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アンチエイジングの観点から診る
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アンチエイジング医学とは、中高年期以降の老化対策のみに非ず。近年の研究により、私達が一生涯に亘り健康を享受出来るかは、胎児期を含む極めて早期の環境や生活習慣に、その起源がある事が分かって来ました。DOHaD説とは、将来の健康や疾患リスクは、胎児期や生後早期の環境によって決定されると言う説で、母体の喫煙や低栄養が児の将来の生活習慣病リスクを高めるとするものです。また、骨量や筋肉量の最大値は小児期から思春期に掛けて形成され、この時期にどれだけ貯金を溜められるかが、老年期の骨粗鬆症やサルコペニアの予防に直結します。
人生ずっとアンチエイジング。DOHaD説とは、「受精時や胎生期の子宮内および乳幼児期の望ましくない環境(低栄養または過剰栄養、ストレス、環境化学物質等)への暴露がエピゲノム変化を起こし、それが疾病素因となり、その素因に出生後のマイナス環境要因(過剰栄養、ストレス、運動不足等)が加わる事によって成人病が発症します。つまり、成人病はこの2段階を経て発症し、その疾病素因は世代を超えて伝達する」と言う、健康及び疾病リスクが受精時、胎生期、乳幼児期の人生早期に形成されると言う概念でです。つまり、対策は早過ぎるって事はないってお話なんです。
1980年代から1990年代にかけて、低出生体重児が、成人期に糖尿病や高血圧、脂質異常症等のリスクが高い事が疫学的に報告されました。イギリスのBarker博士はこれを基に胎児プログラミング仮説を提唱しましたが、低出生体重以外の体質変化や世代を超えた影響を説明出来ない限界がありました。これを発展させ、Gluckman博士とHanson博士がDOHaD仮説を提唱しました。 DOHaD仮説では、胎児期や乳幼児期の環境に応じて、遺伝子発現を調節するエピゲノム変化が起こり、これが将来の疾病リスクに影響します。エピゲノム変化は、食事、薬物、ストレス等の後天的要因によって生じ、場合によっては世代を超えて伝わる事もあります。 胎児期や乳幼児期は、疾病リスクを決定するwindow periodとされ、この時期からの適切な栄養や生活環境の介入により、将来の生活習慣病や慢性疾患の発症を予防出来る可能性があります。これに基づく医療は「先制医療」と呼ばれ、従来の「病気になってから治す医療」とは異なるアプローチです。 胎児の発育は、単に遺伝的な要因だけで決定されるものではなく、母体の栄養状態やホルモン環境、生活習慣、心理的・社会的ストレス等の、複合的な環境因子の影響を受けています。特に、胎児発育の抑制を齎す要因は、大きく、「母体要因」「胎盤要因」「胎児要因」に分けられます。
■母体要因
妊娠中の低栄養は、胎児への酸素・栄養補給を制限し、出生体重の低下を引き起こします。
■胎盤要因
胎盤の血流障害や機能低下は、胎児発育遅延の主要因です。これ等の胎盤機能に与える要因として、妊娠高血圧症候群、母体喫煙、ストレスホルモン(コルチゾール)上昇等が知られています。
■胎児要因
遺伝子的背景の他、染色体異常、感染症(トキソプラズマ、サイトメガロウィルス等)、多胎妊娠等があります。
「妊娠中の喫煙が、出生後の肥満」と言う一見逆説的な連鎖が、有名です。妊娠中の喫煙により、煙草に含まれるニコチンや一酸化窒素が血管収縮を引き起こし、胎盤絨毛への血流を減少させます。また、一酸化窒素はヘモグロビンと強固に結合し、酸素運搬能を低下させます。結果として、子宮内胎児発育遅延を来す訳ですが、胎児としては、生き延びる術として、限りある資源(栄養)を最大限に活用出来る代謝システムを構築して、対応を図ります。つまり、少ない栄養を効率良く吸収・貯蓄する体として進化しちゃうんです。そうなると…出生後に栄養状態が改善されると、寧ろ過多となり、肥満になってしまいます。実際、母親が妊娠中に喫煙していた児では、出生時のBMIが、喫煙していない児に比べて小さかったにも拘らず、3歳までに逆転し、特に男の子ではBMI値が大きくなる事が知られています。この様な出生後早期の急激な体重増加は、世の中的には発育が追い付いたとみなされる事も多いですが、長期的には好ましいとは必ずしも言えず…、乳児期に体重が急増した児程、身長の伸びのピークが早く訪れ、その後の伸びが早期に鈍化する早熟型の発育曲線を呈し、最終的にはチビ、デブに。インスリン抵抗性を介して、生活習慣病リスクが高まる事が知られています。
前述の通り、出生後早期に急激な体重増加を示した児では、身長の伸びのピークが早まり、最終的に低身長で終わる…。出生体重の減少が、大人になってからの平均身長の推移に影響している可能性が指摘されています。
日本人の出生体重と成人身長の年次変化の出生コホート別に分析によれば、1969年から1996年生まれの男女の平均成人身長が、1980年前後を境に頭打ちとなり、その後低下傾向に転じました。同時期に、低出生体重児(2500g未満)の出生割合が増加しており、両者の間には強い逆相関関係が認められました(相関係数-0.95)。この結果は、胎児期に低栄養環境に暴露された児は、出生後早期に急激な体重増加が起こり、一時的には体格は追いつくも、発育のピークが早期化し、最終的な成人身長が抑制される事を示唆しています。
アンチエイジングと言う言葉は、しばしば中高年専科のイメージですが、DOHaD説的観点から言えば、老化は大人になってから唐突に始まるものではなく、胎児期から緩やかに続くプロセスなんです。ですから、アンチエイジングの本質は、時間を巻き戻す事ではなく、生まれる前から健康寿命を延ばす事なんです。ですから、若い女の子の痩せ志向の強い社会では、妊娠前からの栄養改善と禁煙支援が重要な課題になります。
谷川俊太郎と和田誠がタッグを組んだ、最強の絵本『がいこつ』。僕は死んだら骸骨になりたい。骸骨になってようこちゃんと手をつないでいたい。いじめられてもお腹がすいても骸骨は平気だ。誰かを本当に好きになったら、恐いものはない。
骨や筋肉の量や質には大きな個人差があり、その差の多くは小児期に形成されますが、この時期の生活習慣やトレーニングが大きく関与し、その後の老年期の骨粗鬆症やサルコペニアの予防(美容通信2027年10月号)に直結します。
骨密度は、およそ13歳頃から急速に増加し始め、18歳前後でpeak bone mass、即ち、生涯で到達し得る最大の骨密度に達します。その後、暫くは横ばいで推移しますが、女子では閉経を迎える50歳前後から、男子では緩やかではありますが持続的に減少します。同様の年齢変化は、筋量の指標である握力でも観察されます。筋肉については、ピーク時点でどの程度の筋量があれば、老年期のサルコペニアを確実に防げるかを示す明確なエビデンスは未だありません。しかし、骨に関しては、小児期にpeak bone massを10%増加させる事が出来れば、骨粗鬆症の発症を約13年遅らせると試算されています。しかしながら、推奨される運動量に達していない小中学生が半数以上占める現状では、将来の骨密度の低下は避けられない可能性が指摘されています。
国際骨粗鬆症財団のposition paperによれば、カルシウム摂取は、peak bone massを高める要因としてエビデンスレベルA(推奨摂取量:4~8歳で1000mg/日、9~18歳で1300mg/日)に、ビタミンD摂取はレベルBに分類されています。しかし、健常なお子ちゃまにカルシウムを摂取させたところで、骨密度が顕著な増加するなんて単純なお話ではありません。上肢や全身の骨ミネラルの含有量には僅かな増加が認められたものの、股関節(大腿骨頸部)や腰椎の骨密度に於いては明らかな効果は認められず、骨折のリスク低下にも結び付かないとされています。
カルシウムは、運動による骨密度の増加を図る為の下拵え=土台作りでしかありません。しかし、運動だけでは、骨密度の増加効果の恩恵を十分に得る事は出来ません。カルシウム充足していると言う前提の上の、運動による増加効果なんです。興味深い事に、下腿骨よりも大腿骨の方が、両者の相乗効果を享受しやすいようです。特に、思春期の女子では、カルシウム摂取量が乏しく、その背景としては乳製品の摂取の少なさが指摘されています。
日本人では、カルシウムに加えて、骨形成に不可欠なビタミンDの不足も良く知られています。12~18歳の健常な女子を対象にした報告によれば、女子の約47%が20ng/ml未満と、男子に比べてビタミンD欠乏の割合が高く、その濃度は踵骨の骨密度に有意に寄与し、その影響は女子でより大きかったそうです。更に、カルシウム摂取量を加味して解析を行うと、カルシウムとビタミンDの両者が欠乏している群では骨密度が最も低く、次いでいずれか一方のみの不足群、両者が充足している群の順に骨密度が高い事が示されています。
つまり、運動器のアンチエイジングの為には、小児期から、カルシウム・ビタミンDを中心とした栄養素を充足させ、運動を習慣化させる事が、将来の骨密度の増加と骨折抑制に繋がります。
運動器の老化制御に様々な再生医療が応用されていますが、今後は細胞老化細胞除去治療(美容通信2027年12月号)等の抗加齢医学の進展により、多くの高齢者が自立的な生活を送ってもらわないと、父親に振り回されて疲労気味のHISAKOにとっても、不便で仕方がありません(笑)。今回のHISAKOの父親の不調は、腰椎の骨折(美容通信2027年10月号)から始まりました。HISAKOの腰椎の骨折の原因は30年前の放射線治療の後遺症による骨髄抑制と、原因は違えど、骨折は骨折。骨折に於いてはHISAKOの方が大先輩です。小児期にも、ましてや胎児期に戻れない中高年の私達が、今更何を足搔けるのかに焦点を当てて考えます。
骨の老化に於いて発症する疾患として最も深刻な疾患は、骨粗鬆症です。骨粗鬆症は、脆弱性骨折のリスクを高め、生命予後を悪化させます。骨粗鬆症の治療薬は多く開発されており、骨折の予防効果が明らかにされています。しかしながら、骨粗鬆症の薬物療法に於ける服薬状況は、治療開始後1年で、半数近くの症例で処方通りの服用が出来ずに脱落してしまうのが現状のようです。骨の老化に関与するスリ因子としては、ホモシステインが知られています。高ホモシステイン血症は、骨や血管の老化に関与するとされています。骨の老化に関与する併存疾患としてはフレイルが有名ですが、フレイルは骨の老化のリスクとなり、骨の老化はまたフレイルのリスクとなる…。
骨粗鬆症の診断に於いては、骨密度測定が柱となりますが、その骨密度は遺伝性が大きな要因となります。例えば、母娘間の骨密度での遺伝性は前腕骨骨密度で72%、大腿骨近位部で67%と言う報告もあり、骨密度に於ける遺伝の影響は凡そ50~70%と考えられています。両親の大腿骨近位部骨折歴がある場合、骨粗鬆症骨折のリスクは1.54倍、大腿骨近位部骨折のリスクは2.27倍と強い影響がある事が知られています。
また、25歳時の身長よりも4cm以上の身長低下がある場合は、椎体骨折を罹患しているリスクは2.8倍と報告されています。
骨の老化に関与する因子は、様々知られています。
ホモシステインは、メチオニンやシステインの生成に必要な必須アミノ酸で、メチオニンサイクルと呼ばれるメチオニン代謝過程で生成されます。葉酸とビタミンB6はメチオニン代謝に関与する栄養素で、葉酸の不足によりメチオニン代謝に異常を来し、高ホモシステイン血症から動脈硬化を促進する事が知られています。また、生活習慣病に伴う脂肪肝等による肝機能の低下は、ホモシステイン代謝酵素であるメチオニンシンターゼの活性を低下させ、高ホモシステイン血症を惹起させます。更に、Ⅱ型糖尿病患者では、非糖尿病患者に比べて、血中ホモシステイン濃度が高いとされています。その原因としては、糖尿病患者に於いては機序不明ではありますが、ビタミンB群が低下している事や、糖尿病治療薬であるメトホルミンがビタミンB12、葉酸の吸収阻害を生じる事、更には糖尿病に於ける酸化ストレスがホモシステインの産生を高める事等が考えられています。この様に、生活習慣病、特に糖尿病に於いては、高ホモシステイン血症を介した動脈硬化が進行する経路が注目されています。
動脈硬化に加えて、ホモシステイン高値は骨折のリスクと強く関連します。この骨折リスクは骨密度に依存せず、骨質を悪化させ、骨折のリスクを高めます。
MTHFR遺伝子は、メチオニンサイクルに於いて重要な酵素です。MTHFR遺伝子上のアミノ酸変異を伴う一塩基置換遺伝子多型(SNP)が知られています(C667T多型)が、このC667T多型では、MTHFRの酵素活性が低下し、ホモシステインの血中濃度が上昇します。同時に動脈硬化のリスクを高め、脳血管障害や心血管イベントとも関連があるだけでなく、骨折との関連が多く報告されています。つまり、MTHFR遺伝子に於けるC667T多型は、骨の老化・脆弱性と動脈硬化に共通した側面を有するSNPであると考えられています。
高齢者に於いては、通常の成人と比較して予備能が低下している為、病気になった時の回復力が低下しており、健常な状態から要介護状態に突然移行するなんて事は、脳血管障害や骨折等の際に良くある日常茶飯事の話です。しかし、その一方で、高齢者、特に75歳以上の後期高齢者に於いては、フレイルと言う中間的な段階を経て、徐々に要介護状態になってしまう症例も多く認められます。フレイルは、加齢と共に心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存等の影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態ですが、一方で、適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像を言います。フレイルの構成要素としては、身体的、精神的、社会的要素から構成されており、総合的な老化を反映した概念です。
骨の老化によって発症する骨粗鬆症はフレイルの構成要素であり、実際、フレイルを来しやすい事が知られており、日本の運動器疾患の代表的なROAD研究では、フレイルの発症リスクが3.07倍に上昇したとの報告があります。分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、筋肉の蛋白質に多く含まれる必須アミノ酸で、筋肉のエネルギー源や筋肉の保持・増量に重要な役割を果たしていますが、骨のアンチエイジングとして注目を浴びている介入可能な因子です。
腱は、筋肉と骨を繋ぐ重要な結合組織であり、エネルギー伝達等の運動機能の維持に不可欠とされています。しかし、加齢や過負荷により損傷や変性を受けやすいにも拘らず、その治癒過程は時間を要し、且つ不完全な治癒に終わる事が多い…。腱が損傷や変性によりその本来の機能を失うと、変形性関節症を始めとした種々の疾患を引き起こし、生活の質の低下に繋がります。
腱は、主にⅠ型コラーゲンを豊富に含む、細胞外基質(ECM)に富んだ強固な結合組織です。腱の最小単位であるトロポコラーゲンは、2本のコラーゲンα1と1本のコラーゲンα2から形成されています。これ等が結合し、整然と配列し、コラーゲン原線維→コラーゲン線維→コラーゲン線維束→腱となります。腱細胞は、ECMを産生し、腱の恒常性を維持します。また、腱細胞は機械的刺激に応答して、ECM産生を調節します。ECMとしてDecorin(DCN)やBiglycan(BGN)等のproteoglycan(PRG)やLubricin(LUB)、Elastin(ELN)を含み、コラーゲン線維の方向を決める他、腱の弾力性の担保します。
腱内部や腱鞘中には、多分化能や自己複製能を持ち、腱細胞へと分化する幹細胞であるtendon stem/progenitor cell(TSPC)が存在している事が知られており、この中には複数の集団が存在し、夫々異なる役割を持っていると考えられています。
腱の損傷は、アキレス腱断裂や腱板断裂等のスポーツ活動や日常活動作で頻繁に認められる急性損傷と、慢性的な過負荷による微小損傷の蓄積を原因とした慢性損傷(腱症)に大別されます。
腱の修復過程は、一般的に、炎症期、増殖期、リモデリング期の3段階に分けられます。炎症期には、種々の成長因子やサイトカインを含有した血腫が生じ、修復過程が開始され、壊死組織の除去が行われます。増殖期は、内因性修復と外因性修復に分けられます。内因性修復では、腱細胞等が遊走し、コラーゲン原線維を模した構造物を形成します。外因性修復は、マクロファージ等が線維芽細胞を損傷部に遊走させる事で始まります。線維芽細胞は、Ⅲ型コラーゲンを主体とした規則性のない細胞外基質を産生し、力学的に弱く滑走性のない組織を作り、リモデリング期にⅢ型コラーゲンからⅠ型コラーゲンに置換され、Ⅰ型コラーゲンが配向性を持つ事で機械的強度が上昇します。
腱は血流が乏しく、腱細胞の代謝活性が低い等の理由から、自然治癒能力には限界が出て来ます。回復には長期間を要しますが、それでも元の腱組織を取り戻す事は困難です。修復組織は、しばしば瘢痕組織の特徴を示し、力学的特性や弾性が低下した状態になります。これ等を克服する為に、腱の再生医療として幹細胞療法、成長因子療法、足場材料の移植等の様々な試みがなされています。
整形外科領域では、骨髄由来間葉系幹細胞や脂肪由来幹細胞、更にはTSPC(腱細胞へと分化する幹細胞であるtendon stem/progenitor cell)の注入療法が行われています。腱細胞への分化による直接的な効果だけでなく、成長因子やサイトカインの分泌を通じた周囲の細胞の活性化や、血管新生を促進するパラクライン効果も、主要な作用機序です。臨床試験では、疼痛軽減や機能改善効果等の報告があります。
血小板由来成長因子(PDGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、形質転換成長因子β(TGF-β)等の様々な成長因子を単独又は組み合わせて投与する事で、腱の再生を促進します。特に、多血小板血漿(PRP)療法(美容通信2006年12月号)は様々な成長因子を含み、自己由来血小板を濃縮して得られる事から、臨床応用が進んでいます。自己由来の為、免疫拒絶や感染リスクが低く、複数の成長因子の投与が可能で、調整が比較的容易半面、組成に個人差が大きい為に標準化がし難く、又半減期が短い為、局所での濃度維持が難しいのが欠点とされています。
足場材料は、腱の再生医療に於いて重要です。コラーゲン、シルク、合成ポリマー等が使われていますが、これ等は足場材料としてでなく、成長因子のデリバリーシステムとしても機能します。現状では、ナノファイバーやハイドロゲル等の、より精密な構造制御が可能な材料が開発途上君状態です。足場材料としては、エレクトロスピニング、三次元バイオプリンティング等も注目株です。
老化とは、様々な器官が組織の恒常性を維持する機能的能力の全体的な低下と、再生応答の減少と定義されます。幹細胞及び前駆細胞の数と修復能力の加齢に伴う低下によっても引き起こされ、組織の機能的特性、恒常性、修復能力の低下と並行して変性や萎縮を来します。腱の老化は、ECM変性、腱細胞の機能低下、酸化ストレスの萎縮等、複数の要因が関与する複雑なプロセスです。腱組織に適したバイオマーカーが存在せず、未だ、老化に伴う腱の変化は未知の部分が多いのが現状です。
腱組織では、加齢による有意な損失は起こらず、総コラーゲン含有量とコラーゲン細線維の径も大きく変化しません。加齢に伴う腱の細胞外マトリックスの主な変化としては、コラーゲン架橋の増加、コラーゲン線維の配向性の乱れ、PRGの減少及び組成変化、ELN含有量の減少等が起こりますが、これが、腱の力学的特性の低下及び損傷リスクの増大に繋がります。腱のコラーゲンの架橋が増加すると、腱の弾性率と強度は低下し、柔軟性と損傷後の治癒能力が損なわれています。更に老化した腱では、脂肪形成、軟骨形成、石灰化が起こり、腱の構造と機能を損ないます。
TSPCsの機能低下も、腱の老化の重要な要因です。加齢に伴い、TSPCs数は減少し、形態も紡錘形型から扁平な星状に変化します。多能性マーカーは陽性を示しますが、多能性、多分解能、ECM合成能の全てが低下します。代謝及び遊走能も低下します。老化したTSPCsは、早期に細胞老化に入り、細胞接着、移動、アクチン細胞骨格の調節、及び細胞-マトリックス相互作用の調節不全に関連する遺伝子発現プロファイルが変化し、組織恒常性の破綻に繋がります。老化したTSPCsから作成した3次元腱オルガノイドは、ECM産生が乏しく脆弱です。これ等から、老化に伴うTSPCsの機能変化が腱の再生能に影響する事が明らかであり、TSPCsを標的にした治療戦略もありです。TSPCsの加齢変化がエピジェネティックな修飾(美容通信2024年1月号)、成長因子レベルの低下等に関連すると言う報告もあり、様々な分子メカニズムの解明が今後治療法の開発に繋がると考えられています。
酸化ストレスの増加は、蛋白質の酸化修飾、脂質過酸化、DNA損傷、ミトコンドリア機能障害(美容通信2017年7月号)を引き起こし、炎症反応や細胞老化を促進し、腱組織の変性を加速させます。腱組織でも、インフラメージングと呼ばれる慢性的な低グレードの炎症状態が起こっています。炎症性サイトカインの増加、抗炎症性因子の減少により、ECM分解酵素の活性化や炎症解消能力の低下を引き起こします。腱の老化を制御し、その機能を維持・改善する為に、抗酸化療法、老化細胞除去療法、代謝抑制、エピジェネティック制御等の様々なアプローチが検討されています。
外因性抗酸化物質(ビタミンC、E、ポリフェノール等)の投与(美容通信2016年11月号)により、腱組織の酸化ストレスを軽減するので、老化進行の抑制が期待出来ます。内因性の抗酸化防御機構を強化するアプローチとしては、Nrf2経路(美容通信2026年3月号)の活性化、グルタチオン(美容通信2018年7月号)合成促進等があります。
炎症性サイトカインを分泌し、周囲の細胞に悪影響を及ぼす老化細胞(美容通信2027年10月号)を選択的に除去する薬剤はセノリティクスと呼ばれ、老化細胞に特異的な生存経路を標的としている。様々な経路を標的とした薬剤、例えばLactitol+(美容通信2027年12月号)等の開発が進んでおり、腱組織への応用も期待されています。
代謝抑制(美容通信2027年11月号)は、全身の老化を遅らせる(美容通信2027年10月号)事が知られており、腱組織に於いても老化抑制効果がある事が知られています。カロリー制限や間歇的絶食を模倣する薬剤の開発も進められています。
腱細胞の遺伝子発現プロファイルを若齢化し、腱組織の再生能力を高める可能性が指摘されています。主なエピジェネティック制御法(美容通信2022年7月号)としては、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、DNAメチル化阻害剤、ヒストンメチル化修飾酵素阻害剤等の使用が挙げられます。
マルチモビディティと、ディケンズのクリスマス・キャロルのスクルージを同一視すべきかは見解が大いに分かれる所ではあります(笑)が、マルチモビディティとは、一般に2つ以上の慢性疾患が併している状態で、中心となる疾患を特定出来ない状態です。しかし、両者は全くの別物かと言うと…必ずしもそうではなくて、同じ集落に住む顔見知り程度的な関係。しかし、近年、マルチモビディティ患者は増加の一途で、年齢と共に有病率が増加します。我が国では、2022年に発表された研究によれば、非入院・非施設入所の65歳以上の高齢者で40.9%でした。性別とはあまり関係性はなく、寧ろ、社会的・経済的な要因はリスクで、更には、精神・神経疾患の合併リスクをUPさせる事が分かっています。これまでの疫学的研究から、身体不活発、不健康な食生活、肥満、喫煙等の生活習慣や大気汚染が、マルチモビディティ発症リスクを増加させます。
マルチモビディティは、死亡率の上昇率、QOL低下、ADL低下、精神的不健康、医療費の増大、処方数の増加、再入院率の上昇、術後合併症の増加、入院日数の増加、救急受診率、外来受診回数の増大に関連します。マルチモビディティの生命予後に与えるインパクトは、50歳以降、加齢によって上昇し、併存する慢性疾患数が多い程、その上昇は顕著になります。そして、疾患を複数持っているって事は、単に通院する病院が増えて診察券の枚数が増えるだけではなく、それらによって機能低下やフレイルを来しやすくなります。マルチモビディティにフレイルが合併すると、更に健康への悪影響を及ぼしかねません。フィンランドでの高齢男性を対象にした18年間の追跡調査では、夫々の単独では死亡リスクはほぼ同等だったにも拘わらず、併存によりHR2.93と明らかに増加しました。
マルチモビディティでは、単なる併存疾患の総数と言う一元的解釈ではなく、マルチモビディティの発症の背景要因を正しく理解し、適切な予防・対応策を取る上で、疾患クラスターと言う二次元的解釈が重要視されます。疾患クラスターの代表に精神・神経疾患型があり、特にうつは、マルチモビディティとフレイルの合併リスクを高める事が知られています。心血管・代謝疾患型の疾患クラスターに於いて、脳血管障害は身体的フレイルの発症に対し、最もインパクトが強い要因です。また、精神・神経疾患型と心血管・代謝疾患型は、ポリファーマシーである事が多く、また、両者は身体的フレイルと認知機能障害の同時発症を来す危険性が高いとされています。筋骨格系疾患型は、要介護原因としての意義が高く、悪性腫瘍・消化器・泌尿器型は、高齢者に於ける癌発症と増加と癌サバイバーの増加と相まって、今後ますます増加が見込まれる疾患クラスターです。
マルチモビディティ対策としてのアンチエイジング的治療介入候補としては、以下が挙げられます。
更に、抗フレイル効果に候補を絞ってみました。
NADブースターであるNMNは、有望なフレイル(美容通信2019年2月号)の治療法です。65歳以上の身体機能低下を伴った糖尿病患者に於ける追跡調査では、身体機能の有意な改善は認められませんでしたが、フレイルについては、85.7%からNMN投与後では14.3%に減少したとの報告があります。
HMBは、ロイシンという必須アミノ酸の代謝産物で、筋肉の合成を促進し、筋肉の分解を抑制する効果があります。主にボディビルやフィットネス用サプリメントと言うイメージが先行していますが、抗サルコペニア効果についても実は多くの報告がなされています。プレフレイル高齢者に於いて、12週間HMB(3g/日)を投与したランダム化比較試験では、BMI増加、血清ビタミンD濃度上昇、大腿筋断面積の増加が認められたそうです。
腸内細菌叢への介入による抗フレイル効果を検討したランダム化比較試験は多く報告されていますが、2024年のイヌリン・オリゴ糖混合(15g/日)を12週間投与したランダム化比較試験では、プレフレイル、フレイル高齢者共に、介入による抗フレイル効果が確認されました。更に、この好ましい効果は、腸内細菌叢の変化、腸内細菌叢による代謝産物の変化と関連すると考えられています。
漢方医学に於ける虚証とは、フレイルの概念とほぼ一致した病態と考えられています。不足した気血水を補う目的で使われて来た補剤(人参栄養湯、十全大補湯、補中益気湯)は、フレイル治療薬として期待されています。補剤の中でも人参栄養湯は、バランスの取れた気虚血虚治療薬で、極めて有望な漢方薬と考えられています。
超高齢化社会では、聴覚の健康が新たなアンチエイジングも柱として注目されています。難聴(美容通信2025年3月号)は生活質を損なうだけでなく、認知症の低下や鬱、社会的孤立、転倒や要介護リスクの増大とも密接に関係しています。その為、聴覚の加齢変化を単なる生理的現象としてではなく、全身老化の一部として捉え、早期の介入や予防を目指すべきとの考え方が現在の主流で、広く国民に啓蒙する活動が行われています。しかし、HISAKOの父親もそうですが、眼鏡には抵抗がないのに、補聴器を買えと言うと激しく抵抗をします。…多分世の中には伊達眼鏡もあり、年だからと言うよりお洒落の範疇としての認識として世の中の人が認知している眼鏡と、デザインの差もなく、単なる老化で耳が遠くなった老人の証にしか見えない補聴器の違いなんだろうなとは思います。デコった補聴器だったら? ネオンカラーや蛍光色の、イヤーカフっぽいデザインだったら? HISAKO自身が、治療の為とは言え、肌色の分厚いリンパ浮腫の弾力着衣を初めて手に取った時、「こんなダサい色のタイツしかないの!?」と、取り扱いの業者に告げた時の、「弾性着衣は治療用の装具です。ちゃらちゃら遊ぶものではありません。先生は、真摯に治療に専念する患者さんを愚弄する気ですか? あなたには、治療をする資格なんかない」と罵られた。子宮癌や乳癌の放射線照射後や術後の嬉しくない置き土産であるリンパ浮腫は、手術をするだけでは決着は付かない(←結構、リンパ管‐静脈吻合手術に過大な幻想を抱いている人が多いけど)。保存的治療を、如何に並行して継続出来るかが重要。だから、性能が一緒ならば(←最低の前提だけど、ね)、楽しくて可愛い、気分が上がる弾性着衣を求めるのが、何故、不真面目と罵られるのか、全く理解が出来なかった???????? 単に営業のおっさんが仕事が出来ない(=顧客の求める製品の提案が出来ない)ので、そのすり替えで怒ったんだろ、お前(笑)。まあ、今は、そんなこんなのリンパ浮腫用のタイツですが、色々な色や柄だけでなく、スワロフスキーのワンポイントが付いた物まで販売されています。レース素材は均一な圧を掛けられないので流石にありませんが、レース柄!!はあります。必要性を啓蒙するだけじゃ、ダメなんですよ。
下図は、蝸牛の模式図です。蝸牛は3つのコンパートメントに分かれ、内部はリンパ液で満たされています。中央階には、感覚器であるコルチ器が存在し、基底版の上に1列の内有毛細胞と、3列の外有毛細胞、更にそれらを支える支持細胞群から構成されています。外側壁に位置する血管条は、内リンパの環境を維持する重要な役割を担います。有毛細胞は、蝸牛神経線維と連結し、その細胞体は蝸牛軸内のラセン神経節を形成します。これらは有毛細胞で、電気信号に変換された音刺激を中枢へ伝達すると共に、中枢からの延伸性入力を有毛細胞へ伝える走方向の情報伝達系を構成しています。

私達の耳は、外界の振動を電気信号へ変換し、脳に伝える精密な情報処理システムです。外耳で集められた音は、中耳の鼓膜と小耳骨で増幅され、内耳の蝸牛へと伝えられます。音の振動エネルギーは、基底板と呼ばれる弾性構造により、蝸牛全体に伝播し、基底板上に整然と並ぶ有毛細胞によって電気信号へと変換されます。
この変換過程は、機械‐電気変換と呼ばれ、聴覚系に於いて最も重要なステップと考えられています。蝸牛の感覚上皮であるコルチ器は、1列の内有毛細胞と3列の外有毛細胞、及びそれを支える支持細胞から構成されています。内有毛細胞は、音の振動情報を神経のスパイク信号に変換します。外有毛細胞は、能動的な収縮により音の微細な変化を増幅・調節するブースターとしての役割を担います。また、蝸牛血管条が内リンパのイオン勾配(内リンパ電位)を維持し、この変換過程を支えています。内有毛細胞から発せられた信号は、蝸牛神経を通じて脳幹や大脳皮質の聴覚中枢へと伝えられ、最終的に、それを音として認識します。
加齢に伴い、この各段階で変化が生じます。外耳では、耳垢が溜まるだけでなく、外耳道の形が変化します。中耳では、耳管機能低下や耳小骨硬化が起こり、伝音系に影響をします。内耳では、有毛細胞や蝸牛神経線維、ラセン神経節細胞の減少、血管条の代謝機能低下、酸化ストレスやミトコンドリア障害等が蓄積し、不可逆的な難聴へと進行します。
この結果である加齢性難聴は、高音域を中心に始まり、特に騒音下に於ける語音聴取能の低下を引き起こします。これは、単なる音感覚受容の低下に留まらず、より高次な脳機能に於ける聴覚情報処理機能の低下、音認知の障害とも関係します。
近年、難治機能の低下や認知症の発症と深く関わっている事が、広く知られるようになりました。①加齢に伴う脳萎縮や神経変性が、聴覚処理系と認知ネットワーク双方に影響を及ぼす(共通原因仮説)、②音声理解に過剰な認知資源をを割く事で、脳全体の情報処理効率が低下する(聴覚負荷仮説)、③聴覚刺激の減少により、聴覚野や海馬の活動が低下し、神経ネットワークの可塑性が損なわれる(聴覚入力減少仮説)、④難聴が社会的孤立を促し、鬱傾向や認知低下を2次的に引き起こす(社会的孤立仮説)等が、その機序として考えられています。更には、UK Biobank等の大規模コンフォートによるゲノム・フェノムワイド関連解析では、精神・代謝・消化器疾患等の多様な形質との遺伝的関連が報告され、難聴が全身老化の一表現型であることを裏付けています。
しかし、孔子の論語には、「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言、 非礼勿動」という一節があります。加齢に伴う難聴は、真の意味での退行なのか進化なのか。凡人には与り知らぬ、究極の生存戦略なのかもと、ふと思う事はありますが…。有毛細胞や血管条中間細胞では、酸化ストレス応答、炎症、代謝、オートファジー関連遺伝子の発現変化が、加齢依存的に生じる事が明らかになっており、ミトコンドリア制御やオートファジー機構が、難聴発症機序に深く関与する事が示唆されています。加えて、大規模ゲノム及びフェノムワイド関連解析により、有毛細胞や血管条の構造維持・代謝制御に関与する遺伝子群が同定され、喫煙・騒音暴露等の環境要因と遺伝子的要因との相互作用が明らかになっています。
また、免疫系の加齢変化は、炎症制御機構そのものを弱体化させ、軽度なら持続的な非感染性炎症状態を引き起こすと考えられていますが、内耳でも加齢性難聴との関連が注目されています。加齢蝸牛では、組織マクロファージが炎症促進型のフェノタイプへ転換し、インフラマソーム活性化や補体系過剰反応を介して、有毛細胞死やシナプス障害を持続的に誘導します。また、T細胞のサブセット変化やサイトカイン・ケモカインの恒常性破綻も蝸牛内の微小免疫環境を悪化させます。更に、腸内細菌叢の加齢変化がinflammagingを増幅させる可能性も指摘されています。高脂肪・高糖質食等の炎症惹起性食習慣は、腸管バリア機能を低下させ、細菌代謝産物や炎症性メディエーターが血流を介して内耳に波及します。これ等の慢性炎症と代謝負荷は、ミトコンドリア障害や酸化ストレスを通じて蝸牛の脆弱性を高めてしまいます。
老化関連シグナル経路を標的とした薬物介入(美容通信2027年12月号)(美容通信2027年10月号)は、聴覚アンチエイジングも新たな柱となりつつあります。mTOR、AMPK、SIRT、NRF2、NAD+代謝等の経路は、代謝制御・オートファジー・炎症応答の中心にあり、これ等を修飾する薬剤群が、難聴治療の分子標的として着目されています。
加齢性難聴に対する薬物介入は、酸化ストレス・炎症・ミトコンドリア機能障害と言った病態の根幹を、分子レベルで修飾する事を目的としています。特に、mTOR抑制、AMPK活性化、NAD+補充、NRF2誘導と言った経路は、相互に連関しながら細胞恒常性を支える主要な老化制御ネットワークであり、これ等を同時に標的とする多経路併用戦略が必須になります。
ラパマイシン(美容通信2023年7月号)は、mTORC1を抑制し、細胞内のオートファジー促進を介して、過剰な糖・脂質代謝や細胞老化を抑制します。
1972年に、Suren Sehgalらによって、イースター島の土壌から発見された放線菌Streptomyces hygroscopicusから初めて単離され、イースター島のポリネシア語名の「ラパ・ヌイ」のラパと、「菌類から生じた抗生物質」を意味する接尾語のマイシンとを組み合わせてラパマイシンと名付けられました。当初は抗真菌薬として開発されましたが、mTOR阻害能による強力な免疫抑制作用と抗増殖作用が発見され、当初の抗真菌目的では使用されなくなってしまいました。2009年の研究では、ラパマイシンを与えられたマウスは与えられる前に比べて寿命が28-38%伸長し、最大寿命が全体で9-14%伸長ししました。同研究の注意書きによると、実験は生後20ヶ月の成熟したマウス(ヒトに換算すれば60歳前後)で行われ、これは一般的な延命策と違って、既に高齢化しているヒトの寿命を伸長させる可能性を示唆しています。しかし、何故、これほど強力な抗老化作用を示すのか、その詳細なメカニズムは長らく不明でした。
私達人間の体は、加齢と共にDNAに傷が蓄積し、特に免疫細胞のDNA損傷は全身の老化を加速させる事は知られています。2025年に、英オックスフォード大学や英ノッティンガム大学等に所属する研究者らが発表した論文「Rapamycin exerts its geroprotective effects in the ageing human immune system by enhancing resilience against DNA damage」では、ラパマイシンがDNAそのものを保護する事で老化を遅らせる可能性が示唆されました。それによると、DNA損傷を引き起こす薬剤に曝されたT細胞にラパマイシンを投与すると、DNAの損傷度が減少し、対象群と比べて生存率が高かったそうです。そして、この保護効果が、オートファジー、細胞周期、蛋白質合成と言った、既存のメカニズムとは独立して作用している事が確認されました。そこで、50~90歳の男性を対象として、4カ月間、1日1mgという低用量のラパマイシンを服用する臨床試験を行ったところ、ラパマイシン服用群では、免疫細胞のDNA損傷が少なかったそうです。つまり、ラパマイシンは、単に細胞の代謝を変化させるだけでなく、DNAレベルでの保護作用を通じて老化を遅らせるという新しいメカニズムを提示しています。
加齢性難聴については、加齢マウスに於いて、蝸牛感覚上皮に於けるmTORC1シグナルの過剰活性化が有毛細胞変性を促進する事が示されており、ラパマイシン投与による有毛細胞保護効果が認められています。
糖尿病治療薬として有名なメトホルミン(美容通信2026年8月号)ですが、AMPK及びERK1/2経路を介して、抗酸化・抗炎症・オートファジー促進作用を示す事から、加齢関連疾患への応用が進んでいる薬剤です。
内耳に於いては、騒音暴露による有毛細胞障害を軽減する効果が動物実験で示されており、ATP再合成の促進やオートファジーの誘導、シナプス伝達の過剰興奮による神経障害の抑制を通じて、有毛細胞や神経シナプス保護に働く事が示されています。一方で、AMPKは、ATP枯渇や活性酸素種の蓄積と言ったエネルギー代謝ストレスの一次応答分子であり、過剰なAMPK活性は、寧ろ細胞のアポトーシスを促進する方向にも働きます。ROSが過剰に産生されるミトコンドリアDNA変異マウスモデルでは、AMPKを薬理学的に抑制すると、聴覚閾値が改善されます。即ち、AMPKは、急性ストレス下では細胞保護的に働く一方で、慢性的な過活性化状態では病態促進的に転じる一面も有しています。
プロブコールは、コレステロールの胆汁中への排泄を促進させ、血液中のコレステロールを低下させる脂質低下薬として広く知られていますが、元々は、飛行機のタイヤの寿命を延ばす添加物として1970年代に発見されました。多面的な抗酸化・抗炎症作用を有し、腎臓や神経保護作用が報告されています。SIRT1経路(美容通信2022年7月号)を活性化し、p66ShcやNOX2の発現を抑制すると共に、NRF2経路を誘導して抗酸化酵素(NQO1、HO-1,SOD)の発現を高める事で、酸化ストレス負荷を軽減します。また、Baxやp53の低下、Bcl-2の上昇によって、アポトーシスを抑制し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)の減少と、IL-10の増加により炎症環境を改善します。また、2017年、京都大学iPS細胞研究所は、アルツハイマー病の病因物質のひとつであるアミロイドベータ(Aβ)を減らす事が出来る既存薬の組み合わせで、最もAβ低減効果が強い6種類の化合物の1つにプロブコールを選出したのも記憶に新しいところです。
しかし、難聴に対するエビデンスはまだ限られており、また、高脂溶性が故に、全身投与でのバイオアベイラビリティが低く、内耳への応用では、局所投与を前提としたナノキャリアやマイクロカプセル化の技術開発が必要不可欠と考えられています。
加齢に伴うNAD+濃度の低下(美容通信2027年6月号)(美容通信2024年5月号)は、SIRT1やPGC-1α等の脱アセチル化酵素の活性を減弱させ、DNA修復能やミトコンドリア機能を低下させてしまいます。NAD+前駆体であるニコチンアミドリボシドの投与は、マウス蝸牛に於いて有毛細胞及びシナプスの保護、高音域張力の改善、酸化損傷の軽減を齎す事が報告されています。興味深い事に、NAD+補充は、加齢後期でも効果を示し、進行した加齢性難聴に対しても、可塑的な介入が可能であると考えられます。
天然由来物質としては、ポリフェノールの一種であるレスベラトロールが有名です。レスベラトロールは、ブドウの皮、ブルーベリー、ラズベリー、クワ、ラッカセイ等の食品に含まれています。特に、赤ワインに含まれることから、フレンチパラドックスとの関連が以前から指摘されており、心血管関連疾患の予防効果が期待されている成分です。また、その寿命延長作用が、酵母、線虫、ハエ、魚類の研究で報告され、2006年には「Nature」誌にてヒトと同じ哺乳類であるマウスの寿命を延長させるとの成果が発表され、種を超えた寿命延長作用を持つとして大きな注目を集めました。実験動物レベルではありますが、SIRT1及びAMPK経路を介して、オートファジーと抗炎症応答を促し、加齢性難聴の進行を遅らせる事が分かっています。
レスベラトロールは、植物が生物ストレス及び非生物ストレスに応答して新規に合成する抗菌性の二次代謝産物「ファイトアレキシン」でもあります。ファイトアレキシンの合成には、切っ掛けとして、微生物やそれらが作り出す化合物、紫外線等のエリシターが必要であり、通常の生育条件にある健康な植物体では合成されません。ファイトアレキシンには、侵入してきた病原に対して、細胞壁に穴を開ける、成熟を遅らせる、代謝や増殖を阻害するといった機能があります。人の身体に良いとされ注目されている一方で、逆に人体にラテックスアレルギーや一部の食品アレルギーを起こす物質も、ファイトアレキシンである事が知られており、ある意味…痛し痒しの側面があります。
クルクミンやギンコビロバ抽出物、N-アセチルシステイン等の抗酸化物質との併用による相乗効果も報告されており、天然化合物を基盤とした複合抗酸化戦略は、今後安全で持続的な治療オプションとして期待されています。
ギンコビロバには、血小板活性化因子を抑制する働きがあり、「イチョウ葉エキス」として、記憶力増進や脳内血流改善、アレルギーや喘息改善等に効果があるとされ、サプリメント等に添加されています。
イチョウは、ご存じの通り東京都のシンボルマーク。因みに、イチョウ属の学名Ginkgoは、日本語「銀杏」に由来しています。イチョウ綱が既に絶滅していたヨーロッパでは、オランダ商館付の医師で『日本誌』の著者であるドイツ人のエンゲルベルト・ケンペルによる『廻国奇観 (Amoenitatum exoticarum)』(1712年)の「日本の植物相」で初めて紹介され、そこで初めて“Ginkgo”という綴りが用いられたとされています。
少しだけこのケンペルって人が面白いので、補足をしてきおきますね。彼は、リッペ=デトモルト侯国のレムゴーに、牧師の息子として生まれました。ドイツ三十年戦争で荒廃した時代に育ち、更には例外的に魔女狩りが遅くまで残った地方に生まれ、叔父が魔女裁判により死刑とされたと言う特異な経験をしており、この2つの経験が、後に平和や安定的秩序を求めるケンペルの精神に繋がったと考えられています。
イチョウは、世界で最古の現生樹種の一つで、地史的にはペルム紀に出現し、中生代(特にジュラ紀)まで全世界的に繁茂しました。しかし、新生代に入ると各地で姿を消し、Ginkgo biloba L.が唯一現存する種であり、生きている化石として国際自然保護連合 (IUCN)のレッドリストの絶滅危惧種 に指定されています。それを踏まえての、東京都の木でもあるイチョウの葉をデザインしたシンボルマークかと思いきや、公式ホームページよると、単に、アルファベットのTが由来なんだとか。なんか、肩透かし(笑)。
難聴アンチエイジングを考える上で、薬物療法に加え、予防、難聴の早期発見と適切な介入を可能にする医療アクセス体制の整備、更に難聴による社会的な孤立や心理的な影響への対応も重要な課題です。軽度から中等度の難聴に対しては補聴器、重症例には人工内耳が有効です。装着による会話理解やQOLの改善、認知低下の抑制が報告されています。しかし、日本では、補聴器装着率は未だ低いのが現状です。近年では、埋入型骨伝導補聴器を始めとする人工聴覚器の選択肢も広がっているようです。
関連するHISAKOの美容通信をピックアップしました。
アンチエイジングの観点から診る
<下部尿路(排尿)機能>
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伝染性軟属腫は、ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum Contagiosum Virus:MCV)が、表皮角化細胞に感染して引き起こされる、良性の丘疹性疾患です。通称「水いぼ」。感染力が強く、幼稚園・保育園や小学校に通う子供に多い疾患です。プールやお風呂の水を介して感染する可能性は低いと考えられていますが、プール等では、タオルやビート板等を介したり、皮膚の接触が増える為に直接的に感染(接触感染)する可能性は高く、罹患すると、スイミングスクールから出禁!勧告を喰らいます。
ワイキャンス外溶液は、この水いぼの塗り薬(ウイルス性疣贅治療薬)です。中性セリンプロテアーゼの活性を介して、表皮のデスモゾームを脆弱化し、表皮構造を破壊する事で、塗布部位に水泡を形成します。水泡の形成によって、病巣皮膚が剥がれ落ち、その結果、ウイルス感染組織が除去されます。更には、水泡形成による局所での炎症反応、免疫応答の促進が、病変の消失に寄与します。
水いぼと言えば、直ぐにプールが連想されますが、歴史的には、ローマ皇帝は個人用のプールを持ち、水泳の為だけでなく魚を飼う為にも使われていたので、ラテン語でpiscinaと呼ばれていました。この所謂生簀で飼われていた魚は、特定の高級魚(特にボラやムレナと呼ばれるウツボの仲間)で、来客への富の誇示として機能し、贅沢な食文化の一環として重要な役割を果たしていたんだそうです。美食家達は最高の鮮度に拘り、魚を食べる直前まで生け簀で飼育し、客の目の前で調理する習慣があり、特にムレナは、古代ローマの豪華な宴会に於いて、特別なソースで調理されるステータスシンボルでした。ボラは、日本では高度経済成長以降、沿岸水域の汚染が進み、それに伴って「ボラの身は臭い」と嫌われるようになってしまいましたが、本来は絶品の高級魚だったんです。
ワイキャンス外溶液0.71%(一般名:カンタリジン)は、伝染性軟属腫(Molluscum Contagiosum)の治療薬として承認された、本邦初の薬剤です。将来的には、尋常性疣贅(イボ)の治療薬としての認可を狙っていると、鳥居製薬の営業が申しておりました(←実は、こちらの方が本命らしい)。
伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum Contagiosum Virus:MCV)は、ポックスウイルス科というグループに属しており、このグループには天然痘ウイルス等も含まれますが、MCVは人体に対してそれ程強い毒性を持っているわけではありません。ウイルスのサイズは非常に大きく、一般的な顕微鏡でも観察出来る程の大きさで、二本鎖DNAという遺伝情報を持っており、細胞質内で増殖する事が特徴です。通常のDNAウイルスは、感染細胞の酵素を借りて核内で増殖しますが、ポックスウイルスはDNA複製に必要な酵素の殆どを自前で持っているので、細胞質内での増殖が可能なんです。ウイルスの構造は非常に堅牢で、環境中での生存能力も比較的高い為、タオルの共有やプール等での接触を通じて、容易に人から人へと移動します。乾燥した環境でも一定期間生存出来る為め、身の回りの物品を介した感染にも注意が必要です。また、このウイルスは、感染する場所が皮膚の最も外側にある表皮に限られ、インフルエンザウイルスの様に血液に乗って全身を巡ったり、内臓に感染したりする事はありません。その為、命に関わるような深刻な事態になることはまずありませんが、皮膚表面での局所的なトラブルが長く続く原因となります。
この水いぼの厄介な点の一つは、ウイルスが皮膚に付着してから実際にイボとして目に見えるようになるまでに長い時間が掛かる事です。潜伏期間は、一般的には2週間から数ヶ月、長い場合では半年近くにもなり、感染源や感染時期を正確に割り出すのはまず不可能です。この長い潜伏期間が故に、知らず知らずのうちに、兄弟間や友達との間でウイルスをやり取りしてしまっている事が殆どです。
体には、ウイルス等の外敵が侵入すると、それを排除する免疫システムが備わっていますが、MCVには免疫システムから逃れる為の巧みな仕組みを持っています。ウイルスが感染細胞から放出する特定の蛋白質が、免疫細胞の攻撃を抑制したり、炎症反応を抑えたりして、ウイルスは長期間に亘って皮膚に居座り続ける事が出来ます。しかし、最終的には体がウイルスを認識し、免疫反応が活性化して、自然に治癒に向かいますが、そのプロセスが完了するまでには個人差が大きく、治癒までに数ヶ月から数年という長い期間が掛かります。
子供の皮膚は、大人に比べて非常に薄くデリケートで、皮膚の最も外側で外部の刺激や異物の侵入を防ぐ角層は、大人の半分程度の厚さしかありません。また、皮脂の分泌量も思春期を迎えるまでは非常に少なく、肌の表面を覆う皮脂膜が不十分な状態です。皮膚の水分が蒸発しやすく、乾燥しやすい状態にあり、肌は表面に目に見えない微細な亀裂や隙間が生じやすくなります。ウイルスはこの微細な隙間を狙って侵入して、大人の丈夫で分厚い皮膚バリアであれば跳ね返せるウイルスも、子供の未熟なバリア機能では侵入を許してしまうのです。更には、子供特有の行動パターンも感染を広げる大きな理由です。保育園や幼稚園、小学校などの集団生活では、子供同士の距離が非常に近く、肌と肌が触れ合う機会が頻繁にあります。相撲ごっこや手つなぎ、狭い空間での遊び等の、濃厚な接触が日常的に行われています。更には、子供は自分の肌を無意識に触ったり、掻いたりする癖があります。痒みを感じれば我慢せずに掻き毟ってしまい、その手で友達に触れたり、おもちゃを共有したりします。大人のように意識的に接触を避けたり、手洗いを徹底したりするのは非常に難しく、集団内で次々と感染が連鎖します。その為、水いぼ(伝染性軟属腫)は、基本的には、幼稚園・保育園や小学校に通うお子ちゃまに多い病気です。しかし、成人でも、免疫力の低下の基礎疾患を有する人や高齢者で発症します。性感染症として、大人の陰部に見られる事もあります。また、胎内感染の報告もあり、先天性伝染性軟属腫を引き起こす事も稀にあります。
皮膚に、肉感的な色調の、2mmから5mm程度の、真ん中が心持ち窪んだ円形の丘疹が出来ます。皮膚が薄くてバリア機能の未熟な乳幼児は、まだ免疫も不完全で、感染し易いですが、大人でも、免疫力の低下の基礎疾患を有する患者さん等では、日和見感染として発症し、悪化しやすく、直径10 – 15mmまで育ってしまう事もあります。水いぼと呼ばれるだけに、水っぽい光沢が特徴的ですが、中身は液体ではなく、モルスクム小体と言う、ウィルスと変性した表皮組織からなる白っぽいドロッとした塊です。水いぼは掻いて潰れたり、また、掻かなくてもある程度の寿命で自然に脱落します。水いぼは、ある時期が来ると突然赤く腫れ上がり、まるで化膿したような状態になる事があります。これは、ましゅん現象で、治りかけのサイン。体が漸くウイルスを異物として認識し、強い免疫反応を起こして攻撃を始めた証拠です。この時期は痒みを伴う事が多く、子供が掻き壊してトビヒ(伝染性膿痂疹)等の細菌感染を合併する事もありますが、炎症反応を経て、イボは乾燥し、瘡蓋となり、最終的には脱落して治癒していきます。
ウイルス自体の感染力は実はそれほど強い訳ではないのですが、皮膚の極悪く小さな傷や毛包から、皮膚同士の接触やタオル等を介して、1個出来ればその近くに数個増え、または引っ掻いた指で触わると遠くの皮膚にも感染し…、あたかも山林火災の如くに、類焼?延焼?的に次々と広がります。水を介した感染流行は起こらないのでプールに入る事自体は問題ないのですが、水に濡れてふやけた皮膚はバリア機能が一時的に低下し、傷つきやすくなっていますから、タオルやビート板等を介したり、皮膚同士の接触が増える為に直接的に感染(接触感染)する可能性が高く、罹患すると、バイキン扱いされて、スイミングスクールから出禁!勧告を喰らいます。
発症部位は、手掌及び足底を除く全身で、何処にでも発生する可能性があります。お子ちゃまでは、顔面、体幹、四肢。大人では陰部、陰茎、女性の外陰部が好発部位です。免疫不全患者さんでは全身に多発し、特に顔面に出来る事が多く、一つ一つのイボが大きい事が特徴とされています。殆どの場合、痒いや痛みはありません。
因みに、水いぼと水饅頭は、似て非なるものです。水饅頭は、岐阜県大垣市の名物として知られる、葛粉を生地に使用した饅頭です。柔らかい水饅頭を猪口に流し入れて、井戸舟と呼ばれる水槽で冷やしながら販売する様子は、大垣の夏の風物詩です。学会ついでにたまたま訪れた金蝶園総本家の水饅頭は、絶品! お店の奥の喫茶室で、冷たい氷水を入れたガラスの器に盛りつけられた、出来立ての水饅頭を氷水と一緒に頂く至福の夏の昼下がり。「是非に」と、ついおススメしてしまう逸品です。
まあ、見りゃあ分かるけど…、内容物をつまみ出して内容物を確認する事が、診断と治療を兼ねた方法とされています。
軽症ならば治療する必要はありませんが、なかなか治らない場合はピンセットで摘まんだり、液体窒素や硝酸銀で焼いたりします。
治療は、数が少ないうちに摘み取るのが、最も確実で早く治す方法です。トラコーマ摂子という、先が輪になった水いぼ専用の器具で水いぼの基部を挟み、中身のモルスクム小体を摘まみ取ります。多少の痛みはあるものの、10個以内なら、「お友達と一緒にプールに行きたいんでしょう? じゃあ、頑張るしかないじゃ~ん」と納得ずくならば、小さい子供でも大丈夫。しかし、何十個となると…、我慢の限界を超えてしまい、嫌がって泣き叫び、全力で抵抗します。無理矢理取ったところで、次からは絶対に容易には取らせてくれず、数人で押さえて取らなければならなくなり、お互いに汗まみれで大変な労働です(笑)。
健康な子供なら、何もしなくても、6ヵ月~3年で勝手に治る。自然治癒します。しかし、個人差は大きく、何時治るか、何時からプールに行けるかなんか…、分かりません。予測不能です。特に、ベースにアトピー性皮膚炎があると、味噌も糞も一緒ではありませんが、湿疹も水いぼも一緒くたに搔き毟り、加速度的に全身に水いぼが増殖します。幾らアトピーが痒くても、こんな状態でのステロイドの外用は火に油を注ぐ様なもので、炎上以外の何ものでもなく、収拾が付かなくなる可能性が高くなります。
お子ちゃま相手では、予め局所麻酔入りのクリームやテープを貼って、痛みに対する予防線をしっかり張ってから、毟り取ります。唯、痛みよりも、抑えられたり処置台に寝かせられる恐怖心から抵抗する子供に対しては…、当たり前ですが、何の効果もありません。
子供を泣かせてまで水いぼを取るべきか否かについては、以前から論争の的になってきました。取るメリットは、他への感染源になる、プールに入れてもらえない、見た目でいじめられる等の問題を解決する事にあります。やはり、数が少ないうちに、見つけ次第早く取ることが適切でないかと思います。数十個以上に増えてからでは、例え時間が掛かっても、1回に10個ずつだけ!と約束する等して、根気良く治療を続けるしかありません。
摘除した部位は、数週間から数ヶ月程度で痕を残さず綺麗になります。
兎に角、ウイルスに付け込まれる隙を与えない。ドライスキンやアトピー性皮膚炎の様なバリア機能が破綻している状態を、出来るだけ改善しておくしかありません。即ち、保湿剤によるスキンケアと、湿疹の治療をきちんと行っておく。爪を短く切っておくのも、重要なポイントになります。また、スイミングスクール等へ通う子供は、消毒の為の塩素によって皮膚表面が脱脂され、感染しやすくなるので、プール後の保湿を心掛けましょう。また、兄弟や身近な友達が感染した場合、入浴やタオル、玩具等を別にし、直接肌と肌を接触させないように注意する事も大事です。衣類やタオルは、熱湯消毒が有効です。
アトピー性皮膚炎等の、皮膚のバリア機能が低下している人は、大人でも結構罹患してしまいますから、普段からのスキンケアはとっても重要です。
ワイキャンス外溶液0.71%(一般名:カンタリジン)は、伝染性軟属腫(Molluscum Contagiosum)の治療薬として承認された、本邦初の薬剤です。機序としては、中性セリンプロテアーゼの活性を介して、表皮のデスモゾームを脆弱化し、表皮構造を破壊する事で、塗布部位に水泡を形成します。これにより病巣皮膚が剥がれ落ち、ウイルス感染組織が除去されると考えられています。
プレフィルドアプリケータを装着した単回使用製剤です。誤飲防止を目的に、経口抑止剤(苦味剤)である安息香酸デナトニウムを配合しています。
成人及び2歳以上の小児の伝染性軟属腫患者に対して、有効性が認められました。塗布12週時の伝染性軟属腫病変が完全消失した患者割合は、ワイキャンス外用液0.71%群でプラセボ群と比べて有意に高く(p<0.05、ピアソンのカイ二乗検定、検証的な解析結果)、プラセボ群に対する優越性が検証されました(208-3-1試験、2歳以上)。
主な副作用としては、適用部位に、小水疱、痂皮、紅斑、疼痛、そう痒感、びらん、変色、皮膚剥脱、浮腫が報告されています。
ワイキャンスの作用機序は、本当のところ…、良く分かってません。中性セリンプロテアーゼの活性化を介して、表皮のデスモソームを脆弱化し、表皮構造を破壊する事で、塗布部位に水疱を形成します。これにより病巣皮膚が剥がれ落ち、ウイルス感染組織が除去されると考えられています。
日本人を対象とした国内第Ⅰ相臨床薬理試験(2~15歳の小児伝染性軟属腫患者)によれば、MC病変を21個以上有する2~15歳の日本人小児MC患者を対象に、本剤の初回塗布前、初回塗布2時間後及び24時間後に於ける血漿中薬物濃度を測定したところ、初回塗布2時間後に16例のうち2例で定量下限(2.500ng/mL)を上回る血漿中カンタリジン濃度が検出されたが、24時間後では定量下限未満でした。その他の14例では定量下限未満でした。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
| 販売名 | ワイキャンス®外用液0.71% |
|---|---|
| 有効成分 |
*カンタリジン:カルボン酸無水物を含む構造を持つ、エーテル・テルペノイドに分類される有機化合物の一種。含有する昆虫の一つジョウカイボン科(Cantharidae)にちなみ命名されました。昇華性がある結晶で、水には殆ど溶けません。皮膚につくと痛みを感じ、水疱を生じます。ツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類等の甲虫類が分泌する体液に含まれ、日本では、夜間に灯火に飛来するアオカミキリモドキによって皮膚に水疱を生じる事故が多い事で知られています。以下は、アース製薬の「キケンな虫の虫ケア図鑑」から拝借した図です。北海道にも生息しているようですが、昼行性のHSAKOと行動時間帯が違う所為か、未だに遭遇したことはありません。
|
| 添加剤 | アセトン、無水エタノール、ピロキシリン、ヒマシ油、dl-カンフル、ヒドロキシプロピルセルロース、安息香酸デナトニウム |
| 販売名 | ワイキャンス®外用液0.71% |
|---|---|
| 性状 | 無色澄明~黄色の僅かに粘性のある液体 |
伝染性軟属腫
通常、成人及び2歳以上の小児に、3週間に1回、患部に適量を塗布します。塗布16~24時間後に、石鹸を用いて水で洗い流します。
本剤の8回の投与までに治療反応が得られない場合は、他の治療法を考慮。8回を超える投与経験はありません。
塗布部位に於いて激しい痛み等が発現した場合、塗布16~24時間後より前でも、石鹸を用いて水で洗い流して本剤を除去し、直ちにクリニック又は薬局(薬剤師)にご連絡下さいね。
以下の副作用が現れる事があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行う必要があります。
| 10%以上 | 1~10%未満 | 1%未満 | |
|---|---|---|---|
| 皮膚及び皮下組織障害 | 適用部位小水疱(95.7%)、適用部位痂皮(90.2%)、適用部位紅斑(87.9%)、適用部位そう痒感(70.3%)、適用部位びらん(62.5%)、適用部位変色(55.9%)、適用部位皮膚剥脱(35.5%) | 適用部位乾燥、適用部位瘢痕、適用部位潰瘍、適用部位湿疹、接触皮膚炎 | 適用部位丘疹、水疱性皮膚炎、痂皮、皮膚色素過剰、紅斑 |
| 傷害、中毒及び処置合併症 | 適用部位疼痛(79.7%)、適用部位浮腫(22.7%) | 適用部位腫脹 | |
| 感染症及び寄生虫症 | 化膿、膿痂疹、皮膚感染、細菌感染、膿痂疹性湿疹 | ||
| その他 | 発熱、性器水疱 |
ワイキャンス®外⽤液0.71%のアプリケータの準備と本剤の使⽤⽅法を説明しておきます。医者や看護婦に一方的に押さえつけられて、何をされているのか分からないまま施術されるのでは、拷問でしかありませんからね(笑)。本剤の包装容器はアプリケータで、付属として、ブレイクツールを添付しています。アプリケータ内のガラスアンプルを付属のブレイクツールで破砕して使⽤します。
予め、本剤(ワイキャンス®外⽤液0.71%アプリケータ)及びブレイクツール、個⼈⽤防護具(手袋、保護メガネ)、ペーパータオル⼜はガーゼ、綿棒を完備してからの施術開始です。
アプリケータに貼付されているラベルの⼀部をミシン⽬に沿って剥がします。この際、ガラスアンプル及びアプリケータに破損や異常がないのを確認します。
ベッドの上で俎板の鯉しながら、スタッフの会話を含む音を聞いて、作業行程を妄想して下さいね。
①先ず、ブレイクツールを平らな場所に置きます。
②アプリケータキャップが外れていない事を確認し、図のようにアプリケータキャップがセットされるように、アプリケータをブレイクツールに置きます。
③破砕⾳(パチンという⾳)が聞こえるまで、確実にブレイクツールの上部を押し下げます。
④ブレイクツールの上部を開き、アプリケータを取り出します。
⑤使⽤後は、ブレイクツールの表⾯をアルコール綿で拭いて消毒します。
アプリケータキャップを下に向けて持ち、約10秒間優しく、丁寧に、軽く叩きます。薬液がアプリケータフィルターの上に集まるまで、タッピングします。
アプリケータキャップを取り外します。ペーパータオル⼜はガーゼにアプリケータチップ(先端部分)を付け、アプリケータチューブを軽く押し、薬液が適切に塗布出来るかをご確認します。もし、薬液が詰まって出ない場合は、そのアプリケータは使⽤しません。
薬液が出過ぎてしまう場合や気泡により薬液が⼀定に流れない場合は、必要に応じてアプリケータを反転するとか、⽔平に保つ等の対処を⾏います。
5.薬液の塗布伝染性軟属腫病変部位に、アプリケータチップ(先端部分)で薬液を適量塗布します。この際、病変部位からはみ出さない様に、薬液を極く薄く(薄いフィルム状)乗せる様に塗布します。もし、塗布時に出過ぎてしまった薬液や病変部位以外の⽪膚に付着してしまった薬液は、綿棒やガーゼで直ちに拭き取ります。塗布部位を可能な限り⽔平に保つのが上手に塗るコツなので、患者さんの協力が非常に大切な行程になります。
眼、眼の周囲、粘膜に、使用禁止! 万が一、薬液が眼に⼊った場合は、直ちに流⽔で15分以上洗浄します。
アプリケータチューブを強く押すと、思いの外、ドバっと薬液が出る(;’∀’)ので、要注意! 塗布時に薬液が多量に出てしまう場合や気泡が認められる場合は、手順4の注意事項を再確認!して、慎重に作業を進めます。
薬液を完全に乾かし(約5分)てから、お洋服を着ます。薬液が乾くまでは可能な限り塗布部位を⽔平に保ち続けるのが、ポイント!なので、ベッドの上で大人しくお過ごし下さい。
塗布16~24時間後に、石鹸を用いて水で洗い流して本剤を除去します。塗布部位には、局所皮膚反応として水疱や紅斑、腫脹、疼痛、掻痒等が発現します。まあ、その強烈な反応こそが作用の本態ですから、起こって当然と言うか…起こってくんないと困るとも言えますが、激しい!!!!!!!!痛み等が発現した場合は、塗布16~24時間後より前でも石鹸を用いて水で洗い流し、直ちにクリニックにご連絡下さいね。
本剤を洗い流すまでは、塗布部位に触れたり、舐めたり、噛んだりしてはいけません。誤って口に入れた場合には、直ちにクリニックにご連絡下さいね。また、洗い流す前に、塗布部位にクリーム、ローション等を塗布しないで下さい。
本剤は可燃性です。⽕気厳禁(アセトン及び無水エタノールを50%以上含む)。クリニック内で煙草を吸う患者さんはいないとは思いますが、念の為。
関連するHISAKOの美容通信をピックアップしました。
アンチエイジング医学は、中高年期以降の老化対策のみならず!
最近の研究によれば、一生涯に亘り健康を享受出来るかどうかは、胎生期を含む極めて早期の環境や生活習慣にその起源がある事が分かって来ました。
<人生ずっとアンチエイジング>
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鉄は生命活動に必須の微量元素であり、細胞内で多くの酵素反応を調節します。近年、鉄毒性が引き起こす新たな細胞死のメカニズムとして「フェロトーシス」が発見され、鉄代謝、脂質代謝、レドックス制御のバランスが崩れる事により、細胞障害が引き起こされる事が明らかになりました。このメカニズムは、癌や老化、組織障害等の理解に新たな視点を齎し、その予防法や治療法の開発への応用が期待されています。
鉄と過酸化脂質の関係は昔から知られてはいましたが、Brent StockwellとScott J. Dixonがフェロトーシスという言葉を作り、その主要な特徴のいくつかを説明したのは2012年になってから。とても新しい細胞死の概念です。
私達の体にある鉄の量は、鉄釘1本分(約5g)とされています。鉄は、赤血球に於いてヘモグロビン活性中心として酸素運搬に必須の役割を担う等、様々な生命活動に欠かせない機能を果たす微量金属元素です。近年、鉄が関与する新たな細胞死の概念として、フェロトーシスが知られるようになって来ました。
鉄は、地球上に重力比で最も多く存在する元素であり、生命はその起源から鉄を利用して代謝活動を行い、生命を維持して来ました。現存するあらゆる生命体の共通の祖先であるLUCA(the last universal common ancestor)は、地球上に酸素が存在しない時代に、鉄を利用して嫌気的代謝を行い、その生命を維持していたと考えられています。この様に、鉄は電子を容易に授受し易い化学的性質から、多くの酵素反応の足場となり、殆どの生物、及び殆どの細胞にとって、広範な生命機能に必須の役割を担います。私達人間に於いては、約400種類の鉄結合蛋白質が存在しているとされており、鉄はゲノム精製やエピジェネティクスを介した転写調節、電子伝達系等の広範な細胞機能に係る酵素の補因子として生命活動に欠かせない元素です。
また、近年、これ等の鉄結合蛋白質の鉄に対する親和性は、ものによって大きく異なる事が知られるようになりました。例えば、同じヒストン脱メチル化酵素であるKDM3AとKDM3Bは、共に鉄をその酵素活性に必要としますが、両者の鉄の親和性は40倍も異なり、鉄への親和性が低いKDM3Bが介在するH3K9me2の脱メチル化反応は、細胞が鉄欠乏に陥ると、その活性は大きく低下してしまいます。即ち、鉄は酵素反応に必須であるのみならず、その活性を動的に制御し得る因子としても再注目されています。
この様に、鉄は生命活動に必須の役割を担う一方で、過剰な細胞内の遊離鉄は、フェントン反応(美容通信2021年4月号)Fe2++H2O2→Fe3++OH–+OH–を介して、酸化障害を引き起こす等、細胞毒性を有しています。例えば、全身に鉄が蓄積するヘモクロマトーシスでは、鉄の蓄積による組織傷害から、肝障害、糖尿病、心筋症等の臓器障害を来します。これまで鉄による細胞損傷の分子基盤については明確ではありませんでしたが、2012年に細胞内の鉄過剰による脂質の過酸化が惹起する新しい細胞死の概念として、フェロトーシスが発見されました。フェロトーシスは、癌や神経変性疾患、虚血再灌流障害等の病態に深く関与する事が示唆されています。
フェロトーシスは、①鉄代謝、②脂質代謝、③レドックス制御のバランスの不均衡が齎す細胞死であり、様々な病態との関連が注目されています。
用語の補足を先にしますが、レドックスとは還元(reduction)と酸化(oxidation)の合成語です。レドックス制御とは、生体の酸化還元状態を制御する事によって、多くの外来性の因子、例えば、薬剤、放射線、紫外線、環境物質である農薬、ダイオキシン等、また、高熱、低温、低酸素状態等の多彩なストレスに適応し、ホメオスタシスを維持するシステムです。細胞外から細胞内へのシグナル伝達に於いて、その伝達に関わる分子は、レドックス制御を受けている事が明らかになっています。
鉄はトランスフェリンと結合して3価(Fe3+)の状態で細胞内に運ばれ、2価(Fe2+)に還元されて、遊離鉄と言う反応性に富んだ鉄のプールを形成します。遊離鉄はミトコンドリアへと運ばれ、鉄硫黄クラスターやヘム等の鉄補欠分子族へと代謝され、様々な酵素の補因子として働く事により、細胞活動に必須の役割を担っています。
一方、過剰な遊離鉄は鉄毒性を示す為、細胞内の鉄代謝は厳密に調節されています。しかし、細胞内鉄動態の破綻により、遊離鉄が増加すると、フェントン反応を介して脂質過酸化が引き起こされます。この細胞膜での過酸化脂質の蓄積に伴い、細胞が膨張し、細胞膜の張力が増加する事で、機械刺激受容体を介した著しいカチオン流出入が起こり、フェロトーシスが誘発されます。この脂質過酸化は、細胞膜リン脂質中の脂肪酸組成に大きく影響される事が知られています。多価不飽和脂肪酸はラジカルにより容易に酸化され、連鎖的脂質過酸化反応の起点となりますが、一価不飽和脂肪酸はラジカルによる障害を受け難いと言う特徴があります。つまり、多価不飽和脂肪酸の増加は細胞のフェロトーシス感受性を高め、一価不飽和脂肪酸の蓄積はフェロトーシス耐性を齎します。つまり、フェロトーシスの誘因となる脂質過酸化は、この様に遊離鉄や多価不飽和脂肪酸で促進されますが、細胞のレドックス制御は過酸化脂質を除去し、フェロトーシスの抑制に働きます。
繰り返しになりますが、生体内では、鉄は、二価鉄(Fe2+)と三価鉄(Fe3+)の形態で存在します。細胞内は還元環境である為に主にFe2+として存在し、ミトコンドリア(美容通信2017年7月号)で、ヘム、鉄硫黄クラスター等の鉄補欠分子族に組み込まれた後、蛋白質と結合して酵素の補因子として利用されます。しかし、Fe2+は、容易にフェントン反応を介してFe3+に酸化され、電子を放出する事でROS(美容通信2017年10月号)を生成して生体分子を損傷します(←毒性が高い!)。これを防ぐ為に、過剰な鉄は、低毒性のFe3+として、貯蔵蛋白質であるフェリチンに格納されます。細胞への鉄取込みはトランスフェリン(transferrin:Tf)を介して行われ、血漿中の鉄は主にFe3+(Tr-Fe3+)として存在しています。
この様に、鉄は細胞内で利用される際にはFe2+として、運搬や貯蔵時にはFe3+へ変換される事で、安全に管理されています。
左図を見て下さい。多くの細胞では、トランスフェリン受容体(TfR1)がTf-Fe3+を認識し、エンドサイトーシスを介して鉄を取り込みます。エンドソーム内の酸性化により、Fe3+が遊離し、還元酵素によってFe2+へ変換された後、二価金属輸送体1(DMT1)を介して、細胞質へ輸送され、オルガネラに分配されます。細胞は、①細胞内の鉄量の制御、②遊離Fe2+の隔離と無毒化を通じて、鉄毒性から自身を保護します。
細胞内の鉄濃度は、取込み・貯蔵・排出によって維持されています。鉄代謝関連蛋白質の発現は、iron responsive element(IRE)-iron regulatory protein(IRP)により調節されています。鉄が豊富な場合は、IRP2は分解され、その結果、TfR1の発現減少、フェリチン産生増加、鉄排出輸送体FPN1を介した鉄排泄が促進し、細胞内の鉄の増加が抑制されます。一方、鉄が枯渇すると、FBXL5の不安定化、IRP2の安定化により、細胞内鉄を増加させます。この鉄依存的な発現抑制は、FBXL5の鉄感知によって担われています。FBXL5には、Fe-O-Fe中心と2Fe-2S型の鉄硫黄クラスターが存在し、Fe2+の量に加え、ミトコンドリアでの鉄補欠分子族の生成を感知して細胞の鉄代謝を調節する鉄センサー分子であり、IRP2の発現抑制を介して、細胞内鉄濃度を一定に保ちます。
細胞質内は、グルタチオン(美容通信2018年7月号)等の低分子還元剤が豊富に存在し、還元状態に維持されているので、鉄は細胞質ではFe2+として0.5~5μM程度存在しています。しかし、Fe2+が単独で存在すると、ROSの産生を引き起こして、細胞にとって悪でしかありません。とっても危険な存在です。高濃度のGSHは、生理的pHに於いてFe2+‐グルタチオン複合体(Fe2+‐GSH)を形成し、Fe2+の反応性を抑制します。更には、この複合体は、鉄シャペロンPCBP1/2と結合する事で、より安全にFe2+のままで保持する事が可能になります。PCBPsは細胞内に5μM程度に発現しており、Fe2+の90%以上が、細胞内でPCBPsに結合した状態で存在していると考えられています。
この様に、低分子や鉄シャペロンの存在は、Fe2+の過剰な酸化還元反応を防ぎ、鉄毒性を軽減する重要な役割があります。
細胞内の鉄代謝は厳密に制御されていますが、このバランスが崩れると、過剰鉄によるフェロトーシスが起こります。
ミトコンドリアは、鉄硫黄クラスターやヘムの合成に関与し、細胞のエネルギー代謝の中心的な役割を担っています。FBXL5は、鉄硫黄クラスター産生も感知します。ですから、ミトコンドリアの同クラスター産生障害では、ミトコンドリアへの鉄蓄積を特徴とする疾患を発症します。鉄過剰状態ではROS産生が亢進し、ミトコンドリアDNA損傷や電子伝達系の異常を介して、フェロトーシスが誘導されます。
細胞質内の鉄はフェリチンに貯蔵され、鉄シャペロンにより遊離Fe2+濃度が調節されます。肝細胞特異的に鉄シャペロンPCBP1を欠損させたマウスでは、生理的な鉄濃度でも、遊離Fe2+が増加し、鉄毒性により脂肪肝を発症してしまいます。また、フェリチンをそもそも有していない酵母では、細胞質内の過剰鉄を液胞(←哺乳類ではリソソームに相当)内へ積極的に隔離する事で、鉄毒性を回避しています。細胞質内の遊離Fe2+の増加は、フェロトーシス誘導の重要な因子です。
エンドソームやリソソームは、トランスフェリンTf経由で取り込まれた鉄が最初に到達するオルガネラです。フェリチンに貯蔵された鉄は、リソソームで分解されてリサイクルされます。その為、エンドソーム・リソソームの膜の透過性が増加すると、プロテアーゼの漏出が引き起こされ、細胞死が誘導されてしまいます。
核内に於ける鉄蓄積は、DNA損傷やエピジェネティック制御(美容通信2027年10月号)の異常を引き起こします。過剰鉄は、DNAメチルトランスフェラーゼの活性阻害によるゲノムDNAの低メチル化や、ヒストンのメチル化修飾異常(美容通信2022年7月号)を介して、腫瘍形成の促進や細胞代謝の変化を齎します。
過剰鉄は、小胞体ストレス応答を活性化し、フェロトーシスを促進します。しかし、小胞体・ゴルジ体への鉄輸送の詳細な制御機構や、その生理的意義については、未だ未解明です。
右図は、Wikipediaから拝借したペルオキシソームの基本的構造です。ペルオキシソームは、酸化反応を行う細胞小器官で、脂質代謝や活性酸素種の還元に重要な役割を果たしています。ペルオキシソームに於ける鉄毒性の直接的影響は明確ではありませんが、ペルオキシソームを出発点として合成されるリン脂質の一種であるプラズマローゲンが、フェロトーシス基質となる多価不飽和脂肪酸の貯蔵庫として機能する事から、鉄貯蔵が、ペルオキシソーム機能障害を介して、フェロトーシスに関与するのではないかと考えられています。
鉄毒性による細胞障害は、多岐な疾患の発症や進行に関与します。
肝臓は体内の鉄の主要な貯蔵臓器であり、鉄代謝の恒常維持に中心的な役割を果たします。鉄過剰症や慢性肝疾患(例・アルコール性肝疾患、非アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎)に於いて、鉄が過剰に蓄積すると、酸化ストレスを介して、肝細胞障害を引き起こします。また、過剰鉄は肝星細胞を活性化し、線維化を促進する事で、肝硬変や肝細胞癌のリスクを高めます。
癌は遺伝子変異によって発症する疾患であり、鉄の過剰蓄積が発癌リスクを増加させます。特に、過剰鉄により生じたROSが、グアニン残基を8-hydroxy-2′-deoxyguanosineに酸化させる事で、遺伝子変異を誘発し、発癌リスクを高めます。また、癌抑制遺伝子TP53の変異やCDKN2Aのゲノム欠損を誘導し、細胞周期抑制の破綻を引き起こす事で癌発症に寄与します。
フリードリッヒ運動失調症は遺伝性神経変性疾患の一つであり、フラタキシンの発現低下を特徴とします。フラタキシンは、ミトコンドリア内で鉄シャペロンとして機能し、鉄硫黄クラスターの合成に関与します。本疾患では、鉄硫黄クラスター依存性のミトコンドリア呼吸鎖複合体及びアコニターゼ(クエン酸回路の構成酵素)の活性低下に加え、FBXL5依存的な鉄恒常性の破綻により、ミトコンドリア内に鉄が蓄積し、細胞毒性が生じます。
アルツハイマー病の患者脳では大脳皮質、パーキンソン病では黒質に於いて鉄の蓄積が顕著であり、鉄過剰と病態進行の関連が示唆されています。
虚血とは、動脈閉塞や出血により、組織への血流が低下する病態であり、血流が再開する際に生じる酸化ストレスによって、更なる組織損傷が引き起こされます。この現象は虚血再灌流障害と呼ばれ、心筋梗塞、脳卒中、臓器移植等で問題となります。低酸素環境では、低酸素応答因子が活性化し、TfR1の発現を増加させる事で鉄の取込みが亢進します。再灌流による酸素分圧の上昇は、急激なROS産生を誘発し、組織を傷害します。
COVID-19の重症化メカニズムには、鉄代謝異常が関与する可能性が指摘されています。肺に於けるフェリチンやTfR1の発現が増加し、鉄蓄積が観察され、鉄毒性が感染全増悪因子として作用したと考えられています。
フェロトーシスとは、細胞膜の多価不飽和脂肪酸含リン脂質が過酸化され、蓄積する事によって引き起こされる、鉄依存性の細胞死の機序です。酸化脂質の異常蓄積により、細胞膜が損傷し、非アポトーシス性の細胞死が誘導されます。
左図は、フェロトーシスを促進/抑制する要素を図示したものです。膜脂質の酸化反応は恒常的に起こるもので、通常は複数のメカニズムにより酸化脂質の蓄積が生じない様に保護されています。これに対して、フェロトーシスは、①ROS(活性酸素種)/Fe2+を中心とした酸化促進因子とその抑制機構、②感受性を決定する膜脂質中の脂肪酸組成、③生じた酸化物質の除去機構のバランスの破綻が、引き金となって起こります。
このうち、特に酸化促進因子(ROSやFe2+)に対するフェロトーシス感受性は、細胞膜リン脂質中の脂肪酸組成に大きく影響されます。
右図は、PUFA(多価不飽和脂肪酸)含量がフェロトーシス感受性を規定する事を図示したものです。ROSにより、PUFAは容易に酸化・ラジカル化され、連鎖的脂質過酸化反応の起点となります。ACSL4は、アラキドン酸等のオメガ6系多価不飽和脂肪酸(美容通信2010年6月号)を選択的にアシルCoAに変換する酵素で、LPCAT3は脂肪酸結合CoAを小胞体でリン脂質に再エステル化する酵素です。これらのPUFAに選択性のある膜脂質リンモデリング酵素の活性が亢進すると、細胞膜に含まれるPUFA含有リン脂質の量が増え、過酸化の基質となる脂質量が増え、フェロトーシス感受性が高まります。実際、ACSL4やLPCAT3を阻害又は失活させると、PUFA含有リン酸の過酸化が抑制され、脂質過酸化物の蓄積が低減し、細胞がフェロトーシスから保護されます。
細胞は、過剰なPUFAによる膜障害を回避する為にDGAT1/2の作用によって、PUFAをトリアシルグリセロール(TAG)に組み込んで、脂肪滴に貯蔵する事で膜から隔離し、過酸化感受性を低下させています。因みに、脂肪滴を表す言葉として、lipid droplet, lipid body, oil body, adiposome等が使われていますが、英語を母国語とする人にとってはdropletという単語は細胞の中にボテッと置かれた脂肪の塊という印象を与えるらしく…、HISAKOも、モーパッサンの脂肪の塊ではありませんが、学生時代はスライドの中に無為にぼてっと鎮座しているだけの存在としての認識しかありませんでした。その為、bodyという動きを感じさせる言葉の使用を主張する研究者もいるそうです。あ゛~っ、血のソーセージが、無性に食べたくなってしまった…。HISAKOは食べた事が無いですが、日本でも、戦前、栃木県の田舎では「それそれ」と呼ばれる血腸が作られていたんだそうです。
この様に、脂質過酸化は主に細胞膜等のリン脂質二重膜で進行しますが、近年、細胞内の脂肪滴に蓄積したTAG中のPUFAが過酸化され、フェロトーシスに寄与する事が知られるようになりました。
脂質代謝物自体が、酸化反応の開始剤又は抑制剤として機能し、フェロトーシス感受性に影響を及ぼす事も知られるようになりました。
遊離のPUFA、又はPUFA(特に、アラキドン酸!)を含むホスファチジルエタノールアミンが、リポキシゲナーゼ(ALOX)とPEBP1の協調作用によって酸化されると、各分子に由来する過酸化物質が蓄積し、これを脂質過酸化反応の開始剤としてフェロトーシスが進行します。
2024年、Florencio Porto Freitasらは、コレステロール合成中間体7-DHCが、強力な内因性脂質過酸化抑制剤として機能し、フェロトーシスの抑制に寄与すると報告しました。
抗酸化剤の機能機構としては、酸化促進分子への水素原子供与だけでなく、脂質ペルオキシラジカルに直接付加して不活性化するperoxyl radical trappingが知られています。最近、このperoxyl radical trappingによって脂質過酸化を抑制する内因性分子として、ビタミンAがフェロトーシス抑制に重要である事が明らかにされました。
酸化ストレスによる細胞死であるフェロトーシスは、鉄キレートや脂質ラジカル除去により抑制が可能です。レドックス制御がその感受性の重要な決定因子になります。KEAP1-NRF2系、GPX4-グルタチオン系、FSP1-ユビキノン系、PNPO-PLP系は、何れも脂質過酸化を抑え、抗フェロトーシスに寄与します。活性型ビタミンB6であるPLP(ピリドキサール5’リン酸)は、超硫黄分子の産生に必要な補酵素であり、超硫黄分子による脂質過酸化の阻害を介して、抗フェロトーシス作用を発揮します。フェロトーシス制御は、肺線維症等の疾患に対する新たな治療戦略として期待されています。
現在、フェロトーシスを制御するレドックス経路は、主なものとしてGPX4-グルタチオン系とFSF1‐ユビキノン系の2つと考えられています。何れの経路も、NADPHを還元力として利用しています。NADPHを産生する酵素の多くは、転写因子NRF2により制御されています。
グルタチオンペルオキシターゼ(GPX)は、還元型グルタチオン(GSH)を使って酸化ストレスを消去する酵素で、GPX1、GPX2、GPX3、GPX4が有名です。何れも含セレン蛋白質ですが、特に、GPX4は過酸化脂質を基質にして対応するアルコールに変換する事で、細胞を過酸化物による酸化障害から保護しており、GPX4の抑制により、フェロトーシス感受性が高まります。脂質の過酸化が酸化ストレスによる細胞死の本質的な原因であり、細胞膜の成分として多価不飽和脂肪酸を含むリン脂質の増加が、容易にフェロトーシスを誘導してしまいます。
ユビキノンは、ミトコンドリアの電子伝達系の構成成分としてミトコンドリア内膜に存在し、電子の授受を行っています。細胞膜を含むミトコンドリア外の生体膜にも存在しており、抗酸化作用が認められています。その機序としては、FSP1は、NADPHの還元力を利用して細胞膜内のユビキノンを還元し、還元されたユビキノンは、細胞膜を構成するリン脂質の酸化で生じるラジカルを消失させます。
生命活動に於いて、硫黄は不可欠な元素です。特に、生体内の酸化還元反応やエネルギー代謝に於いて、重要な役割を果たしています。近年、複数の硫黄原子が直鎖状に連結した構造を有する超硫黄分子が、生体内で酵素的に産生される事が明らかになりました。超硫黄分子は、生体内で硫黄代謝を通じて、抗酸化作用や細胞保護作用を発揮します。
超硫黄分子によるフェロトーシス抑制作用は、その抗酸化作用の一環と考えられています。多価不飽和脂肪酸は、酸化されて脂質ラジカルL・になりやすく、それが分子状酸素で酸化されると、脂質ペルオキシラジカルLOO・が生じます。LOO・は、新しいL・を形成すると共に、自身は過酸化脂質LOOHになります。その結果、酸素を消費しながらLOO・とL・の連鎖反応が起こり、過酸化脂質が増加してしまいます。超硫黄分子はラジカル消去能が強く、脂質ラジカルの連鎖反応を断ち切る事により、過酸化脂質の増加を防ぎ、フェロトーシスに対する抵抗性を付与します。
志賀高原を源とする横湯川の渓谷にある地獄谷温泉は、万座温泉や草津温泉等には硫黄濃度では劣りますが、冬にはサルが温泉に浸かる様子で知られ、不便な道のりにも拘らず、日本国内外から年間約10万人が訪れる一大観光地。サル達は日本国内よりも日本国外で有名で、訪日者に“Snow Monkey”は、「日本で是非とも見たいもの」の上位にランクインしているそうです。因みに、地獄谷野猿公苑では、第1位のサルに敬意を込めて、代々、「龍王」という名前が付けられているんだそうです。
持続する低酸素状態では、ビタミンB6(美容通信2016年4月号)(美容通信2017年9月号)の生体活性化反応が抑制され、活性化ビタミンB6、即ちPLPに依存する代謝反応が抑制されます。
食品に含まれるビタミンB6は、しばしばピリドキシンやピリドキサミンと言った不活性型ですが、これらは体の中で活性型ビタミンB6であるPLPに変換される必要があります。この際に使用される酵素PNPOは、分子状酸素を電子受容体として利用する事で、PNPやPMPに変換します。酸素の供給が滞ると、酸素濃度の低下を鋭敏に感知するとされる酸素センサーでもあるPNPOは、その活性が制限され、PLPは徐々に減少します。
PLPは、アミノ酸代謝、神経伝達物質の合成、グルコーゲン代謝、ヘム合成等の、生体内に於ける重要な補酵素として機能しています。これ等に加えて、CBS、CSE、CARS1、CARS2と言った超硫黄分子の産生酵素は、全てPLP依存性酵素であり、これ等の超硫黄産生酵素は酸素濃度の低下に対して、特に鋭敏に反応します。つまり、慢性的な低酸素状態では、細胞内の超硫黄分子が減少する。裏を返せば、酸素が豊富な環境では、PNPOの活性化によりPLPが増加し、超硫黄分子の産生が促進され、抗酸化作用とフェロトーシス抵抗性を齎す事で、細胞に対して保護的に作用します。
特発性肺線維症は、主に肺細胞間質に於ける炎症及び線維化を特徴とする慢性進行性肺疾患で、現在の治療法としては、病態の進行を遅延させる事を目的とした抗線維化薬が主に使われますが、当たり前ではありますが、完全な治療効果を得るには至りません。しかし、近年の報告では、炎症期及び線維化期の病態形成にフェロトーシスが関与しており、また、マウスの実験レベルではありますが、PLPが、ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルの炎症期に於ける肺障害を抑制する事が明らかになっています。
フェロトーシスによる細胞死の特徴は、鉄を介した過酸化脂質の過剰な蓄積による細胞膜の崩壊で、ネクローシス(壊死)の様な偶発的な無秩序な細胞死と誤解を受けがちですが、実際は非常に分子レベルで厳密に制御されたメカニズムにより実行されています。
細胞内では常に脂質過酸化が生じていますが、前述の通り、過酸化脂質消去酵素であるGPX4がグルタチオンを補因子として、過酸化脂質を還元して無毒化します。これにより、細胞での恒常性が保たれ、生存が維持出来ます。また、脂質過酸化の結果として、膜内に生じた酸化リン脂質等は、酸化リン脂質特異的ホスホリパーゼによって、酸化された脂肪酸部分が切り出されるのと同時に、正常な脂肪酸に再アシル化されて、膜は修復されます。しかし、何らかの要因により、GPV4の様な抗酸化システムが阻害されたり、逆に鉄が増加して細胞内の酸化が亢進すると、過酸化脂質の生成・消去のバランスが崩れ、過酸化脂質が蓄積し、フェロトーシスが誘導されてしまいます。
フェロトーシスは、神経変性疾患、虚血性心疾患、腎・肝障害等の様々な病態の発症・増悪に繋がっています。最近は、抗癌治療戦略としても、注目されています。
繰り返しになりますが、フェロトーシスは、過酸化脂質の蓄積をトリガーとして誘導されます。脂質過酸化は、膜硬化や細胞の膨張を惹起して、それらによる増加した細胞膜張力がメカニカルストレスとして、機械刺激受容チャンネルであるPiezo1やTRPチャンネルによって感知されます。これ等のチャンネルを介して、カチオン流出入(Na+流入やK+流出)が起こります。これを契機として、急速に細胞膜崩壊が進行=フェロトーシスが実行されます。Na+/K+の細胞内外の濃度勾配を作るトランスポーターNa+/K+-ATPaseも過酸化脂質を不活性化する事から、過酸化脂質の標的と考えられています。
浸透圧は勿論、老化による細胞外マトリックスの硬化、低酸素、細胞密度も、物理的指標に変換されて機械刺激受容体でセンスし、細胞は、酸化ストレスによって生じた脂質過酸化と言う膜への化学的ストレスを、細胞膜の張力増加と言うメカニカルストレスに置き換える事で、感知‐応答システムを迅速に作動させ、フェロトーシスを実行するか否かを即座に判断し、決定します。
脂質過酸化が細胞体積や細胞膜張力を増加させる機序としては、脂質過酸化により、細胞膜の透過性が上がって、浸透圧上昇による膨張が引き起こされたのと同時に、一部の膜の流動性・柔軟性低下により膜硬化が進み、結果として細胞の膨張と共に、膜張力を上昇させたと考えられています。
過酸化脂質の蓄積による細胞の膨張や膜張力の増加と言ったメカニカルストレスが引き金となり、Piezo1の活性化が起こり、カチオン流出入に伴う細胞破裂、即ちフェロトーシスが起こります。Piezo1とは、細胞膜に存在し、細胞膜張力の増加と言ったメカニカルストレスを直接感知して開口する機械刺激受容イオンチャンネルで、細胞内外のイオン濃度勾配に応じてNa+流入やK+流出を引き起こす事で、様々な生理機能を調節しています。Na+/K+の細胞内外の濃度勾配は、細胞膜上のトランスポーターNa+/K+-ATPaseによるATP依存的な能動輸送で形成されますが、脂質過酸化により、このトランスポーターの酵素活性も大きく低下してしまいます。つまり、過酸化脂質の蓄積が、Na+/K+-ATPaseの活性抑制と共に、細胞膜張力増加に伴うPiezo1の開口を生じさせ、両者の相乗効果によるカチオン流出入が、フェロトーシス実行に先行して起こっています。
カチオンの流出入は細胞膜崩壊の為に必須の前提であり、フェロトーシス実行に対して促進的に働きます。
TRPファミリーは、メカニカルストレスは勿論、温度、浸透圧、pHと言った物理化学的刺激で開口する非選択的カチオンチャンネルです。TRPチャンネルも、過酸化脂質蓄積に伴う細胞膜張力の変化を感知して開口し、Piezo1と協力的にカチオン流出入を惹起して、フェロトーシス実行を促進します。
加齢に伴い、生体内の鉄量が増加し、抗酸化酵素の活性が低下します。フェロトーシスを規定する2因子の何れもが、加齢に伴い、フェロトーシス促進の方向に進み、様々な臓器がフェロトーシスの起こりやすい状態となります。これが、加齢性疾患の発症の一因にもなります。
加齢に伴う鉄の蓄積は、昆虫から私達人間様に至るまで、広く種を超えて様々な組織で認められています。私達人間では、体内の鉄蓄積量の指標である血清フェリチン量が、若年期から中年期に掛けて増加します。個体レベルでは鉄を積極的に排出する機構が確認されていません。例外として、女子の月経がありますが、生殖期に限られたお話でしかなく、50歳前後の閉経後には血清フェリチン量は急増します。また、女子では、血中エストロゲンとフェリチンの値は逆相関関係にあり、閉経後に様々な疾患が発症します。
加齢に伴う鉄量の増加は、全身性にフェロトーシスが発症しやすい基盤を形成しており、加齢性疾患の発症や進展の主な要因となります。
私達は酸素を利用して生きている以上、活性酸素種reactive oxygen specis:ROS(美容通信2017年10月号)の発生は避ける事が出来ません。しかしこのROSに対する第一防御因子として、superoxide dismutase(SOD)、catalase(CAT)、glutathione peroxidase(GPX)等の抗酸化酵素が知られています。SODは、スーパーオキシドアニオン(・O2-)を、CATは過酸化水素を、GPXは脂質過酸化物及び過酸化水素を除去する酵素ですが、悲しい事に、加齢と共に、これ等の酵素活性は軒並み低下してしまいます。フェロトーシスに於いては、酸化ストレスに対する第一防御因子であるこれ等の酵素の活性低下は、齢性疾患の発症に関与し得る由々しき事態に発展しかねません。
線虫やマウスの実験では、フェロトーシスが、動脈硬化や腹部大動脈瘤と言った血管老化に伴う疾患を促進する作用がある事が分かっています。
生体に於いて、加齢と共に細胞老化を起こした細胞(老化細胞)が蓄積し、炎症性因子を含む様々な物質を分泌するSASP「細胞老化随伴分泌現象」(美容通信2027年9月号)(美容通信2026年10月号)を介して、神経変性疾患や癌、動脈硬化等の様々な加齢性疾患の発症や進展を促進します。HISAKOの美容通信でも何度か取り上げていますが、最近は、老化細胞を選択的に細胞死に誘導する化合物やSAPSを阻害する化合物(美容通信2027年12月号)の研究が花盛り(⋈◍>◡<◍)。✧♡です。
老化細胞では、リソソームの機能が低下している為、フェリチンの分解機構であるフェリチノファジーに不全が生じ、鉄及びフェリチンが細胞内に蓄積するだけでなく、フェリチンに貯蔵された鉄から不安定鉄プールへの鉄の供給が抑制されます。この様な状況では、老化細胞はフェロトーシス誘導剤であるエラスチン(シスチントランスポーターsystem xc–の阻害剤)やRSL3(GPX4阻害剤)の処置下でも、脂質過酸化反応が起きにくく、フェロトーシス耐性を示します。
最近、マウスの肺、心臓、腎臓等の組織損傷後の線維症では、血管障害や溶結が引き金となって鉄が蓄積し、細胞老化やSASP、そして線維化が促進される事が示されました。
フェロトーシスは、治療抵抗性を示す癌に対する新たな治療法開発の突破口として、近年注目を集めています。癌の進展は、大きく、イニシエーション、プロモーション、プログレッションの3段階に分けられます。イニシエーションでは、偶発的、或いは発癌性物質による遺伝子変異が、細胞増殖や生存、分化等の細胞機能に影響を及ぼす様になります。続くプロモーションの段階では、こうした遺伝子の更なる蓄積により細胞増殖が加速し、より生存に有利な細胞増殖が加速し、細胞クローンの多様性に変化が生じます。その後のプログレッションでは、癌細胞がその増殖に有利な腫瘍微小環境を構築しながら、成長を加速させ、周辺組織への浸潤や血管・リンパ管を通じた転移を引き起こします。癌細胞は、これ等の腫瘍進展の各段階でフェロトーシスへの感受性を動的に変化させ、周囲の環境に適応しながら増殖します。遺伝子変異と環境因子が複雑に作用する癌化の過程に於いては、フェロトーシスに抵抗する細胞内プログラムの確立が、選択的な癌細胞の増殖に寄与する可能性があります。
2012年のフェロトーシスの発見以降、イニシエーションで生じる幾つかの遺伝子変異が、細胞のフェロトーシス感受性と関連する事が明らかにされ、正常細胞の癌化に於けるフェロトーシスの役割が注目されています。癌関連遺伝子変異は、細胞内レドックスバランスや脂質代謝、鉄代謝に影響を及ぼし、癌細胞にフェロトーシス抵抗性を付与します。
癌化の初期段階にフェロトーシスに対する抵抗性を築く事が、癌細胞の成長を可能にするひとつの要因と考えられます。
近年のシークエンス技術の発展により、癌関連遺伝子変異を有する異常細胞は、正常組織内にも散在しています。こうした不均一な変異細胞集団から細胞が癌化するプロモーションの過程では、成長因子やホルモン等の発癌促進因子が、変異細胞の異常増殖や細胞の不死化を引き起こし、生存に有利な細胞がクローン性に増殖します。この過程では、フェロトーシスに抵抗する細胞内プログラムを確立しながら、周囲環境に適応し、生存に有利な細胞がクローン性に増殖します。
周囲組織に比べて増殖の優位性を獲得した癌細胞は、腫瘍微小環境を構築し、更に腫瘍を増大させて行きます。腫瘍微小環境は、癌細胞や免疫細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞等の多様な細胞種で構成されていますが、これ等の相互作用に於けるフェロトーシスの役割が近年明らかになって来ました。
細胞障害性T細胞は、癌細胞に対してフェロトーシスを誘導して、腫瘍の進展を抑制します。一方、骨髄由来抑制細胞や細胞障害性T細胞のフェロトーシスは、免疫抑制的な腫瘍微小環境を作り出し、腫瘍の進展に寄与します。つまり、癌細胞に於けるフェロトーシス誘導は腫瘍抑制的に働く一方で、免疫系細胞に於けるその誘導は宿主の癌に対する免疫応答を抑制し、腫瘍進展に寄与します。つまり、腫瘍微小環境に於ける単純なフェロトーシスの誘導は、逆に腫瘍の進展を助長する結果になってしまいます。如何に癌細胞選択的なフェロトーシスの誘導を行うかが、創薬開発の課題とされています。
上皮由来の癌細胞は、上皮間葉転換によって運動能や浸潤能を獲得し、基底膜を超えて遠隔組織に転移します。上皮間葉転換を起こした癌細胞は、様々な治療に抵抗性を示す一方で、フェロトーシスに対する感受性が高い事が知られています。また、転移能とフェロトーシス感受性は多くの癌で相関しており、血管内に侵入した癌細胞は、ACSL4による多価不飽和脂肪酸の増加により、フェロトーシス感受性が高まると同時に、細胞膜の膜流動性が上昇し、細胞の浸潤性が増加する為に、癌細胞の血管外遊出が促進されます。
上皮間葉転換を起こした癌細胞は、血管を通じた遠隔転移に先立ち、リンパ管を通じてより局所的な転移を引き起こします。リンパ液中は、血液中に比べて鉄分が少なく、グルタチオンや一価不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸が多く含まれる為、癌細胞はフェロトーシスから保護され、転移能は高まります。こうした環境は、癌細胞のフェロトーシス抵抗性を強化し、その後の血液を介した転移過程での生存能力を高める要因となります。
フェロトーシスと治療応用
フェロトーシス誘導剤は、従来の癌治療とは異なるメカニズムで癌細胞死を引き起こす為、治療抵抗性を示す癌に対する新たな治療戦略として注目されています。特に、治療抵抗性の癌細胞については、脂質過酸化抑制の為GPX4に強く依存している事が多く、RSL3等のGPX4阻害薬は新たな治療戦略として注目されています。その他、シスチンの取込みを標的としたSorafenib(ネクサバール)や、鉄を標的としたLapatinib(タイケルブ)、脂質代謝を標的としたLovastatin(ロバスタチン)等、フェロトーシスを誘導する3つの側面を標的にした様々な臨床試験が行われています。また、食事によるフェロトーシス誘導も治療戦略の一つであり、高脂肪・低炭水化物のケトジェニックダイエットや、青魚に多く含まれるEPA(美容通信2010年6月号)・DHAと言った多価不飽和脂肪酸摂取による癌細胞へのフェロトーシス誘導が行われています。
また、フェロトーシス誘導による免疫療法への相乗効果も注目されています。フェロトーシスによる細胞死は、ダメージ関連分子パターン(damage-associated molecular patterns:DAMPs)(美容通信2024年3月号)(美容通信2027年9月号)を放出する為、主に、樹状細胞を介した適応免疫を効率的に活性化し、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を高めると期待されています。
フェロトーシスは、急性腎障害AKI、慢性腎障害CKD(美容通信2026年10月号)(美容通信2027年11月号)を始めとする多岐に亘る腎疾患に於いて、重要な役割を担っています。
繰り返しになりますが、フェロトーシスは細胞膜のレドックスホメオスタシスの破綻による細胞死ですが、他の細胞死と異なり、ドミノ倒しのように周辺細胞へと広範囲に伝播し、ある意味能動的に組織障害を広げていく独自の性質を有しています。この特徴は、鳥類の四肢発生に於ける筋肉のリモデリングに必須とされ、「ふ~ん」としか言いようがないのですが…興味深い話ではあります。
更にフェロトーシスが惹起されようとした細胞では、その感受性を抑制する分子群と共に、促進する分子群ACSL4、トランスフェリン受容体の発現をも増強させ、あたかも細胞内で細胞死に向かって綱引きの様相を呈します。実際、主に培養細胞を用いた研究では、GPX4の機能が抑制されて細胞死への道が開いただけでは、必ずしもその細胞が死に至る訳ではなく、細胞死を抑制する二重、三重の抑制メカニズムが働き、それを乗り越えて(?)初めて細胞死に至れる…。
腎臓の上皮細胞の約50%を占める近位尿細管細胞は、脂質を主なエネルギー源として、大量のエネルギーを消費しながら、体液の恒常性を維持しています。急性腎障害AKIは、薬物、虚血、感染等により腎機能が急速に失われる病態です。慢性腎臓病CKDは、糖尿病、高血圧等の様々な要因により、腎臓の構造や機能の異常が3ヶ月を超えて持続する病態です。CKDは、日本人成人の約5人に1人(約2000万人)が罹患する国民病で、脳卒中や心筋梗塞等の心血管疾患を引き起こすリスクを高めます。近年の臨床研究により、AKIの患者の多くが腎修復不全を生じ、CKDに移行(美容通信2026年10月号)します。
近位尿細管は、フェロトーシスに最も感受性の高い細胞の一つで、常にGPX4により保護されています。腎障害により、GXP4蛋白質の分解が生じ、NADPHレベルの低下も相まって、GPX4による抑制系が機能不全に陥ります。脂質過酸化が促進され、細胞にフェロトーシスストレスが掛かると、一部の細胞は細胞死に至る(フェロトーシス)が、細胞死を逃れた細胞に於いても、転写リプログラミングが生じ、炎症性近位尿細管細胞になります。両者は共に腎臓内の炎症を惹起し、組織修復の抑制、組織線維化を進め、CKDを引き起こします。
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細胞リプログラミング技術を利用した化粧品のご紹介です。一つは、特定のmiRNAを細胞内で高める事により、細胞そのものの若返りを図るLIVIUS EPIシリーズ。効果はゆっくりですが、流行りの幹細胞系の化粧品で危惧される、継続使用による急激な老化を回避する事が可能とされ、安全性が高い化粧品です。もう一つが、突然変異した遺伝子を修復し、健康な状態へとアトピー性皮膚炎のトラブル肌を導く事に特化した化粧品ATOPINAです。
細胞リプログラミングとは、これは、DNAメチル化などのエピジェネティックな修飾を消去する事によって、分化した細胞を初期化し、多能性を持つ幹細胞を作り出す現象です。リプログラミングの概念は、1962年にジョン・ガードンによって初めて実証され、分化した体細胞を胚性の状態にリプログラムする事が出来る事を示しました。この業績により、2012年にノーベル賞を受賞しました。
リプログラミングは、自然界の発生や生殖に於いて重要な役割を果たすだけでなく、人工的な手法によっても実施されます。特に、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)の技術は、再生医療や創薬に於いて大きな可能性を秘めています。
ヴィクター・アンブロス、R. C. Lee、R. Feinbaumらにより、1993年、C.elegans (Caenorhabditis elegans, 線虫) で最初のmiRNA (lin-4) が発見されました。2001年以降、miRNA研究は急速に進展し、年々新たな種類のmiRNAが発見され、miRNAは種別を問わず、様々な種類の生物に存在していることが明らかになり、2014年時点で、223種類の生物に於いて35,828種類のmiRNAが発見されています。
miRNAは、ゲノム上にコードされ、多段階的な生成過程を経て最終的に20から25塩基長の微小RNAとなる機能性核酸です。この鎖長の短いmiRNAは、機能性のncRNAに分類されています。miRNAは単一で機能している訳でではなく、他の種類のmiRNAと協力する事で、複数のmRNAの遺伝子発現を抑制し、細胞の発生、分化、増殖及び細胞死等の基本的な生命現象の調節に関わっています。特に哺乳類の場合、2500種類以上のmiRNAが、遺伝子発現の30-90%を制御している事が知られています。
miRNAは、癌、心血管疾患、神経変性疾患、精神疾患、慢性炎症性疾患等の発症と進行に関わっている事が知られていますが、特に、細胞の癌化に深く関与している事が多くの研究者らによって指摘されており、正の制御をする (癌化を促進する) onco miRNAと、負の制御をする (癌化を抑制する) Tumor Suppressor miRNA の2種類のタイプが存在する事が分かっています。つまり、miRNAの発現量異常は生物の恒常性の破綻に直結します。その為、癌を中心とした様々な疾患に対する核酸医薬品の開発が盛んに行われています。癌治療だけでなく、突然変異した遺伝子を修復し健康な状態へ戻す=細胞が若返る現象を応用し、育毛やアトピー性皮膚炎の治療、お肌の若返り等のリバースエイジングにも利用されつつあります。
世界で初めて人工的なリプログラミングに成功したのは、ジョン・ガードンです。彼は、1962年に分化した体細胞は胚性の状態にリプログラムする事が出来る事を、オタマジャクシの腸上皮細胞を除核したカエルの卵に移植する事で実証しました。この業績により、2012年にノーベル賞を受賞しました。共同受賞者の山中伸弥は、ガードンが発見した体細胞の核移植または卵母細胞に基づいたリプログラミングが起こる要因となる明確な遺伝子を特定し、iPS細胞を作成する事に成功しました。
2006年に高橋和利と山中伸弥は、マウス線維芽細胞に複数の遺伝子を導入する事でリプログラミング(初期化)させ、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成したことを報告しました。この研究成果「成熟細胞が初期化(リプログラミング)され多能性を持つことの発見」により、山中が2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
LIVIUS社の製品は、遺伝子の発現を調整する役割があるヒトmiRNAを体内で高めてくれる因子(低分子化合物)を「若返り因子(Rejuvenation
Factor)」、その因子を安定化させた溶液を「Rejuveセラム」、そしてこれらを用いた製品開発技術を「細胞リプログラミング技術」と銘打っています。この遺伝子研究から発見された、細胞そのものが若返るという画期的な技術により、これまでの表面的、あるいは細胞分裂を促して生物化学的にアプローチする「アンチエイジング」と異なり、「細胞の遺伝子を直接リプログラミングさせ、若い細胞に昔戻りさせる」と言う、「細胞の若返り=リバースエイジング」が可能になりました。
2014年4月号の科学雑誌Newtonにも、「がん細胞を殺さずに、正常細胞に戻す~一つの”小さなRNA”によって、悪性度の高い細胞が正常化した」と特集された技術です。
更に、コラーゲンの産生能についても分析しました。その結果、細胞はコラーゲン産生能が回復しながら、通常細胞の4倍長生きして、自然死しました。
そして、特筆すべき事は、癌抑制遺伝子が機能していて、癌化してない!事です。前述の通り、miRNAは癌と深い関りがある事が知られています。miRNAには、癌化を促進するonco miRNAと、癌化を抑制するTumor Suppressor miRNA の2種類のタイプが存在します。ですから、人工的に作られたiPS細胞や幹細胞に於いて、癌化(美容通信2026年2月号)の問題は非常に重要で、この点がクリアされている事は人体に対する安全性が十分担保されている事を示しています。
表皮細胞での実験の結果です。通常、8日程で細胞死(②)しますが、間葉系幹細胞のマーカーが増え、12週目でも尚活発に細胞増殖を行い、寿命が延びる事が確認されました。
miRNAは壊れやすい為、miRNA自体を化粧品化してしまうよりも、体内でmiRNAを高めてくれる物質を配合した方が確実!って訳で、この若返り因子を配合しちゃたのが、LIVIUS EPI。
細胞リプログラミング技術を応用した化粧品で、特定のmiRNAを細胞内で高める事により、細胞そのものの若返りを図るものです。細胞の一部は若返るだけでなく、幹細胞化し、更に若い細胞の産生を行います。線維芽細胞を始めとする皮膚組織が、老化により損なわれてしまった本来の機能を回復する(=若返る)メカニズムなので、健康的で、安全性が高いのが特徴です。理論上、BMS(美容通信2027年8月号)の様な幹細胞培養液の化粧品と比べると、今一つ効果の実感に時間が掛かる…。
BMS(美容通信2027年8月号)の様な幹細胞培養液の化粧品には、成長因子やサイトカイン、インターロイキン、SOD等の酵素を含有し、線維芽細胞に作用して、皮膚の再生を強力にサポートします。細胞に働きかける力は立証済みで、即効性が自慢ですが、幹細胞は大人になると数が増えないので、皮膚内の幹細胞自体の数はじりじりと消費され、目減りして行きます。つまり、老後の資金を急激に取り崩して浪費するイメージで、継続使用により、その後の急激な老化が危惧されています。植物由来とヒト由来の物がありますが、後者の場合は、未知のウィルス等の危険性を排除出来ません…。
テロメア理論(美容通信2022年7月号)(美容通信2024年9月号)に基づく、新進気鋭の化粧品。染色体の末端部分にあるテロメアは、細胞分裂を繰り返す事で短小化し、限界を超えると細胞分裂を行わなくなってしまいますが、テロメア系化粧品はこの短小化を防ぐand/or遅らせる成分を含有。化学的に合成されたテロメアーゼを用いて、細胞分裂を維持し、老化を防ぎます。癌化のリスク等の、安全性についてはまだ未知数。

■洗顔フォーム(リビウスEP洗顔フォーム)コーラルアパタイトのイオンの力で汚れを引き剥がし、化粧水や美容液が浸透しやすい状態に整えます。80g。2026年1月現在の販売価格:4500円(本体価格)。
洗顔後、化粧水前に使う事で浸透をサポートします。細胞リプログラミング美容液配合。50ml。2026年1月現在の販売価格:5800円(本体価格)。
乳酸桿菌/加水分解発酵コラーゲンエキス配合。コラーゲンはそもそも褐色で、臭いも強烈ですが、乳酸桿菌発酵により、只でさえ分子の小さい加水分解コラーゲンを、更に小さいペプチドやアミノ酸に分解するので、無色透明の見た目だけでなく、他の成分と共に浸透性がUPします。
細胞リプログラミング美容液配合。150ml。2026年1月現在の販売価格:6200円(本体価格)。
肌の深部にまで浸透し、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチン等の有効成分を産生する線維芽細胞のDNAの修復に主眼を置いて開発された美容液で、バリア機能の再生を強力にサポートします。細胞リプログラミング美容液配合。30ml。2026年1月現在の販売価格:8800円(本体価格)。

角層にアプローチして、メイク崩れを防ぐ最後の仕上げとして使います。肌の炎症をマイルドに鎮静化する効果があるとされる天然由来成分を多数配合しています。
細胞リプログラミング美容液配合。80ml。2026年1月現在の販売価格:7200円(本体価格)。
アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明アトピー性皮膚炎では、様々な細胞の増殖や分化に重要なサイトカインのシグナル伝達因子である「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じ、JAK1のリン酸化酵素であるキナーゼ活性が増加しています。これにより、発症前から表皮細胞の古い角質が剥がれる時に発現するプロテアーゼ(ペプチドの加水分解酵素)群の遺伝子発現が上昇し、角質による皮膚バリアに機能障害が起こります。
現在の治療法としては、皮内注射若しくは内服薬でインターロイキン・JAK1/2を阻害する方法が主流です。又は、ステロイド外用薬で皮膚の炎症を沈静化させる方法が良く選択されますが、副作用もあります。しかしながら、当たり前ではありますが、これ等は根本治療にはならず、単なる対処療法に過ぎません。止めれば、元の木阿弥。再発するだけです。
ATOPINAは、突然変異した遺伝子を修復し健康な状態へ戻す、今までに無いアプローチです。ATOPINAは、化粧品原料だけで構成される為、特に副作用らしい副作用がありません。誰でも気軽に使えるのに、痒みの原因遺伝子も修復し、痒みから解放される。次いでに(笑)、 肌細胞のリバースエイジングも同時に促してくれるので、お肌も綺麗になっちゃいます。
JAK-STAT経路は、細胞外からのシグナルを細胞内に伝達し、遺伝子の発現を調節する重要なシグナル伝達経路です。この経路は、細胞外の化学シグナル(主にサイトカイン)を受け取る細胞表面受容体、ヤヌスキナーゼ(JAK)、及びシグナルトランスデューサーと転写活性化因子(STAT)から構成されています。この経路は、細胞の成長、分化、免疫応答等に関与しています。
アトピー性皮膚炎では、様々な細胞の増殖や分化に重要なサイトカインのシグナル伝達因子である「JAK1」分子の遺伝子配列に突然変異が生じ、JAK1のリン酸化酵素であるキナーゼ活性が増加しています。これにより、発症前から表皮細胞の古い角質が剥がれる時に発現するプロテアーゼ(ペプチドの加水分解酵素)群の遺伝子発現が上昇し、角質による皮膚バリアに機能障害が起こります。
下の図を見て下さい。
炎症がJAK-STAT pathwayで引き起こされる為、その中心的に働く分子(タンパク質:JAK1)が約80%以上の正常化を期待出来ると考えれらています。黄印が示す様に、マイクロRNAにより、80以上の突然変異の正常塩基への変換を期待出来るので、JAK、IL-7、IL-9、IFN-γの機能正常
化により、アトピー性皮膚炎の炎症を沈静化する可能性があります。また、JAK-STAT pathwayに関与する4種の膜タンパク(JAK1/2/3, TYK2)の70%以上の変異が野生型に戻っており、520dによって5種のpathwayの全てが改善する可能性が高いと考えられています。
長引くかゆみの原因のひとつは、かゆい皮膚を何回も繰り返して引っ掻く事で、皮膚の炎症が悪化し、更に痒みが増すという、所謂「痒みと掻破の悪循環」が起こっているからです。
左図を見て下さい。2022年5月2日の九州大学(九州大学大学院薬学研究院/高等研究院の津田誠主幹教授、薬学府の兼久賢章大学院生(当時)、岡山大学、ジョンズ・ホプキンス大学(米国)の研究グループ)の発表(国際科学誌「Nature Communications」のオンラインサイトに掲載)によれば、何回も繰り返し皮膚を引っ掻く、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎モデルマウスで研究を行い、皮膚からの痒み信号を脳へ送る脊髄神経(痒み伝達神経)の活動が高まっている事、また、皮膚への引っ掻き刺激を抑えると、それが起こらない事を見い出しました。更に、皮膚を繰り返し引っ掻く事で、皮膚と脊髄を繋ぐ感覚神経でNPTX2(neuronal pentraxin 2)という蛋白質が増え、これが脊髄の痒み伝達神経に作用すると、その神経の活動が高まってしまうことを発見しました。実際に、NPTX2を無くしたマウスでは、脊髄のかゆみ信号伝達神経の活動が低下し、痒みも軽減したそうです。この研究成果から、皮膚炎モデルマウスで見られる長引くかゆみには、かゆい皮膚を何回も引っ掻くことで作られる神経の蛋白質NPTX2と、それによる痒み信号伝達神経の活動の高まりが原因である事が明らかになり、慢性的な痒みのメカニズムの解明と、痒みを鎮める治療薬の開発に向けた大きな一歩となると期待されています。
註*NPTX2は、神経細胞の活動が高まると作られる蛋白質。神経から放出された後、次の神経の細胞膜にあるグルタミン酸受容体をクラスター化し、その神経活動を高める働きがあるとされています。
このNPTX2の過剰発現は転写因子の影響と予想されており、NPTX2の主たる8種の転写因子の解析により、NPTX2も転写因子も520dによりほぼ(80%以上)正常化する事から、ATPOINAが奏効する可能性が示唆されています。
以下の症例写真は、化粧品屋さんが提供している、チャンピオン症例です。ですから、全員がこの様な素晴らしい結果を得られる訳ではなく、最高でもこんなもん!って感覚で見て下さいませ(笑)。症例1,2共に、1ヶ月使用の前後です。
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*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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ナルティークは、片頭痛発作の治療と発症抑制の両方の適応を有する日本初の薬剤(経口CGRP受容体拮抗薬)です。
片頭痛(美容通信2013年5号)は、日常生活に支障をきたす一次性頭痛(頭痛の原因となるような何らかの疾患がない頭痛)で、比較的頻度の高い疾患です。日本では、成人の約8.4%が片頭痛に罹っていると報告されています。片頭痛による頭痛は、発作的に起こり4~72時間持続し、片側性のズキズキと脈打つような拍動性の痛みを特徴としています。片頭痛の名称の由来は片側が痛むこととされていますが、実際には4割近くの患者さんが両側性の頭痛を経験しています。非拍動性の片頭痛発作と言うものもあります。頭痛発作中は感覚過敏となって、普段は気にならない様な光、音、臭いを不快と感じる事も。吐き気や嘔吐を伴う事も多く、階段昇降等の日常的な動作によって頭痛が増強する為、日常生活に支障を来す事もあります。
ナルティークは、片頭痛発作の治療と発症抑制の両方の適応を有する日本初の薬剤(経口CGRP受容体拮抗薬)です。片頭痛発作時に頓用で使用する事で、急性期治療の効果が認められるだけでなく、隔日(2日に1回)服用する事で、片頭痛発作の発症抑制効果が期待出来ます。
以下に、4つの特性を図示します。
ナルティークは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に対して、CGRPとの拮抗作用を示す低分子化合物です。この様な薬剤クラスは、ゲパントと総称されます。
CGRPは、人の体内に広く分布する神経ペプチドで、37アミノ酸で構成されており、主に、疼痛を伝達する三叉神経侵害受容求心性線維内に含まれています。活動電位が三叉神経に伝わると、CGRPが放出され、それが受容体に結合する事によって、片頭痛の病態に重要な役割を果たす事が知られています。
片頭痛の発生機序の詳細は未だ不明な点もありますが、三叉神経血管説が広く受け入れられています。三叉神経血管説では、何らかの原因で活性化した三叉神経節由来の求心性線維から、強力な血管拡張作用を有する神経ペプチドであるCGRP等が放出され、硬膜血管の拡張を来します。また、同じく受容体を有する肥満細胞の脱顆粒を誘導し、更なる血管拡張や血管透過性の亢進、血漿蛋白質の漏出を伴う神経原性炎症を来します。更に、これ等は、逆行性伝道により、三叉神経終末の更なるCGRP等の遊離促進を来し、広範な炎症による末梢性感作を誘導します。血管拡張は、侵害刺激である痛みのシグナルとして三叉神経系を順行性に伝導し、脳幹の三叉神経脊髄路核で二次ニューロンに伝達され、そこから視床を介して高次の中枢へと投射され、痛みとして知覚されます。
ナルティークは、経口投与可能なCGRP受容体拮抗薬です。ナルティークが、CGRPの受容体結合を阻害する事によって、血管拡張や神経原性炎症の誘導を阻害し、引いては痛みを含めた片頭痛に於ける臨床的な諸症状を軽減させると考えられています。
また、ナルティークによるCGRP受容体拮抗作用は、血管拡張を阻害する一方、ヒト冠動脈及び頭蓋内動脈に対する収縮作用を認められませんでした。
繰り返しになりますが、CGRPは、人の体内に広く分布する神経ペプチドで、37アミノ酸で構成されています。大きくalpha-CGRPとbeta-CGRPに分類され、両者は37アミノ酸配列のうち3アミノ酸配列が異なります。両者の体内に於ける分布には重複もありますが、beta-CGRPが腸管神経系に分布するのに対し、alpha-CGRPは中枢並びに末梢神経系に主に分布しています。
一説では視床下部の活性化が想定されていますが、何らかの原因で、最終的に頭蓋内の硬膜血管周囲に分布する三叉神経に刺激が加わると、三叉神経を構成する無髄線維(C線維)からCGRPが放出されます。これが、同じく三叉神経の有髄線維(Aσ線維)に分布するCGRP受容体と結合する事で、より早いシグナルとして順行性に痛みが伝わり、三叉神経脊髄路核で二次ニューロンに乗り換えた後に、視床を経てより高次の中枢に投射する事で痛みが知覚されます。
一方、頭蓋内の三叉神経終末部では、CGRPによる硬膜血管の拡張や肥満細胞の脱顆粒による炎症(神経原性炎症)の誘導は、三叉神経に於ける末梢性感作を誘導します。同時に、逆行性伝導を介した更なる三叉神経の活性化は、より広範な血管拡張と炎症を誘導し、これ等は既に感作されている三叉神経系を痛みのシグナルとして順行性に伝達します。
三叉神経の無随線維(C線維)のシグナル伝達は遅いですが、三叉神経節や神経幹でC線維から放出されたCGRPは、有髄線維(Aσ線維)の細胞体やランビエ絞輪部に分布する受容体と結合する事で、有髄線維によるより強く早い痛みとして、三叉神経系から脳幹の三叉神経脊髄路核に情報を伝えます。
ナルティークは、上図の如くに、CGRP受容体に対するCGRPの結合を濃度依存的に阻害し、三叉神経終末に於ける硬膜血管の拡張や神経原性炎症の抑制と共に、C線維からAσ線維へのCGRPを介した痛みのシグナル伝達を遮断する事で、痛みを含めた片頭痛の臨床的な諸症状を軽減すると考えられています。
ナルティークのカルシトニンファミリー受容体に対する選択性について検討した試験から、CGRP受容体に対する強い阻害作用を有する以外に、AMY1受容体に対する阻害作用とAMY3受容体に対する弱い阻害作用が示されています。AMY1及びAMY3受容体の主なリガンドであるアミリンの生理機能には、食物摂取の抑制、胃内容排泄速度の遅延及び食後のグルカゴン分泌の減少(美容通信2027年11月号)による体重減少が報告されています。AMY1及びAMY3受容体の阻害は、高カロリー摂取による体重の増加を齎す可能性が想定はされていますが、ラットとサルを用いたリメゲパント硫酸塩水和物による反復投与毒性試験では、薬理作用を示すと想定されれる用量に於いても、摂取量や体重の増加は認められていませんのでご安心を!
ナルティークは血管収縮作用を持たないので、心血管リスクによりトリプタン製剤が使い難い患者さんや注射に抵抗のある方の発症予防に最適とされています。
片頭痛は、虚血性脳卒中やその他の心血管疾患のリスクファクターです。非臨床及び臨床での検討により、リメゲパントによる心血管系リスクの増加は確認されてはいないものの、CGRPを阻害するリメゲパントの作用機序を踏まえると、片頭痛患者さんに於ける本剤の長期投与により、理論的には心血管系リスクが増加する可能性があります。
低分子のCGRP受容体拮抗薬が、MOHを誘発する可能性は低いと示唆されています。
齧歯類を用いた検討により、薬剤誘発性のCGRP増加が、MOHを生じさせる可能性がある事が示唆されています。トリプタン系並びにジダン系薬剤の様に、MOHを誘発する可能性のある薬剤の反復投与は、三叉神経節及び硬膜求心路の何れに於いても、CGRPの発現を増加させ、通常は痛みを伴わない刺激に対する過剰な痛み行動(アロディニア)に関連するCGRPの持続的放出を来し得るとされています。これ等の作用は、トリプタン系薬剤の休薬後も数週間持続(潜在的感作)し、CGRP受容体のアゴニストである切断ペプチドCGRP(8-37)の投与により回復しました。また、MOHモデルマウスに於いて、リメゲパントによる活性化された三叉神経節のCGRP作動性ニューロン数の減少、MOHの発生予防及びMOH状態からの改善が報告されています。
ナルティークは、効能又は効果として片頭痛発作の発症抑制を有しており、日本人集団に対する投与として、非盲検継続投与期を含め最長52週間の臨床データの蓄積があります。その中で、ナルティークの投与に伴いMOHを発症した患者の報告はありません。
更に、ナルティークと同じくCGRP又は、CGRP受容体を標的とする生物学的製剤は、MOHの既往がある患者に対して、踞尾精機治療薬の使用抑制によるMOHリスクの軽減が報告されている事から、同じ作用標的を有するナルティークにも、同様のMOHリスクの軽減が期待出来ます。
妊婦及び妊娠している可能性のある女子は,治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ、投与します。ラットの胚・胎児発生試験に於いて、器官形成期の経口投与で、母体毒性が認められた用量に於いて、胎児毒性(胎児重量の低値及び骨格変異の発現頻度上昇)が認められ、胚・胎児発生に関する無毒性量の暴露量は、私達人間にナルティーク75mgを75mg1日1回投与した時の暴露量の46倍でした。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討して下さい。
小児等を対象にした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は、実施していません。
特別な注意喚起はしていません。
併用禁忌の設定はありませんが、併用注意な主な薬剤は下記の通り。
追加投与不可の為、発作が長引く患者さんには、他剤との組み合わせ検討が必要になる場合があります。
用量又は投与頻度を調節する事なく、トリプタンと併用が可能です。
CGRP関連抗体薬による予防療法を継続中の患者さんに、投与間欠期に片頭痛発作が認められた場合に、ナルティークを急性期治療の目的で頓用する事は、安全性の観点から制限の必要はないと考えられています。
1日1錠を超えて服用する事は、不可。水で飲むと吸収プロセスに影響を与える可能性がある為、水なしでの服用が強く推奨されています。
発現頻度は低いものの、呼吸困難や発疹等の過敏症が現れる事があります。投与から数日後に症状が現れ、遅延型の重篤な過敏症に至る事があります。
その他、注意すべき副作用としては、以下が挙げられます。上気道感染 、尿路感染 、単純ヘルペス 、前庭神経炎 、白血球減少症 、好中球減少症 、鉄欠乏性貧血 、貧血 、食欲亢進 、うつ病。

経口投与後、速やかに吸収され、約11時間の半減期を示します。
健康成人の75mg投与時の薬物動態パラメーター(単回投与時)は、下記の通り。
【食事の影響】高脂肪食の食後投与では、空腹時に比べCmaxが41%,AUCが32%減少。
【代謝経路】主に、CYP3A4、itibu CYP2C9で代謝。P‐gpの基質でもあります。
プラセボ群に対するリメゲパント75mg群の投与2時間後の疼痛消失[投与2時間後に疼痛をなしと報告した患者]※の割合【検証的解析結果】。主要評価項目である、プラセボ群に対するリメゲパント75mg群の投与2時間後の疼痛消失[投与2時間後に疼痛をなしと報告した患者]※の割合について、リメゲパント75mg群のプラセボ群に対する優越性が検証されました(群間差[リメゲパント75mg群−プラセボ群]19.4%、95%CI:12.0%, 26.8%、p<0.0001、Mantel-Haenszel検定、両側有意水準0.05)。※ 疼痛強度は4段階のリッカート尺度(0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度)で評価しました。
リメゲパント75mg群については、副次評価項目は階層的ゲートキーピング法に従って検定の多重性を調整し解析しました。12項目の副次評価項目のうち、最初の6項目で統計的に有意でしたが、7項目めで統計的な有意差が認められなかった為、正式な仮説検定を終了しています。
有害事象は、ナルティーク75mg群で238例中22例(9.2%)、プラセボ群で229例中15例(6.6%)に認められました。
主な有害事象(いずれかの群で1%以上)は、上咽頭炎(ナルティーク75mg群3例(1.3%)、プラセボ群2例(0.9%))でした。重篤な有害事象は、ナルティーク75mg群で1例(自殺念慮)に認められました。本事象は軽度であり、治療薬と関連なしと判断され、回復/消失したと報告されました。本試験はその性質上、投与中止に至った有害事象に関するデータの集積はありません。死亡に至った有害事象は、何れの投与群でも報告されていません。
二重盲検期の最後の4週間(Week 9~12)に於ける、1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの平均変化量に於いて、ナルティーク群のプラセボ群に対する優越性が認められました。観察期間の平均片頭痛日数(SD)は、リメゲパント群で9.26(3.08)日、プラセボ群で9.04(3.14)日でした。
副次評価項目は、階層的ゲートキーピング法に従って検定の多重性を調整し解析しました。7項目の副次評価項目のうち、1項目めで統計的な有意差が認められなかった為、正式な仮説検定を終了しています。
二重盲検期の有害事象は、ナルティーク群で247例中135例(54.7%)、プラセボ群で249例中102例(41.0%)に認められました。
二重盲検期に於ける有害事象は、ナルティーク群で247例中135例(54.7%)、プラセボ群で249例中102例(41.0%)に認められました。主な有害事象(いずれかの群で2%以上)は、上咽頭炎(ナルティーク群21例(8.5%)、プラセボ群25例(10.0%))、コロナウィルス感染(ナルティーク群8例(3.2%)、プラセボ群4例(1.6%))、COVID-19(ナルティーク群7例(2.8%)、プラセボ群7例(2.8%))、インフルエンザ(ナルティーク群5例(2.0%)、プラセボ群5例(2.0%))、上腹部痛(ナルティーク群8例(3.2%)、プラセボ群2例(0.8%))、便秘(ナルティーク群7例(2.8%)、プラセボ群1例(0.4%))、口腔咽頭痛(ナルティーク群9例(3.6%)、プラセボ群8例(3.2%))、背部痛(ナルティーク群3例(1.2%)、プラセボ群6例(2.4%)、発熱(ナルティーク群6例(2.4%)、プラセボ群5例(2.0%))でした。重篤な有害事象は、ナルティーク群で2例(急性膵炎、COVID-19が各1例)であり、何れも治験薬との関連なしと判断されました。投与中止になった有害事象は、ナルティーク群で4例(急性膵炎、椎骨脳底動脈解離、子宮ポリープ、発疹が各1例でした。死亡に至った有害事象は、何れの投与例でも報告されていません。
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細胞を直接若返らせる「細胞プログラミング技術」とは?
<ATOPINA>
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老化細胞とは、もう増殖が出来なくなった細胞で、加齢と共に体内に蓄積し、老化現象の原因となる事が知られています。老化細胞除去マウスでは、加齢に伴う病態の発症が遅れ、健康寿命を延ばす事が報告されています。Lactitol+は、腸内環境を整える事で、老化細胞の除去を助ける画期的な医療機関専売サプリメントです。
先日の美容内科学会でも、メンズヘルス医学会でも、見た目のアンチエイジング研究会でも、日本抗加齢医学会でも、最近の話題と言えば老化細胞の話ばかり(笑)。動物実験では、老化細胞の除去により、加齢に伴う病態の発症が遅れ、健康寿命を延ばす事が報告されていますが、人間では、ネズミと異なり寿命が長いだけに、その効果については、直接測定が出来ない為、老化のスタンダードな指標である生物学的年齢での評価しかなく…、疲労感が改善したとか、頭がすっきりしたとか、肌の状態が良くなった気がするとか等の、なんとなくイイ!という体感に頼るしかありません。HISAKOも、「Lactitol+を飲み始めてどう?」と問われても、「何か良さそげな気がする」って曖昧な返事しか出来ない。けれど、NMN同様、止めるのが、怖い。止めたくない…。
今月号は、<Lactitol+:老化細胞を除去する画期的な医療機関専売サプリメント>のお話です。
左図は、老化を構成する12の項目(López-Otin, C., et al.(2023). The hallmarks of aging: An expanding universe. Cell,186(1),243-278.)(美容通信2027年10月号)です。老化の根本的なメカニズムを特定する為に、研究者や科学者が共通の基盤として使用するものとして提唱され、2023年の時点では、下記の12種類の要因に定義付けられています。
2020年のNature Reviews[Drug Discovery]に掲載された、老化原因に対する13の対処法候補を下記に列挙しておきますね。
| 1.遺伝的不安定性 | 2.テロメアの減少 | 3.エピジェネティックな変化 | 4.タンパク質の恒常性の喪失 | 5.マクロオートファジーの障害 | 6.栄養感知の不規則化 | 9.細胞間コミュニケーションの障害 | 10.幹細胞の枯渇 | 11.細胞の老化 | |
| ラパマイシン | ●● | ● | ●● | ● | ● | ● | |||
| セノリティクス | ● | ● | |||||||
| メトホルミン | ● | ● | ● | ||||||
| アカルボース | ● | ● | |||||||
| スペルミジン | ● | ●● | ●● | ●● | ● | ||||
| NAD+増強剤 | ● | ||||||||
| 非ステロイド性抗炎症薬 | ● | ● | |||||||
| インスリン | ● | ● | ● | ||||||
| 逆転写酵素阻害剤 | ● | ||||||||
| 全身循環因子 | ●● | ●● | ●● | ||||||
| グルコサミン | ● | ● | ● | ||||||
| グリシン | ● | ● | |||||||
| 17α-エストラジオール | ● | ● |
●化合物は特徴的な兆候を抑制する
●加齢表現型や寿命に於ける役割が実験的に示されている
老化細胞(美容通信2026年10月号)(美容通信2027年9月号)とは、細胞分裂が停止し、本来の機能を十分に果たせなくなった細胞の事を指します。これらの細胞は、体内に残り続け、炎症を引き起こす物質を分泌する事から、周囲の正常な細胞に悪影響を及ぼす事があります。
2011年、Bakerらは、老化した細胞を取り除く老化細胞除去「セノリシス(senescence + lysis)」と言う新しい老化治療の概念を提唱しました。左図は、HISAKOの美容通信にも何度も登場している論文の引用です。p16と言う老化細胞のマーカーを発現した細胞、つまり腐ったミカンを取り除いたら、寿命が延びたという有名な論文です。この結果を受け、セノリシスは新たな抗老化治療として注目を集め、老化細胞を標的としたセノリティクス薬(老化細胞特異的に細胞死を誘導する薬剤)やセノモルフィクス薬(老化細胞を除去するのではなく、老化細胞の機能を抑制し、SASPを含む細胞老化表現型を抑制する薬剤)に関する研究が世界中で盛んに行われるようになりました。
2005年に、うま味調味料味の素のイメージキャラクターとして登場したアジパンダですが、初代は、がっちり体型で毛がふさふさでした。味の素は、L-グルタミン酸ナトリウムを主成分とする、日本を代表するうま味調味料です。さとうきびの糖蜜に発酵菌を入れて、醤油や味噌等を作る方法と同じ発酵法で、グルタミン酸ナトリウムは作られています。
GLS1阻害薬は、グルタミンからグルタミン酸への変換を触媒するGLS1酵素の活性を選択的に阻害する事で、癌細胞の増殖抑制や老化細胞の除去に効果を示します。現在、複数のGLS1阻害薬が臨床開発段階にあり、主に癌治療薬として評価が進められています。癌以外にも、老化細胞の選択的除去により、様々な加齢関連疾患の改善効果を示すことが実証されており、慢性腎不全、脂肪性肝炎、フレイル、認知症等の、従来の治療法では治療効果に限界がある疾患に対しても、GLS1阻害薬による老化細胞除去療法への期待が高まっています。
現在の臨床試験データからは、GLS1阻害薬は比較的良好な安全性プロファイルを示しています。特に顕著な副作用は報告されておらず、老化細胞を標的とした場合には、投与法に工夫を加える事で、更なる安全性の向上が期待されています。 現在開発されているGLS1阻害薬には、複数の化合物が存在し、それぞれ異なる特徴を持っています。
GLS1阻害薬は、細胞内のグルタミン代謝を標的とした革新的なアプローチです。
GLS1は、グルタミンからグルタミン酸とアンモニアを産生する酵素で、癌細胞や老化細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。老化細胞では、リソソーム膜の損傷により細胞内pHが低下し、グルタミン代謝への依存度が高まることが明らかになっています。
老化細胞はリソソーム膜損傷による細胞内pH低下が特徴的で、この状態でGLS1阻害薬に対する感受性が著明に亢進することが発見されました。GLS1阻害薬を投与すると、老化細胞内でアンモニアの産生が阻害され、細胞内pHがさらに酸性側に傾くことで、アポトーシス(細胞死)が誘導されます。
老齢マウスを用いた実験では、GLS1阻害薬BPTES投与により、これらの加齢関連症状が有意に改善される事が確認されています。
Lactitol+老化細胞が蓄積すると、健康や美容に以下の様な様々な影響を与える事があります。
肌の細胞も老化の影響を受けやすい部位です。老化細胞が増える事で、コラーゲンやエラスチンと言った肌のハリや弾力を保つ成分の生成が減少(美容通信2027年4月号)し、皺や弛みの原因になります。加えて、ターンオーバーの低下によって、肌がくすみやすくなります。
老化細胞は、炎症性物質を放出し続ける事があります。この炎症が慢性的に続くと、体全体の免疫機能が低下し、様々な疾患のリスクが増大します。また、炎症は、肌や関節にも悪影響を及ぼし、肌のくすみや乾燥、関節痛が現れます。
老化細胞は、エネルギー代謝に悪影響を及ぼす事があり、体全体の代謝が低下し、疲れやすさや体重増加を招く事があります。これは、老化細胞が健康な細胞の働きを阻害し、筋肉や脂肪組織の代謝機能を低下させる為です。
老化細胞の蓄積は、身体機能の低下や慢性的な不調を引き起こし、日常生活にも影響を与える可能性があります。例えば、関節の硬化や筋力低下、疲れやすさが続くと、活動的な生活が難しくなり、生活の質が低下します。
ケルセチンは、玉ねぎやリンゴ、ブロッコリー等に多く含まれるポリフェノールの一種で、老化細胞を除去する能力が確認されている成分であり、免疫機能の改善やウイルス感染の減少に寄与する事が示されています。動物実験では、ダサチニブとケルセチンを摂取した老齢マウスが、何もしなかったマウスに比べてウイルスに対する耐性が高まり、約50%の生存率向上を示しました。更に、ケルセチンはミトコンドリアの機能をサポートし、エネルギー代謝を最適化する作用や、認知症防止、抗癌作用、抗ウイルス作用も持つ可能性が示されています。
フィセチンは、イチゴやリンゴ、玉ねぎ、キュウリ等に含まれるフラボノイドの一種で、抗腫瘍、抗酸化、抗炎症作用を持つ事が知られています。「セノリティクス」と呼ばれる新しいクラスの治療薬に分類され、老化細胞を選択的にアポトーシス(プログラム細胞死)に誘導する能力が注目されています。フィセチンを投与したマウスの研究では、老化細胞のレベルが減少し、寿命が延びる事が知られています。
レスベラトロールは、赤ワインやブドウの皮に多く含まれ、その抗酸化作用や抗炎症作用から、細胞の老化を防ぐ事が期待されています。サーチュイン遺伝子を活性化し、細胞の長寿に寄与する可能性があるだけでなく、オートファジーを促進して、古くなった細胞を分解する働きがあるとの報告があります。
鮭やイクラ、海老等に含まれる強力な抗酸化物質。老化細胞に対して、以下の様な効果を示す事が研究で示されています。①酸化ストレスの軽減、②ミトコンドリア機能のサポート、③目の健康、肌の健康、筋機能や疲労に影響を与え、老化に伴う様々な体の変化に対して複数の側面から働きかける可能性があります。
Lactitol+の主成分です。ラクチトールは、低カロリーで砂糖の約40%の甘さを持ち、代替甘味料として用いられる、乳糖由来の糖アルコールです。食品添加物として承認されており、虫歯や血糖値の上昇を生じさせないものとして認識されています。腸内環境を整える事で、老化細胞の除去を助ける作用がありますが、HISAKOの様な下痢っぴにゃんにゃんでは、ラクチトールの反応として下痢になる事も。その為、初めのうちは半量程度から開始し、体が慣れてきた段階で、1本量に戻して下さい。
なお、摂取後おおよそ3〜4時間程度で大腸に到達する為、就寝前に摂取された場合、夜間に便意を催す可能性があります。そのような場合には、朝の摂取をおすすめする事もありますが、ラクチトールは血糖値に影響を与えない成分の為、基本的には服用時間帯による有効性の差はなく、ご都合のよいタイミングでOKです。
繰り返しになりますが、GLS1は、グルタミンをグルタミン酸へと変換すると、エネルギー代謝に重要な代謝産物と共にアンモニアを産生する事は古くから知られていましたが、アンモニアの産生は悪までも副産物であると考えられており、その生理・病理的意義については長らく不明でした。しかし、最近の研究により、細胞の種類や老化誘導要因にかかわらず、細胞内pHが低下した老化細胞は、GLS1の量を増加させる事で、過剰なアンモニアを生成して細胞内pHの恒常性を調節し、生存を維持している事が判明しました。実際、ラット腎臓を用いた報告でも、老化細胞に於いてGLS1を阻害すると、細胞内pHが大きく低下して細胞死が誘導されますが、細胞培養液のpHを弱塩基性にしたりアンモニアを過剰添加すると、GLS1阻害による細胞死が抑制される事が分かっています。
下図を見て下さい。
加齢現象に対するGLS1阻害剤の有効性を検証する為に、老齢マウスにGLS1阻害剤を投与した実験では、様々な臓器・組織に於いて老化細胞の除去が確認でき、加齢性変化の特徴として知られている腎臓の糸球体硬化、肺の線維化、更には肝臓の炎症細胞浸潤と言った様々な症状が改善することが可能であることが分かりました。また、老化に伴う筋量低下による運動能力低下や、脂肪組織萎縮による代謝異常を生じることが知られていますが、GLS1阻害剤の投与により、これらの進行も抑制されました。更に、様々な加齢関連疾患モデルマウスへGLS1阻害剤を投与したところ、肥満性糖尿病、動脈硬化、及びNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の症状が緩和される事も分かりました。
【Lactitol+の作用機序】
Lactitol+の作用機序は、下記の通り。老化細胞の生存を可能にする過剰なアンモニアの生成環境を是正する事で、老化細胞の除去を行う事を主眼に開発された、画期的な医療機関専売サプリメントです。
Lactitol+には、上述のラクチトールの他、下記が配合されています。
老化細胞の数は、直接測定が出来ない為、老化のスタンダードな指標であるエピジェネティッククロック年齢(美容通信2025年12月号)(美容通信2024年1月号)で評価を行いました。Lactitol+服用の前後で検査を行い、約7歳若返ったデータもあり、両者の差が縮小する傾向が認められたそうです。
老化細胞の蓄積を抑え、健康的な生活を送る為には、食事や生活習慣が重要です。当たり前過ぎて面白味がないかも知れませんが、以前も特集(美容通信2027年10月号)でも触れたHorvathの介入研究を例に取りますが、高齢被検者(60~95歳)を対象に、10週間のヒト臍帯血漿濃縮液を打ち続けて、臨床的なバイオマーカーとGrimAgeで評価したところ、0.82歳しか若返らなかった。逆に年取った人もいたそうです。しかし、健康な男性(50~72歳)を対象に、8週間の食事・睡眠・運動・リラクゼーション・サプリメントの効果を評価したところ、3.2歳若返りました。メチレーション食とはお肉中心ではなく、野菜中心の食生活。これはあんまりお金が掛からない方法ですけれども、臍帯血よりも効果が出たんです。例えば、7歳くらい年を取っている方が、6歳くらい若返ったって事です。つまり、Lactitol+も、老化細胞を除去する画期的なサプリメントではありますが、1日1本を飲んだだけじゃ、飲まないよりもマシだけど、それだけじゃダメだって事です。
抗酸化成分を多く含む食品を積極的に摂取する事によって、体内の酸化ストレスを減らし、老化細胞の発生を抑えられます。
定期的な運動は、細胞の代謝を活発にし、老化細胞の蓄積を防ぐ効果があります。
睡眠中は、体内で細胞の修復が行われます。質の高い睡眠を確保する事で、老化細胞の発生を抑え、体全体の健康を維持する事が可能です。
ストレスは体内に炎症を引き起こし、老化細胞の増加に繋がります。リラクゼーションや趣味の時間を取り入れ、ストレスをコントロールする事が重要です。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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インクレチン模倣薬によるダイエットサプリメントであるメタボレードは、①腸内環境の改善による内因性GLP-1の分泌正常化、②AMPK活性による代謝の改善により、脂肪細胞でのβ酸化を向上、筋肉内のミトコンドリア機能を向上させるので、結果として、脂肪を減少させ、筋肉を維持することが可能です。マンジャロやゼップバウンド、リベルサス等のGLP-1受容体作動薬の最大の欠点である、筋肉量の減少(減少体重の約4割を占める!)が起らないのが特徴です。確かに、GLP-1受容体作動薬の様に、大幅な減量は望むべくもありませんが、HISAKOの様な中高年以降世代では、サルコペニア肥満に代表される筋肉量の低下が老化に於ける大きな問題である以上、メタボレードは望ましい減量の為の選択と言えます。
メタボレードは、スペインのミゲル・エルナンデス大学のジョナサン・ジョーンズ博士とモンテローダ社による共同開発によって誕生した、GLP-1をサポートしてくれる、植物性ダイエットサポートエキスです。ハイビスカスエキスとレモンバーベナエキスとで構成されており、製法は世界各国で特許取得済みです。代謝率の向上(AMPK活性化)、脂肪の蓄積減少及び体脂肪の減少促進、更には、GLP-1の増加による食欲抑制と言った複数のメカニズムを通じて、筋肉量に影響を与えることなく、体重減少をサポートするサプリメントです。
米国心臓学会(AHA)は、心血管・腎臓・代謝(Ⅱ型糖尿病・肥満等)は、相互に関連しており、これ等の異常が重なると、罹患率と死亡率に重大な影響が齎される事から、これ等の疾患をまとめて、心・腎・代謝(CKM)症候群(cardiovascular-kidney-metabolic synderome)と呼ぶ事を提唱した勧告を発表しました。CKM症候群は、ステージ0(危険因子が無く、完全に予防が焦点)から、ステージ4(心血管疾患を伴う、腎不全が含まれる場合もある)まで5段階で管理されます。
Ⅱ型糖尿病・高血圧・高トリグリセリド・腎機能低下等があり、腎臓病や心臓病が悪化するリスクが高い患者さんに対し、SGL2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の使用を検討する事を推奨しています。
糖尿病患者さんは、世界に5億8900万人いると推計され、6秒に1人(年間340万人)が亡くなっており、世界の医療費の15%(約150兆円)を占めるとされています。糖尿病では、健康寿命が15年短く、死亡リスクが1.8倍である事が知られており、老化が急激に進行します。
近年、糖尿病に伴う血管障害メカニズムを解く鍵として、『高血糖の記憶(Metabolic Memory)』(美容通信2019年11月号)に注目が集まっています。Metabolic Memoryとは、“過去にどのくらいの高血糖に、どの程度の期間曝露されたか(diabetic exposure)が、その後の糖尿病血管合併症の進展を左右する”という概念でです。特に最近注目されているのは、お母さんのお腹の中にいた間と、生まれてからの2年間、どれ位お砂糖に塗れた人生を送って来たか(←正確には、送らされて来たかですが!)が、その後の糖尿病人生を大きく左右します。
高血糖が持続している状況(糖尿病)下では、生体内の蛋白質が糖化されやすい状態にあります。AGEは、還元糖から形成されますが、シッフ塩基やアマドリ化合物が形成される初期反応は可逆的でです。しかし、更に高血糖状態が持続すると、アマドリ化合物の一部がAGEを形成する経路へと進んでしまいます。この反応は不可逆的で、一旦AGEが形成されてしまうと…もう、後戻りは叶いません。つまり、AGEは高血糖が記憶された結果であり、一旦AGEが形成されてしまうと、AGEを減少させる事は不可能です。
グルコアルブミンやHbA1は、AGEの前駆物質です。AGEは、高血糖の記憶を最も良く説明出来る経路です。
AGEによる血管障害メカニズムも、明らかになりつつあります。血管を構成する細胞膜上には、AGEの受容体RAGE(Receptor for AGEs)が存在し、AGEsと結合する事により情報が伝達され、酸化ストレスの産生を促し、炎症反応を惹起すると考えられています。RAGEという単語をそのまま英和辞典で引くと「激しい怒り」という意味が載っています。確かに、RAGEは様々な病気に於いて、荒々しい症状を引き起こすので、言い得て妙ではありますが、RAGEの名の由来は勿論「怒り」ではありません(笑)。糖尿病等で体の中に増えてくるAGEと結合する受容体として発見された為、AGEの受容体 ”receptor for AGE (RAGE)” と単に名付けられただけです。最近では、AGE-RAGE系とレニン・アンジオテンシン系がクロストークし、血管障害の進展に関わっている可能性も示されています。
つまり、RAGEが糖尿病を引き起こしている訳ではありません。ただ、他の色々な原因で糖尿病になってしまうと、眼や腎臓の合併症の増悪を早める、尻馬に乗って悪さをする系なんです。高血糖の持続によるAGEの増加に伴い、RAGEに結合するAGEも当然増えますから、細胞の中に強過ぎるRAGEの信号が伝わり、細胞は酸化ストレス・炎症で炎上必須。お祭り状態になります。こうなると、例えば眼では、光を感じている網膜が傷害されます。網膜を走る毛細血管にAGEが沢山流れ付き、その信号を受けて血管内皮細胞は分裂して増え始めます。しかし、毛細血管を外側から支えて破れないように守っている血管周皮細胞は、増殖を止めてしまいます。この様な極めてアンバランスな状態の挙句、血管は破綻し、閉塞し、血流は途絶えます。網膜には十分な血流が確保されなくなるので、失明に至ります。実際、日本では、生まれつき目が見えない人を除くと、糖尿病が失明の一番多い原因です。また、眼以外にも、腎臓の血管も、やはり強過ぎるRAGEの信号の為に、傷害され、腎臓の働きも損なわれてしまいます。
因みに、現在では、RAGEに結合する物質は、AGE以外にも沢山ある事が分かっています。例えば、癌細胞の転移に関与しているとされるHMGB1や、アルツハイマー病の際に神経細胞を傷害するアミロイドβ蛋白質等も、AGEのようにRAGEに結合しし、酸化ストレス・炎症を惹起し、病状を悪化させます。
貞享時代の怪談本『奇異雑談集』には、京都東山の獅子谷という村で、ある女が異物を3度分娩した末に4度目に鬼子を産んだ話があります。この子供は生誕時にして、既に3歳児程の大きさで、朱のように真っ赤な色で、両目に加えて額に目があり、耳まで裂けた口の上下に歯が2本ずつ生えていたそうです。この鬼子は、父に殺されそうになりながら噛みついて抵抗したものの、ついに殺害されて崖下に埋められてしまいますが、翌日になって生き返り、話を聞いていた周囲の人たちに殴りつけられ、ようやく息絶えたんだとか…。
RAGEは、飽食の時代では単なる鬼っ子的な扱いしか受けませんが、本来は倹約遺伝子として、脂肪細胞の分解を抑制し、エネルギーを効率的に使用して、厳しい飢餓の時代を生き残る為に発達しました。現代では、これが仇となり、肥満や糖尿病のリスクを高める要因となっています。RAGEには、他にも、外部からの細菌の侵入を防ぐ役割や、愛情を伝えるのに大切な分子である事が分かっています。
左図は、RAGEアプタマーを実験動物に投与した際の腎臓の組織写真ですが、糖尿病性腎症の発症が抑えられるだけでなく(=予防)、腎症の進行も抑えられ(=治療)ているのが分かります(Diabetes 2017; 66: 1683-95)。
また、AGEアプタマー、或いはRAGEアプタマーをラットやマウスに投与した動物実験では、脂肪分の多いジャンクフードを食べ続けてもメタボにならず、糖尿病による網膜症や腎症が抑えられ、動脈硬化が抑制されることが確認されています。右図は、山岸教授らの研究チームが糖尿病モデルマウスに8週間RAGEアプタマーを注射した実験ですが、糖尿病性腎症の発症が抑えられ、対照群のようなインスリン抵抗性が起こりませんでした。インスリン抵抗性とは、膵臓から分泌されるインスリンがうまく使えず、血糖値の上昇が抑えられない状態です。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、血糖コントロール不良例で重症化します。発症、重症化には、Natural Killer細胞の活性低下が関与している事が知られていますが、AGEは、この大事なNK細胞の活性化を抑制してしまいます。
1924年、オットー・ワールブルクは、体細胞が長期間低酸素状態に晒されると呼吸障害を引き起こし、通常酸素濃度環境下に戻しても大半の細胞が変性や壊死を起こしますが、極く一部の細胞が酸素呼吸に代わるエネルギー生成経路を亢進させ、生存した細胞が癌細胞となる、との説を発表しました。酸素呼吸よりも発酵によるエネルギー産生に依存するものは、下等動物や胎生期の未熟な細胞が一般的であり、体細胞が酸素呼吸によらず発酵に依存する事で、細胞が退化し、癌細胞が発生します。 腫瘍学に於けるワールブルク効果とは、悪性腫瘍の腫瘍細胞内で、嫌気環境のみならず、好気環境でも乳酸発酵が亢進する事により、解糖系に偏ったブドウ糖代謝がみられます。新型コロナウィルス感染(COVID-19)下でも、このワールブルク効果を介してAGEの産生が亢進し、これによりRAGEの活性化が生じ、サイトカインストーム、重症化に関与していると考えられています。
■RAGEアプタマーは、動物モデルに於ける敗血症死を阻止病原体やウィルスに感染すると、体内で産生されたHMGB1が鍵穴(RAGE)に結合し。敗血症を発症します。RAGEアプタマーは、一昔前の性悪小僧!みたいに、ボンドとかアロンアルファーの様な超強力な接着剤を鍵穴に流し込んで、RAGEに蓋をする事で鍵穴を塞ぎ、モデル動物の敗血症による死亡を防ぎます(Oxidative Medicine Cellular Longevity 2021; 2021: 9932311)。
インクレチンと総称されているホルモンとしては、GLP-1やGIPがあります。
GLP-1とGIPは、いずれも、血糖値依存的に、膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進します。しかし、2型糖尿病に於いては、GIPによるインスリン分泌促進作用は障害されているとの報告もあります。また、GLP-1は膵α細胞からのグルカゴン分泌を抑制し、血糖低下に働きますが、本作用がGLP-1によるα細胞への直接的な作用なのかどうかはまだ分かっていません。更に、GLP-1は胃の内容物排出速度を遅らせ、満腹感を助長することで食欲を抑制したり、食後の急峻な血糖上昇を抑制したりする作用があり、これが巷でダイエット薬として大流行している理由であり、副作用と言うか…それこそが作用の本態でもあるのですが、冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、手足がふるえる、ふらつく、力が抜けた感じがする…。単剤で投与した場合、低血糖は起こり難いとはされていますが、救急車を夜中に呼んでも、本来の糖尿病に対する保険治療の適応から外れる為、搬送先の病院から受け入れを拒否される騒動が起こり、社会問題となっている理由でもあります。一方、GIPは脂肪細胞にそのGIP受容体が存在し、脂肪細胞への糖の取り込みを促進する事で肥満を助長させます。
非対称ジメチルアルギニン(Asymmeteric dimethylarginen:ADMA)は、一酸化窒素合成酵素NOの内因性阻害物質です。血管内皮細胞に蓄積すると、一酸化窒素(美容通信2025年9月号)の合成が阻害され、正常な血管内皮細胞の機能が失われる為、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中等の発症や進展に関与することが示唆されています。 その為、ADMAは、心血管疾患の危険因子として注目されており、特に慢性腎臓病(美容通信2026年10月号)患者に於ける心血管イベントの重要な危険因子と考えられています。インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、膵臓から分泌されます。また、体内には食物の摂取後、インスリン分泌を促すインクレチン(GLP-1などの消化管ホルモンの総称)がありますが、GLP-1はインクレチンの一つで、前述の通り、膵臓にはGLP-1が作用するGLP-1受容体があり、この受容体がGLP-1によって活性化し、インスリンを分泌させます。GLP-1は、DPP-4によって分解される為、血中半減期は12分と短いのが特徴です。
GLP-1の作用としては、以下があります。
GLP-1受容体作動薬とは、2型糖尿病治療薬で、GLP-1受容体に対してGLP-1と同じ様に働き、GLP-1受容体を活性化させて、血糖に応じて膵臓からインスリン分泌を促して血糖値を下げるお薬です。遺伝子操作により、DPP-4に容易に分解されない工夫が成されており、注射薬(マンジャロやゼップバウンド)や経口薬(リベルサス)の処方箋医薬品があります。副作用としてグルカゴン同様に消化器運動が抑制されるので、嘔気嘔吐があります。稀ですが、低血糖発作を来す事もあります。肥満は世界的な問題のひとつで、2型糖尿病治療薬ビクトーザは、肥満の治療薬として有望視されています。
見た目が全てではないですが、重要視されるハリウッドではオゼンピックが大流行中です。イーロン・マスク、ウーピー・ゴールドバーグ、オプラ・ウィンフリーら多くのセレブが、も2型糖尿病患者向けに作られたこの薬の誘惑に屈しています。実際に、レベル・ウィルソン、シャロン・オズボーン、ロビー・ウィリアムズは、”奇跡の薬”と称されるオゼンピックまたはその派生薬であるウゴービを使用したことを公に認めています。2022年にイーロン・マスクは、ツイッター(現X)で、減量の秘訣を「断食とウゴービ」と明かして、堂々と肯定派であることを名乗り出ています。
GLP-1作動薬には様々な効果がありますが、薬の直接効果によるものと、体重が減少した結果に付随して現れるものがあります。
体重減少効果と糖代謝改善効果はピカ一のGLP-1受容体作動薬。症例を選べば非常に有用なお薬ですが、上記以外にも注意しなければいけないのが、百歩譲って減量分全てが脂の塊だったら、まあ、良いんですけど…、体重減少分のその約4割が骨格筋の減少だと言う事。筋肉量が減るんです。サルコペニア肥満(美容通信2027年10月号)は、普通体型や寧ろ肥満に見える場合でも、筋肉量が少なく、脂肪が多い状態で、身体機能の低下が著しく、転倒・骨折のリスクが高いだけでなく、糖尿病や脂質異常症等の代謝性疾患や、心血管リスクも高くなる事が知られています。テストステロンの低下等により、ただでさえ、HISAKOの様な中高年以降世代では筋肉量の低下しますから、がつがつマンジャロで減量するのは、アンチエイジングと言うか…Rejuvenation=若返り的観点からは、オゼンピック・フェイス以上の大問題になってしまいます。
オゼンピック・フェイスとは、米国の皮膚科医が提唱した俗称で、オゼンピック(GLP-1受容体作動薬)の使用により、急激な体重減少によって、頬のこけや目のくぼみ、皮膚のたるみが現れる現象です。特に、顔の脂肪が失われることで、若々しさが失われ、老けて見える印象を与える事があります。彼は所謂オゼンピック・フェイスではありませんが、片岡鶴太郎。…イケオジとの評価も高いですが、HISAKO的には大昔のぷくぷくした鶴ちゃんの方が、可愛くて好きです(笑)。適切な減量に留め、蛋白質やコラーゲン生成に欠かせないビタミン類(特にA・C・E)や亜鉛・鉄等も意識しながら、バランスのとれた食生活を心掛ける。そして、有酸素運動と筋力トレーニングに、スキンケアと規則正しい生活習慣。それらが予防の基本策ですが…、なってしまったら、米国形成外科学会の医師らが提案する様に、ヒアルロン酸や脂肪注入、フェイスリフト、複合的レーザー治療等の、何らかの美容医療によるサポートが必要になります。ミトコンドリア(美容通信2017年7月号)のATP産生低下を補う為に、NMN(美容通信2027年6月号)の併用も有効とされています。
メタボレードは、体内のエネルギー代謝に関わる「AMPK」という酵素を活性化する事が分かっています。AMPKとは、私達の身体の細胞内に存在する酵素の一種です。運動により細胞内のエネルギーが減少すると、AMPKがエネルギーセンサーの役割をして、糖や脂質が燃焼され、積極的にエネルギーを作り出します。AMPKの活性化は、糖や脂質の分解を促進するだけでなく、糖や脂質を積極的にエネルギーに替え、持久力や筋肉疲労の回復、疲労感を低減します。
期待される作用としては、①体重減少作用、②体脂肪減少作用、③抗肥満作用、④血糖値低下作用、⑤食欲抑制作用、⑥血圧低下作用がありますが、これらはメーカーの臨床試験によって証明されていますが、医薬品として認可を受けているものではありません。メタボレードは、食品に分類されます。
2018年11月 スペイン特許取得 P201731147
要約:満腹感および食欲に関与する化合物の変調による体重増加抑制作用を生む組成物について、現在、国際特許出願中。
GLP-1作動薬は急激に食欲を抑制する為に、所謂‘’飢餓モード‘’に入ります。その結果、体はエネルギー不足を補う為に、筋肉(タンパク質)を分解してエネルギー源として使用します。これに対し、メタボレードは、自然由来のポリフェノール類が善玉菌のエサになる事で、腸内環境を改善して、その結果短鎖脂肪酸、特に酪酸が産生されて、腸管の受容体に結合し、内因性のGLP-1が分泌されます。その為、飢餓モードには入らず、肥満により低下していたGLP-1分泌が正常に戻るという仕組みなので、筋肉を分解しません。
更に、メタボレードは、AMPKも活性化します。この蛋白質は代謝を改善して、脂肪細胞でのβ酸化を向上、筋肉内のミトコンドリア機能を向上させるので、結果として、脂肪を減少させ、筋肉を維持することが可能となります。マンジャロやゼップバウンド、リベルサス等のGLP-1受容体作動薬の最大の欠点である、筋肉量の減少が起らないんです。確かに、GLP-1受容体作動薬の様に、大幅な減量は望むべくもありませんが、HISAKOの様な中高年以降世代では、サルコペニア肥満に代表される筋肉量の低下(美容通信2027年10月号)が老化に於ける大きな問題である以上、メタボレードは望ましい減量の為の選択と言えます。
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1.メタボレードのGLP-1分泌は、低下していた分泌を正常に戻すものであり、GLP-1作動薬の様に、無理やり外から入れて急激に食欲を押さえるものではない。 2.メタボレードはAMPKも活性化するので、代謝を向上させ脂肪を燃やし、筋肉は維持する働きがある。 |
メタボレードは、ジョナサン・ジョーンズ博士(スペイン ミゲル・エルナンデス大学 生物工学博士)と世界トップクラスの技術力を持つ植物エキスメーカー「モンテローダ社」が共同で開発。300種類以上の植物エキスの組み合わせを調べ、ハイビスカスとレモンバーベナの組み合わせが、体内の酵素(AMPK)を活性化させ、抗肥満等に役立つことを発見し、2017年に特許を取得(P201731147)しています。ハイビスカスの萼とレモンバーベナの葉っぱから抽出されたエキスを、最も理想的な配合で組み合わせたのがメタボレードです。天然のGLP促進素材です。
ハイビスカスと言えば、HISAKO世代には、ギャルファションの全盛期だった1990年代に一世を風靡したブランド「アルバローザ(ALBA ROSA)」のハイビスカス柄で、懐かしさのあまり、頭の中が占拠されてしまうかも知れません。映画で見るような素敵なリゾートファッションを今後日本人女性も着るだろう…。横浜相鉄ジョイナスに初めての直営店がオープンし、HISAKOは必ず寄り道してから帰宅の途に就いてました(笑)。
ハイビスカスは、全世界の熱帯、温帯に約200種ほど知られ、観賞用、繊維用、食用などの目的で各地に栽培されています。一般的に「ハイビスカス」と呼ばれる植物は、中国南部に原産する「ブッソウゲ(仏桑花)」ですが、日本では、同属の植物であるハマボウ等の数種類が自生し、フヨウ等の外来種が観賞用として栽培されています。因みに、日本でも多く流通しているハイビスカスティーには、「ローゼル(Hibiscus sabdariffa)」と言う、同じフヨウ属に分類される植物が使用されています。
レモンバーベナは、アルゼンチン、チリ、ペルー原産の植物で、17世紀にスペインによってヨーロッパに伝わりました。高さは1~3mまで成長し、シトラールと言う、レモンと同じ爽やかな香料成分が含まれています。レモンバーベナの葉は、魚や鶏肉料理、野菜のマリネ、ドレッシング、ジャム、プリン、飲料等に、レモン風味を加えるために使われています。また、ハーブティーやシャーベットにも使われています。葉からとれる精油は、香水、石鹸、化粧品の香料に用いられています。
AMPKは、細胞のエネルギー状態の恒常性に関係する酵素で、動物が全て持っている酵素です。細胞のエネルギーが低下している時に、グルコースと脂肪酸の取り込みと酸化を活性化する「代謝スイッチ」として機能します。活性化により代謝を向上するので、新たな脂肪の蓄積を防ぎます。肥満状態では、このAMPKの活性は低下しているので、脂肪が蓄積します。
AMPK活性化亢進の効果を下に図示しますね。
マウスの実験ですが、高脂肪食によりAMPKの活性が減少する事が知られています。右図を見て下さい。左側の標準食を食べているマウス(N)は、ある程度活性があります。左から2番目、高脂肪食を食べているマウス(HFD)では、AMPKの活性が落ちています。一番右側は、高脂肪食+メタノレードを与えられたマウス(HFD+MA)では、AMPKの活性が標準食の時よりも上がっています。メタボレートは脂肪組織中のAMPK活性を促進しますが、これはレモンバーベナ単独(HFD+LV)やハイビスカス単独(HFD+HB)よりも強い効果を示しました。
先程のマウスの実験の続きですが、脂肪細胞から出て来るホルモンには、アディポネクチンとレプチンがあります。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されて、脂肪の燃焼を活性化したり、糖の取込みを活性化するホルモンです。従って、その分泌低下は、肥満やメタボリックシンドロームに関与します。メタボレードを摂取すると、高脂肪食を与えたマウスでも、アディポネクチンの分泌が上昇します。
レプチンも脂肪細胞から分泌されますが、満腹を感じるホルモンで、食欲抑制や脂肪蓄積の抑制に関与します。しかし、脂肪細胞が増えた肥満状態ではレプチン抵抗性となり、食欲に歯止めが効かなくなり、過食や体重増加のデブ街道を邁進する羽目に陥ってしまいます。マウスの実験では、高脂肪食により、レプチンの血中濃度が増加して、レプチン抵抗性の状態にあっても、メタボレードを投与すると、レプチンの血中濃度が、正常食のマウスと同程度レベルにまで低下しました。
下図は、in vitroでの人の脂肪細胞です。メタボレードの投与により、AMPKの活性化が認められます。
エネルギーギャップとは、ダイエット時に起こる現象で、お腹が減れば減る程、代謝率がダダ下がりに下がってしまう現象です。エネルギーギャップが広がれば広がる程、食べ物をちょっとしか食べなくても、代謝がガクンと落ちてるので、リバウンドと言う名の理不尽な量の贅肉として跳ね返って来ます。
メタボレードは、このエネルギーギャップを軽減させます。GLP-1の上昇により空腹感は減りますが、AMPKの活性により代謝は上昇しますから、「食欲が減少して、代謝が上がっている」=エネルギーギャップが縮小するのです。
その結果、マウスの実験ではありますが、オレンジ色の高脂肪食を食べているマウスでは、体重がどんどん増えているのに対し、青色は標準食を食べているマウスですが、この両者の間の灰色の高脂肪食を食べているけれど、メタボレードを摂取しているマウスでは、所謂高脂肪食だけを食べているマウスよりも、可なり体重の増加が抑制出来ました。
過体重又は1型肥満の女性の二重盲検プラセボ対照試験。メタボレード摂取群もプラセボ群も共に、食事と運動の介入あり。
プラセボ群(青)もメタボレード摂取群(オレンジ)も、食事と運動の介入を行っているので、プラセボ群でも体重の減少が認められますが、そこに更にメタボレードの摂取を加えると、体重、BMI、腹部周囲径、体脂肪量については2倍、収縮期血圧に関しては何倍も、有意に下がっています。
試験①と同様の、過体重又は1型肥満の女性の二重盲検プラセボ対照試験で、メタボレード摂取群もプラセボ群も共に、食事と運動の介入あり。①との相違点は、満腹感に関係する項目を追加した点です。
主観的満腹感評価(VASスケール)では、満腹感が15~20日目から上昇始めたのと反対に、空腹感は減少。血中のホルモン濃度の分析では、空腹感を誘導するホルモンであるグレリンに関しては、プラセボ群では+10%としっかり増えていますが、メタボレード群では、殆ど変化がありませんでした。満腹感を誘導するGLP-1の分泌量は、メタボレード摂取群では有意にしっかり上昇(+30%)しているのに対し、プラセボ群では逆に減少(-25%)。レプチンは肥満で高値を示しますが、メタボレード摂取群では有意に減少(-56%)しました。
過体重又は1型肥満の成人男女に於ける二重盲検プラセボ対照試験ですが、試験①②と異なり、運動や食事等の介入なし。純粋に、メタボレードで、何処の部位が減量しているのかを、DAXスキャンにより確認をした試験です。
腹部の脂肪が一番減少しました。その次に減量度が大きかったのは、下半身、太腿とか臀部の脂肪です。つまり筋肉は減らずに、水分も減らずに、骨の重量も減らずに、しっかりと脂肪だけが減ったのが画像上も確認が出来ました。何度も繰り返しになりますが、マンジャロやゼップバウンドと言ったGLP-1アゴニストでは、脂肪も減りますが、それ以上に筋肉量が減る事が大問題です。その解決策として、メタボレードが登場したと言う経緯があります。
高血圧予備軍!(降圧剤を飲んでいる人は除外)を対象にした二重盲検プラセボ対照試験で、ホルター法(連続血圧測定)による血圧の評価を行いました。食事や運動の介入はありません。
14日目で有意にメタボレード摂取群では、血圧が下がっている。時間を追ってみると、摂取から12時間ぐらいで、効果が見え始めているのが分かります。
高血圧予備軍と1型高血圧の成人男女を対象にした、二重盲検プラセボ対照試験。ホルター法(連続血圧測定)による血圧の評価を行いました。食事や運動の介入はなし。
④の試験よりも血圧が元々高い人が多い人が対象の為、血圧の低下が著しい結果になっています。血圧は、様々な因子により変動します。正常人の血圧は、昼間に比べ夜間睡眠中には10~20%低下し、午前3時頃に最低となった後、覚醒に先駆けて、早朝から午前中にかけて上昇します。この夜間の血圧低下をdipping現象と呼びます。この昼間の血圧と夜間の血圧の差があまりない場合は、心臓病のリスクが上がる事が知られていますが、メタボレードの摂取によって、dipper(夜間血圧の自然な低下)型への改善が認められました。昼間の血圧も下がりますが、より夜間の血圧が下がり、dipper率が改善して、心臓病のリスクも下がるのではないかと考えられています。
この血圧の試験でも、体重減少や体脂肪の減少、特にLDLコレステロールの減少が有意に認められました。
過体重又は1型肥満の成人男女を対象にした、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験。食事や運動の介入はなし。メタボレードを60日間摂取した後の61日目に、食欲/満腹感の認識評価(VASスケール)、血液検査(消化管ホルモン、脂質/糖質のプロフィール)、身体測定を行いました。
メタボレード群(オレンジ)では、プラセボ群(青)と比較して、朝食の30分前から、朝食後120分までの食欲スコアが有意に低下を示しました。
また、満腹度指数(Satiety Quotient)もメタボレード群で有意に高くなりましたし、有意に食べる量自体も減っていました。
ホルモン分析では、GLP-1の分泌量を測定したところ、朝食から昼食まで、メタボレード摂取群では血中濃度が上昇していました。レプチンの値もメタボレード群では有意に減少し、レプチン感受性の向上も示唆されました。
また、血液検査では、HbA1cの低下や、LDLコレステロールの低下、HDLコレステロールの上昇が、メタボレード群では確認されました。
In vitro大腸消化モデルでの試験。腸内細菌叢(美容通信2024年8月号)を比較した試験で、メタボレードの添加により、糞便中の腸内細菌がどの様に推移したかを調べました。
メタボレードの添加により、腸内細菌叢の多様性が増加しました。内訳としては、悪玉菌ではなく、有用菌(善玉菌)である、ビフィドバクテリウムBifidobacterium、ブラウティBlautia、酪酸を産生する菌であるファーカリバクテリウムFaecalibacterium、プレボテラPrevotella、アッカーマンシアAkkermansia(美容通信2026年8月号)の増加が認められました。アッカーマンシア ムシニフィラ菌は、痩せ菌とか若返りの菌(美容通信2024年1月号)として注目を浴びている菌ですで、「肥満をコントロールする食用菌」として欧州食品安全機関(EFSA)に承認されています。欧米人、特にヨーロッパの人達では、生後間もない乳児に検出され、1歳で9割保有(=成人)とされていますが、肥満の人は正常な人に比べ、当該腸内細菌数が少ない事が知られています。しかし、日本人では1%以上持っている人は1割もおらず、そもそも日本人はこの菌を殆ど持っていません。この臨床試験は、スペイン国内に於ける臨床試験なので、このアッカーマンシア ムシニフィラ菌については、日本人にはそのまま当てはまらないかも。
また、短鎖脂肪酸は、腸内細菌が食物繊維(難消化性糖類)を発酵する際に産生され、健康維持に欠かせない役割を果たしている事が知られています。短鎖脂肪酸の受容体が全身の様々な部位にあり、短鎖脂肪酸はこれらの部位の生体調節機能を果たしています。中には生活習慣病と密接な関係にあるものも多い事から、癌や肥満、糖尿病、免疫疾患を予防・治療する手段として、近年活発に研究されている分野でもあります。メタボレード添加により、短鎖脂肪酸の産生が用量依存的に増加し、酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸ですが、特に酪酸Butyric acid(美容通信2012年8月号)の増加が著明になりました。酪酸は大腸上皮細胞のエネルギー源として利用され、この増加は、相乗効果的に、更なる腸内細菌叢の改善に寄与するものと思われます。
近年、腸内フローラは健康維持に重要な役割を果たし、特にFirmicutes門とBacteroidetes門が全体の約9割を占め、そのバランス(F/B比)は、肥満や代謝疾患、炎症性腸疾患等に関与すると報告されています。Firmicutesは短鎖脂肪酸産生やエネルギー収穫増大を通じて肥満傾向との関連が示唆され、一方でBacteroidetesは食物繊維分解を介して代謝バランス改善や炎症抑制に寄与すると注目されています。メタボレード添加により、F/B比(肥満指数)が低下しました。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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<Lactitol+>
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LOH症候群(男性更年期障害)の治療に際し、テストステロンの補充療法は一般的となりつつありますが、単にテストステロンだけを補充していれば、誰もが同じような効果が得られると言う訳ではありません。運動や食事療法等との併用が重視されており、これは、所謂、LOH症候群(男性更年期障害)の治療だけに留まらず、若返り=生物学的年齢を巻き戻す効果が認められています。題して、テストステロン補充療法と若返りに関する最新のトピックス。
「減少したテストステロンは、補うほかない。」冒険家の三浦雄一郎さんは男性ホルモンであるテストステロンを補充することで、身体に劇的な変化があったそうです(AERA 2019年12月9日号)。世の中の90歳代が、皆がみんなエベレストに挑戦するとは限りませんが、テストステロンが果たした役割もとても大きかったんだとか。今月号は、<テストステロン補充療法と若返りに関する最新のトピックス>です。よりテストステロン補充療法の効果をUPさせて、若返る=生物学的年齢を巻き戻す方法を考えます。
100歳以上まで生きる、例えば、supercentenariansは110歳まで生きる人事なんですが、彼らは、心血管とか高血圧とか脳卒中とか、相当年を取らないと病気しません。つまり、長生きする人は、病気になるまでの時間が長いんです。逆の言い方をすれば、年齢と共に、こう言ったsupercentenariansであれば病気をしないのですが、その手前の人、例えば90歳くらいの人は、心血管疾患に20歳くらい若くしてなります。もう少し年齢を若返らせるという事が、色んな意味で疾患予防の可能性に繋がると考えられています。
HISAKOの美容通信(美容通信2026年2月号)でも何度か登場しましたが、ドラキュラ伝説を彷彿とさせる、(動物実験ではありますが)若返りは可能だ!って非常に有名な論文’Rejuvenation Factor’ in Blood Turns Back the Clock in Old Mice(9 MAY 2014 VOL 344 SCIENCE)があります。若いネズミと年取ったネズミを、皮膚を縫い合わせる事で、末梢循環を共通させる。一緒にしちゃうと言う、非常にコンセプトとしては簡単な実験です。パラバイオーシスと言いますけれど、そうしますと、この2匹のネズミは一緒に活動をするようになります。年取ったネズミの表現型である、血流が低下する、筋肉が痩せる、或いは匂いが分からなくなるとか、神経細胞が少なくなる。そう言った事が、若いネズミとドッキングすると、みるみる回復して行きます。ですから、年取ったネズミであっても若返りをするという事は、方法はさておき、可能なんです。
先ほどはネズミのお話でしたが、人では、若返りとは一体どんなものなのでしょうか? 現在考えられている若返りとは、70歳で男性は1年間で1.7%が死亡し、75歳だとこれが2.8%に増えます。逆に言えば、75歳の人が70歳に若返る事が出来れば、死亡する確率が減る可能性があります。また、加齢に伴う症状が改善し、疾患リスクも減る可能性があり、ひいては医療需要が減る可能性があります。
最大寿命は、私達人間では125歳くらいと言われています。テロメア(美容通信2024年9月号)の長さは生物によって決まっている考えられていますが、これについては、未だ未だ不明の点もあります。また、どうして健康度が低下してくるのか、最近だんだん理解が進んで来たとは言え、未だ未だ不明の点が多くあります。
老化のペース(美容通信2025年12月号)(美容通信2024年1月号)は人夫々ではありますが、この老化のペースを科学的に定量化(数値化)する試みが進んでいます。
右図は、有名なHallmarks of Agingです。老化の根本的なメカニズムを特定する為に、研究者や科学者が共通の基盤として使用するものとして提唱され、2023年の時点では、12種類の要因に定義付けられています。
これまで、糖尿病や心筋梗塞、脳卒中、癌、アルツハイマー病は生活習慣病と考えられていました。例えば、食塩の摂り過ぎは、心筋梗塞、脳卒中の原因である事は誰でも知っています。しかし、寧ろ現在では、老化と言う事実そのものが、この様な生活習慣病や老化関連疾患の最大リスク因子と考えらるようになりました。各疾患の背景には、実は、非常に多くの特徴的な因子が絡み合っています。ですから、一つの老化経路を標的とする薬剤が、従来の考え方の様な一対一対応ではなく、複数の疾患に有効である可能性があると考えらえるようになって来ました。
老化関連疾患は、単一遺伝子ではなく、老化を促進するもの(Gerogenes)と老化を抑えてくれるもの(Gerosuppressors)の、ネットワークのバランスが崩れる事で発症すると言う考え方です。
老化を促進する遺伝子(Gerogenes)として有名なものとしては、APOE4があります。この遺伝子は、最も強力なアルツハイマー病のリスク遺伝子として知られていますが、脳血管疾患や動脈硬化性心疾患等の血管系疾患との多面的関連が指摘されています。他にも、心血管疾患や代謝性疾患との関連が指摘されているPCSK9ですが、LDLの受容体分解を促進し、結果的に動脈硬化を起こします。PCSK9が関係する疾患は他にも多く、癌の他、非常に多くの疾患に関わっている事が知られています。心血管疾患や脂質異常症のリスク遺伝子であるAPOBや、早老症との関連が知られているLMNA等が、gerogenesと考えられています。
老化制御遺伝子(Gerosuppressors)としては、TERTはテロメアを維持する中心的な遺伝子ですが、これが活性化すると癌のリスクになります。逆に低下機能により、再生不良性貧血や肺線維症の様なテロメアが短くなる疾患になります。テストステロンは、経験的にではありますが、肺線維症や再生不良性貧血の治療に使われて来た時期がありました。これはテロメアが短くなった場合に、テストステロンの投与により、テロメアを長くする効果がある為です。また、Werner症候群(早老症)や癌、免疫老化に関係するWRNの他、TET2とかDNMT3Aはメチル化に関係する遺伝子があります。TET2/DNMT3Aは、CHIP(クローン性造血)により炎症・動脈硬化を促進します。
この様な様々な遺伝子が、癌であるとか、心血管疾患であるとか、腎不全とか、その他様々な病態に関係しています。
その他にも、特異的な加齢関連疾患遺伝子としては、骨粗鬆症や骨関節疾患のRUNX2や、肺線維症に関係するMUC5Bであるとか、また加齢黄斑変性を起こすARMS2と言ったものも分かっています。
Biomarkers of Aging(BoA)は、老化の進行度を測定・評価する指標です。ウェアラブル機器を用いて、例えば脈拍数であるとか、睡眠であるとか、そういう事から睡眠年齢とか、心臓の年齢とか、或いは、physiologicalなパフォーマンス、例えば歩行速度からとか、そして様々な分子から、つまり、Epigenomicsとか、代謝産物であるtranscriptomicsとか、proteomicsとか、代謝産物metabolomicsであるとか、様々なデータ収集により、健康や加齢に関する変化を直接測定・予測出来る可能性があります。これ等を用いる事で、個人だけでなく、人や動物モデルに於ける睡眠パターン、活動量等の縦断的バイオマーカーの大規模測定も可能になります。
特にこの中でも、老化のバイオマーカーだけでも様々なものがあります。例えば、予測バイオマーカー。介入研究や臨床ケアに於いて、特定の治療から利益を得られる可能性が高い個人を特定する為に使用されるバイオマーカーです。その人がいつどんな病気を発症するかについても、現在、ある程度は予測が可能です。また、反応バイオマーカーは、介入の証明や容量の選択に役立ちまし、発見バイオマーカーは、老化に関連する疾患の薬剤発見プロセスを効率化に役立ちます。しかしながら、老化に関連するバイオマーカーは、FDAによる臨床応用の承認を受けていないのが現状です。
エピジェネティクスは、老化と非常に密接に繋がっていいます。私達の体は、一つの細胞(受精卵)から始まり、体の発生過程で細胞の数と種類がどんどん増えます。しかし、多種多様な細胞が体の中に存在していて、全ての細胞は同じ個人であれば同じDNAを持っているにも拘らず、しかし、細胞ごとに異なる役割・特徴を持っています。同じDNAでありながら、異なる細胞の特徴を発揮出来る仕組みが、エピジェネティクスです。
同じDNAでも、異なる細胞の特徴を発揮出来るのは、細胞種毎に遺伝子のON/OFFのパターンが異なる為です。私達人間のDNAには、約20000個の蛋白質をコードする遺伝子がありますが、細胞種毎にONになっている遺伝子のセットが異なっています。DNAは、ヒストン(美容通信2022年7月号)と言う構造分子の周りに巻き付いています。この巻き付きが緩くなると遺伝子がONになり、強く巻かれると身動きが取れないのでOFFにならざる得ません。
右図を見て下さい。DNAは、A/T/G/Cの連なりですが、C(シトシン)は化学修飾(メチル化)が起こります。DNAのメチル化が起こると、亀甲縛りされたようなものですから、自由を奪われ、遺伝子発現と言う転写はOFFになります。修飾が外れると、箍が外れた遺伝子は自由放免。ONになります。年齢ごとに於いて、どういう遺伝子のメチル化が起って来るのか、あるいは外れるのか、と言う事が加齢特異的な変化と考えられています。
数100から数1000箇所のDNAのメチル化の修飾を調べる事で、老化を測定する事が出来ます。そして、暦上の年齢に対して、DNAメチル化に基づく体の年齢の事をepigenetic clockと呼びます。人だけではなくて、勿論、哺乳類だけでもなくて、全ての生き物がその生存時間に応じて、DNAに科学的な変化が生じます。つまり、その科学的な変化を知れば、その人の年齢、或いはその生物が生存している時間が分かるって事なんですね。具体的には、遺伝子DNAの修飾の度合いを調べれば、一発で老化≒生存年齢を測定出来るって寸法です。
左図は、Braga DL et al., Biogerontolgy(2020)から拝借した図ですが、エピジェネティックな情報に、老化によってランダムなノイズが加わって行くと…、若い細胞ではエピジェネティックな情報がしっかりと厳密に制御されているが、加齢と共にその制御が乱れて、エピジェネティックな情報が薄れて行ってしまいます。細胞の特徴が徐々に失われてしまうんです。
エピジェネティックな情報の喪失によって、老化が駆動されます。
上図は、エピジェネティックスのお話の際には必ずと言って良い程登場する図ですね。最初の受精卵の段階から、細胞の運命を辿る様に、エピジェネティクスランドスケープと言うのを転がって行って、それが発生過程によって、細胞のセルアイデンティティを確立します。しかし、少しここから老化をするに至って、確立したセルアイデンティティが、ランダムなエピジェネティックなドリフトによって、確立したアイデンティティがちょっとづつ薄まって行って…、それが老化と凄く密接に繋がっています。つまり、若返りとは、このエピジェネティックな再プログラムを通じて、喪失した情報を取り戻せれば、加齢逆転を促進する事が可能になります。
今は、年齢を予測するエピジェネティックの変化を調べる事によって、この遺伝子の修飾が何歳に相当するのか、あるいは暦の年齢よりも若いのか年を取っているのかを、そしてもう一つは、DNAだけではないのですが、プロテオミクスを加える事によって、残っている寿命を予測する事も出来るようになって来ました。epigenetic clocksです。
このエピジェネティッククロックの研究はかなり古く、10年以上の歴史があります。非常に有名な2013年のホルバスクロックは、353のゲノム中のメチレーションを、化学修飾を使って生物学的年齢を計算しています。その後の、Dunedin PoAmやGrimAgeと言うものも、非常に多数のゲノム中の場所のデータを使って、AIを使って、エピジェネティックな年齢を計算しています。
老化の程度は非常にミックスされており、全ての因子が一様に年取っている事も、若いと言う事もありません、色んなパスウェイによって異なりますが、しかし全体で見ると、若いとか年取ってるって判断になるだけです。
右図は、epigenetic clockの一例ですが、こういった方に何らかの介入、例えばファスティングすると、炎症が高かったのが、変化して、4歳若返ります。検診の中でも、今腎臓が悪い、肝臓が悪いと言う事だけではなくて、将来的には糖尿病に関する問題が出て来るかも知れないが、この人に於いては糖代謝に対する基づく老化は考えにくいが、逆に炎症の変化があると言う事は、これを介入によって減らす事は、若返りに有効と考えられます。将来的には、epigenetic clockが検診の場でも活用されるようになるのでしょうね。
現在、様々なエピジェネティッククロックが提唱されていますが、その草分け的存在であるHorvathのエピジェネティッククロックは、DNAメチル化の状態を基に年齢を推定し、実年齢だけでなく「生物学的年齢」を測定できると話題になりました。生物学的年齢は、個人の健康状態や老化の進行を示すもので、年齢より体が若いか、若しくは老化が進んでいるかを判断出来ます。これにより、病気や生活習慣が年齢以上の老化を引き起こしているかどうかも分かるようになりました。また、年齢を測るだけでなく、個人の健康リスクを予測するツールとしても活用されています。
エピジェネティッククロックを利用した介入研究の例として、このHorvathの介入研究を紹介します。高齢被検者(60~95歳)を対象に、10週間のヒト臍帯血漿濃縮液を打ち続けて、臨床的なバイオマーカーとGrimAgeで評価したところ、0.82歳しか若返らなかった。逆に年取った人もいたそうです。しかし、健康な男性(50~72歳)を対象に、8週間の食事・睡眠・運動・リラクゼーション・サプリメントの効果を評価したところ、3.2歳若返りました。メチレーション食とはお肉中心ではなく、野菜中心の食生活。これはあんまりお金が掛からない方法ですけれども、臍帯血よりも効果が出たんです。例えば、7歳くらい年を取っている方が、6歳くらい若返ったんだそうです。
科学的に有効なアンチエイジングとしては、運動とカロリー制限と、絶食(美容通信2023年7月号)と言われています。左図は、HISAKOの美容通信でも何度か登場した、有名なウィスコンシン大学のお猿さんの研究です。腹7分目で育てられたお猿さんは長生きをする。或いは、病気をしません。
食べる量が少ないお猿さんの方が、加齢関連疾患を予防が出来ます。
そのメカニズムとしては、カロリーを制限したり絶食、運動したりすると、SIRT1がONになり、蛋白量が増加したり、活性が増加します。
SIRT1の主な働きとしては、一言で言えば、DNAの損傷を防ぐ事です。例えて言うと、遺伝子が転写を受ける時は、昔の古い固定電話の黒い線がビヨ~ンと伸びた状態で、この様な状態では、DNAは傷を付きやすい。ぐっと結び直してあげると、DNAの損傷を防ぐ事が出来ます。
SIRT1自体は様々な老化関連疾患と関係していて、心臓(心筋梗塞)、肝臓(脂肪肝・Ⅱ型糖尿病)、腸(炎症性腸疾患)、脂肪組織(肥満・Ⅱ型糖尿病)、膵臓(インスリン分泌不全・Ⅱ型糖尿病)、肺(COPD)、骨格筋(サルコペニア・インスリン抵抗性)、脳/CNS(アルツハイマー病・パーキンソン病・ハンチントン病・脳卒中)との関連性が報告されています。
長寿遺伝子サーチュインを上げる方法は、運動の他、テストステロン、PDE5阻害薬(美容通信2026年2月号)(美容通信2025年9月号)、ポリフェノール(レスベラトロール)と言われています。最近その中で、カロリーを制限するのではなくて、食事を飛ばす、つまり、ファスティング(美容通信2016年3月号)が多くの医学的な効果がある事が分かって来ました。認知機能の改善から始まって、心血管疾患のリスクの軽減や、血圧や脈拍を下げる、喘息(アレルギー)の改善、血中コレステロール値や中性脂肪値が改善する、内臓脂肪が減る、筋肉量の増加、全身的な炎症の改善。肝臓や筋肉でのインスリン感受性の改善(糖尿病の予防・改善)、腸内細菌の変化、癌予防等、非常に多くの作用がある事が分かって来ています。
古来、ファスティングは断食として世界中で行われて来ました。老子や荘子等の中国の哲学者の思想をまとめた淮南子の中には、「肉を食べるものは勇敢であり、穀物を食べるものは知恵があるが、どちらも早死にをする。食べないで、気を充実させると、不老不死になる」との記載があります。また、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教では、重要な祭日の前に断食を行います。例えば、イースターのお祭りも、元々は、断食明けに行う祝日だったそうです。当然仏教でも、断食が登場します。断食とかファスティングは、辛いもの、苦しいものとの誤解を受ける事が多いですが、実際行ってみると、集中したり、活力が沸いたりして、正に若返った感じがします。
ファスティングは、元々、老化と寿命に影響すると言われていましたが、近年、生活習慣病や老化の関連疾患にも作用するだけでなく、多くの臓器がファスティングによってホメオスタシスを回復する事が分かっています。細胞はファスティングによる反応として、抗酸化作用、DNAの修復、蛋白質の調整、ミトコンドリア生成、オートファジー、炎症のダウンレギュレーションが高まります。
炭水化物は糖になり、体のエネルギー源となりますが、この過程に於いて、活性酸素(美容通信2017年10月号)と言ういらないオマケが付いて来ます。つまり、炭水化物を摂れば摂る程、体は錆びて行く。老化をして行くんです。
ファスティングでは、エネルギー源としていた炭水化物、糖類を断ちます。しかし、体は何処からかエネルギーを得る必要があり、苦肉の策ではありませんが、脂肪を分解して、遊離脂肪酸になり、それがケトン体になります。このケトン体をエネルギー源として使うと言う奥の手を選択します。このケトン体には抗酸化作用があります。また、面白い事に、ファスティングをすると、基礎代謝量が上がります。通常食事を摂ると、インスリンが分泌します。これをしっかり使ってしまえれば問題はないのですが、使えないと体脂肪として蓄えられてしまいます。ダイエットとファスティングの違いですが、食事のカロリーを減らしてもインスリンは分泌されます。ダイエットでカロリーが減った分だけ、必然的に代謝も減ってしまいます。ファスティングは、逆に蓄えているエネルギーを使って、脂肪を燃やすので、基礎代謝量が上がるので、実は両者は似ているようで、全く違うんですね。
フレイル(美容通信2027年6月号)(美容通信2019年2月号)とは、高齢期に生理的予備能が低下する事で、ストレスに対する虚弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡等の転帰に陥りやすい状態の事で、要介護の12.1%、要支援の16.2%を占める主な原因疾患です。
フレイルの評価方法(改訂J-CHS基準)は、以下の通り。
①体重減少:6ヶ月で、2kg以上の意図しない体重減少
②筋力低下:握力)男性<28kg 女性<18kg
③疲労感:ここ2週間、訳もなく疲れた感じがする
④歩行速度:通常歩行速度<1.0m/秒
⑤身体活動:ⅰ)軽い運動・体操、ⅱ)定期的な運動・スポーツの2つの何れも、週に1回もしていない
左図は、日本人に於ける軽介護を受けている男性117名について、性ホルモンと生存率の関連性を平均28ヶ月に亘って追跡調査した研究結果ですが、テストステロン値が高い人は、生活機能も、意欲も、認知機能も保たれており、長生きする事が分かっています。
SAMP8マウスは、老化モデルマウスで、認知症を呈する事が知られています。このマウスのテストステロン値を測定すると、コントロールマウスに比較して、血中のテストステロン濃度が低くなっています。
また、老化によって濃染するSA-β‐gal染色で精巣を染色すると、上図の如くに、SAMP8マウスでは明らかに濃染され、精巣での老化が確認されます。DHT(ジヒドロテストステロン)(美容通信2024年12月号)(美容通信2013年2月号)を投与すると、SA-β‐gal染色で濃染されて、所謂老化像を示していた海馬・第三脳室付近でも、長寿遺伝子であるSIRT1遺伝子が惹起され、濃染も消えます。テストステロン投与で、認知機能も改善が認められました(美容通信2026年2月号)。
前述の通り、エピジェネティッククロックは、DNAメチル化パターンを基に、生物学的年齢を推定するものです。研究によると、エピジェネティッククロックは、健康状態や疾患リスクと強い相関がある事が知られています。
その中で、性ホルモン(特にテストステロンとテストステロン/エストラジオール比=TE比)は、性差に応じた健康格差に関与している可能性があり、性ホルモンがエピジェネティッククロックにどう関係しているかを調べた研究を、生物時計を発見したHorvathさんが行っているので、紹介しますね。性ホルモン濃度とDNAメチル化に基づく老化/死亡リスクバイオマーカー(Pheno-Age加速、Grim-Age加速、DNAm-PAI1、DNAm‐レプチン等)との関連を調べました。データは3つのコホートからプールし、男性1612人、閉経後ホルモン療法非使用女性が1062人を対象にしています。
男性の中でテストステロンの値、そしてテストステロンとエストロゲンの比が、炎症のクロックであるDNAm-PAI1の低下と関連していました。つまり、テストステロンの高い人は、炎症に基づくエピジェネティッククロックの指標を若返らせ、老化加速指標も若くなると言う事が分かりました。女性では、エストロゲンそのものではなく、SHBG(性ホルモン結合グロブリン)のみがDNAm-PAI1の低下と関連しており、これが炎症の抑制関連していました。
まとめですが、男性では、テストステロンや、テストステロンとエストロゲン比が高い人は、エピジェネティック的な加齢指標の改善(若返り傾向)と関連している可能性があります。男女共に、SHBGはDNAm-PAI1の低下と関連しており、これが炎症の低下と関係していました。テストステロンの値自体も確かに重要ではありますが、エピジェネティッククロックの個々の項目を低下させる介入があれば、DNAm-PAI1そのものが心血管リスクや炎症・代謝異常との関連から、寿命・心血管血管健康に対するテストステロンの保護効果の指標となる可能性があります。

加齢に伴い、筋肉量は著しく低下、萎縮するだけでなく、筋肉の質の低下、骨量の低下が起こり、死亡リスクも上昇します。
速筋特異的ARノックアウトマウスは、生存的には通常のマウスと同じ2年位の寿命ですが、筋量を測定しますと、1年位の所謂中年期から骨格筋の筋重量の低下が始まり、2年の高齢マウスではそれが著明になります。しかし、筋量の低下の前に、13週辺りから、握力やトレッドミル等の、筋のパフォーマンスの低下が認められます。
下図を見て下さい。この速筋特異的ARノックアウトマウスは、名前の通り、タイプⅡの速筋だけのARのシグナリングを遮断したマウスですが、タイプⅠの遅筋が10%程度増えている事が知られています。筋のボリュームに変化はないように見えても、中身は、つまり、どうも、速筋から遅筋へのトランジションが、代償的に、若い頃から起こっていたのではないかと推定されます。それが加齢に伴って、前期高齢者位の年齢になると、筋肉のボリュームも加齢に伴って落ちて来て、多少は速筋の方が減少が著しくはありますが、速筋も遅筋もどちらも減少します。
テストステロンと筋力は、正の相関をする事は、様々な疫学的調査からも知られており、テストステロンの低い群では、将来サルコペニアのリスクが高くなります。
最近は、サルコペニア肥満が注目されています。普通体型や寧ろ肥満に見える場合でも、筋肉量が少なく、脂肪が多い状態で、身体機能の低下が著しく、転倒・骨折のリスクが高いだけでなく、糖尿病や脂質異常症等の代謝性疾患や、心血管リスクも高くなる事が知られています。
一般的に、肥満の治療は、ダイエットと運動ですが、肥満に対する所謂減量療法(diet)は、減量が加齢に伴う筋肉量・骨密度の低下を悪化させ、フレイルを悪化てしまいます。つまり、単に減量だけではダメ!なんです。減量と有酸素運動を組み合わせて、身体機能は改善出来も、減量に伴う筋肉量及び骨塩量の減少は補足出来ません。その為、筋肉量・骨塩量減少を最小限とした、ライフスタイルへの介入(lifestyle intervention)が必要になります。
サルコペニアは、加齢と非常にリンクしていますが、加齢に伴ってテストステロンが減少するLOH症候群も、当然、筋量・筋量の低下と関係しており、この両者は非常に関連しています。サルコペニアもテストステロンの減少も、骨塩量の低下を介して、転倒・骨折のリスク、QOLの低下、健康寿命の短縮に関連しています。
サルコペニアに対するテストステロン補充療法ですが、海外で実施されたRCTの有効性ですが、筋肉量の増加、除脂肪体重の減少を示しているものもありますが、筋肉量を増加させる事は良く知られています。日本人を対象にしたRCTでも、1年間のテストステロンの補充により、握力は有意に改善し、全身筋肉量も治療後半年の時点で改善が認められており、テストステロン補充はサルコペニアの予防になるのではないかと考えられています。
しかし、筋肉量・身体機能の改善に対するテストステロン補充療法の効果は、補充療法単独だけよりも、運動療法を併用する事で最大限に発揮されます。
C2C12細胞と言う骨格筋の細胞を培養して、シャーレにピコピコっと電気刺激を行うと、時間の経過と共に低下はしてしまいますが、アンドロゲン受容体(AR)の発現が増します。同様の現象は、ビタミンDの受容体でも起こります。
運動によって、ホルモンも惹起する事が知られていますが、ホルモンの受け皿であるARやVDRも発現が増強すると考えられています。マウスに於いては、in vivoの結果ですけれども、トレッドミルで走らせた後では、AR、VDRの発現が共に上昇しています。つまり、運動により、内因性のホルモンだけでなく、ホルモンの受け手であるレセプターの発現も上がります。しかし、これが、組織特異的なのか、また、加齢によってどう変わるのか、性差があるのか等々については、今後の研究報告が待たれるところです。
右図は、日本内分泌学会誌(2017)から拝借した、ビタミンD不足・欠乏の判定指針です。
2010年のClin Endocrinol(Scott D. et al.)論文によれば、ビタミンDが足りていれば、筋肉の量も筋力もアップしていますし、裏返す様に、脂肪の量も少ないとの報告があります。
| 25(OH)D3≦20ng/ml | 25(OH)D3>20ng/ml | |
| 脂肪量(%) | 34.5±8.0 | 32.2±7.5 |
| 四肢筋肉量(%) | 59.3±9.9 | 62.2±9.6 |
| 下肢筋力(kg) | 91.5±47.8 | 100.8±50.1 |
補中益気湯の様な補剤も、フレイル対策としては虚証に対しては補剤を補う事が知られていますが、後肢懸垂モデルマウスに漢方薬の補剤を投与すると、部分的ではありますが、マウスの骨格筋量が増えて来ているとの報告があります。漢方薬にはテストステロンは含まれてはいませんが、テストステロン様の作用が認められています。
骨粗鬆症は、骨強度の低下により、骨折リスクが増大した状態を指します。骨強度は、骨密度が7割と骨質が3割で、この2つで定義されます。骨粗鬆症では、この2つが様々な割合で低下して、骨強度が低下し、骨折が起こります。骨折の発生部位としては、大腿骨近位部、椎体、肋骨、骨盤等があります。日常臨床では、骨密度の測定は可能な指標で、体幹部の骨密度が評価されます。一方、骨質は、骨密度以外の骨強度を規定する全ての因子の総称で、今現時点では一部を除いて、臨床的な評価は難しい為、日常的には、骨密度が骨強度の代表的な指標として考えられています。
右図は、骨密度の年齢による変化を示したものです。骨密度は成長と共に増え、20~30代の性生殖期をピークに暫くは維持されます。しかし、女性では、閉経期、50歳前後になると、女性ホルモンが急激に低下します。それに伴って、骨吸収が亢進、骨形成も亢進し、高骨代謝回転の状態になって、その状態では骨形成が骨吸収に追い付かなくなって、骨量が急激に減ってしまいます。男性では、そう言った急激な変化は認められなません。その後男女共に、加齢と共に、骨密度はゆっくり低下します。
男性の骨粗鬆症は、頻度的には女性の1/3程度。殆どの骨粗鬆症は、性ホルモンの低下や加齢に伴う原発性骨粗鬆症ですが、一部にはその他の疾患とか病態が原因となる続発性の骨粗鬆症があり、これは男女差がありません。つまり相対的には、男性では、続発性骨粗鬆症の割合が高くなっています。
加齢と共に骨折は急増します。例えば、大腿骨近位部の骨折の発生率ですが、男性でも女性でも、70歳を超えて来ると、この様に急激に骨折率が上がって来ます。最近では、90歳以上の大腿骨頸部骨折が非常に増えています。大腿骨頸部骨折の生命予後は非常に悪く、1年以内の死亡率は、海外含めて20%以上。特に男性では、死亡率が高くなっています。
骨粗鬆症の診断は骨密度と骨折の組み合わせで行います。椎体や大腿骨の骨折があれば、それだけで骨粗鬆症ですし、骨密度が低下していればそれだけで骨粗鬆症。具体的には、若年成人平均値との比較で、70%未満だと骨粗鬆症になります。また、その他の骨折があって、骨密度が70~80%未満の骨量減少症があっても、骨粗鬆症になります。ここで重要なポイントとしては、椎体骨折の2/3は無症候性で、いつの間にか骨折。積極的な診断としては、レントゲン写真での評価が非常に重要になります。
詳細は省略しますが、この椎体骨折の重症度は、3段階で評価します。グレード1が軽度で、2、3と、誰が見ても明らかな骨折になります。女性ではグレード2以上の高度の椎体骨折が多いのですが、男性ではグレード1の軽度のT12、L1の椎体骨折が多いのが特徴です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD;Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは、煙草煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露する事で生じた肺の炎症であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病です。主な症状は呼吸器症状ですが、様々な全身の併存症を合併する事が知られています。その一つが、骨粗鬆症。日本では、40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者が存在すると推定されていますが、大多数が未診断、未治療の状態で、隠れCOPD&骨粗鬆症が潜在的に多く存在すると考えられています。
COPDでは、骨密度も低下していますが、構造的な骨質も劣化が認められます。
TBS(Trabecular Bone Score)は、COPD病期に依存します。TBSは、骨質、つまり海綿骨微細構造を反映する指標で、DXA画像の濃淡から算出されます。骨密度が同じであっても、綺麗な構造のものでは高め、バラバラした構造のものでは低めに表されます。TBSは、骨密度とは独立した骨折のリスク因子と考えられています。男性で、COPDの患者さんでTBSを見たところ、呼吸機能が比較的保たれているGOLD1と比較して、2、3&4と呼吸機能が低下するに従い、TBSが有意に低値になります。COPDでは病気の進行と共に、骨質が悪くなります。
COPD合併骨粗鬆症では、初期の段階から、慢性炎症を基盤として、骨質が低下します。また病期が進行すると、呼吸機能が低下し、低体重が進行し、更に合併するサルコペニアと共に骨密度の低下が認められるようになります。また、COPDではビタミンD不足が多いと言われていて、ニコチンや病気の影響が考えられます。この様にして…フレイルが進んで、骨折も増えて、予後も悪くなる…。
Ⅱ型糖尿病との関係ですが、肥満を背景に骨密度は高いと言われています。骨密度が低下すればするほど、糖尿病でも非糖尿病であっても、骨折は増えます。糖尿病では骨密度は高いとは言われてはいますが、骨密度が低下する事は、骨折リスクが上がります。また、骨密度が同じ場合、糖尿病ではより骨折が多くなります。糖尿病自体が骨折リスクですし、骨質の劣化が骨折に繋がります。
糖尿病に於ける骨質の変化は、HR-pQCTのデータがあります。左から、非糖尿病、骨折のない糖尿病、骨折のある糖尿病。骨折のある糖尿病では、皮質の部分が穴がポコポコ空いています。つまり、皮質骨の多孔化と言われるもので、これが骨折リスクに繋がります。TBS、つまり、海綿骨の指標についても、やはり糖尿病では落ちており、COPD同様に、慢性炎症が関係します。
生活習慣病、男性ではCOPDやⅡ型糖尿病疾患が併存している事が多いですが、この様な疾患と骨粗鬆症の共通の基盤としては、近年、炎症老化が注目されています。
Agingは、様々な疾患の原因になります。そもそも、骨粗鬆症は加齢と共に進行するのですが、糖尿病だったり、認知症だったり、CKD、動脈硬化性疾患等、こう言った様々な疾患が加齢と共に増えて来ます。骨粗鬆症は、これ等加齢関連疾患の共通の基盤があるという事が分かって来て、老化のメカニズムを解明して、制御する治療の研究が最近進んで来ました。
老化を進める機序としては、前述のHallmarks of Agingの12の機序が提唱されています。これ等の要因は、全て加齢と共に出現し、これを実験的に悪化させると、老化が加速します。反対に、実験的に改善させると、老化が遅延して健康寿命が延びます。これ等の要因は、一つ一つ勝手に働いているのではなく、互いに密接に関連していて、一つの機序の破綻が周りに悪影響を与えます。続発性骨粗鬆症の関連として、この中で特に注目されるものとしては、慢性炎症です。
私達の正常の細胞と言うものは、基本的にはアポトーシスに陥るか、アポトーシスを逃れて老化細胞(美容通信2026年10月号)として生き延びるかのどちらかになります。様々なシグナルによって、炎症のカスケードが進行し、細胞周期制御因子であるp21、p16、p51等の転写因子を活性化して、その下流の転写因子カスケードを活性化。その結果、細胞を老化させると言われています。この老化した細胞と言うのは、SASP(美容通信2027年9月号)と呼ばれる炎症性サイトカインとか、プロテアーゼとか、様々な因子を分泌します。それにより、様々な免疫細胞が集まって来て、一部はそのまま排除されます。一方で、生き残ってしまった老化細胞は、周囲の細胞を更に老化させて、周囲の細胞、組織を傷害っします。これが老化を齎す機序です。骨の組織に於いても、SASPが骨の老化に非常に重要になります。
実際に、私達の全身性炎症を反映する高感度CRPの高値は、骨折リスクになります。3万人を対象にした10個の観察研究によれば、高感度CRPで、最も高値の群と低値の群を比較すると、最も高値の群で骨折率が高いと報告されています。
ビタミンD(美容通信2013年3月号)は、骨、Ca代謝にとって重要なホルモンで、非常に低下すると、低Ca血症になったり、骨軟化症・くる病を呈しますが、日常臨床では非常に稀です。成人に於けるビタミンD不足と言うのは、続発性副甲状腺機能亢進症を齎して、低骨密度になり、転倒リスク、骨折リスクに繋がります。ビタミンDの充足状態と言うのは、血清25(OH)D濃度で評価し、30以上が正常。20~30未満が不足。20未満が欠乏と定義されています。
ビタミンDの代謝は、加齢によっても影響を受けます。皮膚でビタミンDは合成されますが、加齢でビタミンDの合成が低下します。また、腸管や腎臓に於いては、活性型である1,25(OH)2Dの産生が低下したり、分解が亢進すると、抵抗性が増したりして、Caの吸収が低下します。骨や筋肉に於いては、前述の通り、ビタミンDの受容体が発現していますが、加齢と共に発現が低下して、骨芽細胞分化であるとか、蛋白の分解に係るという事が言われていて、骨量減少やサルコペニアに関わっています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)では、睡眠中に起こる上気道の部分、又は完全閉塞により呼吸停止(10秒以上持続する無呼吸または低呼吸と定義される)が認められ、それに続いて覚醒及び過呼吸を来すエピソードが複数回認められます。症状としては、日中の過度の眠気、不穏状態、いびき、繰り返す覚醒、起床時の頭痛等があります。肥満の有病率の増加に伴い、本疾患の有病率も増加しています。世界で推定10億人が罹患しており、その大半が未診断且つ未治療とされています。症状を伴うある程度のOSAは成人の8~16%で、男性で4倍多く、肥満患者(BMI[body mass index] ≥ 30)で7倍多い事が知られています。
テストステロンとOSAとの関連は、1978年にStrumpfらによって初めて報告されました。テストステロン値は一般的に朝高く、1日の終わりに低くなります。OSAの患者さんでは、反復性の呼吸停止によって、夜間の低酸素血症が起こり、これが非肥満の中年及び高齢のOSA患者のテストステロン値の低下と関連していると考えられています。
肥満、テストステロン低下、OSAとの関連については多くの論文があり、テストステロンの低下は、様々な病態と関連しています。睡眠障害もLOHの代表的な症状であり、テストステロン値と睡眠の質には正の相関があります。睡眠障害は、テストステロン値の低下、勃起障害とも関連しています。
テストステロン補充療法とOSAについては、2007年の段階では手引きで禁忌の扱いされていましたが、現在ではOSAは禁忌ではなく、OSAは多血症と関係があるので、多血症に注意とされています。
性腺機能低下症のうち、染色体異常、遺伝子異常、或いは精巣の障害、腫瘍、機能異常、及び中枢神経系等の疾患に起因するものではなく、主として加齢或いはストレスに伴うテストステロンの低下による症候群を、加齢男性性腺機能低下症候群(Late-onset hypogonadism:LOH症候群)と呼んでいます。テストステロンは、体全体に作用するホルモンであり、皮膚や毛髪(頭髪は禿げる傾向にある、髭は濃くなる)、中枢のも作用するだけでなく、筋肉や骨、肝臓、エリスロポエチンの産生にも関与しています。心血管系の他、男性の外性器や内性器にも作用します。
LOH症候群では、加齢に起因すると思われる色々な症状が出現します。性機能症状だったり、精神症状だったり、身体症状だったりと、実に多彩です。これらの症状の原因となる様なリスクファクターを、先ずは探索すし、疾患に伴うものであれば、その原因となる疾患を治療します。そうではないと考えられる場合は、総テストステロン(閾値を250ng/dl)の低下がないかを考えます。しかし、総テストステロンは大丈夫でも、遊離テストステロンの値を見て、どちらかで低下があって、症状があれば、LOH症候群の治療を始めます。今回の手引きのポイントは、測定値に拘わらず、総合的に判断する事が重要とされた点です。元々高かった人が、少し下がる事で症状が出る事もあり得る為で、単純に閾値だけでは評価出来ないからです(美容通信2025年6月号)。閾値に拘わらず、必要があれば、積極的に治療を行う必要があります。
一般的に男性ホルモン補充療法を考慮する時は、治療に適応に関しては、症状の有無を重視します。治療の目的としては、副作用を最小限にしつつ、症状を改善する事です。
実際の男性ホルモン補充の方法(美容通信2014年7月号)としては、筋肉内投与が一般的です。後述の通り、テストステロン ゲルは、性機能と気分の改善については、注射剤と同等の効果が認められていますが、多血症のリスクについては注射剤よりも低く、安全性は高いとされています。塗布後、24時間で定常状態に達し、塗布中は正常範囲内に保たれるとされています。
男性ホルモンクリーム/ゲル製剤剤:1UPフォーミュラ(美容通信2026年2月号)・エスクテム(美容通信2027年2月号)Lunenfeld B, Aging Male, 2013; 16: 143-150によると、一般的には、代表的な症状としては、性欲低下に対しては効果が早く現れやすく、3週間以内と言われますが、最大でも6週間。QOLの改善は、3~4週間以内とは言われていますが、最大の改善を得るには長くやりなさい(笑)と言う…良く分からない記載がされています。抑鬱症状とLOH症候群の関連については、はっきりとは認められてはいませんが、テストステロンの補充により十分な効果が認められます。補充により、比較的早い段階での症状の改善が認められますが、最大の改善を得る為には18~30週間と長期の治療が必要です。骨とかに関しては長めの治療期間が必要ですし、脂質異常については早めの症状の改善は認められるが、最大の効果を得る為にはやはり1年くらい掛かります。インスリンの感受性の改善も比較的早期から認められますが、血糖のコントロールが実際的に良くなるのには、もっと長い期間が必要です。
ガイドラインによる治療期間は、治療開始後3ヶ月毎に治療判定を行い、治療継続の適否を判断する事になっています。唯、臓器ごとに改善に要する期間は、上記の様に、結構機関がバラバラなので、その患者さんが求めている事に合わせて、つまりどういう事で困っていて、どういう事を改善したいかは、治療をしながら、長期的に治療を継続するのか、短期的に止めてしまうのかを、夫々判断する必要があります。しかし、一般的には…長期亘る事が殆どです。
男性ホルモン補充療法による副作用としては、多血、肝機能障害、痤瘡、精巣萎縮等が知られており、特に、静脈血栓や肺梗塞は致死的な病態となり得ます。しかし、テストステロン ゲルは、多血症のリスクについては注射剤よりも低く、安全性は高いとされています。
テストステロンゲル投与群では、プラセボゲル群に比して、血清テストステロンレベルが高い事が知られています。しかしながら、心血管累積発症率は同等。心血管疾患死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中に於いても同等との報告があります。
しかし、統計上有意ではありませんが、静脈血栓イベントは、若干テストステロン ゲル投与群で多い傾向が認められています。また、非致死性不整脈、心房細動、急性腎障害は、テストステロン ゲル投与群で有意に高頻度に認められました。
皮膚終末糖化産物AGEs(美容通信2015年10月号)は、酸化ストレスの誘因になり、これが血管内皮の障害、動脈硬化に繋がり、これがEDの危険因子(美容通信2025年10月号)になると考えられています。
しかしながら、AGEsの蓄積はEDの危険因子と考えられてはいますが、AGEsが蓄積しやすい糖尿病患者とか糖尿病モデルラットのみでの検討であって、健常者の男性については実はデータがありません。
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類や、ルテイン、ゼアキサンチン、β‐クリプトキサンチン、α-カロテン、β-カロテン、リコピン等のカロテノイドは、Antioxidantsとして知られいます。
酸化ストレスはEDの危険因子だ!!と言う論文は、非常に多数ありますが、意外にAntioxidantsとEDの関係性について触れた論文は殆どなく、精々、ビタミンEとPDF-5阻害薬の相乗効果の検討した論文が幾つかある位です。ましてや、ビタミンやカロテノイドとEDの関係性について言及した論文はありませんし、また、これらが、AGEs蓄積との関係性について調べた論文もありません。
2015度年岩木町健康増進プロジェクトで、EDの診断が付いた335人について、この関係性について調べた報告があるので抜粋しますね。皮膚のAGEs濃度は、皮膚自家蛍光を測定。血中ビタミン類・カロテノイドは、高速液体クロマトグラフ法で測定しました。これを逆確率重み付け法による多変量解析を行ったところ、AGEsは、重症EDのリスク因子で、各ビタミン・カロテノイド類は、5つのカロテノイドがAGEsと負に相関していました。しかし、AGEsは加齢と可なり相関しており、年齢での調整を掛けたところ、カロテノイド類であるゼアキサンチンだけが、AGEsと負の相関を示しました。
つまりこの研究から、以下の事が分かりました。
①AGEsは、ED重症度と正に相関する。
②ビタミン類・カロテノイド類は、ED重症度と負に相関する。
③ゼアキサンチンは、AGEs蓄積を防ぐ事で、EDの重症化を予防する可能性がある。
2015度年岩木町健康増進プロジェクトでは、テストステロンの濃度も測定していますが、約97%はほぼ正常。しかし、AMSスコアだけに限ってみると、症状無が43%で、半数以上が軽症以上で、何かしらの症状を有していました。つまり、これは、テストステロン値は正常にも拘らず、AMSスコアで見る限り、何らかの症状がある事を意味し、ひょっとするとテストステロンだけではなくて、他の性ホルモンがスコアに影響を与えている可能性が示唆されました。
テストステロン値は閾値以上あれば、EDと相関せず、DHEA(美容通信2026年2月号)(美容通信2025年6月号)がEDと相関する事が分かっています。DHEAはテストステロンの前駆体で、アンドロゲン活性はテストステロンの5%程度あり、これがEDと相関している理由ではないかと考えられています。その他にも、血管内皮細胞にも独自の受容体を持つと報告されており、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化したり、G蛋白質依存的にeNOSを安定化させて、NO(美容通信2025年9月号)産生を促進します。また、細胞の保護・代謝改善作用が報告されており、インスリンの感受性の改善や、フィブリン溶解抑制因子の低下、抗動脈硬化作用、抗酸化作用が認められています。他にも、分かっていないメカニズムで、様々な生理活性を持っているのではないかとも考えられており、非常に興味深い性ホルモンとされています。
左図を見て下さい。テストステロンとDHEAの年齢との相関を見てみると、テストステロンと年齢は有意に相関する事はありませんでした。しかし、DHEAに関しては、年齢と共にかなり急激に下がります。DHEAとAMSスコアの相関を見てみると、そんなに強くはないけれども、有意に負に相関しているので、ひょっとすると、LOH症候群とは別の話で、老年医学の領域になってしまうかも知れませんが、加齢に伴う諸症状はDHEAの補充で改善する可能性があります。
漢方薬は、テストステロン補充療法が禁忌であったり、適応外の際に、症状に応じた漢方薬を選択します。
馬軍団とは、1990年代に中国の国威発揚に大きく貢献した陸上競技チームです。同チームの構成メンバーは、遼寧省内で優秀として選抜された中長距離選手20人程で、チームを率いるコーチの名前が“馬俊仁”だったことから、“馬家軍(馬軍団)”と呼ばれるようになりました。しかし、ドーピング疑惑によって2000年シドニーオリンピック出場が出来ず、馬俊仁は、2004年、失意のうちにコーチを辞任し、競技指導を離れました。しかし、彼はそれだけで終わる様な男なんかではなく、陸上競技指導から得た知識を元に作成した栄養ドリンクの調合レシピを中国企業に売却し、1000万元(当時1億2000万円)を得ました。日本では、江戸時代からその概念が知られるようになりましたが、世間様に爆発的に認知度が拡がった(←少なくともHISAKOがその存在を知った!)のは、冬虫夏草を元にした馬軍団の疲労回復ドリンクとして、大手商社(日商岩井)が販売権を得て発売してからです。
しかし、冬虫夏草の歴史は古く、9世紀頃、『酉陽雑俎』に登場したのが最初です。中国唐代の段成式による随筆で、博物学的知識から奇事異談まで様々な内容を扱っており、全20巻及び続集10巻からなります。冬虫夏草とは、簡単に言うと、昆虫や節足動物に寄生し、その体内で成長してキノコ状の構造(子実体)を形成します。中でも非常に有名なものは、シネンシス冬虫夏草です。これは標高3000m以上のチベット高原等に生息し、コウモリガの幼虫に寄生して、キノコ状の構造を構造を延ばします。元々は、チベットの遊牧民が、1500年ほど前に、これを食べた家畜が元気になる事から、その機能を発見とされています。唐の時代、清では、精力剤・長寿薬として、皇帝への献上品として珍重されていました。私達の様な庶民には、手の届かない高価な生薬です。
冬虫夏草は、特定の菌種が特定の宿主に寄生すると言う、菌-宿主のペアが基本になります。日本で流通している国産の冬虫夏草のサプリメント(第一工業製薬)は、カイコの幼虫に、ミリタス菌を感染(皮下注射)させて製造している冬虫夏草が主流のようです。非常に多くの有効成分が含有されていますが、主なものとしましては、セノリティクス(老化細胞除去)(美容通信2026年10月号)(美容通信2027年9月号)ではなくて、セノモルフィックス(老化細胞を抑える)成分が挙げられます。
肥満傾向の被検者に於いて、唾液中テストステロンが有意に増加しました(サブグループ解析結果(BMI≧25kg/m2))。
AMSスコアの総スコア、心理的因子、身体的因子が有意に改善しました(解析対象集団(PPS)解析結果)。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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GLP-1受容体作動薬と異なり、筋肉量の減少がない、インクレチン模倣薬によるダイエット
<メタボレード>
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前回特集した皮膚のお話の続編です。老化した皮膚の治療では、外からは、紫外線やブルーライト対策や皮脂のコントロール。中からは、栄養、腸内環境の改善、血流改善、リンパ流改善。そして、足す治療として、トレチノインの他、フラクセルやQスイッチルビーレーザー、ロングパルスヤグレーザーによるトーニングとか、IPL等の真皮にコントロール可能な急性炎症を惹起出来る様な施術。引く治療としては、慢性炎症の原因を取り除く。これ等を症例に合わせての組み合わせを行います。
今回は、古くて新しいトレチノインに焦点を当てながら、<皮膚のお話・続編:老化した皮膚の治療>についてまとめてみました。
左図は、老化を構成する12の項目(López-Otin, C., et al.(2023). The hallmarks of aging: An expanding universe. Cell,186(1),243-278.)です。皮膚は環境ストレスに曝されるのが運命みたいな臓器ですから、皮膚の加齢は、自然老化+環境ストレスによる老化のハイブリッドとして考えるざる得ません。
右図は、教科書に良く掲載されている、自然老化(内因性)と外因性の老化の組織図です。外因性の老化は、光老化を主体とする紫外線やブルーライトの他、大気汚染、摩擦、化粧品等により起こり、病理組織学的にも内因性と組織所見が異なります。…異なると言うレベルではなく、全く、真逆的な所見と言っても過言ではありません。つまり、自然老化(内因性)では、表皮は菲薄化するに対し、外因性の老化(≒光老化)では、過角化・肥厚して、真逆の所見が認められます。また、メラノサイトも、自然老化(内因性)では減少するのに対し、外因性の老化(≒光老化)では増加します。線維芽細胞も、自然老化(内因性)では数が減少するのに対し、外因性の老化(≒光老化)では、老化した線維芽細胞がどんどん増加しています。コラーゲンは、自然老化(内因性)では均一に薄くなるのに対し、外因性の老化(≒光老化)では、不規則に断裂して、配列が乱れます。エラスチンは、自然老化(内因性)では比較的に保たれるのに対し、外因性の老化(≒光老化)では、ソーラーエラストーシスとして、塊状に沈着し、弾性が失われて硬くなって行きます。ヒアルロン酸を主体としたグリコサミノグリカン(GAG)は、自然老化(内因性)では減少しますが、外因性の老化(≒光老化)では減少に加えて、質的に硬くなって、水分を保持する能力は無いにも関わらず、増えてブヨブヨします。真皮の血管は、自然老化(内因性)では減少するのに対し、外因性の老化(≒光老化)では拡張・増生が目立ち、紅斑が出やすいのが特徴です。まあ、ざっくり纏めると、自然老化は減少型で、外因性の光老化は変性・破壊型ってところでしょうか。
左図は、AIが作成した内因性の老化と外因性の老化の画像です。内因性の老化は、まあ如何ともし難い面がありますが、少なくとも、外因性の老化はかなり防げるって事です。
皮膚の環境ストレスの原因は、ROS(美容通信2017年10月号)(美容通信2027年4月号)が関係しているものばかり。つまり、外界と直接接している皮膚は、もろに酸化ストレスの餌食になってしまいます。
皮膚特有の環境ストレスは、酸化ストレスを介して老化を引き起こします。しかしながら、酸化ストレスは単独で老化の原因と言うより、複数のhallmarks of agingを同時に悪化させる要因であると考えられています(Santos DF, et al. FEBS Lett. 2024; 598:1-17. doi: 10. 1002/ 18733468. 14995)。前述の老化を構成する12の項目のうち、テロメアの減少、ミトコンドリアの機能障害、細胞老化、慢性炎症が、特に酸化ストレスとの相関が高いと考えられています。
酸化ストレスとミトコンドリアは切っても切れない関係にあります。体の中で一番ROSを産生するのが、ミトコンドリア(美容通信2017年7月号)です。ミトコンドリアが機能障害を起こすと、ミトコンドリアからROSが出て酸化ストレスが生じ、酸化ストレスを受けるとミトコンドリアの機能障害(美容通信2027年6月号)が起こると言う悪循環が起こります。その後、テロメアが短縮(美容通信2022年7月号)(美容通信2024年9月号)されて、細胞周期が停止し、老化細胞が出来る。老化細胞がクリアランスされれば問題はないのですが、残存すれば、SASP(senescence-associated secretory phenotype)(美容通信2026年10月号)を分泌をします。SASPが少なければ、美容治療も奏功しやすいし、皮膚の老化も進み難いのですが…、慢性炎症は老化を進めてしまいます。
左図を見て下さい。細胞培養を行っていると、最初の頃は生きが良くて細胞はどんどん増えるんですが、パッセージを繰り返すと増えが徐々に悪くなって、そのうちメディオを変えても増えなくなって来ます。増殖はしないけど、死なない=Senescence(細胞老化)って状態になります。1961年にHayflickらによって発見された概念です。この様な細胞分裂の限界は、ヘイフリック限界とも呼ばれ、細胞が分裂寿命を迎えた事によって起こる細胞老化を、特に分裂老化と言います。
この細胞老化の主な原因として、細胞分裂が起こると、染色体末端にあるテロメア(美容通信2024年9月号)の短縮が起こりますが、一定の範囲を超えて短縮すると、DNA損傷として認識され、細胞増殖が停止すると言う事が明らかになりました。その後、2000年代に入り、細胞老化には分裂老化の他に、酸化ストレスや癌遺伝子の活性化、放射線や紫外線、炎症性サイトカイン等の様々なストレスによっても、細胞老化が誘発される事が分かって来ました。
2008年になり、老化細胞から炎症性サイトカイン、ケモカイン、増殖因子等を含んだSASPが分泌され、周辺の正常細胞に影響を与えている事が明らかになりました。老化細胞随伴分泌現象(SAPS)とは、組織の中に1個老化が進んだ細胞があると、その周りの細胞はどんどん老化していく。Senescenceって状態は、一個悪い奴を取り除けば、周りは年を取るのが遅くなって、所謂組織の老化、固体老化は抑制出来るのではないか? つまり、テレビドラマ「3年B組金八先生」の中で語られた有名な概念、「腐ったミカンの方程式」です。この方程式は、一つの腐ったミカンが他のミカンを腐らせるという比喩で、組織や集団内の悪影響を示しており、老化に対するワクチンを理解する上で、重要となります。
しかし、悩ましい事に、SASPは必ずしも100%悪者ではありません。創傷治癒の急性期では、SASPが免疫細胞を呼び寄せて、老化細胞を除去して、組織の再生を促してくれるからです。馬鹿とハサミは使い様ではありませんが、これをアンチエイジングの治療として逆手に取らない手はありません(笑)。尤も、過ぎたるは猶及ばざるが如し。これが慢性的に持続すると、免疫細胞による除去が不十分なまま、老化細胞が溜って来ると、今度はSASPが炎症を出し続けて、インフラメイジング(Inflammaging)を引き起こしてしまいます。用語の補足になりますが、インフラメイジング(Inflammaging)とは、炎症(inflammation)と老化(aging)を組み合わせた造語で、慢性的な低レベルの炎症が老化や関連疾患に深く関与している事を示します。
老化細胞のクリアランスですが、老化細胞は完全には排泄する事は難しいですが、全く打つ手がない訳ではない訳ではありません。
しかし加齢に伴い、炎症が過剰に起こっていたり、個体の免疫が下がっていると、免疫細胞による除去も不十分ならざる得ません。
薬剤を用いて、老化細胞を選択的にアポトーシスに誘導します。所謂、流行りのワクチンによる老化細胞を除去する方法(美容通信2026年10月号)って奴で、現在世界中でと~ってもホットな研究分野とされています。
2011年、Bakerらは、老化した細胞を取り除く老化細胞除去「セノリシス(senescence + lysis)」と言う新しい老化治療の概念を提唱しました。左図は、p16と言う老化細胞のマーカーを発現した細胞、つまり腐ったミカンを取り除いたら、寿命が延びたという論文です。この結果を受け、セノリシスは新たな抗老化治療として注目を集め、老化細胞を標的としたセノリティクス薬(老化細胞特異的に細胞死を誘導する薬剤)やセノモルフィクス薬(老化細胞の機能を抑制し、SASPを阻害する薬剤)に関する研究が世界中で盛んに行われるようになりました。
少々荒っぽい治療法ではありますが、皮膚で急性炎症を起こすと、老化細胞が除去されやすい事から、コントロールが付きやすい急性炎症をわざと誘導するなんて事を、美容医療の現場では行ったりする事があります。
創傷治癒過程(美容通信2004年5月号)の、先ずは復習から。創傷治癒過程のフェーズは、①急性炎症、②収束期、③増殖・リモデリングの大きく3つ。急性炎症では、免疫細胞が動員されるだけでなく、老化細胞や壊死細胞、断片化ECMが除去されます。美容医療の現場では、この急性炎症を、後述するトレチノインで強制的に惹起させると言う荒療法があります。老化細胞のクリアランスを考える場合に、この急性期は非常に重要な役割を果たします。そして、増殖・リモデリング期は、新生した線維芽細胞を誘導したり、コラーゲンを再構築させる段階です。急性炎症を起こした3週間後くらい後に、このリモデリング期を利用します。つまり、Qスイッチルビーレーザー(美容通信2013年12月号)やロングパルスヤグレーザー(美容通信2013年9月号)によるトーニングとか、IPL(美容通信2023年4月号)等の熱で刺激して、増殖・モデリング期をぐっとサポートします。また、だらだらと続く慢性炎症を断ち切る時にも、急性炎症を敢えて起こすと言う手もあります。
表皮の入れ替えは、表皮のターンオーバーが早いと、DNA損傷を持つ細胞が早く除去されます。後述するトレチノインは、老化細胞の蓄積を防ぎ、光老化や発癌のリスクを減らして、加齢現象のスピードを緩やかにすると言う特徴があります。
真皮は入れ替わりが遅く、損傷で活性化します。真皮のコラーゲン線維の半減期は約10年から15年ですし、エラスチン線維は、70年以上の非常に長い寿命です。通常は、新旧コラーゲン線維の大量入れ替えは行われず、損傷や促進条件下でのモデリングが顕著になります。つまり、敢えて、コントロール可能な!急性炎症を起こして、創傷治癒過程を惹起するのも手と考えられています。
ざっくり纏めると、加齢した皮膚の治療の基本は、外からは、紫外線(美容通信2022年8月号)やブルーライト対策(美容通信2022年2月号)や皮脂のコントロール。中からは、栄養(美容通信2007年3月号)(美容通信2017年9月号)、腸内環境の改善(美容通信2024年8月号)(美容通信2024年2月号)、血流改善(美容通信2023年7月号)(美容通信2007年12月号)、リンパ流改善(美容通信2026年6月号)(美容通信2019年8月号)。そして、足す治療として、フラクセル(美容通信2007年7月号)やQスイッチルビーレーザー(美容通信2013年12月号)、ロングパルスヤグレーザー(美容通信2013年9月号)によるトーニングとか、IPL(美容通信2023年4月号)等の真皮にコントロール可能な急性炎症を惹起出来る様な施術。引く治療としては、慢性炎症の原因を取り除く。これ等を症例に合わせての組み合わせになります。
アルバート・M・クリグマン先生は、日光への曝露とシワの発生との相関関係を解明した最初の皮膚科医であり、局所トレチノインを発見しました。トレチノインは 、1957 年に最初に特許を取得し、1962 年に臨床使用が承認されました。ニキビや皺の治療としては、1960年代にペンシルベニア大学のジェームズ・フルトン先生とアルバート・クリグマン先生によって共同開発されたRetin-Aが有名で、ヒトを対象とした最初の第I相試験は、ホームズバーグ刑務所の受刑者に対して実施されました。ペンシルベニア大学は、このRetin-Aの特許を保有し、その後様々な製薬会社にライセンス供与され、1971年に米国食品医薬品局(FDA)のニキビの承認を受けています。クリグマン先生の、白癬の治療法の初期のテストに端を発したフィラデルフィアのホームズバーグ刑務所で囚人を対象に人体実験は、トレチノイン以外にも、枯葉剤の人体毒性の原因となる汚染物質である高用量のダイオキシン等、皮膚科に限定されず、国防総省向けの向精神薬の検査にも及び、ニュルンベルク法典違反を理由に、刑務所にいる間に検査を受けた300人近くの被験者が、クリグマン先生、ペンシルベニア大学、ジョンソン・エンド・ジョンソンを訴えました。訴訟は時効で却下されましたが、ホームズバーグ刑務所でのクリグマン先生の研究は、非倫理的な実験の教科書的な例として知られています。
話が随分と脱線してしまいましたが、日本では、トレチノイン(美容通信2005年2月号)は、シミの治療に用いられる塗り薬と広く認識がなされていますが、白人に於いては、トレチノインは小皺とニキビの薬であって、シミの薬ではありません。シミの薬は、ハイドロキノン(美容通信2026年5月号)です。そもそも、白人は紫外線に晒されても、私達黄色人種の様に、シミにはなりません。紫外線による真皮への影響、例えば血管拡張とか、皮膚癌とか、小皺とかが問題にはなりますが、シミにはならないので、シミの治療の専門家すらいないんです(笑)。反対に、私達黄色人種はしっかりと真皮が守られているので、血管拡張や皮膚癌は起こり難いですが、炎症が必ずシミ(炎症後色素沈着)になってしまう人種なんです。
トレチノインは、端的に表現すると、単に表皮のターンオーバーを2倍速くするお薬に過ぎません。つまり、表皮のターンオーバーは通常4週間ですが、これを強制的に2週間に短縮するのですから、どうしても皮膚炎は必発の副作用です。アジア人では、この炎症が非常に曲者で、これが必ずシミ(炎症後色素沈着)になります。その為、つい、トレチノインによるアグレッシブな使用を躊躇してしまいますが、効果を求めるなら、シミのところだけをピンポイントに、短期集中。オバジ(美容通信2004年12月号)も真っ青にガンガン攻めて、シミを外に叩き出します。トレチノインは耐性が出来やすいので、長くても6週間から最大8週間の使用がお約束です。早い時は2週間で、トレチノインの使用を切り上げる事もあります。その後に必発する炎症後色素沈着に対し、予防的にハイドロキノンを長期に亘って、広範囲に使い続けるしかありません。これで中々決着が付かない頑固な肝斑等の場合は、トレチノインは2ヶ月くらい使わないと耐性が取れて、又使えるようになるので、2回目の治療はインターバルを置いて治療を開始します。これが、トレチノインによるシミの治療です。
繰り返しになりますが、トレチノインの使用により、表皮のターンオーバーが2倍速くなるので、表皮だけは綺麗になります。真皮にあるものはそのまま。真皮は何も変わりません。
表皮のメラニンの代謝(美容通信2027年4月号)は、ターンオーバーに伴う物理的な排泄だけで、それ以外の代謝ありません。メラニンは、元々基底層にあるメラノサイト、30個に1個混じっているメラノサイトが作っていて、それを触手を通して、周囲の30個のケラチノサイトに分配していて、それをケラチノサイトが取り込んで、核の上に帽子の様に乗せて、その帽子の様に乗せたメラニンを持ったままケラチノサイトは、どんどんターンオーバーで上に行って、最後角質になって、剥がれて、垢として体外に出ます。このベルトコンベアーを早く回せば、その分早く出て行くってだけの話です。唯、シミの治療を考える場合に重要なのは、同時に作って、同時に排泄している。風呂の栓を外したまま、水を入れ続ける。相反する2つの事象が、同時に起こっているって事なんです。栓のサイズを小さくするか大きくするか、蛇口の入れる水の量を多くするか減らすか。そのバランスによって、治療結果が左右されます。
上図を見て下さい。表皮の色は、結局、メラニンの産生の量と排泄の量のバランスで決まります。産生を多くするものとしては、病的なメラノサイトの存在が挙げられます。この病的なメラノサイトの存在があれば、当然作る量が増えてしまいます。紫外線や炎症があれば、一時的には多く作られても、ハイドロキノンの力を借りれば、その産生量を一時的に抑えるは可能です。メラニンの排泄を進める薬は、トレチノインです。表皮のターンオーバーで排出されるところをレチノイドで加速して、排出してくれます。排出を遅くする要素としては、加齢やステロイドを塗った時や外傷後、何か怪我をしたりした後等があります。それが、多分軽い怪我や軽い火傷ならば問題はありませんが、しかし、ある程度以上のダメージを与えるような外傷だと…、もう元には完全に回復する事は難しく、ターンオーバーが遅くなった状態がずっと維持されてしまいます。
真皮ですが、表皮と違い、外に垢になって排泄されないので、細胞と細胞外マトリックス(ECM:Extracellular Matrix)の両方で考える必要があります。
細胞のクリアランスは、マクロファージや好中球によるアポトーシス(美容通信2027年4月号)を誘導する事で老化細胞を除去します。
細胞外マトリックスでは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP:Matrix metalloproteinase)の作用で古いコラーゲンやエラスチンの分解されると、新しい細胞外マトリックスの合成が促進されます。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP:Matrix metalloproteinase)とは、コラーゲンやプロテオグリカン、エラスチン等から成る細胞外マトリックスの分解を始めとし、細胞表面に発現する蛋白質の分解、生理活性物質のプロセシング等と、その作用は多岐に亘り、1968年にはヒトの皮膚に存在する事が示されました。小泉パパの「自民党をぶっ壊す」ではありませんが、ECMリモデリングには、壊すって事が大事!なんです。まあ、構造改革を掲げた小泉(純一郎)政権は、「郵政民営化」を始め、財政・地方・外交といったあらゆる分野に変革を持ち込みましたが、その一方で、地方の衰退、格差の拡大、官僚機構の機能低下といった“副作用”ももたらしましたが…。政治の世界はいざ知らず、少なくとも皮膚に関しては、ECMを分解すると、老化細胞の足場が崩れて、脱落しやすくなります。ECMの断片と言うのは、侵襲に伴う細胞障害時に放出される自己由来分子であるDAMPs (damage-associated molecular patterns) (美容通信2024年3月号)として作用すると、免疫細胞を誘導する事が出来るので、老化細胞がより効果的に除去されます。
壊した老廃物を回収するシステムは、リンパ管と静脈系が老化していると、ゴミが捌けません。部屋を綺麗にしようとして、レーザーを照射したりトレチノインを塗ったり、所謂盛る事だけに専念したデコる治療を行っても、出たゴミが回収出来なければ、ゴミ屋敷化してしまいます。部屋を掃除してから綺麗にする!と言う発想が、非常に重要です。
真皮の排泄経路ですが、大きく分けると経路は2つ。①リンパ管系と、②毛細血管・静脈系です。
老化細胞や免疫細胞の残骸(デブリ)やECM分解産物、炎症メディエーターは、リンパ管(美容通信2019年8月号)が担当します。主な排泄経路です。リンパ管は、免疫監視を行いながらデブリを回収し、静脈角へと還流を行う、皮膚から始まるone wayで、循環している訳ではありません。術後の傷の治りを左右するのは、このリンパ管系の機能も大きく関与します。
毛細血管・静脈系は、水分や二酸化炭素、小分子代謝産物、マクロファージが分解した後の最終代謝産物等の、分子量が小さい小物の排出を行います。リンパ管とは異なり、血流に戻る循環型の経路で、肝臓や腎臓で代謝・排泄されます。
瘀血は皮膚に現れやすく、血管拡張(赤ら顔、下肢静脈瘤)、苔癬化、線維化、目の周りのクマ・くすみ、炎症後色素沈着、肝斑等の所見が出現します。瘀血は微小循環障害だけでなく、血液の性状や血管壁の構造の不安定化にも関わっており、桂枝茯苓丸の様な漢方薬(駆瘀血剤)(美容通信2026年6月号)は、リンパ管や血管内皮細胞の老化対するアプローチが得意な為、真皮の排泄促進として併用する事もあります。
真皮は入れ替わりが遅く、損傷で活性化します。真皮のコラーゲン線維の半減期は約10年から15年。エラスチン線維に至っては、非常に長生きさんで70年以上です。通常は、新旧コラーゲン線維の大量入れ替えは行われず、損傷や促進条件下でのモデリングが顕著になります。つまり、真皮への美容医療のアプローチは、敢えてコントロール可能な!急性炎症を起こして、創傷治癒過程を惹起する手法を取ります。
皮膚の加齢を最も効率良く治療が出来る層は、基底膜と真皮乳頭層です。皮膚の代謝の方向は、inside outの一方通行。皮膚まで届く栄養とか酸素は、毛細血管から真皮に運ばれて、拡散によって表皮に移行します。
表皮と真皮はクロストークしていて、特に基底膜はクロストークの交差点で、表皮の細胞であるケラチノサイトと真皮にある線維芽細胞の双方向のシグナルを持っています。表皮と真皮の接合部はDermal Epidermal Junction(DEJ)と呼ばれ、このDEJが、若い皮膚の様にうねりがあると、機械的な強度、そして物質の交換する能力が高いとされています。真皮の乳頭層は、最も線維芽細胞と毛細血管が豊富で、皮膚の支持力の基盤を担っている層です。
基底膜と表皮の関係については、基底膜のコラーゲンⅣやラミニンの破壊が起点となり、栄養供給とターンオーバーが低下する(Amano S. J Invest Dermatol Symp Proc. 2009: 14(1): 2-7.)(Rousselle p. Biomolecules. 2020; 10(12): 1607.)事が知られています。また、基底膜と真皮乳頭層の関係については、基底膜を再生させると、真皮乳頭層のコラーゲン線維が回復し、皮膚の構造的・機能的老化を抑制出来る(Iriyama S, et al. Sci Rep. 2022; 12: 4856)事が知られています。つまり、基底膜と真皮乳頭層の機械的強度を回復させると、皮膚を支える層自体が強化され、肌色とか肌質の改善だけでなく、軽症から中等度の皺や弛みも、皮膚の2mmの世界で改善するって事なんですね。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
*治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
*使用中や使用後、刺激またはアレルギーによる赤み、かゆみ、痛み、腫れ等の異常が現れた場合、使用を中止し、医師に相談してください。
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最新のメンズヘルスケア情報です。
<男性ホルモン研究の最先端2025:テストステロン>
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ヒト幹細胞培養液に含まれる様々な美容因子や蛋白質成分の中でも、重要なファクターとしてエクソソームが注目されています。エクソソームは、角質層内で潤い情報伝達の役割を果たす事で、正常なターンオーバーをサポート。皮膚の健康と、頭皮環境&ヘアプロセスを整えます。ヒト脂肪由来間葉系細胞由来のエクソソームは、年齢と共に減少する肌の潤いやハリ、艶感の回復に働き、健やかで健康的な肌やボリューム感のある髪の毛を取り戻すお手伝いをしてくれます。
BMSホームケアは、ヒト幹細胞培養液10%、更にエクソソームを加えた、クリニック専売美容液です。
今流行りのエクソソーム系の化粧品の類いは、腐る程世の中には出回っていて、どれが良いのか分かりません。完全な迷子状態です。…先日の美容外科学会で、サンプルを色んな会社さんから貰いまくって、最高とは決して申しません(笑)が、HISAKO的に一番しっくりと来た、皮膚と毛髪の為のエクソソーム系の美容セラムです。
<BMSホームケア;スキンセラムとスカルプセラム>のご紹介です。
ヒト幹細胞上清液10%とエクソソームを配合した、お肌用と頭皮用の2種類の美容セラムです。リポソーム化されたヒト幹細胞培養液と、リポソーム化なしのヒト幹細胞培養液を組み合わせ、浸透性と機能性を実現! 潤いに満ちたハリ感と透明感溢れる肌へと導きます。…これは、製造販売会社さんの謡い文句ではありますが、あながち嘘ではありません。先日の美容外科学会で、サンプルを色んな会社さんから貰いまくって、最高とは決して申しません(笑)が、中では一番かなと思った、今流行りのエクソソーム系の美容セラムのご紹介です。
お肌用のセラムは、ファーストセラムなので、洗顔後一番最初に使用する製品です。浸透性に非常に優れ、すっと染み込む様な付け心地で、今お使いの化粧品にプラスしやすい製品となっています。HISAKOは、朝は、朝散歩(紫外線)とパソコン(ブルーライト)対策目的で使用しているBNLSエンビオスクリーム(美容通信2022年2月号)の前に、夜は、クリニカル+スキンのブースト美容クリームの前に使用しています。
因みに、クリニカル+スキンは、HISAKOのクリニックでも扱っている、健康で若々しい肌を長期的に保つことを目的に、先進の「A.C.E.テクノロジー」とエビデンスに基づいた処方により設計された、次世代のスキンケア製品です。A.C.E.テクノロジーとは、
の3つの構成要素により、肌が本来持つ「修復する力」「回復する力」「保護する力」に働きかける事を目的に設計された、特別なスキンケアシステムです。ダメージを受けた細胞の修復、炎症の抑制、ハリや潤いの保持等の、肌にとって大切な機能がしっかりと活性化される事が期待出来ます。表面的なケアではなく、肌そのものを「健康で若々しく」導いていくの事を主眼に開発された製品です。特に、紫外線や酸化ストレスで肌がダメージを受けている方、年齢による肌の変化を感じている方におすすめの化粧品のシリーズです。
頭皮用のスカルプセラムは、毛髪ケラチンや頭皮向けのペプチドが配合されており、健やかな頭皮環境を整える事で、毛髪サイクルの改善を目的とした製品です。
洗顔後のお肌に一番最初に使う、ホームケア用のスキンセラム。10%のヒト幹細胞培養液※1に、濃縮エクソソーム※2を加え、浸透型※3ビタミンC誘導体※4やペプチド、ヒアルロン酸※5等の美容成分を配合しています。また、リポソーム化・非リポソーム化を併用したヒト幹細胞培養液※1のダブル処方により、浸透性※3と効果持続性を両立! さらりとしたテクスチャーで肌に馴染みやすく、朝晩のスキンケアに取り入れやすい設計です。
無香料、無着色、無鉱物油、シリコンフリー、パラベンフリー、アルコールフリー
※1 ヒト幹細胞順化培養液:整肌成分 ※2 ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム:整肌成分 ※3 角質層まで ※4 アスコルビルメチルカルボニルペンタペプチド-72-トリ-t-ブチルトリプトファナミド:整肌成分 ※5 ヒアルロン酸Na:保湿成分
気になる部分に集中して使用できる、スプレータイプのホームケア用スカルプセラム。10%のヒト幹細胞培養液※1に濃縮エクソソーム※2を加え、更には、浸透型※3ビタミンC誘導体※4や頭皮向けペプチド※5、毛髪ケラチン※5、タンパク質などの高機能成分をリッチに配合しています。リポソーム化・非リポソーム化を併用したヒト幹細胞培養液※1のダブル処方により、浸透性※3と効果持続性を両立! 頭皮の乾燥・硬化、毛髪のハリ不足といった、年齢やストレスに影響される悩みに、トータルでのアプローチが期待出来ます。
無香料、無着色、無鉱物油、シリコンフリー、パラベンフリー、アルコールフリー
※1 ヒト幹細胞順化培養液:髪コンディショニング成分 ※2 ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム:髪コンディショニング成分 ※3 角質層まで ※4 アスコルビルメチルカルボニルペンタペプチド-72-トリ-t-ブチルトリプトファナミド:髪コンディショニング成分 ※5 毛髪補修成分
BMSシリーズは、ヒト幹細胞培養液原料RemyStemを採用し、製造されています。
RemyStemは、RemyBio社による独自の培養技術に基づき製造された原料であり、RemyBio社のヒト幹細胞培養液に特化した研究・製品開発の過程で、有効成分やエクソソームを豊富に含む培養技術が確立され、化粧品処方に適した安全性と品質を備えたヒト幹細胞培養液原料として提供されています。
RemyStemは、脂肪組織から脂肪由来幹細胞を分離し、培養した際に幹細胞から分泌される蛋白質成分に富んだ順化培地です。脂肪由来幹細胞は成体幹細胞の一種で、骨髄由来幹細胞や臍帯血由来幹細胞等よりも容易に採取が可能で、しかも幹細胞の含有量が多い為、近年、再生医療や化粧品の原料として多く活用が進んでいます。ヒト由来脂肪幹細胞培養液は、幹細胞が作るVEGF( 血管内皮成長因子)、 TGF(形質転換成長因子)、 FGF( 線維芽細胞成長因子) 、IGF( インシュリン様成長因子)等の様々な成長因子(グロースファクター)を始めとした蛋白質成分を含有する事が知られています。
RemyStemは、皮膚老化と損傷を防止し、皮膚組織の主要構成成分であるヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの再生を促進する高機能素材で、幹細胞培養液成分の生理的活性は、抗老化効果、組織再生効果など、様々な効果が確認されています。
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テストステロンの質(遊離)と量(総量)の両方を高める
<オスモ・ピュア テストコア>
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