丸安毛糸編集部です。
今日から弊社1Fウール倶楽部にて、私たちの展示会が始まります。
MONTELUCE の最新の27-28AWコレクションはもちろんSS素材の提案サンプルも多数展示しております。在庫も豊富に取り揃えてますので、27SS企画もまだまだ間に合います!
今すぐにでもサンプルの進行をしていただけますよ〜^o^
ぜひ、お越しください。
今回は最新コレクションから、イチオシ素材を3つご紹介いたします。

ポリエステルとシルクの混紡です。
弊社のアロンジェ(ラミーPE)、バローネ(綿PE)、バンピーウール(ウールPE)、パティオ(アルパカPE)の兄弟が新登場しました。
パティオはアルパカ特有の差し毛による獣毛感がありますが、このクレールシルクは非常にスムースなタッチです。また近年シルクが非常に値上がりしていますが、この素材はポリエステルを混紡することによって値段のバランスをとっています。

弊社のフレンチウール、スプーニャとシルクを撚糸しました。
PITTIFILATIではこの杢の色表現が非常に好評だったようです。
軽さがあり、シルクのネップも相まって、非常にニットらしい表情の素材です。

最後に、非常にユニークな素材の紹介です。
キュプラ100%のネオペーパー5.6。国内では弊社のみに取り扱いです。
名前の通り、「NEO」な「PAPER」なのです。
弊社には手芸のサンプルや、この糸を使った、これまたユニークな編み地もご用意しております。
気になる方は弊社営業までお問い合わせください♪
オススメ3選!としておきながら、書いているうちに「あれも紹介したいな」「これも、、、」なんて考えてしまいました。このほかにも素敵な新素材を複数ご用意しております。
気になる方はぜひ一度お問い合わせください。
]]>一見似ているように思える2つの素材ですが、実はそれぞれ得意なこと・苦手なことが全く異なります。
この記事では、糸とニットのプロフェッショナルである丸安毛糸が、ポリエステルとナイロンの決定的な違いやそれぞれの長所・短所を分かりやすく解説します!さらに「ニット製品にした際の特徴」など、専門家ならではの視点もお届けしますので、これからの洋服選びや糸選びの参考にしてみてください。
ポリエステルとナイロンは、どちらも石油などを原料とする「三大合成繊維(もう一つはアクリル)」の仲間です。 最も大きな違いは、「熱への強さ」と「摩擦への強さ(強度)」にあります。
それぞれのメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
ポリエステルは、現在世界で最も多く生産されている衣料用繊維です。
【メリット】
【デメリット】
ナイロンは、ポリアミド系の合成繊維の総称です。世界で初めて作られた合成繊維として知られています。
【メリット】
【デメリット】
ここからは、糸を扱うプロの視点から「ニット(編み物)において、これらの素材がどのように活躍しているか」を解説します。
ポリエステルは「形状記憶と軽さ」の立役者 ポリエステルは熱を加えると形が固定される性質(熱可塑性)があります。そのため、プリーツ加工を施したニットや、立体的な模様を綺麗に保ちたいデザインのニットによく使われます。また、糸の内部に空洞を作った「中空糸」としてポリエステルを使用し、ボリュームがあるのに非常に軽いチャンキーニットを作ることも可能です。
ナイロンは「天然素材を支える縁の下の力持ち」 ナイロン100%でニットを作ることは稀ですが、ウールやアルパカ、モヘヤといった繊細な天然素材と混ぜて(混紡・交撚して)使われることが非常に多いです。高級で柔らかな天然素材は摩擦に弱く切れやすいですが、そこに少量のナイロンを混ぜることで、糸全体の強度をグッと引き上げ、日常使いできる丈夫なニット製品を生み出すことができます。
ちなみに本記事のサムネイル画像は、弊社のポリエステル×ナイロン糸、MIERUの編地です。
Q. 普段使いで、とにかくお手入れを楽にしたいニットを選ぶなら?
A. 「ポリエステル混」がおすすめ! 洗濯機で洗いやすく、型崩れしにくいため、日常着として気兼ねなく着られます。毛玉には注意し、ネットに入れて洗濯しましょう。
Q. 長く大切に着たい、上質な風合いのニットを選ぶなら?
A. 「ウールなどの天然素材+少量のナイロン」がおすすめ! ウールの暖かさや質感を活かしつつ、ナイロンが強度をサポートしてくれるため、お気に入りのニットが擦り切れるのを防いで長く愛用できます。
ポリエステルとナイロン、それぞれの個性を知ることで、お買い物の失敗が減り、お気に入りの洋服を長く大切に着ることができます。
丸安毛糸株式会社では、ニットが大好きなメンバーが集まり、皆様にニット・編み物を楽しんでいただくための情報発信やイベントを提供しています。
「上質な素材にこだわって、自分でも編み物をしてみたい!」という方は、高級ブランドも認める毛糸を使った編み物キット「60ろくまる」や、初心者から上級者までご参加いただける「60ろくまる 編み物教室」をぜひチェックしてみてくださいね!
それでは!
また、「教えて!ターさん」でも何度も話題に上る、“染色”の奥深さについても詳しくお話を聞きました。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
久しぶりの「教えてターさん」収録です。今日もよろしくお願いします。
今日から今年入社してくれた、中国出身の劉さんもジョインしてもらっています。
よろしくお願いいたします。
今日は業務で気になったことを色々溜めてたんで、聞いていっちゃってもいいでしょうか?
どうぞ!
アメリカ向けへの輸出業務をやってて、あるブランドさんから「難燃性」の問題解決をお願いされたことが最近ありました。
綿100%の糸だったんですが、染めてもらっている染工場さんに相談したところ、リン系の薬剤しかないと。ただリン系だとそのアメリカのブランド独自の規制物質基準に引っかかってしまい、、、なかなか難しいなと思いました。
難燃性の問題って、国内ではあまり言われないですよね。
難燃性というと、カーテンなどは着火すると急速に拡大してしまうので防火性能を有する防火対象物品を使用するよう消防法で義務付けられていますね。例えばマンションだったら、1~5階まではこの等級、6~10階まではこの等級っていうふうにね。
へえ~!
火は下の方から上に燃え広がるから、下の階のほうは燃えにくくてなっています、っていうのは聞いたことがあるかなあ。
ヨーロッパだと難燃性の問題ってどうなんですかね。
ヨーロッパのブランドさんには言われたことはないですね。アメリカ、カナダの北米のブランドが全体的に厳しいですよね。
アメリカのほうが全体的に厳しいかもしれないね。いろんなことに対して。“ファッション”じゃないんだと思います。
ヨーロッパはファッションとしてある程度良ければいい、みたいな感じかもしれないね。アメリカはとにかく訴訟が怖いので。
確かに。
例えば、動物保護の問題なんかあったときに「この原料の動物はどういう飼育環境だったんですか」とかね。
面白いよ。かたや、ヨーロッパは全然問題ないよ。アメリカは「訴訟の国」だから国民性の問題なんじゃないかなあ。
自社ブランドをやってるときも、アメリカでは「これは「どういう原料でできていて、飼育状況はどうなんですか?」ということもすごく聞かれましたね。
そういう面でいくと、アメリカの方がそういう柔軟性はないんだよね。
国民性が絡んでくるというのは興味深いですね。
あとは、糸染をした時の染め上がりで、なぜ濃色と淡色で重さが結構変わっちゃうのか?ということが気になりました。
同じ糸でも黒と白で50-100gくらい違ったので、驚いたんですよね。
濃色はどうしても染料が多く付着するから重くなるんだよね。だから同じものでも、黒と白とでいったらやっぱり黒が重くなってしまう。
一番顕著に出るのはシルク。シルクだとセリシン(カイコが絹の生産の際に作るタンパク質。絹糸を染色する際の「精練」という工程で剥がされる)を落とす。例えば10Kgの生地糸でセリシンを落とすと、8.5Kgぐらいしかなくなるかな。ところが黒を染めると、9.5Kgくらいまで戻っちゃうんだよね。そのぐらい違うんだ。
え、じゃあ番手が変わるってことですか?
僕が1番初めにもらったクレームがシルクの乱寸だったね。「こういうクレームもらったんだ」ってニッターさんに話したら「そんなの当たり前だよ」って。
本来は工場がすべて色によって度目調整しなきゃいけないんだよね。そのぐらいシルク100%は顕著にでるんだよね。
さっきも話したけど、生地糸が10Kgでセリシンを落としたらば8.5Kgぐらいしかないと思うんですよね。
ところが販売は投入ベースだから、アイボリーであっても10Kg、黒であっても10Kg。だけど、厳密に言うとアイボリーの方が痩せてるんだよね。
ずいぶん昔、40年ぐらい前の話だけども、当時のアパレルさんはアイボリーだけ番手を太くして合わせてやっていたね。
その頃はね、ある程度の量もあったし、アイボリー用だけ番手を太くしてたんだよね。淡色、中間色、濃色って分ければ一番いいんだけど、そこまでやってたんです。
アイボリーだけ別番手ですか。
綿だって、染色するときに綿かすがあるから一回晒す。で、白だったらそれでおしまいじゃん。黒は別にさらす必要ないから、元糸も痩せないんだよね。それに染料いれるから、重くなるよね。
綿100%の素材で、淡いピンクと濃いピンクで染めてもらったんですけど1本100gくらい違って「えっ!」てなって。結構びっくりしました。
うち、色々な素材をやってるじゃない。いろいろな糸を図ってみるんだけど、1番油断できないのはリネン。生地糸が10Kgだとして、さらした白は8Kgになるんだけど、なんと雨の日に計ると10Kgあるんだよね。そのくらい湿気を吸ってしまうんだよね。
リネンってそんなに湿気を吸うんですね!びっくりです。
綿の素材でも、生地糸は1本1Kgだったんですけど、染め上がり直後に「いつもは0.95Kgなのに今回0.9Kgになっちゃったよ」と言われて急いで確認したことがあります。でも同じ素材で次違う色を染めたら染め上がり0.95KGだったんですよね。
どうしても染色が終わって乾燥が終わった直後って過乾燥になっているから余計軽いんだよね。
生乾きだと、カビ生えたりっていう心配があるから、目いっぱい乾かしちゃう。そのあと、本来はしばらく外気に触れさせておくと、そこに自然に湿気が入っていく。そうすると風合いも良くなるんだよね。糸も膨らむしね。
だから染色で言ったら、チーズ染色とカセ染色でやった時にカセの方が圧倒的に戻りやすいんだよね。
巻かないでカセの状態で置いておくんだよ。
なるほど、染め上がりの重さって、染料だけじゃなくて乾燥とのかかわりもあるんですね。
サンプル作るタイミングって、湿気の時期なんだけど、現物作る時には冬なんだよね。寒い冬に乾燥しきってるのに、そこに暖房なんか入れると余計に乾燥するよね。そうなったらリネン(麻)なんかすごく編むのが難しい。
リネンってもとは草、枯草と一緒だよね。
はいはい。
生木ってグニャって曲がるけど、折れないじゃない。枯れ木って簡単に割れちゃうじゃない。だから、要はリネンだとループ作った時に引っ張られて、うまく編めない。鋭角になった時に湿気があれば曲がるけど、そうじゃなければ鋭角になって、折れちゃうんだよね。
あ~なるほど。
もうそれは悔しいからね。
サンプルでは何の問題もなかったのに、半年立ったら真冬に糸が切れて使えないって。悔しいから、1回試してみようと思って、机の下にずっと置いてみたりしてね(笑)
悔しさのあまり自分で試してみるっていう(笑)
染色関係に戻ると、前に地下水と工業用水の違いが染色に差を生む、ということを社内でちらっと聞いたことがあって、気になりました。
地下水とか井戸水、工業用水って全部きれいなんだけども、そこの土地によって土壌がアルカリ質か酸性質かってあるから、染色する工場さんの場所によって水の質って違っちゃうんだよね。だから自分のところにあった水を考えながら染料を考えるんだよね。
飲み水も軟水とか硬水とかってありますもんね。
紫陽花だってその土壌によって咲く花の色が違うじゃない。だから水質によって変わってきちゃうんだよね。
あとは温度だよね。
工業用水っていうと、普通の水とは違うんですか?
工業用水は要は水道水だよ。水道水は中性じゃないですか。
中性だったらそれはそれで合わせればいいから問題はないけどさ。そういう科学的なことはわからないけど、水に合った染料使いをしなきゃいけない。
水道水か地下水かって、土地によるんですか?
いや、この染色工場は地下水だ、工業用水だとかって感じできまっているかな。
とある工場が、もともと別の場所にあった時は地下水でやってたけど、引っ越しして工業団地に入って水が変わったんだよね。そしたら染色の色が合わなくなっちゃった、今までのレシピじゃだめだからまた一から色を取り直してってこともあったりね。
新潟とか、長野の染工所さんに行って手を洗わせてもらうとめっちゃ気持ちいですもんね。夏でも「冷たい!」ってなりますもんね。べたつかないし。
その土地で汲み上げる水だからさ、水質変えるってことそれは難しいもんね。逆に水質が変わっちゃったら大変な問題になっちゃうからね。
そうですね。当然海外になるともっと違いそうですね。
中国だと水質は硬水なんですかね。
そうです。中国の水は本当に硬いです。
日本って水の豊富な国じゃない。だから、昔から日本の水質はいいっていうよね。
もし日本のレシピで海外で染色しようとするとなかなかうまくいかせるのは大変かもしれないですね
あとは、バルクで染めオーダーいただいたときに、サンプルで出していた色のロットとブラさないでほしいという依頼が多いんですけど、同じ色でも微妙にブレちゃうことがあるので、難しいなと思っていました。
染色のたびに色ブレっていうのは困るけど、色の組み合わせでどうしても難しい色とかっていうのがあるからね。
よく言う「演色性の高い色」、演じる色って書くけど色が本当に演技しているみたいに蛍光灯の下で見ている色と自然光の下で見る色が変わっちゃったりするものがあるんだよね。
前にスーツを買った時にさ、お店の中で買った時にはちょっとグリーンぽい色だと思って買って着たら、外にでたら茶色になっちゃったってことがあったな。
紺だと思ったら外出ると紫になっちゃったりね。「え、こんな色だっけ?こんな色は買わないよ!」って表出てびっくりみたいなさ。
やっぱり二者混、三者混(混率が2種類、3種類の素材のこと)になると、余計難しくなってくるわけですよね。
それはそうだよね。二者混、三者混になってくると、それぞれの素材の光沢が違ったりとかさ。
発色性が違うから、染まる条件が違うんです。
染める順番は温度が高い方から先に染めるんだよね。
綿ポリエステルの素材だったら、ポリエステルを染めてから綿を染める。綿は80度、ポリエステルは130度で染まるから、130度まで上げると、綿の色が出てきちゃんだよね。
このように1度に染まらない場合は、2回、3回と染める。これは二浴染め、三浴染めという。
じゃあ例えば、一浴の素材で2週間で染まるよと言われたら、二浴、三浴の素材だったら2週間じゃ染まらないですよね。
それだけ厳しいっていう話だよね。
例えばウール100%ってさ、一浴で染めるじゃない。二浴のもの、例えばウールアクリル染めるっていった時に、アクリルを染めて1回置くかって言ったらそんなことしないから、続けてそのまま染めるからただ時間がかかるんだよね。
綿ウールの場合は、ウールは100度で染まるから先に染める。それで、ウール100%だけだったらうまくやれば1日3回は染まる。ところが綿って染めるのに1日かかるんだよね。
えーそんなにかかるんですね!
そうすると先にウールを染めて、その後、綿を染める。1日半かかっちゃってるよね。
冬物を染めている時期と夏物を染めている時期って、工場の回転率が違ってきちゃう。
さっき言ったように、ウールは1日3色染まるけど、綿は1日1色しか染まらないから、じゃあ30色来たって言ったときに、単純計算で1か月はかかるよね。ウールは10日で終わるのに。
綿は80℃くらいの低温で長く煮込まないと色が定着しないんですよ。アクリルは徐々に温度を上げていって30分~1時間くらい煮込めばそれでもう定着する。
そんなに差があるのは面白いですよね。
余談だけど、人間の髪の毛って金髪にしたり銀髪にしたりできるじゃん。ところが、ウールは金髪になったり銀髪にならないよね。
黄色くなったりグレーになったりするけどね。
確かに、なんでですか?
死んでる毛か、生きてる毛か。
えー!!
昔言われたことあったんだよね。
人間もウールみたいに抜けた毛だけを集めて染めたら金にならないんですかね…
いや、わからないけど(笑)面白いよね。
高圧釜の話って前しましたっけ?チーズの高圧釜。
ポリエステルを染める時も染料が入っていく温度は130度なんですよ。でも、普通のお湯って沸騰させても100度が限界だから圧力釜みたいに130度まで上げれる特別な釜が必要なんですよね。
ポリエステルはその条件が必要になってきちゃうから、ポリエステルと何かを掛け合わせるって、実は結構そこの配慮が必要だったりするんだよね。
カチオンって聞いたことありますか?カチオン化加工をすることで、100℃以下でも染められるようになるんですよ。
高圧釜ってさ、もう初めから圧力が入るようになってるから、ある程度どこでやっても大丈夫なんだけども、標高の高い場所だとそうもいかないんだよね。土地の標高によって、沸点が違ってくるからね。
高温で一気に染めると、糸が痛みやすかったりするんでしょうか。
やっぱり温度が高いのでね。染色に限らずさ、調理だって低温調理とかってやったりするじゃん。
染色って条件をそろえるのが大変なんですね。
A工場の職人さんが、Bの工場行って、同じものが染められるかっているとなかなかうまくいかないのは、水が違っちゃうから。その水に慣れるまでが大変なんだよね。
なるほどな。染色って何回かこの企画で取り上げてますけど、奥が深いですね。
せっかくなので、今回初参加の劉さん、何か聞いてみたいことありますか?
2つあります。まず1つは、新人のうちに意識して身につけておいた方が良いことをお伺いしたいです。
できるだけ早く、実際に工場を見に行った方が早いかもしれないですね。百聞は一見にしかずじゃないけど、それが一番いいと思います。こうやって会話だけで聞いてみるのもいいけど、実際自分の目で見て感じる。それが一番大事だと思うよ。
紡績屋さん、撚糸屋さんもそうだし、染工場さんも、ニッターさんもだね。
見てみないと自分の考えも持てないですしね。
そうそう。想像だけではわからないんだよね。話を聞いて現場を見たときに、「あ、あの人が言ってたのはこういうことなんだ」って落とし込めるだよね。
やっぱり行き続けないと分からないですよね。1回目で「ああ、そうなんだ」って気づいて。逆に2回目3回目って行くと、今度は自分で気がつく部分がありますよね。僕も新潟に何十回も行ってますけど、いまだに発見がありますもん。
ありがとうございます。あともう一つは、お仕事を長く続けていく中で、大切にされてきたことはなんでしょうか。
好きになることじゃないかな。ここで言っちゃいけないことかもしれないけど、家でカミさんに「もうそろそろ辞めたいな」なんて言うと、「でも仕事好きなんでしょ」って、何も言えないよね(笑)
(一同)いい話~!
好きになって興味を持って振り抜く。それがターさんが今も色々新しいことを吸収されている秘訣なんでしょうね。
最後は深イイお話になりました!今日はここまで。また次回の「教えて!ターさん」もお楽しみに。
今回の教えてターさんはいかがでしたでしょうか?染色に関しては何度も取り上げてますが本当に奥が深いですね。
また次回の「教えて!ターさん」もお楽しみに!!
]]>過去、専門学校で講師の経験もあるターさん。学生さんが日々学校でニットについて学ぶ中での疑問や、インターンをしてみて気になったこと、そしてターさんの若かりし日の経験談など、さまざまな内容をお話しました。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
今回の「教えて!ターさん」は、スペシャルゲストお迎えしております。
企業研修で丸安毛糸に来てもらっている、学生の木村さんと佐藤さんです。お二人はニットを専門に現在学んでいらっしゃいます。
(木村さん・佐藤さん)よろしくお願いいたします!
お二人には「教えて!ターさん」のバックナンバーを読んできていただいたんですが、読んでみてどんな印象でしたか?
(木村さん)私たちくらいの知識量でも、わかることが書いてありました。難しい単語とかもあったんですけど、わかりやすいと思いました。
(佐藤さん) 一つ一つ染色のことだったり、糸の素材だったり、わかりやすく細かく書いてあるので、学校では学ばないことが深掘りされていて、勉強になりました。
ありがとうございます。日頃のニットの勉強されてると思いますが、せっかくなのでその中でちょっと分かんないようなこととか、あとは仮にこの業界で働くとして、こういうこと勉強しておきたいなとか、そういうことがあればターさんに色々お答えいただこうかなという感じです。
昔服飾学校に行って、講師をした時を思い出すなあ(笑)
実は僕が学生の頃、丸安毛糸から田崎さんが講師として教えに来てくださることがあったんですね。もうそれも16年も前ですか!
(木村さん)16年前と今とでは求められる糸は変わってきていたりしていますか?
別に変わってるってことはないかな。ただね、ファッションだからその時の流れでこういうものが流行ってるっていうのはあるけれども。
去年から展開しているビーズ糸のカペラとかスパンコール糸のラディアンとか、そういうのも定期的に何回か流行っているしね。
一番初めにビーズの糸をやったのは40年くらい前だったかな。
40年前の話が平気で出てきましたね(笑)
これがこの企画の肝なんですよ。
ビーズは40年くらい前に作られていたんだ。その当時は手作業だから、機械の前と後ろに人がいてビーズを通して糸を作っていくような作り方だった。今の作り方は逆に見てないからわかんないけどね。
当時で値段はいくらですか?
多色ビーズの糸で1KGあたり43,000円だったかな。
高い!
だって作るのに人件費もかかったしね。ハイブランドにはそれでも買ってもらえてたからね。高いのはビーズの質も良いものを使用したしね。安いやつでその当時は13000円くらいだったかな。
80年代の話ですね。
そういう形からすると、何年か周期で出てくる物があったり、昔あった原料が今はないっていうのがあったりとかかな。
日本の場合は最近新しい物ってあんまり出てきてなくて、逆に減っていっちゃってるかな。 開発っていう意味ではそんなにないかなあ。今までの素材に機能性を持たせて保温性、速乾性、吸水性を良くしたりしているけどね。
テープ素材が出てきたのも40年くらい前かな。
それは何テープだったんですか?
レーヨンのスピンテープだね。昔本に紐のしおりがついたでしょ。
あれをそのまんま繊維に持ってきたんだよ。その作り方をスピンテープと言うんだよね。
それって糸を組んでるんですか?折ってるんですか?
折ってるんですよ。当時は農家の人が暇な時期に小さい機械で編んでたみたいだね。だからあんまり量は上がってこなかった。
長く編んでもらって、それをニット糸にしてあげる。それがテープヤーンの始まりかな。
しおりってどれくらい前からあるんですかね?ターさんの子供の時からありますか?
あったね、歴史は古いんだろうね。組紐みたいな形のやつだったんだろうけど。それがあってラッセルテープみたいなのも、いまだにあるからね。
(佐藤さん)学校の修了制作で、とある糸を使っているんですけど、二本取りで太い棒針で編んでて、どんどん斜行していっちゃって。結局ガーターも入れてたんで、ガーターで編んで打ち消して何とか使ったんですけど、それ以外に斜行する時の対処法ってありますか。
斜行するっていうのは、要は糸のバランスが取れてないから斜行するんだよね。それが天竺の時に起きるので、両版組織だと起こらない。両方で引っ張られるからね。
斜行糸の対策法って言ったら、撚りが強すぎるのか弱すぎるのか、それによって僕たちは撚糸屋さんに撚りを少し足してくださいとか、マイナスしてくださいとかっていう依頼をするんですよ。
ただ編む前に、Uの字に引っ張って垂らすと、下がくるくるくるくるって回ってきちゃったら斜行しちゃうというのがわかる。双糸になろうとしてるじゃない、もうその時点で。
(佐藤さん)そもそも斜行するような糸は作らないってことですか?
もともとは単子の糸って片撚りしか入ってないから斜行する。それを斜行しないように双糸にする。綿の場合の30番単糸だと、例えば750~800回ぐらいのS撚りを入れてバランスをとっているよね。元糸って初めは全部Z撚りだから、逆に下撚りから今度は上撚りっていう形になるんだけど、 上撚りを双糸にするのは大体3分の2ぐらいかな。
今のお話、ちょっと口挟んじゃいますけども、糸に対して1mあたりに何回撚りを入れているかってことなんですよね。
単純にいくと1mで何回とかっていうふうにするんだけども、厳密に言うと細かいところは1インチに何回とかなんだよね。
もしかしたら佐藤さんが使っている糸は太いもので、スナッグとか多いかもしれないですね。初めから単糸で出来上がっているものも多いかもしれないですね。
Z撚りとS撚りで撚り合わせることって、今ありますか。
あります。うちの糸だとキュリアスです。
S撚りにもZ撚りも強撚なので普通の双糸よりもボコボコしている。
太いウール100%のロービングなんかっていうと、3番手とかで、そういうのはあるけども、元々の撚り数が少ないから、ある程度保てちゃう。糸が太ければ、構成本数が多くて繊維が絡むから、糸が抜けないんだよね。
ところが、細いやつは構成本数が少ないから、撚り数が少ないと抜けちゃう。だから、強度を持たせるために、細ければ撚り数を多くしなきゃいけないんだね。
撚り数が多ければ、余計斜行しやすいですね。
斜行が出るときは、細い糸を巻くとか、1本補ってあげる。例えば、ウールでも綿でも、反対からナイロンの細い糸でカバーしてあげればバランスが取れるから、それで斜行を失うように作るとか。
(佐藤さん)反対からってことですか?
Z撚りに対してS撚りでっていう感じだね。
条件が揃わなくても2本あればそいつをどうにかするってことはできますよね。使いたい糸太い糸であったとしても、もう1本細い糸を2本目として用意してあげれば、寄り合わせてどうにでもすることができるっていう考え方ですよね。
編みで斜行を止めるとなったら、編み組織で考えていくしかないかなとは思いますね。
僕からもちょっと2人に質問いいですか?
家庭機のお話で全然大丈夫なんですけど、1年間学校でやってみて、編みやすかったりとか、編みにくかったりとか、それぞれ何かあれば教えてもらえますか?
(佐藤さん)家庭機だと、モヘアは編みにくいなと思いました。細かい毛が引っかかっちゃって、絡まってるな、みたいな。
あとは昨日編んだジュピターも、多分度目が良くなかったかもしれないんですけど、結構グッグッと詰まっちゃう感じがしました。
(木村さん)私もモヘアですね。編んでても結構針に引っかかるのと、あとやっぱり毛足が長いから、その分編み機の横のブラシっぽいところにたまっていくので、編んでてもそこがうまく回らなくなります。モヘア系だったり、毛足が長いファンシーヤーンはすごくやりづらいです。 編んでても結局また止まって、そこの毛を取っての繰り返しなので、スムーズに効率よく編めないですね。あとゲージギリギリの太さとかもすごい編みづらいです。
そうでしょうね。どちらも結構起きる話ですね。
そう、起きるよね。どうしてもモヘアなんかは毛があるから編みにくいのと、ジュピターって提灯モールだよね。
提灯の部分が太くなっているから、そこが引っかかっちゃう。だからブークレーなんかでもループになっているから、針が刺さっちゃったりとか、どうしてもそういう部分が、ストレートのものに比べると、編みにくいというのはあるかな。
(木村さん)モールも編みづらかったですね。
太いモール糸が多分編みにくいだろうね。
家庭機で編める細番手のモール糸というのも存在していて、編みにくいですよね。
逆毛を立たせながら編むからで、その方が毛立ちが良くなるからね。
(木村さん)逆さですか?
要は、モール糸を作る時に方向があって、逆に編んでいかないと毛が立たない。引っかかるように編んでいかないといけない。だから余計編みにくいんだよね。
簡単に言ったら、絨毯の毛を起こしたときと寝かしたとき、色が変わるじゃない。
方向が逆になることで色が変わってくるんだよね。
ターさんのこれまでの経験は1時間じゃない足りないですね。50年かかりますね!
木村さんは何か質問ありますか?
(木村さん)はい。アパレル全体でもSDGsと言われることが増えてきてると思います。インターン期間中ブックを見る機会が多くて、丸安毛糸でもリサイクル素材を使ってるものも多いと思うんですけど、どういうふうに再生をしてるのかと気になりました。
リサイクル素材って圧倒的にポリエステルが多いですね。今はレーヨンとかあるけど、一番初めはポリエステル。ペットボトルが1番の公害だったので、これを再生するっていうところから始まったんだよね。
綺麗に洗浄して、溶かして、チップにして、それをまた海外に持っていって、洗浄して、また日本に送ってくるという形なんだけど。
じゃあ、今そういう風にやってるけども、みんな再生っていうわけにはいかないよね。当然、もともとのペットボトルがなきゃ再生できないわけだから。この間テレビを見てたら飲料メーカーさんが、自社の飲料の回収ボックスを置いて回収して、全て再生ペットボトルにします、って言ってたんだよね。
そうすると、もともとのペットボトルが飲料側に行ってしまえば、繊維の方に回ってくる量ってかなり少なくなるんだろうなっていうのはある。それよりやはり石油から作るバージンのポリエステルの方が簡単だし、正直言って薬品を使わない、エネルギーを使わないという部分ではそっちの方がエコなんだよね。再生するっていう方が、いろいろエネルギー、薬品、水などもコストも高いので、どうなんだろう。
ペットボトルが環境汚染の一つになっているのでは事実なのでそれをなくすにはいいのだけどね。
オーガニックの綿とかオーガニックの麻ってどういうイメージですか?
(木村さん)農薬が使われていなくて、肌に優しいような。
それを野菜に置き換えた場合、例えばキャベツ作るときに、「オーガニックのキャベツです。農薬も何も使ってません」って言うとどういうキャベツですか?
(木村さん)虫食いですか?
そう、虫食ったりとか、そのまま自然な形になるよね。綿も麻もそういう風になる。そうすると、見た目は綺麗じゃない。やはり、手をかけるっていうか、野菜に対して肥料をやって、虫の駆除だとかなんとかすると、綺麗な野菜ができるじゃない。自然のままだと虫食ったりとか、葉の形も綺麗じゃないんだよね。開いちゃったりとか。
本当にそれが自然なんだけど、ただ綺麗じゃない。綿も麻もそうなってしまうので、出来上がった糸にやはりちょっとカスみたいなのが入ってる。だから、今まで作ってたレギュラーのものよりも、糸を作るのには大変なんだよ。糸を引いた時に、綺麗なこなれた糸が出来上がらないとかね。
だから、どっちがいいのかなって。農薬をまけば地球の中に入っていっちゃうわけだから、良くないっていうのはわかるんだけども。
みんながきれいなものを求めているときに、Tシャツの中に黒い点々があったりとかって嫌じゃない。
そういう部分でどう皆さん考えてくれてるかなって。「それでもいいよ、そっちの方が自然でしょ」って言うんだったらいいけど、ちょっと黒いものがあったら、これ傷、不良品って弾かれちゃう。今の日本だとまず弾かれちゃうよね。そういうところがちゃんとわかってもらえないと難しいなっていうのがあるね。
(木村さん)昨日、部門ミーティングに参加して、イタリアで開催されるPitti Fillatiではエコ認証が必要かはブランドによりけりっていうお話があったんですけど、日本国内ではエコ認証が必要なブランドってどのくらいあるんでしょうか。
はっきり言うとね、日本はその辺は遅れてる。だからポリエステルのリサイクルっていうと、バージンのポリエステルよりも値段が300円くらい高くなる。その時に日本人は、だったら安い方でいいっていうところが多いかな。わりかし海外の人たちの方が,300円高くてもリサイクルにしてくれるっていうことがあるね。
(木村さん)消費者も考え方を変えていかないと難しいですね。
そうだね。でも本当は消費者に回らないようにするのが一番いい。だから海外の今やってるところは、国とアパレルさんがある程度話して、そういうものを使わないって決めてるんだよね。使わなければ消費者に回っていかないじゃないですか。消費者はそこまでわかる。消費者の方が、じゃあこれが今までのバージンのポリエステルです、これがリサイクルのポリエステルですと言っても、そんなに響かないよね。
それが一番ひどいのは日本かなと思う。使うところが安いほうがいいみたいな、この辺は国民的なこともあるし、企業も高いものを使えば、どうしても高い商品になっちゃう。消費者にやっぱり高いものを売りつけることになるので、その辺をどう考えていくかなっていうのもあるよね。難しい問題だよね。
やはり今の学生さんたちはそういうところに関心があるんですね。
そういう風に考え方を変えて、もう自然なものだからこういうのがあってもしょうがないっていう形に捉えてくれればいいんだけど、お店でキャベツ買うのに虫がついてたら、今の段階だったら買わないと思うんだよね。販売するときに虫がついている事はないけれどね。特にアパレルもキレイさが重視される業界なんで、そういうの難しい。
天然となると面白いですけどね、そういう個体差って。“味”みたいに購入する方が多い。
(佐藤さん)コンテストに出るにあたって、初めての糸を扱うことになって、昨日ブック見ていいなと思った糸が、綿とカシミヤとシルクの混紡だったんですよ。それで学校の先生から「編む前にカシミヤにはロウをいっぱい付けないといけないんだよ」と。
(佐藤さん)「編み終わったらそれを落とさなきゃいけない。だけどシルクを水に濡らしたくないってなったら、これを個人で製作に使うのは難しいんじゃないか」って言われたんですけど、そういうのはやっぱり加工処理をしないといけなくて、自力で処理するのが難しいんではないかと思ってて、何か良い方法が有ったりするんでしょうか。
そのシルクがどういうシルクなのかっていうのもあるんだけども。蚕さんが吐き出す時に、セルシンっていうニカワみたいなものがついているんだけど、それを剥がしてあげないと染色ができないんだよね。たぶん糸になってるんだから、もうその時点で白くなってるはずなんだ。生地のまま使うってことはできないから、練り上げ、染色するんだ。 その時にある程度の柔軟剤だとか入れるから、それを使っても問題ないんじゃないかなって気はするけどね。丁寧に扱えば洗いにかけちゃっても大丈夫だよ。
その糸はトップ染めなのかな。メランジカラーだった?
(佐藤さん)そうです!
いいものってトップだったりとかしますからね。
(写真を見て)これはトップですね。そうするとね、洗わなきゃいけない。それって紡績あがりの状態で、糸を作る時って油が必要なんだよ。だから製品を作ってから普通に洗いを入れればいい。それこそバケツに洗剤を入れて、ちょっと手押しでやってあげればいいんだよ。
(佐藤さん)そんなにビビることはなかったんですね。
(木村さん)綿って洗い入れることでどういう風な風合いになりますか?
その綿にもよるんですけど、やはり洗うときって必ず柔軟剤を入れるじゃない。だから柔らかくなる。
例えばレーヨンは柔軟剤入れないとガッチガチになる。麻も柔軟剤入れないとだめだね。
また余談になるけどさ。昔は染工場さんもこの辺(両国近辺)にもいっぱいあったから、モヘアの染色上がりだったりを毎日持ってきてくれてたのよ。その時に、触ってみて風合い悪かったりすると「これ風合い悪いよ」って言うと、じゃあもう一回持って帰って柔軟する、その時の柔軟剤は何を使う?
正解は「リンス」。
(木村さん)ああ!いけそうですね。
要は工業用の柔軟剤よりも人間が使うリンスの方が成分が数倍良いんだよ。だからどんなに安いリンスでもそれで仕上げたら柔軟剤よりも風合いが良くなる。
リンスも高いですよ(笑)
高いけどさ、そんなにいっぱい使うわけじゃないし。今のリンスなんてそれこそもっといいのがいっぱい出てるじゃん。キューティクル埋めちゃうでしょ。だからサラッサラになるんじゃないかな。
このセーター硬いなと思ったらそういうもので柔軟したら柔らかくなるよ、同じ毛だからね。
(木村さん)自分のセーターをやる時に気を付けることはありますか?
二層式がおすすめですね。あんまりガラガラ回しちゃうと縮んじゃうからね。
せっかくの機会なので、今思いついたことを伺っていいですか?田崎さんはなんでこの会社に入ったんですか?
45年前ってあんまり就職先がなかったんだよね。パッて求人雑誌を見てるときに、両国の丸安毛糸って書いてあって、「あ、近い」って。
繊維の会社っていうのは、なんとなく馴染み深かったんですか?
ないことはないけど、家は繊維じゃなかったからね。ただ、場所柄、曳舟とか押上界隈って、結構ニット屋さん多かったんです。小学生の時に友達の家に行ったら、二つ機械がボンと置いてあって「なんだろうこの機械?」って思ってたんだけど、ずっとわからずにいたんだよね。この会社に入って手横の機械を見て「あの子の家にあったのこれだ」って思ったよね。
手横は会社にはもうなくなっちゃっいましたね。
当時は「莫大小(メリヤスヤ)」て呼んでたんですか?
横編み、要はニッターさんのことを「莫大小(メリヤスヤ)」と呼んでいた。だから会社名も、古いところは「●●莫大小」と書いて●●メリヤスって呼んでた。
そっか、繊維じゃないけど、糸っていうより、編むっていう。
その当時だから、自動機も当然あったけども、手横っていうのもまだあったんだよね。ちっちゃい家なんかだと、手横があれば、上のゲージを積み換えるだけで、そんなスペースいらなくて、ゲージを換えることができるんだよね。
田崎さんが今になって思う、学生たちがもしこういう業界に入るなら、学業の中で学んでおくべきポイントってどういうところになると思いますか。どういう基礎知識を今、興味を持っておくべきかとか。
自分が最終的に進みたい方向なんだろうけども、そのときにどっちの方向に行くか。パターンなのか、それともデザインなのか、じゃなくて、ものを作る方なのか。そっちで考えていったときってかなり難しいけど、もう単純でいいんじゃないかな?洋服が好き、編み物が好きとか、その中からニットが好きとか。まずは洋服からだよね。
渋いっすね。ちょっと僕が難しく考えすぎたかもしれないけど、そういうことなのかもしれない。
いろんなブランドのものだとか、傾向もそうだろうし、糸のことも。一番いいのは、着て風合いを確かめるっていうことかな。お金がかかるけど、試着がありますからね。
それこそ、また余談になっちゃうけどさ、会社入って、若い頃だったのでカシミヤのセーターなんて着れないわけだよ。なのにお客さんに「カシミヤのセーター、柔らかくて、軽くて、あったかくていいですよ」って言ってたね。「着たことないよ」なんて思いながらね。
確かに、それやるべきことですよね。
でも情報なり周りから色々教わってさ、「旅行行くときだってね、軽くて小さくなって広げると、パッて空気が入れば膨らんで、あったかくていいよね」って話を聞いて勧めるわけだよ。そういうものを自分なりに着たりとかさ、触ったりとか早い時期にすればいいのかなと思うよ。
やっぱり体験することって大切だとおもいますね。私がレディースのオリジナルブランドをやってたときに、男の人がバイヤーで来たとしても、羽織ってみたりはしていましたね。羽織ったときに、暖かかった、軽かったっていう感覚はわかるから、そういう体験をお客さんに説明した方がいいって言ってました。そうすると共感してもらえる。説得力が違いますね。
そうですよね。ターさん長年お仕事されて、今の質問に対してこのアドバイスは、結構効きますね。いろんなことに情報を持ちなさいっていう。
この繊維の世界に入るのであれば、やっぱりそこが一番だと思いますね。
結構色々質問が出てきて、たくさんお話してきましたね。
服飾学校に講師に行ってた時も、毎日生徒さんがいろんな質問を考えてきてくれて、それに答えていたね。人目の勉強にもなったね。
直に教えてもらえる1時間って、結構貴重ですからね。
ニットを学んでいるお二人からしたら不思議かもしれないんですけど、ターさんは編み物に特化せずに、“糸”のお仕事をされてきた人なんですよ。2人は編み物ができる前提で、この編むという技術をどこで活かしていこうかなが次のステップの考え方だと思うんですけど、ターさんに限らずうちの会社の人って、糸も勉強していなくてこの仕事をしているという人たちがたくさんいて、編めるか編めないかがさほど重要じゃない。
でもその糸を売る相手の人たちは編んでいる人たち、という仕事のバランスが、ニット科で学んだ僕が入った時、ちょっと戸惑いがありましたね。
全然知らないで、この会社に入って、少し編みを覚えろって言われて動かしたりもしたけどね。
編み物が実は意外と共通言語じゃなかったですよね。
それこそ男の人で編み物をする人って昔からいたんだよ。
漁師さんは、網を編んだりなんかするじゃない。遠洋漁業行った時とかっていうと、自分でセーターを編んだりしていたんだよ。
編み物の起源として、一説では言われてますね。
(木村さん)授業でも習いました。漁師さんの家それぞれに柄があって、もし船上で亡くなっても、柄で識別できるっていう。
糸に油が含まれると浮いてきますしね。
あとは洗わないんだよね。洗っちゃうと、油が抜けちゃうから。
糸を作るとき、トップ染めなんていうと、すごく油使うから、糸にも油が結構入ってるんだよね。
うちが紡織さんから糸を買って、ケースの中にそのまんま入ってると、段ボールがもう油でベタってなってるんだよ。だから、1キロの糸が、洗いだけをかけただけでも、30~50グラムとか油の分で減っちゃうだよ。(獣毛の混率によっても違いがある。)それくらい油が入っているんだよね。
たださっき話にあったトップの糸の場合だと、紡績からそのままか、1回洗いを入れてるのかはちょっとわかんないけど。だいたいトップの場合だと洗い入れてないんだけど、手芸糸屋さんで売ってるトップの糸はみんな洗ってると思う。じゃないと、糸を留めている紙がずーっと置いといたら油だらけになっちゃうからね。
工程ごとの洗いと油の関係っていうのもすごく大事ですよね。知ってるか知ってないかで、製品だった時のトラブルとか全然違うんですよ。
それをよくわからずに勤めてたら、もうこういう事象に対してはこういう処理をしてあったなんて、正直、全然考えたことなかったね。
そうですね。風合い出しだけじゃなくて、工程ごとに洗う理由がちゃんとあるんですね。
ということで、今日は特別編として学生のお二人といろいろなジャンルの話をしてきました。皆さんありがとうございました!
皆さん、今回の教えて!ターさんはいかがでしたでしょうか?
糸業界で約半世紀にわたって経験されてきたターさんからのアドバイスに、学生のお二人が熱心に耳を傾ける姿がとても印象的でした。
ぜひ、次回もお楽しみに!
]]>今日の「教えてターさん」は素材と染料の関係性を主軸に、「麻」の生育に関するお話までお届けします。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
始まりました、「教えてターさん」。今日は直近社内で聞いた話から深ぼりしていけたらと思うんですけども。
ウールとポリエステルのドッキングの企画があって、色合わせをしたいらしいんですね、同じ色データで染めても上手くいかないじゃないですか。そういう時って何か注意してるんですか。
ウールとポリエステルだと、まず光沢が違うよね。ウール100%とポリエステル100%のドッキングとなると、その光沢の差が大きいよね。ウールとポリエステルの撚糸の糸で編めればミックスされちゃってわかんないけどね。
太い糸の撚糸だったらさ、どうしたって光沢の差が出ちゃって杢っぽく見えちゃうね。それをどうやって染めて馴染ませるかというと、やはり発色の差が問題になるよね。
違う色で染めて、同じように見えるところを探すってことですよね。
一色ずつビーカーを取っていって、元糸に合わせて、これでOKってところを探す。ただドッキングしたときには、発色の差が絶対出ちゃう。物性と風合い、光沢まで何もかもが違っちゃうんだもんね。
昔からよく、特にキャリアゾーンのお客様に素材提案をするときに,綿レーヨンの素材で撚糸ものは避ける傾向があった。なぜかとういうと、染色した時に色が割れるから。割れるとどうしても、杢糸に見えるからね。
混紡糸だとそれがわかりにくいから、混紡糸を提案するようにしていたんだよね。
なぜそれが起きるんですか?
要は綿とレーヨンって同じ染料で染まるじゃない。その時にレーヨンの方が吸い込みが良く、染色性が良いんだよ。 だからどうしてもレーヨンの方に多く染料が取られちゃう。だから綿のほうの色がちょっと薄く上がっちゃっうんだよね。
そうか、一浴だから。
だから綿アクリルとかさ、アクリルレーヨンだったら染料が違うからある程度色合わせはできるけども、同じ染料だからそういう問題が起きてきちゃうんだよ。
僕昔、レーヨンナイロンで困ったことあったんですけど、それも同じなんですか。
そうだね。
例えばレーヨンを先に染めておいてとか、もしくは綿を先に染めておいてあとで撚糸すればいいじゃんみたいなことも考えられるかもしれない。ただそんなことは、誰がするの?って話になってくる。
それはいろんなことを考えると違いますよね。でも、そこがずっとついてまわる問題なんですよね。
タムタムヤーンなんかだって、モヘヤウールにナイロンが撚糸されているじゃない。分解すると色は違うんだけどさ、タムの場合は分かりにくいじゃん。ウールやナイロンなんかだって、やっぱりナイロンの方が染料を吸収してるよね。
ナイロンの方が濃いってことですか?
ナイロンの方が濃い。どうしても化学繊維とか再生繊維の方が吸収しやすくて、天然繊維の方が吸収しにくいんだよね。
へ~、なるほどですね。それこそ、田崎さん10年前のブログにも書いていましたよね。
今でもよく、お客様に何と何が染料一緒?とかって聞かれたりするよ。「これとこれは一緒に染まるの?」「何が別々に染まるの?」ってね。だから、綿、レーヨン、麻は一緒に染まるよとか、ウールとナイロンが一緒だよ、とかね。
最近は、段ムラが発生したのに立ち会って。段ムラの発生は、チーズ染の内外差で起きますよね。それで、修正屋さんに出すってなって「発生しても直せるんだ!」って思いました。あとは、結局やらなかったんですけど、リビエラコードである色をオーバーダイするかっていう話が上がって。染め直すことってできるんだって思いましたね。
できるものもあるけど、直しにくいのがアクリル。アクリルは染色性が良すぎるから、脱色が難しい。 そのままの上から色をのせるっていうことはしないんだよね。 堅牢度が悪いから、ある程度は脱色してから、白くしてから、色をのせるんだよね。
あれ、本当に難しいですよね。脱色しても堅牢度が悪くなりますよね。
それとリビエラシリーズって、あれシルケットだから染め直しが効かないんだよね。
普通の綿じゃなくてシルケット加工してるから、薬剤が余計にのっかっているから、やはり染色が変わってくるんじゃないかな。
シルケットがかかってると、じゃあ前回と同じレシピでまた同じ色になるかっていうと、やはりそこら辺もちょっと違うくなっちゃうんだよね。
そうなんですね。
あとは、リネンとか麻とか綿などの天然繊維は、極端なこと言うと山側で採れた麻と谷側で採れた麻とでは色が違うんだよ。太陽の当たりが違うからなんだけどね。
一つの畑で採れたものはすべてそこでミックスして一ロットで管理する。違う畑で採れたものもそれ全部を一ロットごとに管理する。こっちの畑とこっちの畑で色が違うからね。だからリネンのナチュラルカラーはほぼ畑ごとにみんな色が違う。昔よくそれで問題になったんだよね。だから今は、「ナチュラル」って色を出さないで、染めの亜麻色で色を出すんだよね。
なるほど。年によってもって違ったりするってことですよね。
あくまでも農産物だからね。だから簡単に言ったら、今年の大根の出来がいいとか、白菜の出来がいいとか、悪いとかってあるじゃない。あれと一緒で。
面白い。ワインみたいですね。
生育が悪いと節がいっぱい出来ちゃう。 それを糸にしたときに、ごつごつ、節だらけの糸ができる。
ところが生育がよくて長ければ節が少ないから、きれいなリネンの糸が作れる。天然繊維だからそういうことがあるんだよね。
だから今日の冒頭の話なんかも、やはり元糸の色が違うから、ポリエステルとウールの色差が違って出てしまうんだよね。
麻と染色は難しいですね。
天然繊維の場合はさ、元の色があるから、染色が難しいよね。
そうですね。
以前はレーヨンにはロットがないって教わったよ。
ああ、そうなんですね。その生地糸ロットとして、 分けなくても大丈夫なんですか。
あ、同一なんですか?
要は作るときの過程でさ、 ロット管理っていうのはあんまりしてないんだよね。
へーそれは面白い。
ターさん、リネンの話と畑の話とかって、誰に教えてもらったか覚えてます?
やはり普通に麻屋さんとの会話からかな。
前にも言ったかもしれないけど、リネンって同じ畑で作れないんだよね。
1回育ったらそこで作れないんですか?
そこの畑では9年間作れなくなるから、ローテーションで9か所を回していく。そのぐらい栄養取っちゃうんじゃない?
朝鮮人参なんかでもよく言うじゃない、そこの畑で採ったらしばらくはダメとか。もうだからそこの畑の栄養をみんな採っちゃうから、そこの畑はもうしばらく使えないのかなあ。
面積で考えるとすごく生産効率悪いですね。 少なくとも9カ所作らないと、ずっと活用できないんですか。
どっちかというともう、野原にいくらでもできるもんだとばっか思ってたんだけど。
そうですよね。育ち強そうですもんね。
だからちゃんとしたきれいなものを育てるにはそういうふうにしないといけない。
野菜とかなんかと一緒じゃない。どの種類かまでは分からないけど、物によったら同じところで同じ野菜ばっか作っていくとダメになっちゃうでしょ。
だからやはり、変えたりなんかしながらやっていくんだね。
リネンの畑ってみたことありますか?
無いねえ。だって一番いいのは、フランダース地方で、フランスからベルギーでしょ。あとはね、中国。
きっと田舎なんでしょうね。
そうだろうね。何もない広大な平い土地。でも、取れる量はそんなにないから。
どうやって刈るんですかね?
いや、あの米を刈るみたい感じで刈るんじゃないかな。まあ、機械だろうけどね。
へえ。なんかもう、色の違いってそこまでの話になると、一見してわかるんですかね?畑眺めるだけでも。あ、こっちちょっと茶色いなとか、あっちはちょっと白っぽいなとか。
日本の農産物だってさ、今の時期だとみかん。上の方のみかんは黄色くなるけど、下のやつはなかなか黄色くならないとかね。
そうですね。
ああいう風になっているんだよね。
日の当たりの良いところは、早く黄色くなって、早く完熟するけども、下の方の日の当たりの悪いやつは、色付きが悪いよね。
へえ。羊の牧場は想像がつきますが、リネンは想像がつかないですね。
中国リネンは、もっと色が濃い。同じリネンでも、土壌の違いとか、そこの環境で変わってくるからね。
リネンの場合は、そのままにしておいたら、何もなくなっちゃうからね。
何もなくなる?
全部土で野っぱらになっちゃうけども、ラミーだとそのまま枯草が立ってるから。
へ~!
へーって、ちょっと(笑)。ラミーと、リネンの違いって知らない?
実際見たことないから、ちゃんとはよくわからないですね。
いやいや、俺も見たことないんだけどもね、一番大きな違いってリネンは一年草なんだよ。春に土から芽が出て、茎が成長していくよね。秋になって枯れたら、これが丸ごとなくなっちゃうんだよね。
ところがラミーは、多年草だから出てきたものが秋になって枯れても、枯れたまんまで立ってる。だからそれがまた次の春になると、緑になる。湖畔にあるガマとかススキなんかでも、みんなそうじゃん。
知らなかったです!
今の時期、茶色いでしょ?あれがもうちょっと暖かくなると、あれがだんだん緑に変わってくるでしょ。
リネンとラミーって、生産してる人もやっぱ別なんですかね。
場所が違うから違うんじゃない。同じ麻という区切りってだけ。 ただ今そうやって言ったように、リネンの場合は1年草で、スパンで柔らかく、ラミーの方はフィラメントで、長繊維だからラミーの方が清涼感があるよね。
よく梳毛とかにも入れられるじゃないですか、ラミーだったら。純粋に繊維質の話だけだと思うんですけど、長繊維なんですね。
あとはラミーの方が硬い。リネンの方がやわらかい。先程言った通りリネンは1年草で、柔らかいからね。
どうしても、3年も4年もさ、長く生えてたら茎自体が硬くなってくるんだよね。
生育のところからかかわってくるということですね、興味深いお話を聞けました。
今日の「教えて!ターさん」はここまで。次回もお楽しみに。
今回の教えてターさん、いかがでしたでしょうか?天然繊維も生育環境、状況によって糸になったときの品質に影響してくるなんて面白いですね!
もし取り上げてほしいテーマがあれば、ぜひ随時教えて下さい!
]]>今回は2025年7月に開催された、イタリアのニット糸の展示会『PITTI FILATI 97』で、丸安毛糸社員キャッチアップしてきた“糸の最新トレンド情報”をご紹介します。
MONTELUCE 26-27AWコレクションでは、シーズンテーマを『Seasonal Twist』と題しました。
温暖化による暖冬の影響もふまえ、これまでのシーズンの括りに則ったラインナップとは異なり、素材由来に縛られない、柔軟なコレクションを展開いたしました。
PITTI FILATI に来場されたお客様からも、今回のシーズンテーマやコレクションラインナップへ共感の声が多数寄せられ、秋冬でも薄い素材やシャリみのあるタッチが好まれる傾向にありました。
開催期間中のヨーロッパは記録的な熱波が到来しており、フィレンツェでも鋭い日差しもあいまってかなり暑苦しい気候でした。当日の気候も、お客様の素材を選ぶマインドに大きく影響していたとも感じました。

Pitti恒例のトレンドブースの模様をお届けします。
MONTELUCE からもトレンドブースに出展させていただきました。




ずらりと並んだ秋冬の装いのトルソーに圧巻ですね!
各トルソーに帽子やヘッドドレスまでそろっていて、とても美しかったです。
MONTELUCEからは、国内外で評価の高い素材を使用した編地を出展いたしました。





MONTELUCE トレンドブース出展素材はこちらから
PITTI FILATI レポートはいかがでしたでしょうか?
実際に現地で撮影してきた写真とともに、糸の最新トレンドを少しでも体感いただけたら嬉しいです。
]]>糸を作る時には、「撚り」を入れます。その撚りを入れて糸を作っていくプロセスにも種類があるようです。
また、話は盛り上がり、ターさんが携わる直近の糸開発の苦労話にまで!
ぜひ、ご覧ください。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
さて、今日も始まりました「教えて!ターさん」。
彩月さん、最近は何か気になることはありましたか?
最近は小林さん(※社内一の“長繊維”博士)といると、よくわからないワードが出てきて。「精紡交撚糸」とか「トライスピン」、「無撚」とかっていうワードはよく聞くんですけど、撚糸関連の話はよくわからないかもしれないですね。
小林くん、「無撚」とか、嬉しそうにしゃべるんでしょうね。「綺麗だな。撚り入れずにこんなことできるんですね」って。容易に想像できますね(笑)。
工場さんって見に行ったことありますか?見て一発で分かるかって言ったら分かんないんですけど、糸をどうやって作るかの話なんですよね。
長繊維とかも別とは言い切れないんですけど、分かりやすいのはウールで、元をたどると羊じゃないですか。羊の毛を刈らしてもらって、そしたら毛の塊が出来ますよね。そいつをちょっと慣らして、もっと綿(ワタ)っぽくするんですよ。
極端に言うと、それに撚りを入れたら糸になる。じゃあどこで糸にしますかが、紡績工場なのか撚糸工場なのか、どういう機械を使ってるのかみたいな感じなんですけど、今上がってたトライスピンとか、精紡交撚とか、無撚っていうのもそうなんですけど、全部糸を作る機械の名前です。
簡単に言うと、紡績っていうのは、綿(ワタ)から糸にする。撚糸屋さんっていうのは、出来上がった糸を加工する。意匠糸を作ったり、単純に双糸にしたりとか。うちの中で、色々とお付き合いのあるカワボウ繊維さんや小金毛織さん東和毛織さんだとかっていうのは、紡績屋さん。綿(ワタ)から糸にしている会社。滝善さんや堀田さん、安藤撚糸さんや桜方繊維さんとか、そういうところが撚糸屋さん。
糸作りの話って、現場も見てほしいですし、いろんな人からいろんな話を聞いてほしいですし。いつも同じことになっちゃうんですけど、何回も勉強するべきことなんで、いろんな角度からしっくりくるまで、話を聞くのはありだと思います。
綿(ワタ)に撚りを入れると、なんとなくストレートの糸ができる気がしません?綿(ワタ)のままねじっていく。そうすると逆に言うと、ストレートの糸しかできなくなさそうじゃないですか。それは本当にその通りで、簡単に総合紡績みたいな作り方とはちょっと違う。どっちも綿に撚りを入れる機械なんですよ。それを糸を作る、紡績をするという言い方をしているんですけど、それでやるとストレートの糸だけができる状態。でも僕らが使っているのってパンシーアームという形状が付いているんですよ。
形状をつけるための機械が別にあるんですよ。それを撚糸で行うのが、一般的に多いんですけど、紡績のよりを入れながら形状をつけれるという特殊機械があるんですよ。ループにして、そのループを固定するための内容を、紡績をしながら一緒に撚糸できる機械があって、それが「精紡交撚糸」。横文字でいうと「トライスピン」というんですよ。
そうすると、あとは起毛機でそのループをひっかいてあげれば、タムタムヤーンになる。例えば、うちのアトンなんかはトライスピンでそのままループまで作っているんだ。その方が柔らかい糸ができるからね。糸を作ってから撚糸するとどうしても硬い糸になっちゃう。だから、トライスピンって画期的な機械なんだよね。
画期的ですけど、歴史上はどれくらい前なんですか?30年経ちます?
出始めたころかなあ。
あ、そうなんですね。へぇー。すでに歴史のある機械だなっていう印象がありましたけど、30年は経ってなかったんですね。
糸の用語を知っても、物と一致しないと、理解はできないと思います。ある意味、時間が解決することでもあると思うんで。
あとは、例えばマリアリリー。リリヤーンって元糸があって、リリヤーン機っていって編み針が付いてる縫い機で加工して輪っか状の糸にしていくんですよ。マリアをリリヤーンにした時ってもともと15.6番ってそれなりに太めな糸で、上がりが2.6番っていうもっと太い糸ができるじゃないですか。
あのレベルのリリヤーンを1キロ作るのにどれくらい時間かかると思います?
えー、めっちゃ時間かかりそうですね。やっぱり1日くらいかかりますか?
そう、丸1日かかるんですよ。で、それがもちろん、1台で1㎏作るだけじゃなくて、それが何十台もある機械を一気にかけるから1日で何十キロっていうのは一応できるんですけど。本当に一本だけで考えると、現場見るとすっごいゆっくりなんですよ。
編み針の動きだけは速いんですけど、巻き上がっていくスピードがゆっくり、ゆっくりなんですよ。それで1キロ出来上がるから、納期急いで!みたいなことを言っても、物理的に丸1日本当にかかる。あの太さのものでそれなんですよ。
でも扱っているのって、50番とか40番とか、すごい細いものを使ったりするじゃないですか。そうなるとリリヤーンじゃなくて、普通の撚糸でもカバーリングとか、ああいうやつでも4日ぐらいかかるんですよね。
75デニールを双糸なんていったら、撚糸だけで2日ぐらいかかるんですよ。
そうですよね。
機械を回しっぱなしでも、36時間から48時間ぐらいかかるんですよ。
撚糸が一番、各工程それなりに時間もかかるので、もちろん待ってる時間っていうのもあるんですけど、実動時間も本当にかかる。実際の時間はそれなりに2日~4日って平気でかかるので。月曜日に糸を送って、火曜日着で行くんで今週末に何とか出してくださいっていうのが絶対無理な糸もあるんですよね。
多分機械見て一番わかりやすい、びっくりするところですかね。こんなに時間がかかるの?!って。
回ってるのはすごく早いんだけどね。巻き上げてるのが遅いんでゆっくりと回っている感じだね。
ワインダーで本数取りしたいときに、糸のコーンを分けるんですけど、500gに分ける作業だけでも結構時間がかかるんですよ。
そうなんですね!
大きい工場の機械が何錐分だろうね。一つの機械だけで、60錐分。1個1個の単位を錐というんだけれども。
ワインダーが横に60個並んでいるのを、1台とする、みたいな感じなんですよ。ちっちゃいやつは、6錐とか12錐とか。
60錐あるってことは、単純にミニマム60キロみたいな。 60錐の機械が4台あるとしたら、一日で作れる糸は一回に240キロみたいなことになるんですよ。
中国はそういう錐が多い機械の台数が多いってことですか?
多いですよ。
一回に少なくてもいいと、弾くのに300Kgくらいとかで弾くから、レギュラー綿だったら何トンって弾いちゃうわけだから。すごい勢いだね。
ターさん、糸チームとして糸を開発されてるじゃないですか。無事26年SSの糸が落ち着くと思います。(※収録当時)
ターさんのキャリアをもって、何か裏話的なのあります?結構面白い糸を作ってるじゃないですか。
今こだわりの中であるのが、エコとかリサイクルとそっちだったりするところがあるんで、 その辺の難しさかな。時代の流れだから他の糸もエコにしようとしているけれども、レギュラー品の方が安定したものができると言われたりとかするんだ。
エコ素材の原料の供給自体は結構整っていた感じなんですか?
ただやはりエコにするにあたって、 綿だとかなんかはあればいいけども、それに使ってるもう片方のポリエステルがなかったり。ナイロンのリサイクルはあまりないから、変更が出来なかったり。ポリエステルでもカチオン加工したリサイクルポリエステルがなかったりとか、ちょっとそういう部分でどうしようかなと。
単純にエコ素材に置き換えることができる、普通のリサイクルポリエステルを使えばいいから。元糸はカチオン加工をされたポリエステルを使っていたんだよね。そうなった時に、染色が違ってきちゃう。カチオン加工だったら常温で染まるけど、レギュラーの普通のポリエステルは、高圧の染色機でなければ染まらないしね。
これはちょっと余談なんですけど。原料によって染料って違うんですが、プラス染色する色が入っていくときの適切な温度っていうのも素材によって違うんですよ。で、わかりやすいのがポリエステルで、ポリエステルって100℃だと染まらないんですね。130℃にしなきゃいけないんですけど。
130℃?!
はい。でも普通にお湯沸かすと100℃までしかいけないんです。だから圧力鍋とかと同じ要領で高圧力をかけて130℃まで温度を上げるんですね。
で、それが高圧っていうのがそれなんですよ。高圧釜っていう、それ用の染色釜があるんですけど、普通にポリエステルでやるとそれがレギュラーなんですよ。で、うちってポリエステル×ラミーとか、綿とかウールとかやってるじゃないですか。そうするとポリエステルの相手になる素材にも影響しちゃうので、ポリエステルも100℃で染まるように加工をしておかなきゃいけない。
カチオンポリエステルと呼ばれるものは、100℃で染まるように加工してますよっていうことなんですね。
加工するには何か入れるんですか?薬剤とか。
簡単に言ったら、薬剤をポリエステルに練り込んでおくとかすると、アクリルの染料でも染まる。今言ったように、染色の温度って、綿とか麻とか低温染色って大体80℃くらい。ウールとかアクリルは100℃。ポリエステルになると130℃とかになっちゃう。
うちの素材で言うとあれですよね。エコに置き換えたいけど、そのための原料で欲しいものってすごくピンポイント。だから、その原料はそんなに都合よく出てこないよっていうことなのか。
今までレギュラーのものだったら、いくらでもあるはずじゃない。それが今度はリサイクルになった時に、まだそこまで追いついてない。バリエーションとしてどうするのか。今の段階ではまだそこまで幅広く、リサイクルのバリエーションというのもない。
それでうまくはまるものが見つけられたとして、それでもやっぱりさっきのお話で、レギュラーよりもクオリティが安定しないっていうのはどういうことなんですか。
今はレギュラーの方が綺麗に糸が引けて、オーガニックコットンの方がちょっとネップができそうなんですよね。だからちょっと試してみないと分からないんで、24kgだけ引かせてくださいって試紡するんだね。
今のは綿の話ですね。 確かにオーガニックって重要な要素だと思うんですけど、人工的に、意図的に作っているもののほうが、均一性はやっぱりありますよね。野菜とかでも一緒ですもんね。無農薬で美味しいけど、形は別に良くなかったり、みたいなことですもんね。農薬を入れて管理したほうが、ある程度きれいに出来上がるってことですかね。
その点で難しいところがあったりとか、ポリエステルでも同じことを言えるんですか。リサイクルとレギュラーとで。
いや、単純にリサイクルであれば別に問題ないですね。
じゃあやっぱり天然繊維も、販売している素材を現状のものからエコ素材に置き換えようとなった時に、ポリエステルもリサイクルに変えていくようになるんですね。
レギュラーのものだったらずっと長く流していて安定しているけども、リサイクルの綿なんだけども、ちょっと違う綿に変わるわけじゃない。その時にどうなるのかなっていう。きれいに弾けるのかなっていう。紡績自体はやったことないから。ポリエステルはペットボトルをリサイクルしているけれど、本当にこの後リサイクル、そんなに出てくるのかなっていうのもあるんだよね。
レギュラーのポリエステルは安定して作っているけれど、リサイクルポリエステルはペットボトルをリサイクルしていくじゃない。この間テレビを見ていたら、ある大手飲料メーカーは100%リサイクルのボトルを使うって言っててたんだよね。そしたら飲料業界にリサイクルペットボトルを大量に使われたときに、じゃあ繊維の方にも回ってくるのかなみたいな。どの程度物量があるのかなって。
例えばペットボトルの中に少し飲みかけがあると、それはリサイクルできない。何でできないかっていうと、その残ってるものが何だかわかんないから。お茶のラベルが貼ってあっても、実際はお茶じゃなかったりしたら大変なことになっちゃう。そういうことがあるんで、飲み残しが入っているやつはリサイクルに回せないんだよね。
だから今その飲料メーカーは自分のところでそういう回収BOXを置いて、「そこに入れてください」みたいな形で回収はしてるんだけど、回収したものを飲み残しがあったら選択して破棄しなきゃいけない。絶対量としてどんだけあるのかなっていう。
サイクル原料の供給が追いついていかないんじゃないかなって思いますね。
1回リサイクルしちゃうともう2、3度目はできないって聞いたんですけど。
いや、それをね、何回か繰り返せるように今一生懸命研究してると言っていました。
へぇ、確かに進化スピードはすごいですよね。去年言ってたことと全然違うっていうのが結構あるので。
さっきの無農薬みたいな話から、 綿とかって何かできること限られている、そんなイメージだったんですけど、今“ギザオーガニック”とかも出てるんですよね。超長綿のブランド綿があるんですけど、要はそういう品質を育てること自体もオーガニックでできるようになってきてるんですね。
昔はできなかったんですか。
いや、あったんだよ。オーガニックギザってエジプト綿。あったんだけども、生産があまりにも大変だからやめちゃったの。
まあ、でも大変でしょうね。めっちゃ管理すごそうですね。
超長綿を作ること自体が、 普通の綿より大変なの。長く生育させないと、 長い繊維ができないから。
あ、そうか。 じゃあ、育ててる期間が…。
そう、長い。普通の綿よりも長い。途中で刈って…早めに刈っちゃえばさ、リスクが減るんだよね。その後に災害か何かがあった時に、その期間が短ければ短いほどリスクがないから。だから超長綿自体もあんまり作らない。
農場見に行ったことあります?
いや、ないよ。
日本で綿なんかを作ってるところって、趣味程度でちょこっとっていうのはあるんだろうけど、日本には綿農場が無いじゃない。
そうですよね。その綿花って、普通の綿と超長綿って、綿の状態だけでも見るからに違うのかなとか。
うん、やっぱり膨らんで、ハリがあって長いから違いが有るんじゃないかなあ?
ちょっと玉がでかいですね。
普通綿ってピンポン玉ぐらいじゃない?繊維長が超長綿ってだいたい45ミリぐらいで、普通の綿は1インチだから、2.25ミリ長いから、玉も大きいのかなあ?
2倍ですね。
紡績工場さんの場合は、やっぱり仕入れ先が牧場さんになるんで、オーストラリア行ってますとか、結構聞くんですけど。 羊は毛を刈ってもまた生えてきますね。
そうですね。羊は毛を刈ってあげないと、夏は暑くて大変なので刈ってあげる。毛を刈らないとすごく長くなっちゃう。
長くなるんですか?
そう、長くなる。テレビで前にやってたのは、逃げ回ってる羊がいて、6年間毛を刈ってなかったら、すごく長かったよ。
アルパカもそうですよね。伸び続けちゃうんですよね。
人間の毛と一緒だよね。
そういう観点でいけば、動物にとってもいいことでもありますよね。
ずっと刈らなかったら、もっこもっこじゃないですか。こんな毛になって、刈ったら使えるんですか?硬くなってるんですか?
髪の毛も洗わなかったらベタベタになるでしょ。だから羊の毛も刈った後にそれを洗う。洗って、その油が出るじゃない?それを昔、化粧品にしていたんだよ。
昔「鐘淵紡績」はオーストラリアから羊の綿(ワタ)をそのまま買って、国内で洗いをしていたんだ。 そうすると、その油が出るじゃない。それを化粧品の方に回して、ハンドクリームを作っていたんだよ。そこから「鐘淵紡績」から化粧品の「カネボウ」が出来たんだ。墨田区の一番北にあったんだよ。
繊維から始まっている会社が多いですよね。
今は、オーストラリアで全部洗ったワタが来て、日本に来るときにはトップの状態になっているんだね。
昔、30年くらい前にイタリアに行った時に、イタリアでもワタを洗っている工場は、もう既に2社くらいしかなかったよ。
そこの紡績工場を見に行った時には、廊下が油でツルンツルン。
羊のそのまんまのワタが置いてあって、そこから持って行くから、どうしても擦ったりなんかするからね。 廊下がもうピカピカするんですよ。ものすごいワックスが掛かっていて、ていう感じ。
こういうのは結構時間かかるもんなんですか?
もうザクザクザクザクザク。それこそ油を落とすだけじゃなくて、その辺に寝転がってるからさ、 草だとか藁だとかがついていて、一緒に洗い落とすんだよ。
日本にも羊いっぱいいるじゃないですか。 牧場もたくさんありますし。ちょいちょい毛刈りして糸にできないかみたいな話って,それなりに上がってくるんですけど。毛刈りまではできるし紡績もできるんですけど、洗えないんですよ。その大事な中間工程ができなくて、 なかなか量産化しにくい。
小さい規模でやられてる人たちは、 自力で全部やっちゃう人たちもいるみたいだけどね。
この辺がずっと国産って難しいところですよね。
普通に洗濯機みたいので洗うわけじゃないからね。
言われてみれば「そうですよね」みたいなことが多いですよね。牧場に遊びに行って羊を触ると、やっぱりいろいろ付いてるし、ちょっとぬめっとしてますね。実はそんなにサラサラ、ふわふわじゃないですもんね。
それを洗わなきゃなって感じです。
不思議なのが、繊維に使わせてもらっている毛は、よくこの動物の毛を使ってみようと思ったよな、とか思ったりします。
羊の場合は、人間が交配して、3000種類くらい、その中でメリノ種が特に良いんだね。
アルパカはペルーが一番多いから、その毛を単純に使ったのが初めだったんじゃないかな。
そこにいる動物の毛をうまく、いろんなものを多分使ったと思うんだけど、その中でどれだろうかって考えると、細くて柔らかくて、その方が使いやすいわけじゃない。
まあそうですよね。あったかそうですしね。
昔はみんな梳毛だったんだろうね。紡毛は使えない。
どっちなんでしょうね。でもなんか紡毛の方が、紡績の原点ではあるじゃないですか。
でも、昔の毛は細い毛じゃないから。
その獣毛を扱うってなった時、もうその紡績機器が充実してる時だったんですかね。
大昔は紡績機は無かったから、手で引っ張り出して、紡いだんじゃないかな。
でも、それやるって言ったら、アルパカの毛なんてツルンツルンで全然絡まらないじゃないですか。どうやってやったんですかね。
やっぱり洗いをしないと。でも、あんまり洗っちゃうと、フィッシャーマンセーターじゃないけど、油があれば、それだけ雨とかって弾くじゃないですか。
そうですよね。
動物によって、当然、毛の特徴が全然違うんですけど、羊の毛は、なんとなく人間と似てるじゃないですかね。
カシミヤとかが、キューティクルがなくて細かくてツルツルで、毛の中で一番細かい。
カシミアとセーブルの違いも、中に気泡があるかないかみたいなのも結構違ったりして。 純粋にその紡績のことを考えると、絡みにくい毛ほど引きにくいものはないですよね。
そうです。イタリアに行くチームにもそういうふうに、ビエラの紡績を見てきてもらうと面白いのかな。
紡績もそうですけど、日本の撚糸って特徴的だよねって話が最近聞こえてきてて、あ、そうなんだって改めて思ったんですけど、逆に海外の撚糸も見てみたいですよね。
見たことないんだけども、向こうの人たちは、特にニットの世界っていうと、当時だと一番多かったのは12ゲージ、14ゲージ。じゃあ14ゲージに入る番手って何番?っていったときに、48番でいいよねって。それ以上細いの作ったってしょうがないわけだよね。
だからそういうものを向こうの人たちは作ってなかった。日本の撚糸工場が簡単に60番の撚糸なんかやってるっていうのを見て、向こうの人たちは驚いたって話を聞いたことがあります。自分たちはそんなに必要じゃないから細いものを作らない。日本の場合は細いもの、より細いものを作っていったんだね。
そうですね、クラフトマンシップってやつですかね。確かにそういう細くて綺麗なものを作るのは日本はすごい上手なんですよ。
今どうか分かんないけど、昔聞いた話だと、オリンピックに出場する選手のウエアはすべて日本の繊維なんです。競技に出るときに着用するくらい日本の繊維が繊細なんです。本当にコンマ何秒争う人たちだから、抵抗がないとかという部分では日本の繊維をつかっていたんだね。
ただ一般的に向こうの大手のスポーツメーカーが使う繊維は自国の物で販売してるじゃない。コンマ何秒で争う選手たち用のウェアは自国の繊維で作らない。オリンピック選手がそこのマークを付けて出場してるけど、本当はもう日本の繊維だったみたいだよ。
そういう意味では確かに撚糸っていうのは結構しっくりきますね。必要がなかったっていう話も面白いですね。
ゲージに合わせた物作りにしてたからさ。
それでも会長がもう35年以上前かな、ヨーロッパから買い付けてきた16番単のモヘアタムがあったんだ。当時日本にはそんな細いモへアがなかったから、これ細くて柔らかくて、やはりいい糸だと思ったよ。
当時は日本のモヘアって9番とかですか?
そう、9番とか12番。よく売ってたのが3.5番とか6番とかの3ゲージとか5ゲージ、7ゲージ用とかが多かったね。
じゃあ会長が買い付けてきたそれで12ゲージにかかるもモヘアタムが生まれたわけですね。
良かったね。
当時でも1万円したけどね。
当時で1万円ですか。
でも作った商品は130gくらいでできるんだ。
うん、でしょうね。軽そうですよね。
使ってもらったんだよね。一型1000枚だって聞いてさ。 え、高い糸で1000枚って思って、楽しみでさぁ。オーダー来たら1枚当たり130gだって・・・。
まあでもお客さんとしてはそういうデザインっていうのがやっぱりいいわけですよね。当時その3番とか9番のモヘアタムっていくらだったんですか?3、4千円ですか?
もうちょっとしたな。
でもやっぱ体感的には16番で1万円って倍ぐらいのイメージかな。質もすごく良かったし。
面白いですね。なんかやっぱそういう時の話を掘り下げれると、また新しい発見があるんだろうなと思います。
デザインが変わったからね。
昔はよりゴージャスに見せるためにさ、モヘアでもより毛が吹く太い番手のものの方が良かったんだね。ふくよかに見えたもんね。今スタイル変わってるじゃん。細身細身になってるから、そういうもの着ない。だからアンゴラにしたって、昔はもうどんだけアンゴラが吹くか、、毛を立たせるかっていうのが良かったんでね。
今はもうそういう風なデザインスタイルじゃないから、アンゴラっていうのは使わないかな。
アンゴラが無くなってきてる理由が色々あるんでしょうけど、でもゴージャスとか繊細とか高級なところ、行き切ったとは言わないにしても、そこも充実してくると、やっぱ面白いのが今度逆なんですよ。僕も個人的に好きなんですけど、ベビーアルパカも良いし、アダルトアルパカも好きなんですよ。こっちのゾーンも、今後原料供給の問題も色々あると思うんですけど、今見ると結構面白いんですよね。
柔らかくて当然だと思う。原料はそうだけど、風合いもそういう意味では悪いかもしれないですけど、それにしか出せない雰囲気ってめちゃくちゃあるじゃないですか。そういうのってどうなるんだろうなと。なかなか購入ロットがでかいんですよね。
たまにお客さんと話していて、例えばモヘアタム。モヘアタムって柔らかい物があるじゃないですか。それと普通のレギュラーのモヘアタムがあった場合に、この使い分けが必要なんだ。柔らかい物っていうのは肌に優しいけども、形になりにくいんですよ、柔らくてトロトロするもんね。ところが、ちょっと張り感があって、ちょっと肌にチクチクする感じの糸の方がシルエットが出しやすいんだよね。
だからその辺は使い分けが必要です。何を作るかによってね。
編みの面白さはそこから生まれてきますね。どんな糸を使って、糸をどう組み合わせるか。
柔らかい糸で、固いガシッとした編みで、とか。それをコストバランスを考えながら作る。柔らかい糸でそれをやると、柔らかい糸は高い。ガシッとした編みは目付けが多くなるから、高いものになってしまうんですよね。
高くなっちゃいますね。
いくらでもいいよって言えば、そうなるんじゃないですか。やはり、値段とのバランスがあるからね、考えないといけないね。
そこがきついところでもあるんですけど、面白いところでもあるんですけど。
今日もいいお話が聞けました。ありがとうございました!
日本の技術力の高さと努力により、今日のより細く、繊細な糸がどんどん生み出されていったんですね。トライスピンの機械は35年くらい前からあったようです!
エコ原料の背景も興味深いと感じられた方も多いのではないでしょうか。
次回もお楽しみに!
]]>糸を学ぶなかで最初の方に勉強するであろう、糸の番手やマイクロン、繊維長について話を聞きました。丸安毛糸メンバーも学び始めたときはごっちゃになっていたようです。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
今回のテーマは「繊維長とマイクロン、糸の番手」についてです。
この辺、僕最初めちゃくちゃごっちゃになってました。
番手って糸の太さと重さと長さの比率のことですよね。
番手はあくまで糸として完成した後の話ですから。
繊維長は糸になる前の繊維の話。毛の長さ
繊度っていう言葉があって、繊維の「繊」に、度目の「度」って書くんですが、それをマイクロンという言い方をするんですか?
それは太さのことだよ。
繊維の太さですよね。
そう。一本一本の繊維の太さのことだよ。
それって原料の話じゃないですか。
そこにやっぱり番手の話を一緒に学んじゃうので、ちょっとごっちゃになっている時はありました。
マイクロンとかって、どっちかというとやはり毛の方の話だね。で、合繊はみんなデニールになってくるからさ。
いきなり難しいこと言っちゃうんだけど、150デニールとかなんとかって、それを例えば75デニール、36フィラとかさ。
75デニールの糸を75本のフィラメントで作っているのが75デニール75フィラメントで、75デニール36フィラメントと言うと倍ぐらい太いじゃない。
75デニールというのは太さだとすると、その太さにするために使っている繊維の構成本数のフィラメントで75本の構成本数で結果的に75デニールになっているよというものと、36本の構成本数で結果75デニールになっている場合、どっちに使っている繊維の方が太いですか、ということですよね。
結果の太さは一緒だけど、そこに使っている質は75本束ねるか、36本で済んじゃうのか、みたいなのがマイクロヘッドライトですからね。
例えば、今うちでやっている「Proof PLUS α」は75デニールの75フィラメントで、「Proof PLUS stretch」の方は75デニールの36フィラメントだよね。
その差はどうなんですか?
75デニールで75フィラということは、1本の繊維の太さが1デニールじゃない。ところが75デニールで36フィラということは、倍だから1本の太さが2デニールになるわけよ。だからそっちの方が、厳密にいうと糸的には硬い。
要は繊維のフィラメントの太さが、太ければ太いほど硬くなる。強くなるんだよね。
最初の原則として、糸を作るときにどういう繊維を使うかみたいな話でいくと、細い繊維をたくさん束ねた方が、糸としてはしなやかというのは覚えておいてもいいかもしれないですね。
20マイクロンとか16.5マイクロンとか、一応聞きました?
マイクロンの話で言うと、18.5マイクロンのアルパカで“ロイヤルベビーアルパカ”を超える細い糸があって、どういう名付けをするか?という話は先輩との話ででました。
「アルパカの原料としてすごく細いものが手に入ったよ」ということだと思うんですけれど、48番の交撚糸を作る時に、レギュラーと呼ばれる繊維長が20.5マイクロンくらいの原料を使うのと、16.5マイクロンのもっと細い原料を使うのと、やっぱり細い繊維をたくさん束ねた48番の糸の方がしなやかになる。
原料も高いし、使う目付の量も多い。値段にも響いてくる。
マイクロンって数字が小さい方が細いんですね。ウールでいうと、細いものとして高級ゾーンの中でも割とみんな使っているのが16.5マイクロンとか17.5マイクロン。
それ以上もあるんですよ、15.5マイクロンとか。
それがとんでもない高級ゾーンになってくるんですけど、マイクロンだけ比べると、なんとなく羊よりアルパカとかモヘアの方が柔らかそうじゃないですか。
22.5マイクロンの「レギュラーウール」って呼ばれるウールよりもアルパカとかモヘアの方が実は太いんですよ。
レギュラーのモヘアって30マイクロンくらいでしたっけ?
30マイクロンくらいだよね。いいやつで24.5マイクロンくらいかな。
普通のウールより良いモヘアの方が全然太いんですよね。
またちょっと話が飛んじゃうけど、モヘアって糸だけで考えると決して温かい糸じゃない。
モヘアって獣毛の中で一番繊維長が長くて光沢がある。女性ものにはあんまり使わないけど、昔男性の夏用スーツには高級生地としてモヘアを使ってた。
そんなに保温性がないから、夏向けだったんだよね。だから、モヘアをあったかくするっていうのは、やはりタムタムヤーンやブークレーみたいにして、ふくらみを持たせるとか、そういうふうにするといいよね。
保温性を良くするんだけども、でも単純にストレートだと、わりかし通気性が良くて。だから、男性の夏物の生地に使われるんだよね。
モヘアって暖かいイメージありましたね。
獣毛の中で一番保温性ないのはモヘアだよ。だからタムタムにして、空気の層を作ってあげる。空気が逃げないようにって感じかな。
へぇー。
モヘア=タムみたいなのが、主流っちゃ主流ですしね。
ループにするのもわりかし大きなループしかできないんだよね。糸にハリがあるからね。細かいのはちょっと難しいかな。
その辺はやっぱりベビーアルパカの方がしなやかかな。カシミヤはやっぱり保温性はいいよね。細いし、やっぱり繊度が細いじゃない。
カシミヤは15.5マイクロンとかね。細いワタで糸を作るからそこに保温性が生まれるわけ。ところがさっき言ったモヘアなんかだと繊維が太いからどうしても熱が抜けていっちゃう。あまりにも通気性が良すぎちゃうだよね。
ただ、あんまり細い繊度のもので太い糸を作っても、今度はクタクタになりすぎちゃって。すごいダレダレになるんですね。ピリングも非常に悪くなってしまう。
絶妙なバランスの糸設計をしないといけないんですね。
16.5マイクロンの細いウールだけでそもそも作るとね、膨らみがない。あまりにも細いやつだけだと締まっちゃうから。そこにちょっと粗い原料を入れてあげるとそいつが少し起こしてくれて糸に膨らみが出て風合いも良くなるんだよ。
ああ、なるほど。
そうっすよね。そういう話になってくると紡毛の面白さが止まらなくなってくるじゃないですか。
紡毛の紡績工場さんと、「この配分だったらどうだ?」みたいな話してるのがすごい面白いんですよ。
バルーンの原理が一番似ているもんね。
だからアクリルのバルキー性をうまく使って、温度を上げた時にアクリルのバルキーが縮む。そうすると糸が膨らむっていう原理。
ふわふわですね。
そうそう。そうすると軽く上がるし。
軽くなるんですね!
太くて軽くなる。奥深いでしょ。
奥が深すぎます。
奥深いのと幅も広すぎて、どこから手を出していいかわからないですよね。
説明してもらえれば分かりますけどね。
体験して困って、聞いて理解するが、やっぱりなんだかんだ一番早いのかもしれないですね。
そうだよ。僕が一番覚えたのって、全部クレームだからね。
じゃあどういうふうにやってもらったらいいんだろう、で、クレームからいろいろ物を学んでいく。
覚える、そのきっかけがクレームなだけで、目的は多分人に伝えることだと思うんですよね。そのクレームをお客さんに説明しなきゃいけないじゃないですか。ただ、確固たる知識がないと伝えられない。そっちなんだろうなって思いますね。まだまだ、一生かけても多分覚えきれないですよね。すごいです。
本当に。いやー、この間から言ってるけど、長繊維の世界だったらまた別だしさ、全然わかんない。
丸安毛糸としては長繊維よりも、もうちょっと短繊維寄りって言ったら、それも語弊があるんですけど。
いやー、やはりどうしたって、ニットとかってさ、短繊維の方がやっぱり多いんじゃないですかね。
そっちで仕事してきたから、あんまり触れてこなかったのがありますよね。
だから、どうだろうな、ニットの中で、昔からある長繊維っていったらシルクぐらいなもんじゃないの。あと繊維長がちょっと長いのはあとは、麻のラミーとかね。
僕が知っているレベルだと、ことニットで前はあまりポリエステルは扱ってなかったんだよね。
ニットで本当に長繊維が出てきたっていうのは、どうだろうな。アクリルの長繊維が出てきてからかな、使われ始めたのは。
三菱レイヨンがやってた「シルバロン」、旭化成がやってた「ピューロン」っていうのがあったね。その前にレーヨンの長繊維があったね。
世界でアクリルの長繊維って、各国でチャレンジしたんだけども、最終的にモノになったのはこの2社だけだった。前回話した毛混のアクリル短繊維とは全然違う次元の話ですよね。
アクリル長繊維?
なんでアクリル長繊維に挑戦しようと思ったんですかね。
やはりより長い方が強いからじゃないかなと思う。光沢もあって綺麗だったし、良かったんだけどね。ちょっとあまりにも“アクリル離れ”っていうのがあったりして、やはり長繊維の量って絶対量が少ないわけよ。
でも、長繊維と短繊維、どれが何に入るのかもわからないんですよね。
そもそもでいくと長さの違いだって、じゃあどこからなの?とかって話になるし。
分かりきっているのは、動物の毛は全部短繊維ですよね。綿なんかもそうだし。どうだろう、紡毛に入っているナイロンなんかも、はじめは長繊維なんだけど、途中でカットするんだよね。
短繊維を作っているんだよね。いろいろ違うからね。
綿もあれですよね。短繊維っていう括りの中の話ですけど、「超長綿」っていうものが存在しますよね。
綿の中では長いよね。普通綿って、大体レギュラーのものって1インチ。繊維長が2.5㎝くらい。
超長綿はその倍近く、4.5㎝ぐらいあるかな。中長綿とかていうのもあるよね。
超長綿って言うから、長繊維なのかと思いました。
思っちゃいましたね。短繊維の中で長いよってことですね。短髪かロングヘアかみたいなことですよね。やろうと思えば永遠なんですよ。
そうだろうね。例えばシルクの場合、着物なんかのシルクは、一本の長さが18m。それがこのシルクの柄になっているんですね。柄が出てくる。だからそれを切らずに使うっている。
絹なんか光沢があって強いっていうのは、「正絹」っていうものになるんだけども、着物用のシルクだね。だからそのくらいの長さがあるんだよ。
以前「正絹だからこの糸は強くて」って言われたんだけど、正絹じゃないものもあるんですか?
一番短いのは、「ローシルク」。
蚕さんが作る絹をお湯のなかでぐるぐるぐるぐる解いていって、一番いいやつは正絹という。最後蚕さんが出ていったあとの繭からできたものをローシルクって言う。
ローシルクって独特の匂いするじゃないですか、編んだ後も。
ちょっと脂っぽさがあったりとかね。
すごいな、今日は色んなところに話が飛んでるね。
そうですね。色々と聞けて良かったんじゃないでしょうか。
今日のところはここまで!次回もお楽しみに。
いかがでしたでしょうか?基礎的な内容ですが、初心者にとっては混乱しがちな内容ですよね。
ぜひ、皆様の理解の一助になっていれば幸いです。
]]>なぜウールにアクリルを混ぜることがあるのか?糸を燃やすことでその糸が何からできているかわかる、など、意外と知られざる?お話も含めて、たっぷり2本立ててでお届けします。
※個人的な見解が含まれる場合がございます。あらかじめご了承ください。
始まりました、「教えて!ターさん」。
今回は入社してまもないメンバーをお迎えしています。
よろしくお願いいたします!
まだ入社したばかりですけど、なんとなく聞きたい方向性とかってありますか?編み寄りなのか、糸寄りなのか、とか。
糸寄りかもしれないです。糸を作るうえで、素材による良し悪しとか、何と何は合わせられないとか。先輩が商談後に計算をしてたりするので、何してるんだろう?とは思ったりしますね。
計算するのって混率を出してるんじゃないかなって。
アクリルとレーヨンとその番手によって合わせた時に、アクリルが何%でレーヨンが何%っていう計算を、アクリルの太さとレーヨンの太さの差を割り出しているんじゃないかな。
そういうのって、アクリルが30%より多くなったら成立しないとかもあるんですか?そこら辺もよく分からないです。
そこは結構グレーゾーンで、成立するものも成立しないものもあるね。
良し悪しっていうより、成立するかしないかの話ですけどね。
混率の話をすると、例えば一番安い秋冬素材で、ウールアクリルになると思うけれど、ウールの混率が高ければウール寄りになってくるし、アクリルの混率が多ければアクリル寄りになってくる。
アクリルが多いとウールよりアクリルの方が値段が安いから、安価な素材ができる。ウールを多くして風合いをよくするか。だからそれはどっちを取るかになってるよね。
そういうことですか。じゃあ、目的に応じて変えていくってことですか?
アクリルが10%っていうものは作らないけども、ウールが10%ってことはあり得るよね。
アクリルが90%だとそれだけ安くなるけど見た目も風合いもアクリル寄りだよね。
ウールが10%入ってますよ、じゃあ10%より20%~30%の方が少しずつウール寄りになってくるよね。
じゃあ50%、50%でやったらどうですか?
それは、ウール寄りになってくるけど、値段が高くなってくるからどうなんだろうな。
わりかし多かったのはね、アクリル70%、ウール30%とか。
で、本当に安いのはウール10%とかじゃないかな。
考え方としては、例えばウール原料の塊が1kgあたり5,000円という価格がついていて、アクリル原料の1kgの塊1,000円をどういう割合で混ぜるか。
アクリル90%で900円の原価になるんですね。で、5,000円のウールも10%使った方が500円。その価格だけだと1,400円という原料ができるよね。
それが逆になっちゃうと、ウールが90%だと4,500円と、アクリルが10%で100円だと4,600円の原料費なんですよね。
単純に値段だけで言うとそれくらいの値段の差がでちゃう。それだったらもう、逆にウール100%にしちゃった方が良かったね、ということになるよね。
確かに、そうですね。
ウールアクリルとかのお話で、面白い言葉があって、 「毛混」って言葉があるんですよ。
毛が混ざるってことですか?
「アクリルが主体だよ」っていう主語がつくんですよ。アクリル100%にせずに、ウールちょっと混ぜたよっていう言い方なんですね。
「アクリルの中に毛が混入されてるよ。毛がちょっと入ってるよ」という。
変な言い方が、ウールがちょっと多い毛混とか、ウール40%、アクリル60%とかなると、「ウールが40%も入ってる毛混なんですよ」とかね。
なるほど。
「綿混」っていう言葉もあるんだけども、それはアクリルに綿が入ってるんだけどさ、その場合は、綿はあんまり高くないからだいたい綿50%アクリル50%なんだよね。
暗黙の了解ですね。
だいたいそんなぐらいかな。毛が高いから10%とか20%とかっていうのもあるけども、綿の場合は原料の綿自体が安いからね。綿10%アクリル90%ってないもんな。
『バルーン』とかはウール70%アクリル30%で、あれを毛混的な言い方をすると、「逆混」って言うんですよね。なんだよ、その言葉って。
ウールが多いときは逆混。ただ、バルーンの場合は、アクリルを入れて糸を膨らませるためなので、安くするためとかっていう、そういう目的じゃないから。
だから、ウール自体もいいウール使ってるしね。
うーん。そうですよね。いいアクリルって意味わからない言葉を使ってますね。
そう。バルキーアクリル。
ああ、バルキーアクリルはよく聞きました。
あとは、その素材の組み合わせの観点で、成立するしないのをちょっと手前の難しいことがあって。
前回の話もそうなんですけど、分かりやすいのは「染色」かもしれないですね。染めの相性が悪すぎるもの同士っていうのはやっぱり存在するんですよ。
例えばレーヨンポリエステルは色合わせが難しい、とかあるんですよ。
ポリエステルだけ染める、レーヨンだけ染めるっていうのをやって、同じ色にしていくんですけど、そこの色割れっていうのがちょっと起きやすかったりとか。
色を合わせた時に、両方染めて「一見色」で合わせちゃう。そうすると、多少のブレがある。本当は、レーヨンとポリエステルをぴったし色を合わせて、元見本に合わせれば、ムラもなくなる。段ムラもすごく少なくなる。
チーズで染色した時に、内側と外側と多少色が違ってくるんだけど、その差も分かりにくい。
昔、綿アクリルのアクリル長繊維が流行ったんだけど、1990年代当時だと、糸って、撚り始めと撚り終わりって、撚り回数が変わってきちゃうんだよ。
始めの方は抵抗があるから、グッと撚りが入ってて、最後の方は撚りがちょっと開いた感じになる。それを繋いだ時にムラになる。内外差だけじゃなくて。
キュッと撚りが入っていると、染料が入らないってことですか?
そうじゃなくて、キュッと撚りが入っているとやっぱり濃くなって見える。開いちゃってる部分と結んだ時に段ムラみたいに見えちゃうんだよね。
実際は、綿とアクリルをバラした時に色が違う。元見本に対して両方ブレてる。ただ一見色で元見本に合ってるっていう形になる。
一見色は、違う繊維を合わせることで元見本に合わせるっていうことですか。
うん。だから例えば、アクリルサイドがちょっと濃くて、綿サイドがちょっと薄い。それをプラスマイナスで、 元見本に非常に近い色になってたりとか。
本来は、この綿とアクリルをきっちり合わせるから、 そういうことも少なくなるんですよ。
ターさんが着ているトップグレー風のフリースも、ある程度バラすと白と黒が出てくるんですよ。それが混ざって、パッと見、グレーに見えるんですよ。
そういうことですね。
トップグレーって、簡単に言ったら、 白と黒の割合だけだから。だから、チャコールにするには黒の比率が多くなる。シルバーグレーは、少しだけ黒を入れる。
トップグレーは、結構どの素材も馴染みのある色なので、ウール100%でトップグレーのある糸とかちょっとほぐしてみると、 本当に白と黒が出てくるのが面白い。
じゃあ、細かく見れば、黒と白になっているんですね。面白いです!
紡績さんはトップを作る時に何対何の割合でこの色って決まっているからね。
専門用語がいっぱい飛び交っていますよね。
そうですね。「一見色」とかも普段の生活では聞かないですよね。
これも仕事しないと使わないかもしれない。一見色も「パッと見た目の色」ということだね。
使っているうちに、それが専門用語だったのか、普通なのかが分からなくなっちゃう。自分が普通だと思っていると、そうじゃなかったりとかするから、都度聞いたほうがいいですよね。
そうですよね。先輩の商談に同席すると「ガス焼きシルケット」とか出てきて。何か聞くと、ガスで焼くんですとか、ツルツルにするんですとか。「えぇ!」みたいな(笑)。
その名の通り、ガスバーナーで糸を焼くんだよ。焼くと表面の毛羽がなくなるんだよね。
だから、綿でガス焼きとかっていいんだけど、僕は前にレーヨンのスフ=炭繊維のやつをね、どうしても毛羽が出てるから、これ毛羽取るのにガス焼きしてくんない?って言ったら怒られてさ。
レーヨンってすごく燃えやすいのよ。だから、毛羽だけ焼けても、火がコーンの中に混じっちゃう。で、あとで発火して火事になっちゃう。そんなことどこもやんないよって。
単純に毛羽を焼けば綺麗になるかなと思ったのにさ、失敗だったな。
レーヨンのワタは長繊維と短繊維があるから分けて使うんだ。光沢があるのが長繊維、毛羽があってやわらかいのが短繊維なんだよ。
だからあれなんですね、「難燃レーヨン」っていう逆のものが生まれるんですね。
燃えにくいレーヨン。
一回レーヨンを燃やしてみたら、すっごく早く燃えていくから。導火線のようにサーッと燃えていく。
えー、怖い。アクリルとどっちが早いんですか?
アクリルの方が遅いね。で、アクリルは玉になるから。綿とかレーヨンは綺麗に燃えていって、無くなっちゃう。ところが、ポリエステルとかナイロン、アクリルは石油から作っているから、チリチリチリチリと線香花火みたいに燃えていって、玉になる。
あー、そっか。炭というか。
触った時にちょっと硬い。だから昔は、この混率なんだっていう時に、糸をばらして燃やして、何と何の撚糸ものとかっていう。
燃え方が早いからレーヨンですね、とか。こっちは玉になるからアクリルですね、とかね。
混率を知りたいシーンって、お客さんから急にスワッチだけ送られてきて、何も情報がない時があるんですよ。物だけあって、番手も混率もゲージも何も書いてない。お客さんもそれが気に入ってるだけで情報を持ってないっていうし、ちょっとでもヒント探すために混率を知ろうとするんですけど。
僕も若い時、ターさんに「これ何だと思います?」って聞いたら「よし屋上に行くぞ、ライター持ってこい」って。それで、「この燃え方はポリエステルだな」って。
ポリエステル、アクリルの中でも燃え方ってあるんですか。
うん、多少やっぱり違うよね。で、あと匂いと。石油系でもやっぱり匂いが若干違う。作る時に入ってる薬品が違うから。
ただ最近そういうことを何年もしてないからね。今はちょっと自信ないかな。
昔は結構やってたんですか?
結構やってたよ。
動物の毛はどうでしたか?
毛は簡単。髪の毛燃やしたのと一緒の匂いだから。
さっきの話じゃないけど、アクリルウールでパッと燃やした時に、毛の匂いがすごく強ければ毛の混率が多いし、玉になるのが大きければそれはアクリルの混率が大きいし。
レーヨンを燃やす時なんかはね、手で持ってると危ないの。火の燃え方が早いからヒューって手元まですぐきちゃうから。何かで挟んで燃やしたね。
レーヨンは植物から作ってるからですか?
パルプから作るからね。だから早いんだよね。
「ガス焼きシルケット」って言ってくれるだけ丁寧ですよね。「ガスジル」とかって略したりするんで。そう言われるともう、もっと分かんないですもんね。
「連シル」とかって言うからね。連シルって、ガス焼きと薬品でシルケット加工を連続で一緒にやっちゃうんだよね。
ガスジルの場合は先にガス焼きして毛羽をとっておいて、その後にシルケットをかける。大量にやる時って、糸をパンパンにしなきゃいけない。たるんでいると綺麗にできないから、力でいくと3トンくらいの力で引っ張るんだよ。
シルケットって僕もそんなに実はよくわかってないんですけど、あれって薬品で光沢持たせるわけではないんですよね。
薬品で焼くんだよな。焼くって言い方おかしいけど、それで毛羽を取る。
かつ、ガスジルの場合って引っ張って戻るじゃないですか。納得したガスジルのイメージは、こう一本の糸が引っ張られるんで、引っ張るって要はちょっとねじれていくんですよ。
ねじれると糸がそういう扁平の形状に近づくっていうか。そうなるとちょっと光沢が出る、みたいなのがガスジルの原理らしいんですね。だから糸としては実は綺麗じゃないんですよね。
だからこうスジムラみたいに、ちょっと嫌な見え方する時も結構あったりする。
本当は、さっき言った連続シルケットの方がいい。
今、話の流れでシルケットになっちゃいましたけど、主語がシルケットになってるから、その前の「糸がなんなんだ」っていうところ分かんないですよね。綿の話してるのか、ウールの話してるのか。
ウールの場合、本来シルケットじゃないからね。
だいたいやっぱり綿ですか?
綿だね。麻はかかるのかなぁ。リネン自体光沢あるからね。
そうですね。意味ないことはないじゃないですか。
ラミーは光沢あるからね。そういう意味では麻は意味ないかな。
一旦今回の「素材の組み合わせと特性」についてはここまで!
次回は後編として「繊維長とマイクロン、糸の番手」について続きます。
お楽しみに。
今回の「教えてターさん」はいかがでしたでしょうか。糸の世界にも、数多くの専門用語が存在するんですね。次回も引き続き、お楽しみに!
]]>
個性的な形状や質感でニット製品をより魅力的にしてくれる「ファンシーヤーン(意匠糸)」。
「どうやって作ってるの?」と疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。
今回は製造方法におけるファンシーヤーンの種類と特徴、『MONTELUCE』で展開しているファンシーヤーンまで詳しくご紹介します!
様々な種類のあるファンシーヤーンですが、製造方法によって大きくは4つに分けられます。
①撚糸技術を基としたファンシー・ヤーン
②紡績技術を基としたファンシー・ヤーン
③紡績と撚糸を駆使したファンシー・ヤーン
④二次加工によるファンシー・ヤーン
①~④まで詳しく解説していきます。

撚糸技術を基としたファンシーヤーンは、複数の糸を巧みに組み合わせて作られます。
代表的な例・・・リング、カベ、ブークレー、ループ、コード、ノット、カール、リリヤーン、モールなど
これらの糸は、芯糸、飾り糸(浮き糸)、押さえ糸を使用し、それぞれの糸の張力や供給速度を調整することで、独特の形状を生み出します。
例えば、ブークレーヤーンは、芯糸に対して飾り糸を多めに送り、凹凸をつけた後、押さえ糸で形状を安定させています。
紡績技術を基としたファンシーヤーンは、紡績の段階で特殊な加工を施すことで作られます。
代表的な例・・・スラブヤーン、ネップヤーン、コアスパンヤーンなど
これらの糸は、紡績時にトップ(わた)の段階で異なる繊維を混ぜたり、意図的に不均一な太さの部分を作ったりすることで、独特の風合いを生み出します。
紡績と撚糸の両方の技術を組み合わせて作られるファンシーヤーンもあります。
代表的な例・・・トライスピンによる紡績ブークレーやループ、タムタムヤーン、紡績リリヤ―ンなど
紡績段階での特殊加工と、撚糸段階での形状付与を組み合わせることで、より複雑で独特な風合いを実現しています。
二次加工によるファンシーヤーンは、糸が作られた後に追加の加工を施すことで生み出されます。代表的な例・・・エアー混繊、仮撚り、ギマ(疑麻)加工、コンニャク加工、絣染、スペック染など
これらの加工方法は、既存の糸に新たな特性や外観を付与し、より多様なデザインや機能性を実現します。
MONTELUCEのファンシーヤーンのラインナップは、以下が挙げられます。(一部抜粋)
| ブークレー | パフ2 |
| ブークレー | マリアブークレ― |
| コード | アメジスト |
| コード | アンシェント |
| コード | スカイジー |
| リリヤーン | クレアライト |
| リリヤーン | エリカ |
| ノット | エッフェル |
| ノット | カルーナ |
| ノット | シロップシャーノット |
| カール | ムスキオ |
| モール | ヴェルート |
| ネップ | オリベット |
| ネップ | セーブリッチツイード |
| 紡績ループ | アトン |
| コンニャク加工 | ピサ |
今回は製造方法からみるファンシーヤーンの種別を解説していきました。いかがでしょうか?其々の形状や特性を活かし編んでいくことで、唯一無二のテキスタイルが実現できます。今回例として挙げた『MONTELUCE』のファンシーヤーンも一部ですので、もし気になる糸をお探しの場合はお気軽にお問い合わせください!
本記事の執筆にあたり、下記サイトを参考にさせていただきました。
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