1958年(昭和33年)、スーパーカブC100が誕生。1959年(昭和34年)、ホンダはイギリス・マン島TTレースに初出場。1960年(昭和35年)、小排気量スポーツのスポーツカブC110が登場。1962年(昭和37年)、鈴鹿サーキットが完成。同年、ロードレースの世界GPでは50ccクラスが新設。モータースポーツへの関心が益々高まる中、一台の市販50ccクラスレーサー「CR110カブレーシング」が衝撃的なデビューを飾った。
同車は世界のロードレースに出場できる性能を秘めた、当時のホンダの技術力を凝縮させた本格派モデル。
“カブ”の名称が与えられた理由は、まずホンダの50ccの代名詞=カブであること、またクランクケースはスポーツカブC110の横型エンジンがベースであるため。
エンジンはワークスレーサー、RC110ベースの空冷4ストDOHC4バルブ(ギヤ駆動)49cc(ボア40mm×ストローク39mm)。内径40mm強の小さな燃焼室に、肩を寄せ合うようにして収まった4本の吸排気バルブ、そしてシリンダーヘッドには2本のカムシャフト等を装備していることから「精密機械」とも呼ばれた。
最高出力は7.0ps/1万2700rpm、最大トルクは0.40kgm/1万1000rpmを発揮。最高速はオーバー100km/hを誇った。

内径40mm強(10円球2程度)の小さな燃焼室に収まった4本の吸排気バルブ。CR110カブレーシングのエンジンは、「超精密機械」と呼ばれた。

取り外されたCR110カブレーシングのアルミ叩き出しロケットカウル。
【エンジンの詳細】 → 超高性能なDOHC4バルブエンジン

写真はスクランブラー仕様のCR110カブレーシング。
写真はツインリンクもてぎのコレクションホールに展示された、保安部品を備えた公道仕様のCR110カブレーシング。
CR110カブレーシングといえば本格派レーサーフォルムの中期型と後期型が有名だが、最初に発売された初期型は、保安部品を装着したスクランブラーフォルム。
初期型の販売台数は、49台(メーカー発表)。ホンダの有力ディーラーのみで販売された。ミッションは手動式5速。8速ミッションが収まった中期型と後期型よりも、クランクケース幅が30mm程度狭いのが大きな特徴だ。乾燥重量は75kg。当時の発売価格は17万円だった。
初期型(公道用)のハンドル回り。バータイプのハンドルは、公道でも操作しやすいアップ型を採用。
当時は、後に中期型と後期型にも採用される縦長タンク、セパレートハンドル、バックステップなど、CR110カブレーシング用の純正レース用パーツがオプション販売された。
この時代のホンダ純正レース用パーツは、「Y部品」もしくは「Yパーツ」と呼ばれる。
公道用が登場してから間もなく、Y部品を装着したレース専用がリリースされた。エンジンは、最高出力8.5ps/1万3500rpm、最大トルク0.46kgm/1万1500rpmまで引き上げ。このモデルは中期型と呼ばれる。
ミッションは狭いパワーバンドが有効的に使えるよう(当時のレース用エンジンの多くは極めてピーキーな特性だった)、多速8段リターンミッションを採用。乾燥重量は61kgまで軽量化。パワフルなエンジン、レース専用のY部品を装着した外装、贅肉を削ぎ落とした軽量な車体により、最高速度は130km/hを超えた(メーカー公表値)。
その実力は、サーキットでも遺憾なく発揮。1962年、鈴鹿サーキットで行われた第1回全日本選手権のノービス50ccクラスでは、予選・決勝を通じてCR110が強敵の2スト勢を抑え、上位を独占。また同年のマン島TTレースでは、ワークスマシンとともに出場し、見事9位に入賞している。
前傾35度のDOHC49ccエンジン。細めのシリンダーから左右に大きく張り出した、別名「ミッキーマウス」とも呼ばれるカムシャフトカバーが特徴的だ。
8.5psのレース仕様車のエンジンは、その後2点の改良を受けてポテンシャルをアップ。なお、エン
ジン仕様変更後のモデルは、後期型と呼ばれる。変更点は…
<1> 50ccのレギュレーションに限界まで近付けるため、ボアを40mmから40.4mmに拡大。
<2> クラッチの操作性を向上させるため、シフトギアスピンドルの爪を2個から4個に変更。また、パーツ形状も大型化して耐久性をアップ。
なお、シフトギアスピンドル変更&大型化の有無は、クラッチ上部のクランクケースの盛り上がり具合で確認できる。写真は後期型のエンジン回り。
モーターサイクルショーで衝撃的なデビューを果たして以来、市販後も注目の的だったCR110カブレーシング。当時は若者を中心に、絶大なる人気を誇った。
ただし販売価格は17万円(1960年発売のスポーツカブC110は5万8000円)。50ccのオートバイとしてはまさに破格値。多くの者にとって、CR110カブレーシングは憧れのマシンだったわけだ。
生産台数は初期型・中期型・後期型を合わせて、わずか246台(メーカー発表)。そのため、現存する“本物の”CR110カブレーシングはごくごくわずか。中古車市場はもちろん、ネットオークションに登場することもまずない。ちなみに写真上は、アルミ叩き出しのフルカウル装着車。
アルミ叩き出しのロケットカウルを装着した、レース仕様のCR110カブレーシング。カウルは職人による手作りのもの。
ハンドルは低めに設定されたセパレート型。メーターはタコメーターのみ。
ブレーキはレーサーながら前後ともドラム式。時代を感じさせるアイテムだ。
1996年(平成8年)、多くのヒャクトーファンからの声を受け、CR110カブレーシングはドリーム50として復活した。
前後に伸びた細長いタンク、レトロな外観のシングルシートなど、そのフォルムはレーサー仕様の中期型と後期型に近いもの。
ただしパワーは5.6ps/1万500rpmにダウンされているため、パワーを求めるユーザーは、社外製ボアアップキットやHRC製エンジンパーツでチューニングするのが定番。
乾燥重量は81kg、ミッションは5速。シルバーはスタンダード、レッドカラーは限定1000台のスペシャルエディションカラー。
ホンダのレース部門であるHRCが手掛けた、レース専用のドリーム50R。
市販のドリーム50をベースに、HRC製「Dream50用レース専用キット」のカムシャフト、バルブスプリング、ピストンを導入。また、低フリクションカムチェーン、クランクシャフト、軽量ACジェネレーター、レース専用設計のキャブレターやエアファンネルも組み込み済。
エキゾーストパイプ部分は二重管構造から単管に変更し、排気効率を高めている。
最高出力はノーマルの5.6ps/1万500rpmから、7.0PS/13,500rpmにアップ。
ミッションは6速クロスミッションがチョイスされている。販売価格は49万1400円(平成22年に販売終了)。
| スペックの比較表 | |||||
| CR110前期型 (公道仕様) |
CR110中期型 (レース仕様) |
CR110後期型 (レース仕様) |
ドリーム50 | HRC ドリーム50R |
|
| 全長 | ー | 1725mm | ← | 1830mm | 1790mm |
| 全幅 | ー | 510mm | ← | 615mm | ← |
| 全高 | ー | 780mm | ← | 945mm | ← |
| 軸距 | ー | 1155mm | ← | 1195mm | ← |
| 乾燥重量 | 75kg | 61kg | ← | 81kg | 71kg |
| キャスター角 | 26° | ← | ← | 25° | ← |
| 排気量 | 48.984cc | ← | 49.968cc | 49.738cc | 49.738cc |
| ボア×ストローク | 40.0mm × 39.0mm |
← | 40.4mm × 39.0mm |
40.0mm × 39.6mm |
40.0mm × 39.6mm |
| 最高出力 | 7.0ps/1万2700rpm | 8.5ps/1万3500rpm | ← | 5.6ps/1万500rpm | 7.0ps/1万3500rpm |
| 最大トルク | 0.4kgm/1万1000rpm | 0.46kgm/1万1500rpm | ← | 0.42kgm/8500rpm | 0.45kgm/1万500rpm |
| 圧縮比 | 8.5 | 10.3 | ← | 10 | 11.7 |
| 吸気バルブ径 | 16.5mm | ← | ← | 14.0mm | 15.0mm |
| 排気バルブ径 | 16.0mm | ← | ← | 12.0mm | 13.0mm |
| キャブレター | ケイヒンPW20 | ケイヒンRP25-P1 | ← | ケイヒンPC15 | ケイヒンPC20 |
| 燃料タンク容量 | 8.0L | 9.5L | ← | 6.2L | ← |
| オイル容量 | 0.8L | ← | ← | 1.1L | ← |
| クラッチ形式 | 乾式 | ← | ← | 湿式 | ← |
| ミッション | 5速 | 8速 | ← | 5速 | 6速 |
| 1速 | 2.058 | 2.260 | ← | 2.692 | 2.846 |
| 2速 | 1.611 | 1.550 | ← | 1.823 | 2.188 |
| 3速 | 1.238 | 1.320 | ← | 1.400 | 1.722 |
| 4速 | 1.091 | 1.130 | ← | 1.130 | 1.450 |
| 5速 | 1.000 | 1.040 | ← | 0.960 | 1.237 |
| 6速 | ー | 0.962 | ← | ー | 1.174 |
| 7速 | ー | 0.893 | ← | ー | ー |
| 8速 | ー | 0.852 | ← | ー | ー |
| 1次減速比 | 4.66 | ← | ← | 4.437 | ← |
| 2次減速比 | 2.92 | ← | ← | 3.583 | 2.867 |
| タイヤ(前) | 2.00-18 | ← | ← | 2.50-18 | ← |
| タイヤ(後) | 2.25-18 | ← | ← | 2.50-18 | ← |
| ブレーキ(前) | ドラム式 | ← | ← | 油圧式ディスク | ← |
| ブレーキ(後) | ドラム式 | ← | ← | 油圧式ディスク | ← |
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The post 精密機械と呼ばれた市販49ccレーサー・ホンダCR110カブレーシング。空冷4スト単気筒DOHC4バルブ49ccエンジン搭載 first appeared on 4ミニ.net.]]>キャブレターはガソリンと空気を混ぜ合わせ、最適な混合気を作り出してくれる吸気系装置。
キャブレターの役割である「混合気の製造」は極めて繊細で高度な作業で、仮にノーマル50ccのエンジンに28φの大口径キャブをポン付けしてもエンジン本来の性能を発揮することはありません。たとえエンジン始動は出来ても、まずまともに走らないはずです。
キャブレターは想像以上にシビアなパーツなので、排気量やチューニング度合いに応じたモデルを選択することが大切です。
キャブレターはガソリンと空気を混ぜ合わせるパーツ。
空気とガソリンの比率を「空燃比」と呼び、低中回転域ではガソリン1に対して空気が14.5、高回転域ではガソリン1に対して空気が空気12~13が理想的な空燃比とされます。
キャブレターは空気の密度は気温や湿度、気圧によって性能が大きく変化するのが特徴。
たとえば走行中、突如豪雨に遭遇。それを境にエンジンがギクシャクし出したという経験はありませんか? これは突然の大雨によって、湿度が急激に上昇し、混合気が濃くなってしまったのが原因だと考えられます。
特にフィルターを通さず、直接「生の空気」を吸わせるエアファンネル採用車、またエアクリーナーやパワーフィルターを取り外した「直キャブ仕様車」は、これら外気の変化を顕著に感じ取ることができるはず。
「速く走ること」を極限まで追求したレーシングマシンは、気温や湿度が少し変わっただけでもセッティングを変更する。これは常識です。
キャブレターの空気吸入口には下記の3つのアイテムを接続するのが常識です。それぞれの特徴を見てみましょう。

エアファンネル

エアフィルター

エアクリーナーボックス
空気をダイレクトに、しかも大量に吸入することができるため、燃焼力が増してパワーがアップ。ただし空気中のゴミやホコリを直接吸ってしまう、天候や気候によってキャブセッティングの変更が必要であるため、一般低に公道走行には向いていない。
公道走行に適した、エアクリーナーボックスとエアファンネルの中間的な性能を発揮するタイプ。エアクリーナーボックスよりも空気の吸入率がアップしてレスポンスやパワーがアップするのがポイント。通勤・通学にも使用する場合は、フィルター部を雨や泥から守ってくれるカバー付が安心。
ノーマル車に多用されるタイプ。大容量かつ密閉性が高いため、外気変化の影響を受けにくく、キャブの性能が一定に保ちやすい。そのため、基本的にキャブのセッティング変更は必要なし。ただしエアファンネルやエアフィルターに比べ、空気の吸入量が抑えられるためにパワーは出にくい。写真はエイプ用純正。
テスト車のゴリラは88ccのフルチューン。「チューニング車は季節によってキャブレターのセッティングを変更すべき」かどうかを検証してみました。
| テスト日時:1月某日14時 気温:16℃(実測) 天候:晴れ |
| テスト車の仕様
ベースマシン:ゴリラ ●エンジン:デイトナ製ハイポートヘッド88cc ●マフラー:社外製 ●キャブレター:ヨシムラミクニTM-MJN24(社外パワーフィルター装着) ●メインジェット:82.5♯ ●スロージェット:12.5♯ ●ジェットニードルクリップ:真ん中 ●キャブレターのセッティング時期:6月 |
モンキー用のヨシムラミクニTM-MJN24キットに、社外のエアフィルターを組み合わせ。デイトナ製インマニに装着するため、ラバーマニホールドのキャブ取り付け穴は工作機械を使って小判穴加工しています。
モンキー用はメーカー出荷時、オーバー100ccへの装着を想定し、メインジェット95♯、スロージェット25♯が組み込まれています。
現況、88ccのこのマシンは、メイン82.5♯、スロー12.5♯まで番手を縮小しています。
気温は実測16℃と高めですが、北風のせいで体感的にはかなり寒く感じられます。エンジンを始動し、入念に暖機運転を実施。チョークを戻しながら、アイドルスクリューでアイドリングを調整します。2000rpm付近で安定させ、軽くアクセルを煽ってみると…。春夏秋には見られなかったエンジンの息継ぎが発生。やや混合気が薄くなっている模様です。
まずはエアスクリューを閉めてガソリンを濃くしてやります。限界まで閉めたところで、キレイに吹け上がるようになりました。早速スロージェットを12.5♯から15♯に変更し、低回転域を冬仕様に変更します。
メインジェットは82.5♯から85♯、また87.5♯にそれぞれ変更。85♯では中高回転域が若干薄く、87.5♯ではまずまず。念のため90♯にしたところ、若干濃いという結果。
メインジェットは87.5♯に決定しましたが、ひとつ気になったのが中回転域でのパワーの谷間。6000rpmあたりで一瞬ボボォォと失速してしまい、スムーズに吹けません。
混合気が濃いのかな? と思いつつ、試しにジェットニードルクリップを一段上げ、中回転域での混合気をやや薄めに設定。するとこれまでの谷間が嘘のように消え去り、低回転から高回転までキレイに吹け上がるようになりました。
| 春夏秋仕様と冬仕様の違い(上記テスト) | |||
| スロージェット | メインジェット | ジェットニードルクリップ | |
| 春夏秋仕様 | 82.5♯ | 12.5♯ | 真ん中 |
| 冬仕様 | 87.5♯ | 15.0♯ | 上から2段目 |
「直キャブは外気の変化に敏感である」これを体感すべく、ゴリラのキャブセッティングが決まった時点でパワーフィルターを取り外し、テスト走行。外気温度は昼間の16℃から4℃に低下しています。とにかく寒い!
まずはエンジン始動。アイドリングに問題なし。エンジンをよく温め、いざスタート。低回転域ではアクセルレスポンスがやや向上。ただし言い換えれば、何となく神経質になったイメージです。特にシグナルストップから再スタート時には、昼間と同じ回転数からのスタートでは何となくギクシャク感があります(回転数を上げ、クラッチミートに気を配ることで解消)。中高回転域では「もう少し濃くてもいいかな?」と感じる程度で、特に問題なく走ってくれました。
セッティング変更に使った工具は、3mmの六角レンチ、大きめのマイナスドライバー、細めのマイナスドライバーとプラスドライバー。メインジェットはTM-MJN用が各サイズリリース中。
固定バンドを緩め、ラバーマニホールドからキャブレター本体を取り外します。取り外し前にはあらかじめ燃料コックをOFFにし、フロートチャンバーボディの底にあるマイナスボルトを緩め、ガソリンを抜いておきます。
六角レンチを使い、ガソリンを溜めるためのフロートチャンバーボディを取り外すと①メインジェットが姿を見せます(大きめのマイナスドライバーで交換)。今回は82.5♯、85♯、87.5♯、90♯の4種類を試してみました。
スロージェットは②の中にセットされています(細めのマイナスドライバーを挿入して交換)。
メインジェットは87.5♯に設定しましたが、中速域にてやや谷間があります(一瞬、ブブゥゥと失速気味になる)。この現象を改善するため、まずはトップカバーを取り外し。次にスロットルバルブを露出させます。
スロットルバルブからスロットルケーブルを取り外した後、細めのプラスドライバーを使ってジェットニードルとスロットルバルブを分離させます。
ジェットニードルクリップを一段上げ、低中速域の混合気をやや薄めに設定したところ。クリップの位置を上にすればジェットニードル本体が下がって混合気は薄めになり、クリップの位置を下にすればジェットニードル本体が上がって混合気は濃くなります(下記イラストを参照)。
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「泉(IZUMI)モータース」は山梨県甲府市にある老舗のアフターパーツメーカー。ハイエンドユーザーならご存知だろうが、同社は山梨を拠点に1980年初頭から盛り上がりを見せた“第二次ミニバイクレースブーム(第一次は1975年頃)”の火付け役。パーツメーカーのみに留まらない、知る人ぞ知る職人的気質、筋金入りのレース系チューニングショップでもあるのだ。
同社は現在、積極的なレース活動は行っていないものの、全国の4ミニレーサーや4ミニカスタマーたちにカスタムパーツやチューニングアドバイスを提供。長年に渡る貴重なノウハウや研究の末に導き出したカスタム理論、また独自の手法を駆使したパワーアップ術に、「生粋のチューナー」「職人の中の職人」と崇めるユーザーは数多い。
今回注目したのは、同社がリリースするキャブレター「F26(3万円)」。このモデルは、ミクニ製フラット24をベースに、ボアを24mmから26mmに拡大。またジェットニードルやニードルジェット、スロットルバルブなどを同社製の4スト用に変更しているのが大きなポイントとなっている。
独自のノウハウをフル投入した同社のキャブレターには、「ポン付けで最高回転数がプラス3000rpm上昇」「最高速度が飛躍的にアップ」「カートコースでタイムが4秒短縮」「2万rpmまで回る」等々、数々の武勇伝が存在する。
このF26も、「一般にキャブ変更のみではここまで変わらない」「まるで排気量を上げたようだ」「レーシングシリンダーヘッドに変更したような感覚」というユーザーの声も。果たしてその実力は?
テスト車両はヨシムラミクニTM-MJN24キャブレター、デイトナ製ハイポートシリンダーヘッド、デイトナ製φ52シリンダー&ピストン、41.4mmノーマルクランク、キタコ製CDI、純正アウターローター、スポーツマフラー等を装着した88cc仕様。
泉モータースにエンジンの仕様を聞かれ、詳細を告げると、「なるほど。では早速商品を送ります」とのこと。「セッティングのためのメインジェットやパイロットジェットは? こちらでフラット用を別途用意したほうがいいですか?」との質問に、「いらないと思います」との返答。「いらないって…。ポン付けで本当に大丈夫なんですか?」「はい、ほぼ問題ないかと思います」。
キャブレター変更といえば、メインジェットやニードルのクリップの位置を何度もチェンジする。これが常識であり当たり前。本当にポン付けで大丈夫なの? そんな疑問を抱えつつ、届いたF26の取り付けを開始した。
現在装着しているキャブレターは、ストリートからレースまで幅広い人気を誇る「ヨシムラミクニTM-MJN24」。エンジンの始動性に優れ、全域にて扱いやすく、スポーティー。しかも低燃費。ストリート走行を考慮し、キャブレターにはデイトナ製エアフィルターをチョイス。カバーはワンオフのもの。
キャブレターに接続されたフューエルホースを取り外し。次にステンレスバンドを緩め、ラバーマニホールドに挿入されたキャブレター本体を引き抜く。
六角レンチで2本のトップカバー固定用ボルトを緩めると、スロットルワイヤーに接続されたスロットルバルブ周りがスッポリと引き抜ける。これでキャブレター本体がフリーになる。
スロットルバルブ側のコネクタ部分に引っ掛けられたスロットルワイヤーを取り外す。するとスロットルバルブ本体、スプリング、パッキン、樹脂リングが分離。次にスロットルワイヤーからトップカバーを分離する。
取り外しとは逆の要領でF26キャブレターを取り付ける。まずはトップカバー周りを分解。次にスロットルワイヤーへトップカバーを固定。
スロットル側のスロットルホルダーを分解し、スロットルワイヤーをフリーにする。これによってスロットルワイヤーがキャブレター側に伸び、スロットルバルブ周りが組み付けやすくなる。
スロットルワイヤーにスプリング、ガスケット、樹脂リングをセット。次にスロットルバルブ側のコネクタ部分にスロットルワイヤーの先端を引っ掛ける。
スロットル側のスロットルホルダーを元通り組み付けた後、手でスロットルを何度か開閉。写真の通りスロットルバルブが上下に動作するか確認する。
キャブレター本体にスロットルバルブ周りを挿入。次に2本のプラスネジでトップカバー取り付けボルトを固定する。
スロットルを開閉し、キャブレターにセットされたスロットルバルブが上下に、しかもスムーズに動作するかを確認する。
キャブレター本体にフューエルホースを接続。次にキャブレター本体をラバーマニホールドにしっかりと挿入し、ステンレスバンドで固定する。
F26キャブレターは「パワーアップはもちろん、誰でも“使いやすい”」がコンセプト。この“使いやすい”という言葉の中には『扱いやすい』に加え、『セッティングに困らない』という意味も含まれている。
今回装着したF26は、メインジェットもパイロットジェットも、またジェットニードルのクリップ位置も変更していない。細めのマイナスドライバーを使ったエアスクリュー調整、加えてアイドリング調整のみ。つまり、ほぼメーカーから送られてきたままのボルトオン状態だ。キャブレター=セッティングが難しいというイメージを払拭した、ビギナーにも親しみやすい商品。そんな印象を受ける。
テストしたのは6月。天気は晴れ。暖気運転後、ニュートラルのまま何度かスロットルを煽り、プラグの焼け具合をチェック。もう少しパイロットジェットの番手(テスト時は♯17.5)を下げてもいいのかな?という感じ。ちなみに今回はキャブレターのダイレクト感を味わいたく、エアフィルターは未装着。直キャブでのテストとなった。もしもあなたがF26をストリートで繁用する場合、天候や気候、標高差などに左右されにくいエアフィルターを装着すべし。レースで使用するならば、さらなるポテンシャルアップを実現してくれる同社製エアファンネルの装着をおすすめしたい。
3000rpm付近で、ゆっくりとクラッチミート。ストップ&ゴーを繰り返す低回転域(時速40km/h以下)での街乗り走行においては、トルク感が増したおかげで実にスムーズ。大口径キャブにありがちなギクシャク感はまったくない。
一瞬、扱いやすい=大人しくてマイルドな特性、というイメージを抱きかけた。しかしそれは、街乗りで繁用していた4000rpmまでのお話だった。
テストステージは信号の多い街中から、工業団地内に伸びる、長くて広い、日曜日の無人の直線道路へ。
4000rpmを超えた中高回転域でのパワーの伸びは、まさに圧巻。過剰にスロットルを開けなくても、エンジンは未体験ゾーンを目指してガンガン回っていく。1万rpm、1万3000rpm…。頭打ちになることなく、回転数は上昇。怒涛の加速感に圧倒されつつ、さらにジュワジュワと慎重に、スロットルをオープン。回転数は1万4000rpm、1万5000rpmへとさらに上昇。一体どこまで伸び続けるのか。
スロットルをフルオープンする前に、一旦スローダウン。テスト車は“回してパワーを稼ぐ”ボアφ52×ストローク41.4mm=88cc。レーシングエンジンの定番とも呼べるショートストローク仕様だ。
今度はやや回転を上げながら、丁寧にクラッチをミート。ウイリーに注意しつつ、目一杯の前傾姿勢で1速から2速にシフトアップする。加速しながら、やや乱暴気味にスロットルをオープン。その瞬間、まるで脳みそを丸ごと後ろに持っていかれるような、暴力的ともいえるドッカン級の強烈な加速力を発生した。正直、ヤバイ…。
レーシングキャブレター=シロウトにはセッティングが困難なイメージ。しかしこのキャブレターは、面倒で難しいセッティングなしで、誰でもレーシングキャブレターのテイストが味わえる。いや、このF26は、もはやレーシングキャブレターそのものである。
「F26」はミクニ製フラット24をベースに、ボアを24mmから26mmに拡大するなど各所にチューニングを実施したモデル。
同じくミクニ製フラット24をベースにした「ヨシムラミクニTM-MJN24」とはカラーやエンブレムの有無、チョークレバー、取り付けビス等を除き、外見上はほぼ同じとなっている。まずは両者をじっくりと比較してみよう。
フロートチャンバーボディーを取り外したところ。内部は外観上、メインジェット以外に違いはない。
スロットルバルブ部分。写真左がF26、写真右がTM-MJN24。スロットルバルブの形状は同じだが、ジェットニードルが異なる。F26は先端の尖ったテーパー形状のスタンダードタイプ。TM-MJN24は先端まで一定の細さの中空(パイプの形状)ノズルに数個の穴を設けた特殊なタイプ。
TM-MJN24はジェットニードルに小さな穴が開けられたMJN(マルチプルジェットノズル)を採用。
オプションパーツもスタンバイ
F26はセッティング用のオプションパーツもスタンバイ。写真はどちらもF26用スロットルバルブ。右はスタンダード、左はスロットル開度1/8~1/2でのポテンシャルをさらに追求したオプション(特注)。矢印の部分が若干削られている。
写真左はオプションのスロットルバルブ。写真右のスタンダードとは異なり、矢印の部分が若干削られている。
写真左はF26のメインジェット。今回装着したモデルには六角の♯135が装着されている。一方、写真右のTM-MJN24は丸型のメインジェットを採用。番手は♯82.5を選択している。
メインジェット横の丸穴の中にセットされたパイロットジェット。写真左はF26で番手は♯17.5。写真右はTM-MJN24で番手は♯12.5をチョイス。
–ズバリ、F26のポイントは?
泉モータース(以下、泉):カスタムビギナーでも安心して、気軽にハイパワーを堪能できること。当社のキャブレターは『スロットル開度1/2以下をどれだけいい状態に持ってこられるのか?』これを念頭にチューニングしています。1/2以下のセッティングがきっちりと合えば、基本的に1/2以上のセッティングも出てくるもの。1/2以下をベストな状態に保てば、エンジン性能は100%引き出せるはずです。
–キャブ単体で価格は3万円。やや高額ですよね…
泉:F26の場合、独自のジェットニードルとニードルジェットを採用。ベストなセッティングを出すまでに、結果として相応の開発期間や材料費が掛かってしまいました。
–それが価格に反映されているわけですね。
他メーカーさんに比べ、確かに高額。ただしセッティングにかかる時間の短縮やハイパワーを体感していただければ、この価格は決して高いものではない。むしろ逆にお買い得じゃないかな? そう考えています。
–御社のキャブレターは「高回転まで回る」というのがもっぱらの評判。注意すべき点などは?
例えばノーマルのイグニッションコイルの場合、高回転まで回すと点火が弱まってしまう。つまり火が追いついていかなくなるんです。そうなると、当然エンジン性能が100%発揮できません。当社のイグニッションコイルは、1万8000rpmまで回しても火花は強いまま。「火花の差はこんなにあるのか!」と気付くはずです。
— ビギナーは回し過ぎによるエンジンブローに十分注意しましょう。ところでF26購入時の注意点は?
エンジンやマフラーなどマシンの仕様によっては相性の良くない場合もあります。まずは取り付け予定のマシンについてお話しましょう。お気軽にお問い合わせ下さい。
| ■取材協力:泉モータース 山梨県甲府市相生1-2-24 TEL:055-222-3605 ※問い合わせ受付時間:9:00~19:00 |
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ガソリンと空気を混ぜて混合気を作り出すキャブレター。キャブレターのタイプや口径の違いによって、エンジン特性も大きく違ってくるのがポイントです。
エンジンが求める理想の混合気を作り出そうとする装置、キャブレター。外気を直接吸い込むエアファンネル仕様車は、気温や湿度の変化によって燃焼状況も大きく変わってくるのが特徴です。
マフラー交換、シリンダーヘッドチューン、ボアアップ、ボア&ストロークアップなど、エンジンチューニング時に必要となるキャブのセッティング。一見難しそうですが、作業自体は至って簡単。ジェット類の交換・テスト走行・交換~の繰り返しです。
排気量やチューニングモードによってセレクトできるモンキーやエイプの4ストミニ用キャブレター。各メーカーからは専用マニホールド等とセットでリリースされています。
メカニカルなフォルムでモンキーやエイプなど4ミニにも人気のケーヒンFCR28φキャブレター。「FCRキャブは凄い!」という話はよく聞くけど、一体どこが凄いのかな。その速さの秘密を探ってみました。
「サイドスタンドを使って停めていたバイクを直立させると、キャブレターからガソリンがジョ~っと漏れてしまう」という場合は、キャブレターの油面を調整する必要があります。
チューニング車の場合、キャブレターは気温や湿度によってセッティングを変更したほうがいいと聞きますが…。真偽のほどを検証してみましょう。
バイクの吸気系チューンの基本。それはキャブレターに接続されたノーマルのエアクリーナーボックスから、パワーフィルターやエアファンネルに交換する方法。それぞれの長所や短所をしっかりと把握して、チューンナップを楽しみましょう。
細かなキャブレターのセッティングは不要。ポン付けで怒涛のパワーを発揮するキャブレターがある。ハイエンドユーザーからそんな情報を入手した。ポン付けで怒涛のパワー? キャブレターのセッティングって、そんなに簡単じゃないぞ。早速その真相を探ってみました。
キャブレターは一般工具があれば簡単に分解可能。「この冬、一度もエンジンをかけていない」というバイクは、ぜひともキャブのオーバーホールを実施!キャブ構造の勉強にもなりますよ!!
ガソリンと空気を混ぜて混合気を作り出すキャブレター。キャブレターのタイプや口径の違いによって、モンキーやエイプのエンジン特性も大きく違ってくるのがポイント。セッティングの調整、味のある吸気音、外観とのバランスの考慮等、キャブレターにはエンジンチューニングの楽しさが目一杯詰まっている。
豊富な形式・口径のタイプがラインアップされている4ストミニ用のキャブレター。ストリートに適したモデルから生粋のレーシングモデルまで多種多様。4ストミニ用キャブは、まさに選び放題といえよう。
ただしすべてのキャブレターが、どんなタイプのエンジンにでも適合するわけではない。
キャブレターの役割である「混合気の製造」は、極めて繊細で高度な仕事。仮にノーマル50ccのエンジンに28φの大口径キャブを選択しても、エンジン本来の性能を発揮することはまずない。ポン付けでは、まずまともに走らないだろう。
キャブレターはとにかく神経質で繊細なパーツ。排気量やチューニング度合いに応じたモデルを選択することが大切だ。
多くの場合、チューニング用エンジンキットには各メーカーが推奨するキャブレターが記載されている。セッティングの出しやすさも考慮し、ビギナーは推奨のキャブをセレクトすることをお勧めしたい。写真はケーヒンPE24φ。
<1> トップカバー
スロットルバルブが収められているスロットルボディーのカバー。このカバーを取り外せばスロットルバルブが脱着できる。
<2> スロットルワイヤー
スロットルとスロットルバルブをつなぐワイヤー。ワイヤーが上下すればピストンバルブも上下する。
<3> スロットルボディー
キャブレターの本体部分。
<4> スロットルバルブ
スロットルワイヤーにつながった部分。スロットルバルブの上下によって空気を吸入する通路の径(<5>ベンチュリー)が変化する。
<5> ベンチュリー
空気の通路を狭く、絞った部分。 <6>フロートチャンバーボディー ガソリンを貯めておく部分。
<6> フロートチャンバーボディー
ガソリンを貯めておく部分。
キャブレターは空気とガソリンを混ぜ合わせ、混合気を作るパーツ。
空気とガソリンの比率を「空燃比」と呼び、
低中回転域…ガソリン1:空気14.5
高回転域…ガソリン1:空気12~13
以上が一般的な理想の空燃比とされる。
<1> 爆発の衝撃でエンジンのピストンが下降すると、エンジン側に空気が移動。つまり「負圧」の力が発生する。
<2> 空気とガソリンが混じり合い、混合気となる。混合気は負圧によってエンジン内に吸い込まれる。
<3> アクセルを開けるとスロットルバルブが上昇。さらに空気が吸い込まれると同時に、スロットルバルブに接続された紫色の針(ジェットニードル)も上昇。爆発力の高い大量の混合気がエンジン内に送り込まれる。
キャブレターのセッティングを変更するには<1>~<5>のパーツを変更、もしくは位置変更を行う。
<1> メインジェット
ガソリンの通路を設けたガソリンを供給するパーツ。中央には小さな通路穴が開いている。穴の径が異なるタイプに交換し、エンジンのセッティングを煮詰めてゆく。キャブセッティング変更の要となる部品のひとつ。
<2> ジェットニードル
スロットルバルブに直結したテーパー状のパーツ。<3> ニードルジェットとのすき間からガソリンを供給。テーパー形状によって特性は変化する。
<3> ニードルジェット
ガソリンの通路。<2>ジェットニードルの上下運動によって、ガソリン供給路の幅が調整される。下側には1メインジェットが接続。
<4> スロージェット
パイロットジェットとも呼ばれる。メインジェットが接続されたメイン通路とは別に、もうひとつ設けられた通路に接続。スロットルがあまり開いていない状態の時にガソリンを供給。通路穴の径を変更することで、ガソリンの供給量は調整される。
<5> ジェットニードルクリップ
クリップの位置を上下することでジェットニードルの高さを変更。ガソリンの供給量を調整する。クリップを下げればニードルは上がりガソリンは濃くなり、クリップを上げればニードルは下がりガソリンは薄くなる。
ガソリンの量を司る<1>~<5>には、スロットル開度によって“受け持ち”がある。
アイドリング時~スロットル開け始めの1/8程度は<4>スロージェットで調整する。
中速域のスロットル開度1/8~3/4付近は<5>ジェットニードルクリップの高さを調整。またジェットニードルのテーパー形状を変更することでもセッティングは変わってくるが、こちらは上級者向けとなる。
スロットル開度1/2~全開域はキャブセッティングの要となる<1>メインジェットで調整。なお各パーツの受け持ちにはオーバーラップしている領域もあるため、セッティングはそれぞれのバランスも重要になってくることをお忘れなく。
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キャブレターとはガソリンタンクからキャブレター本体にガソリンを送り込み、吸気口から空気を吸い込ませ、ガソリンと空気を混ぜ合わせて混合気を作り出す装置。エンジン内に送り込まれた混合気が爆発することにとり、タイヤを回す動力となるわけです。
キャブレターの内部にはガソリンや空気、また混合気を通過させるための“非常に細い管”が多数設置されていますが、長期間放置されたバイクのキャブレターは、キャブレター内のガソリンが酸化(ガソリンが腐る)し、“ドロリ”とした泥状の汚れが発生。この“ドロリ”とした汚れが管に入り込むと、パワーの低下や始動性不良(最悪の場合はエンジンがかからない)など様々な不具合をもたらします。
キャブレターは一般工具があれば簡単に分解可能。「この冬、一度もエンジンをかけていない」というバイクは、ぜひともキャブのオーバーホールを実施!キャブ構造の勉強にもなりますよ!!
排気量88cc&社外シリンダーヘッドでチューニングされたモンキーには、中口径のヨシムラミクニTM-MJNφ24φキャブレター採用。今回は4ストエンジン用の高性能キャブレターをオーバーホールしてみます。
キャブレターを取り外す前に、まずはガソリンコックをOFFにします。これでガソリンタンクからのガソリンの流れが遮断されます。
次にキャブレターへガソリンを送り込むためのフューエルホースをキャブレター本体から抜き取ります。もしも素手で引き抜けない場合は(特に寒さの厳しい冬場はホース自体の内径が縮み、ホース自体が硬くなって抜けにくい)、ラジオペンチ等の工具を使用します。
マイナスドライバーで固定バンドを緩め、エアフィルター(写真はワンオフカバー付き)を取り外します。このモンキー改には社外エアフィルターを装着していますが、ノーマルモンキーはエアクリーナーを採用。アップ型マフラーを取り外せば、エアクリーナーが姿を現します。
エアフィルター同様、マイナスドライバーを使って固定バンドを緩めます。なおノーマルゴリラのキャブは固定バンドではなくボルトで固定されています。
固定バンドを緩めたら、ラバーマニホールドに挿入されたキャブレター本体を引き抜きます。キャブレター本体を斜めに傾け過ぎると、キャブレターの各部からガソリンが漏れてくるので要注意。キャブレターは出来るだけ真っ直ぐに引き抜くのがポイントです。
六角レンチを使い、キャブレター上部のトップキャップを固定している2本のボルト(ヘキサゴン)を緩めます。トップキャップはスロットルワイヤーを介し、手元のスロットルにつながっています。
トップキャップを取り外すと、スロットルワイヤーに接続されたスロットルバルブが姿を現します。TM-MJNφ24はスロットルバルブが板状になった「フラットバルブ」を採用。ノーマルモンキーやゴリラに採用の「円筒バルブ」との違いは下記を参照!

②フラットバルブ

①円筒バルブ

①円筒バルブ
スロットルバルブとはキャブレター内に空気を取り込むための“窓口”となるパーツ。スロットルを開く・戻す=スロットルバルブが開く・閉まるという構造です。
ノーマルモンキーやゴリラのスロットルバルブは、写真①のような円筒状の円筒バルブが採用されていますが(写真①はチューニングエンジン用のPE24φ)、写真②のTM-MJNφ24には板状のフラットバルブを採用。
同じ口径のキャブレターの場合、一般的にフラットバルブは円筒バルブよりも軽量に設計できるため、スロットルレスポンスが向上する等のメリットが生まれます。
キャブレターの下部(フロートチャンバーボディーと呼ばれるガソリンを溜める箇所)には、ガソリンを抜き取るためのボルトが設置されています。このボルトを緩め、キャブレター内のガソリンを抜き取ります。
エンジン側からキャブレター本体を取り外し、ガソリンを抜き取ったら、いよいよキャブレターのオーバーホールの開始です。「オーバーホール」とは各部を分解してキレイに掃除することに加え、劣化した消耗部品を交換すること。本来の性能を取り戻すための、レストア等には欠かせない作業です。
モンキーの車体から4ストミニ用キャブレターの定番、「ヨシムラミクニTM-MJNφ24キャブレター」を取り外し、分解して内部を観察してみるとともに、キャブクリーナーを使って各部をしっかりと洗浄してみましょう。
「キャブレターのオーバーホール」とは、キャブレターの各部を分解して洗浄するとともに、劣化した消耗部品を交換すること。キャブレター本来の性能を取り戻すための、レストア等には欠かせない作業です。作業の手順としては、
車体からキャブレターを取り外す。
キャブレター各部を分解する。
市販のキャブクリーナーを使い、キャブレター各部を洗浄。特に取り外したジェット類、またガソリンや空気、混合気を通過させるための“細い管”は念入りに洗浄する。
消耗部品であるパッキンを交換する。
レストア時や長年放置されていたキャブレターの場合、キャブクリーナーでは汚れが飛ばず、コンプレッサーによるエアーが必要となる場合もあります。エアーを使用する時は、小さな部品を吹き飛ばして紛失しないよう十分注意しましょう。
六角レンチを使い、フロートチャンバーボディーを固定している4本のヘキサゴンを取り外し。フロートチャンバーボディーとは、ガソリンタンクから送り込まれたガソリンを溜めておく場所です。
前回キャブレターをオーバーホールしたのは数年前…。フロートチャンバーボディーの底には、黒っぽい汚れが薄い層となって付着していました。まずはキャブクリーナーを吹き付け、汚れを浮かします。
洗浄完了!
中央付近にある上方に伸びた管(ガソリンが一定量以上になったら外へ流し出し、ガソリンが溢れるのを防いでいるオーバーフローパイプ)の中にもキャブクリーナーを吹き付けます。フロートチャンバーボディーの底の汚れが浮いたら、キレイなウエスでしっかりと拭き取ります。
メインジェットを取り外す
マイナスドライバーを使い、フロートとフロートの真ん中にあるメインジェットを取り外します。メインジェットとは“メイン”という名の通り、中高回転域の燃料調整を担当。スロットル開度1/2~全開までの燃料供給を司るジェットです。
細いマイナスドライバーを使用
次にスロージェットを取り外します。TM-MJNφ24のスロージェットは穴の奥に設置されているため、細くて長いマイナスドライバーを使用。なおスロージェットとはアイドリング&低回転域の燃料調整を担当。スロットル全閉~1/8までの燃料供給を司るジェットです。
スロージェットを取り外す
取り外したスロージェット。「エンジンの始動性が悪い」という時には、このジェットと挿入穴を洗浄する、またジェットの番手を変更する(口径を変える)等の処置により改善される場合があります。
フロートを固定しているピンを抜き取ります。フロートとはキャブレターの下部に設置された、ロートチャンバーボディー内のガソリン量を一定に保つパーツ。水洗トイレのタンク内にあるフロートと同じしくみです。
キャブレターのフロート回りを分解
フロートを固定しているピンを抜き取ると、ガソリン内で浮き沈みするフロート本体と「フロートバルブ」が外れます。「フロートバルブ」とはガソリンを流入・遮断するための小さなパーツ。取り外し後は紛失に注意しましょう。
とにかくバラして各部を洗浄!
細い管が入り組んだキャブレターは構造こそ複雑ですが、洗浄のために取り外しが必要なパーツは決して多くありません。また取り外し&取り付け作業も比較的簡単。しかもほとんどのキャブレターは一般工具のみで作業OKです。
フロートバルブが閉じる
フロートチャンバーボディー内のガソリンが満タンになってフロートが浮くと、ガソリンの流入口に設置されたフロートバルブが上部に移動。ガソリンの流入をシャットアウトします。フロート部分の組み付け後は、フロートを上下に動かして、フロートバルブも上下に動くかを必ず確認すること。
フロートバルブが開く
フロートバルブの組み付け方に問題があり固着している場合は、フロートチャンバーボディー内のガソリンが溢れ続ける(オーバーフローし続ける)、もしくはフロートチャンバーボディー内にガソリンが溜まらずエンジンがかからない等のトラブルが発生します。
キャブレターのオーバーホールは、キャブ本体に巡らされた細い管や小さな穴をキレイに洗浄・貫通させてやること、これが基本です。この管に汚れが詰まるとエンジンの不具合等を招きます。
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The post キャブレターのオーバーホール方法を解説! ヨシムラTM-MJNキャブレター(モンキー用) first appeared on 4ミニ.net.]]>エンジンが求める理想の混合気を作り出そうとする装置、キャブレター。外気を直接吸い込むエアファンネル仕様車は、気温や湿度の変化によって燃焼状況も大きく変わってくるのが特徴。モンキーやエイプのキャブレターを例に、気象条件によるセッティングの違いを比べてみよう。
空気の密度は気温、湿度、気圧によって大きく変化する。これは“生の空気”を吸わせるレーサーなどのエアファンネル仕様車の特性に、大きな影響を及ぼす。
ちなみに「速く走ること」を極限まで追求したGPマシンなどは、気温が数度、湿度が数%変わっただけでもセッティングは即変更となる。
4ミニチューニングマシンの場合、レースマシンほど神経質になる必要はないだろう。ただしファンネル仕様車の場合、同じ季節でも晴れの日と雨の日とでは、キャブレターの好調・不調がはっきりと体感できるはず。
| 気象 | 空気密度 | 混合気 | セッティング | |
| 気温 | 高い | 低い | 濃い | 薄くする |
| 低い | 高い | 薄い | 濃くする | |
| 湿度 | 高い | 低い | 濃い | 薄くする |
| 低い | 高い | 薄い | 濃くする | |
| 気圧 | 高い(低地) | 高い | 薄い | 濃くする |
| 低い(高地) | 低い | 濃い | 薄くする | |
「頻繁にジェット類を交換するのは面倒くさい」というユーザーは、エアファンネルよりも気象状況に左右されにくいエアフィルターのチョイスがおすすめ。通勤・通学にも使用する場合は、フィルター部を雨や泥から守ってくれるカバー付が安心。
ノーマルエイプ用エアクリーナーボックス。大容量かつ密閉性が高いため、気象状況が多少変わってもキャブレターの性能に変わりはない。ただしエアファンネルやエアフィルターに比べ、空気の吸入量が抑えられるためにパワーは出にくい。
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マフラー交換、シリンダーヘッドチューン、ボアアップ、ボア&ストロークアップなど、エンジンチューニング時に必要となるキャブのセッティング。一見難しそうだが、作業自体は至って簡単。ジェット類の交換・テスト走行・交換~の繰り返しだ。セッティングが決まった時の喜びは、何物にも変えがたいはず! モンキーやエイプにも人気のケーヒンPE24φキャブレターを例に説明しよう。
キャブレターは非常に繊細なもの。マフラーの抜け具合、排気量、エアクリーナーの有無などによって、セッティングは異なる。
また天候、気温、気圧、湿度などによっても違ってくる。特にチューニング車の場合、季節や天候によってジェットの番手を変更するのは常識となっている。
夏場…気温が高くて湿気の多い夏場は、酸素の密度が低下。混合気は濃くなる。
冬場…気温が低くて湿気の少ない冬場は、酸素の密度が上昇。混合気は薄くなる。冬場のエンジン始動時、チョークレバーを引いて混合気を濃くしてやる主な理由はこれ。
雨の日…湿度が上昇して酸素密度が低下。混合気は濃くなる。
黒いレバーは、冬場や早朝などエンジンが冷えた状態の時に使用するチョークレバー、略してチョーク。エンジンを始動させる前に、レバーを上側に引いて使用する。気温が下がれば酸素密度が上がり、混合気は薄くなってしまう。チョークを引くことで、空気の通路を一時的に遮断。混合気が濃くなるというしくみだ。
チョークを戻した状態。チョークはエンジンが温まると、必ず戻すことが前提。チョークを引いたままだと、エンジンがギクシャクしてまともに走らない。
チョークを引いた状態。エンジンが冷えてかかりが悪い時は、チョークを引いて始動後、しばらくアイドリング。エンジンが温まり、安定してきたらチョークを戻してやる。
左右に回転させてアイドリングの回転数を設定する、アイドリング調整用のネジ。スロットルバルブの開き具合を微調整するしくみ。
★セッティング方法
時計回りに締めれば、アイドリング回転数は上昇。反時計回りに緩めれば、アイドリング回転数は下降する。エンジンが温まった状態で徐々に緩め、エンジンが停止しない位置に調整する。一般に1000rpmから1500rpmあたりが目安。インナーローター、社外アウターローター、軽量アウターローター装着車は一般に~3000rpmあたりが目安となる。
スロージェットにつながる、低回転域の混合気調整用スクリュー。時計回りに締め込むと混合気は濃くなり、緩めると混合気は薄くなる。
★セッティング方法…暖気運転後、エアスクリューを全閉の状態(時計回りに締めた状態)にする。少しずつ緩め、アイドリングの回転数が高くなる位置で停止。スロットルを軽くあおり、吹き上がりの良い位置にエアスクリューを微調整する。全閉の状態から、1回転+1/2回転緩めたくらいが目安。
★スロージェットはこんな時に要交換…たとえば3回転緩めてもアイドリングの回転数が高くならない=混合気が濃い場合はスロージェット(パイロットジェットとも呼ぶ)の番手を下げる。また、全閉から1/2回転緩めたあたりで回転数が上昇してしまう=混合気が薄い場合はスロージェットの番手を上げてやる。濃いままだとスタート時のレスポンスがもこつき、薄いままだとスロットルのツキが鈍くなる。セッティング終了後は、再度スロットルストップスクリューでアイドリングを調整する。
スロージェットを交換するには、フロートチャンバーボディーを取り外す。取り外すその前に、必ずガソリンコックをOFFにしておくこと。フロートチャンバーボディーの取り外しはPE24φの場合、プラスの取り付けネジ2個を緩めるだけでOK。取り外したら、浮き沈みによってガソリン量を一定に保つフロート(黒い部分)が姿を見せる。
ガソリンが溜まるフロートチャンバーボディー内。中央付近にある上方に伸びた管(矢印)は、ガソリンが一定量以上になった場合、外へ流し出すためのもの。ガソリンが溢れるのを防いでいるのだ。
マイナスドライバーを使い、左右のフロートの間に固定されているスロージェットを取り外す。ネジ山を潰さないよう、ドライバーをしっかりと押し付けながら緩めるのがポイント。また、取り付けの際は、あまりきつく締め過ぎないことが大切。
取り外したスロージェット。左から♯42、♯45、♯48。スロージェット及びメインジェットには、様々な番手(♯で表記)がある。番手とは口径、つまりガソリンの通路のサイズ。「番手を上げる」とは、口径を広げたジェットに交換して燃料を濃くすること。「番手を下げる」とは、口径を狭めたジェットに交換して燃料を薄くしてやることを示す。
ジェットニードルは、低中回転域~高回転域に作用。筒状のニードルジェットの中に、針状のジェットニードルを出し入れして混合気の量を調節している。ジェットニードル先端部に固定されているクリップの高さを変更してやることで、混合気の量が調整できるしくみ。トップカバーを取り外すと、スプリングが姿を見せる。キャブレターを逆さに向ければ、挿入されていたスロットルバルブが外れる。
円柱状のスロットルバルブ(FCR28φやTM24φは板状のフラットバルブを採用)。中央にジェットニードルが固定されている。
ジェットニードルは、スロットルバルブの上部に“ひ”の字型のクリップで固定。ラジオペンチでクリップを取り外す。
分解されたスロットルバルブ、ジェットニードル、クリップ。
★ジェットニードルのセッティング方法…クリップを上げる=ジェットニードルの取り付け位置が下がり、混合気が薄くなる。
逆にクリップを下げる=ジェットニードルの取り付け位置が上がり、混合気が濃くなる。★こんな時にクリップ位置を変更…混合気が薄い場合は低中回転域から高回転域にかけてのトルク感がなくなり、濃い場合はエンジンの回転が不安定になる。
メインジェットは“メイン”という名の通り、中高回転域を担当。スロットル開度1/2から全開域までをつかさどる。PE24φキャブレターのメインジェットは、ニードルジェットとともにスロージェットの上に固定されている。
★こんな時にメインジェットを変更…混合気が薄いと高回転域でのトルクがなくなり、加速が鈍る。その場合はジェットの番手を上げて、混合気を濃くする。逆に混合気が濃すぎる場合は高回転域でスロットルレスポンスがもたつく場合が多い。その場合はジェットの番手を下げ、混合気を薄くする。
ニードルジェットとメインジェットを分離する。取り外しにはボックスレンチや小さめのモンキーレンチなどの工具を使用する。
すべてメインジェット。左から♯102、♯105、♯108。番手はジェット横もしくは頭の部分に刻印されている。メインジェットは1個単位、もしくは異なった番手が数個セットになったものがリリース。
ほとんどのキャブレターは車両に装着したままメインジェットの交換ができるよう、フローとチャンバーボディーの底にホールディングボルトを採用。
キャブレターのセッティングはテスト走行も重要だが、スパークプラグ先端部にある絶縁体の焼け具合(○内)の確認も非常に重要。これを見れば、混合気の燃焼状態がすぐに分かる。
キツネ色…燃焼状態は良好。
黒く湿っている…混合気が濃すぎてカブリ気味。
白っぽい…混合気が薄くて焼け過ぎの状態。
スパークプラグの先端部(○内)は、歯ブラシ等のナイロンブラシで定期的に掃除することが大切。ネジ部はワイヤーブラシでOKだが、先端部は電極や絶縁体に傷が付く恐れがあるのでNG。なお、プラグは何度もカブらせる(湿らせること)と寿命が急激に低下するので注意が必要。
全開時にエンジンがボコついてパワーが出ない…ガスが濃い→メインジェットの番手を下げる
全開時にエンジンが息継ぎをする、またはノッキングを起こす…ガスが薄い→メインジェットの番手を上げる
中回転域で息継ぎや失速を起こす…ガスが薄い→ニードルジェットのクリップ位置を一段下げる
中回転域でもたつき、加速が鈍い…ガスが濃い→ニードルジェットのクリップ位置を一段上げる
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メカニカルなフォルムでモンキーやエイプなど4ミニにも人気のレーシングキャブレター・ケーヒンFCR28φキャブレター。「FCRキャブは凄い!」という話はよく聞くが、一体どこが凄いのだろう。その速さの秘密を徹底的に解剖してみよう。
同じケーヒン製キャブレターでも、PC18φやPC20φ、PE24φなどはビギナーにも優しく親しみやすいタイプ。対してFCRはCRの伝統を引き継ぐ、生粋の4スト用レーシングモデルだ。
FCRはPCやPEよりも、より細かいセッティングができ、ジェット類などのセッティング用パーツも各サイズが豊富に揃っている。4ミニカスタムでは28φが多用される。
FCRキャブが凄いと賞賛される理由は、走りを重視した装備が数々採用されている点。加速ポンプ、ピストンバルブの強制開閉、ベアリング付ピストンバルブ、フラット型ピストンバルブ、マウントアダプターの採用等々、キャブレターの先端を行く贅沢かつ魅力的な機能が満載なのだ。
ただし、キャブレターのダイレクト感が味わえるその代わりに、強制開閉独特のアクセルワークのシビアさ、セッティングをきっちりと出すには豊富な経験と知識が必要であること、冬場のエンジン始動に重宝するチョークがない等、速く走ることを最優先させた設計ゆえに、ビギナーは苦戦する可能性大。
しかしPCやPEなどでしっかりとキャブのセッティング方法や基礎を覚え、経験を積めば、これほど面白くて魅力的なキャブレターはないだろう。
写真下はFCRの前身モデル、CRキャブ。数々のレーサーに採用されてきた生粋の4スト用レーシングキャブだ。「円筒型バルブ」を採用したこのモデルをベースに、「フラット型バルブ」を採用し、数々の新機構を盛り込んだのがFCR。ちなみにFCRの“F”は、“フラット”を示す。写真は4ミニカスタムに多用される26φ。
FCRキャブにはフロートの配置などが異なる2種類のタイプがある。写真はクリアランスに限りがあるモンキーなど横型エンジン搭載車両に最適なダウンドラフト型。混合気がポートに対してほぼ垂直に入るため、流速が上がって吸気効率がアップする、また燃焼室との距離が短いためにスロットルレスポンスが鋭くなる等のメリットもある。
ホリゾンタルとは英語で「水平」という意味。エイプなどの縦型エンジン搭載車に最適なタイプ。モンキーに装着する場合は、マニホールドの取り回しに工夫する必要がある。
PCやPEはスロットルバルブの「開き」「戻し」を1本のワイヤーで行うが、FCRはピストンバルブを戻すための戻し用ワイヤーも併設した強制開閉式。これにより、低中回転域でのスロットル制御性能が飛躍的に向上する。
スロットル側からキャブ側のスロットルレバーへとつながる2本のワイヤー。上が開き用、下が戻し用。
FCRキャブといえば加速ポンプ。
写真は加速ポンプが作動して、ガソリンが噴射されているところ。スロットルを開けると、マニホールド側から勢いよく「ピュ-!」とガソリンが飛び出てくる。
小刻みにスロットルを開閉すれば、ガソリンは断続的に噴射。スロットルを開けたままにすると、次第にガソリンの噴射は弱まり、やがて空気がなくなって噴射は止む。
感覚としては、限りなく水鉄砲に近い。出てきたガソリンは負圧によって細かい霧になり、シリンダーヘッド内に吸い込まれてゆく。
加速ポンプのリンクレバーはスロットルワイヤー接続部に連動。スロットルを開ければピストン部がポンプを押し下げてガソリンを噴射するしくみ。加速ポンプは低中回転域からの加速に威力を発揮する。
円柱型のピストンバルブよりも軽量なフラット型ピストンバルブを採用。しかも作動部となる両サイドには、合計4つのベアリングを装備。スロットル操作時のフリクションを大幅に低減してくれる。
トップカバーを取り外したところ。板状のフラット型ピストンバルブが閉じた状態。
スロットル全開の状態。ピストンバルブが上昇し、キャブレター内に大量の空気が送り込まれる。
マニホールドは様々なサイズの口径にセッティングできるマウントアダプター式。混合気の吸入量を細かくセッティングできる、レーシング仕様ならではの設計となっている。
六角のヘキサゴンで固定されているフロートチャンバーボディーを取り外す。
細くて長いマイナスドライバーを使い、右側の穴に固定されているスロージェットを緩める。
取り外したスロージェット。スロージェットはアイドリングから低回転域をつかさどるジェット。レースなど高回転域を多用するマシンの場合、交換する機会は少ないかも。
ヘキサゴンで固定されたフロートチャンバーボディーを取り外したところ。中央の金色の突起がメインジェット。
メインノズルを取り外したところ。メインジェットはメインノズルに接続されている。
メインジェットとメインノズルを分離したところ。上がメインジェット。
メインジェットの交換は、フロートチャンバーボディー底にあるホールディングボルトを取り外せば、基本的にエンジン側に装着した状態でも交換がOK。
六角レンチでヘキサゴンを緩め、トップカバーを取り外す。
スロットルレバーを親指で固定し、ピストンバルブを持ち上げた状態で静止。ピストンバルブ上にある六角ボルトを緩める。
六角ボルトの奥には、ジェットニードルが仕込まれている。作業は非常に簡単。メンテナンス性も十分考慮した設計がなされている。
径やテーパーが微妙にことなるジェットニードル。一見どれも同じようだが、1本1本微妙に異なっている。
スロージェット、メインジェット、ジェットニードルの交換に使用した工具たち。
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排気量やチューニングモードによってセレクトできるモンキーやエイプの4ストミニ用キャブレター。各メーカーからは専用マニホールド等とセットでリリースされている。ここではモンキーやエイプの定番かつ人気のキャブレターをチェックしてみよう。
PC20同様、負圧の弱い4ストミニに最適な、エンジンカスタムビギナーにピッタリの小口径モデル。80cc前後のライトチューン車から100cc前後のミドルチューン車まで幅広く対応。セッティングが出しやすいのも特徴。
4スト用キャブとして長年に渡り親しまれている、チューニング用キャブレターの基本とも呼ぶべきベーシックなモデル。ボアは流速を稼ぐ楕円形状のため、負圧の弱い4ストミニにベストマッチ。80cc前後から100cc前後まで幅広く対応する。セッティングも出しやすく、ビギナーにも最適。
ノーマルのXR100にも採用されている中口径モデル。大口径キャブに比べてセッティングも出しやすく、街中でも扱いやすい。ツインリンクもてぎで開催のDE耐出場マシンも多数採用している(DE耐はレギュレーションにより口径が~22φに制限)。
円柱状のスロットルバルブを備えたシンプルなモデル。排気量は85cc~100cc前後、またストリート用シリンダーヘッドに最適。低中回転域でのコントロール性に優れているため、パワーよりも街中での扱いやすさを重視したいユーザーにおすすめだ。
円柱状のスロットルバルブを採用したこのモデルは、ケーヒンの2スト車モデルを各パーツメーカーが4スト用にリセッティング。排気量は85cc~115ccあたりに適応する。ストリート用ヘッドから高性能ヘッドまで幅広く対応し、セッティングが合えばパンチのある走りが体感できる。
板状のフラット型ピストンバルブを採用した通称「フラット」。コンパクトなボディーにより、キャブ周りのクリアランスも確保しやすいのが大きな特徴。円柱状ピストンバルブを備えた同社のVMよりも、リニアなスロットルレスポンスを獲得。レスポンスが良すぎるため低中回転域はやや神経質なところがあるが、高回転域は非常にパワフル。セッティングにややシビアさが残るため、経験を積んだ中級者以上にお勧め。
良好な霧化特性を実現したヨシムラ独自のMJN(マルチプルジェットノズル)を採用。フラットバルブによる鋭いレスポンスを保ちつつ、扱いやすさと低燃費を実現している。85cc程度のライトチューン車からオーバー100ccのフルチューン車まで幅広く適応する。
VM22同様、円柱状のピストンバルブを備えたタイプ。大口径ながらセッティングの幅の広さとセッティングの出しやすさには定評がある。85cc程度のライトチューン車からオーバー100ccに向いている。「現在は88ccだが将来的には124ccにしたい」というユーザーには嬉しいモデルだ。
かつては小排気量ロードレースマシンにも採用されたレーシングキャブ。レーシーな特性はもちろん、大柄なスロットルボディーを持つため大胆なエンジン周りに仕上がるのが大きな特徴。ただし車種によっては取り回しに苦労する等のデメリットも。85cc~オーバー100ccの車両向き。
低中回転域でのフラットバルブの扱いにくさを解消するため、半月状のピストンバルブを採用。28φという大口径のベンチュリーながら使いやすさにも定評があり、全域でのパワーアップが望める。85cc以上のカスタムに向いている。
PE24のベンチュリー径を28φに拡大したパワフルなモデル。そのパワーには定評があり、スプリントレース、最高速アタック、ドラッグレースなどに数多く採用されている。ただし低中回転域でのセッティングはかなりシビア。従ってストリートでの扱いやすさを求めるユーザーには不向きかも。オーバー100cc向き。
フラットキャブ(TM24)をベースにしたミクニの高性能レーシングキャブレター。鋭いレスポンスを可能にした板状のフラットタイプピストンバルブを採用。低中回転域の扱い&セッティングにはシビアさが残るが、セッティングが決まれば高回転域では怒涛のパワーを発揮。オーバー100cc向き。
TMR28はキャブ本体がビッグサイズなため、取り回しには工夫が必要。
正式名称はFLAT-CRキャブ。CRキャブをダウンドラフト化し、フラットバルブ化。加速ポンプ、スロットル可動部へのベアリング採用など随所にレーシングテクノロジーを投入。高回転域での伸びとパワーはピカイチだ。レーシングキャブのため、低中回転域の扱いとセッティングにはシビアさが残るが、セッティングが決まればノーマルとは別次元の走りを発揮してくれる。オーバー100cc向き。
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