入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決……。
青春小説、と言えばそうなのだが、伊坂幸太郎の筆にかかると、人の密度が濃く変化し、時空にも変化が生じる。
これは、期間限定の、青春という名の理想郷を描いた物語だ。
SFっぽくもあるけど、でも違う。ある種のファンタジー。それは紛れもない青春という舞台の、パラダイスなのだ。ちょっとした、いや、かなりの悲劇も起こる。それでも舞台はエデンの園。
もちろん物語は、伏線という見えないラインで繋がれている。伊坂幸太郎らしく。
そしてあなたも、伊坂幸太郎の見えざるタクトに誘われて、登場人物たちと一緒に青春を疾走し、駆け抜けるのだ。
二度とない季節がここにある。
それにしても、こんな面白い小説を書き続けられる人って、実際いるんだなあ、伊坂幸太郎。すごい。
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]]>この小説を読み終えて、私の頭に浮かんだのは「ボレロ」という言葉だった。あるいは
「カノン」。同じメロディーというかモチーフが繰り返されながら少しずつ豊かに積み重なっていくあの曲のように、この物語は静かに、しかし確実に読者の心に染み込んでいく。浅間山麓と青山を舞台に、美しいタペストリーが一本一本の糸で編まれていくような感覚だ。あるいは、上等で重層な味わいを抱いたスープを楽しむような感覚。
「バベットの晩餐会」で登場するディナーを味わうような。
劇的な事件があるわけではない。それでもページをめくるたびに、不思議と不安になり、安堵し、ドキドキし、驚く。
この小説は、何気ないしかし純粋で力強い素材を時間で調理した料理が絶妙のタイミングで供されるフルコースを味わわせてくれる、稀有な一冊だ。
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]]>そして物語の中で展開されるドラマは、少しドロドロの恋愛劇。ドロッドロじゃないんです。少しだけドロドロなんです。結構大変なことも起こったりします。でも文章が美しいから。それをドロドロに感じないんですね。
松家 仁之さんの他の作品も読んだことがあるのですが、上手に家が描かれます。その家がとても大切な舞台。そしてそんな家があるならば、僕も住んでみたいなぁと思います。ありそうでなさそうな家、ありそうでなさそうな恋愛。
とても地味なイメージのある作品なんですが、決してそうではなく、ああ、爽やかな、でもドロドロした恋愛だなと思ってたら、最後は大きな絵が描かれている、そのような小説です。
説明が難しいな。でも、ぜひ読んでみてください。特に、家に興味がある人とか、恋愛ものなのかな?でも、まあそうだね。男女関係の移ろいを楽しみたい人はきっと面白いと思います。
マガジンハウスのCasaで連載された小説なんです。もしかしたらこの説明が一番伝わるかもしれませんね。
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]]>第21回大本周五郎賞 第5回本屋大賞
物語の舞台は仙台。首相暗殺というショッキングな事件に遭遇する主人公。それはジョン・F・ケネディの暗殺をも彷彿とさせる陰謀劇が展開される。
もちろん、伊坂幸太郎さんの作品なので、伏線は至る所に張り巡らされていて、その展開がまた半端ない。
あまり書き込むとネタバレになるので、伊坂さんの作品の紹介はこの辺りがとても難しいけど、僕はゴールデンスランバーの中で2回ほど泣きそうになったところがある。まあ、つまり感動をしたところということだけど。
もしかしたらここからは少しネタバレになるかもしれないので、それが嫌な人は読み飛ばしてほしいです。
僕が泣きそうになった2か所は、主人公が両親に自分は生きているということを伝えるところ。これがまた、主人公と両親にしかわからない方法で伝えている。
伊坂幸太郎さんはよくこんなことを思いつくなと思う。物語を作る人として才能が湧き出ているんだろうな。
もう一つ泣きそうになったところはラストシーンだ。
ここを多く語ると本当にネタバレになってしまうので、紹介が難しいんだけど、このラストシーンで僕は、これは陰謀をメインにしたサスペンスものでもミステリーでもなく、壮大な恋愛ものだと思った。
ここも主人公が両親に自分は生きていることを伝えるのと同じように、主人公の元カノが主人公に誰にもわからないように、二人にしかわからないようにメッセージを告げる。
改めて感嘆するんだけど、なんで伊坂さんはこんなことを思いつけるんだろう。
もう一回言おう。ゴールデンスランバーは絆の物語だ。
信頼の物語だ。
友と。親と子と。男と女と。
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]]>メディウムを読み始めて数日、クライマックスに突入した瞬間、私はちょっと信じられない思いに駆られたのです。
メディウムは、2019年の「このミステリーがすごい!」の国内作品で堂々の1位。間違いのない作品。で、あるはずなのですが、とてもキュートな霊媒師が登場し、ミステリー作家とタッグを組んで殺人事件を解決する様は、いやいや、これ、よくある話でしょ。オムニバス的に展開される幾つかの事件も、う~ん、面白いけど、このミスNo.1か?と問われれば、そこまでではないし。
何だかモヤモヤしつつ読み進めていったのです。いや、面白いんです、間違いなく。ただ、このミスナンバー1なの?という疑問がついて回っていたのですが。
ミステリーなので、ネタバレはNG。だからあまり書けないのですが、2020年の年始、3日だったと思うのですが、ちょっと用があり、メディウムを読みながら電車移動をしていたのですが、冒頭にも書きましたように、思わず「嘘だろ?」と言葉を発していたのです。
この場合「やられた!」とほぼ同義語なのですが、いや、違うな。
まず「嘘だろ?」と少しパニックになり、その後、十数秒何も考えられない状況が続き、そして「やられた!」と感じたのだと思います。
やられました。
このミスナンバー1の看板は嘘だろ?と思えるほど、嘘じゃないです。
この素晴らしきミステリーを、ぜひ、読んでみてください。
medium 霊媒探偵城塚翡翠
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]]>ダイエットをしたことがある人は、多くいらっしゃると思います。かく言う私もその一人。何度もトライし、何度も諦め、あるいは、何度も、まあいいか、と思い。そうですよね。うまくスマートになれたかな、と思ったら、元に戻ったり。ダイエット一つでも、人生はままならないのです。
ところが、本書を読んだら、いえ、読み始めた瞬間から、あなたのダイエットが成功する確率は、グンと上がり始めます。多分、成功するでしょう。なぜなら、本書には、科学的根拠と実証に基づいた、意思を、行動をコントロールする方法が、精神論ではなく、具体的に書いてあるからです。
一つだけ、例を出させてください。
例えば、マクドナルドのようなファーストフードの店舗AとBにおいて。Aには健康的なサラダバーガーがある。Bには無い。また、両方のお店には、カロリーが猛烈に高いけど美味しいバーガーとカロリーはそこまでは高くなくて普通に美味しいバーガーが置いてあるとします。
ダイエットを実行している人をこのどちらかの店に連れていくと、どういう傾向が現れると思いますか?
そのまま考えれば、ダイエットをしている人の多くが、Aの店舗にあるサラダバーガーを注文すると予測されますが、実はそうではないのです。
A店舗では多くの人が、高カロリーバーガーを選んでしまい、Bでは普通のカロリーのバーガーがAより売れたのです。
これはどういうことでしょうか?
つまりAの店舗へ行った人たちは、サラダバーガーを見ただけで、安心しして、高カロリーバーガーを選んだのです。
そんなバカな?
でも事実なのだそうです。
つまり、「ああ、サラダバーガーがある。私はダイエット中だからサラダバーガーを食べよう。ただし、次回からね」という心理になり、それで罪の意識が薄められて高カロリーバーガーを頼んでしまうのです。そしてまた別の日に、そのバーガー店えーを訪れた時こそ、サラダバーガーを頼む、かというとそうでもなく、また今度にしよう、今日は……」ということで、高カロリーをまた頼んでしまうのです。
どこかにありませんか?
このことは、次のことを表しています。私たちが何かにチャレンジしようとするなら、未来の自分を信じてやはいけません。なぜなら、行動を起こすのは今のあなただからです。
未来のあなたに期待してはいけません。なぜなら、明日行動を起こすのは、明日が今日になった、今のあなただからです。
だから、何かやろう、としたら、今日、今、始めないと嘘になるのです。
このように、本書では、自分で自分をコントロールする方法が、科学的に検証されたエビデンスを元にして、具体的に紹介されているのです。
もちろん、目標はダイエットだけではありません。あらゆることに応用できます。勉強や仕事はもちろんです。
自分を今、自分ではない何者か(これも自分なのですが^_^;)が、コントロールしていることに科学的に気づかせ、コントロールを自分の手に取り戻す具体的な方法が書いてあります。もう、本書を読んだら、成功しかありません。
少し話はズレるのですが。
本書を読んで感じたこと。本書の内容は、極めて禅に近いのです。私は縁あって、今、禅の勉強を進めています。そこで教えられること(動中、静中の禅含め)に近い感じを抱きます。もちろん、善を極めているわけではないので、絶対そうだ、とは言えないのですが、なんとなく、近いものを感じるのです。
さて、まとめましょう。
改めて。受験生も、社会人も、普通の学生も、ダイエットをやろうとしている人も、お金持ちになろうと思っている人も。まず、この本からスタートするべきだと思います。それが成功するために一番の近道。そして、今、自分がやっていることを通じて、自分がやりたいことを探す一番の近道と思います。
成功への近道
「スタンフォードの自分を変える教室」
Amazonでゲットできます。Kindle版もあります。
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]]>壮絶だった。読んでいる途中でノンフィクションかと勘違いするほど、精緻だった。
圧倒的な取材。
その取材をさらに凌駕するほどの創作力。これが「罪の声」の凄さを感じさせてくれる要因には違いない。
題材は、グリコ・森永事件。
主人公は京都でテーラーを営む曽根俊也。彼は、2015年の夏。自宅の2階で、整理し切れてなかった父の遺品から、黒い手帳とカセットテープを見つける。
そして、そのカセットテープから聞こえてきた声は、“ギンガ萬堂事件”(ギン萬事件)の脅迫犯が使った子供の音声。そしてその声は、間違いなく自分の声だった。
これがイントロダクションです。
もう、たまらないです。読みたくなりますよね。
実際、読み始めると、止まらなくなります。
実際に起こった極めて不気味な事件が題材であり、作者の塩田武士のフィクションなのですが、事件の起こった日時や場所、脅迫文などの文言はほぼ事実通りとのことで、サスペンスは満載。まるでこの小説の通りに事件が進行したように思えてしま雨のです。
物語の面白さは言うまでもなく。
私が登場人物の中で感銘を受けたのは、阿久津英士と言う新聞記者。
文化部の記者でありながら、本件を追うことになるのだが、その追いかけ方に、壮絶なものがあるのです。
本物のジャーナリズムをこの小説の登場人物の中に見たような思い。
本書「罪の声」で扱われている事件が、実際にあったものであるが故に、新聞記者も、このような活動を日々しているのであれば、無くてはならない仕事なんだと思いました。
しかし、リアルな世界、特に現代では、そこまでジャーナリズムが機能しているのでしょうか。
さて、まず、圧倒的に面白いです。物語として没入することができます。
また、登場するジャーナリストの行動力とインテリジェンスに、感動さえ覚えました。一方で私は、今のジャーナリズムに関して、少し不安や不満を覚えました。
罪の声、マジ、面白いです。力作です。
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]]>悩み多き時代です。
悩みだけではなく、不安、怒り、悲しみ、苦しみ……
時の政権は、自分たちの都合の悪いデータは消去指定しまう。
証拠隠滅。
庶民はと言えば、働けど働けど、給料は上がらない。
日本から人が減っていく。特に少子化は問題。
年金はもらえない。老後はどうすればいいのだろう。
そう言えば放射線問題はあれでいいの?
え?原発作るの?
さらに税金上げるんですか?
はい、もはや先進国ではい。
何を信じていいのかわからない。
政治家は信じられない。
官僚も、いったい誰を見て仕事をしているのか。
大きな会社は、本当に世のため人のために仕事をしているのだろうか?
学校は、子供をどんな子ともにしようとしているのだろう。
マスコミは……。
世は、正に末法。
こりゃ誰も頼りにできないな。自分のことは自分でやらないと。
己こそ己のよるべ、己をおきて誰によるべぞ。よく整えし己こそ、誠得難きよるべなり。
ということで、こんな時に、私の前に現れたのが「仏教」だったのです。
Facebookで色々「いいね」を押していたら、昔の仕事仲間が、曹洞宗の老師とのご縁を結んでくれました。(大きい大切なご縁です)(このことに関しては「臘八接心に参坐して迷いが吹っ切れた、と言うことを書こうと思ったのですが……」と「坐禅で、数年の迷いが吹っ切れた話」をぜひ、読んでくださいね)
禅寺の庭園に興味も湧いてきました。
そう言えば、元々、仏像を見るのが好きだったりしました。
中学の修学旅行で、法隆寺の釈迦三尊像や東大寺の日光月光菩薩や四天王にえらく興奮したのを覚えています。七尾中学( 出身中学です^_^;)の図書館に貼ってあった興福寺の阿修羅像の美しさにボーとしていたのは私です。
そうです。私は元々仏像が好きだったのです。
そして…仏像好きと言えばあの方です。
みうらじゅんさん。
今日は、そのみうらじゅんさんの「マイ仏教」を紹介します。
最高ですよ。
マイブームという言葉を生み出したみうらじゅんさんが、今度は、「マイ仏教」。
ページを開くと、そこには本格的な仏教の世界が、面白く、わかりやすく、そして熱く書かれているのです。
前書きの見出しが「人生の大切なことは全て仏教が教えてくれた」ですよ。
正に。このことです。
私も。人生の大切なことは仏教が教えてくれました。そしてこれからも、仏教が教えてくれるでしょう。
「マイ仏教」はエンターテインメント仏教入門書。本書は、とにかく面白い。
仏教を解説しながらも、エンターテインメントとして秀逸だと思います。
マジ、面白いから。さすが、みうらじゅんさん。そして、面白いなーー、と読み進めていくうちに、仏教が理解できるようになるのです。
面白い。読む。仏教がわかる。また、面白い、読む。さらに仏教がわかる。
これは、正に、おもしろ仏教の輪廻の世界。みうらじゅんワールドなのです。
釈迦は、人が四苦八苦という苦しみから解放されるには、煩悩を捨てること、と説いていますが、私たちはこの本で、煩悩を捨てる第一歩を歩むことができるうようになるのです。
冒頭に戻ります。
現代は、不安だらけです。政権も行政もあてになりません。
この末法を、私たちは、不安を抱いて生きるしかないのでしょうか?
そうかもしれません。
でも、マイ仏教を読むと、もしかしたら、この不安を取り除いて、生きる身があるのかもしれない、そう思ってしまう、今日、この頃なのでございます。
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]]>舞台は、神山高校。
いくつかの事件が起きる。
事件と言っても殺人とかではなく、生徒会長選挙での票が水増しされていた、とか、中学時代の教師が「ヘリコプターが好きなんだ」と授業中に発言したことを思い出し、その真意に辿り着いたり、市の合唱祭でソロを歌う古典部のメンバーが会場になかなか現れず、その行方を捜したり。
ちょっとした、なんでもないようなことが、ちょっとした事件のようなものになり、多分、主人公なのであろう折木幸太郎が推理していく、という、推理モノなんだけど、学園モノ、青春モノでもある物語なのです。
その古典部に所属するメンバーが、青春の入り口にたつ者たちが抱える独特のナイーブで敏感で、考え過ぎてしまうゆえに鈍感装う、そんな心情があるからこそ、先程いくつか書いたような事件が起きてしまうのであり、また、その解決も、多くの登場人物が、純粋でナイーブだからこそ、解決できる。つまり純粋前提の推理小説なのです。
私は「いまさら翼といわれても」を読み始めてすぐに、この純粋だからこそ成立する推理小説に、「こういうのは、読んだことなかったなあ」と感じ、登場人物の気持ちや行動を、瑞々しく思いました。
オイラの青春時代は、高校時代は、もっとつまんなかったなあ。
そりゃ純粋じゃなかったからですよね、そりゃそうだ。
「いまさら翼といわれても」は、米澤穂信さんの「古典部シリーズ」のひとつ。
もっと読んでみる気になってしまいました。
純粋じゃなかた高校時代を思い出しながら。
ところで、いまさら翼といわれても、は、この短編集の最後に載っているのですが、うん、って、そりゃそうだよな、いまさら翼といわれても、と思ってしまいました。
これは、私の高校時代には隠れていた純粋さがこの歳になって現れてきたのか……。
そうだ、そうに違いない。
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いまさら翼といわれても (角川文庫)
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