別じゃない毎日。誰もが共感できる日常の風景をメンバーが次々と歌い繋いで思い描かせる。
Bメロになると曲は展開しカラフルな音色が鳴り、彼らの歌声もそれに呼応するように熱を帯びる。サビに向かってビルドアップするトラックと一織のエモーショナルな歌声が絡み合い、高揚感が最高潮に達したまま曲はサビへ。
一度聴いたら忘れられないキャッチーなメロディの裏で奏でられるハウス的な跳ねるピアノのフレーズ。日常を生きる僕たち全てを肯定する曲のテーマと、その場にいる全ての人を肯定するハウスパーティのエッセンス。それらが呼応する素晴らしく美しいストーリー。
セカンドバースでは更にダイナミックになったリズムが力強く曲を展開させる。その一方で2度目のビルドアップ前の静けさの中でナギが歌う「もっと認められたかったな」一織が歌う「もっと素直に頼ってみたいな」という繊細なフレーズが心に染み渡る。大和が心情を吐露するように歌う「後悔 夜空放て」この歌詞に涙しないリスナーはいないだろう。
シンプルなイントロから始まり、Future Bass的に沢山の鮮やかな音色で彩られて盛り上がった楽曲は、指を弦に滑らせる音で静かに幕を閉じる。明け方のクラブで多幸感に包まれ、泣きそうになりながら踊るイメージ。
これまでIDOLiSH7というグループは僕たちの背中を押し、勇気付けてくれる曲を多く歌ってきた。第二部を代表する楽曲である「RESTART POiNTER」でも彼らは何度だってやり直せると力強く僕らを鼓舞し続けた。「Everyday Yeah!」は、そんなIDOLiSH7が見せてくれた新しい表情なのかもしれない。
誰もが日々、やるせない感情や、抑え込んでしまった気持ちを抱えて暮らしている。後悔も、我慢も、諦めてしまった夢も全てを含めた僕たちの現在・毎日を、心からの「Yeah!」というたった一言で全て肯定してくれる力強く、優しい曲。
挫折して気持ちが奮い立たせられない時には、無理せずそのままでも良いと隣にただ居てくれるように、また立ち上がりたいと思った時にリスタートすればいいんだと寄り添ってくれる。
IDOLiSH7は数々の名曲を歌ってきたが「Everyday Yeah!」という新たなアンセムが誕生し、彼らの新しいライブを体験したいという気持ちが高まる。いつの日かまた彼らがステージで踊り、歌う姿を心待ちにしながら、何気ない毎日の尊さを噛み締めて日々を過ごしたいと強く思った。僕が僕であることを大切にしながら。
]]>僕がアイドリッシュセブンを始めたのは3年前。それまでの僕は2次元アイドルは勿論、携帯ゲームもそんなにやっていなかった。先に始めていた妻から是非やってみてくれと進められるがままにプレイし、気がついたら夫婦揃ってどっぷりとハマっていた。
もともと妻自身もゲームを沢山やる方でもないし、男性アイドルにハマったこともない。アニメもほとんど見ないし、漫画も王道の少年漫画や少女漫画を読む程度。そして僕の好きなものは音楽や映画、海外ドラマ、漫画や本は妻よりは幅広く読むが、アニメは興味があるものを観るくらい(成人してから久しぶりにシリーズ通して観た作品が偶然にもTROYCA制作のアルドノア・ゼロだった)
妻は血が出る作品が苦手だし、感情移入し過ぎてしまうから実写作品も苦手、音楽も明るくポップな曲が好き。僕はホラーや余程くだらないものでなければ大体の映像作品は好きだし、陰鬱な音楽ばかりずっと聴いている時もある。僕と妻には共通して好きなコンテンツが少なかった。
僕たちはある意味ではアイドリッシュセブンとは距離がある地点からスタートしているのかもしれない。そんな我々がこの作品を知ってから3年間どっぷりとズブズブにハマり続けている。それはちょっとした奇跡みたいだ。アイドリッシュセブンにはそのくらい作品としての力がある。
アイドリッシュセブンを始めてから僕達には大切な日が増えた。お互いの誕生日や、結婚記念日、愛猫みよ子を家族として迎えた日。今ではそれに加えてアイドリッシュセブン各グループの記念日、お互いの推しの誕生日を始めとした月々のアイドルの誕生日。
新しいイベントや新規カード情報が出れば「見た!?」「やば!」「無理ー!」と盛り上がり、ストーリーを読めば戦友のようにお互いを励まし合いながら読み進め、新曲を聴いた時には「ここがやばい」という聴きどころを早口でプレゼンする。
つまりアイドリッシュセブンは僕たちの人生の一部として存在している。アイドリッシュセブンに喜び、アイドリッシュセブンに泣いている。この作品に出会ってからのライフスタイルは大きく変化した。少なくとも僕たちにとっては一緒に楽しめる大切なものが増えた。
アイドリッシュセブンは僕にとって最初は未知のものだった。未知のものに触れるのは怖い。でも一歩を踏み出せばその先には知らない世界が待っている。今まで自分の中で無意識に規定していた世界はパラダイムシフトして、かつて見たことのない新しい景色を見ることができる。
はじまりの曲で「届けてみせるよ」と歌っていた彼らの想いは確実に僕たちに届いている。
ありがとう。アイドリッシュセブン。
]]>待ちに待った「アイドリッシュセブンSecond BEAT!」が2020年4月から放送開始となった。アニメ第1期がストーリー解釈・クオリティの高さ・ファンへのサプライズなど、どこを取っても名作と呼ぶに相応しい作品だった事もあり、Second BEAT!への期待は最高潮に高まっていた。そんな中、いざ放送が始まり久しぶりに体験したアニメ作品としてのアイドリッシュセブンは相変わらず素晴らしく、放送時間があっという間に過ぎてしまう時間伸縮型アニメとしての姿も健在だった。
すでにアプリ内で十二分に堪能しているストーリーだが、アニメーションとして見ると、あのシーンはこんな感じだったのかと思わされるところばかり。キャラクター全員が活き活きと動き(中には予想以上に活き活きと動いて驚いた人物も)彼らと再会できた事に本当に喜びを感じている。
そして、本編と共に僕が心から楽しみにしていたのがオープニングとエンディングの曲だ。第1期では作品の新たな旅立ちに相応しく、IDOLiSH7のポジティブなエネルギーに満ち溢れた「WiSH VOYAGE」TRIGGERの新たな一面を聴かせてくれて驚いた「Heavenly Visitor」と、各曲共に期待を上回る素晴らしさだった。
これまでアプリ内や、バースデイ企画でも抜群にハイクオリティな曲を聴かせてくれてきたアイドリッシュセブン。アニメ新シリーズのオープニング、エンディングとなれば期待値はどれだけ上げても上げ過ぎにはならないだろう。そんな心構えで初回の放送日を迎えた2020年4月5日、僕はオープニングで号泣して、エンディングでも号泣した。
オープニング曲は当然IDOLiSH7。彼等らしく元気でエネルギッシュなこの曲はオープニングに相応しく明るくポップ、そしてこれまでのIDOLiSH7史上、最も“アイドルらしい”楽曲だと感じた。
アイドルらしいとは何だろうか。これはあくまで主観的な話になってしまうのだが、聴く人に元気を与えるアップテンポなビートと、一緒に楽しむことができるコールアンドレスポンス。これらはアイドルソングの重要な要素ではないだろうか。
「DiSCOVER THE FUTURE」のアップテンポなビートは思わず体を揺らしたくなる。これまでにも「THANK YOU FOR YOUR EVERYTHING!」や「PARTY TIME TOGETHER」などテンポの早い楽曲はあったが、今回の「DiSCOVER THE FUTURE」も含めて共通して感じるのは、楽しさと切なさが共存している点だと僕は思う。楽しいからこその切なさ。それは掛け替えのない時間が終わって欲しくないという気持ちだろう。そんな繊細な感情をIDOLiSH7の楽曲は見事に刺激する。
そしてもう一つの要素であるコールアンドレスポンス。IDOLiSH7はそれこそ始まりの曲「MONSTER GENERATiON」から曲中でファンと共に歌い合えるパートがあった。ライブでアイドル達と歌声を重ねられるのはファンにとっての喜びの一つだろう。
「DiSCOVER THE FUTURE」でのサビ中のコールアンドレスポンスはこれまで以上にシンプルかつ曲の勢いに乗っているので、例えば小さな子供でも一緒に歌って楽しみやすい。それは陸をセンターにしたIDOLiSH7の形にぴったりなイメージだと僕は思う。
それと同時に、この曲が子供っぽくならないのは、全編に渡って流れる上品なストリングスのフレーズや、スケールの大きさを感じさせるサビのメロディがあるからだろう。それらの要素が「DiSCOVER THE FUTURE」という冒険を感じさせるタイトルに見事にマッチしている。彼らの冒険はいつも未来へ向かうためのものだ。
そしてエンディングテーマを歌うのは予想通りRe:valeだった。第1期のようにエンディングが入るのは3話目くらいだと勝手に思い込んでいたので初回放送日の最後、不意に流れてきたイントロの素晴らしさもあって大号泣。泣き過ぎて頭が痛くなる。あぁこの感じアニナナを観てるんだなと変な感慨深さを感じた。
今回、Re:valeが聴かせてくれたのはポストロック的なバンドサウンド。これまでにも様々な曲を歌ってきたRe:valeだが、今回の「ミライノーツを奏でて」はまた新たな一面を聴かせてくれた。美しいピアノのフレーズから始まるこの曲は、誰もが心を動かされる素晴らしいメロディと様々な音楽的要素を同居させた、さすがRe:valeと思わずにはいられない名曲。
いくつも複雑に絡み合う楽器の音、エレキギター、アコースティックギター、ピアノ、ストリングス、ベース、ドラム、一音一音どの音も程よく生っぽさがあり、耳触りが良くて心地良い鳴り方をしている。それぞれの楽器が奏でる短いフレーズを左右に幅広く配置したミキシングは曲の世界を大きく広げる。初めてヘッドフォンで聴いた時にはそのこだわりに本当に感動した。
ミキシングの妙を最も感じさせるのが、ミニマルミュージック的な要素を入れ込んだAメロではないだろうか。スティーブ・ライヒを思わせるミニマルなピアノとストリングスが独特な緊張と世界観を構築。しかもそれを小難しく感じさせず、単純に美しさとして楽曲に取り入れているところに抜群のセンスを感じる。
そして、そんな音へのこだわりを丸々飲み込んでしまう程に素晴らしいのがメロディと歌詞だ。Aメロからサビまでとにかくキャッチーで心の琴線に触れる歌。絶妙なバランスでハーフになるリズムの展開と相まって何度聞いても涙をこらえる事ができない。特にBメロで千の歌う「現実の乱反射に瞳閉じたくても」という一節。こんなに切実で美しい言葉があるだろうか。
今回のアニメシリーズでは、本編ラストに重なるように「ミライノーツを奏でて」のイントロが流れる。そのタイミングと物語の展開が絶妙過ぎて毎回、観終わるたびに号泣してしばらく放心状態になる週末を過ごしている。
世界中の誰もが今、新しいウィルスによって混乱の時期を過ごしている。そんな中で、「アイドリッシュセブンSecond BEAT!」は放送の延期を決定した。それは本当に難しい判断だったと思うが、いつだってファンはもちろん、作品の質や作り手を最優先にしてきたこの作品だからこその英断だと思う。僕はより一層、アイドリッシュセブンの事が好きになった。
「天気の子」や「ファイトクラブ」でのラストシーンがそうだったように、今は世界の形が変わってしまったのかもしれない。誰にもこれから先がどうなるのか分からない中、僕たちが進むのは未来だけだ。アイドリッシュセブンはいつだって未来へ向かう大切さを語り続けていてくれた。ストーリー第3部のキャッチコピー「見据えて未来だけ」がそうだったように。
DiSCOVER THE FUTURE
今日がどんな状態だって、僕たちは未来を見つけに行ける。たくさんの困難を乗り越えてきたアイドルの姿から僕はそれを教わってきた。彼らは今日も力いっぱい笑顔で歌い、踊る。そんな彼らの姿を知っていながら下なんて向いている暇はない。
僕たちにも今だからこそ探せるミライがあるのではないだろうか。そこで鳴るオトはきっと力強い。Second BEATは鳴り止まない。第一話の始まりの鼓動と同じように、それは今も僕たちの中でしっかりと鳴り響いている。
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