「これはめっちゃ好き!」
って言う生徒もいれば
「数列だけは無理」
っていう生徒もいます。
個人的には数列大好きなので、嫌い側の感覚がわかりませんが…。
数列嫌いの生徒が、その中でも嫌悪するのが
・群数列
・漸化式
・数学的帰納法
の3トップです。
今回はその中でも漸化式を取り上げます。
学習法の専門塾らしく、勉強の仕方を解説していくので、苦手な人は参考にして下さい。
漸化式とは、簡単に言えば数列の表し方のひとつ、だと思ってください。
例えば以下のような数列があるとします。
これを式で表す方法が2つあります。
ひとつは一般項で表す方法。
もうひとつは漸化式で表す方法です。
公差の2を(n−1)回分加える
135791113…一般項で表すと
()
漸化式で表すと
この2つの式は同じ数列を表していますが、着眼点が違います。
一般項の方は
「初項から狙った項数までワープする方法」というイメージです。
例えば第60項を求めたければ、
「初項に対して2を59回足せばいい」
という発想を式にしたものです。
一方で漸化式は
「ひとつ隣の項に進む方法」というイメージです。
例えば第60項を求めたければ
「第59項に2を足せばいい」
という意味です。
もちろん
「じゃあ第59項はどうやって求めんねん」
という話になります。
それが面倒なので、漸化式はちょっと不便で、一般項の方が便利です。
(Σにもそのままつっこめるしね)
だから設問としても
「漸化式から一般項を求めよ」
という問題が基本になります。
次に漸化式の全体像をおさえましょう。
漸化式は3段階で捉えて下さい。
まずは基本形を身につけましょう。
基本形とは
・等差型
・等比型
・階差型
の3つです。
これを習得したら、特性方程式型と言われるものを習得します。
この2段階については後で詳しく解説します。
最後に応用ですが、応用はバリエーションが結構多い上に難しいものはかなり難しいので、習得する範囲は自分の目標レベルに合わせて調整して下さい。
ここからは勉強の仕方も交えながら詳しく解説していきます。
まず、第一段階である基本形の学習です。
さっそく落とし穴なんですが、
基本形は、解法らしい解法はありません。
「式を読めば、そのまま答えが出る」
というタイプの問題です。
このことが逆に生徒たちを混乱させているように見えます。
というのも、数学が苦手な人は特にですが
「数学を勉強する」=「問題を解く手順を覚える」
と捉えがちです。
それなのに漸化式の基本形には手順らしい手順がない。
ここで、何を学べばいいのか混乱してしまう人もいるみたいです。
漸化式の基本形は、とにかく
「式を読んで、その意味を考える」
ということに尽きます。
次の項をつくるには
前の項に
3を足せばいい…
等差数列のこと
等差型ならこんな感じ。
「式の意味を考える」というのは
「式を日本語に翻訳する」ということだと思って下さい。
等比型も階差型も、同じように式を日本語に翻訳したら
「なんだ、ただの等比数列か」
ということがわかって、一般項も同時にわかるという仕組みです。
繰り返しますが、ここに手順らしい手順はないので注意して下さい。
基本形は翻訳して解く。
そうすると
2段階目の特性方程式型や、
3段階目の応用型はどうやって解きますか?
答えは「解けません」
これも漸化式の落とし穴です。
解ける漸化式は基本形の3つだけ
だと思ってください。
では他はどうするのかというと、
基本形に落として解く
しかありません。
つまり「解けない」というのは、「そのままでは解けない」という意味で、
その状態を回避するために置換し、基本形に落とし込んで解くことになります。
指数型
nの一次式型
分数型
累乗型
連立型
特性方程式型
等差型
等比型
階差型
p=q
p≠q
階差をとる
逆数をとる
対数をとる
和と差をとる
でずらす
で割る
横にスクロールできます
この意識がないと勉強してても混乱してしまうので気をつけて下さいね。
ここから少し心理学の話をします。
心理学には「自動化」という言葉があります。
言葉のイメージ通りなんですが、
自転車に乗ることや、自分の名前を書くこと、九九の計算みたいに
頭を使わなくてもできるようになることを「自動化」といいます。
僕の中では
「ボタンを押せば、手が勝手に動いてくれる感覚」
です。
例えば
「あ、これは余弦定理で求まりそうだな」
と思ったら、辺の長さや角を確認して、
頭の中にある【余弦定理】のボタンを押す。
すると、手が勝手に動いて答えを出してくれる。
そういう感覚になるのが自動化だと思ってください。
数学において、この自動化はめちゃくちゃ重要です。
頻出の計算を自動化しておくことで、
・計算ミスが少なく、点数が安定する
・応用的なことを考えるのに頭の容量を空けておくことができる
というメリットがあるからです。
既に自動化されている計算もあると思います。
例えば
・解の公式
・平方完成
・余弦定理
あたりは自動化されている人が多いですね。
そして、漸化式においては
まず基本形を自動化して下さい。
なぜなら、次の特性方程式型は等比型に落として解く方法なので、
基本形を自動化しておけば途中からは
【等比型】のボタンを押せば解けるからです。
そして、次に特性方程式型も自動化して下さい。
これはよく出題されるし、応用型の中には特性方程式型に落として、さらにそこから等比型に落として解くものもあります。
文字にするだけでややこしいですよね。
だからこそ、頭の中に【特性方程式型】のボタンをつくっておく必要があります。
特性方程式型のかたちまで持っていければ、ボタンを押せば終了。
もう察したかもしれませんが、数学が得意な人は、自動化が得意な人です。
応用問題も
「途中からはボタンを押すだけ」
と捉えられるからこそ、勉強がサクサク進むわけです。
これは漸化式だけでなく、他の単元を勉強するときも意識して下さい。
ここからさらにマニアックになります。
少し感覚的なんですが、自動化のコツとして僕が学生時代にやっていた方法を紹介します。
「この通りにやってくれ」
という意味ではなくて、それぞれの工程での感覚もあわせて書いていくので、
そちらを大事にして下さい。
同じ感覚になるなら、あなたに合った方法にカスタマイズしてもらって大丈夫です。
例えば、特性方程式型を自動化するとします。
あとで紹介するウチのオリジナル教材を使って解説します。

ポイントは(1)をめっちゃやるということ。
まずは普通に勉強します。
解法を学び、それを理解し、(1)を解いてみます。
ここで
解けても解けなくても(2)には進みません。
(1)が自動化されるまで何度も解き直します。
といっても、毎回途中式を書くと時間が大変なことになるので、脳内で。
計算は省きます。
あくまで手順だけを追いかけるイメージです。
αと置いて、
それを解いて、
式を変形して、
bnと置いて、
等比型で解いて、
anを求めて…
みたいなことを脳内でひたすら考えています。
(↑は言語化してますが、もう少し感覚的です)
学びたての解法ならば、最初はたどたどしいものです。
でも、脳内反復をするうちに、少しずつなめらかになっていくのがわかると思います。
そして
「あ、習得した」
と思える瞬間がやってきます。
一度もつっかかることなく、なめらかに、
ほとんど意識しなくても最後まで流せる瞬間です。
この瞬間を感知できるようになれば、数学の勉強はめちゃくちゃやりやすくなると思います。
この自動化までの流れで意識して欲しいのは
意味理解
なぜこうする
解き方に納得し、理解できている状態
手続き化
なぜこうする
意味理解から手順だけを抜き出した状態
自動化
認知コストをほぼ使わずに処理できる状態
これです。
自動化までを3つのフェーズで考えます。
まずは意味理解のフェーズ。
数学は「なぜ」と「こうする」がセットです。
「こうする」にあたる手順だけ覚えても定着しないし、応用もできないし、あまり良いことがありません。
反復の中の最初の2回ぐらいは意味理解(なぜ)を重視して下さい。
「ちゃんと理解できてるぞ」
と自信が持てたら、そこから手順(こうする)だけを抽出するイメージです。
今度は逆に深く考えすぎず、手順だけをできるだけ頭に負荷をかけないように、最短距離でなぞります。
これが上図の「手続き化」のフェーズです。
これを何度も繰り返すことで、最終的に「自動化」に至ります。
自動化できたと思ったら(2)でそれを試す。
その時に
「できると思ったけど、意外と手間取る箇所」
とかが出てくると思います。
それは(2)をまた脳内反復することで自動化する。
その成果を(3)で試す。
これを繰り返して(6)までやれば、たぶん自動化できていると思います。

漸化式の勉強のさいごのポイントは、識別の練習をすることです。
数学が苦手な人ほど解説とにらめっこしてますが、実は本当に注視するべきなのは問題の方だったりします。
特に漸化式はすべて似てるっちゃ似てるので、問題を見て
「あれっ?この式の形って、どの型だっけ…?」
ってなることが多いですよね。
つまり、それだけ問題を識別する力が大事になります。
「識別する力」は「解く力」とは別物です。
例えばあなたが漸化式を6問勉強するとして、1問5分で解けば30分ですね。
ではその30分のうち、問題を観察していた時間はどれくらいですか?
と問われたら、1分もないのではないでしょうか?
それぐらい、勉強時間のほぼすべてが「解法」に充てられていて、問題文の観察はおろそかになっています。
だから「識別の力」がつかない、ということになります。
ではどうすれば「識別の力」を効率よくトレーニングできるか?
それは、普段の勉強とは逆に
・解く時間を限界まで削り
・問題を観察する時間をひたすら多くする
ということです。

こんな感じ。
このプリントは解くためのものではなく、問題を識別するためだけのものです。
一つひとつの問題を見て
「あ、この式のかたちなら〇〇型だな。じゃあこうやって解けばいいな。」
ということが頭に浮かぶかどうか。
それだけです。
浮かんでも、浮かばなくても、問題を解く必要はありません。
ちなみに数学が得意な人は実はこんな感じで問題集の問題部分だけを見比べていって、解法が浮かぶかをチェックするだけという勉強法を取り入れている人が多いです。
実はすごく理に適った、画期的な方法なんですが、地味すぎて誰もやってることに気づきません(笑)
本人ですら「これは勉強法の工夫だ」という自覚なくやっていることが多いので、あまり勉強法として目にする機会はないかもしれませんが、とても効果的なのでぜひ取り入れてみて下さい。
ここまでのポイントを整理すると
・漸化式は3段階で捉える
・基本形は翻訳で解く
・基本形に落とし込んで解く
・基本形と特性方程式型は自動化する
・問題を識別するトレーニングをする
です。
苦手な人が多い漸化式ですが、できてない理由はだいたい
・基本形が自動化されていない
・問題を識別するトレーニングが足りていない
のどちらかです。
ということで、それを解決するためのプリント教材をつくりました。

まず基本形については12問×2枚。
基本形は計算量が少ないので数をこなせるように問題数を多めに。
1枚で習得できればOK。
苦手な人用に一応2枚目も用意しています。
特性方程式型は6問×2枚。
こちらは少し計算量が多いので、問題数は6問にしています。
といっても全て同じ解法なので6問やれば十分でしょう。
こちらも2枚目は苦手な人のダメ押し練習用。
そして応用形も6問×2枚。
応用系は頻出の5種類をカバーしています。
こちらは難しいものもあるので、2枚目が必要になる人も多いと思います。
最後に、これはウチ独自の「識別トレーニング」。
1枚につき32問がズラっと並んでいるので、型の識別だけをして下さい。
実際に解く勉強をして32問分の経験を積むには膨大な時間が必要です。
それを「識別だけ」にすることでギュッと短縮できます。
解答と解説は、使いやすいように略解と途中verを2種類用意してます。
自信があれば略解で〇×をつければ十分だし、
自信がなければ途中式つきの解説を見て分析して下さい。
これらの教材を、ウチの塾生は教室のPCから無料使用できます。
また、こちらのページからDLしてお家で印刷して使ってもらってもOKです。
一般の方には300円で販売しています。
こちらのサイトから購入できます。
※紙での販売ではなく、PDFファイルをDLする形式です。印刷はご自身でお願いします。
ちなみに、購入するのが学校や塾の先生なら、その生徒たちには印刷したものを無制限で自由に配ってもらって構いません。
(もともと指導者への販売を想定してつくっています)
漸化式は習得しちゃえばはっきり言ってカモです。
これを機にマスターして得点源にしちゃってください!
「社会は暗記科目だ」
「数学はセンスだ」
「成績は量をこなせば上がる」
これらの思い込みが、あなたの学力向上を妨げているとしたら、どう思いますか?
「え?そんなの気持ちの問題でしょ?」
「関係ないじゃん」
そう感じるかもしれません。
でも、関係あるんです。
むしろ、めちゃくちゃ影響します。
あなたの勉強を妨げているのは、あなたの「心」かもしれない。
今回はそういうお話です。
「心」といっても、今回お話しするのは
「勉強とはどういうものだと思っているか?」
ということです。
これを「学習観」と言います。
学習観とは何なのか?
成績にどう影響しているのか?
それらを知るために、
まずは試しにあなたの学習観をチェックしてみましょう。
「やった分だけ、できるようになる」
くり返し書く。何周もする。時間を長くとる。伸びないときの答えが、いつも「まだ足りない」になる。
「同じ一時間でも、中身しだいで変わる」
意味とむすびつけて覚える。まとめ直す。思い出せるか確かめる。効かなければ別の切り口をためす。
「合う先生や教材に出会えるかどうか」
教わった工夫は、そのまま使える。ただし自分の勉強に主導権は持たない。
これは最もシンプルな
「あなたはどのように勉強すれば,効果的だと考えていますか?」
という問いへの反応です。
「やった分だけ、できるようになる」
と思っている学習量志向の人。
「同じ一時間でも、中身しだいで変わる」
と思っている方略志向の人。
「良い先生や教材に出会えるかどうか」
と思っている環境志向の人。
皆さんもどれかは
「自分だ!」
と思うのではないでしょうか?
このように
「勉強とはどういうものだと思っているか?」
「何が勉強に効果があると思っているか?」
という個人の考えのことを学習観と言います。
ちなみに、ここでの「環境志向」というのは、
塾なり教材なりといった「効果的な学習環境」というものが、学習者の外側に存在していて、そのような良い学習環境に身を置くことで、勉強はいつの間にか身についてくる
という考え方です。
では、これらの学習観の違いは学力にどのように影響するでしょうか?
上の3タイプを引用した研究の中でも、勉強に対する影響が示されているので、簡単に説明します。
研究で示されているのは
ということです。
精緻化方略とは
意味を理解しようとしたり、自分の経験や既に知っていることに結びつけて勉強すること。
簡単に言えば「考える」とか「勉強を工夫する」とか、そういう感じの意味です。
モニタリング方略とは
学習中に、「どれくらい理解できたか」「計画通りに進んでいるか」を自分で確認・評価すること。
こちらも簡単に言えば「勉強を自己管理しようとする姿勢」だと思ってください。
※「方略」という言葉も聞きなれないと思いますが、皆さんが「勉強法」とか「学習法」とか呼んでいるものだと思ってください。
精緻化・モニタリングともに成績に非常に大きく影響することも多くの研究で示されています。
つまり、こういうこと。
よく使う傾向あまり使わない傾向
ここから僕の経験をもとにもう少し詳しく説明します。
まず、学習量志向の人。
そもそもたいていの人は幼い時は学習量志向だと思います。
というか、小学生ぐらいだとそれ以外の選択肢を持っていないでしょう。
「どうすれば勉強ができるようになると思う?」
「がんばる」
みたいな感じですよね。
学習量志向はある意味で幼い考え方だと言えるかもしれません。
あと経験的には従順なタイプの性格の生徒に多い気がします。
「大人の言うことには従うものだ」
ということが強くインプットされている人です。
大人はたいてい「方法」を指示します。
「あれをやりなさい。これをやりなさい」と。
それを受け入れることが当たり前だと
「別の方法で同じ効果は出せないものか?」
という思考になりにくいのかもしれません。
そもそも方法を決める自由を与えられていないのだから、考えるメリットがありません。
学習量志向の人は、精緻化方略もモニタリング方略も使いません。
(研究結果は、現場の肌感覚とも一致します)
自分の理解状態は大人が測る。
大人がそれを分析し、自分に方法を指示する。
自分にとっての変数は「量」しかないという状態です。
環境志向の人は、もう少し大人かもしれません。
生徒たちは学年が上がるにつれて、「量」では説明できないシーンを数々見ることになります。
明らかに勉強時間が少ないのに、自分より高い点数を取る人がいる。
ということです。
どうやら「量」とは別に「質」というものがあるらしい、と気づき始めます。
ただし
「それは大人(外)から与えられるものだ」
という考え方は学習量志向と同じです。
だから自己分析や自己管理の大切さには気づきません。
学校・塾・先生・インフルエンサー・教材…etc
自分を良くしてくれる何かを常に外側に探し続ける。
ある意味で他力本願な考え方とも言えます。
その結果、勉強の工夫を集めることには熱心で、人から教わった勉強の工夫はしますが、自分で生み出すことはないし、モニタリングすることもありません。
方略志向がもっとも自立した考え方だと思います。
自分の勉強の管理者は自分であり、成否は自分次第だということを受け入れられています。
現場にいて、このタイプの生徒が他と決定的に違うのは
自分の感覚を基準にしている
という点です。
自分の理解の状態や、勉強の進み方、勉強したときの感触などをよく感じ取れています。
だからこそ、
それを元に自分にとって一番良い方法を模索する姿勢があります。
言い換えれば
正解も、良い方法も、自分の中にある
と思えている状態です。
正解を外に求めた環境志向の人との違いがここにあります。
研究でも精緻化方略とモニタリング方略の両方を使うと報告されていますが、
勉強を自己管理しながら、やり方を工夫してみて、感触が良いものや成果が出た方法だけを残していく。
そういう取り組み方ができる生徒が多いです。
このように、学習観は方略を通して成績に影響します。
ウチではよくこの図解を用いていますが、基盤には学習観をはじめとした「心」があります。
学習観以外にも大事な要素があるので、大きくまとめて「捉え方」と示していますが、ほとんど学習観で決まると思ってもらって大丈夫です。
学習量志向・方略志向・環境志向
この3つのタイプは学習観の一部にすぎません。
他にもどういう要素があるか見てみましょう。
学力をつけるのに不向きな考え方伸びしろを感じる考え方
何をもって
「わかった」とするか
問題に正解したら、わかったことにする。
自分の中で納得できたら。すでに知っていることと、むすびついた状態。
勉強とは
何をすることか
教わったとおりに実行すること。勉強の進め方も、正解の指示をもらいたい。
自分なりの考えを出して、直していくこと。
「わからない」は
何のサインか
力が足りない証拠。できるだけ避けたい、隠したい。
下ごしらえであり、学習が進んでいる合図。
正しさは
どこで確かめるか
外がわで確かめる。先生や解答が言うことが正しい。
自分の中で確かめる。筋が通っているかを見る。
これらは正確には学習観ではなく「その関連概念」と言うべきものですが、ここでは広い意味で学習観だと思ってもらって大丈夫です。
「え?これが普通じゃないの?」
と思った人も多いかもしれません。
学習観とはそれぐらい自分にとっては当たり前すぎて、人との違いに気づきにくいものです。
例えば指導の中でも
「この問題、解き方忘れちゃった」
「この問題、習ったことないから教えて下さい」
こういうセリフをすごく自然に言う人がいますが、
これは学習理論で言えばすごく不自然で、不安になるセリフです。
解き方は自分で考えるのではなく、教わって、それを覚えるものだ
という学習観の表れに見えるからです。
学習観は勉強のいろんな場面で、本人には自覚なく、様々な言動に影響しています。
では、学習観を変えていくにはどうすればいいか?
という話になるんですが、その前に
なぜ学習観は無視されがちなのか?
を考えてみたいと思います。
これほどまでに重要な「学習観」なんですが、学校でも塾でも話題にされることはほとんどありません。
それはなぜなのか?
を先に考えてみましょう。
理由がわかってこそ、対策が立てられます。
そもそも学習観は自覚しにくいものです。
学習観なんて概念自体を普通は知らないし
「あれ?俺とあいつって、勉強の捉え方が違うかも…?」
なんて気づくことはまずありません。
日々の生活の中で自然に獲得する知識や考え方のことを素朴理論といいますが、学習観も素朴理論と言えます。
これは大人(親や指導者)も同じで、自分に「学習観」なんてものがあったことすら知りません。
子どもとそれがズレていたり、自分の学習観が偏っている可能性にも思い至りません。
たいていの学習観は、成功体験に紐づいています。
「成功体験」と書くとポジティブな感じがしますが、必ずしもプラスに働くとは限りません。
例えば勉強のレベルが易しい環境(学年が低かったり、内容が易しかったり)ではたくさん勉強するほど高い成果が出やすいので
「たくさん勉強したから、学力がついた」
と、学習量志向になりやすくなります。
しかし、その考え方はレベルが上がるにつれて通用しなくなります。
精緻化方略やモニタリング方略の重要性が増してくるからです。
でも、当の本人はそれに気づきません。
「まだ量が足りないんだ」
と感じるだけです。
ウチには長田・兵庫・夢野・星陵あたりの生徒がよく通ってくれますが、このパターンはすごく多いです。
真面目で優秀だった彼ら・彼女らは小中学校時代の成功体験がそれだけ強固だからです。
また、ここには親御さんの成功体験も深く関わります。
記憶が古くなればなるほど、人は
頑張った記憶と、助けてもらった記憶だけが強く残ります。
「自分はあれだけ頑張った」
「あの先生の授業がすごくわかりやすかった」
「塾でたくさん宿題が出たことが良かった」
みたいな記憶です。
一方で、自分がした些細な工夫や試行錯誤、意思決定は忘れ去られていきます。
その結果「学習量志向」や「環境志向」の学習観が形成されやすくなります。
その状態で子どもと接すると、言動の端々に学習観の影響が出て、子どもの学習観もそれに寄っていきます。
もっとシンプルに、学習観なんて回りくどい、というのも理由の一つです。
多くの人が、勉強につまづいたとき
「誰かにわかりやすく解き方を教えてもらえば、できるようになるだろう」
と考えがちです。
そこで
「あなたは勉強ってどういうものだと思ってますか?」
なんて聞かれたら
「そういうのいいから早く教えてくれよ!」
「何をすればいいのか指示をくれよ!」
という気持ちになるのもわかります。
指導者が生徒を想う気持ちが、裏目に出てしまうこともあります。
「指導者の行為によって、生徒の問題を解決する」
という考え方そのものが、環境志向とも言えるからです。
これを責任感と言えば聞こえは良いですが、
正直なところ、指導者という仕事にはちょっと育成ゲーム的な面白さがあることも事実です。
「どういうトレーニングをするの伸びるのかを、分析・設計する」
というのは、好きな人には好きなものです。
大学受験生の中にも
「計画を立てているときは楽しんですけど、実行するのがダルいんですよねー」
って言う人がいます。
計画倒れになりがちな人で、実は僕もそのタイプでした。
そういう人が大学で塾バイトをやりがちです。
(人によってはそのまま就職します)
塾バイトでは、一番楽しい計画の部分だけを自分がやって、実行は生徒がやってくれます。
それが仕事と認められ、感謝され、お金を貰えます。
こんな都合の良い話はありません。
だからこそ、ちょっと自己陶酔的になってしまう人もいます。
「自分が生徒を受からせるんだ!」
「自分が合格までの道筋を考えるんだ!」
みたいな感じです。
この思想が生徒を環境志向に寄せてしまい、モニタリング方略(自分で勉強を管理する能力)を奪っていくことにも繋がりかねないんですが、一般的にはこれは
責任感があり、熱心で生徒想いな良い姿勢
として捉えられます。
こんなふうに、良い姿勢として(あるいは、サービスそのものとして)パッケージされてしまうことも、学習観に目が向かなくなる一因かもしれません。
最後に、学習観を変えるにはどうすればいいかを考えてみましょう。
学習観は価値観に近いものなので、そう簡単には変わらないと感じるかもしれません。
実際にその通りです。
その通りなんですが、ウチにはHPの生徒の声やインタビューを見て頂いたらわかる通り、学習観の変容がおこった生徒もたくさんいます。
まず、論文で示されている学習観の変容はだいたい以下のパターンです。
方略を
教える
成果を
実感する
学習観が
変わる
他教科へ
広がる
説得によって学習観が変わることはほとんどありません。
それは先ほど説明した通り、学習観は多くの場合、成功体験に結びついているからです。
これを変えるには、別の成功体験が必要です。
まずは精緻化方略やモニタリング方略を教わるということ。
そして、半信半疑でもそれを試してみて、成果を実感する。
(点数が上がったり、勉強の感触が良くなったり)
それによって学習観が変わる、という流れです。
ウチが「学習法の専門塾」を名乗っているのは、
単に
「勉強のやり方教えまっせ」
ってことではなく
「やり方よりも心の方が大事だが、心にアプローチするにも、方法から入るしかないから」
という意味です。
ちなみに、僕の経験的に学習観が変わるというのは
「あ、やり方次第でこんなに変わるんだ」
という「希望」のこともあれば
「結局は自分が頑張るしかないんだ」
という「覚悟」の場合もあります。
最後のさいごに、少し考えてみて欲しいことがあります。
ここまでの説明では
・勉強の成果には、学習観が強く影響する
・学習観を変えるには、成果が必要
という話で、これだと
「鶏が先か、卵が先か」
みたいな話になってしまいます。
特に勉強が上手くいかなくて、その原因が学習観にある場合、いきなり成果は出ないでしょう。
学校だって進み続けるし、周りの生徒も努力を続けるからです。
でも、成果が出ないとなると、学習観も変わらないから困ります。
だからこそ、数字ではない成果を見ることが大事になります。
数字上の成果しか成果と見なせないなら、確かに変わっていくことは困難です。
でも数字よりももっと手前の、
学習シーンそのものなら、いくらでも変えていくことができます。
「勉強の感触が変わった」
「勉強しているときの頭の使い方が変わった」
「勉強に取り組む姿勢が変わった」
こういった数値に表れない成果を、ちゃんと成果として捉えることが大事です。
テストの点数や大人たちの評価は、2番目です。
1番は、あくまで自分の感情や感覚。
そこを勘違いしないように、勉強してほしいと思います。
また長文になってしまいましたが、いかがでしたか?
自分でも書いていて
「こんな面倒な話するのはウチぐらいだろうな」
と少し呆れてました。
でもウチは「学習法の専門塾」として本当のことを知ってほしいと思っています。
教えることやカリキュラムで解決するような話じゃなく、
勉強ってもっと複雑で、深い話なんだということを隠さず主張して、
ちゃんと根元のところから生徒たちに関わっていきたいと思っています。
一番の根元が今回の学習観(をはじめとしたマインドの部分)です。
これをきっかけに、改めて自分の心と向き合ってみて下さいね。
01
学習観とは何か?
「勉強とはどういうものだと思っているか」ということです。自分にとっては当たり前すぎて、人との違いに気づきにくいものです。
02
三つの志向
学習量志向は、自分にとっての変数が「量」しかない状態です。環境志向は「質」に気づきますが、それを外に探し続けます。方略志向は、正解も、良い方法も、自分の中にあると思えている状態です。
03
どう成績に影響するか
学習観は方略を通して成績に影響します。精緻化方略とモニタリング方略を使うかどうかが、学習観で決まるからです。
04
なぜ無視されがちなのか?
自覚しにくいからです。そして、たいていの学習観は成功体験に紐づいています。その考え方はレベルが上がるにつれて通用しなくなりますが、本人はそれに気づきません。
05
学習観を変えるには?
説得によって学習観が変わることは、ほとんどありません。これを変えるには、別の成功体験が必要です。半信半疑でも試してみて、成果を実感する。それによって学習観が変わります。
06
数字ではない成果を見る
勉強の感触が変わった。頭の使い方が変わった。姿勢が変わった。こういった数値に表れない成果を、ちゃんと成果として捉えることが大事です。
「論理表現の勉強の仕方がわからない」
「頑張って勉強したのにクラス最下位だった…」
「先生の解説が理解不能」
ちょっとネットを調べたらこんな声がわんさか出てきました。
でも安心(?)して下さい。
この論理表現という科目
学習のプロから見ても非常に勉強しにくい科目
です。
できないのは君のせいじゃない(半分は)。
この記事では、
「なぜ論理表現は勉強しにくいのか?」
という理由を紐解き、そこから論理表現の勉強法を解説しています。
たぶん、論表を勉強してて一番ストレスが溜まるのは
キリがない!
ってことだと思います。
覚えることがとめどなく出てくる。
頑張って例文と解説を覚えたと思ったら、
なんと解説ページに書かれていないことが問題に出てくる。
最悪です。
-724x1024.png)

学習理論の話をすると、ここには
・知識の全体像
・知識の体系化
という2つのポイントがあります。
これは簡単に言うと
覚えることはこれで全部だよ
という一覧を見せてもらえた方が、人は覚えやすいということです。
例えば塾の先生なんかはこのセオリーがわかっているので
今日の授業で覚えて欲しいのは〇〇、△△、□□。この3つです。
みたなことを言ったりします。
でも論表の教科書ってだいたいこの全体像が見にくいんですよね。
本来、単元の最初の例文と解説ページがそれを担うはずで、
皆さんもそれを信じて頑張って覚えたりすると思うんですが、
なんとそこに書かれていないことが出題される。
学んでいる人は
「結局、全部でどれだけ覚えればいいんだ!?」
というのがわからず、学習の効率を落としてしまうわけです。
もう一つのポイントが体系化です。
(心理学の世界では”体制化”といいますが)
さっき、全体像が大事と言いましたが
「これで全部だよ!」って、
30項目ぐらいが箇条書きになったものを見せられたら、
さすがに絶望しますよね?
これは単に数が多いからというのもありますが、
それ以上に体系化されていないからです。
例えば次の言葉を全部覚えて下さい。
全部、覚えてください。
って言われたらすごくイヤだと思うんですが、
全部、覚えてください。
準動詞
時制・態
法(ムード)
つなぐ言葉
こう出されると、ちょっとイケる気がしませんか?
これが体系化の効果です。
こんな感じで、バラバラの知識をまとまりや構造に整理することを体系化(体制化)と言います。
ちなみに、
覚えてもすぐ忘れてしまう(記憶の保持)
覚えたのに、肝心なときに思い出せない(記憶の想起)
などにも体系化は効果があります。
でも、論表の勉強をしていると
「この問題は〇〇だから、答えはAです」
「この問題は△△だから、答えはCです」
「この問題は□□だから、答えはDです」
みたいなことが羅列される感覚になって、
なかなか体系化できません。
全体像と体系化
これが論表を勉強していて
キリがない!
って思うカラクリです。
ここまでは主に
「覚えられない!」
という話だったんですが、実はもう一つ、論表の勉強を難しくしていることがあります。
論表って
「覚えていったのに、テストでは解けなかった」
が起こりやすい科目でもあります。
せっかく覚えていったのに、
なんかテストの問題だとうまく答えられなかった。
覚えにくい上に、覚えても解けないなんて、ひどい話です。
全体像や体系化は主に「教科書」の問題でしたが、
こちらは「解説」の問題です。
基本的に論表の教科書には問題の解説がないと思います。
実際は別冊としてありますが、配布されていないところが多いようです。
だから学校の授業の解説しか手がかりがない。
また、配布されていたとしても解説が簡素。
ここでの問題の本質は
思考プロセスがわからない
ということです。
ここから少し指導技術っぽい話になるんですが、試しに下の例題を見てみて下さい。
I ? him at the station yesterday.
この問題を
答えはmetです。
現在完了形は明確に過去を表す表現とともには使えません。
今回はyesterdayがあるので、現在完了は不可です。
と解説されるのと
まず、空所から動詞の時制を問う問題だとわかります。
英文を最後まで読むと、yesterdayが目に入ります。
現在完了形は明確に過去を表す表現とともには使えない、というルールがあるので
今回は過去形のmetが答えだとわかります。
と解説されるのでは、受け手の頭の使い方が異なります。
よくある解説 | 答えから説明する
答えが分かっている状態からの逆算。納得はできるが、自分で解く向きとは逆。
問題を読む人の目の動きと同じ向き。この向きで示されると、自分で再現できる。
僕はこれを「解説の向き」と呼んでいて、塾や学校で研修する時とかはこの話をしています。
一つ目の解説の仕方は、答えがmetであることからスタートして、その理由を説明しています。
多くの先生がこの型だし、問題集の解説もこの型であることが多いです。
でも、これは実際に生徒が問題を解くときの頭の使い方とは方向が真逆です。
(答えが先にわかってるはずないですから)
この解説をすると、生徒たちは
metが答えであることに納得はしてくれますが、
それを自分で解くとなると難しくなることがあります。
なぜなら、解説された手順を反転させるという処理を自分でやる必要があるからです。
対して2つ目の解説は、
問題を解く人の思考プロセスをそのままなぞるように解説したものです。
この思考プロセスの解説が不足していることが論表が勉強しにくい原因で、
「解説の言ってることはわかったし、覚えたけど、テストで解けない」
が起こる原因でもあります。
(注釈ボックス:一つ目の型を否定しているわけではありません。その型の方が適した場面もあります。あくまで論表がうまく勉強できない原因にとして二つ目の型の不在を理由としているだけです。)
一つ目の型を否定しているわけではありません。その型の方が適した場面もあります。あくまで論表がうまく勉強できない原因にとして二つ目の型の不在を理由としているだけです。
さて、マニアックな分析はここまでにして
では、どうすればいいのか?
の話をしましょう。
まず、根本からちゃんと論表を克服するパターンの話をします。
全体像と体系化には参考書を使って文法を学び直すのが良いでしょう。


オススメはこのあたり。
『大岩のいちばんはじめの英文法』は受験参考書としても大人気で、英語が苦手な人がゼロから文法を学び直すのに向いています。
『深めて解ける英文法Basic』はそれより少しだけレベルは上、ただ感覚的に英文法が理解できるわかりやすい解説が特徴です。
どちらも論表の単元を網羅はできてないんですが、基礎から学び直す目的なら十分です。
あとは


こんな感じの文法書が学校で配られていることもあります。
これらはめちゃ詳しくてすべての単元が網羅されているので、こういうのを使ってもOKです。
こちらについては、がっつり対策するなら、個別指導の塾や家庭教師が理想です。
思考プロセスは問題ごとに違うし、つまづく箇所には個人差があるからです。
がっつり対策は上の通りなんですが、
ここまでコストをかけられない
という人もいると思います。
特に高1・高2の人たちは部活をやってたりすると割ける時間にも限りがあります。
そういう人たちに現実的な対策を提案するのがウチのお仕事です。
オススメなのはAIを活用することです。
論表の教科書の写真を撮ってAIに投げれば、解説を作ってくれます。
ここで
・思考プロセス
・全体像と体系化
の問題を解決するために
「解説は問題を解くときの手順を示すように作って」
とか
「最後に、出てきた知識の一覧を作って」
とか指示するのがコツです。
この記事の最後に僕がつくったプロンプトもコピーできるようにしてあります。
欲しい人は自由に使ってください!
(塾生以外の方も自由に使ってください)

こんな感じで『知識の地図』として覚えるべき知識の一覧を体系化して示してくれたり、

こんな感じで思考プロセスを
・目のつけどころ
・使う知識
・判断
という3ステップに分解して解説してくれたりします。
(デザインも指示が入ってますので、サンプル画像のように見やすいデザインで出力されます)
※推奨AIはClaudeです。Claude以外では試験運用していませんのでご了承ください
※解説はAIが作るので100%の精度保証はできません。ただ試験運用では誤答ゼロの精度だったので、実践的には問題ない水準だと思います。
こちらも塾生限定の話ですが、ウチの授業で論表を扱うこともできます。
(内容自由なので、当たり前ですが)
わからない問題はもちろん解説もできますが、
全てティーチング的に解説してしまってはキリがないし、
生徒から見ても勉強が重たく、進みにくくなりがちです。
なにより教えているだけでは学習の改善が見込めません。
学校の授業の活用、
参考書の活用、
文法の要点や考え方、
AIの活用の指導
なども交えて、
その上で解説した方が早い問題は解説する。
生徒の学習状況を分析して、色んなアプローチを提案し、一緒に試します。
あと、ウチでやってくれればClaudeの
・知識の地図
・考える手順
のプリントも印刷して渡せます。
・しっかりと学習の改善を図る
・高校生活と両立する
このバランスを生徒個別に相談して一緒に学習法をつくっていけるのが、ウチの強みです。
長々と書いてきました。
僕は毎度のことながら
「なんでできないのか?」
という理由も記事にしています。
これはなぜかというと、生徒たちに学習のカラクリを見抜く目を持ってほしいからです。
勉強が上手くいかない人ほど
「結局どうすればいいのか?」
という結論を求めてしまいがちです。
そして今の塾業界は
「その答えを教えてあげる」
というスタンスがかなり増えています。SNS以降特に。
しかし、勉強ができない根本原因は、その手前にあります。
自分の学習で何が起こっているのかが、自分で見えていない
専門的にはメタ認知能力と言いますが、この力の欠如です。
だから僕は生徒たちには
自分の学習で何が起こっているのか
に目を向けるクセをつけて欲しいと思っています。
長々と書く記事は、回りくどく感じるかもしれませんが、
そういう意味があるのだと理解してもらえると嬉しいです。
論理表現 学習サポート用プロンプト
教科書の写真(3枚ほど)を送ると、AIが「知識の地図」と「考える手順」を1枚のシートにして返します。下の枠をまるごとコピーして、AIに貼り付けてください。推奨はClaudeです。
# 論理表現 学習サポート(統合版 v0.6 print-fix)
教科書の解説ページと問題ページを写真(3枚ほど)で送ってください。その単元の**知識の地図**と、問題ごとの**考える手順**を、色分けした1枚のシート(HTML)にして返します。スマホで見られて、印刷して教室でも使えます。
あなたは高校生の「論理・表現(英文法)」の学習アシスタントです。写真をもとに**下の順で考え**、最後に**HTML全体をそのまま出力**してください。
## 考える順(内部作業。この順が大事)
1. **問題を1問ずつ分析**:各問で「目のつけどころ→使う知識→判断→答え」を出し、**使った知識を洗い出す**。
2. **洗い出した知識+解説の知識**を突き合わせ、重複をまとめて体系化する(=知識の地図)。
3. 手順の「使う知識」は**地図の項目名と一致**させる。地図に無い知識は手順で使わない。手順で出た知識は必ず地図に載せる(解説に無ければ「問題から拾った注意」へ)。
## 中身のルール
- **地図**:対象は「解説の知識+問題で使った知識」だけ(写真の外を足さない)。各項目に**見分けの目印**(どこを見れば判断できるか)を添える。
- **手順(最重要=結果論の禁止)**:答えを先に知った人の後付け説明は禁止。**答えをまだ知らない状態から、手が動く順**で書く。粒度は可変(難問は3ステップ/易問は「目のつけどころ」だけでも可、冗長にしない)。「使う知識」は地図の項目名で書く。テーマ外の前提(単語・文型など)は `.q-pre` で指摘するだけ、なければ削除。
- 全体を中学〜高校生が読める言葉で。
## 出力
- 下のHTMLをそのまま使い、**CSSは変えない**。`〈 〉` だけ書き換える。
- **1枚目=地図**:`.map-grid` に用法カードを項目数だけ。解説に無く問題で使った知識は `.fromq`(無ければ削除)。
- **2枚目=手順**:`<!-- 問題カード -->` に問題数だけ。
- **sheetは地図・手順の2つだけ。手で増やさない。** 中身が多いときはCSS側で自動的に複数ページへ流れる(カードはページ境界で割れない設計)。ページ数は単元の分量に応じて変わってよい。
- 色クラスは **c-sage→c-mint→c-sky→c-lav** の順で回す。英語は `<span class="en">…</span>`。
- **完成HTMLのみ出力**(前後に説明を付けない)。
---
## HTMLテンプレート
```html
<!DOCTYPE html>
<html lang="ja">
<head>
<meta charset="UTF-8">
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0">
<title>論理・表現 学習サポート</title>
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<link rel="preconnect" href="https://fonts.gstatic.com" crossorigin>
<link href="https://fonts.googleapis.com/css2?family=Zen+Maru+Gothic:wght@400;500;700;900&family=Klee+One:wght@400;600&family=Atkinson+Hyperlegible:wght@400;700&family=Noto+Sans+JP:wght@400;500;700&display=swap" rel="stylesheet">
<style>
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.en{font-family:var(--font-en-ui);font-weight:700}
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.sheet>*{flex-shrink:0}
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.ico svg{width:100%;height:100%;display:block}
.head{display:flex;justify-content:space-between;align-items:flex-end;border-bottom:2.5px solid var(--green);padding-bottom:5mm;margin-bottom:6mm}
.head .htitle{display:flex;align-items:baseline;gap:4mm}
.head h1{font-family:var(--font-display);font-weight:900;font-size:28px;margin:0;color:var(--green-deep);letter-spacing:.02em}
.head .hsub{font-family:var(--font-accent);font-size:var(--fs-sm);color:var(--gray)}
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.qcard{border:1px solid var(--line);border-left:5px solid var(--c);border-radius:10px;padding:4mm 5mm;margin-bottom:4mm;background:var(--paper)}
.q-head{display:flex;align-items:baseline;gap:3mm;margin-bottom:2.5mm}
.q-num{font-family:var(--font-accent);font-size:var(--fs-sm);color:#fff;background:var(--c);border-radius:20px;padding:1mm 3.5mm;flex:0 0 auto}
.q-text{font-family:var(--font-display);font-weight:700;font-size:var(--fs-md);color:var(--ink)}
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.q-step+.q-step{border-top:1px dashed var(--line)}
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.q-b{flex:1;font-size:var(--fs-sm);line-height:1.65}
.q-lab{font-family:var(--font-display);font-weight:700;color:var(--c);margin-right:1.5mm}
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.q-ans .pill{font-family:var(--font-display);font-weight:700;font-size:var(--fs-sm);color:#fff;background:var(--green);border-radius:20px;padding:1mm 3.5mm;flex:0 0 auto}
.q-ans .ans{font-family:var(--font-en-ui);font-weight:700;font-size:var(--fs-md);color:var(--green-deep)}
.q-pre{display:flex;gap:2mm;align-items:flex-start;margin-top:2.5mm;font-size:11.5px;color:var(--ms-coral);line-height:1.6}
.q-pre .ico{color:var(--ms-coral);flex:0 0 auto;margin-top:.4mm}.q-pre b{color:var(--ms-coral)}
.c-sage{--c:var(--ms-sage);--ct:var(--ms-sage-t)}
.c-mint{--c:var(--ms-mint);--ct:var(--ms-mint-t)}
.c-sky{--c:var(--ms-sky);--ct:var(--ms-sky-t)}
.c-lav{--c:var(--ms-lavender);--ct:var(--ms-lavender-t)}
/* カードはページの境界で割らない */
.map-card,.qcard,.fromq,.intro,.unit{break-inside:avoid;page-break-inside:avoid}
.head{break-after:avoid;page-break-after:avoid}
/* 印刷:全ページの余白は@pageで管理(またいでも上下左右がそろう)。sheet間で改ページ */
@media print{
html,body{background:#fff}
@page{size:A4;margin:14mm 17mm}
.sheet{width:auto;min-height:0;margin:0;padding:0;box-shadow:none;break-after:page;page-break-after:always}
.sheet:last-child{break-after:auto;page-break-after:auto}
}
</style>
</head>
<body>
<svg width="0" height="0" style="position:absolute" aria-hidden="true"><defs>
<symbol id="s-eye" viewBox="0 0 24 24"><g fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="2.25" stroke-linecap="round" stroke-linejoin="round"><path d="M2.062 12.348a1 1 0 0 1 0-.696 10.75 10.75 0 0 1 19.876 0 1 1 0 0 1 0 .696 10.75 10.75 0 0 1-19.876 0"/><circle cx="12" cy="12" r="3"/></g></symbol>
<symbol id="s-warn" viewBox="0 0 24 24"><g fill="none" stroke="currentColor" stroke-width="2.25" stroke-linecap="round" stroke-linejoin="round"><path d="m21.73 18-8-14a2 2 0 0 0-3.48 0l-8 14A2 2 0 0 0 4 21h16a2 2 0 0 0 1.73-3"/><path d="M12 9v4"/><path d="M12 17h.01"/></g></symbol>
</defs></svg>
<!-- ===== 1枚目:知識の地図 ===== -->
<div class="sheet aud-ms">
<div class="head">
<div class="htitle"><h1>知識の地図</h1><span class="hsub">論理・表現</span></div>
<div class="brand-logo">LIFE ART DESIGN</div>
</div>
<div class="unit">
<span class="u-badge">この単元</span>
<span class="u-name">〈単元名〉</span>
<span class="u-en">〈形の英語表記・なければ削除〉</span>
</div>
<div class="intro">
この単元で問われることの<b>全体像</b>です。まずここを見てから問題に進みましょう。<br>
<b>1問ごとに解説へ戻らなくていい</b>ように、解説と問題に出てくる知識を1枚にまとめてあります。
</div>
<div class="map-grid">
<!-- 用法カードを項目の数だけ(色は c-sage→c-mint→c-sky→c-lav) -->
</div>
<!-- 解説に無く問題で使った知識があれば下を残す。なければ削除 -->
<div class="fromq">
<span class="ico"><svg><use href="#s-warn"/></svg></span>
<div class="fq-t">
<span class="lab">問題から拾った注意(解説になかった知識)</span>
〈解説に大きく書いていないが、問題で使う一点〉
</div>
</div>
<div class="foot">
<span class="school"><b>アカデミー神戸進学会</b></span>
<span class="meta">LIFE ART DESIGN</span>
</div>
</div>
<!-- ===== 2枚目:考える手順 ===== -->
<div class="sheet aud-ms">
<div class="head">
<div class="htitle"><h1>考える手順</h1><span class="hsub">論理・表現</span></div>
<div class="brand-logo">LIFE ART DESIGN</div>
</div>
<div class="unit">
<span class="u-badge">この単元</span>
<span class="u-name">〈単元名〉</span>
<span class="u-en">〈形の英語表記・なければ削除〉</span>
</div>
<div class="intro">
問題を1問ずつ、<b>どこに目をつけて、何を根拠に、どう決めるか</b>の順に並べています。<br>
「使う知識」は、1枚目の<b>地図の項目</b>とつながっています。
</div>
<!-- 問題カード:問題の数だけ(色は c-sage→c-mint→c-sky→c-lav) -->
<div class="foot">
<span class="school"><b>アカデミー神戸進学会</b></span>
<span class="meta">LIFE ART DESIGN</span>
</div>
</div>
</body>
</html>
```
## 用法カード(`.map-grid` 内で繰り返す)
```html
<div class="map-card c-sage">
<div class="mc-head">
<span class="mc-name">〈用法・項目名〉</span>
<span class="mc-mean">「〈意味〉」</span>
</div>
<div class="mc-mark"><span class="ico"><svg><use href="#s-eye"/></svg></span>
<span>目印:〈どこを見れば判断できるか。英語は <b class="en">for</b> のように〉</span></div>
</div>
```
## 問題カード(手順・繰り返す)
```html
<div class="qcard c-sage">
<div class="q-head">
<span class="q-num">問〈番号〉</span>
<span class="q-text">〈問題文。英語は <span class="en">…</span> で〉</span>
</div>
<div class="q-step"><span class="q-badge">1</span><div class="q-b">
<span class="q-lab">目のつけどころ</span>〈何を問う問題かを見抜く〉</div></div>
<div class="q-step"><span class="q-badge">2</span><div class="q-b">
<span class="q-lab">使う知識</span>〈地図の項目名で書く〉</div></div>
<div class="q-step"><span class="q-badge">3</span><div class="q-b">
<span class="q-lab">判断</span>〈目印から絞って決める〉</div></div>
<div class="q-ans"><span class="pill">答え</span><span class="ans">〈答え〉</span></div>
<!-- 前提が必要なときだけ残す。なければ削除 -->
<div class="q-pre"><span class="ico"><svg><use href="#s-warn"/></svg></span>
<span><b>前提:</b>〈テーマ以外で必要な前提。曖昧なら別で確認〉</span></div>
</div>
```
※ コピーがうまくいかないときは、枠の中を長押し(またはクリック)→全選択→コピーでも取得できます。
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
この文脈において、「Alexandraの愛称は( )である」の空欄に当てはまる最も適当なものを、次の中から一つ選びなさい。
新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)より
どうでしたか?
楽勝ですか?
楽勝ですよね?
この問題は新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本に出てくる有名な問題です。
あまりに有名になりすぎて「アレクサンドラ構文」という名で呼ばれています。
答えは①なんですが、ほとんどの大人にとっては当たり前すぎてなんでこんな問題を出されているのかわからないぐらいだと思います。
しかし、新井紀子さんの研究によると、中学生・高校生のこの問題への正答率は意外なものです。
新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)全国読解力調査より
公立中学生の平均が38%
進学校の高校生でも65%
です。
一般の方でも
「えっ!?こんなのも読めないの!?」
という驚きはあるでしょうが、ここにはもっと恐ろしい意味と、勉強に対する誤解があります。
この問題が表す意味は、
この問題が解けない生徒は、そもそも勉強が成立しないのではないか?
ということです。
勉強は「読む」という行為が基本になります。
教科書を読む
参考書を読む
問題集の解説を読む
文章を読んで理解する力がないのなら、これらの学習は全て成立しないことになってしまいます。
そして、現場にいる体感として、実際に成立していません。
この記事で解説したいのは3つです。
冒頭の文章が読めないというのは、ちょっと信じがたいことです。
これをただ
「読めない」
「読解力がない」
という言葉でくくってしまっては、問題の本質がわからなくなってしまいます。
この文章が読めないってどういうことなのか?
読めない生徒たちの頭の中はどうなっているのか?
を知って頂きたいと思います。
「読めない」という現象を紐解いたら、次は原因です。
生徒たちが文章を読めない理由は何なのか?
現場の指導者の感覚から解説します。
最後は、読めるようになるための対策を提案します。
僕が最近開発した新しい学習ツールもダウンロードできますので、是非試してみて下さい!
さっきから
「こんなものも読めない」
「読解力がない」
なんてかなりヒドいことを言ってますが、もちろん件の生徒たちも日本語が全く読めないわけではありません。
昨日は友達と一緒に電車に乗ってプールに行きました。
こんな文なら問題ないんです。
ただ
気体は、温度が上がると体積が大きくなる。このとき質量は変わらないので、同じ体積あたりの質量は小さくなる。
こうなるとマズい。
この二つの文は何が違うかと言うと、
Aは読むだけで自然に意味が入ってくるのに対して
Bは一見しただけじゃわかりません。
「どういうことか?」を自分なりに考えて、意味を取りにいかなければいけません。
意味を取りに行く
これが今回のポイントで、教科書の文が読めない生徒たちには、意味を取りに行くという姿勢がありません。
読めない人
意味を取りに行く
姿勢がない
この原因はあとで解説するとして、では、意味を取りにいかないなら、何をしているのでしょうか?
冒頭のアレクサンドラ構文に戻ると、誤答した生徒たちの多くは④を選んでいます。
中学生では、④「女性」を選んだ人が正解より多い。たまたま間違えたのではなく、同じ選び方をしている人がそれだけいる、ということです。
ウチの教室でも実験してみると、④を選んだり、④を選びかけたという生徒が何名かいました。
話を聞いてみると
「”Alexandra”という言葉の前に”女性”ってあったから」
とのこと。
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。
この文脈において、「Alexandraの愛称は( )である」の空欄に当てはまる最も適当なものを、次の中から一つ選びなさい。
「Alexandra」のすぐそばに「女性」がある。文の意味ではなく、言葉の近さで答えを選んでいる。
つまり、”キーワードっぽい言葉”の近くにある”答えっぽい言葉”を抜いてきているだけ、ということです。
それで意味が通っているか?
なんて考えていません。
こういった生徒たちは、勉強のときにも同じような振る舞いをしています。
例えば、数学の参考書を読むときも、全てに目を通すのではなく
・自分が解きたい問題に近い問題を探す
・自分の問題と数字を対応させて解く
という感じです。
つまり、”それっぽい問題”の”正解っぽい解法”を拾ってきているだけ。
これは英語でも理科でも社会でも同様です。
文章を読んでいないので、ルールや仕組みを理解しているわけではありません。
そうなると、理解の必要ない基礎的な問題しか解けなかったり、ワークのように単元が定まった中でしか解けなかったりします。
さて、ここからは“読めない”理由を考えてみましょう。
これは現場の肌感覚として、読めない理由は
やる気
です。
こう書くと身も蓋もないですが。
でも、一番大切で、なのに無視されがちな話です。
教育業界は「読めない」となるとすぐに「読解力」の話をしたがります。
確かに言葉を知らないとか、文のつくりやルールを知らないとか、
そういった要素が読解に影響することはあります。
実際に新井紀子さんが所長を務める「教育のための科学研究所」では、アレクサンドラ構文の問題を分析し
・係り受け
・照応
・同義文
・推論
などと項目を分類してテストできる『リーディングスキルテスト(RST)』を開発されています。
もちろんRSTも新井先生の研究も素晴らしいものです。
ですが、現場の感覚としては、ほとんどの生徒はマインドに問題がある気がします。
ちょっと極端な言い方ですが、僕は心が学力を決めている、と思っています。
これは根性があるとか、打たれ強いみたいな「心の強さ」という意味ではありません。
「勉強とはどういうものか?」という学習観が違うということです。
例えば、僕が指導の中でよくする話があります。
授業での言い方をできるだけ再現して書いてみます。
勉強が苦手という生徒たちは、勉強が得意な生徒たちのことを誤解してることがある。
「昨日は友達と一緒に電車に乗ってプールに行きました」
この文は何も考えなくても読めば自然に意味が入ってくるよね?でも教科書や、ワークの解説は読んでも意味がわからなかったりする。
すると勉強が苦手な生徒たちは、こう誤解する。
「勉強が得意な人たちは、この説明を読んで、”プールの文”みたいに、自然に意味が入ってくるんだろうなぁ」
でも、そんなことはない。
文章を読んで、パッと見で理解できるレベルなんて、実は大差ない。
勉強が得意な人は、自然に意味が入って来なかったぐらいで諦めない。
むしろそこから
「ん?これはどういうことだ?こういうことか?」
と考えて、自分から意味を取りに行くことが勉強だと思ってる。
それが当たり前で、それが勉強の99%だと思ってる。
「自然には意味は入って来ない」
とか
「解説をパッと見ただけでは、ん?何言ってんだ?ってなる」
とか
そういうのは勉強が苦手な人も得意な人も一緒だよ。
これが学習観の差です。
勉強が苦手な人は
「わかる」=「自然に意味が入ってくる」
だと思っていて、
勉強が得意な人は
「わかる」=「考えて意味を取りに行く」
だと思ってる。”勉強ってそういうものだ”っていう、わざわざ教わったり、言語化されたりする前の
大前提としての認識
があります。
これがさっきざっくり言った「心」とか「やる気」ということです。
一応言っておくと、これは
勉強時間を取る
とか
授業を受ける
とか
誰かに解説してもらう
とかとは全く別次元の、頭の中の話です。
感覚的には
「椅子に座ったまま、必死に手を伸ばしてテレビのリモコンを取ろうする」
みたいな感じです。
僕は生活面ではズボラなので、本当に極限まで椅子に座ったままでいようとします。
モノを落としてもできるだけ足で拾おうとするし、
手を伸ばしても届かないなら諦めます。
これが勉強が苦手な生徒の状態です。
だから、こういう生徒に僕が真っ先に指導するのは
立って歩け。自分で取りに行け。
ということです。
その労力を惜しむ僕のような人は、リモコンにすら手は届きません。
でも、立って自分で取りに行くことに躊躇がない人は、
ついでにジュースを注いで戻ってこれます。
勉強も同じです。
どれだけ勉強時間を取ろうとも、
どれだけわかりやすく解説しようとも、
自分で意味を取りに行く姿勢がなければ、
学力なんて積みあがりません。
固定的カリキュラムと、人の顔色を見る生徒たち
ここまで
「自分で意味を取りにいかない」
=「やる気がない」
みたいな書き方になってしまいましたが、そんなことはありません。
これは、仕方のない部分もあります。
学校のカリキュラムは固定的で、生徒がわかっていなくても進めていくしかありません。
そこで勉強についていけなくなった生徒は、いつしか
わからないことが当たり前
になります。
それでも、問題は解かなければいけません。
授業で当てられるし、
宿題は出されるし、
テストはあるからです。
わからないことが当たり前の生徒たちが、それでも正答を出すために編み出す方法があります。
それは
「人を読む」
ということです。
皆さんも子供の時に
「先生の言い方的に、こっちって言って欲しいっぽいな」
って感じたりしてましたよね?
あれです。
勉強している内容の意味がわからない生徒たちは、先生のリアクションが唯一といっていいぐらいの、正誤判断のサインになります。
こうするとますます、意味を取りにいかなくなります。
代わりに
「先生は何と言ったか?」
「先生はどんな顔色をしているか?」
にばかり意識が向いてしまいます。
このように、学校のような固定的カリキュラムについていけなくなった生徒たちは、いわば自己防衛的に「意味を考えない」というクセをつけてしまう可能性もあります。
最後に、どうすれば読めるようになるのか、
もっと言えば、
どうすれば勉強が成立するようになるのかを考えてみましょう。
といっても、原因で説明した通り、マインドの問題だとすれば
「こうすれば解決する」
みたいな簡単な方法はないと思います。
ただ”少なくとも、こういうアプローチは必要ではないか”ということを書いていきます。
大前提としてやりたいのはここです。
「自分で立って歩く。意味を取りに行く」
これが勉強における当たり前だという認識に変わること。
間接的なアプローチも色々ありますが、まずはストレートにこれを伝えるべきかなと思って、僕は生徒にいつも上で紹介したような話をしています。
これも上のショートコラムで書いた通り、
わからないが当たり前になった生徒たち
(特に人の顔色を読む生徒たち)
には、「わかる」を経験し、それを当たり前にするような状況が必要です。
だからウチでは学習内容を自由とし、本人が選べるようにした上で
「勉強に優先順位をつけること。わかりそうなところから優先的に手をつけること」
を指導します。
まずは「わかる」を当たり前にする。
そうすると「わからない」に出会ったときに、反射的に
「なんでだ?どういうことだ?」
と思えるようになってきます。
僕が作った「教科書を読むための読解力トレーニング」のプリントをご紹介します。



これは『リーディングスキルテスト(RST)』を参考にして、文章をもう少し長く、そして中学校の教科書に書いていそうな文にしたものです。
この教材の狙いは
「教科書を読む」を疑似体験することです。
今回つくったプリントでは
「教科書っぽい文章」
を3~5行程度読んでもらいます。
そして、質問に答える。
英・数・理・社の文章がまんべんなく出題されますが、どれも知識は要りません。
本文に全て書いているからです。
その代わり、パッと見では意味が分からない文章です。
「自分の足で、意味を取りに行く」
という感覚で読まなければ、正答できません。
これがまさに
「教科書で学び、テストで答える」
という学習の基本をミニスケールで練習することになります。
目安時間は1枚10~15分。
勉強のウォーミングアップとしてちょうどいい分量にしてあります。
一般向けには以下のサイトで販売していますが、塾生は教室のPCから無料で使えます。
毎授業の最初に1枚ずつ取り組むとかすると、読む意識が高まって良い状態でそのあとの勉強に取り組めると思います。
ぜひ試してみてください。
↓販売サイトはこちら↓
https://LAD.base.ec/items/155728432
僕は学生の頃、勉強が大嫌いでした。
大嫌いだから、いかに勉強時間を減らすかに注力していて、それが塾講師として認知心理学を学ぶきっかけになったんだから人生はわからないものですが。
だから、というワケでもないですが、僕は
「勉強を好きになってほしい」
「わかる喜びを知ってほしい」
とかいう指導者が嫌いです。
もちろん勉強が好きなのは素敵なことだし、
わかる喜びは尊いものです。
でも、多くの生徒にとって勉強は
・やりたくないもの
・大人に押しつけられたもの
です。
一方的に押しつけてきて、好きになって欲しいなんて、えらく身勝手な話だ、
と思う気持ちを10代から消せずにいます。
というわけで、僕は普段は割とドライに生徒の勉強を見ています。
勉強が好きか嫌いか
勉強に意味はあるか、ないか
勉強をするか、しないか
そういうのは生徒が決めればいいこと。
僕はあくまで理論的に、生徒の勉強を分析する役割だと思っています。
合理的に、効率的に、勉強のやり方を指南する。
それが「押しつけられた勉強」に必死に向き合おうとする生徒たちに対しての僕なりの敬意のあり方です。
ただ、一方で、大人になった僕はわりと勉強を楽しめています。
上で引用したのは少し前にインスタで見つけた言葉。
良い言葉ですよね。
勉強すると、世界の見え方が変わります。
例えば僕はここ数年、デザインの勉強をしています。
デザインを学ぶだけで、街を歩いていても全然退屈しません。
これまでは存在にすら気づかなかったネイルサロンとかの看板を見ては、フォントや色の意味なんかを考えたりしています。飽きません。
同じ街を歩いていても、目に入る情報はその人の知識量に応じて変わります。
たくさん知識を持っていれば、それだけ多くの情報が飛び込んできます。
僕は“世界がカラフルになる感じ“と表現していますが、
少なくとも勉強が嫌いだったころの僕の世界よりも、
今の僕の世界の方がずいぶんと色彩豊かです。
本当はこれのことを学びと呼び、教養と呼ぶのだと思います。
その意味では、学習の理論もやり方も効率も無粋です。
記憶を定着させるためでも、応用問題に答えるためでもなく、
世界の見え方をカラフルにしていくためにこそ「わかる」が必要だ。
綺麗事ですが、これも本音です。
もしよかったら、勉強する時にそんなことも考えてみて下さい。
]]>今回は甲南大学の英語を、2026年度の問題をベースに見ていきます。
「甲南大を受けようと思っているけど、出題傾向とか全然わからない…」
という人は、参考にしてください。
板宿校では、関西学院大学や関西大学、国公立大学との併願で甲南大を受ける人も多いです。
それぞれと併願するときの受験戦略についても、後半で触れています。
かわいそうなことに、甲南大学はなぜか舐められがちです。
特に国公立や関関同立を志望する人。
「甲南ぐらいは受かるだろう」
なんて考えてませんか?
甲南って普通にいい大学です。
問題だって決して簡単ではありません。
「ぐらい」なんて言っていい大学ではないので、この記事でちゃんと中身を知っておきましょう。
甲南大学は2025年から、大問4問のオールマーク形式になりました。
名物だった4コマ漫画を使った英作文が消えた代わりに、短文の文法・語法・熟語の問題が追加されました。
大問1・2の長文は論説文です。
2025・26年は全学部共通の問題でした。
とりあえずこの形式がしばらく続くと考えてよいでしょう。
ここから、大問別に詳しく見ていきましょう。
ここが設問数も一番多く、メインの問題です。
700〜800語程度(だいたい2ページ分ぐらい)の長文問題で、これは大学受験で標準的な長さです。
設問は主に3種類あります。
「下線部の語句に最も近い意味のものを選びなさい」
「空所に入れるのに最も適切なものを選びなさい」
「本文の内容と一致するものを選びなさい」
英文のレベルは基礎的。
凝った言い回しや特殊構文、抽象的な表現はそんなにないです。
といっても、共通テストや英検2級レベルぐらいはあると思ってください。
決して簡単ではありません。
設問は比較的シンプル。
内容一致は細部を聞かれることはあまりなく、論旨を問うものがほとんど。
わかりにくい言い換えなどもされないので、ちゃんと本文が読めていれば正答できます。
空所補充や同意語句は熟語(イディオム)が多いです。
推測でも答えられなくはないですが、熟語を頑張っていれば大きなアドバンテージになります。
ちなみに、英語長文問題はこんなふうに
本文と設問のレベルをわけて分析するのがポイントです。
英語長文は、本文のレベルと設問のレベルを分けて見る。
この見方でいうと、甲南大学は標準的な本文 × やや易しめの設問という性質です。
だから「本文が読めれば得点しやすい」形になっています。
大問2は大問1のミニチュアだと思ってください。
英文の長さが400〜500語程度(1ページ半ぐらい)になり、設問の数もそれに合わせて少なくなっただけで、特徴は大問1と同じです。
大問3は会話文の空所補充問題です。
1ページ分ぐらいの会話のやり取りの中で、空所に入る語句を答えていきます。
ここは ScrambleやNextStage の「会話表現」の章にあるような、
会話文独特の表現はほとんど出ていません。
形式が会話文なだけで、問われるのは普通の読解力と語彙の知識です。
ここでも熟語が問われやすいです。
大問4はいわゆる文法問題で、全部で10問。
大学受験では「文法問題」と一口に言っても、実は文法問題・語法問題・熟語問題の3種類があります。
甲南大学は、この構成比率に少し特徴があります。
甲南は文法に集中した出題で、熟語・語法はその他という位置づけです。一般的なバランス型とは、そもそも分布が違います。
実は大学受験でよくあるのは、文法問題が少なめで、語法や熟語が中心の出題です。
ですが、甲南大学はおよそ8割が文法問題。
しかも出題は特に頻出単元に集中していて、大問のなかで同じ文法単元から2問出題されているケースもあります。
これもかなり珍しいですね。
問題のレベルは易しめです。
基本的な問題集をちゃんと理解していれば、特にひっかけはなく、ちゃんと解答できます。
まずはここまでの内容から、フツーの対策を考えてみましょう。
ターゲット1900なら1500まで、シス単なら1200までをマストだと考えましょう。
ただ、単語は単語帳だけで覚えるものではないし、語彙力は高ければ高いほど良いので、あくまで目安です。
文法問題はもちろん、読解にも基本的な文法の理解は必要です。
ただし甲南大は文法問題でも読解でも細かい文法知識は問われないので、ここはミニマムに済ませてしまった方がいいでしょう。
大岩のいちばんはじめの英文法+はじめの英文読解ドリルの組み合わせがオススメです。


他の大学と同様に、甲南大でも読解力が一番大切です。
ハイパートレーニングなどをまず1冊完璧に習得して読み方の型を身につけ、そこからは多読です。
過去問をたくさんやるのも効果的です。
文法問題は極端なほど頻出単元に偏っているので、強弱をつけて勉強しましょう。
群前置詞も頻出。参考書によって「前置詞」の欄と「熟語」の欄に分かれていることがあるので、両方を見ておくと取りこぼしません。
甲南はどの大問でも、熟語をポイントにした問題が多く出題されています。
熟語に力を入れておくと点数が取りやすくなります。
まずは Scramble Basic のイディオムを完璧にするのはマストです。
イディオム(=熟語)は参考書によって分類が違います。たとえば Scramble の分類だと、
・動詞中心
・形容詞副詞中心
・名詞中心・前置詞の働きをするもの
という具合です。
その中で、甲南のイディオムは基本動詞と前置詞に関するものが多いです。
make や go といった基本動詞や前置詞は、突然知らない意味で使われていたり、抽象的すぎてよくわからないときがありますよね。
イディオムの学習を丸暗記ではなく「なぜ、この組み合わせでこの意味になるのか?」を理解しながら進めると、基本動詞と前置詞の習熟度が上がります。
すると、初めて出会ったイディオムでも意味を推測して答えられるようになります。
せっかく学習するなら、こういうところまで狙っていきたいですね。
甲南の特徴は上に書いたとおりですが、多くの人は甲南大学だけを受験するわけではないですよね。
ここからは、併願戦略を少し考えてみましょう。
板宿の生徒ではよくある併願セットです。
このセットなら「関学に挑戦するために、甲南には確実に受かっておきたい」と思うものです。
関学は甲南よりもさらに大問数も多く、問題のバリエーションや、要求される知識も多いです。
逆に言えば関学の対策が自動的に甲南の対策になっている部分も多いので、基本は関学のことだけ考えて学習戦略を立てればよいでしょう。
ただし、甲南を確実にしたいなら、途中の成果確認で甲南大の過去問を使うのがオススメ。
特に文法学習では、甲南で頻出の単元を優先的に勉強して、過去問でしっかり得点が伸びていることを確認しながら進めると安心感があります。
関大は読解問題ばかりの出題で、文法問題を単独では課しません
(長文読解の中で文法的判断が求められる問題はあります)。
また会話文も、同じ形式ですが要求される力や、解くときの頭の使い方が全然違います。
ただ、問題の形式が違いすぎるので、関大基準ですべてのメニューを組むと、
いざ甲南の過去問を解いてみると感覚が合わないことも出てきます。
まだ修正が効く10月ぐらいには甲南の過去問をちゃんと解いてみて、
必要なら甲南専用に会話文や文法問題のトレーニングを入れた方がいい場合もあります。
国公立志望ではよくある併願セットです。
この場合、国公立を第一志望に据えているケースが多いので、共通テストを中心に考えることになります。
先ほど書いた通り関学-甲南は関学中心の勉強にしておいて大丈夫なので、
問題なのは共テ-関学の相性です。
共通テストと関学の問題が違うので、そこに少し難しさがあります。
特に英語は、共テは文法の勉強をあまりしていなくても感覚的に読めてしまう人がいます。
そういう人が関学の問題を解くと全然できない可能性があります。
だから早いうちに(夏、遅くとも9月)に関学の問題を1、2本解いてみることをオススメします。
そこで文法知識が課題に挙がってくるなら、文法学習もメニューに組み込みましょう。
さて、ここからが当会の本領です。
大学の問題を分析して、それに見合う参考書の処方箋を出すのは簡単です。
今ならAIでも、かなりの精度で学習戦略を提示してくれます。
でも現実問題として、多くの受験生が、勉強が上手くいかず伸び悩んでしまっています。
正しい戦略があるのに、勉強が上手くいかないのはなぜでしょうか?
それは「理屈として正しい受験戦略」をこなしているだけで、「その人専用の受験戦略」になっていないからです。
たとえば国公立志望の人が
「共通テスト対策はこれ」
「2次試験対策はこれ」
「私立対策はこれ」
とそれぞれに対策を用意してしまうと、キャパオーバーして結局何も身につかないままになってしまいます。
出題の形式や難易度が違っても、本質的に必要とされる知識や技能には共通しているものもあります。
当会では
「共テ対策を最優先にして、その勉強を2次や私立の志望校にも効くように行う」
といった考え方をします。
また、通っている高校のカリキュラムを活用できる場合もあります。
平日は朝から夕方まで学校にいるのだから、その時間を活用できる方が得です。
「学校の英語演習のテキストを、こんなふうに勉強すれば長文問題集の代わりにできる」
そんなアドバイスをすることもあります。
塾で別メニューを組んで、学校で内職で進めるより、よっぽど効率的です。
「この参考書を2か月で3周しましょう」というメニューを実際にやってみると、そこには色んな問題が起こります。
難しすぎて進まない。
やる気が起きない。
そもそも1周目の学習に失敗しているから、3周しても何も身につかない——。
これらは全て、勉強の中身を見ていないせいで起こることです。
当会では
「どの参考書をどんなペースでやるか」
よりも
「そのときに、頭の中で何が起こっているか」
を大事にします。
「この問題はどうやって考えた?」
「理解したって言ってるけど、ここまで理解できてる?」
「どうやって覚えた?」
そんな頭の中の感覚・理解・記憶を心理学的に分析して、学び方を少しずつ修正していきます。
受験業界では長らく
講師が戦略・計画を立て、生徒がそれを実行する。
講師が進捗を管理し、生徒がそれに合わせて勉強する
という考え方が一般的でした。
しかし、当会の進め方は真逆です。
講師が戦略・計画を立て、生徒はそれを実行する。進捗も講師が管理する。
まず生徒が動く。その学び方や進み方をプロが分析し、戦略や計画を一緒に調整していく。
まず、(仮決めした計画に対して)生徒が勉強を進めてみる。
その学び方や進み方をプロが分析し、
学習法を指導したり、
戦略や計画を調整したりする。
そんなスタイルです。
そこで鍛えられるのは、学力そのものだけではありません。
学力を支える力です。
受験にはこれらの力が必須だし、何より社会に出てからより求められる力です。
この記事を読んでくれた人たちも、受験に向けて最初から誰かに指示を求めるのではなく、まずは自分なりに考えた志望校への戦略や、勉強しているときの悩みや感触などを、言葉にしてみてください。
そして、できればそれを誰かにぶつけて、相談してみてください。
あなた自身に根付いた受験戦略を立てることができれば、着実に成長していけますよ。
]]>今回はちょっと心理っぽいお話です。
受験業界では
授業、動画、参考書、SNSなどに無数の勉強の仕方が書かれています。
「これをすれば受かる!」
「合格者はこれをやっていた!」
「夏はこれをやれ!」
どれも異常なほど断定的に言われている割には、
別の投稿には正反対の主張をしている人がいたり…。
本当に優れた方法があるのなら、それに収束していっても良さそうなものなのに。
中には明らかにセオリーに反していたり、
昔はよかったけど今の受験のトレンドには合っていない方法や参考書が紹介されていることもあります。
なんでそんなことが起こるのか?
理由は色々ありますが、今回はその中の一つ
「生存者バイアス」
という心理現象をご紹介します。
心理学の豆知識として、
そして受験勉強をする上での心構えとして、
お暇なときに読んでみて下さい。
※ちなみに生存者バイアスは社会にたくさん溢れています。受験だけではなく、その後の人生においても溢れる情報に振り回されない姿勢として役に立つと思います!
まず、そもそも、
生存者バイアスという言葉を知っていますか?
生存者バイアスとは
成功した人の話やデータだけに注目してしまうことで、判断が偏ったり誤ったりしてしまうことです。
よくあるのが戦闘機の例です。
第二次世界大戦中、研究者は任務から戻った戦闘機のどこに損傷があるかを調べました。

それがこの図です。
そして研究者たちは
「損傷を受けた箇所の装甲を厚くしよう!」
と提案しました。
すごく真っ当な提案に思えます。
しかし、エイブラハム・ウォールドという人が待ったをかけます。
ウォールドが主張したのは全く逆、
損傷を受けていない箇所を強化すること
です。
なぜかわかりますか?
その理由は、
データが取れたのはそもそも任務から帰還できた機体のみだから
です。
帰還できた機体が損傷を受けた箇所というのは
「損傷を受けても帰還できる程度のダメージだった箇所」
ということです。
逆に言えば
「それ以外の箇所に損傷を受けた場合、それは帰還できないほど深刻なダメージだった」
ということになります。
受験の話をする前に、そのための橋渡しとして生存者バイアスの例をもう一つ出します。
スポーツにおける体罰の話です。
今でこそ勉強の世界でもスポーツの世界でも
「体罰なんてあり得ない!!」
という見方が一般的になってきてますが、少し前は
「体罰は必要だ」
という意見も多くみられました。
興味深いのは、プロのスポーツ選手たちが
「あの厳しい指導があったから、自分はプロになれた」
と主張していたことです。
生存者バイアスを知った皆さんならもうわかると思いますが
「体罰が当たり前の世界で、プロになった人の話だけ聞けば、そりゃ、そうなる」
ということです。
つまり
・体罰を受けて、プロになった人
の話だけ聞いても実は何もわからないわけです。
本当に体罰が必要かを論じるためには、少なくとも
・体罰を受けて、プロになれなかった人(競技を辞めてしまった人)
・体罰を受けないで、プロになれた人
の話が本当は必要です。
こんなふうに、生存者バイアスの罠は教育の世界でもいたるところに存在します。
<補足>
これは
体罰について何か主張したいわけではありません。
僕の指導環境で体罰は必要ないし、僕はやるつもりはありませんが、世の中には体罰が必要な時がもしかしたらあるのかもしれません。ないのかもしれません。
少なくとも、この記事は体罰の要不要論とは関係がありません。
受験業界の話をしましょう。
受験の世界でわかりやすい生存者バイアスと言えば青チャートです。
青チャートと言えば、進学校では定番といっていいほど配布される、数学のぶ厚い参考書のことです。
一昔前までは
「受験数学の定番は青チャート」
「青チャートをやっておけば大丈夫」
「青チャートを3周すれば完璧」
みたいなことが受験の常識でした。
学校でも、大手塾でも、多くの人がそう言ってました。
その根拠が
「受かった人の多くが青チャートを使っていたから」
です。
典型的な生存者バイアスです。
受かった人は優秀な人がほとんど。
ぶ厚い参考書だってやり通せる処理能力があったでしょう。
難しい解説だって読みこなせたでしょう。
そもそも中高一貫校の場合は中3から青チャートを宿題として課すところも多いです。
そういう人たちは、それこそ
「青チャートを3周」
も現実的です。
では、そのデータを一般的な高校生に当てはめて良いでしょうか?
そんなわけないですよね。
実際僕は20年ぐらいまえからこの業界にいて
「青チャートをやれと言われた」
と言って1問30分ぐらいかけて一向に終わる気配がない、
3周なんて夢のまた夢で、
「そもそも君の志望校に対してオーバーワークじゃない?」
みたいな生徒を本当にたくさん見てきました。
最近でこそ
「青チャート、実はオーバーワークだったのでは?」
という真っ当な意見が市民権を得てきて
・基礎問題精講
・Super Quick
など、よりコンパクトな参考書が新定番となりつつあります。
<ここでも追記>
青チャート批判ではありません。
青チャートは素晴らしい参考書だし、多くの受験生を鍛えてきた実績があります。
これは青チャートに限った話ではありません。
「生存者バイアスによって、全然合理的じゃないのに、なぜが長年まかり通っているセオリー」のようなものが受験業界にはたくさんあります。
参考書だけでもまだまだ挙げることができますし、
勉強法
過去問を解くタイミング
ノートの作り方
などなど
この業界は生存者バイアスの見本市みたいになっています。
「受かった人はこれをやっていた」
「受かった人はこの時点でこれぐらいの成績だった」
「受かった人は何時間勉強していた」
皆さんもこんな話をたくさん聞くと思います。
でも、同じことをして落ちた人の話を聞いたことがあるでしょうか?
塾業界は不安産業であるとよく言われます。
不安産業とは不安につけこんでサービスを買わせるビジネスを揶揄した言葉です。
もちろん、塾業界の人たちが悪意で不安につけこんでいるとは思いません。
(残念ながら一部にそういう人がいることも否定できませんが)
ですが、不安をやわらげるような言葉が強く響きやすいという性質は業界特性としてあると思います。
生徒たちは受験や就職・社会に不安を持っているでしょう。
周囲からの声を圧力と感じることもあるだろうし、
クラスメイトが模試の結果を話していると
焦ってしまうこともあるかもしれません。
保護者の方も不安だと思います。
もしかすると
「親としての使命を果たさないと」
という気持ちもあるかもしれません。
そんなときに、塾業界の人間はある種の使命感を持って
「受かった人はこれをしていた」
という話をします。
それ自体が悪いとは全く思いません。
その方法が当てはまる人が一定数いるのも事実でしょう。
ただ、これは断言できますが、同じ方法で落ちた人もいます。
生存者バイアスに陥らないためのは
「同じ方法で落ちた人はなぜ落ちたのか?」
を考えなければいけません。
しかし、不安が強い人はその疑問を持てません。
不安を解消するために「成功した人が採った方法」を聞いたのに、
それが絶対ではないという話になると、また不安になってしまうからです。
少し厳しい言い方をすると、
「不安を解消する」という方法に動いている時点で最善からは離れているように思います。
同じ方法で受かる人と落ちる人を、20年近くずっと観察してきた今の僕の感覚では、違いはそのメンタリティです。
上手くいく人は、不安に流されることなく事実を淡々と見つめられる人。
不安を受け入れ、不安と共存して、
場合によっては
「人とは違うが、自分にとってはこれが最善」を選べる人です。
ウチが学習法の専門塾を謳いながら
(謳っているからこそ)
固定的なやり方を明示しないのはそのためです。
生存者バイアスに陥らない。
受験業界を不安産業にしない。
どんな方法でも生徒と一緒に試して、感触を聞いて、効果を測って、
上手くいく方法かを確かめていけば良い。
僕はこれがもっとも合理的で効果的な方法だと思っているし、
上手くいく生徒たちは自前でこれをやっています。
(もっと言えば、その技能やメンタリティを期待するからこそ、学歴が高い人に企業はポテンシャルを見出すのだと思います)
これから夏を迎える受験生には、
生存者バイアスに陥らず、
目の前の事実と自分自身をちゃんと見据えて欲しいと思います。
どれだけの前例があろうと自分に効果をもたらさない方法は捨てるべきだし、
前例がなかろうと効果があるならそれが正解です。
自分の勉強に正解不正解を出せる唯一の人間は自分自身です。
僕は、指導者にできることはその目を養うことでしかないと思っています。
サッカーを上手くすることはできない。
でも、どういう状態がサッカーが上手いかを伝えることはできる。
頭を良くすることはできない。
でも、どういう状態が頭が良いということかを伝えることはできる。
「僕が代わりに見てあげることはできないが、君に見える景色の中でここに注目してみろ。そこからこういうことを考えてみろ。」
僕はそういうことを伝えているつもりだし、それを学び取って欲しいと思っています。
夏の過ごし方を考える時期だからこそ、自分が不安に流されていないか振り返り、
改めて目線を目の前の教材と自分自身にセットし直してみてください。
今回は学研新伊丹キャンパスさんとの共同企画です。
ウチの亡くなったオーナーのご縁で仲良くさせて頂き、
定期的に合同勉強会を開催しています。
塾業界の勉強会なので、学力や成績の話はもちろんするんですが、それよりも話題にのぼるのは
「生徒たちが社会に出たらどうなるのか?」
ということです。
もっと言えば
今の社会はどうなっているのか?
この先社会はどうなっていくのか?
今の生徒たちの世代はどんな傾向があるのか?
で、結局、われわれ指導者は生徒たちに何を伝えればいいのか?
という問いです。
今回の共同企画というのは、
学研新伊丹キャンパスの尾村先生、村谷先生、そして僕がこのテーマについてそれぞれ記事を書いてみよう
というものです。
世代やキャリアが異なれば、指導観も異なります。
社会がどう見えているのか。
生徒たちがどう見えているのか。
この社会で自己実現するために必要なことは何で、
指導者はそこにどう関わればいいのか?
世代とキャリアの異なる3人の指導者がこの同じテーマについて書けば、おもしろいのではないか。
そんな意図でできた企画です。
ぜひ、ご自身の世代や価値観を照らし合わせるように読んでみて下さい。
僕は1988年生まれ。
中学からゆとり教育が始まり、学校では「個性」と「創造性」がキーワードでした。
(あとグローバル化と地球温暖化も)
中学時代にケータイが普及し、高校入学と同時にケータイを買ってもらうのが定番でした。
授業そっちのけで友達とメール。
机の下で画面を見ないでも文字が打てた当時のパカパカが忘れられず、いまだにスマホに不便を感じています。
当時は特にやりたいこともないし、得意なこともない。
勉強に意味も見いだせない。
テキトーにダラダラと、日々を消化するだけでした。
そんな日々に、別に生産性も将来性もないけども
まぁそれなりに楽しいからいっか。みたいな。
ニュースで「ゆとり教育」が取り上げられるたびに
「ホントにゆとり持って生きてやるからな?後悔するなよ文科省?」
って思いながら学生時代を過ごしていました。
当時の僕から見た社会は
希望が失われた社会です。
時代はまさに失われた20年。
経済は停滞し、少し上の就職氷河期世代は悲壮感に満ちていて、
僕らの世代で少し失業率が改善したと思ったらリーマンショック。
どこもかしこも愚痴だらけ。
そもそも、
「勉強をがんばれ」と言ってくる大人たち、
どうやら頑張っていい大学、いい企業に入ったらしい大人たちが、
ちっとも幸せそうじゃない。
IT革命や、終身雇用の崩壊なども相まって
勉強を頑張る
↓
よい学校に入る
↓
よい企業に入る
↓
幸せな家庭を築く
みたいな、少し前まで当たり前に信じられていた人生モデルが崩れ始めた世代にあたると思います。
「じゃあ、勉強をがんばることに意味はあるのか?」
この問いは僕にずっとついて回りました。
僕の友人たちには、それでもこのモデルに則って勉強を頑張っていた人たちもいました。
ただ僕にはどうしても、このモデルを信じ、勉強の価値を信じることはできませんでした。
ニュースで見る社会。
周囲の大人。
実際に僕の目に入る「事実」としての情報と、世間的に語られる「人生モデル」がどうしても頭で結びつけられなかったからです。
そんな人間が、いま塾をやっているのも変な話です。
塾をつくるにあたって、僕には決めていることがありました。
「17歳の自分に失望されない塾にする」
ということです。
当時の僕は、一部の指導者に失望していました。
「勉強をがんばることに意味はあるのか?」
この問いに答えてくれない指導者たちです。
「答えてくれない」は語弊がありますね。
より正確には、
「勉強することは良いことだ」という前提が崩れているかもしれないのに、その議論やコミュニケーションに応じてくれない指導者たちです。
その議論には応じないのに、「偏差値の高い大学に行くことは良いことだ」という前提で僕らの行動にやたらと干渉してくる。
当時の僕は
「あぁ、この人たちは、”生徒が勉強するのは良いことだ”という結論が決まっていて、上手くそこに誘導できることを”良い指導”と呼んでるんだ。」
「コミュニケーションや相談という名目で“説得”がしたいだけなんだ。」
と感じていました。
これが当時の僕にとってはすごく悲しく、寂しく、嫌な気持ちだったことを覚えています。
というわけで、そんな指導はしない。
(これは僕が高校時代の感覚を強く残す大学生のときに起業したということも関係していると思いますが)
「勉強をがんばることに意味はあるのか?」
この問いに真正面から向き合う。
「勉強することは将来のためになる」という前提を一度捨てて、
「本当はどうなのか?」
「目の前の、一人の生徒にとってはどうなのか?」
「この生徒にとって、勉強する意味とは?」
を毎回ゼロからコミュニケーションし、生徒と一緒に考えるようにしています。
さて、この記事のテーマは
生徒の自己実現のために指導者に何ができるのか?
でした。
これは僕にとっては
「この塾で、勉強を通して何を伝えたいのか?」
と同じ意味です。
「勉強することは将来のためになる」という思い込みを一度捨てて
「勉強をがんばることに意味はあるのか?」
に対する僕なりの答えを提示しなければ、わざわざ塾なんてやってる理由がないからです。
色んな仕事をしたり、色んなコミュニティ、色んな職業の人に関わっているのも、全部このため。
「本当に社会で必要されていることは何なのか?」
を調べるためです。
そしてこの記事では僕なりの答えを3つ、お伝えしたいと思います。
一つ目は主体性です。
主体性というのは、自分で考え、自分で決めて、自分で行動すること。
ここで一番大事なのは、「誰かに指示してもらったり、枠組みを用意してもらったりする必要がない」ということです。
たとえば、生成AIの登場でビジネスは大きく変わっています。
僕の周りにも、上手く使っている人と、まったく使っていない人がいます。
上手く使っているのは、たとえば知り合いのエンジニアの方。
ChatGPTのリリース直後、早々に業務に組み込んだ結果、生産性が2倍に上がったそうです。
一方で、リリースから1,2年経ってようやく、「AI講座」みたいなのに参加する人もいます。
ビジネス感覚的には、両者は勝負にすらなっていません。
断っておくと、この違いはテクノロジーに詳しいかどうかではありません。
「わからないから、やってみよう」
と思う人と
「わからないから、やらない」
と思う人の差です。
「わからないから、やらない」の人は、
わからせてくれる何か(講座とか)
が表れるまで動けません。
社会の変化は年々速くなります。
例えばいま、どこかの専門学校に入学したとして、そこで習う技能で一生食っていくなんて多分不可能です。
これは専門学校を否定したいわけではなく(むしろ僕は好きです)、
どこに進学しようとも、自分で新しいことを学ぶ姿勢が必要ですよ、ということです。
主体性と言いましたが、ここには
・失敗したり、損をしたりすることを気にしないメンタリティ
とか
・行動力
みたいなものも含まれています。
主体性の大切さをわかってもらうため、ウチの塾では
・授業内容は生徒が自由に決めて良い
・指示や宿題は一切出さず、計画もやるべきことも生徒が決める
・僕は生徒が決めたことに専門的なアドバイスを加えたり、実行をサポートしたりする
という一風変わったスタイルでやっています。
こう書くと随分と自由放任なイメージになるかもしれませんが、
僕は以外と厳しいところには厳しいです。
それが礼儀やマナー、振る舞い的なところ。
つまり社会性です。
例えばウチには自慢の特注壁面本棚があり、
そこにたくさんの教材や文具などを置いていて、
ちゃんと綺麗にディスプレイしています。
生徒はそれらを自由に使っていいことになっています。
使うのは自由に使っていいんですが、元あった場所に、元あったように綺麗になおさないと僕はキレます。
「君のものじゃないから」
「君の家じゃないから」
先ほど言った通り、僕は自由に主体的に振る舞えるべきだと思っています。
でもそうすると、どこかで別の誰かの自由や主体性にぶつかります。
そこでちゃんと相手をリスペクトし、コミュニケーションを取り、折り合っていく力。
つまり社会性も同じくらい大事なことです。
他者と生きていく中では、自分にとってはどうでもいいことでも、相手が大事にしていることは大事にしないといけない場面もあります(人の家とか)。
他人のことをよく観察して、自分をコントロールして、社会的なふるまいができること。
モノをなおすのはさすがに小学生の例ですが、
中学生には、自責と他責の概念を教えたり。
高校生には、もう少し技術的に 「そのコミュニケーションの取り方だと相手にどう映るか、もっと上手くやるにはどうすればいいか」 なんて話をすることもあります。
こういった社会性も、うちで学んでほしいことのひとつです。
最後は、没頭する力です。
集中力のようなものなんですが、あえてそう言わなかったのは理由があります。
「ゲームなら集中できるんです」
と言う生徒がいます。
ちょっと冷たい言い方をすれば、
そりゃ、そう。
です。
だってそういうふうに作られてるから。
スマホゲームは「ラクに」「達成感が得られる」ようにできています。
ラクなのに、快感は得られる。
そういうものを人間の脳は好みます。
いわば本能的な部分に働きかけて、惰性で続けられるようになっています。
で、僕が言っている集中ってそういうことではないので、あえて没頭する力と書きました。
この没頭とは、スマホゲームのようにラクで、仕組まれた集中ではありません。
好きで好きで仕方なくて、
あるいは勝ちたくて、上手くなりたくて、もっと良いものを作りたくて、
辛いし苦しいし面倒くさいのに、でも辞められないもののことです。
勉強でもスポーツでも音楽でも、そして仕事でも、没頭できる人は強いです。
自分に必要な努力や、それに伴う痛みを、躊躇なく引き受けることができます。
これは「好き嫌い」とは別の話だと思います。
例えば勉強が嫌いでも、没頭する力がある人は勉強に没頭できます。
「この1問が解けるようにならないと気が済まない」
「このリストを覚えきらないと気が済まない」
嫌いなものでも、一度手をつけたら何かを達成するまで引かない、そういう強さがあります。
逆に没頭する力がない人は、好きなものに対しても中途半端になってしまいます。
「なんとなく絵が好きだから絵の道に進んでみたけど、いつも面倒になって作品を途中で終わらせてしまう」
とかです。
この没頭する力をつけるには、
やり切る経験をたくさんするしかないと思います。
これもウチの塾の厳しさの一つですが、
僕は生徒に何も要求しない代わりに、
生徒が自分で言った目標に対して取り組み方が釣り合っていなかったら厳しく指摘します。
これは、もちろんプロとして不足があるなら指摘しなければならない、
という理由もありますが、それ以上に
一度手をつけた以上、達成するまで引かないというクセをつけて欲しいからです。
「勉強の仕方がわからない」とかそういうことではなく、
わからないなりにがむしゃらにやればいい。
一度に大きく成績を伸ばせなくても
「漢字だけは満点を取る」
とか
「英単語だけは満点を取る」
とか、限定してもいいです。
学習法の専門家を名乗る人間が、
こういうことを言うのは不自然かもしれませんが、
正しく、効率的なやり方を知っていることよりも
不器用で非効率でも、やり切ろうとする力の方が100倍価値があります。
主体性、社会性、没頭する力。
3つ挙げました。
そして僕はこれらを“勉強を通して”伝えたいと書きました。
言い換えれば、勉強以外のものを通して得てもいいと思います。
サッカーを通して、
ピアノを通して、
プログラミングを通して、
なんでもいいでしょう。
僕はたまたま勉強が得意だったし、
「受験勉強」という社会的重圧に苦しむ生徒たちの力になりたいという願望があったから塾をやっているだけで、別に必ずしも勉強からこれらを獲得する必要はないと思っています。
あくまで“僕は” “勉強を通して“伝えたいと思っているだけです。
そして僕はそのサポートが、指導者にできるわずかな貢献だと思っています。
さて、僕の記事はここで終わりです。
当たり前ですが、この記事はあくまで僕の持論です。
冒頭で説明した通り、世代やキャリアが異なれば、考えも異なるでしょう。
僕は一抜け。
あとは気楽に尾村先生、村谷先生の記事を待つことにします。
これを読んでくれた皆さんも、三者三様の記事の「違い」を楽しんで頂けたら幸いです。
]]>前回の記事では、「1回の勉強の質」をどう高めるかという話をしました。
今回はその続きで、もう少し広い視点の話です。
よくあるのが、こういうパターン。
テスト2週間前に「よし、勉強するぞ」と机に向かう。ワークを開く。1ページ目から順番に解き始める。ふと気づいたら、テスト範囲の前半しか終わっていない。
これ、全然悪気はないし、むしろ真面目にやってます。
でも、ゴールから逆算して計画を立てていないという点で、効率がかなり悪い勉強になっています。
今回紹介する勉強のやり方は、ゴール(テスト日・志望校・目標点)から逆算して、今の自分に何が必要かを考え、計画を立てる。そういうゴールから始まる勉強のデザインです。
今回も、勉強を振り返るためのチェックシートを作りました。

4つの観点・8項目で、自分の計画の立て方を振り返ってもらうためのシートです。
今回もその解説内容を記事にしていきます。4つのステップを、一つずつ見ていきましょう。
まず、具体的なゴールを決めます。
「英語、次のテストで80点とる」「模試でこの偏差値まで上げる」みたいなものです。
「頑張る」はゴールじゃありません。
「達成したかどうかが判断できるもの」でないといけません。
ゴールが曖昧だと、そこから先の計画も全部ぼやけます。
そしてもう一つ。目標は高すぎても低すぎてもいけません。
よく「目標は高く持て」と言われます。モチベーションとしての高い目標は大事です。
でも、計画のベースになる目標は、現実に達成可能な範囲で設定することが大切です。
ゴールが非現実的だと、このあと説明するタスク分析も自己分析も意味をなくします。
高すぎる目標をもとに計画を立てると、「また失敗した」という経験だけが残ります。
「達成できるイメージが持てるか」が一つの基準です。
大きな夢があるなら、そこへ向かうスモールステップを設定しましょう。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。
次に、そのゴールを達成するために何が必要かを洗い出します。
ここが、実は計画の中でいちばん重要なステップです。
まず大事なのが、「何が出るか」を現実に即して考えること。
勉強が下手な生徒あるあるの一つが、テストを「テスト」としか認識していないことです。
どういうことかと言うと
・テスト範囲はどこからどこまでで
・どういう内容が含まれていて
・どういうタイプの問題が出されそうか
というテストの中身を考えず、単に「テスト」としか認識していないということです。
これでは、何を勉強すればいいかわかりません。
定期テストなら、これまでのテストで先生がどんな問題を出してきたか、授業中にテストについて言及していなかったか。受験なら過去問を分析する。
「どんな問題が出るか」がわかって初めて、「何を身につける必要があるか」が見えてきます。
さらに重要なのが要素分解です。
たとえば英語の並べ替え問題なら、
・単語の意味を知っているか
・熟語を覚えているか
・文の構造を理解しているか
など、その問題を解くために必要な力を細かく分解して考えます。
ここをサボると、「勉強した」けど「点数に結びつかない」という状況が起こります。
自分が本当に必要なことを勉強できないからです。
自分だけでは難しければ、積極的に質問してくれてかまいません。
「こういうタイプの問題が苦手なんですけど、どうすればできるようになりますか?」
みたいな感じで。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。
タスクが洗い出せたら、次は自分の現状を把握します。
「文法は大丈夫そう。長文がかなりまずい。単語は基礎はできてるが応用が弱い」
というように。
タスクが「ゴールに必要なこと全体」だとしたら、自己分析は「今の自分とのギャップ確認」です。
このギャップが、やることリストになります。
ここで注意したいのが、「なんとなくわかった気がする」という状態の危険さです。
本当の実力を把握するには、自分に厳しく向き合う必要があります。
問題を解いたり自己テストをしたりして、覚えたつもりになっていないかを確認しましょう。
おすすめは、過去のテストや模試の答案を見返すことです。
「どこで点を落としているか」が、感覚ではなくデータとして一目でわかります。
同時に、データに乗らない「感覚」も大切にしてほしいです。
やりやすい・やりにくい、気持ちが乗るか乗らないか、あと一歩の手応えがあるかどうか。
こうした自分だけの感覚は、次のメニューを考えるうえで重要なヒントになります。
僕も普段のヒアリングの中では、このような感覚を聞き出したいと思っています。
単に
「〇〇ができない、△△はできている」
という情報だけでは、学習のアドバイスはできません。
勉強しているときの感覚という情報が伴って初めて、本当の意味でつまづいているポイントがわかるし、そうなってしまうのは学習法のどこに問題があるのかが炙り出せます。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。
課題分析と自己分析が終われば、何を学べばいいかは決まっているはずです。
あとはそれに対応した勉強メニューを、具体的に決めます。
「具体的に」というのは、使う教材・ページ・問題番号まで決めるということです。
準備の精度が、勉強の質を左右します。
単語帳を使うなら、全部で何語あるかを把握した上で「1日40語、〇〇日まで」と計算できます。
ワークも1ページ目から全部全力でやる必要はなくて、タスク分析と自己分析を踏まえれば「ここは薄くていい、ここに時間をかける」という強弱がつけられるはずです。
さらに、「何をやるか(what)」だけでなく「どうやるか(how)」も考えましょう。
復習のタイミング、確認テストの有無、意識するポイント。
「これまで1時間かけていた内容を30分でこなせるようになるにはどうすればいいか?」
を考えるクセをつけてください。
同じ教材をやるにしても、how を意識するだけで勉強の中身は変わります。
ここまで決められて初めて、「計画を立てた」と言えます。
「2週間、頑張って勉強する」は計画ではありません。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。
ここまで4つのステップを紹介してきました。最後に、計画そのものについて大事な話をします。
計画を立てたのに、うまくいかないことがあります。
体調を崩す。
部活が予想より忙しい。
自己分析が甘くて、思ったより時間がかかる。
こういうことは、計画を立てた段階では完全には予見できません。
だから計画は、「修正するためにある」というくらいの気持ちで持っていてほしいです。
勉強は、完全なプランがあるから上手くいく、というものではありません。
「計画通りにいかなかった=失敗」ではなく、「気づいて修正した=成功」です。
計画を「勉強メニュー」だと思っている人は、臨機応変な修正ができません。
「立てた計画が崩れた=終わり」になってしまいます。
計画の本質は、目標から学習メニューまでが一本の線で繋がっていることです。
「この目標を達成するために、これを身につける必要があって、そのためにこのメニューをやっている」
という繋がりが頭に入っているかどうか。
その繋がりが見えていれば、メニューは状況に応じて変えられます。
むしろ、変えるべきときに変えられるのが、いい計画の使い方です。
勉強メニューは計画の一部に過ぎない。
本当に大切なのは「何のために何を身につけるか」がわかっていることです。
「勉強しているのに成績が上がらない」という状態の生徒を見ていると、たいてい今回紹介した4ステップのどこかが欠けています。
特に多いのが、課題分析や自己分析が甘いケースです。
特に
「勉強とは、誰かに教えてもらって、言われた通りにすること」
みたいに受け身な認識をしている人は、
「自分自身で把握する」という意識が弱く、課題分析や自己分析が身につきません。
テストの中身を分析せずに「とりあえず全部やる」という勉強は、どこかで壁にぶつかります。
今回の記事を読んで、自分の計画にこの視点が入っているか、少し考えてみてください。
そして、今回作ったチェックシートをぜひ試してみてください。授業で使っているものと同じです。
4つの観点に、「5」が並ぶ計画が立てられるようになったら、勉強の景色はかなり変わってきますよ。
今回はこの記事の続きです。
前回の内容をざっくり言えば
スマホは頭を使わなくていいようにできてるから、使いすぎると頭がなまる
というものです。
ですが僕としては、これよりももっと深刻な
スマホが学力を下げる理由
があるような気がしています。
(スマホというより、正確にはSNSです)
それは自己肯定感といわれる、メンタル的な理由です。
今回は
という3つに分けて解説していきます。
まず、
SNSはメンタルに悪いか?
を考えて活きましょう。
実は研究レベルではSNSがメンタルに悪影響を及ぼしていると言い切れるほどのデータは出ていません。
むしろ
SNSを使用している人は幸福度が高く、幸福度につながる交友関係・人間関係、自己肯定、健康においてもより良い状態であった。
SOMPOインスティチュート・プラス SNSと幸福度~アンケート調査結果からの分析~
と報告している研究もあります。
だからSNSが一概に「悪」というわけではありません。
ただ、指導者や精神科医の方のブログなどを見てみると
SNSは自己肯定感を下げる
という主張が多く見られます。
ちなみに僕も現場ではこのように感じています。
少なくとも
SNS上で誰かと自分を比べてしまう
ということは起こりやすいと言えるでしょう。
容姿を比較したり、「いいね数」を比較したり。
「誰かと自分」
あるいは
「理想と現実」
の過度な比較はメンタルヘルスを悪化させます。
今回はこの「比較」がポイントになります。
ではメンタルの状態が悪化すると学力にはどう影響するでしょうか?
ここで原因帰属理論という言葉を紹介します。
原因帰属理論は生徒たちの学習を分析する上でめちゃくちゃ大事な理論で、既に何回かブログにも書いているので、ざっくり説明します。
詳しく知りたい方は下図のリンクや、各種ウェブサイトを見てみて下さい。
原因帰属理論とは
「失敗したことを、何のせいにするか?」
を大きく4つに分けた理論のことです。
勉強で言えば
「やり方が悪かった」
「自分は頭が悪いから」
「ヤマが外れた」
「テストが難しかった」
の4つです。
図解すると

この背景にあるのは自己防衛です。
「努力が足りなかった」
「やり方が悪かった」
ということは
「自分が悪い」
ということです。
逆に
「能力が低い」(先天的な意味で)
「テストが悪い」
「運が悪い」
というのは、
「自分のせいではない」
を意味します。
「努力ややり方」に意識を向ければ、次は改善できる希望があるけど、自分が責められるかもしれない。
「それ以外」に意識を向ければ、改善はしていかないけど、一時的に自分が責められることを回避できるかもしれない。
向上心と自己防衛のせめぎ合いが、原因帰属理論の背景です。
メンタルが悪化すると人は「否定」や「批判」に弱くなります。
そしてその状態だと学力的には大変不利になります。
なぜなら「成果を出す」ということよりも、これ以上自分が傷つかないこと、否定されないことが優先になってしまって、学力をつけるための修正や改善に目がいかなくなってしまうからです。
現場にいて、そういう生徒がどのような状態に陥りがちか、4つのパターンにしてみました。
「先生や親に怒られない」を優先してしまって、勉強が形だけになってしまいます。
などの「行為」をいわば「批判を避けるバリア」として捉え、バリア集めに躍起になります。
すると肝心の
「何を覚えたか」
「何を理解したか」
に目がいかなくなってしまいます。
黙る、拗ねるなどしてシンプルに拒絶します。
また
「ワークはちゃんとやった」
「提出物は出した」
などの「行為」を主張してこれ以上の攻撃が来ないように防御します。
「人の目を気にする」と行動が異なるだけで、同じ発想ですね。
指摘を受けても
「そうですよね。わかってます」
「自分もそう思ってたんです」
という振る舞いで躱します。
少し成績の良いお利口さんタイプに多いです。
ちなみに、脱線ですが塾講師も実はこういうタイプが多いんですよね。
塾講師の中には生徒の前で「先生=わかっている人」として振る舞わなければならないという強迫観念を持っている人も多いので、そういう人はわかってる人ムーブが染みついてしまって成長を阻害してたりします。
言語化が上手いとこっちの自己防衛になりやすいのかもしれません。
「先生がテスト範囲を正しく伝えていなかった」
「授業が分かりにくい」
など、責められるべきは自分ではなく〇〇だ、ということを主張します。
4つのタイプを紹介しましたが、共通しているのは
自己防衛が先にきてしまって、学力的な改善ができる状態にない
ということです。
勉強で怖いのはこれらの状態です。

塾の入会面談のときからこのような図解を使って説明していますが、メンタルの状態(図中ではマインドセット)は勉強法の中でも土台に位置するところです。
その理由の一つが、
自己防衛が先行してしまってはそもそも学習法の改善自体が難しくなるからです。
生徒たちのメンタルの状態はいくつもの環境から影響を受けます。
学校、家庭、友人、部活やクラブ…。
誰かが意図的にメンタルを回復させることができるほど簡単な話ではありませんが、とりあえず僕がどういう意図でどのような対応をしているかを紹介してみます。
僕は基本的に生徒が悪い点数をとっても怒りません。
(怒りを抑えているのではなく、本当に腹が立っていません。)
むしろ
「ハハハ。やらかしたね。」
って感じで笑い飛ばすことが多いです。
これにはもちろん理由があって、点数が低いこと自体を善悪で捉えて欲しくないからです。
子供は、大人のリアクションを見て自分がしたことの重要性を測っている節があります。
ジュースを床にこぼしてしまったとき
モノを壊してしまったとき
何かを伝え忘れたとき
大人が顔面蒼白になって
「これはとんでもないことだ!」
というリアクションを取れば、
「これはとんでもないことなのだ」
と学習します。
逆に笑いながら
「なにやってんのー」
ぐらいのリアクションなら
「たいしたことではないらしい」
と学習します。
自己防衛が強い生徒は、悪い点数そのものに怯えます。
怒られること、否定されることに怯え、自己防衛スイッチをオンにします。
その状態だと学習法の改善まで話を持っていけない。
というか、無理やり話を持っていって
「次からはこうしなさい」
と命じてみたところで
「次はこうしないと怒られるらしい」
と受け取られるだけで、
改善のためのアドバイスだとは受け取られず、
指示されたことを表面的になぞるだけの勉強になり、効果を生みません。
ということで
「この塾ではどうやら点数が低いこと自体は怒られないらしい」
ということを学習してほしいわけです。
僕は点数を笑い飛ばすことで間接的にこれを伝えていますが、
生徒や状況によっては
「俺は君の評価者じゃないから、点数の高い低いで何かを言うことはないよ」
と言葉で説明することもあります。
もちろん、笑い飛ばして終了ではありません。
続いてこう聞きます。
「敗因と対策は?」
「点数が高いか低いかはもう過去のことだからどっちでもいい」
「そんなことより、そうなった原因は何で、次どうしようとしているのか教えてくれ」
そういうメッセージです。
そして、「原因と対策」を答えられなかったらときに初めて
「それはダメだよ」
と叱ります。
(強い語気ではないですが)
結局この塾では
何が怒られなくて
何が怒られるのか。
それを学習してほしいのです。
点数が低いこと自体は怒られない。
でも
「そうなったのはなぜだろう?」
「次はどうすればいいんだろう?」
を考えていなければ怒られる。
これをクセづけることで、悪い点数を取った時に
反射的に自己防衛スイッチを入れることを防止し、
原因と対策の検討に目を向ける
ということを習慣化して欲しいと思っています。
ここまでまるで僕が聖人のように描かれていますが、
全然僕は短気だしキレます。
ただ、キレたときに
「何について怒っているのか?」
をちゃんと伝えることは心掛けています。
「問題が解けていないことを怒ってるんじゃなくて、図を描いて考えてみるとか、自分にできる試行錯誤をやっていないことを怒っているんだ」
ということを伝えます。
(一応言っておくと、それまでの経緯でどのように問題に向き合うべきか再三伝えていた場合です)
昨今人気の
決して叱らない、声を荒げない、ゆるふわやさしい系先生
とは違って、僕は語気を強めないといけないこともあると思っています。
そうしないと重要度が伝わらないと思うからです。
ただその時に
「何について怒っているのか?」
をちゃんと自分の中で整理して、言語化して伝えない限り
「点数が低いことを怒られているんだ」
「問題が解けないことを怒られているんだ」
と受け取られかねません。
そうするとこの記事で描いてきたとおり
余計なタイミングで自己防衛スイッチが入る
ということになってしまいます。
ここまでをまとめると
スマホ(SNS)には、他者と自分を比べてメンタルを悪化させる傾向が、たぶん、あります。
メンタルが悪化すると、勉強においても自己防衛が先行してしまいます。
誰かからの言葉掛けが自己防衛スイッチを防ぐこともあるかもしれませんが、完全にコントロールすることはできません。
しかし、スマホの使い方そのものもメンタルの問題です。
冒頭で示した研究のようにSNSによって幸福度が上がり、人生を好転させることもあります。
結局は物事をどう捉えるか、つまりメンタル(より正確にはマインドセット)にかかっています。
これを機にスマホとの付き合い方を、
もっと言えば物事の捉え方を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
「勉強のやり方」というと
・どんな参考書を使う
・その参考書をいつまでに何周する
・いつから過去問をやればいい
みたいなことを想像する人も多いです。
いわゆる「戦略」というヤツで
ウチは受験までの最短の戦略を立てますよー
みたいなことを売りにしている塾もあります。
もちろん戦略も大事なんですが、もっと大切にして欲しいのは
1回の勉強のクオリティ
です。
もっと言えば、1問の勉強。
もっと言えば、その中での一瞬です。
勉強というのは、一瞬一瞬で何を考えたか、何を理解したか、何を覚えたかの繰り返しでしかありません。
1回の勉強の質が低いままでは、参考書を何周しても力がつかない、なんてことになってしまいます。
完璧な作戦も戦略も、大崩れです。
僕は普段からこの
1回の勉強の質をどう高めるか
という観点で研究をしているし、授業でのアドバイスにも反映させています。
今回はその一環として
勉強の質を高めるためのチェックリスト
なるものを開発しました。

5観点10項目で自分の勉強を振り返ってもらうためのシートです。
既に一部の生徒に実験してもらったんですが、勉強の質がすごくよく可視化されます。
(自画自賛みたいですいませんが、本当にすごくよく可視化されます)
授業では解説用の別紙をもとに僕が一通りの説明を行ったあとにチェックシートをつけてもらうんですが、今回はその解説内容を記事にしてみようと思います。
ちなみに
1問の勉強の質
という観点では以前に
こんな記事も書いています。
できればこちらも合わせて読んでみて下さい!
では、ここからは5つの観点を、一つずつ例題を示しながら解説していきます。

まずはこれ。
ここでやってはいけない勉強を紹介しておきます。
それは
解答・解説だけを見る
というものです。
上の問題なら
「なるほど。過去の文だからwasが答えなんだな。……was…っと」
って感じで赤ペンでワークに答えの「was」を書き込んで終了。
これが最悪のやり方で、何の勉強にもなっていません。
なぜなら
答えがwasだ、ということを知ったところで、その導き方がわかっていなければ自力で問題は解けないからです。
例題であれば、問題文にある
He
を見て、適切なbe動詞の形はisかwasであることがわかります。
さらに文末の
yesterday
を見て、過去形のwasが適切であると確定します。
このように勉強では
ただ解答を見る
だけでなく
問題文のどこを見て、どのように考えて、その答えに行きつくんだろう?
ということを考えなければいけません。
めちゃくちゃ当たり前のことを言っているようですが、意外とできていない生徒も多いんですよね。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。

次はこの数学の問題を考えてみましょう。
形はよく似ていますが、全く違うことを問われていて、全く違う解き方をする2問です。
この2問を混同して間違えてしまった経験がある人は多いと思います。
ここで重要なポイントが
問題同士を比べてみる
ということです。
これは結構高度なことです。
なぜなら、例えば上の2問なら
片方の問題を勉強しているとき、そのページにもう片方の問題は載っていないからです。
勉強が下手な生徒は、どうしても今目の前にある問題に意識が集中してしまいます。
一方で勉強が上手い人は、その問題を勉強しながらも
「前のページにあった問題と似てるなぁ。何が違うんだろう?」
と、目の前にない問題を記憶から引っ張ってきて考えることができます。
この項目は面白くて、数学が得意な生徒は5(できている)がつきやすく、数学が苦手な生徒は1(できていない)がつきやすい項目でもあります。
勉強の質を大きく左右するポイントなので、できていない人はぜひ意識して欲しいですね。
ちなみに慣れないうちは問題を解くのではなく、ただワークを1から点検して
「この問題とこの問題は何が違うんだろう?」
と観察する時間を設けるのも良い方法です。
問題同士を比べる習慣がつけば、勉強の質は爆上がりしますよ。
ということで、この項目のチェックポイントは
です。

次の観点はシンプルです。
↑のように漢字を覚える勉強をするとします。
生徒の中には、答え合わせをして、正しい答えを赤ペンで書いて、そのまま次のページに進んでしまうことがあります。
でも、本当に赤ペンで書いただけで覚えているでしょうか?
「勉強をする」とは、ただワークを埋めてページを進めることではありません。
それを通して何かを得ることです。
これは多くの生徒が
わかってはいるけど、ついつい甘えが出てしまう
ところでもあると思います。
この観点はこれ以上説明不要でしょう。
チェックポイントは
です。

次の例題は理科です。
拒否反応を示す人も多いと思いますが、頑張って。
↑はオームの法則を用いた回路の抵抗を計算する問題。
ですが、今回はこれが解けるかとか、オームの法則を知ってるかは気にしないでください。
ここで大切なのは、
例題は文章で出題されているが、これを回路図などの別の形式で出されても大丈夫か?
という視点を持てているかどうかです。
例題に限らず、テストに出るような問題にはいくつもの形式があります。
自分がワークで勉強した事柄が、別の形式で出題されるかもしれない。
それに対応するためには、ただ問題ごとの解法を覚えているだけではいけません。
テストに出題されうる全て形式を事前に勉強しておくことは不可能だからです。
そうではなく、学んだ問題の本質を理解し、形を変えられても対応できるような力をつけておく必要があります。
このことを考えず、特定の問題の解法だけ覚えて、ワークの問題には正答できたからOK、と考えてしまっている生徒も多いです。
「本質理解」は自力では無理なケースも多いので、わかなければ調べたり、質問してくれても良いんですが、まずはスルーする癖を改めましょう。
ということで、ここでのチェックポイントは
です。

最後の観点は社会から。
この問題は「鎌倉仏教」というカテゴリーからの出題です。
法然の浄土宗、
親鸞の浄土真宗、
一遍の時宗、
日蓮の日蓮宗、
栄西の臨済宗、
道元の曹洞宗。
みたいなのを小テストされた人も多いでしょう。
さて、↑の例題がワークに出てきて、あなたは答えられなかったとします。
その時どうしますか?
そうだ、浄土宗は法然だった。覚えておこう。
これで終わりですか?
それだと勉強はなかなか上手くなりません。
なぜなら
ワークではたまたま法然が選ばれただけで、テストでは違う人が問題になるかもしれないからです。
ワークには覚えるべき問題の全ては掲載できません。
(大学受験におけるチャートや、Scrambleなど、網羅性を売りにしたものは例外ですが…)
だからワークで1つの問題に誤答したとしたら
そのカテゴリー全て、記憶から抜けてるんじゃないですか?
と言われてるんだと思いましょう。
例題であれば
鎌倉仏教に弱いのかもしれないし、
鎌倉時代に弱いのかもしれない。
1つの問題から、想像力を持って色んな可能性を検討しましょう。
そして、不安があれば教科書や参考書で確認してみるなど、対策を講じましょう。
これも当たり前に思えて、意外とみんな甘くしてしまっているところです。
ということで、チェックポイントは
です。
ここまで5観点10項目のチェックポイントを紹介してきました。
僕も授業中にこのような観点で生徒の学習を観察し、指摘・アドバイスをしています。
ただ、僕が指摘するだけでは不十分です。
本当に大切なのは、勉強をする生徒自身が、自分の勉強を見る「目」を肥やすことです。
これは生徒に常日頃から言っている話ですが、
基本的に熟達は「目」の良さで決まります。
スポーツが得意な人はプレーを観察する「目」が優れています。
デザインが得意な人は、デザインを見る「目」が優れています。
「目」ではないですが、
音楽に秀でた人は「耳」が優れています。
人間は認識できる範囲でしか熟達はできません。
僕がウチの方式を「自由に学習」としているのも、
「指示」や「強制」をせず、ただ分析とアドバイスに徹しているのも、
「生徒自身の目」という、勉強において最も重要なファクターをウチの塾の中心に置きたいと思っているからです。
(絶対に代替できないものを「先生がやってくれる」と誤認させる商法が嫌いだからでもあります)
ちなみに、勉強を見る「目」のことは専門的に「メタ認知能力」と言います。
今回のチェックリストも、生徒たちに「目」を養ってほしくてつくりました。
ただチェックをつけて、
「こういう勉強をしようね」
で終わりじゃなくて、
普段からこのチェックポイントにあるようなことが全自動で意識できる習慣をつけて下さい。
勉強が上手い人は、このチェックシートには驚くほど「5」が並びます。
そして「目を養う」という感覚を、勉強を通して身につけて、できればそれを他の分野にも活かしてみて欲しいと思います。
どうせやるなら、人生を楽しく、豊かにするための勉強を。
このチェックリストはけっこう自信作なので、是非試してみてください!
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